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2018年2月15日(木)
櫻井よしこ×松川るい 南北融和と日本の覚悟

ゲスト

松川るい
自由民主党参議院議員
櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長

北朝鮮『微笑み外交』と日本の針路
松村キャスター
「日本選手の活躍が続く平昌オリンピックですが、このスポーツの祭典を利用した北朝鮮の外交によって圧力から対話への機運が高まっています。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、日本はどんな戦略を選ぶべきなのか、じっくり話を聞いていきます。平昌オリンピックに合わせて、特使として韓国に初めて派遣した金正恩委員長の妹である金与正氏。金与正氏に対する韓国の文在寅大統領の対応をまとめました。櫻井さん、特使として韓国を訪問した与正氏の態度、振る舞いはどのように映りましたか?」
櫻井氏
「興味深かったですね。まず時系列で彼女の表情を追うとかなり面白いんですよ。最初に韓国に入った時、非常に緊張した、していたと言うか、すごく顎を上にあげて、上から目線で見下ろすような。この人は独裁体制下で金王朝の人間ならどんなこともできて、彼女の機嫌を損ねたら死刑になるかもしれないようなある意味、死臭漂う国から来ているわけですよね。オールマイティの権限を持っている一族の一員です。だから、あの上から目線の、こうやって見た目線というのはそういう氷のような冷たさを、私は感じましたね。この写真…」
反町キャスター
「はい」
櫻井氏
「非常に冷酷ですよね。ところが、時間が経っていくうちに、今日の午前・午後、明日の午前・午後と表情が柔らかくなっているんです。柔らかくなっていることの意味は余裕を持ってきた。つまり、文在寅さんも、韓国の国民も、彼女のペースに巻き込まれていっているのをおそらく感じとったのだろうと思いますよね。特に2日目でしたか、平壌を訪れてくださいと要請する、金正恩の手紙を、親書をお渡しした時の、文在寅さんの態度というのは、よだれが出そうな顔でしたよね。北朝鮮に行きたくてしょうがないというのが誰の目にもありありとしていましたから。基本的に、これはいけるという自信を彼女は持ったのではないかなと思いますが。金与正の訪韓ともう1つセットで考えるべきなのが、金永南の訪韓です。金永南を送り込むことで、北の事実上の対外的な代表、…が韓国に来たわけですね。これは2000年に金大中さんが…」
松川議員
「金大中さん…」
櫻井氏
「平壌に行きましたでしょう?あの時と同じパターンが起きると考えた方がいいですよ。2000年のあれは6月13日だったと思うのですけれど…」
松川議員
「15日」
櫻井氏
「15日でしたか?」
松川議員
「15日でした、確か」
櫻井氏
「15日でしたか、行ったんですね。最初に行った時に空港に金正日総書記が迎えに出て、これで韓国の人は感激しちゃったわけですよ。これまでは怖い人だと思っていたのが何か気さくに笑顔でお迎えに出てくれたというので、熱狂的な反応がありましたよね。車で一緒に乗って行ったのですが、そのあと全部と言っていいぐらい金永南が代表したんです。たとえば、その日の、その当日の歓迎のディナー、晩餐会、金永南主催…」
反町キャスター
「ほお」
櫻井氏
「金大中さんが招かれて、これで南北のそれぞれの外交儀礼上から言うと大統領と金永南さん、本当に外向けの元首ですから、同格のお二人が揃ったわけですよね」
反町キャスター
「はい」
櫻井氏
「翌日は、今度は金大中さんが返礼のディナーをした。ここにはまた金永南が来たんですよ。2回のディナーには金正日さんは全然来ていないです」
反町キャスター
「へえ」
櫻井氏
「それで3日目に帰ります、2泊3日でしたから、帰りますよ、という日の昼食会を金正日が主催をして、金永南さんと金大中さんの2人を呼んだのです」
反町キャスター
「ほお」
櫻井氏
「この形は外交儀礼上、あなたは昔…」
松川議員
「はい」
櫻井氏
「…外交官だったから、よくおわかりだと思うのですけれど、外交儀礼上、非常に形ができちゃったんですよ。南北が対等の立場で代表を出しました、そのうえに金正日が、当時は金正日が君臨しました。これは、北朝鮮のヘッドを頂点とする南北の融和です。その時の役割を果たしたのが金永南さん。今年90歳。また、韓国に行って同じ役割ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「ですから、今度、文在寅さんが平壌に行くと仮定します。行くと思いますけど。その時の向こうの代表は金永南さんですよ」
