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2018年3月1日(木)
陸海空の元将官が斬る 進化する中国軍の正体

ゲスト

杉本正彦
元海上幕僚長 元海将
織田邦男
元航空支援集団司令官 元空将
山下裕貴
元中部方面総監 元陸将

『中国空母』の狙いと実力
松村キャスター
「世界の目が北朝鮮の核・ミサイル実験に集まる中、中国が、初の国産空母建造や、国産ステルス戦闘機を実戦配備するなど軍事力増強や近代化を着々と進めています。この脅威の正体と日本のとるべき姿勢について陸海空自衛隊の元将官をゲストに迎えて、じっくり話を聞いていきます」
反町キャスター
「先月、アメリカ議会の政策諮問議会である米中経済安保調査会が公聴会を開催しました。冒頭、シンクタンクの研究者からこのような発言が出ました。『中国軍すべての戦力は、2035年にはインド太平洋地域で米軍や同盟国軍と同等以上になる』。この言葉の意味を今日、検証していくのが主なテーマになっていくのですけれども、『すべての戦力』とは何を意味するかと言うと、おそらく陸軍、海軍、空軍、サイバー、宇宙、電磁波という領域もあるのではないかという指摘もあります。すべての戦力においてアメリカ軍や我々日本も含めた同盟国軍の戦力を凌駕する中国の軍事力というのは現在、どういう実力を持っているのか、どちらを向いているか。それに対して我々はどのような防衛方針を持って、この事態に対峙すべきなのか、今日はそのことをじっくり聞いていきます」
松村キャスター
「今夜は中国が増強・近代化を進める軍事力の中でも主にこちらの3つのポイント、これについて聞いていきます。『空母建造』『水陸両用作戦能力の強化』『ステルス戦闘機の開発・配備』です。まずは1つ目のポイント『空母建造』ですが、中国は旧ソ連が建造に着手したものの途中で放棄されていた空母を購入し、国内で完成させた遼寧を2012年に就役させましたが、その後、国産空母の建造を開始しました。昨年4月には001A型として進水し、現在は3番艦も建造中とされています。まずは杉本さんに聞きますが、中国はなぜこのように空母を必要としているのでしょうか?」
杉本氏
「空母は、端的に言いますと、制海権、海をコントロールするシーコントロールと、それから、いわゆる相手を攻撃するためのパワープロジェクション、これは象徴的なものですね」
松村キャスター
「これまで知られていた、この遼寧と001A型は何が違うのでしょうか?」
杉本氏
「基本的には001型は遼寧を踏襲した形になっています。一部、いわゆるスキージャンプ方式というような形は変わらないのですけれども、遼寧がこれまで動いていますので、その教訓を得た形で艦橋の構造とか、レーダー、あるいは格納庫を少し改良した。それから、スキージャンプの方も若干角度を微調整してあると聞いております」
反町キャスター
「その性能なのですけれど、001Aと、日本にも配備されているアメリカの空母ロナルド・レーガンを比較したものがこちら。満載排水量はロナルド・レーガンの10万3637トンに対して、001A型は6万7000トン。全長は332.9メートルに対して、315メートルとほぼ同じです。動力は、原子力に対して、蒸気タービン。速力は共に30ノットです。搭載機数は52機+ヘリ15機。001Aは36機+ヘリ10機など、このようになっています。性能・実力、杉本さんはどう見ていますか?」
杉本氏
「簡単に言えば、大人と子供ということでしょう」
反町キャスター
「ほお…」
杉本氏
「いわゆる航空母艦というのは、相手を攻撃するためには、常にできるだけ速く搭載機を発艦させる。そのためには、カタパルト方式、これはだいたい米海軍では1分間に2機なり、3機を飛ばす、そういう能力が常にある。ところが、スキージャンプ方式ですと制限される。それと、遼寧には早期警戒機とか、そういったものはない」
反町キャスター
「載せていない?」
杉本氏
「…と聞いています。従って、空母全体のオペレーションを安全にやるところになってきますと、雲泥の差がある。米海軍の空母は早期警戒機もあるし、ヘリコプターはもちろん、いろいろな航空機を搭載していると、だから、オペレーション対応も、多様なオペレーションができるということだと思います。空母の陣形というのは…」
反町キャスター
「ちょっとその話にいきましょう。これはどういう意味ですか?」
杉本氏
「空母の陣形はだいたい空母から半径が200マイル、ノーチカルマイルですね」
反町キャスター
「200マイル?」
杉本氏
「はい」
反町キャスター
「300キロ、ちょい?」
杉本氏
「380キロ、380キロです。この前方に水の中に空母を守るダイレクト・サポート・サブマリンという原子力潜水艦がいるんですね」
