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2018年2月27日(火)
政府が黒田総裁再任へ 異次元緩和の行方検証

ゲスト

山本幸三
自由民主党税制調査会副会長
後藤茂之
自由民主党政務調査会副会長
野口旭
専修大学経済学部教授
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授

検証!安倍政権の金融・財政政策
竹内キャスター
「今月16日、政府が日銀の黒田総裁を再任する人事案を提示したことを受け、異次元緩和の行方にあらためて注目が集まっています。さらに安倍総理が予定通り行うとしている、来年10月の消費増税の是非、その後の需要落ち込みへの財政出動による対策を安倍総理が指示したことによって財政規律の緩みも懸念されています。安倍政権の財政・金融政策を徹底的に検証します。政府は今月16日、日銀の黒田総裁を再任、副総裁に黒田総裁を支え続けてきた雨宮正佳日銀理事、リフレ派の経済学者・若田部昌澄早稲田大学教授を起用する人事案を国会に提示しました。山本さん、この人事案をどのように受け止めていますか?」
山本議員
「個人的には、黒田総裁は、代わってもらった方がよかったのではないかと思っています。リフレ派の筋金入りを起用すべきだったと思っていまして。それはどうしてかと言うと、金融政策というのは、効果を発揮するためにはレジームチェンジが行われたということを世の中の人に全部示さないと、なかなか効果が出にくいんですね。黒田さん、最初に、2013年に就任した時は、まさにこれが起こって、金融政策と財政政策が同じ方向を向いてやりだしたら、一気にレジームチェンジが起こって、人々の間にもインフレ期待ができてきた。実際、消費者の場合には物価1.5%までいったんですから。ところが、これが2014年の消費税引き上げで一気に財政が逆方向、逆噴射して壊れてしまいました。このレジームチェンジが壊れてしまうと相当の金融緩和をやってもなかなか効きにくいですね。だから、ここを変えないといけないタイミングがこの総裁の人事だったと思っていまして。そこは総裁、トップを代えることによって、また世の中が変わったという感じのレジームチェンジをもたらさないと、なかなか2%達成というのは難しいと。黒田さんの再任ということになると現在やっていることを継続するということになりますね。これは、なかなかレジームチェンジがない形でやっていくと効きにくい、よほど財政の面と、金融政策で相当思い切ったことをやらないと、来年の消費税引き上げも予定しているということで、なかなか難しい。黒田さん、5年経ったのだけれど、10年経ってもそれはできないというようなことになりかねないと私はちょっと心配していて、黒田さん自身にとっても良かったのかなという感じはしますね」
反町キャスター
「土居さん、いかがですか?黒田総裁続投についてはどのような判断がそこにあると見ているのですか?」
土居教授
「私は妥当な判断だと思います。特に私は、財政健全化に理解のある黒田総裁、つまり、財政ファイナンス、つまり、日銀の量的緩和で、国債をただひたすら日銀が直接引き受けをしているも同然のような状態というのをつくらない。ここを破ってしまうと、それこそ戦前の二の舞みたいな話になりかねないわけなので。そこはしっかり日銀としての節度を守ると。1つ言えるのは、もしここで金融緩和を店じまいしてしまうとどうなるのかというと…」
反町キャスター
「総裁を代えるということは金融緩和の店じまいなのですか、山本さんの話だと…」
土居教授
「いや、逆があります」
反町キャスター
「一気に広げるという…」
土居教授
「…選択肢もあるし、黒田さんよりも金融緩和に消極的な人が総裁に来た場合には逆のことが起こってしまいますから、それはさすがに財政出動で財政ファイナンスを想起させるような状況をつくるぐらいだったらば、引き続き財政ファイナンスはしないとおっしゃる方に総裁をしていただきつつ…」
反町キャスター
「していないですか?」
土居教授
「していないと私は信じていますけれども、それは財政…、日銀がしていないということとともに、財政健全化をしっかり実は上げていくということでもって、初めてしていないと称される状態になるのだろうと。だけども、ここで一気に、また財政赤字を拡大させるようなことをしてしまうと、結局、日銀は政府の国債増発の尻拭いをしているのではないのと後ろ指を差されることになる」
反町キャスター
「そういう批判は耳にするではないですか?」
土居教授
「はい」
反町キャスター
「土居さんがそう言ったということは、国債を毎年毎年、80兆円までの枠の中で、実際は40兆円、50兆円ぐらいしか買っていないにせよ、それ以前にもっと大量に買っている時期もありました。では、日銀が国債を大量に買い込んでいるということは、言われた財政ファイナンス、国債を日銀が直接買いとるようなことにはなっていないんだよ、そういう悪質なものではないんだよと思ってよろしいのですか?」