反町キャスター
「同じパターンになると思います?」
櫻井氏
「同じ、同じパターンになると」
反町キャスター
「空港に正恩氏が迎えに来る?」
櫻井氏
「いや、空港に正恩さんが迎えに来るかどうかはわかりませんけれども」
反町キャスター
「向こうの平壌日程は、それは金永南氏が仕切る、主催するイベントがつないでいって、最後に?」
櫻井氏
「形のうえの外交上の儀礼では、金永南を表に出すんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「この金永南と、今度は文在寅さんの2人の上に正恩さんが立つのではないかと思いますね」
松村キャスター
「さて、今回のオリンピックに合わせて日本からは安倍総理大臣、アメリカからはペンス副大統領が訪韓しました。それを文大統領はどう迎えたのか、象徴したのが9日の文大統領主催のレセプションです。座席表はこのようになっています。当初、文大統領夫妻の両隣には、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長夫妻、アメリカのペンス副大統領夫妻が座り、主賓テーブルに日米中と北朝鮮の要人が着席する、このようなセッティングがされていました。しかし、アメリカのペンス副大統領は着席せず、関係者だけに挨拶し、5分で退出したということです。櫻井さん、レセプションで敢えて日米中、北朝鮮の要人を同じ席にセッティングするという韓国の意図というか、狙いはどのように?」
櫻井氏
「見え透いていますよね。何とか米朝対話というもののきっかけをつくらせて、北朝鮮の意に報いたいという気持ちだろうと思いますよ。米朝対話が進めば、軍事行動は当然遠のくと考えられますよね。北朝鮮も生きる道が出てくるし、いろいろな道が探れるだろうというのは、これは見え透いた魂胆ですよね」
反町キャスター
「魂胆?」
櫻井氏
「だから、それを感じたからペンスさんと安倍さんは30分遅れて、示し合わせて遅れて行ったわけでしょう。だって、これは会場に行こうと思えば、すぐ行けたのに、行かない、行けない、行かないで待っていたわけですから。行ってペンスさんは金永南さんの顔も見ないで、握手もしないで他の人にサッサッサッと挨拶をして帰っちゃった。安倍さんは残られた。安倍さんは残ったのはすごく、ある決意があったと思いますよ」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「だから、これを見ていると、いや、この政治の醍醐味…」
反町キャスター
「そう、ありましたよね」
櫻井氏
「面白いと思いました、すごく面白いと思いましたね」
反町キャスター
「松川さん、このテーブルの席次表、こういう誰をどこに座らせるのかというのは非常に重要ですよね?」
松川議員
「すごく大事ですね」
反町キャスター
「その意味において、韓国の文大統領のこの席次のつくり方、たとえば、外務省として当然、始まる前に日本政府からこういうテーブル、こういう席次になりますと、事前に来るはずですよ?」
松川議員
「うん」
反町キャスター
「来たら、日本政府はこういう時、受ける、拒否できないものですよね?」
松川議員
「この当初案というのは、それなりに考えている案だと思うので、別にこれが来て、拒否するというのはないと思うんですね。これはないと思います」
反町キャスター
「なるほど」
松川議員
「基本的には外交儀礼の中で、よほど酷い扱いを受けているとか、困るということでない限り、ホスト側が用意したものに対してチャレンジするということはやらないです、やらないです」
反町キャスター
「一方、ペンス副大統領と総理と金永南常任委員長を一緒のテーブルに座らせるという、この…」
松川議員
「ああ、それは…」
反町キャスター
「櫻井さんの言葉で言うなら、あざといと言ったのでしたか?違った、何でした?」
櫻井氏
「魂胆が見え透いた…」
反町キャスター
「これはどう見るのですか?」
松川議員
「いや、見え見えですけれども。ただ、これは正直、今回のオリンピックには、首脳がほとんど来ていないわけです。習近平さんが来ないのは当然としてロシアも来ない。4強と韓国が呼んでいるとこから来てくれたのは安倍総理だけ。ペンスさんはもともと来ると言っていましたけれども。要するに、この中に、韓国の立場からして、いわゆるトップクラスのハイレベルテーブルを最初につくったら、テーブル1には、この人達を入れないといけないという人が入っているだけだと思います。ただ米朝につなげたいという、米朝対話をやってもらいたいという気持ちが非常にあるわけですから、そういう意味で、魂胆は見え透いているというところは、その通りだと思いますね」