反町キャスター
「これが、この3つ?」
杉本氏
「この3つ。3つか、2つか。その上空に、先ほど言った早期警戒機と、いわゆるキャップ機と言って、戦闘機が常に待機しているんです」
反町キャスター
「ほお…」
杉本氏
「はい。それとイージス艦がいて、これはピケット艦と言われるのですけれども、ミサイルが撃たれた場合でもイージス艦によって空母に飛んでくるヤツを撃ち落とすと、そういう全体的な…」
反町キャスター
「ミサイル防衛のためのイージス艦ですね、これは?」
杉本氏
「そう。こういう大きな陣形を組んでいきますので。空母というのは、運用する場合でも空母1隻だけではあまり役に立たない」
反町キャスター
「なるほど。その話を聞くと、空母1隻持ったから、中国が2隻目を持ったから、どうなのだという話を僕らはすぐやるのですけれど、中国に現在、空母が2隻ありますよと。イージス駆逐艦のこの形があって、イージス巡洋艦が周りを固めていて、補給艦も後ろに従えつつという、この陣形をとれるだけの海軍力というのは中国は持っているのですか?」
杉本氏
「現段階ではまだないと思います」
反町キャスター
「ない?」
杉本氏
「はい」
反町キャスター
「と言うことは、非常に下品な言い方をすると、これを2隻持っていても何も怖くないよと、そこまでは言えない?」
杉本氏
「そこは米海軍と比較すると、そう言えると思うのですけれど。だけど、米海軍以外のいろいろな国に対しては非常な脅威というか、そういうことになると思いますよね」

『水陸両用作戦能力』狙いと実力
松村キャスター
「ここからは中国が拡充を進める『水陸両用作戦能力』について聞いていきます。山下さん、この『水陸両用作戦能力の強化』とありますけれども、これはどういったことなのでしょうか?」
山下氏
「中国海軍が持っている水陸両用艦艇は大小全部合わせて今、130隻持っていると思われる。その中で皆さんがよくイメージされる戦車揚陸艦や、ドッック型の揚陸艦というのが二十数隻。だから、大きな部隊を載せるのは二十数隻持っている、それが海軍の揚陸能力になります」
反町キャスター
「ドック型揚陸艦という話を聞いていたのですけれど、どういう船なのですか?」
杉本氏
「ドック型揚陸艦というのは船の後部がドックに、ドックというか、こうなっていまして、そこから上陸用舟艇が出ていくわけですね」
反町キャスター
「これは日本にはないですよね?あるのですか?」
杉本氏
「日本は輸送艦を3隻持っています」
反町キャスター
「輸送艦とドック型揚陸艦というのは同じものですか?違うのですか?」
杉本氏
「ドック型…、構造的には同じですよね」
反町キャスター
「構造的には同じ?」
杉本氏
「はい」
反町キャスター
「日本が持っている輸送艦も後ろが開いて、そこから上陸していける?」
杉本氏
「日本は降ろして、そこからランプでずっと…。艦尾が降りた形でそこからホバークラフトが降りていくという」
反町キャスター
「海上でそのオペレーションできるんですね?」
杉本氏
「そういうこと」
反町キャスター
「それはほぼ中国の持っている、4番艦まで就役しているというドック型揚陸艦というのを、日本から見た時には日本にも同じような能力のものがあると。そこにおける相対のバランスというのは果たして揚陸艦と揚陸艦が1対1の話になるのかというのは別の話なのでしょうけれども、似たような能力をもう日本は持っているということでよろしいのですか?」
杉本氏
「そうですね」

中国『水陸両用作戦能力』と『島嶼防衛』
反町キャスター
「映像を出してもらった方がいいと思うのですけれど、この部隊はどういう、この水色の戦車は何ですか?」
山下氏
「これは『05式水陸両用戦車』と書いてありますけれども、海軍陸戦旅団が保持しているものと思われますけれども。色は、私も現職の時にこの色を見た瞬間に、どこで使うの、こんなに目立つものと。たぶん南の方で使うのでしょうけれども、イメージ的に青くしたか、PRするために出してきたのか、それとも上から見たら水色に見えるのがですね、中国の方から見ると、航空から見ると水色にしていた方がわからないと思っているのかですね。いずれにせよ、装備を見ますと、海軍陸戦部隊が持つ装備になるということになりますね」
反町キャスター
「それを生っぽく言うと、島嶼防衛を考える時に、こういうドック型の揚陸艦が沖合に展開しています、お尻から上陸用舟艇が出てきます、水陸両用の戦車などもそこから出てきて、海の上を進みながら、しかも、載せてある大砲を打ちながら、上陸をかけてくるわけではないですか?」
杉本氏
「そうですね」
反町キャスター
「そういう想定というのは、日本はしているのですか?」
山下氏
「イメージトレーニングではやっていますよね。どのくらいが上がってくるのかとか、そういうシミュレーションはやっていると思いますね」
