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2018年2月16日(金)
『平昌外交』の舞台裏 米朝対話の可能性は?

ゲスト

西村康稔
内閣官房副長官
黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
手嶋龍一
外交ジャーナリスト 作家

『平昌外交』の真実と舞台裏
竹内キャスター
「現在、オリンピックが行われている平昌では日韓首脳会談をはじめ、北朝鮮から金正恩委員長の妹・与正氏が韓国入りし、文大統領との会談が行われるなど、外交面でも目が離せない展開となっています。今夜は安倍総理の韓国訪問に同行した西村康稔官房副長官を迎えて、日韓首脳会談の舞台裏を聞くとともに、平昌で各国の首脳達がどのような外交の駆け引きを繰り広げたのかを聞いていきます。先週金曜日、韓国で日韓首脳会談が行われましたが、安倍総理と文在寅大統領との間で主に話し合われたのが慰安婦問題をめぐる日韓合意と、北朝鮮問題への対応についてでした。会談の冒頭、安倍総理は厳しい表情を崩しませんでしたが、西村さん、どのような雰囲気の中、話し合われたのでしょうか?」
西村議員
「この写真は、総理は非常に厳しい顔でありますけれど、オリンピックの開会式に合わせて韓国に訪問、韓国を訪問したということでありますので、冒頭オリンピックの話も出ましたし、全体としては和やかな雰囲気で始まって、全体としてはそれなりに和やかな雰囲気ではありました。ただ、日韓合意をめぐってのやりとり、北朝鮮への対応について、これについてはそれぞれの立場のいろいろな話がありましたので、そういう意味で、安倍総理からも何度も繰り返して確認をしたり、日本側の立場を説明したり、というやりとり、これは真剣な、真摯なやりとりがあったと思います」
反町キャスター
「何度も同じこと、同じ内容、しかも、それもその場において何度もということよりも、過去の日韓首脳会談、ないしは日韓協議において既に確認済みのこと、言われていたことを、また、あらためて何度もその場において確認作業が行われた、こういう理解でよろしいですか?」
西村議員
「慰安婦についての日韓合意は、最終的かつ不可逆的な解決をしたという合意でありますので、そのことについて日本の立場をあらためて説明をして、韓国側には履行を求めたということであります。文在寅大統領からは、韓国の立場の説明がありましたが、その中でこの合意は破棄しない、それから、再交渉もしない、元慰安婦の方々に支給する財団も解散しない、それから、日本が拠出した10億円も日本には返還しないということを明言されましたので。そういう意味では、特に破棄しない、再交渉しないということで、この合意をある意味で確認をしたことになっていますので。こういった意味では、日本の立場を説明し、この合意を確認したような格好になっています。ただ、文在寅大統領からは、この慰安婦問題を最終的に解決するには、元慰安婦の方々の心が癒されなければいけないというようなお話もありました。我々としては既に10億円を拠出して、元慰安婦の方々、あるいは亡くなられた方の遺族の方々に約5億円はもう支給が済んでおりますし、着実に我々は約束をしたことを実行しておりますので、韓国側にも是非、約束を実行してほしいということを求めたわけです」

日韓首脳会談の舞台裏
竹内キャスター
「日韓合意について会談後の発言を見ていきますと、安倍総理は『日韓合意は最終的、かつ不可逆的に解決したとの合意であり、国と国との約束は2国間関係の基盤だ。未来志向の日韓関係を築き上げる認識を共有した』と発言したのに対して、韓国大統領府は文大統領の発言として『元慰安婦や韓国国民が合意を受け入れられず、問題は解決できていない。政府間の交渉で解決されるものではない。解決のためには両国政府の努力が必要』としました。手嶋さんは今回の発言、どう見ていますか?」
手嶋氏
「この文在寅大統領の発言をもう1度見ていただきたいと思うのですが、大統領、リーダーとしてはいかがなものかという発言なのですが。1つだけ西村官房副長官、良いことを言っているんですね。問題解決のために両国政府の努力が必要、私も真にそう思うんですね。とりわけ必要なのは韓国政府の努力ということになりますから。先の日韓合意の実は隠れた最大の大きな点は少女像の撤去にありました。すぐに目の前で撤去してくださいよとは言っていないのですけれども、事実上、韓国は国際約束として『撤去をします』と約束をし、アメリカ側にもそういう報告がいっているということになりますから…」