反町キャスター
「櫻井さん、それで先ほどのペンス副大統領の行動なのですけれども、ペンスさんは、要するに、遅れて行って、文大統領、総理との3ショットの写真を撮ったあと、ちょっと中に入って挨拶だけして、俺、これで帰るからと帰られましたよね。安倍総理はテーブルに着いて、そのあと金永南さんとも5分ほどと言われています。話の内容は、日本側からは核・ミサイルを考えろよ、拉致問題もあるんだよと、総理の方から日本の立場を説明し、向こうから何にも返答はなかったというのが一通りの説明ですけれども、安倍さんのこの姿勢、臨んだ行動と、ペンス大統領のまったく話もせずに無視して出る、どちらが評価できるのか?」
櫻井氏
「両方、評価できますね。それは、両方ともきちんとした理由がありますよね。アメリカのペンスさんがそのあと言ったことは、たとえば、与正さんについて、私は回避したのではないと、わざと無視したんだと。北朝鮮のような酷い人権を侵害するような国、あのような国のことは許せないということをおっしゃいましたね」
松川議員
「ペンスさんは、アメリカの姿勢は変わっていない、オールオプション・オン・ザ・テーブルですよと。それを間違ってもらっちゃ困るというメッセージを伝えたかったのだと思いますし。安倍総理は国内でも、まさに平昌に行くこと自体についていろいろあった中で、行くことを決断した理由というのは、日米韓の連携についてネジを、韓国があっちに行きそうになっているのを、ネジを巻くということと。もう1つは、もうちょっと大局的に、韓国をあっち側、あっち側と言うのは広い意味であっち側にやらない、日本の側、日米の側に、別に核だけではなくて、引きつけておくということが、この先、朝鮮半島がまさにどういう状況になるかわからないわけですよ。統一に走るかもしれない、もしくは北が潰れるかもしれない。いろいろある中で韓国という存在が日本とつながっている状態になければならないという、非常に大きな、大局的な観点から決断されて行かれたと思うんです。もしも安倍総理もペンスさんのように振る舞ってしまったら、韓国と北がまさに一緒に並んでいる2トップテーブルになっちゃうではないですか。日米韓の姿が、ここになくなっちゃうわけですよ。それは良くない。ある意味、話をしたかどうかは知りませんけれども、良い役割分担をされて、こういう形になったということではないのかなと」

米韓軍事演習の行方
松村キャスター
「韓国大統領府によりますと今回行われた日韓首脳会談、文在寅大統領と安倍総理が会談しました、その中で米韓合同軍事演習について、このようなやりとりがありました。今月の9日です。安倍総理が『米韓合同軍事演習を延期する段階ではない。予定通り実施することが重要だ』と、このように話しました。一方の文在寅大統領は『我々の主権・内政に関する問題だ。安倍総理が直接取り上げるのは困る』、このように発言しています。オリンピック・パラリンピック終了後、南北の首脳会談ですとか、IOCのバッハ会長の訪朝が予定されているなど南北の融和の機運というのが高まっている中、櫻井さん、米韓合同軍事演習、これは再開できるのかどうかという点ですけれど、どうでしょうか?」
櫻井氏
「再開できるかどうかと言うよりは、再開しなければいけないだろうということですよね。これは日米韓の3か国が、北朝鮮の核を許さない、核の拡散、北朝鮮以外にも許さないという原点を守るためには、これはきちんとやらないといけないと思いますね。文在寅さんが南北首脳会談を行うとしても、この南北首脳会談が下手をすると引き伸ばしの材料にされてしまうわけでしょう。引き伸ばしてもいいのだけれども、北朝鮮にはその間にも、今現在も着々と核とミサイルを磨き上げているわけですから。これは時間を相手に与えれば与えるほど非常に危ない時期が目の前に近づいてくるということで。いろいろな軍事専門家が急速にその時期が近づいているという警告を発していますね。だから、私はこの米韓合同軍事演習というものをやって、絶対こちらは揺るがないぞ、ということを見せる必要がある。それが日本国の安全でもあり、アジアのためだと思います」
松川議員
「サブスタンシャルに、日本にとって非常に重要な問題だから当然これを提起する権利は日本にあると思います。それは…」
反町キャスター
「安全保障に直結する話ですよね?」
松川議員