反町キャスター
「日本側の、それに対して守る方法というのは?」
山下氏
「2つ。現在、統合機動防衛力ということで防衛省が考えている戦略の中に、まず事前配置ができれば、事前に部隊を配置すると、いわゆる島に」
反町キャスター
「尖閣に来るぞとわかった時に?」
山下氏
「そうです。事前にわかれば、それが望ましい。ただし、イニシアティブは相手にありますから、もしかすると先に上がられるかもしれないと、先に」
反町キャスター
「それはまずいですよね?」
山下氏
「はい。それは別に、水陸両用部隊が上がるのではなくて、空挺部隊で降下して降りる場合もあれば、武装難民に紛れて上がってきて、いつの間にか服を着たら兵隊さんだみたいな、いろいろな上がり方がありますが。上がられてしまった時にはまた奪回作戦になると。その時には、今年度末にできあがる水陸機動団を使うということになりますね」
反町キャスター
「水陸機動団というのは、ごめんなさい、どういう部隊なのですか?」
山下氏
「これまで陸上…」
反町キャスター
「ちなみに、場所はどこにできるのですか?」
山下氏
「ええ、これは長崎県の相浦に本部を持って、2個連隊、当初、2個連隊で立ち上がるのですが、アメリカの海兵隊が持っているようなAAV7水陸両用車を保持して、ある程度叩いたあとに上がっていけると。先ほど、説明の中にもありました日本の輸送艦から降りて、これはちょっと海上自衛隊側の改修が必要になってきます」
反町キャスター
「改修とはどういう意味ですか?」
山下氏
「AAV7が降りられるように…」
杉本氏
「降りられるよう甲板をちょっと改造するとか、そういったことが必要になってくる」
反町キャスター
「輸送艦にAAV7という装甲車を載っける機能がないのですか?」
杉本氏
「載っけて、降ろす時に、AAV7というのは、そのまま直接降りていきますから。だから、輸送艦が持っているホバークラフトは使わないです。そのままスーッと降りていくんです。だから、その降りていくための、いわゆる船体の一部改修を」
反町キャスター
「スロープみたいなものが必要になってくる?」
杉本氏
「スロープ…」
山下氏
「そういう降ろすための準備、準備というか改修が必要になってくるということですよね」
反町キャスター
「なるほど。それはこれからやっていく?」
山下氏
「そうですね、はい」
反町キャスター
「織田さん、水陸機動団の全体のオペレーションの状況というのをどう見ていますか?」
織田氏
「中国は昨年の日米首脳会談、2月、要は、尖閣が5条の対象であると言いましたよね。中国もバカではないからアメリカとコトを構えたくないです。だから、武力で来るということは…、訓練はしますよ、装備も整える、しかしながら、現在は考えていない。それよりも、たぶん中国のコア・バリューというのは3つありまして。1党独裁体制の維持ですね。2番目は分離独立の排除ですよ。3番目はこれを支える経済成長というのがあるのですけれども。2番目の分離独立の排除、台湾はいつか、あるいは習近平さんのいる間、俺がいる間は統一したいと思っているかもしれない。その時にガチンコ勝負をやるのかよ、というのも被害が大きい。となりますと、台湾に対する攻略、要は、武装を整えて、熟柿戦略と私は言っているのですけれども」
杉本氏
「熟柿が落ちる…」
織田氏
「熟柿が落ちるように、台湾が現在ドンドン友好国はなくなり、外交的に孤立し、しかも、南シナ海の方でシーレーンをブロッケードされちゃいますと嫌がっちゃうんですね。そうしたら、そうなる前に現在、台湾はこの間、戦闘機と爆撃機が1周しただけで、株価がガーンと下がったんですよね。だから、私はそれを、熟柿戦略を狙っているものだと。当然それは実戦に使えるように整備するんですよ。それは日本にも使えるし、台湾にも使える。しかしながら、もちろん、南シナ海にも使える、1番の狙いは台湾の熟柿戦略だと思いますよ」

『中国製ステルス機』の実力は
松村キャスター
「続いて『ステルス戦闘機の開発・配備』についてです。これまで戦闘機の近代化や増強を進めていた中国ですが、先月9日、開発中とみられていた、中国発のステルス戦闘機のJ‐20の実戦配備を発表しました。ほとんど公式のデータは公表されておらず、その能力も謎に包まれたままという状況ですが、織田さん、J‐20のステルス戦闘機の能力ですとか、使途をどのように見ていますか?」
織田氏
「わかりませんけれども、侮ってはいけない。ただ、私もパイロットですから、パイロットとして見ますと、カナードがついてステルスかよという感じ」
反町キャスター
「カナードというのは、前の…」
織田氏
「はい、要は」
反町キャスター
「…ヒレみたいなヤツ?」
織田氏