土居教授
「えーと、瀬戸際です」
反町キャスター
「…」
土居教授
「つまり、どういうことかと言うと、そうは言っても、日銀は日本国債の現在、4割を持っているという状態、これは、歴史的に見てもかなり異常な状態です。これだけをもって財政ファイナンスと言う人もいます。単なる尻拭いをやっているだけではないかと。そうは言っても財政収支の黒字化を進めようと、安倍総理もプライマリーバランスの黒字化の旗は降ろさないとおっしゃっている。そこが徳俵1枚、ギリギリ残っているところで。これさえなくなってしまうと、結局、日銀はキャッシュディスペンサーで、政府が…」
反町キャスター
「印刷しているだけだという話になりますね」
土居教授
「ええ、日銀は政府が好きな時にお札を出してくれる存在だと思われてしまうと。それはインフレになるまで、つまり、物価上昇2%になるまではいいとしても、その先、2%で押し留めることがドンドン苦しくなる。相当な緊縮圧力をかけないと2%に物価上昇をおさめられないような状態にしてしまうという意味で、後顧の憂いになってしまうということを私は大変気にしている」

検証!異次元緩和 日銀の国債大量保有
竹内キャスター
「日銀は、異次元緩和が始まった2013年以降、国債の購入を進め、昨年の7月から9月期には国債残高1087兆円のおよそ4割、445兆円分を保有するという状態になっています。まずは野口さん、この現状をどう見ていますか?」
野口教授
「これこそが異次元量的緩和ということでやってきたのですが…」
反町キャスター
「それは前向きに褒めている?」
野口教授
「それは、私は評価しています」
反町キャスター
「評価している?」
野口教授
「はい。これは財政ファイナンスではないかという話で、先ほど、土居先生もお話をしたけれど、この財政ファイナンスは、しかし、人によって定義が全然違うんですよね、はっきり言って。実際、景気が悪い時には政府は赤字財政になるしかないわけです。赤字を許容するしかない、それから、赤字国債を発行するしかないわけですね。日銀は、量的緩和を、金融緩和をするしかない。と言うことは、国債を買い入れるしかない。ですから、結局、政府が財政…、赤字国債を出して、日銀は買うしかないわけですから、それだけ見ると、これは財政ファイナンスではないですか、と言ったら、そうですよと言っていいわけです」
反町キャスター
「日銀は買うしかないのですか?」
野口教授
「だって、金融緩和をやるためには、それしかないですから。金利を下げるにしても、量的緩和にしても結局、基本的には、現在はちょっと違いますけれども、基本は金利を下げる、短期金利を下げる場合も金融緩和をやって量を増やす。量と金利というのは裏腹の関係ですから、量を増やせば金利が下がるという形ですよね。ですから、国債をとにかく買わないといけないわけです、金融緩和をする時には。と言うことは、赤字…、景気が悪い時には、政府は必ず赤字国債を出して、日銀は…、現在は結局、それ以上に出して、フロー以上に買っているわけですよね。ですから、市中の国債というのがドンドン減っている。4割になったという話です。これは、ですから、景気が悪い状況では、当然、デフレ、日本のように失業率が高くて、デフレな状況では当然のことで。むしろ、それを大胆にやらなかったから、ずっと高失業、デフレの状態が少なくともアベノミクスの前までずっと続いてきたわけですから」
反町キャスター
「現在も続けている点についてはどうなのですか?」
野口教授
「だいぶ改善してきたわけですね。たとえば、もちろん、2%にはいっていないけれども、0.9%まできました。失業率は4%台だったのが、アベノミクスの前は。現在、2.7%です。だから、そういう点ではいろいろ改善してきているわけです、基本的には」
反町キャスター
「なるほど。後藤さん、すみません、基本的なことを教えてください。たとえば、国が予算の歳入の足りない分、国債を発行しますよね。その国債を日銀が引き受けること、市中で民間の金融機関とかが買ってくれれば1番いいのだけれども、日銀がスコッと引き受けるというのは、これは憂うるべきことなのか、当たり前のことなのか、たぶんそこからやらないとわからないですよ。これはどう我々は見たらいいのですか?」
後藤議員
「これは、引き受けは、それはできないということ」
野口教授
「法律的に禁じられていますからね」
後藤議員
「マーケットから買うわけですけれど、日銀が主体的にマーケットから買えるということも重要ですし、それから、日銀が際限なく買うのではなく、それは日銀のバランスシートもあって、そういう中で国債を主体的に取引できるかどうか、そのへんが重要だと思います」
反町キャスター
「40%になっているというのは正常な形ですか?憂うるべき形ですか?」
後藤議員