「そうですよ。米韓同盟は結局、米韓合同軍事演習はオリンピックが終わったあとに然るべくなされるのかどうか、これは米韓同盟の強靭さに非常に大きな影響を与えるんですよ。結局、日本にとって、朝鮮半島というのは米韓同盟があって在韓米軍が駐留してくれているから、日本の防衛ラインが38度線で一応、実質的には済んでいるわけではないですか。もしも米韓同盟が揺らいで、アメリカが韓国に対して、とか、朝鮮半島に対し関与すること自体に疑問を抱き始めたりすれば、これは直接、ダイレクトに日本の安全保障上の大きな懸念になりますよ。対馬をもっと防衛しましょうと、そういうことをやっていかなければいけなくなるわけです。ですから、これが形式的に米韓でやる軍事演習だから、米韓でいつ何日やる、どの規模でやることにするのかを決めるのは米韓であるという、形式的なことと別の次元で、これは日本として当然、ちゃんと米韓同盟を維持してねと、そのためにきちんとした行動をしてね、と言うことは、日本の安全保障の問題です」
反町キャスター
「松川さん、今回の日韓首脳会談において総理から文大統領に対して言ったことというのは、慰安婦に関する、いわゆる慰安婦に関する日韓合意のことだったり、北朝鮮に対する最大限の経済的な制裁の云々かんぬんということだったり、合同軍事演習のことだったり、文大統領にしてみたらあまり…」
松川議員
「嬉しくない…」
反町キャスター
「そう、それよ」
松川議員
「そうですよ。でも、今回の日韓首脳会談は良かったと私は思っているんです」
反町キャスター
「それは、言いたいことを言って…」
松川議員
「いや、違うんですよ」
反町キャスター
「グイグイ締めつけるという…」
松川議員
「違う、違う。そうではなくて。大きなメッセージとしては日韓が未来志向で歩んでいこうという前向きな明るいメッセージを一応出したわけですよ。だから、決して文大統領は、まず忘れてはいけないのは4強から誰も首脳が来ていない中、しかも、安倍総理が、8割の人が日韓合意に対する韓国の態度はけしからんと言っていて、自民党与党、私も反対しましたが、与党の中で行くなと言われている中…」
櫻井氏
「ハハハハ」
反町キャスター
「部会はだって…」
松川議員
「大荒れですよ」
櫻井氏
「全員反対した、全員が反対した」
松川議員
「でも、大局的に考えて来てくれたのだろうということについては、割と素直に歓迎していると思いますよ。ありがたいと思っていると思う。だから、そういう意味で、文大統領だけではなく、韓国国民だって安倍総理が来てくれたことを割と素直に歓迎していると思いますよ」
反町キャスター
「反対した中で行ってあげたのだから、これくらい言ってもいいだろうと?」
松川議員
「だから、問題を…」
反町キャスター
「そういう貸し借りがあると、僕は思わない…」
松川議員
「いや、でも、喜んで行くのと、請われて行くのとは全然価値が違うんですよ。向こう…、私が行きたい、行きたいという時の会談と、いや、行くかどうかわからないね、行かないかもね、だって、あなた、こんな酷いことをしたものねと言って、来てくれないかもしれないと思って不安になっている中で、最後にいろいろ考えて行くことにしましたと言ってもらったら価値があるわけですよ。それを今回、安倍総理はやったと思いますね」
反町キャスター
「ただ、櫻井さん、文政権、文大統領というのか、韓国の日本に対する基本的な考え方を見た時、多少の逆風をついて来たとは言え、日韓合意、いわゆる慰安婦問題についての日韓合意に関して『辛いことも我慢することが要諦である』みたいな趣旨の話を総理から薫陶をたれるような、こういう展開ですよ」
松川議員
「…」
櫻井氏
「…」
反町キャスター
「北朝鮮に関しては、わかっているよねと、合同軍事演習は当然やるよねと。これは文大統領にしたら、面目丸潰れの日韓首脳会談だったのではないのですか?」
櫻井氏
「いや、でも、ちょっと別の観点から考えると、非常に総理が行って良かったと思うのは、日本の国益に叶う方向ですよ。きちんと言うべきことを言ったということに留まらず、朝鮮半島というのは、本当に100年に1回ぐらいの危機の中にあって。先ほども申し上げたように、文在寅さんは、北朝鮮に前のめりですよね。本当に韓国という力が、経済も、軍事も、全部含めて、皆、向こうに行っちゃうかもしれないですよ。それは日本にとって非常に悲劇ですよね。だから、韓国がそれはもうちょっといろいろ言いたいことはあるし、言うのだけれども、でも、それでもこっち側にいてねと、いてくれたらどんなに私達も助かるかという実態があるわけですね」
松川議員
「うん」
櫻井氏
「向こうに追いやるという選択肢はないですよ」
松川議員
「うん、うん」
櫻井氏