「ええ、はい。余計な反射面積をつくるだけの話でしょう。しかしながら、ステルスというのは機体を無理していますから、それの制御をするのにああいうのをつけざるを得ないというのはわかるんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
織田氏
「ええ。だから、それは、アメリカはもっとコンピュータで、画面で処理するのを必ずつけざるを得ないというのはあると。ただ、本当にステルス性能があるとしたら、これはゲームチェンジャーというのか、様相は大きく変わります。バランスが変わりますから。たとえば、尖閣で、東シナ海に持ってきたら現在はどういう戦いかと言うと、実効支配をどちらがとるか。つまり、昨年の2月に、トランプさんと安倍さんが会って、共同声明で初めて文書にしたのは、尖閣が5条の対象だと。だから、それは逆に言えば、アメリカが立ち上がるようなやり方ではとらない、中国は。どうするかと言うと、尖閣、5条の対象で、5条は何と書いているかというと施政下にある土地に対する攻撃と。だから、施政下をなくせばいいですね。だから、実効支配をとればいい。領空侵犯し放題、それで領海侵犯し放題になると、それは尖閣と北方領土とが一緒になるんですよ。そこは北方領土…、北方領土は…。竹島は5条の対象ですと絶対に言いませんよね、アメリカは。北方領土も言いませんよね。では、そういう状況をつくろうとしたら領空侵犯し放題になると、それは実効支配しているとは言えなくなるんですよね。それは、もし本当にこのステルス性能が高いステルス性能だったとしたら、非常に航空自衛隊は大変な対応を迫られるだろうと」
反町キャスター
「ステルス性能というのは、レーダーにおける反射波がいかに少ないか」
織田氏
「うん、そういうこと」
反町キャスター
「塗料の問題とかもあると思うのですけれど。見た目だけでどのくらいですか?というのも無茶な質問ですけれども。織田さんから見て、たとえば、日本に今度配備されるF‐35と比べた時に、このJ‐20の仕上がり具合、どう見ているのですか?」
織田氏
「F‐35、あるいはF‐22、実際に私は間近に見ましたけれど。つくりがまだまだ雑ですよね。塗装とか、つなぎ目とか、すごく、もう髪の毛1本入らないような」
反町キャスター
「F‐35は?」
織田氏
「F‐35とF‐22ですね。そのステルス性はすごいんだなというように、見たら感激しますよ。ただ、これは写真で見ても…」
反町キャスター
「J‐20は?」
織田氏
「はい。明らかにつなぎ目がわかったりとか。しかも、カナードですよ。カナードをつけるということはレーダー反射面積を増やしているということですから」
反町キャスター
「その意味においてはステルスと言っても、どのくらいのステルス性かという?」
織田氏
「うん、それはわかりません。わからないけれども、だから、侮ってはならないという。意外とF‐35ぐらいあるかもしれない」
反町キャスター
「中途半端とは言いませんけれども、そのレベルであるにも関わらず、持っているぞと公表し、映像まで出している。中国の理由はどこにあると思いますか?」
織田氏
「内外に対するアピールでしょうね」
反町キャスター
「持っているぞと?」
織田氏
「ええ、心理戦」
反町キャスター
「でも、持っているぞと見せた結果、これだけ織田さんに糞みそに…」
織田氏
「いえいえ、糞みそではないですよ。侮ってはならないと」
反町キャスター
「ああ、そうか、糞みそではない。ただ、侮ってはならない程度のものであっても、持っているということを見せることに意味があるのですか?」
織田氏
「もちろん、そうです。だから、先ほど言ったように、3つの正面を考えなければいけないと思うんですよね。東シナ海、台湾、南シナ海。台湾はこれがあったらバランスがゴロッと変わっちゃいますから。まったく防御をする能力を持っていないわけですよ。ステルス性が高かったらという前提ですよ。そうしますと諦めさせる熟柿戦略。もう1つは、南シナ海ですよね。南シナ海は現在、西沙諸島についてはベトナムから獲って、もう3000メートル級の滑走路を永興島につくって、J‐11が駐留しているわけです。あとは南シナ海に現在3つの滑走路をつくっているんです。ファイアリー・クロスとミスチーフとスービーリーフ、3000メートル。あともう1つ、スカボロー環礁を獲っちゃうと、トライアングルができちゃうんですよ。それでここにJ‐20を配備したとしたら、制空権を全部とられますから。それはステルス性能が高かったら…」
反町キャスター
「高ければ?」
織田氏
「そうすると、米海軍も近寄れない。それは大変なことになります」

中国軍近代化で自衛隊は…
松村キャスター
