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2018年3月9日(金)
急転直下!首脳会談へ トランプ&正恩狙いは

ゲスト

佐藤正久
外務副大臣
武貞秀士
拓殖大学海外事情研究所特任教授
平井久志
ジャーナリスト
渡部恒雄
笹川平和財団上席研究員

急転直下!首脳会談へ 米朝の狙いを緊急検証
竹内キャスター
「日本時間の今朝、米朝首脳会談が5月に開催予定とのニュースが飛び込んできました。この急転直下の動きが意味することは何なのでしょうか。米朝首脳会談をめぐる動きを緊急検証、アメリカと北朝鮮の狙いを探ります。韓国の鄭特使は金委員長の発言として『非核化を誓う。核・ミサイル実験を控える。米韓合同軍事演習を続けなければならないことを理解している』、『早期の米朝首脳会談実現に前向きな姿勢を示した』ということをトランプ大統領に伝えたところ、トランプ大統領は『恒久的な非核化を成功させるため、5月までに金委員長と会う』と言ったことを明らかにしました」
反町キャスター
「平井さん、金委員長が特使に託した言葉として、米朝首脳会談を申し込んだ、この背景をどう見ているのですか?」
平井氏
「特使が行く前に『まだ発表していない、アメリカに伝えるべき北朝鮮の態度…、立場がある』と言っていたので、それがこのことだったと思いますね。それと、基本路線は今年になってからまず韓国をとり込んで、その作業の先には、しかし、韓国で終わるのではなくて、アメリカに通じるのだという路線があったわけですから。これは北朝鮮側のアプローチとしては自然なアプローチだったと思うのですけれど。それを即座に受け入れたトランプさんの方に我々はむしろ驚いているという…」
反町キャスター
「北のアプローチは想定内、トランプ大統領の反応は想定外?」
平井氏
「想定外でしたね」
反町キャスター
「そういう理解でいいですか?」
平井氏
「驚いたんですね。普通は、首脳会談をやるというのは、ある程度の積み上げ、たとえば、小泉さんが平壌に行った時は、田中さんが二十数回にわたって水面下の協議をやっていて、普通そういうものが必要になるわけですけれど。しかも、期限を切って、5月ということをおっしゃったというのは、非常に予想外、北朝鮮も予想外ではないですか?」
反町キャスター
「なるほど。佐藤さんは北朝鮮がこういうタイミングで、伝言という形ではあるけれども、米朝首脳会談をポーン…、しかも、条件はこう、こう、こうという、この北朝鮮の畳みかけをどう見ていますか?」
佐藤議員
「冷静に考えると、まだ火星15号、11月28日に撃ちましたけれど、まだ通常軌道で撃っていないですね」
反町キャスター
「ロフテッドだけですね?」
佐藤議員
「はい。ですから、再突入技術というにはまだ課題があるのだろうと言われている中で、本来であればもう少し実験をしてから交渉と言っても、たぶんあり得たと思うんです。ただ、その前に、もう一歩という手前で北朝鮮の側からトランプ大統領と交渉、会いたいというのは制裁…」
反町キャスター
「効いている?」
佐藤議員
「あるいは軍事的圧力というものも効いているのではないかと見た方がいいのではないかと」
反町キャスター
「そうすると、軍事的圧力や制裁が効いているのだけれども、それに屈したようにやるのではなくて、あたかも暖かい風を送り込んでいるかのように」
佐藤議員
「だから、韓国を間に入れてですよ、平昌オリンピックというまさにそういうものを使いながら、やっている部分はあるのではないかと」
反町キャスター
「もう1点、佐藤さん、非核化を約束していますよね、『非核化を誓う』と金委員長は…」
佐藤議員
「『北朝鮮の非核化』と言っていないですよ」
反町キャスター
「はい、どうぞ…」
佐藤議員
「韓国側の代表団、特使が、北朝鮮に行った時の合意事項として出ているのは『朝鮮半島の非核化』と言っているんですね。今回のこの発表も『北朝鮮の非核化』と言っていないですね」
反町キャスター
「言っていない。確かに言っていないです」
佐藤議員
「非核化についてはコミットメントしたという、『非核化を誓う』と。だから、そこの部分はもう少し掘り下げないと」
反町キャスター
「『北朝鮮の非核化』と『半島の非核化』の違いを教えてください」
佐藤議員
「はい。これは金日成時代から『朝鮮半島の非核化』と、当時はまだ韓国の方にも戦術核というものを米軍が持ち込んでいた可能性がありましたから。そういうこともあって『朝鮮半島の非核化』ということを言っていたんですね」