反町キャスター
「ごめんなさい、撤去の約束までというのは、日韓合意の中には、岸田さんと韓国の外務大臣の発表の時にはなかった…」
手嶋氏
「いや、全体としてそう読める、一連の交渉で読めるということです。ですから、そのための努力はしてもらわなければいけないのですけれども。西村官房副長官、総理としては、記者発表などはしなかったのでしょうけれども、この点についてやってくださいよと明確に言われたのでしょうね?」
西村議員
「ええ、もちろんです。これは日韓の合意でありますので、先ほど申し上げたように、日本側は着実に1つ1つ約束をしたことを実行していっていますので、韓国側にも、少女像の移転をはじめとして、約束したことをしっかり実行してほしいということを求めたわけであります」
反町キャスター
「ただ、文大統領にしてみたら、韓国政府としては前政権のこととは言いながらも、撤去まで約束したとはなかなか言い切れない部分もありますよね?約束したことという言い方は、そこは?」
西村議員
「ええ。これは、実は表にしなかった約束事ではあるのですけれども…」
反町キャスター
「ああ、なるほど、そこですね?」
西村議員
「検証の中で、韓国側がむしろ…」
反町キャスター
「出しましたね」
西村議員
「出したということでありますので、これは是非実行してほしいと思いますし、安倍総理からはこの日韓合意ができた時に、安倍総理に対する批判、国内の批判、これは支持層である保守層を中心に非常に厳しい批判がありましたけれども、それを乗り越えて安倍総理はこの合意をしたと。文在寅大統領も非常に高い支持率、7割ある支持率をお持ちですから、あなたにはこれはできる、という言い方で文在寅大統領に合意した事項の実行を求めたわけですね」
反町キャスター
「なるほど。黒田さん、政権が代わったら、前政権の約束をキチッと…、それは日本だって政権交代が起きちゃったら前の政権がやった国際条約やら何やらを全部チャラにする、これは日本ではあり得ませんよ。文大統領、文政権が朴政権におけるものを全てきれいに継承していると信じていいですよね?守るというふうに?」
黒田氏
「うーん、たとえば、トランプさんだって、TPPの問題が…」
反町キャスター
「そういきますか」
黒田氏
「…NOだって言いだしているわけだし、それから、たとえば、米韓FTA(自由貿易協定)もそうですけれども。政権が代われば、ある種の過去の政権についての手直しみたいなのはあり得るべしだから。そこは韓国だけがそうやっているというわけではないのですけれども。だけども、先ほどから出たように、文在寅さんも国家間の約束というか、外交的約束は守るということをはっきり言っているわけですから、そこは、我々はかなり不満があるけれども、そこは評価してあげた方がいいと思います」
反町キャスター
「米韓合同軍事演習に関して。総理の方から『米韓合同軍事演習を延期する段階ではない。予定通り実施することが重要』と発言された。それに対して文大統領は、青瓦台の発表です、青瓦台の発表で『我々の主権・内政に関する問題だ。総理が直接取り上げるのは困る』と言い返した、やり返したということになっているのですが、このやりとりに関しては、こういうやりとりが本当にあったということでよろしいのですか?」
西村議員
「はい、ありました。それでまずその前提として、北朝鮮が非核化を明言する、それまでしっかりと圧力を高めていく、これは経済的にも、それから、軍事的にも圧力を高めるということは、日韓でこれは明確に確認をしました。これは文在寅大統領も明確に言われましたし、それは最終目標、そこまでやるのだということを言われました。さらに言うと、日米でも確認していますし、日米韓でこれは確認していることであります。その流れの中で米韓軍事演習を延期すべきではないと、予定通りやることが大事だということを、安倍総理は言ったわけですけれども。文在寅大統領からこういう、内政に関する話、問題だ、という言葉がありましたが、安倍総理からすると、あるいは我々の立場からすると北朝鮮の問題は韓国だけの問題ではないですね。韓国だけの内政で済む話ではないと。日本にとってもこれはもう最大の脅威でありますし。これはアジアにとっても、アメリカにとっても、世界中にとってこれは最大の脅威でありますので。そういう観点から、米韓軍事演習は是非、予定通りやることが大事だと言ったわけであります」