「向こうに行こうとするのを、後ろ髪でもいいから捕まえてこっちに引き戻す。そのためにもこうやってきちんと会って話をするということが大事ですね。文在寅さんにしてみれば、松川さんもおっしゃったけれど、他の首脳が誰も来てくれないわけでしょう。来てくれない時に隣の素晴らしい国から来てくれたわけですから。これは、国民に対してもメンツは立ちますわね」

日米『圧力』と『対話』
反町キャスター
「安倍総理とトランプ大統領、通算何度目になるのですか。十何回目の首脳電話会談を行いました。延べ時間は1時間15分、これは官邸筋の発表だと、首脳電話会談としては過去最長ということでした。内容として出てきたのは確認事項として『対話のための対話では意味がない』『日米は完全かつ検証可能、そして不可逆的な非核化を前提としない限り意味ある対話はできない』『北朝鮮側から対話を求めてくるよう北朝鮮に対し最大限の圧力をかけ続けていく』ということで一致したと、終わったあと総理が記者団に対して話されているんですね。その他、官房長官等々のレクでもこういう内容が出てきたのですけれども、櫻井さん、総理、日本の政府からは『対話のための対話では意味がない』『北朝鮮に対し最大限の圧力をかけ続けていく』ことで合意したと言うのですけれども、ペンス副大統領は平昌のレセプションも欠席し、何も話をしないということでアメリカの意思を伝えておいて、アメリカに戻ったあと対話のための対話がどうのこうのというより、ネゴシエーション、交渉に入るための事前のお互いの意思確認にあたるような対話というか、予備交渉、それは否定しないと話されています。総理の言いぶりからは、なかなかそういうニュアンスまでは取りにくくて、予備交渉を含めてか、どうですか、というところまでは総理には聞いていないのでわからないのですけれど、比較的、日本の方がクリアカットにスパッと切っている印象がある中で、日米は北朝鮮に対する姿勢、足並みが揃っていると思うか、どうか?中国でよくあるではないですか、知らない間にキッシンジャーがやっていたよみたいな、頭越しでやられるのではないかと。その心配がある中で、日米の北朝鮮に対する姿勢、平仄が一致していると思いますか?」
櫻井氏
「この電話会談は日本側から申し入れたのですか?」
反町キャスター
「どっちだったかな、僕、わからない」
櫻井氏
「そのような気がするのですけれども、私も確認はしていませんけれども、安倍さんにとって非常に重要な電話会談だったと思いますよ。それはトランプさんという人がいて、トランプさんは安倍さんに非常に信頼を置いていますね。アメリカの国務省、ホワイトハウスもそうですけれども、それから、軍もそうですけれども、融和派はいるんですよね、北朝鮮に対して。ティラーソンさんは最初から、トランプさんと摩擦含みで北朝鮮とは対話であるいうことをずっとおっしゃっていましたね。今回、ペンスさんが韓国に行って、行動の面では非常に毅然とした強硬な姿勢をとっていましたけれども、帰りの飛行機の中で、エアフォースツーで、ワシントンポスト、そのあとニューヨークタイムズとか、報道されるようなことをおっしゃって、対話もあり得るのだということをおっしゃった。私も、あれを聞いて、えっ、どういうことなのだろうと思ったんですよ。当然、安倍総理もそう思ったはずですよね。なぜならば日本に2泊して、そのあと韓国に行かれたペンスさんと非常に長い時間を一緒に過ごして、完璧に考え方が一致しているぐらいの信頼関係があったと見られたわけですね。そのペンスさんが、終わってみたら違うことを言ったということで。ここは政治家ですから、いろいろな国の利益を考えて違う言い方をすることも十分あると思うんです。だから、いつもピタッと同じで進んでいくのではなくて、少し齟齬を含みながらも、調整しながら、日本の考える方向へ引っ張っていこうというのが、この会談だったという気がするんです。トランプさんに対して、大事なのは対話のための対話ではないのだよと。完全に検証可能で、後戻りできないよう、核を放棄するということを北朝鮮に言わせないとダメだよと。日本とアメリカが協力し、強力な制裁を続けなければ、絶対思うようにいかない。今回だって制裁が効いているから、彼は平和攻勢に転じたわけですね。だから、安倍さんとしてはご自分が考える方向に物事は行っているのだという、確信があると思います。確信があるために自分の外交は正しいのだと思っていらっしゃるわけで、それは日本の国益であり、拉致の被害者を助けることであり、ひいてはアジアのためですね。だから、これをトランプさんに、1年間大統領をなさったわけですから、素人とは失礼ながら言いませんけれど、比較的外交経験の少ないトランプさん、しかも、安倍さんのことを1番信頼していると思われるトランプさんに、こうだということをじっくりお話しなさったのではないかと、私は受け止めました」