反町キャスター
「南北という意味ですか?」
佐藤議員
「はい、南北、当初は。だから、『朝鮮半島の非核化』はずっと金日成も金正日もずっと使っているんですね。ただ、『北朝鮮だけの非核化』と言っていないですよ。今回も『朝鮮半島の非核化』と言うのであれば、そこは在韓米軍の核の持ち込みという部分も合わせて考えないといけないかもしれません。合意事項を見ると『朝鮮半島の非核化』というものの次に『軍事的脅威をなくす』と。また、自分の安全、体制が自分の政権の体制が担保されるのであれば、核保有の、核を持つ理由はないといういろいろなヘッジをかけながら言っていますから。そうなると、単なる非核化だけではなく、プラス軍事的脅威をなくすとか、あるいはそういう部分もトータルで考えないと、この本当の北朝鮮の金正恩が言う『非核化』の意味というのは、もう少しやりとりをしないとわからないと思います」
竹内キャスター
「渡部さん、この金委員長の発言として『非核化を誓う』と言った…、この非核化について、トランプ大統領はどの程度、理解しているのでしょうか?」
渡部氏
「おそらく理解していないと思います。理解していないというのは何かと言うと、朝鮮半島における非核化というのはずっと歴史があるわけです。北朝鮮が核開発を始めて、それに対してどういう形で北朝鮮が譲歩をするのか、あとは他のところがどう動くのか、たとえば、アメリカが、とか。そういう経緯をまったく知りませんので。しかも、これはトランプ大統領だけではなくて、現在トランプ政権にそれをよく知っている専門家、朝鮮半島の経緯を知っている専門家が、トランプ大統領の周りで話をできる、すぐこれはこうですよと言える人が1人もいないですね。普通は、その背景はどうなっているのだとか、どう動いているのだとか、あるいは韓国側の背景も含め、アメリカには大変、たぶん世界で1番のインテリジェンス能力があるわけですよ」
反町キャスター
「はずですよね?」
渡部氏
「ええ。だから、それも聞いてという話になるのですけれど、トランプ大統領はまずインテリジェンス機関が大嫌いですから。自分のロシアゲート事件に捜査が入って、彼は非常にそこには、メディアも嫌いですけれども、インテリジェンス機関も大嫌いですから、たぶんそういう発想がないですよね」
反町キャスター
「渡部さん、その非核化の話の中で、北の非核化ではなく、半島の非核化となった場合に、先ほどの佐藤さんの話にもありましたけれど、在韓米軍が核を持っているかどうか、現在は持っていないということになっています。持っていないのでしょう」
渡部氏
「はい」
反町キャスター
「では、在韓米軍が核を持つ可能性まで北が指摘した場合には在韓米軍は半島から出て行ってくださいというような話にも、当然、議論の延長線上としては視野に入ってくる議論ですよね?」
渡部氏
「はい、そうですね」
反町キャスター
「そういう議論というのは当然、アメリカの国防総省や国務省においては皆さん、おわかりで、ホワイトハウスの中でも何人かがおわかりだと思うのだけれども、その話は、トランプ大統領は知らないということでいいのですか?」
渡部氏
「知らないと思います。反町さんだったらアメリカの大統領が務まると思いますけれども…」
反町キャスター
「何を言っているのですか」
渡部氏
「でも、そういう話です。だから、トランプ大統領は…、普通の大統領だったらそこまでは知りません。ただ、知らないということを知っています、普通の大統領は。知らないからこそ、これはちょっとそのまま私が進めたのでは、いろいろと問題がありそうだから、国防総省に聞いてみようとか思うのですけれど。トランプ大統領の最大の問題は知らないことを知らないんですよね」
反町キャスター
「その意味で言うと、知らないことを知らない大統領の弱点を見事に突いた金委員長の、韓国を使った陽動作戦というか?」
渡部氏
「はい、たぶんここまでいくとは思っていなかったのでしょうけれども」
反町キャスター
「北も想定外の進捗ぶり?」
渡部氏
「そこまでいったら面白いだろうなとは思ったでしょうけれども…」
反町キャスター
「面白いなんて…」
渡部氏