反町キャスター
「なるほど。手嶋さん、これは内政干渉に当たるのかどうか?」
手嶋氏
「まったく当たらないですね」
反町キャスター
「当たらない?」
手嶋氏
「それはどういうことかと言いますと、米韓合同演習というのは、米韓の間では安全保障上の…、西村官房副長官が指摘をされたように、日本とアメリカの間、日米安全保障条約、こういうハブの形になっているということだけではなくて、いったん朝鮮半島の有事、これはあってもらったら困るのですけれど、しかし、最悪の事態はそういうことがあり得るという時に、在日米軍が出動するかどうかという時には、アメリカ政府は日本に日米安全保障条約に基づいて事前協議、英語でプライアー・コンサルテイションを提起するということになりますよね。日本の選択肢は2つですね。それを飲むのか、NOと言うのかと。これは日本のまさに主権の問題であるということになります。従って、この3つの関係、日韓、米という関係で言うと、一方で、おのおのが主権国家でありますけれども、同時に、安全保障条約で結ばれている、そういう構図になっているということになりますから、この段階で安倍総理の発言を内政干渉ととる国は世界中にないと思いますので」
反町キャスター
「なるほど。黒田さん、韓国の人達からすると、文大統領が総理にこう言い返したというのは、これは当たり前のこと?よく言ったという話になるのですか?」
黒田氏
「当たり前でしょう。特にメディアの次元ではそうですね。つまり、日本が内政干渉をする…」
反町キャスター
「内政干渉と報じられているのですか?」
黒田氏
「メディアはまったくその通り。韓国の軍事問題に日本が、口を挟むというか、善いとか、悪いと言うということは、嫌だというのはあって。感情ですよね。それは当然、こういうのが出ると内政干渉だとメディアはかなり批判的に書きました。ただ、安倍さんが割と思い切ったことを言ったと思いますよ、これは。そういう意味では、文在寅さんを教育するのにはいいのだけれども…」
反町キャスター
「教育…」
黒田氏
「韓国の識者というのか、たとえば、メディアの論説委員は、いや、安倍さん、思い切ったことを言ったなと、こう言うわけですよ。だけど、これはアメリカに頼まれたのではないのという、そういう反応…」
反町キャスター
「頼まれたのですか?」
黒田氏
「いや、反応をするわけですよ」
反町キャスター
「ああ、韓国のメディがそういうふうに?」
黒田氏
「うん、そう」
手嶋氏
「事実関係だけでは頼まれた形跡はないのですけれど、しかし、1つだけ頼まれたと言っていいことがあって。実は、ペンス副大統領は平昌オリンピックに出かけていくということで、安倍総理が行かないという一般的な選択肢もありました。僕は一貫して安倍総理は行かれると、この番組でも申し上げてきましたけれども。その時に1人ではペンス副大統領も寂しいと、是非、安倍さんは行くのですねという、水面下で強い要請があったことはその通りで…」
反町キャスター
「それは大統領からですか?」
手嶋氏
「ええ、アメリカ政府と、ホワイトハウスからと言っていいのだと思いますけど、西村副長官はちょっとご発言しづらいので、私は別に官邸と何の関係もありませんけれど、事実関係を代わりに申し上げている」
竹内キャスター
「会談後の会見で、安倍総理は『北朝鮮に政策を変更させるよう、国連安保理の制裁をすべての加盟国が順守し、圧力を最大限まで高めていく必要がある』と述べましたが、韓国大統領府は文大統領の発言として『南北の関係改善と対話は、結果的に非核化につながらなければならない。このような雰囲気を生かせるように、日本も対話に積極的に取り組むことを願う』としました。手嶋さんは北朝鮮への対応についての日韓の温度差、違いをどのように見ていますか?」
手嶋氏
「再度、文在寅大統領の発言を見ていただきたいのですけれども、『南北の対話は結果的に非核化につながらなければいけない』ということなのですけれど。私ども客観的に見ております立場から言うと、残念ながら、非核化につながる可能性は極めて少ないと言わざるを得ないですね。その裏づけの1つとして一連の金与正氏のオリンピックの開会式参加というものに、高官がいましたけれども、ただちにとって返した北朝鮮の高官は、金正恩委員長に報告をしていますよね。それを受けて報道によると13日、金正恩委員長は『和解と対話の温かい環境をさらに醸成していかなければいけない』と、あたかも平仄が非常によく合っていますよね」
