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2018年2月14日(水)
総検証『働き方改革』 雇用環境と労組の役割

ゲスト

甘利明
元経済再生担当大臣
神津里季生
連合会長
海老原嗣生
雇用ジャーナリスト

総検証『働き方改革』 賃上げは?春闘の行方
斉藤キャスター
「総検証『働き方改革』、第3夜の今日は雇用・賃上げと労働組合の課題です。働き方改革で日本の労働環境が、どう変わるのか、どう変えていくべきなのか、元経済再生大臣の甘利明さんと、連合会長の神津里季生さん、雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんを迎え、徹底的に議論します。さらに本格的に始まっている春闘の行方についても聞いていきます。今日、自動車メーカーなどの労働組合が経営側に要求書を提出し、春闘が本格化しています。交渉の焦点である賃上げについてですが、安倍総理は、先月、『今年の賃上げは3%をお願いしたい』と具体的に数字を要請しました。一方、連合はと言いますと、定期昇給相当分を含め4%程度の賃上げを目標に掲げています。神津さんに聞きます。連合が4%という目標を掲げた理由は何でしょうか?」
神津氏
「これはいずれも定期昇給相当分を含めてですね。総理は、3%という数字を強調されているのですけれども、私どもは4%ですね。これは私どものシンクタンクで連合総研がありますけれど、ここでいろいろなシミュレーションをやっていて、ここで言っている、4%というのは、2%程度のところは、いわゆるベースアップですよ。本当の意味での賃上げというか、このかさ上げをする部分ですね。これは2%を上げたとしても、経済成長は1.6%、実質成長率が、ということなので、残念ながら、この間、賃上げが続いてきたと言っても極めて不十分。ですから、これぐらいないとダメだというのが私どもの考え方です」
斉藤キャスター
「海老原さんは、この4%という連合の目標はどう見ていますか?」
海老原氏
「人事管理的に見るとなかなか難しいと思うんです。日本の場合は上げづらいですよね。だって、まずベースアップが普通にあるではないですか。そのうえに定期昇給、それも職能給だから、人についているから、人がいる限り、上がっていっちゃうんですよ。向こうみたいにポストがあって職能給で、ポストの数で給与が決まるわけではないから、自然に上がっちゃうんですよ。さらに言うと雇用保障が日本は厳しいから、向こうみたいに儲かっている時は上げたけれど、そのあと、レイオフがあるよという社会でもないわけですよ。だから、この3つがあるから、労働組合もかなりつらかったと思うんです。いや、下手なことをやったら、この3つがなくなったら困るよと、だから、それで何とかすると言うので、一時金で解決する。日本は賞与比率が、給与に占める比率が特に平社員の賞与比率というのがすごく大きいですよ。欧米だと、これは1か月限定で、いや、どの人にも固定で1か月払うだけですよ。ところが、日本は平社員でも3か月、4か月、5か月払うではないですか。これで調整するというので、つまり、好景気の時はこれをドーンと出す、不景気の時は出さない、こうやってクビを切らないで済む態勢をつくってきたわけですよね。だから、僕はなかなか上がらなくなったと思っているんです」
反町キャスター
「でも、海老原さん、デフレの時代の話?現在でもそうだという意味で言っているのですか?」
海老原氏
「もともと、だから、インフレの時はいくらでも上げられましたよね。インフレ、プラス成長率が高かったので、いくらでも上げられました。そうではない時代になった瞬間に、その余韻が残っていた1990年代前半にかなり苦しんじゃったわけですよ、企業は。だから、もう2度とああいうことはやっちゃいかんというので、かなり怖がっているわけですよね」
反町キャスター
「それは企業ではなくて、労働組合もそうなのではないですか?企業も労組も、闘うことに対する恐れが広がっているのではないか?」
海老原氏
「いや、闘うことというより労働組合がすごくいい大人の配慮をした時があるんですよ。たとえば、第2次オイルショック、第3次オイルショックの頃ですね、第1次オイルショックの時に給与を上げなければいけない、インフレで給与を上げる、そうすると企業は苦しいから、また値上げをするという負の連鎖が起きたわけです。世界中でこれが起きた中で、日本は第2次、第3次の時はうまく乗り切ったんですよ。これは、金融の引き締めだけではなく、労働組合がかなり大人だったから、そういう無理な連鎖をしないようにここで断ち切ろうよというので、そんなに賃上げせずにインフレをがんばるということによってインフレがなかなか後進しなかった。こういうような良い前体験もあるわけですよ。その代わり、クビも切られなかった」
反町キャスター
「なるほど。神津さん、いかがですか?」
神津氏
「構造的な問題が重くのしかかっているということではある意味、共通なのかもしれないのですが、私として申し上げたい構造的な問題というのは、先ほど、この4%は、2と2と申し上げました。先ほど、海老原さんが言われたように制度として定期昇給、あるいは賃金価格維持というものが、きちんと組み込まれている、そういう労使関係でやっているところと、いや、そんなものはありませんと、従って結果としてこの20年間のデフレの間に、賃金が上がらなくてごめんねと言っていたことが、実は定期昇給とか、賃金価格維持、だから、1年、1歳上の先輩の軌跡を追っかけるということもできませんので、これは実質賃下げになっていた部分が相当あるんです。残念ながら、中小企業の中で労働組合がないところというのは圧倒的に多いわけですよ。その中で、労働組合がないと、労使交渉、賃金制度もありませんということなので、かなりの部分が現在、私が申し上げていたような実質賃下げになってしまっていたと、こういうことですよ。だから、そこで2極分化があるので、上げる方はこの4年間上げてきました、だけど、これも相当なよっこらしょで上げているわけですよ。だけど、まだまだ、上がっていないというのが、世の中には相当部分残っているんですね」