「つまり、北朝鮮の立場から言うと、まずは日米韓の同盟国がガッチリしていることが嫌なので、崩したいですね。1番弱いところは韓国ですね。これはなぜかと言うと、文在寅大統領が南北統一・融和、こういうところを出していますし、それは同じ民族ですから。そこでまずは韓国を取り込んだと。まず韓国を緩くしたと。さらに、韓国に球を投げた。これでもし韓国の言っていることを、たとえば、アメリカが取り合わなければ韓国とアメリカに溝ができますよね。ところが、これが乗っちゃったので、そうすると今度、アメリカと日本と溝ができるかもしれない。いろいろな意味で陽動作戦としては、球は投げたと。ただ、それがどうなるのかというのはわからないだろうけれども、球を投げてみたら、思ったよりもうまくいっちゃったねという感じではないですか」
反町キャスター
「武貞さん、いかがですか?平壌も笑いが止まらない状態なのですか、ここまでの運びというのは?」
武貞特任教授
「笑いが止まらないでしょうね。だから、特使…、いや、私が笑っているのではなくて、北朝鮮…」
反町キャスター
「いやいや、大丈夫…」
武貞特任教授
「だから、特使団に対して満面笑みで何も不安のカケラもないという表情で登場しましたよね。ギャグまで交えて特使団を接遇した。余裕しゃくしゃくで。これは彼らにとって想定内のことだったと思いますよ。それで非常にうまくいったということで、さらに第2弾、第3弾のサプライズを、4月の南北首脳会案と5月の米朝首脳会談で準備をしているでしょうね。たとえば、突然、ワシントンに金正恩さんが降り立つとか。そう決まったわけではないですけれども、まだどこで首脳会談をやるかわからないけれども」
反町キャスター
「一応、今回は招待になっていますよね?」
武貞特任教授
「そうですね。ですから、そうですね…」
反町キャスター
「招待と言うと」
武貞特任教授
「トランプさんが…」
反町キャスター
「トランプさんが平壌に行くのですか?」
武貞特任教授
「…平壌に。いや、それはおかしくはなくて、クリントン大統領の時に、寸前のところで、オルブライト国務長官が準備して、1週間前にキャンセルしたのだけれど、大統領という職で行きかけたこともありますよ。トランプさんのあの軽いノリを考えれば、ドーンと行って、この朝鮮半島の緊張緩和の流れはアメリカがイニシアチブをとるのだと、南北だけではありませんよ、アメリカ・ファーストの大統領、ここにあり、というようなスピーチを平壌でするかもしれない。それは、トランプさんは、自分のリーダーシップと国内政治も考えてやっているから、win-winゲームですよね」
反町キャスター
「最新のトランプ大統領のツイッター。『金正恩委員長は韓国の代表団と非核化について話し合った。凍結だけではない。さらにこの期間は北朝鮮によるミサイル実験もない。素晴らしい前進だが、合意に達するまでは制裁が継続される。会談は計画中だ』という、このツイッター」
渡部氏
「はい、これだけ見て外交とか、そういうことを知らない人は、おぉと、トランプ大統領やるではないかと。これまでワシントン、ホワイトハウスに巣くっていたエリート官僚の嫌な奴らは、能書きばっかり語っていて、何も物事を進めなかったのに、トランプ大統領、我らの庶民の代表はこんなにストレートに早くできるのだというイメージを一瞬、思いますね。そのあと交渉が実は長く時間がかかって酷い目に遭うんですよ、これは間違いないのですけれど。その時にでも、トランプ・ファンはその頃には忘れているんですよ、違うところにいっているんですよ」
反町キャスター
「別のネタに?」
渡部氏
「別のネタにいっているんですよ」
反町キャスター
「その意味で言うと、渡部さん、たとえば、この言葉とか、非核化と、先ほど、言ったみたいに、半島の非核化なのか、北朝鮮の非核化なのかによっても全然、意味が違ってくるし。凍結と言ったって、何を凍結しているのかもわからないし、製造はしているけれども、実験はしていないだけかもしれないという話にもなりますよね?」
渡部氏
「はい」
反町キャスター
「ミサイル実験もないと言っているけれど、裏で量産体制はとっているかもしれないとか、こういう裏の話、ここでも出てくるようなところまでの議論というのは、アメリカにおいてはもう誰もしなくて、非核化結構、凍結結構、ミサイル実験ない、おぉ、いいではないか、トランプ、がんばったよ、というのが現在アメリカの半分ぐらいの人達がそう考えているという理解でいいのですか?」
渡部氏
「おそらくトランプ支持者は、その程度のレベルで善しとしているわけですね。それから、ホワイトハウスの中でも、わかっている人は何人もいるのでしょうけれども、そこでトランプ大統領に口を挟めるようなポジションにはなくて。それは現在の反町さんみたいなことを言ったら、お前、クビだと言われるかもしれないですね」
佐藤議員