「中国の空の動きに対するのが航空自衛隊ですけれども。昨年は若干、回数が減っているとは言え、スクランブル発進が続いているという状況なのですが、織田さん、航空自衛隊への影響というのはどう見ていますか?」
織田氏
「だから、減っているのは党大会がありましたよね。波風を立てたくないというのがあったんですね。あの間、党大会の前は非常に静かになったということですので」
反町キャスター
「ああ、そうなのですか」
織田氏
「だから、習近平がまた、憲法を改正して、独裁体制をとると、来年度以降どうなるかというのはしっかりと見ておかなければいけないですよね。それと、先ほど言いましたように、この戦いというのは実効支配をとるための戦いなんですよ。となると、もう我慢比べ。現在は中国機が上がってくると言ったら、とにかく早い時に尖閣周辺に我先に上がって、実効支配はこちらがとっているぞと、入ってくるなということになっていますけれども。それが領空侵犯され放題になったら、とてもではないけれども、それは施政下にあるとは言えないと。そうだと、それは5条の対象ではなくなるから、やりたい放題ということ。それは結構、中国も世論戦で外に論文を書いて発表しているんですね。現在、海保はいるけれども、領海侵犯し放題だと、実効支配は我がとったというのをちゃんと書いてプロパガンダしていますよ」
反町キャスター
「ごめんなさい、織田さん、その話をしていくと、尖閣の話において、中国もステルス戦闘機を開発・配備しました、日本は日本で持って、両方が持っているにしても、両方が、相手がどこにいるのかわからない中、尖閣上空を中国のステルスと日本のF‐35が行ったり来たり、交互に飛んでいるという、これはどっちが実効支配しているのだという、そういう議論になってくるのですか?」
織田氏
「そういう、いわゆる宝物を前面に持ってくるということは絶対にしないですよ」
反町キャスター
「しない?」
織田氏
「はい」
反町キャスター
「日本はしない?」
織田氏
「日本はしない」
反町キャスター
「日本はしないけれど、中国は自分達の実効支配をアピールするために」
織田氏
「…するかもしれない」
反町キャスター
「我々は、中国の戦闘機は尖閣の上空を常時、警戒監視している」
織田氏
「いや…」
反町キャスター
「そういう名目でステルス戦闘機を飛ばすという、このリスクがあるという意味ですよね、今の話は?」
織田氏
「ええ、だから、実効支配の戦いですから。実効支配をしようとしたら、J‐20のステルス性能が良いとしたら、それはやってくるかもしれない。可能性は少ないですよ、なぜかと言うと、情報を取られるというのは1番アレですから。尖閣に来るということは、アメリカも情報を取っているということですから。だから、そういうことは少ないと思いますが、私が言いたいのは実効支配をとる戦いだから、スクランブルはこれからも上がるし、我慢比べだと。諦めた方が実効支配、負けだと。ただ、それは本当に大変な、現在、航空自衛隊がご苦労をしていると思います」
反町キャスター
「もう1つ、飛行パターン、出ていますけれど、この赤い線ですけれど、中国軍機の飛行パターン、これを見ていると、尖閣はここですよね?」
織田氏
「うん、そうですね」
反町キャスター
「この周りの中国軍機の飛び方、この飛び方というのは何を意味すると理解したらいいのですか?」
織田氏
「まずこれはこのライン、これは第一列島線がありますよね、第一列島線というのは九州から沖縄・台湾、このライン。2010年…、2020年までに第二列島線の以内は制海権をとると言っているんですね、制海権・制空権。だから、宮古海域をドンドン出てきたというのはあります。あと1つは、尖閣に対してどういう反応をするのかというような、航空自衛隊がこれで踏ん張っているわけですね」
反町キャスター
「なるほど」
織田氏
「もう1つは、こう出てきますよね、このライン、これは鋭いなと思ったのは、28個、レーダーサイトあるのですけれども、日本は」
反町キャスター
「28個?」
織田氏
「28個、全州。全州を覆っているのですけれど。それは冷戦のために北を向いているんですよ。それで、ここに、串本にありまして、レーダーサイトが。それで九州までないですよ。と言うのは、ここはブラインドゾーンですよね。そこにわざわざ来ているというのを、俺達はお前達の防空網の弱点を知っているぞ、という話ですね」
反町キャスター
「そのレーダーサイトは串本だから、南の方にもこういうのがあって、入れないよという、ここのブラインドゾーンに対して中国がアクセスをしたというのは、日本の自衛隊にしてみたら、どういう印象を受けるのですか?」
織田氏