反町キャスター
「なるほど…」
手嶋氏
「ところが、この『和解と対話の温かい環境』の中に、もし今、衛星でつながって、金正恩委員長に我々がこれはどういう意味ですか、この中に核とミサイルの廃棄、それについて少なくともそれへの一歩を踏み出すということが含まれていますかと聞くと、これは150%の確率で、そんなことはないと。核とミサイルというのは北朝鮮のまさに主権国家のありようのそのものだということを言っていますよね。そのことからなると、この対話のテーブルに核とミサイルが乗っているのかということになると、明らかに対話の相手は北朝鮮ですから、残念ながら乗っていないということになりますね。そんな対話は非核化につながらないということは過去の、1994年、2000年代の苦い交渉の経験から、我々は知っているということになりますから。ここは少し毅然として強い姿勢で臨まなければいけないということになってしまいます」
反町キャスター
「西村さん、手嶋さんの言われた過去の1994年とか、2007年でしたか。北朝鮮がさまざまに、いったん合意したかのように見せかけて、実はその裏では核・ミサイルの開発をずっと続けていた…」
西村議員
「そうです、ええ」
反町キャスター
「…部分というのは実際、首脳会談とかに同席されて、文大統領はそこの部分の認識はあると思いますか?」
西村議員
「これは過去の歴史はわかっていると思います」
反町キャスター
「わかっている?」
西村議員
「ええ。それは安倍総理から、このことももう繰り返し、過去も含めて何度も、北朝鮮がある意味で譲歩してきたように見えて、甘い言葉、微笑み外交を含め、甘い言葉で、合意して、やっているうちに時間稼ぎに使われて、実は核開発やミサイル開発をしてきたという、この過去の過ちが明確にありますので。このことは日韓、日米、これを含め、国際社会も理解をしていると思います。私は韓国もよくわかっていると思います。さらに言うと、核を持ったままの南北統一は、これは国際社会が許さないわけですから。我々も認められませんし、許さないわけですので。非核化する、核をやめる、ということを明確に言わない限りは、これは交渉とか、対話にはならないということです。このことも強く、韓国側にもいろいろな…」
反町キャスター
「たとえば、西村さんは話できないだろうという前提で敢えて聞きますけれども。首脳会談の場において、安倍総理と文大統領との間で、北朝鮮の過去の、1994年とか、2007年の話というのを、あの時はこうだったね、北朝鮮のさまざまな過去の経緯を見てみると、柔らかく妥協しているように見せかけて、核を開発してきたよねという、確認と言いましょうか、確認ですね、北朝鮮の過去から見た時の歴史的な行動の確認作業というのは2人の間ではするものなのですか?そんなもの、お互いにわかっているという前提で話をするものなのですか?」
西村議員
「いえ、特にこれは、安倍総理は、いわばライフワークとして、ご自身の政治経験の中でも取り組んでこられていますので、このことについては機会があるごとにいろいろな各国の首脳にも説明をされますし。もちろん、よくわかっている方にはもちろん、繰り返しませんけれども。まさに現在あの時と同じような状況になっているという危機感を安倍総理は持っておられますので。そういう意味で、1994年やら、2005年の6者合意、そういったことをいろいろな機会を通じて話されます。文在寅大統領にも話されています」
反町キャスター
「文大統領はその話を聞いて、わかっていると言うのですか?それとも、いや、俺は別の期待を持っているのだよと言うのですか?」
西村議員
「この歴史は理解をされていると思います」
手嶋氏
「でも、反町さん、実は本当にわかっているのかと言うと、大変心配をしている人がもう1人いまして。それは当のトランプ大統領自身です。西村副長官はご存知なので言わないだけなのですけれども、実はあんなに長い会談をやる、前の…」
反町キャスター
「あっ、日米の電話ですね?」
手嶋氏
「電話会談が毎回長くなる。しかも、やったばかりですぐかけてくるというのは、トランプ大統領は安倍さんの非常に強い姿勢を知っているのと、それから、隅々まで過去の交渉に関与していますよね、そのことを大変よく、あの人なりに理解をしているので、ちゃんと言ってくれと。言ったあと、言ったのかどうか心配になるのでしょうね。これは、私どもはホワイトハウスから聞いている話ですよ。心配になって、すぐ電話をかけてきて、どう言ったのかということを繰り返し聞くと。それがあんなに長い時間になってしまうんですね」