「トランプ大統領は『恒久的な非核化』と言っている。これは北朝鮮の話ですよ。トランプ大統領が言っている『恒久的な非核化』というのは北朝鮮の非核化のことを彼は言っているわけで、しかも、恒久的なというのはまさに完全かつ検証可能な不可逆的なものということを差しているわけですから。だから、凍結から、実際にそれを無力化して、あるいは廃棄、そのまた廃棄の検証まで、非常に長い時間がかかるわけですね。これは5月までにある程度会って、成果を出そうと思うと、結構、これから事務方を含めて、かなり2か月半しかありませんけれど、相当忙しい。何かの成果を出そうとするとかなり国務省なり、担当する部署は結構大変だと思いますね」
反町キャスター
「佐藤さん、できないと思っているでしょう?」
佐藤議員
「いや、100%はできないです。それは5月までに、会うまでに全部、非核化が終わるわけでないですから。すごく長くかかりますから。ただ、その方向づけをするだけでも、北朝鮮の思う非核化と、トランプ大統領の非核化の部分のすり合わせからいかないといけないし、軍事的な脅威というものを取り除くと、金正恩さんは言っていますから、そのことも含めて、実際の交渉というのは、予備交渉というのは結構大変だと思いますよ」
反町キャスター
「たとえば、『恒久的な非核化』という言葉を簡単に使ってしまう、これは理解が足りないのか、楽天的なのか、これがリーダーシップなのか、という議論もあるかもしれません、こういう大統領で。なおかつこういう言葉を言ってくる大統領ですよ。僕らが議論していた非核化についてのリスクとか、ミサイル実験はないけれど、ミサイルをつくっているかもしれないというリスクというのが、全部すっ飛ばされたような状態の議論をする大統領を日本としてどうするのかという、あまり言うと内政干渉とか、際どい話になるのですけれども」
佐藤議員
「これは、まさにこれから、日米でこういう状況になりましたから、日米連携をして、まさに日米韓の一枚岩態勢をつくるために、一緒に動くことになると思います」
反町キャスター
「しんどくないですか?」
佐藤議員
「しんどくても、それは我々もこれまで同じようにアメリカと一緒になって、北朝鮮が非核化のためのテーブルにつくこと、環境をつくってきたわけですから。だから、向こうからこう近づいてきたわけですから、さらにそれを本当に非核化にもっていくためには当然、我々も一緒になって汗をかくのは当たり前だと思います」
反町キャスター
「渡部さん、どう思います?ちょっと話がずれちゃうのだけど、オバマ大統領とトランプ大統領の比較、よくこの番組でもやったし、いろいろ聞いてきたけれど、この感覚の大統領と、ちょっと暗くて人付き合いも悪いけれども、もう少しロジカルな考え方ができる前の大統領と、日本から見た時、相性は別ですよ、リーダー同士の、どっちが本当に良いのか?考えちゃうんですよ、僕、最近…」
渡部氏
「そういう2択をするから、またわからなくなっちゃうのですけれど。もう1つ、1択出しましょう。ブッシュ元、子供の方の大統領、彼、1期目は相当厳しく北朝鮮に圧力をかけて、しかも、枠組み合意も壊しましたけれど、2期目はクリス・ヒルという次官補を使って何でも与えるという、まさにトランプ大統領よりも、実際にちゃんと交渉をして、北朝鮮に相当大幅な譲歩をしたんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「と言うことは、アメリカというのはやるんです、そういうことはずっとやってきているんです。それが一貫していないからこそ北朝鮮はそこを利用し、ここまで核開発してきた。そのリアリティは日本の専門家はわかっていて、だから、しんどいけど、アメリカの大統領とは付き合わなくてはならないと思ってやってきているんですね、これまで」
反町キャスター
「それは日本から見た時に与しやすい人、説得しやすい人、日本の状況を理解してくれる能力の高い人、低い人があるではないですか?」
渡部氏
「日本の状況を理解してもらうというよりも、北朝鮮を本当に非核化するためには何をしたらいいかというのがわかる人というのはいませんね。なぜかと言うと、これはオバマ大統領も含めて、4年か、8年の大統領選挙で代わるので、選挙のこと。それから、選挙のことを考えていなくても、アメリカは現在、実は共和党と民主党ですごく党派対決が激しくて、選挙で必ず前の政権の否定に入ってくるので、連続しないですよ、政策が」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「なので、実はそんなに1つの一貫した政策がとれないです」