「いや、自衛隊は、だから、私は全州警戒というのを防衛計画の大綱でもずっと言っていたでしょう。だから、欠落があるから、そこは対応しなければいけないなと私は思っています。同時に、昔と違って早期警戒機を持っていますので、そんなに簡単にやられるものではない。昔、早期警戒機を持っていない頃、ここは本当にブラインドゾーンで、低高度を這って来てやると、あっと言う間に大阪がやられちゃうというような状況だったんです。だから、そこは日本の対応を確かめるというのと、我々は知っているぞと、お前のところの防空能力を、と」
反町キャスター
「防衛省と官邸、外務省、これはNSC(国家安全保障会議)のマターだと思うのですけれども、キチッと分析をして、今回の中国の軍用機がここまで来たことについては、どういうメッセージがあって、我々はどうとかというのは、これは当然、分析しているはずですよね?」
織田氏
「いや、もちろん、していると思います」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
織田氏
「はい、もちろん、している」

進化する中国軍の『正体』
松村キャスター
「さて、中国の習近平国家主席は就任以来、大規模な軍の改革を行ってきました。防衛白書によりますとかつて7つに分かれていた軍区ですが、このように5つの戦区に再編しました。陸海空軍を一体的に運用するための統合作戦指揮機構を新設、ということなのですが、こうした改革の結果、山下さん、中国の人民解放軍はどう変わったと見ているのでしょうか?」
山下氏
「過去からちょっと振り戻ってこれまでを簡単に説明しますと。まず人民解放軍が創設された第2次世界大戦以降、彼らの戦略は毛沢東の『人民戦争理論』、中国の奥深くに敵を引っ張ってきて、後方戦を叩いて、ゲリラ戦も併用しながら、やっつけていくと、そういう形の戦略が長く続いたのですが、中国が経済的に発展してきて『人民戦争理論』が使えるかと、国境から中に敵を入れるのかと。それは経済的に発展してきて、インフラもあるのに、そういう戦争はなかなかしづらい。それから、経済が発展していくと資源を外国から輸入しないといけない、あるいは交易をしないといけない。そこで、だんだん変わってきているわけですよね。それで、1番説明しやすい一帯一路で説明させていただくと」
反町キャスター
「これで言うと、どうなるのですか?」
山下氏
「地図を出していただいて…。ここは代表的な赤い線が一帯の帯の方ですよね、青い線が一路の方で。これまでの議論だと、海上戦力・航空戦力で、青いところの部分が多かったのですが。帯の方を説明すると、ここだけちょっと足らなくて、こういう線もあるわけですね。まず大きな赤い帯のシルクロード、これは中央アジアを経てヨーロッパまで行く、石油資源がある国を通りながらヨーロッパと交易をするという伝統的なところ。それから、パキスタン、ここから下に下りていっていますね。インド洋に出るパキスタン経済街道というところなのですけれども。もう1つがミャンマーに通じているベンガル湾に通じる経済街道。赤いところは、砂漠地帯を通過していきますから砂漠のシルクロード。それから、上に上がっている部分については草原のルートと、こう大きく分かれていくのですが、まずパキスタン側に行くと」
反町キャスター
「パキスタン、ここですね?」
山下氏
「はい、ここです。グワーダルというのがちょうど今置いていただいたところに、港があるのですが、ここは中国資金で開発して、ここでインド洋に出よう。そうするためには、このカシミールの方向から下りてくる、パイプラインを引いてくる必要があると。そこには、実はアクサイチンと言って、中国とインドが領有権を主張している地域がある。それから、もう1つ、今度は逆にミャンマーから下りてくるところに、実はインドと領域を主張しているアルナーチャル・ブラディーシュというところがあって、これはインド側が実効支配していますね。上の北側の方については中国側がある程度、実効支配しているところがあると。この2つのシルクロードというか、一帯を確保するためにはこの危険なところを通過しないといけないと。ここはチベット自治区ですよね、ずっと。この重要なメインのシルクロードは新疆ウイグル地区ですよ。民族問題・宗教問題、さまざまな問題を抱えていると。中国はまずそういう経済的な発展をし、あるいはこういう経済路を確保するために、どうやって軍隊を改編するのかと。その中でこれまでの『人民戦争論』ではなくて積極防御、いわゆる防御なのだけれども、何かあったら先に手を出すよ、出ていくよと、そういう態勢にまず変わってきたと。そのためには、中央である中央軍事委員会をまず切り分けた。これまで4つの塊で権限を持っていた部を細かく7つの部と庁と、3個の委員会と5個の直轄部隊に大きく切り分けて、権限を分散して、習近平が全部握れる体制を中央でとったと」
反町キャスター
「切り分けたというのは、中央集権をしやすくしたということですか?」
山下氏