「40%は正直言って多いと思います。多いと思いますけれども、しかし、現在、日本はグローバルスタンダードである2%のインフレに向かい、金融緩和をやり続けてきて、その結果として現在、40%になっているということなので…」
野口教授
「逆に言えば、ここまでやってようやくここまで来た。もしやっていなかったら、これはずっと同じデフレの状態が続いていたんです。民主党政権までの状態がずっと続いていたと」
後藤議員
「結果としては40%、そういう政策の中でなっているということだと思います」
反町キャスター
「土居さん、この点については、憂いはないですか?心配なこと、日銀が4割も抱えていることについての心配はないですか?」
土居教授
「今後、出口になった時には憂いがあるかもしれないけれども」
反町キャスター
「出口とはどういうことですか?」
土居教授
「つまり、物価が2%に達したあとという意味です。その問題はちょっと置いておくとして、あとでお話するとして。少なくとも、これほど買っても、なおインフレ期待が醸成されないというところ、どっちが異常なのかよくわかりませんけれど、それぐらいの状態だと。少なくとも、もし100年、それが続くならば、4割を日銀が国債を持っていても何も困らないという話だけれども。問題は、なぜ日銀がそんなに国債を買っているかと言ったら、デフレを脱却させたいからですね。インフレにしたいからですね。なのに、4割持っていても未来永劫大丈夫だと言うのはちょっと言い過ぎで、インフレになった時にはインフレになったところで、4割持っているという状態をいかに緩やかに、かつスムーズに元に戻すか」
反町キャスター
「元に戻すというのは、日銀が持っている国債をどうすることを言うのですか?」
土居教授
「民間に国債を売るということですね。高度成長期から安定成長期にかけて、日本の日銀保有の国債比率というのはだいたい7、8%ぐらいだったんですね。その比率から考えると、4割というのは5倍以上という、そういう量ですから、それを5分の1ぐらいまでパーセンテージとして下げなければいけないという作業がデフレから脱却したあとに待っているということです」
反町キャスター
「インフレになっても4割、国債を持ち続けたら、どういう状況が想起されるのですか?」
土居教授
「インフレになったということは、現金が、年を追うごとに価値がなくなっていくということですね。そんな日銀券は持ちたくないと当然、誰もが思うようになりますね。そうすると、普通はある種のババ抜きのような状態で…」
反町キャスター
「どういう意味ですか、それは?」
土居教授
「つまり、ジョーカーは持ちたくないから他の人に引いてくれと言わんばかりに、現金を他の人に渡そうとすると。それは場合によっては、実物資産と交換することもあるかもしれないし、株と交換することもあるかもしれない。これ自体は、別におかしい問題ではないのだけれども、その時に通貨価値が異常なほどに下がるということが突発的に起こるかもしれないというのが…」
反町キャスター
「日銀がたくさん持っていればいるほど、リスクは高まるのですか?」
土居教授
「そうです。それだけ世の中に日銀券というか、現金通貨が、要するに、流通しているということですから」
反町キャスター
「日銀そのものの信頼が低下するので、日銀が発行している通貨の価値の信頼性も落ちると?」
土居教授
「インフレ期待が…、インフレ期待に火がついて、それが一時的であれ、当然急には抑えられないという」
反町キャスター
「でも、いつになるかわからないですよね?」
土居教授
「わからないです」
反町キャスター
「山本さん、すみません、お待たせしました。まず4割に対する心配があるのかどうか、そこから聞かなくてはいけないですよ」
山本議員
「まったく心配はない」
反町キャスター
「まったく?どうぞ…」
山本議員
「要するに、金融政策というのは、その2%の物価目標を達成するためにやっているわけで、それについて国債をいくら買うとか、何とかいうのは日銀に任せればいいんですよ。その2%が、なぜ必要かというと、それは日本の構造的失業率というのがあって、もうこれ以上は下げられないと、失業率。ここから先、下げようと思って需要を追加すると、インフレにしかならないという、そこの最低限のところがあって。それは過去30年間ぐらい、ずっとデータをとってみると、だいたい失業率が2.5%」
反町キャスター
「現在、2.8%…」
山本議員
「2.8%」
反町キャスター
「0.3%、あと失業率が…」
山本議員
「…2.5%で、その時の消費者物価は2%ですね。だから、2%の物価目標を達成するためには、失業率を2.5%にしなければいけない。だけど、現在、これは野口先生が詳しいのですけれども。現在は非正規が、かつてより、かつて20%ぐらいだったのが、現在、40%になって。だから、失業率もちょっと上振れしている可能性があって、2.5%より低いところを…かもしれない、2.3%とか。そのぐらいまでいって2%というのができるわけで。逆に言えば、2%をやれば、もうこれ以上、失業率は下げられませんというところまでくる。ここが到達ポイントで、これは『NAIRU』と言うのですけれども、Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment、構造的失業率と言うのですけれども。このことを常に意識して、金融政策とか、財政政策とかを見ておかないとダメ」