佐藤議員
「ただ今回、安倍総理はトランプ大統領とかなり心を開いて話せる仲です」
反町キャスター
「そうですね」
佐藤議員
「今日もアメリカ側から電話首脳会談をやりたいと来たぐらいで。もう20回、やっているんですね。今回、北朝鮮の政策についても、この『恒久的な非核化』についても、安倍総理の話をトランプ大統領は聞く可能性は十分にあります」
反町キャスター
「なるほど」
佐藤議員
「だから、その面では今後まさに日米の首脳というのが緊密になればなるほど、この具体化の部分で日本の貢献というような部分が私はあると思っています。また、日本にそれだけの技術者もいますから」
反町キャスター
「一方、佐藤さん、もう1点、聞きたいのは、金委員長が米韓合同軍事演習に関して例年並みのものであれば、我々は、それは構わないと思っているという趣旨の伝言を、韓国の代表団を通じてホワイトハウスに伝えているではないですか。例年並みの米韓合同軍事演習なら容認するという北朝鮮の姿勢、これはどう見ているのですか?」
佐藤議員
「それは今回、その程度であれば米朝の首脳会談をやった方が得るものが多いと思ったのかもしれません。ただ、辛いのは、金正恩委員長はこれまでアメリカを相当厳しく批判してきたことを国内向けに言っているんですよ。国連演説のトランプ演説に対してもかなり厳しいことを国内向けに言っています。この米韓合同演習についても厳しく言っているということもあって、これはどういう形で今回、説明するのかと。ウチの親分が、ウチの殿様が、ちょっと弱みを見せたなということは国民には言いたくないですから、わからせたくないですから。そういう感じで、北朝鮮はほぼ発表していないですよ」
反町キャスター
「国内に?」
佐藤議員
「国内に。韓国の特使とは満足いく合意ができたということは言って、しかも、あの映像は自分が非常に中心的な映像は見せました。だけど、今回この合意事項についても何も言っていないし、米朝首脳会談についてもまだ言っていないですよね。ましてや、この合同演習については、祖国統一委員会のウェブサイトでは、それをやったら南北破局だということをまだ言っている段階ですよ」
平井氏
「でも、それはある意味、当然で。だって、米韓合同軍事演習をやっている最中に南北首脳会談をやるわけですから」
反町キャスター
「このままいくと」
平井氏
「ええ。そうしたら、南北首脳会談をやるためには、米韓軍事演習がダメだと言っていたら、やりにくいではないですか」
反町キャスター
「では、北朝鮮は米韓合同軍事演習を図上演習も、上陸演習もドッカン、ドッカンやって、それをテレビで見せて、B‐1Bが飛んだ、F‐35が飛ぶという、状況を見ながら話し合いをしましょうという、ここまで譲歩する姿勢があるんですね、今回は?」
平井氏
「それと、韓国とのこれは南北との合意でやっているわけですから当然、演習は韓国で行われるわけですから、ある種の拒否権を韓国側が持っているのもまた現実なわけですから。北側がそういう提案をしてきたら、韓国側がそれほど、たぶん酷いというか、北に対するプレッシャーをかけた演習にはならないですよ。そこまで読んでの発言だと」

日本がとるべき対応は
竹内キャスター
「今朝、日米首脳電話会談のあとに安倍総理が記者団の取材に応じました。記者団への発言のポイントです。『北朝鮮側から非核化を前提に話し合いを始めると申し出たことは評価する』『核・ミサイルの完全、検証可能かつ不可逆的な形での放棄に向けて北朝鮮が具体的な行動をとるまで最大限の圧力をかける』『4月中にも訪米し日米首脳会談を行う』『拉致問題解決のためトランプ大統領の協力を要請』ということなのですが…」
佐藤議員
「これまで日米韓、国際社会が一枚岩となって圧力をかけてきた1つの成果として、今回の米朝首脳会談が実現したということが1番のポイントだと思います。まだ、制裁が、本当に苦しいまで効いているかはわかりませんが、徐々に効いているのは間違いなくて、特に9月9日の創建70周年ですか、それまでにある程度の成果を出すという、北朝鮮の事情というものもあるのでしょうけれど、まさに向こうから寄ってきたという部分について、今後、日米韓というものが中心となって非核化のための具体的交渉に移るという観点が極めて大事だと思います。と言う中で、4月に日米首脳会談を、実際に会って、いろいろ細かい話をするというのは、今後の細かい米朝の協議という中でも意義が深いと思います。しかも、トランプ大統領の方から電話をかけて、こういうことがあったよということは、日米の絆の深さを証明していますし、4月に行きたいと言ったら安倍総理のルームはいつも開けているというぐらいの関係ですから、非常に4月の首脳会談で深い、突っ込んだ話し合いができると思っています」