反町キャスター
「なるほど。それは正しいのか、間違っているのか?」
西村議員
「やりとりは、詳細は申し上げられませんけれども…」
手嶋氏
「でも、否定されませんよね?」
西村議員
「いや、申し上げませんが。しかし、トランプ大統領が安倍総理のことをものすごく信頼して、いろいろな、もちろん、時に質問も投げかけてこられますし、安倍総理は丁寧に過去の経緯も含めて説明をされます。過去の北朝鮮がとってきた、時間稼ぎに使ったようなことも含めて、これは非常に丁寧に説明されて、トランプ大統領はすごく理解をされていると思います」
反町キャスター
「黒田さん、ここで出ていた、文大統領の北朝鮮に対する理解度です。どうなのですか?」
黒田氏
「十分理解していますよ、当然」
反町キャスター
「それは頭で理解していても体が動かないというケースがあるではないですか?それはどこまで理解したらいいのですか?」
黒田氏
「具体的に言って、この日韓首脳会談でも文さんがお話をされたという、これは結果的には、要するに、非核化につながらないような南北の関係改善、あるいは南北首脳会談はやらないと言ったわけではないですか。文在寅さんにとって非常に高いハードル。これにこだわっちゃうと北は別に現在、非核化に応じる必要はまったくないわけだから、文在寅さん、このハードルのまま維持しようと思ったら南北首脳会談もできないし、自分が平壌に行けませんよ」
反町キャスター
「あっ、これは南北首脳会談、平壌に行くハードルを自ら高くしている発言ですね?」
黒田氏
「そう、そう。内外にそれを宣言しているわけです」
反町キャスター
「しかも、これは青瓦台の発表ですからね?」
黒田氏
「もちろん。だから、これは、それは今後、いろいろなことがあって、予備会談とか、予備協議とか、北とあるのでしょうけれども、変化あると思うのですけれども。これはこれで、彼はしっかり非核化は前提だって、あらゆるところで言っていますから。これは信じてあげるしかないではないですか」
反町キャスター
「そこまで言って、もし平壌に誘われたからといって、行って、非核化の話をして、向こうから、その話は一切ダメだと言われたら、何しに行ったのだと…」
黒田氏
「それは行く前に予備会談があったり、いろいろあるのですから、これからですよ」
手嶋氏
「黒田さん、大変重要なことを…。自ら文在寅大統領がハードルを上げた、確かにその通りです。だからこそ文在寅大統領は今度のオリンピックを舞台にした一種の政治劇ですけれども、そこで自分は実はもう1つ隠れた狙いがあったのだと、それは米朝の対話、どこかで出てくるのだと思うのですけれども、それを言わざるを得ないのはまさにその点です」
竹内キャスター
「平昌オリンピック開会式の直前に、文大統領主催の歓迎レセプションがありました」
反町キャスター
「ペンス副大統領はレセプション会場に入る直前の文大統領と安倍総理とペンス副大統領の写真は撮りましたよね。会場に入ったあとは挨拶だけして、いなくなる。総理はそのあと、3人で写真を撮ったあと中に入って着席されたという。安倍総理の動きとペンス副大統領の動きというのは、事前に君は帰る、僕は残る、という役割分担はあったのですか?」
西村議員
「事前に安倍・ペンス会談やりました。安倍総理、ペンス副大統領、文大統領の3者の写真セッションもありましたし、それから、一緒に歩いて入られました。と言うことで、いろいろなやり取りはされていますけれども、現実問題として、ペンス副大統領は席を同じくせず、帰った。ざっと挨拶をされたようです。その瞬間を私は見てなかったのですが、出られたようであります。安倍総理は、このレセプションは最後までいようと最初からそういう方針でありましたし、金永南常任委員長がいるということで、接触は、チャンスがあればやろうということは考えておられたようであります」
反町キャスター
「手嶋さん、このテーブルにおけるペンス副大統領と安倍総理の動きをどう見ますか?」
手嶋氏