反町キャスター
「そんなギリギリまで失業率を下げることに注力しないと?」
山本議員
「そうしないと、賃金が上がらない」
反町キャスター
「賃金が上がらない?」
山本議員
「上がらない」
反町キャスター
「そこまで追い詰めるのは」
山本議員
「そこでいくと」
反町キャスター
「今の賃上げというのをどう見るのですか?」
山本議員
「非正規はすごく上がっていますけれど、正規はなかなか上がらない。それはここまで下げると、正規を上げざるを得ないという状況に必ず追い込まれる。だいたい、そこの点を達したら、半年後ぐらいから賃金が上がり出すというのが過去の歴史ですから。それを考えていればいいのであって。失業率2.5%、2.3%から2.5%、非正規が多いから。物価2%、そこにいくまでは何でもやると、やっていて何の問題があるのですか。物価目標というのは、2%の物価目標というのはそれでもインフレになりそうだったら、今度は緊縮しますよというポイントなのだから、そこで初めて出口というのを考えればいいわけで、それまで出口というのを議論するのは全然、合理的ではないし、そこまでに日銀がいくら買おうと、インフレにならないのだから関係ないですよ。むしろ日銀が買ってくれたら…」
反町キャスター
「インフレにならないから4割でも、5割でも、6割でもいいのですか?」
山本議員
「いい。むしろドンドン買って、日銀が買ってしまえば、財政負担はなくなりますから。日銀が国債を持つと、政府が日銀に対して利子を払う、あるいは償還金を払う、それは日銀の往復で戻ってくるのだから、財政負担はなくなったんですよ」
反町キャスター
「それは、要するに、日銀というのは政府の1機関であるから?」
山本議員
「1機関というのは、そう、全体としては」
反町キャスター
「政府の借金と日銀の資産というのが、行って来いで相殺されるという意味で言っているんですよね?」
山本議員
「そう。統合政府という考え方で政府と日銀を一緒にバランスシートを見れば」
反町キャスター
「それはタコが自分の足を食っているように見える」
土居教授
「いやいや、だから、問題はデフレが100年続くならそうなのですけれども、インフレになった途端に、現金を持ちたくなくなるというところが問題です。結局、日銀は持っている国債と市中に出まわっている通貨とを交換せざるを得ない状況に、インフレになれば追い込まれる。それ自体は別に何も困りません。問題は、民間に国債が渡ると、それは満期が来たら、現金をちゃんと払って政府は償還しなければいけない。その時には、歳出を削るなり、増税するなり、しなければいけないという意味での財政負担が伴うので。現在は金利がゼロで、ほとんどノーコストで国債が発行できると言っても、100年デフレが続くということを待望しているのだったら別ですけれど、できるだけ早い時期にインフレになってほしい。しかも、2%。それでも通貨価値は2%の物価上昇に伴って下落をしますから、その分、日銀に通貨を吸収する圧力がかかってくるので、それをきちんと吸収する必要がある」
反町キャスター
「ごめんなさい、山本さんは、インフレ2%になったところで出口戦略を考えて、そこから引き締めの話をされるという」
山本議員
「そうです、その時、増税すればいい」
反町キャスター
「その時に?」
土居教授
「引き締めるというのはまさに…」
反町キャスター
「引き締める時にペイすればいいと」
土居教授
「ええ」
反町キャスター
「では、間に合わないという意味で言っているのですか?」
土居教授
「特に財政をふかせると問題があるということです。つまり、どういうことかと言うと、金融政策だけを広げて、それで2%を超えたら締めるという話だったら、それはそれでいいと思います。問題は財政までもふかして、支出を出してしまったあとで、財政も緊縮するということにするというのはそう簡単でないと。なぜならば、日本の財政支出の多くは社会保障ですね。医療や介護や年金で出しているわけです。そうすると、それは別に景気が良かったからドカッと出すわけではないし、景気が悪かったからガクッと減るというわけでもないシロモノですから」
反町キャスター
「ほぼ固定費みたいな…」
土居教授
「そうです」
反町キャスター
「人口比例で増えていくもの」
土居教授
「そうです。しかも、今後増えると言われていると。それを引き締めるということは、昨日まで受けていた手術はできませんと、そういう話にまでするのですかという話に」
反町キャスター
「いかがですか?」