反町キャスター
「佐藤さんは、皆が一枚岩となって圧力をかけたから、北朝鮮が寄ってきたという話をされています。北朝鮮が寄ってきているのは、日本にも寄ってきているのだろうか。北朝鮮はアメリカにだけ寄っているのか、ないしはアメリカに寄るために韓国によっているのか。日本に寄ってきていると我々見た方がいいのか。そこはどうですか?」
武貞特任教授
「寄ってきている兆候はまったくないですね。全体のトーンはアメリカと韓国が協力をしてきて、ここに至ったという、そういう説明で特使団及びトランプさんの発言もだいたいカラーで覆われていますけれども、相当、日本の役割というのは、韓国とアメリカはあまり今回、指摘していない。非常に目立ちますよね。実際に南北の首脳会談決定をした。米朝首脳会談の予定も言及したと。この次は、文在寅さんでも、トランプさんでもいいですけれども、日朝の関係の改善、日朝の間には拉致の問題もありますと、ワシントンでトランプさんが言っても良かったのですけれども、言ってほしかったと思いますよ。それを指摘したという意味では、安倍さんのこの発言は非常に良かったと思うのですけれども、それだけに南北と米朝が相当すごいスピードで進んでいきそうな時に日本の課題というのは相当、大きいと思いますよ。日本だけが取り残されては困るんですよね」
反町キャスター
「北朝鮮から見た時に日本というのは積極的に交渉しなければいけない相手なのか。アメリカ、韓国を押さえてしまえば、そこで大枠が決まれば、拉致の問題を言いながらもついてくる国なのか。北は日本をどう見ているのですか?」
武貞特任教授
「私は昨年の9月に外交総責任者の李洙墉前外相と3時間半、アントニオ猪木さんと一緒に懇談する機会がありましたけれども、日本との関係の改善、いつでも窓を開けている、国会議員団、どうぞ来てくださいとおっしゃっていましたけれども、日朝関係を具体的に進めようという考えは、兆候はまったくなかったですよね」
反町キャスター
「アメリカと何とかすれば、ついてくると思っているのですか?」
武貞特任教授
「日米はいつも一体で、いつもアメリカのあとを追っていますねと、皮肉交じりにおっしゃっていました」
反町キャスター
「そういうことを言うのですか?」
武貞特任教授
「言いますね。それも、中国の人も日本について言う時にそうですけれど、決まり文句です。と言うことは、米朝がずっと進んでいったら、やがて日本はくっついていくだろうとみなされているということですね。これではまずいわけであって、そういう意味でも、南北と米朝と日朝、本来、東アジアで凍りついた関係は3つの2国間関係、あるいは2者間関係だったのですけれども、日朝がごそっと欠けていますよね。ここで、この機会に、たとえば、非政府レベルでの交流とか、そういったこよを日本は模索していくチャンスがやってきた。それは拉致問題解決につながっていくものです。こういう緊張緩和のムードというのは、まさに拉致問題解決の1つのヒントを与えてくれていると思いますよ」
反町キャスター
「佐藤さん、米朝首脳会談を前に、4月に安倍さんは予算が上がったら、すぐワシントンに行って、トランプ大統領に対して、米朝首脳会談に向けた日本側からの注文、お願いみたいなものをトランプ大統領に刷り込むんでしょう。その作業を考えた時に、事実上、北との直接の対話の場を日本が持っていないということは、これから先、対北朝鮮の様々な各国間の交渉が行われる中で、日本はハンデを背負っているように見える。ここはどうですか?」
佐藤議員
「そこは違っていて、まさにアメリカと北朝鮮がこれから交渉する時の、細部事項になればなるほど、安倍総理含めた、日本の知恵とかが必要になるんですよ。実際に非核化と言っても、簡単にできませんから。まさにいろいろな面で凍結をしたあとに無力化をする、あるいは廃棄をする、いろいろなプロセスがあります。その中で、日本の力が絶対に必要になります。また、トランプ大統領がいろいろ交渉する時に間違いなく日米が100%と共にあるということが、つまり、日本の意見も刷り込んだ形で交渉をしますから。そこは日本が取り残されていることではなく、実際に今日もトランプ大統領の方から電話をしてきたわけですから、そこはそんなに心配しなくても、しっかり調整はできて、日本の意向というものが入りますし、さらに、今まさに我々の方からすり寄る時ではなくて、もう少し北朝鮮の様子を見極めてから、いろいろ動いても全然遅くないと思います」
 