反町キャスター
「ペンス副大統領、平昌からの帰りのエアフォースツーで、ワシントンポストの記者に対話の可能性はあるんだよと彼は言って、記事になって、我々は日本で読みました。そのあとです、日米電話会談。日本側から持ちかけたかどうかというのは重要だというのは櫻井さんも言われたのですが、この前提となるペンス副大統領の軟化、もしかしたらティラーソンさんもそうだったけれど、ペンス副大統領も腹の中では対話というものをどの程度やっていいのかというのを迷っているから、ああいう発言がでるのかなと思うと、安倍さんとしては、居ても立っても居られなくて、トランプ大統領にもう1回、注射せざるを得なかった、こんなふうに見ていますか?」
櫻井氏
「居ても立っても居られないほど焦ったとは思いませんけれど、今非常に大事な局面ですから、ここで問題整理をしておいた方がいいとお考えになったかもしれません。これは全然、知りませんけれども。それから、ペンスさんという人はよくよく見ると、彼のスピーチを全部読みました、この1年間。非常にしっかりしていました」
反町キャスター
「ブレない?」
櫻井氏
「ブレない人ですね。私も、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズをとっていますけれども、ワシントンポストは嫌になるくらいリベラルですよ。よくもあそこまで、朝日新聞みたいなものですよ。すごく左。それで取材する側のスタンスが軍事行動よりも対話ですねというところにたぶん傾いている、気分的に。するとペンスさんが言っていることは北朝鮮が本当に核を諦めて、ミサイルを諦め、これは検証可能で、永続的で、覆ることがないような方法で、そのことを我々に知らせる時に初めて対話が成り立つみたいなことをおっしゃっているわけですね。今日、取材に応じましたね。この番組の前にきちんと聞いてきましたけれども、すごくしっかりしたまともなことを言っていますよ。だけど、このような前提で対話があり得るねと言ったことを、もしかしてちょっと省いて、対話もあり得ると書いたのかもしれないですね。ただし、報道されたからにはそのような発言があったと、そのように考えるのが普通ですから、これは確認のために信頼する首脳同士がきちんともう1回、心を合わせたということではないかと思います」
反町キャスター
「それだけ現在、きわどい展開になっている?」
櫻井氏
「きわどいではないですか、これは一大事です。北朝鮮がどうなるかわからない。我々だってどうなるかわからない。私達は、変な話ですけれど、アメリカがいるから安心、安全なのですよ。北朝鮮有事が起きた時に、アメリカの助力なしに、日米安保なしにどうやって日本国民を守るのですか。日本にとって一大事ですよ。日本が1番脆いところに立たされていると思いますよ。だから、私が安倍さんだったら、眠れないぐらい心配しますよね。言葉の1つ1つに敏感に反応して、これはどういうことかと思いながら、必ず日本のためにならない、国民のためにならない、拉致被害者のためにならないような穴があるとしたら、絶対に埋めますね」
反町キャスター
「松川さん、いかがですか?日米、足並みが揃っていると見ていいのか?向こうにも融和派の人がいろいろいるので、気をつけなくてはいけない?」
松川議員
「それはそうですよ。櫻井さんがおっしゃった通りなので、繰り返しのところもあるのだけれども。アメリカの中は一枚岩ではないですよね。1番大事なのは首脳同士がきちんと心を合わせている。対話のための対話で意味がないというのは、要するに、もし前提条件なしに米朝が対話をしたとします。それは即ち核を温存する、ということを意味するんですよ。それは、もしかしたらアメリカにとっては自分のところに届かない核は抑えさせることができるかもしれないけれど、日本にとっては今、持っている核というのが残っていて、日本にとってはノドンで届くのですから。現在持っている核自体が脅威ですね。これは除去しなければならない。その目的のためには圧力や軍事オプションの可能性、これなくして北が考えを変えるはずがないですよ。だから、日本にとっては、南北対話があっても、民族の気持ちとか言われると、それを止めるのは難しいわけですけれど、核問題が置き去りにされていくということだけは何としても止めなくてはならない。置き去りにさせないために、結局、効いているからこうやって平和攻勢にきたわけです。効いている制裁、北朝鮮はビクビクしながらいろいろなことをやっていると思いますよ。決して楽観的にあれこれやっているわけではなく、これは大丈夫だろうか、ここまでやったらまずいだろうかと本当にいろいろギリギリ考えながらやっていると思うんです。そのプレッシャーを文在寅大統領が舞い上がったからといって、雲散霧消して、まさに北の思うつぼ、核を温存して、将来的には増やせる可能性を残したまま、置き去りにしてしまうということは避けなければならない。アメリカのホームランドセキュリティの問題でもあるわけです。だから、今回のこの会談は巻き戻しという意味でも、首脳同士のすり合わせという意味でも、意味があったと思います」