山本議員
「うん?いや、だから、インフレの時の心配はするのだったらありがたい話で」
反町キャスター
「ああ、そうか。なってから考えてみようよと?」
山本議員
「そう。そんな心配は全然あり得ないから、我々は…」
土居教授
「金融政策ではあり得ないと思いますよ」
山本議員
「100年デフレなんて、そんな話をまったく言っているわけではなくて。現在、必要なのはまさに構造的失業率に達する、2%ということまでをとにかくやらないと、賃金は上がりませんよということですから。それは労働者にとっても良くないわけで、まずはそれをやらなければいけない」

来年10月 消費増税の是非
竹内キャスター
「安倍総理は、2019年10月に10%への消費増税を予定通り実施すると表明しています。後藤さん、予定通りに上げていくと考えますか?」
後藤議員
「来年の10月の消費税は予定通り上げられる状況だと私は思っています。ただ、上げるためには、全体としての政策のパッケージということが必要ですから。少なくとも事前にふかさない。8%の時とか、反省してみると事前に少し、消費税引き上げの環境整備とかをやって、事前に少しふかした、反動減が生まれた時の対応が薄かったと思います。ですから、事前にふかさずに、今度は消費税率引き上げ以後のところに、財政支出を含め、しっかりした手当をしていくこと、あるいは税制でもそういう対応を、現在でも少しはかっていますけれども、そういうことを十分にやったうえで、消費税率の引き上げは可能な局面だと思っています」
反町キャスター
「一方、今回、2%で5.4兆円の使い道にしても、当初よりも財政健全化に向ける分をだいぶ削り込みました。その点についてはどう感じているのですか?」
後藤議員
「いわゆる『人づくり革命』の分ですけれども、消費税の10%引き上げの2%分の半分を財政改革の方に、半分を社会保障、子育ての充実に使うということで。2.8兆円から2年分の、いわゆる過去に計算している充実分を差し引いて、1.7兆円をあてて、人づくり革命ということですけれども。そのこと自体は、私は少子高齢化いうものに構造的に対応していく、将来に向けて希望の持てる、格差の固定化しない社会をつくると、という意味で、私は消費税の用途…使い道を財政改革から一部振り向けて、こうした大胆な施策をするということは、評価できると、当然、思っていますし。それに5%のうち、もともと充実分が、今になって思えば、1%で良かったかということもあるので。そういう意味では、今回10%にする時には少なくとも半分が充実分として使われて、半分が、いわゆる財政再建分に使われるということでもありますし、2019年はいろいろな意味で、たとえば、オリンピックの前年ですし、それに退位や即位の礼があったり、それから、世界3大イベントの1つのラグビーワールドカップもあったりですね」
反町キャスター
「参議院選挙も、ですよ」
後藤議員
「ええ、いろいろな意味での、そういう対策特需も含めて、2019年というのは基調的にも悪くはないと思っています」
反町キャスター
「山本さん、2%、2ポイントアップ、2019年10月、これをどう感じているのですか?」
山本議員
「私は、消費税引き上げはいずれはやらなければいけないと思っていたので、10%まで。ただし、タイミングが非常に重要で。ただ、その意味から言うと、2019年10月というのはちょっと危ないなと思っているんです。それは、今年度は日本もアメリカの経済も非常に良いのですけれど、循環的に考えて。2019年に入ると、私は、アメリカ経済は落ち込みだす、循環論から言って。それから、日本も少し落ち込みだす。そのタイミングがちょうど2019年の秋ぐらいですね。その時に消費税をやっちゃうと、タイミング的にはあまり好ましくないなと。だから、後藤さんが言ったのと反対…」
反町キャスター
「デフレに戻るとか、そういう意味で言っています?」
山本議員
「そう。その意味では、事前によっぽどふかしておかないと、これは難しい」
反町キャスター
「後藤さんは、事前にふかすのではなく、引き上げたあとの事後の激減緩和をしっかりと」
山本議員
「だから、そこは理論がなくて。なぜかと言うと現在、なぜ物価が上がらないか、2.5%までいかないかというと、まだ、需要が不足しているんです。その計算はGDP(国内総生産)ギャップで見るのですけれど、内閣府のGDPギャップというのはちょっと高すぎると思っているのだけれども、IMF(国際通貨基金)はマイナス2%ですから、それでも、その数字自体を前提にすると内閣府は現在、0.7%、GDPギャップがプラスになったと言っているのですが。過去のインフレ率とGDPギャップのヤツを見ると、内閣府の例でプラス2%ぐらいいかないと、物価が2%にいかない、こういう状況です。つまり、あと1.3ポイントの需要を追加しないと、そこまでいかない。構造的、NAIRUという構造的失業率にはいかない。つまり、需要がまだ不足している状況なので、やるなら、その分、早めに打っておかないと…」