「1つは、この前段として1月13日と14日、サンフランシスコで日米韓、3か国の安全保障担当者の会議がありましたよね。これは非常に重要なもので、そこで大枠の瀬踏み、韓国側もしたかったということなのですけれども。同時に韓国のウィークポイントを明らかにするのですけれども、こんな重要な会議をアメリカで、という時には堂々と、少なくとも中身は別にして会議をしたということは公表していいと思うのですけれども、一貫して秘密にしてくれないかというような、文在寅政権の少し情けないところですね。現にそういう展開になった。やりとりを通じてペンス副大統領をアメリカは派遣することを決めていましたので、相当アメリカ側は、マクマスター安全保障補佐官は、ペンスさんというカードを切ることに心配だったんですね。相当、側近も含めてやりとりをしていた。従って、ペンスさんも慎重に、先ほど申し上げましたように、そういう環境の中だけに、安倍総理に大変期待するところ、頼りにするところはあったと思います」
反町キャスター
「ペンス副大統領が挨拶だけして出ていくというこの意志の表示、総理は着席して、金常任委員長に対して言うべきことは言って退席するという、レセプション外交みたいなもの、日米の違いをどう見ていますか?」
手嶋氏
「意外と重要ですね。ですけど、安倍総理としては党内から強い反対があって、敢えて行く。かなり前から行くことを事実上決意しておられたと思うのですけれど、行く以上はペンス副大統領に助け舟を出してという、そういう男気はあったのだと思います」
反町キャスター
「テーブルに着きます。金永南常任委員長には言うべきことは言いますということは、日本を出る時には決めていたという理解でよろしいのですか?」
西村議員
「どういう雰囲気になるかはわかりませんし、これは総理のその場のご判断があったと思います。何より我々としてやらなければいけないのは、国際社会で一致して、北朝鮮にメッセージを伝えなければいけない。特に金正恩委員長にはっきりと国際社会の意思を伝えなければいけない。国連の事務次長も北朝鮮に行って話をしていますけれども、本当に国際社会がこれだけきつい安保理制裁をやり、北朝鮮の非核化に向けて、一致結束しているという、これが本当に伝わっているのかというところがありますので。何より我々には核・ミサイルの他に、拉致問題がありますので、安倍総理は金永南常任委員長に拉致問題の全面解決、全員の帰国、これを強く言われましたので、そういう意味では、我々は本気だということを強いメッセージとして伝えたと思います」
反町キャスター
「総理が金永南常任委員長の近くに行かれたのは、レセプションがほぼ終わったあとですよね?」
西村議員
「終わりかけの時に。席を皆、立ち始めた」
反町キャスター
「あの流れ、どういう状況だったのか?皆、立ち上がって帰ろうとした時に、総理がスーッと回り込む形で、金常任委員長の横につかれましたよね。その両脇に通訳の人もスーッと入っていった。これは事前にこういくよと決めていた?」
西村議員
「いや、これは総理のその場のご判断だと思いますし、金永南常任委員長の横にはグテーレス国連事務総長がいましたので、この国連事務総長もかなり話をされていると思います。最後、皆立ち上がって、終わりかけという時には、安倍総理が近づくところは、私はあまり見えなかったのですが、金永南氏の近くで、安倍総理と通訳が入って、話をされている。途中から私も近づけましたので、途中から話を聞いていましたけれども、まさに強く日本側の立場を伝えたということですので、これは、いわゆる対話とか、交渉とか、そういうものではなく、我々の強い意志を伝える、金正恩氏に伝えてほしいという表れということ」
反町キャスター
「常任委員長は、それを黙って聞いているのですか?」
西村議員
「ここは外交上のやりとりですので、申し上げられないのですけれど、しかし、安倍総理の強いメッセージは伝わっていると思います」

米朝会談・南北会談の可能性
竹内キャスター
「ニュースサイト『アクシオス』のインタビューで、ペンス副大統領は『北朝鮮が核放棄を始めた時、アメリカは政策変更を検討する。話すことは交渉ではない。互いを理解するためのものだ』と述べています。手嶋さん、この発言をどのように受け止めていますか?」
手嶋氏
「興味深い発言ですね。心配性に過ぎるかもしれませんけれど、『北朝鮮が核放棄を始めた時』と言っていますよね。核を放棄した時とは言っていませんよね。どの順番で放棄してくるのかとなると、もちろん、アメリカの立場から言うとこの政権は残念ながら、アメリカファーストですから、アメリカを射程に入れるICBM(大陸間弾道ミサイル)、長距離弾道ミサイルですね。北朝鮮が長距離弾道ミサイルを放棄し始めた時に、まさにアメリカは政策を変更して、交渉に進むようになるというように、行間に少し滲んでいますよね。従って、安倍政権には、西村副長官も含めて、これはそんなことではないでしょうねと。もしICBMを放棄し始めるということで対話に応じるような時には、これは日米同盟に重大な亀裂が入りますよということ。実は水面下では伝えているのですけれども、時に強く是非言っていただきたいと思いますね」