「そういうことです。まとめれば何かしやすくなるような感じがしますが、権限が発生するので、そこを弱めた。習近平さんが1人で委員長として握って、全権ができるようになっていると。次にご説明しましたが、こういう状況でこれまでの大きなこの塊であった軍区というのは人民解放戦線理論を少し引きずっていまして、国内の治安によって、その地域を守れという区分だったんですよね」
反町キャスター
「軍区というのは?」
山下氏
「出してください」
反町キャスター
「こちらの古いヤツですね、7つに分かれていたヤツ?」
山下氏
「そうです。それを今度は5個の戦区に切り分けて。そこを近代的な戦争というのは統合作戦ですから、戦区に切り分けて、その司令部を統合部隊にしたと、統合司令部にしたと。陸軍について言えば、これまで師団で非常に重い部隊を旅団にしつつ、機動力を発揮して、先ほど言ったベルトの部分の重要なところにいつでも機動させられるように、機動力をつけた陸軍に改編していくと。空軍も外に出ていける、いわゆる攻撃的な、防御的なものから攻撃的なものにやる。海軍は海の、この青いところを防衛できるような態勢にする。戦区については、統合部隊で戦区司令官に任せると。先ほど言った、パキスタン、インドと、インドと揉めている部分については、西部戦区ですか、が担当するようにしていますね。それから、台湾側については東部戦区にやらせる。それで南シナ海側については南部戦区にやらせる。それから、伝統的なロシアと、それから、朝鮮半島については、北部戦区にやらせる。真ん中の中部戦区はその予備であると。だから、こう切り分けて、それぞれを統合作戦できるように。これはイラク戦争なんかを見て、アメリカの統合作戦を見て、あの力には当時は及ばないと。だから、それを、力をつけるために改編をして、組織も分けてやっていくのだと。これだけの改革ができるというのは、習近平が軍を確実に握っていると。この戦区をつくるにはかなり軍人の抵抗もあったみたいで、名前が東西南北(トウナンシャーペー)で麻雀戦区と言われるぐらいですね。これまでは名前が良い名前がついていたのに、東西南北真ん中か、みたいな。それから、その下に陸軍の部隊がいるんですよ。たとえば、東部戦区というのは統合司令部、その下に戦区の陸軍、戦区空軍、それから、艦隊がいます。彼らが軍種です。戦区は統合ですね。統合司令部はこの軍種とも協力しないといけない。フォース・プロバイダーですから、部隊をもらったり、これは調整機能が発生する。統合は、でも、できたばかりでアメリカでもまだ完成されていないという、それぐらい難しい、統合は。人材育成も。でも、できたばかりですからそんなにうまく統合が動いているわけでもないのに、軍種がまだいると、下に。もう1本、これは共産党の軍ですから、政治将校のラインもあるんですよ。だから、まだ切り分けて、私が説明したように、機動力を上げて統合部隊化していましたが、まだまだ戦力を発揮するには時間がかかると。こういう体制に現在、移行しつつあると」
反町キャスター
「先ほど、言われた、たとえば、毛沢東の昔の、攻められたらとにかく中に引き込んで、相手の兵站が伸びるのを待って、疲弊させて、徐々に押し返していこうという作戦ではなく、来る時に事前にこちらから叩くという作戦になったとしたらですよ」
山下氏
「そうですね、ええ」
反町キャスター
「東部、北部、南部、それぞれの部分というのは、それぞれ海外に展開する能力を個別に皆、持っている部隊になっている、そういう理解でよろしいですか?」
山下氏
「えーと、海外?」
反町キャスター
「海外というか、中国の領域外に打って出る」
山下氏
「ああ、それは領域外に出るか、出ないかではなくて、それは出ようと思えば出られますよね。それは機動力があるかどうかですよね」
反町キャスター
「そういうことです」
山下氏
「だから、機動力がある空軍に載せられる小型の車輛を、軽量型の車輛に切り替えていく、あるいは戦車の数を少し減らして、たとえば、大きな、1万人ぐらいの部隊が、1週間かけて移動するところを、半分の部隊だったら3日間で移動できると。3日経ったら戦力化できるわけですから。大きな師団を旅団にコンパクト化して、機動力を上げているわけです。各戦区に集団軍という複数の師団・旅団を持っているのをバランスよく置いて、何かあった時には集中するという体制をとっているので、空軍力が必要ですよね。だから、統合司令部に空軍も一緒に入れているわけですし、司令部、戦区には、すみません、沿岸部には」
反町キャスター
「日本のことを、たとえば、尖閣を考えた時に、7軍区あった時には南京軍区というのが、日本との向き合いになっていたということになるのですか?」
山下氏
「古い話ですね?」
反町キャスター
「古い方、軍区の時には…」
山下氏
「そうですね」
反町キャスター