反町キャスター
「それは財政出動しろということですね?」
山本議員
「財政出動、そしてそれを支える金融政策ですね。そうしておかないと事実上できるような状況にならないのではないかと」
反町キャスター
「前回の3ポイント上げた時の例も考えると事前に駆け込み需要でウッと上がったあと、消費税上がったあと、ストンとまた1回落ちますよね。落ちることを…」
山本議員
「…ことも含めて」
反町キャスター
「含めると?えっ?」
山本議員
「含めて、考えておかないといけないので。だから、1.3ポイントと言ったら、6兆円、7兆円ですね。下がることを考えたら10兆円ぐらい打った方がいい」
反町キャスター
「2ポイント上げても、5兆円ちょっとしか税収は増えないわけではないですか?それに対して10兆円以上の対策を打つべきだということなのですか?」
山本議員
「うん」
反町キャスター
「行って来いで、4兆円、5兆円の持ち出しになるわけですよ」
山本議員
「うん、短期的には、それぐらいの施策を打たないと、長期的な名目成長率を上げることはできません。財政再建というのは名目成長率が上がらない限り不可能です。いくらプライマリーバランスとか言って、財政…しようとしても、それで成長率が落ちてしまったら元も子もないわけで、そこまでもっていかないと将来的な、要するに、債務のGDP比率を減らすということができなくなるので。だから、今年の事前にどれだけ打てるかが1つの勝負だと思いますね。だから、本当はちょっと待って諸費税の引き上げというのは物価が2%を超えたら、そこでやるというような決め方をした方が、本当はいいのではないかなと個人的には思います」
反町キャスター
「景気条項のポジティブリスト化みたいな意味ですかね?」
山本議員
「そうですね」
反町キャスター
「これまでは景気が悪ければ止めるという話だったのが、2%を超えたら、上げるみたいな?」
山本議員
「急激にインフレになりかけた時に水をかけるわけだから、1番いいわけですね」
反町キャスター
「あっ、そういう意味ですか?」
山本議員
「うん」
反町キャスター
「土居さん、山本さんの話、いかがですか?」
土居教授
「そこまで日本経済は弱くはないと思っているので。そこまでの財政出動する必要はないのではないかとは思っています。それから、民間シンクタンクの予測を見ても、今度の消費増税は2%と、率がそれほど大きくはないということと、軽減税率があるということと、それから、使途変更で歳出が増えるということが加わりますから、それほど劇的に大きく経済を押し下げるというわけではなくて。コンマ2パーセントぐらいの押し下げ効果と言っているシンクタンクもあるわけです。それを見ると、そんなに大した押し下げ効果にはならないのではないかという見方があるわけですね。私はその見方に立っていますが、然は然りながら、結局こういう話になるのかなという、私の若干、諦め半分も含めて申し上げると。そうは言っても、財政出動ゼロの消費増税というのは政権としても受けつけてくれないだろうと。そうすると、現在2020年のプライマリーバランスの目標は先延ばしになって、この6月とかにも、できるだけ早い時期に黒字化するような目標にした方がいいと私は思っていますけれども、早くても2023年とか、そんなような話になると。私はそれに与しませんけれど、したたかな人だったらば、2019年、2020年、2021年、それぐらい短期的、かつ恒久的な歳出増につながらないような形で振る舞うということぐらい、お付き合いしますよ、その代わり消費増税をしていれば、その分だけ税収が入ってくるということは手堅くあって、一時的な財政出動で歳出増をやめれば収支は改善するわけで、目標は2020年に黒字化するという話ではないわけだから、2020年、赤字が多少大きかったとしても、内閣府が出しているような試算よりももっと悪かったとしても2023年にちゃんと戻っていれば、それでいいではないかという、もちろん、プライマリーバランスを黒字化することが大事なので。そこの部分のしたたかさが、ひょっとしたら財政当局にあるのかもしれないなという印象はあります」
野口教授
「私は、できれば先送りしてほしい。それは今、要するに、ようやく好循環にきつつあるわけですね。日銀のメドであればまた先送りされるということにならなければ、2019年に2%がようやく見えるわけですね。タッチした瞬間に消費増税ですよね。また、ガクンと落ちちゃうわけですよね。はっきり言って前回の感じから言うと、前回だいたい2014年に消費増税をして、だいたい1%は下にぶれているわけですよね。消費税が…、1.4ぐらいまで上がったのだけれども、そこからぶれちゃって、また、一から出直しですよ。と言うことは、また、今度、同じことをやりかねないですよ」
反町キャスター
「なりますか?」
野口教授
「ええ」
反町キャスター
「よくある議論で?」