武貞特任教授
「これからの問題ですけれど、南北関係というのは、朝鮮労働党中央委員会の副委員長の金英哲さん、韓国にも今回、冬季オリンピックに行きましたけれど、彼が全体を取り仕切ります。これからの米朝の首脳会談については、前外相、最高人民会議の外交委員会委員長、朝日友好親善協会顧問、対日政策の総責任者で外交の総責任者である李洙墉さんが米朝関係を全部取り仕切るんですね。しかも米朝関係を全部取り仕切る前の外務大臣が朝日友好親善協会顧問、労働党の国際部長、これは外務大臣よりもランクが上なんです。労働党の方が行政部門よりも上ですから、李洙墉さんという日本をよく知っていて、日本人とも交流のある、大物を、ビッグネームを大事にしながら日朝間のいろいろな課題について、どうしたら解決できるのかというような働きかけ、今度は米朝と日朝がうまく結びつくようなタイミングもきたんですよ、人的支援という関係で。そういうところにも注目をしながら、次の日本の一手というものを考えるべきであろうと思います」
反町キャスター
「渡部さん、どう感じますか?」
渡部氏
「米朝の関係が悪いと日本に来るんですよ。この前の拉致問題に寄ってきた時、これはブッシュ政権の初期、第一期ですごく強かったせいで小泉さんのところに来たわけですよ。そこでうまく関係をつくれたのは田中均さんがちゃんと関係をつくっていたからですよ。そういう意味で、武貞さんがおっしゃられたように、私はそんなにすぐにこの朝鮮半島問題が進むとは、トランプさんが危ういので、思っていないのですが、逆に現在、危機感を持ってつくる時ですよ。しかも、どちらかと言うと、表向きでなくて、民間で。これは武貞さんが先ほど、お話されたように、できているわけですよ、民間で。私は、アメリカ人で、民間の立場で北朝鮮とやっている人、何人も知っていますよ。それを現在、つくる時期であると思う。でも、焦ってやるわけではなくて、現在すぐに動くとは思えないし、ただ、つくっておけよと。ここで勉強しておけよと、いいサインだと思うべきでしょうね」

北朝鮮・非核化の現実味
竹内キャスター
「北朝鮮は非核化を誓い、核・ミサイル実験を控えるとしていますが、過去の例を振り返っていきます。1994年に、米朝枠組み合意が成立し、北朝鮮が核施設の建設・運転を凍結する代わりにアメリカが軽水炉建設の支援と重油を供給することになりましたが、結局、北朝鮮は核開発を続けました。また、2008年には6か国協議の合意に基づき、北朝鮮が核施設の無能力化を行うと同意したことで、アメリカはテロ支援国家指定を解除しましたが、この約束も反故にされ、現在は再指定されています。今回は大丈夫ですか?」
佐藤議員
「まさに2回、これまで騙された教訓というものを活かして、今度はしっかり態勢をとらないといけない。日米韓が一緒になって、向こうが具体的な行動を起こすまでは圧力を続ける。経済支援とか、財政支援をすぐにやらない。プラス、凍結と言っても、凍結の検証が難しいんですよ。まさに査察を、日本を含めて、あるいはIAEA(国際原子力機関)を含めて、凍結という状態の査察をまずやる。それから、次に無能力化するための多くの人が要ります。今度は廃棄、いろいろなプロセスがありますから、しっかり絵を描きながら、1つ1つ見てやるというのが大事だと思います」
反町キャスター
「武貞さん、いかがですか?過去2回、今度は違うものになるかどうか?同じパターンを踏襲するかもしれない、そこはどう見ていますか?」
武貞特任教授
「同じパターンを踏襲することになりますね。と言うのは1994年、2008年、これらの合意がうまくいかなったのは何もアメリカの責任ではないです。北朝鮮のやり方がうま過ぎたのだろうと思います。それから、合意に向けて国際政治的な背景、条件がこうあったから、この合意はうまくいかなかった、そんなことでもないんです。北朝鮮は、韓国を北朝鮮主導で統一するために、アメリカの軍事介入を朝鮮半島でさせないようにするために、ワシントン、ニューヨークに届くICBM、もしできたらSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、それを持って、寄らば、撃つぞ、ワシントンにと言った時に、アメリカは、もう警察官はまっぴらだと言うだろう。そうしたら核兵器を持たない韓国を、核兵器を持った北朝鮮が統一できるだろうと。