米国『新戦略』と日米関係
松村キャスター
「アメリカの国防総省は先月19日、トランプ政権で初めてNDS、国家防衛戦略を発表、北朝鮮とイランを『ならず者国家』、中国とロシアは修正主義国家と位置づけました。また、国防の最優先課題は『テロ』ではなく、『中国とロシアとの長期的かつ戦略的競争』としました。今月2日、今後5年から10年間の核戦略の方針や戦力の規模等をまとめたNPR、核態勢の見直しを発表しました。核なき世界を掲げたオバマ政権の方針を見直して、『核使用は通常兵器で攻撃された場合も含む』『低爆発力の核弾頭や新型巡行ミサイルを開発』を打ち出しました。櫻井さん、国防の最優先課題を対テロから対中国と対ロシアにシフトしたのにはどういう背景があるのでしょう?」
櫻井氏
「背景というよりは、オバマさんの時に比較的アメリカはソフトな路線をとったわけですよね。ブッシュさんの時からテロに集中したわけですよね。そこに大国に対する、たとえば、中国やロシアに対する安全保障上の政策に緩みというか、隙があったわけです。その隙に、中国やロシアもすごくミサイルとか、核を開発したわけです。核戦略の見直しですけれども、これは2010年から今日までロシアと中国と北朝鮮とアメリカがどのくらいの核の運搬手段を開発したかということです」
反町キャスター
「運搬手段?」
櫻井氏
「たとえば、何とかミサイルとか、そういったものです。これはロシアですが、陸上から発射するミサイル、海から発射するミサイル、飛行機、航空機から発射するミサイル、これを見た時に14種類もつくっているんですね。中国もだいたい10種類ぐらいつくっていますね。北朝鮮はすごいわけですよ、たくさんつくって脅威を煽っている。アメリカはずっと何もしていないの。これはF35-Aですよ。ようやく配備された。このあとにF35-Bというのが、短距離で発着できるものが生まれてくるのですが、これを見てもアメリカがいかに胡坐をかいていたかとなるんです。これを見た時に、アメリカが今回、きちんとやってくれるのであれば、河野太郎外務大臣が言っていましたね、日本としては歓迎すると。そうでないということを言う人もたくさんいますよ。アメリカがなぜこんなふうに核をやるのかとか、いますけれど。私は河野さんが正しいと思いますね。日本にとって非常にいいことです。アメリカはようやくF35-Aをやって、次にF35-Bをやるのですけれども、アメリカは、ロシアと中国がアメリカが休んでいる間に、たとえば、新しい長距離のミサイルをつくった。ロシアなどは中距離ミサイル、本当は全部なくすはずだったのが、違反をしてドンドンやっているわけでしょう。アメリカにとっては選択肢がすごくなくなっているわけですね。ロシアや中国の中距離核の攻撃に対してはどうやるのですか、対抗する核戦力がないわけですから本格的な核戦争をやるしかないわけですね。守ろうと思ったら。それは、誰も望まないことであって、抑止力にもならない。誰も望まないから、使わないだろう。そうすれば、ロシアと中国は攻撃すれば勝ちだとなりますから。だから、アメリカは今回、低出力の核を積んでやりましょうということになった。ロシアが、ありとあらゆるものに核を積もうとしているわけですね。たとえば、クリミア半島を獲りましたでしょう。クリミア半島を獲ったのが2014年3月でしたけれども、その1年後ぐらいのインタビューの中で、ロシアのテレビのインタビューで、プーチンさんが言いましたね、あの時、我々は核を使うオプションも考えていたと。あのくらいロシアは核兵器を使おうという気持ちがあるわけです。必要ならば使うぞと。中国は中距離核の削減合意の中に入っていませんから、勝手につくっているわけですね。北朝鮮はいくらやるなと言われてもつくっているわけですね。そういった中で、アメリカがいろいろな核に対して低出力で中距離核と同じようにこまめに、理論的に…」
松川議員
「使われるかもしれないと相手に思わせないと抑止力にはならないですよ」
櫻井氏