野口教授
「はい」
反町キャスター
「上げて税収が上がるように見せかけて、実は以上に税収が減るのだという、そこの懸念についてはどう感じるか?」
野口教授
「税収が減ることはありませんが…」
反町キャスター
「税収が減ることはない?」
野口教授
「ただ…」
反町キャスター
「たとえば、法人税とか、所得税とか、他の税が?」
野口教授
「着実に減ります。だから、2014年だって消費増税をやっていなければ、法人税や消費税は上がっていた、税収としては上がっていたはず…」
反町キャスター
「そうすると」
野口教授
「失礼。所得税と法人税が…」
反町キャスター
「仮定の話ですよ、今回、2ポイント上げないで、そのままいった場合に」
野口教授
「ええ」
反町キャスター
「その方が他の税による税収の伸びでね、5.4兆円を補える、ないしはそれが余りあるものになるのかどうかという、そこの見立てはどうなのですか?」
野口教授
「そうですし。結局やったところで財政出動だという話になるわけでないですか。だったら、最初から延期した方がよっぽどスムーズ。もう2回やっているのですから、3回やったって。2回やって何が起きました?国債金利が跳ね上がると言っていましたけれど、それどころか下がっているわけですから、まったくそういう問題はないということはもうわかっているわけですから。延期するのが本来…」
反町キャスター
「山本さんは2%上げることによって5.4兆円税収が増えると言いながらも、その結果、他のところが減るかもしれない、ないしは上げなければ他の税が伸びるのではないかという、ここの行って来いの、見立てについてはどう感じているのですか?」
山本議員
「消費税の影響は、たいしたことないと前回言われていたんですよ。ところが、壊滅的な影響を受けたわけですね。だから、甘く見ない方がいい。消費税というのはあらゆる人に影響しますから、かなりマインドに大きな影響を与えるものだと思います。これを景気がドンドン好循環で上がっているという状況でやる時はまだ若干、対応が可能かもしれないけれども。2019年の秋というのは、むしろ景気がアメリカも、日本も下降局面になる、オリンピック需要ももう終わったという状況の中で、そこでやると、消費税収はそのままバッと上がりますけれど、まさに法人税なり、所得税が落ちる可能性があると。その意味では、ちょっと心配だなということです」

『出口』でのリスクは…
反町キャスター
「総裁人事とは離れて、この緩和策はいつまで続けるべきか、どういう形で店じまいをするべきか、しなくてもいいという考えもあるのでしょうし、そのへんの緩和策の出口、ないしは出口がないのだという意見も可能です。どう考えているのかを、土居さん、いかがですか?」
土居教授
「できるだけ早くデフレは脱却すべきだとは思います。できるだけ財政出動に依存しない形で脱却することが出口の問題をより平易、解決を軽くすることができると。財政出動が絡んで、債務残高がより多くなって、しかも、もっとそこに日銀が買い入れる国債の額が増えると、縮小する時のその重荷というのは相当な重荷になる。そういう意味では、私が思うのは供給制約が現在ありますから、人手不足ということがありますから、そこが持続的な成長のボトルネックになっていると思いますから。『生産性革命』だとか、そういうところに、しっかり成長の地力をつけつつ、金融政策もできるだけ早く出口に向かうように、緩和の姿勢を貫いて。出口になったら、もちろん、そこからどれぐらいインフレマインドが急に人々の間で醸成されるか次第なのですけれど、できるだけ臨機応変に日銀に対応してもらえるようにする。かなり2%を上まわって、一時的に物価上昇になるというようなことがあれば、できるだけ早目に日銀が持っている国債を市中に売る。日銀が持っている間は結局、行って来いなので、日銀に払った金利は日銀納付金で国庫に返ってくるのだけれども、日銀が持っていた国債を民間に渡すと、少なくとも満期までは金利を払い続けなければいけないので、低い率ではあるけれど、結構、塵も積もれば山となるで、何兆円という金額の利払いが前の年度よりも増えるということがありますから。そこをしっかり財政が備えて、金利急騰みたいなものにならないようにやっていくというのが、出口だと思います」
反町キャスター
「野口さんはいかがですか?出口論については?」
野口教授
「私は基本的には今の黒田体制を持続していって、あと2年後ぐらいで、失業率が、先ほど、山本先生がおっしゃったように、2%前半にいって、賃金率が3%ぐらいまでいって2%達成と。それが良いシナリオなのですが。問題は先ほど、話しましたけれど、そこで消費増税、また一から出直し。もうこれが今から見えちゃっているのが非常に憂鬱ですね、はっきり言えば。そうすると、5年間、次の出口、無理ですから日銀は。次の黒田さんの5年間は、出口が不可能になっちゃうという可能性すらあるわけで、これは非常に問題。これから2019年、大変な問題になると思います」