「それが今度、戦区になっても、東部戦区でほぼ形は変わっていないと思うのですけれども」
山下氏
「ええ、そうですね」
反町キャスター
「そうすると、日本との向き合いにおいては中国の組織・規模、あまり変わっていないということでよろしいのですか?」
山下氏
「それはいつの時代と比べてあまり変わっていないか。今、説明をしたのは指揮機能とか、軍区とか、戦区を切り分けた話ですね。昔に比べれば、たとえば、日本に非常に予想されるような、両用部隊とか、あるいは空挺部隊、それから、特殊部隊については近代化が進んでいますから、非常に脅威の度が増している。その戦力だけ見れば。それは言えると思います。意図と能力ですから、能力は上がってきている、意図は別ですよ」
反町キャスター
「織田さん、この中国軍の変化というのを日本から見た時には、軍区が戦区になるという名前の変化、東西南北も面白いなと思ったのですけれど、日本から見た時に、これは脅威が増していると見た方がいいのですか?」
織田氏
「いや、もちろん、そうだと思います。習近平が何と言っているかというと、『戦える体制』と言っているんです。戦える体制をつくる、と言うことは、戦えなかったわけでしょう。それを、いわゆる統合でなければ、これはダメだねと。あとは科学技術…、軍事技術をうまくインテグレートした部隊でなければ、近代戦は戦えないよねということに合わせて、たぶんそういうのを使えるように、しかも、指揮系統も簡略化して、戦えるような体制をとったと、こういう話ですよね。ただ、1つ、共産党の軍隊というのは残っているんですよ。つまり、二重指揮ですよね。必ず共産党員がいて…」
反町キャスター
「政治のラインがあると」
織田氏
「ええ、政治のラインがある。そこはネックになると思いますよ」
反町キャスター
「杉本さん、海上兵力的にいうと、この軍区から戦区に変わったというのは、イメージはだいぶ変わってくるものなのですか?」
杉本氏
「いや、もともと東海艦隊…、北海・東海・南海艦隊とあるんですよね、そこの兵力、そういったものが変わらなければ、あと東部戦区、南部戦区、それは南シナ海対応、あるいは東シナ海対応ということになってくるのですけれども、その戦区によって、軍区から戦区によって指揮命令系統がスムーズにいけば、それは日本に対しての影響はあると思いますが、もともと艦隊同士、東海艦隊・南海艦隊のところに、ビーグルがあるということになれば、あまりそこは以前とは変わらない」

杉本正彦 元海将の提言 『"対処"及び"抑止"・"関与"を担保する力(防衛力)の整備 GNP2%へ』
杉本氏
「私の提言は、中国というのは、いわゆる力を信奉する国ですので、その中国に対応するにはそれ相当の力が必要だと。そのためには『対処』及び『抑止』『関与』を担保する力、防衛力の整備が必要である。そのためにはGNP(国民総生産)2%ということも考えられるのではないかと思います」

織田邦男 元空将の提言 『拒否力』
織田氏
「『拒否力』ということを挙げました。中国は、無尽蔵のように軍事に金をかけて開発しています。それに対して、本当に空母を持ったら空母を持つのかと言うと、とてもではないが、それはGDP(国内総生産)2%でもたぶん無理でしょうね。戦争というのは、戦争を起こさないようにするにはどうしたらいいかということなのですが、戦争というのは、自分の意思を相手に押しつけるための暴力行為なんですね。だからこそ暴力行為が目的でやっているわけではなく、意思があるわけですよね、押しつける意思。だから、その意思を押しつけられても拒否する能力。だから、そこは、たとえば、空母できたら空母が1番弱いミサイル、これは、ASM3というのは私が防衛部長の時から始めていますけれども、ようやく量産になったと。アレがあれば、近寄れない。それはまさに拒否する能力ですね。だから、力には力、その通りですが、同じものを持てばいいのかと言うと、そんなことはない。だから、相手の意思を拒否するだけの拒否力を持つということが必要だと思います」

山下裕貴 元陸将の提言 『先進と伝統』
山下氏
「『先進と伝統』です。中国に量的な態勢では、これは追いつかない。そのために日本でやるべきことは先進的な技術で、小粒でもしっかりした、いわゆる質的に彼らを上まわるような部隊・装備を持たないといけない。ただし、我々は第2次世界大戦後、大きな戦争をしていません。それはアメリカもそうですよね、ロシアと戦争したことないし。近代化された大きな国と戦争をした経験がないので、もしかすると我々の選択判断が間違っているかもしれない。その時にレガシーの、大砲とか、戦車を持った、しっかりとした軍隊も持たないといけない、それが伝統ですね。だから、先に言った質的に高い部隊と、伝統ある部隊、2つバランスをとらないといけないということです」