「そう。その意味での抑止力を高めているという意味で、今回のトランプさんの、マティスさんとかマクマスターさん達の戦略だと思いますが、これは極めて合理的なものだと思いますね」
松川議員
「今回NDSから始まって、国家安全保障戦略という大きなところで、これからアメリカが対抗すべきは中国。ロシアも言っていますが、特に中国で、大国間競争の時代で、その時に力というのが非常に大事になってくるということを言った。日本にとっても、潜在的に1番、安全保障上、気にしなければならない対象は中国と北です。本当は北よりも中国が長期的には大きいわけですよね。それをアメリカという同盟国が、真面目に対処しますよと。正面からきちんと価値の面でも、軍事力の面、経済力の面、いろいろな面で正面から取り組みますと言ったこと自体は、日本の安全保障上はいいことだと思うんです。ただ、日本とアメリカは、アメリカは太平洋を挟んでいますけれども、日本はすぐ傍で、引っ越しもできないし、中国という国はこれからきっと中国型の統治理論の下で、だから、党の統制も厳しい中で、きっとイノベーションが起きる、ノーベル化学賞もドンドンとる、それなりにクールな国になっていくということは経済的にもあると思うんです。その中国と日本というのはただ敵視するだけでもダメだという面もある。アメリカにしたってソ連とは違うわけですよ。経済的には、米中関係があるわけだから、そういう複雑なところをやっていかないといけない中で、柱を立てたアメリカの戦略自体は評価していい。問題はいいことを全部書いているのだけれども、それをどれくらいアメリカはできるのですかということだと思っています」
櫻井氏
「それと、日本人はお隣の国がどのような考え方で、具体的に何をしているかというのをもっと現実を見ないといけないと思いますね。ゴビ砂漠のところに、たとえば、在日米軍基地の模型をつくって、そこを強襲するような実地の訓練をやっているわけですよ。ただの訓練ですと彼らは言うでしょうけれども、なぜそんな訓練をするのですかと。在日米軍基地なのですか、なぜなのですか。これはもしかして意図が生まれてくるのかもしれないですね。私達は、お隣にこういう国がある、この国とよく付きあうためには、侮られてはならないのだ、弱い国だから何をしてもていいのだと思わせてはならない。良い関係を築くためにも、中国ときちんと渡り合えるぐらいの意志と力を持たないといけないですね。その意志はあるとしても、ないかもしれない、あるとしても、力が日本には足りないわけでしょう。日本には経済力が少しあるだけ。軍事力は、憲法によって狭められています。このへんのところをきちんと押さえて、国の形の土台というところをつくらないと、お隣の国はやる時にはやるのですから。これは生半可に思っていたら後悔すると思いますよ」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言 『日本の道を朗らかに歩む』
櫻井氏
「日本の道を朗らかに歩む。今、非常に厳しい時ですよ。だから、あまり難しい顔をしたりとか、下を向いたりとか、深刻な顔をしないで、朗らかに自信を持って、自分達を信頼して歩む。それを見て、アジアの人達が安心する。安心させるような外交と日本人でありたいと思っています」
反町キャスター
「かなり力に余裕がないとできないですよね?カラ元気だとダメですよね」
櫻井氏
「カラ元気だとダメですけれども、日本は、反町さん、力があるんですよ」
反町キャスター
「軍事力とか、そういう意味ですよ。防衛力とか」
櫻井氏
「だから、憲法を改正すればいいでしょ」

松川るい 自由民主党参議院議員の提言 『大局的に 能動的に!』
松川議員
「明治維新150年と言われますけれども、それと匹敵するような、大きな変化の中に日本はチャレンジしていく、そういう時代だと思うんです。たとえば、日本外交でもTPPをアメリカ抜きでまとめるとか、インド太平洋戦略というので、大きな意味で中国と、包摂してもいいのですけれど、対峙できるような戦略を考える。こういったことを、大局観を持ってドンドン動く、そういう外交を展開していく。これが、挑戦者の気持ちをもって、過去の成功体験をいったん置いて、そういうことに大きくドンドン、チャレンジしていく、そういう姿勢が求められると思います」
櫻井氏
「そういうふうにやったからTPPを日本が中心になってまとめることができたんですね。日本とヨーロッパのEPA(経済連携協定)だって、そうでしょう。これは初めて日本が世界的なルールというものをつくったんですよ。その時だって、大丈夫だよと日本を信頼してもらって、朗らかにやればついてくると思いますよ」