1948年、金日成は統一したいと思っていたけれども、1950年からの戦争で統一できなかった。アメリカが介入したからではないですか。介入を阻止するために核兵器が必要なんです。どんな合意をつくっても、どんなに圧力を加えても、ギュウと抑え込んでも、プーチン大統領が言ったように草を食ってでも核兵器を開発し続ける人達だと。まさにその通りで、統一のための核だから、合意の文章のテクニックで、核を放棄しますと言うはずがないです。100個、200個、合意をつくったって放棄しないんですよ。その北朝鮮相手に私達はどのように自分の安全をはかり、東アジアの安定をはかり、朝鮮半島の非常に国際社会の良い一員としての統一朝鮮半島をつくっていただいて、経済繁栄をする国家にするかという発想の転換。ほとんど核問題に関しては180度の発想の転換かもしれないけれども、そういったことが必要だということを私達が学んだのがこの2回の合意ではなかったでしょうか」
反町キャスター
「渡部さん、いかがですか?」
渡部氏
「私も北朝鮮の行動は、武貞さんがおっしゃったようなことを辿ると思います。ただ、反省できるとしたら、これまではそのあとにアメリカが特にそうですけれど、それまでやってきたことをもう1回、全部ご破算にして、何もやらなくなってしまう。それを前提にしながら、日本とアメリカだけでなくて、韓国も、中国も含めて、しつこくやれるような仕組みをつくれるかというのが実はチャレンジで、たぶんできないと思う。これは相手がトランプさんだからではなくて、アメリカの選挙という4年、8年で変わってしまうものがあるから、でも、ちょっとここは本気で考えた方がいいですよ、ということをアメリカと日本と韓国で話す時ではないですか。できれば中国も」
反町キャスター
「平井さん、いかがですか?」
平井氏
「私も、北朝鮮側が核を簡単に放棄するとは思えないし、あらゆる手段を使ってくるだろうとは思いますね。ですから、制裁だけ、対話だけというのは片方だけでは絶対にダメなので、両方やりながらやっていくということが必要なので、1つ、1つだと思いますよ。たぶんすごく長期戦になるわけですから、譲った場合には何らかの対価は必要ですし、何かをしなければ、こちらは圧力をかけ続けるということで、日本の雰囲気の中で、韓国を軽視し過ぎるというか、バカにする雰囲気があるのではないかなという気がするのですけれども。韓国は同じ民族ですから我々がアプローチしにくい部分が出てくることがあるかもしれませんけれども、韓国を日本がどう一緒にやっていくかというアプローチは大切ではないかなという気がします」

佐藤正久 外務副大臣の提言 『圧力と見極め』
佐藤議員
「圧力と見極め。北朝鮮側から寄ってきたわけですから、じっくりと腰を据えて、圧力をかけて、向こうの行動をしっかりと見極めるということが大事だと思います」

武貞秀士 拓殖大学海外事情研究所特任教授の提言 『非核化を出口へ』
武貞特任教授
「ポンペオCIA(中央情報局)長官が今年1月23日にこう言いました。北朝鮮は体制の温存のために、核兵器をつくっていると思っていたけれども、これは間違いだった。統一のための核だったんだ。この発想はCIA皆が共有していますとワシントンで演説したんです。まさに私の論文を読んでいたようなそういう発言だったと思います。核兵器を放棄させるプロセスはとても時間がかかります。出口に持っていく、入口に持っていくのではない。その過程でしっかりと北朝鮮を説得していく外交的努力、これが大事だと思います」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言 『長期戦の覚悟』
平井氏
「長期戦の覚悟。今回ダイナミックに動いて何かすぐに結論が出るような錯覚を我々はしがちですけれども、決してそうならないと思いますね。だから、1つ、1つのこれからの交渉というのは長期戦。タフな交渉に耐えられるような、あまり極端なことをとらない覚悟が必要なのではないかなと思います」

渡部恒雄 笹川平和財団上席研究員の提言 『長期の視点 日米韓』
渡部氏
「長期的な視点を持って、日米韓の3つの枠組みを壊さないように、先ほども話しましたけれども、アメリカの1つ政権で終わるような話ではないので、トランプ大統領もそのうち飽きますから、あるいはひょっとしたら4年やらないかもしれないけれども。そのあとでもアメリカと日本と韓国がきっちりとした枠組みで続けるという、しぶとい姿勢が大事だと思います」