反町キャスター
「中国の時に、日本も、アメリカも、中国ではなく台湾だと言っている時に頭越しにドーンとやられました、キッシンジャーが動いて。頭越し、日本を置き去りの米朝で、まさに手嶋さんが言われたみたいな、アメリカ本土に届くICBMだけやめますと、核はちゃんととっておきますよ。そういう可能性は、心配しますよ」
西村議員
「私は日米でトランプ大統領との首脳会談、あるいは電話会談も60分、75分と、同席をして傍で聞いていますけど、安倍総理とトランプ大統領の信頼関係、これはすごく絆が本当に深い、強固なものがあります。日米は完全に一致をしていると思いますので、今回もペンス副大統領が日本に来て、しっかりと会談をやったうえで、平昌でも会談をし、開会式も隣り合わせの席でかなりいろいろな話をされておられました。綿密にすり合わせを行って、トランプ大統領の電話の中でもお互いの情報を交換し、分析をしながら、しっかりとお互いの立場を一致させていますので、これは揺るぎのない状態だと思います」
反町キャスター
「今後の展開として南北の接触、米朝会談というのが目の前に上がってきた時に、日本はその場には、協議の場にはいないわけですよ。どういう目で南北の接触、交渉とか、米朝会談、どこに我々はポイントを持って見ればいいのですか?」
手嶋氏
「米朝の会談、接触が行われたとしますね。その時に日本は同盟国ですし、他の問題、中東の問題とは違うということになりますから、まさに日米安全保障条約の当事者でもありますから、この内容についてはどんな些細なことを含めて、内報を受ける、やる前にも報せを受ける。やったあとも詳しい内容をちゃんと報せを受けるということ、そこの担保はちゃんととっておかなければいけない」
反町キャスター
「中国の時のような頭越しは、ない?」
手嶋氏
「いや、それはアメリカは究極の場合、アメリカの国益を賭けてやっているので、日本のために交渉をするわけではありませんから、一般論としてその危険性があるのですけれども、その危険性を取り除くためにも事前に報告を受け、対談の場には詳しい文章を含めて、全部様子を知らせる。日本側はICBMの単独の凍結ということだけで妥協をするようなことはあっては困りますから、と言うことは、重ねて言うということになると思います」

日本の対応について
竹内キャスター
「視聴者からの質問です。『日米韓の連携と言われていますが、何をどのように連携する約束をしているのですか?国の最重要課題が南北統一である韓国が、統一相手の北朝鮮よりも、日本を大切にすることはあり得ません。いかがでしょうか?』とのことですが」
西村議員
「安倍総理と文在寅大統領の間で明確に北朝鮮の非核化に向けて、彼らがそうするまで、圧力を経済的にも、軍事的にも最大限まで高めていこうということで、日韓も、日米韓も一致をしています。そういう意味で、制裁も含め、韓国もやっていますし、我々もやっていると。さらに言うと、それは同一民族として南北統一の夢があるとは思いますが、先ほども言いましたけれど、核を持ったままの南北統一はあり得ないということですので、これは我々も認められませんし、アメリカも含め、国際社会が認めませんので、北朝鮮の非核化ということ。さらに言えば、ミサイルも、我々にとって拉致問題も大事です。しっかり解決していくということで、すり合わせながらやっていきたいと思います」

米韓関係の今
反町キャスター
「手嶋さん、過去の北朝鮮への融和策と結果ですが、1994年には米朝枠組み合意ができたのですか、北朝鮮に対して核施設の建設・運転凍結という条件があって、軽水炉建設支援と重油供給というのがこの時の米朝枠組み合意でありました。結果はどうだったのか。2008年にも6か国協議の合意がありました。核施設無能力化というものに対しての見返りとして北朝鮮はテロ支援国家指定解除するアメリカ側の判断もありました。1994年の北朝鮮に対する措置、2008年の北朝鮮に対する措置、この2つのことから、我々は、この状況下において北朝鮮をどう見ていったらいいのですか?」