反町キャスター
「後藤さん、いかがですか?出口は、我々はどう考えたらいいのですか?」
後藤議員
「まず2%を実現していくということは重要ですし、そういう意味において足元、先ほどもちょっと申し上げたみたいに、歳出のことも含めて考えていくということだろうと思います。それで、出口政策自身は、事前に日銀が議論すべき問題ではないと思いますけれども。いずれにしても、そういう局面に到達できれば、もちろん、安定的に金融市場が混乱しないようにやっていく。それは一挙にボリュームを変えるというような政策ではなくても、徐々に金利を変えたり、あるいは拡大のスピードを緩めたりとか、いろいろな形でやりようはいろいろあると思うので。マーケットを混乱させないよう、その時はやるということでしょうけれども。今はともかく金融も財政も含めて、とにかく2%のインフレ、デフレ脱却をはかりながら、成長と分配の好循環のできる経済をつくっていくことが大事だと思います」
反町キャスター
「山本さん、いかがですか?」
山本議員
「いや、簡単なことで。要するに、構造的失業率、NAIRUと言われる、2.3%から2.5%ですね、失業率が。その時の物価上昇率は2%、ここに達するまでは出口の議論はしてはいけない。そこに達したら出口の議論をして、やっていけばいい。国債は各国を見ていてもわかるように、ずっと持ち続けて償還で消えていくというやり方が1番賢いというように思います。そのためには2%、2.5%。インフレ率2%、失業率2.3%ないし2.5%を達成するためには名目成長率を上げるしかないので、それに全精力を注入するのは経済学が語る経済政策そのもので、簡単なことだと私は思います」
反町キャスター
「国内の政策としてそういう話がある中で、たとえば、アメリカが先に金融引き締めを始めるとか、向こうの金利が上がっていくという時、日本は日本で我が道を行くというので、それは市場が許してくれるのですか?」
山本議員
「いや、そのために、変動相場制をとっているわけだから。各国が自分の国のために1番良い政策をやって、為替レートで調整するというだけの話ですから」
反町キャスター
「でも、為替が現在、そういうふうに連動していますか?」
山本議員
「えっ? 連動してきますよ、それは」
反町キャスター
「これからだんだん円安になっていくだろう、それが結局、日本の…」
山本議員
「だから、円安になる場合もあるし、ならない場合もあるかもしれないけれど」
反町キャスター
「本来的には、金利差が広がれば、円安になるはずではないのですか?」
山本議員
「うん、たぶんそうなるでしょう、当面は」
反町キャスター
「なぜならないのですか?」
山本議員
「それは現在、日銀がちょっと量を減らしているから」
反町キャスター
「そこ?日銀のためらいが円安にブレーキをかけている?」
山本議員
「うん、そう。だから、このままだと、来年の消費税引き上げまでに達成してもらいたいけれども、そこが危ないね、というのが、私の懸念ですね」

山本幸三 自由民主党税制調査会副会長の提言 『出口を急ぐな!NAIRU達成までは』
山本議員
「出口を急ぐな、NAIRU、構造的失業率ですね、2.3%から2.5%、そこを達成するまでは、やるべきではない。その時には物価2%、消費者物価ですね。おそらく賃金はもうちょっと上に上がると思いますけれども、そういう状況に早く達することが大事で、そのためには財政も金融も全力を挙げないと、来年は大変なことになると思います」

後藤茂之 自由民主党政務調査会副会長の提言 『経済と財政の両立』
後藤議員
「経済と財政の両立ということが現在、大事で。特に短期的、足元から言えば、財政出動も成長と分配の好循環を達成していくために必要だと思っていますが、しかし、金融が財政をずっと賄えるわけではないということだけは中長期的にしっかりと歳出構造改革の道筋をつけていかなければいけないとは思います」

野口旭 専修大学経済学部教授の提言 『政策の優先順位を間違えてはならない』
野口教授
「後藤先生のお話はその通りだと思うのですけれども。そのために大事なのは、この順番だと思うんですよね。つまり、焦って財政引き締め、緊縮をやると、逆に経済が成り立たなくなります。結果として財政も悪化します。ですから、順番が大事なわけですね。現在、1番の順番なのは、まず経済立て直し、デフレ脱却です」

土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授の提言 『2020年代前半のPB黒字化』
土居教授
「成長戦略もアベノミクスの3本の矢の1つですけれども、それをやりながら、2020年代前半までにプライマリーバランスの黒字化をすると。それが2025年以降の社会保障の財源をしっかり考えながら社会保障のあるべき姿を議論する大前提になってくると。消費増税は予定通り2019年10月にやるべきだと思います」