手嶋氏
「これの明らかに教訓は北朝鮮の悔いあらためますというメッセージを額面通り受け取ってはいけないということですよね。1994年も、2008年のケースも、主として私はホワイトハウスを担当していましたので『アメリカよ、誤てり』と一貫して。当時は随分、少数派でした。どうしてそんなに、これはいいことではないかと。核施設の建設を凍結し、その代わりに軽水炉建設を支援、1994年の場合ですよね。重油も供給するということで、これによって朝鮮半島の核の危険は去ったではないかと。批判を随分受けましたけれども。それを十分に担保する裏づけがないと言い続けて、残念ながらその通りになってしまった。その誤りを2008年もまた繰り返すということになりましたよね。特に2008年のケースについてはアメリカの誤りは随分、罪深いものだったのですが、私はホワイトハウスを担当している立場から言うと、仕方がないところもあったんですね。それは2001年に9.11事件、テロ事件が起きる。当時の持てる全ての力を尽くして中東での戦争に突き進んでいくということになりました。アメリカにとってもう1つの戦略正面である朝鮮半島、台湾海峡を中心とする東アジアでは、事実として巨大な戦略上の空白ができてしまった。日本や韓国はそのことについて鈍感だったのですけれど、研ぎ澄まされた感覚で受け止めた国がいたんですね。それは北の独裁国家、その指導者ということで、つまり、自分達に加わる圧力が減じている、当時の超大国アメリカが北朝鮮でコトを起こす、先制攻撃のような余力はまったくないと見てとって、核・ミサイルの開発に進んでいったことになりましたよね。そういう誤りを犯している。もう1つ言うと、アメリカが誤って日本がそれに追随しただけではなかったんですね。1994年当時もそうでしたし、2000年代に入っても韓国で北に融和的な政策をする政権があって、こういう合意を強く望む韓国国内の空気があった。保守派は懸念をしていましたよ、全体としてということになりましたから、韓国の動向、アメリカの動向、それを束ねる日本の対応というのは大変重要で、この2つの大きな誤りを教訓とし、忘れてはならないと思います」
反町キャスター
「過去の2つの例からすると、2018年の状況というのは、どこが同じで、どこが違うと見たらいいのですか?」
手嶋氏
「大枠ではあまり変わっていないと思いますね」
反町キャスター
「同じことが起きるかもしれない?」
手嶋氏
「可能性はあると思います。韓国は前のめりになって、アメリカは揺れていますよね。トランプ政権もそうですし、アメリカファーストですから。スティーブ・バノンという首席戦略官は今こそトランプ政権の最大の政策目標は中国に対する経済戦争であって、北に対する圧力というものはほんの座興に過ぎない。忘れてもらってもいいと言う人達もいるということになりましたから、アメリカも揺れている、中国の動向も不透明である、ロシアの動向も、ということになりますと、6か国協議は北朝鮮の核・ミサイルの廃棄を求める、21世紀に出現した最も重要な東アジアの外交上の枠組みですよね。その対北包囲網というのは随所に破れかけているというのが現状だと思います」

黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言 『朝鮮半島は鬼門である!』
黒田氏
「朝鮮半島は鬼門であると。私は結構、付き合いが長いわけですけれども、長い付き合いをしながら、かつ古代史まで遡って半島と我が日本列島の歴史を考える時に、この朝鮮半島というのは日本の政治及び外交にとって非常に危うい、詳しくは言いませんけれども、戦前のことを含めて。だから、現在、我々は、今日の議論もそうだけれども、割と興奮しているわけですけれど、北の問題を中心に。あまり興奮してはいけない。それから、日本は朝鮮半島に引き込まれやすい。引き込まれると動きがとれなくなる。どこか一生懸命取り組まなければならないわけだけれども、どこか距離感を保たなければいけないということです。朝鮮半島は危ういですよ」

外交ジャーナリスト 手嶋龍一氏の提言 『対北朝鮮 包囲網の中核を担え!!』
手嶋氏
「その一方で、北の核・ミサイルの脅威を現在、瞬間風速で最も受けているのは日本ということになりますから、今こそ日本政府は対北朝鮮包囲網の中核を担って、アメリカや中国やロシアを巻き込んでいかなければいけない。韓国も巻き込んでいかなければいけないと思います」