海老原氏
「はい」
神津氏
「だから、この構造を足元に置きながら、だけど、上げていくというのは大変だよということは、これは事実だと思います」
反町キャスター
「2、3日前かな?新聞の一部、本当に1つの新聞だけですよ、JR東日本がストを構えているのではないかと?」
神津氏
「組合が」
反町キャスター
「組合が。ここはどう見ているのですか?」
神津氏
「あの…」
反町キャスター
「まずその情報の真偽、本当にJR東日本の組合がストライキを構えると…、連合がその情報を確認しているのか、いないのかというところから聞きたいのですが」
神津氏
「それぞれの労働組合が現在どういう検討をしているかというところまで、全部は、私どもは知り得てはいないです。だから、今後、そのへんのところは明らかになってくると思いますけれども。連合の中にも、ストライキを構える、やる、あるいはせざるを得ない、そういうところはあることはもちろん、あるんです」
反町キャスター
「なるほど」
神津氏
「で、いろいろな経緯、この間、どういう労使関係できたのか?賃上げの状況はどうか?労働条件の改善というのが思うようにいっているのか、いっていないのか?そういうことの流れの中で、それぞれが考えるという、そういう話だと思います」
反町キャスター
「それは連合として、ナショナルセンターとして、それぞれの労働組合に対し、今年はいけ、今年はするな、そういう指示をする関係ではないですね?それぞれが自分で考えなさいということなのですか?」
神津氏
「ストを構える、構えないということで言えば、それぞれの経緯がありますので、一律に構えろ、なんていうことにはするつもりはないです。ただ、明後日、中央闘争委員会という会議がありますので、そこで、それぞれがそういうスト権という問題も含めて、きちんと点検をしなければダメよと、そういう指令は出しますよ」
反町キャスター
「点検をするというのは、それは毎年、同じことを言っているのですか?」
神津氏
「それはそうです」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
神津氏
「そういうことです」
反町キャスター
「今年は点検するぞという意味ではないですよね?」
神津氏
「意味ではない」
反町キャスター
「その意味で言うと、どうですか?かつて全国規模で大きなストライキが、1970年代にあった記憶が、僕らの子供の頃はあるのですけれども、そういう時にも、たとえば、総評なら、総評は、それぞれの組合が勝手にやってくださいということだったのか?ないしはナショナルセンターとして、このタイミングで、今年の春闘は全員で闘うのだと、これは団体交渉なのだと、それがナショナルセンターの仕事なのだと全国の労働組合に対してストライキを指示するような関係性がその当時はあったのか、なかったのか、そこはどうなんですか?」
神津氏
「かつてはあったと思いますよ」
反町キャスター
「それは、今はなぜなくなったのですか?」
神津氏
「私がいる、いた、出身元の鉄鋼ですけれど、昭和30年代、40年代の初めぐらいまでは激烈なストライキ至上主義の時代があったんです。それでもって、たまたまその年は問題が解決できた、あるいは回答の積み上げがはかれたという年もあったと思います。だけど、これは毎年、毎年の積み重ねの中で、経営側の方だって、経済実勢とか、自分のところの産業・企業の状況をさて置いて、毎回、毎回、ストを打たれたからと積み上げができますかということで、『鉄の一発回答』が昔、あったでしょう?」
反町キャスター
「あった」
神津氏
「経営側もスクラムを組んで、そんなものは、この年は無理だと言うこともあり。そういうことの積み重ねの中で、残るものは何かと?疲弊感だけが残るというようなことの…」
反町キャスター
「疲弊感なのですか?これは随分昔の話なのだけれども、1974年、春闘における賃上げ状況は32.9%、この年のインフレ率は23.2%ですよ。前年度のインフレ分も含んで、32.9%になるのだろうと思うのですけれども、春闘1発で3割の賃上げです」
神津氏
「そうです」
反町キャスター
「この年の物価上昇率は23%」
神津氏
「そうです」
反町キャスター
「これを僕はやれと言っているわけではないですよ…」
神津氏
「うん」
反町キャスター
「だけど、このストをやった結果の32.9%、だんだん話をやっていると煽っているみたいになっちゃうのだけれども…」
神津氏
「いやいや、煽られているような気が…」
反町キャスター
「そんなことない」
神津氏
「これが、先ほど、申し上げたアレでいけば、これは昭和49年でしょう?」
反町キャスター
「はい」
神津氏
「実際にストライキをガンガンやっていたのは、昭和30年代の半ばぐらいが中心ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
神津氏
「昭和40年代にも少しそこが残っていたかな、ぐらいの。従って、このグラフで読み取らなければいけないのは、先ほど、海老原さんがおっしゃられたことなんですよ。だから、春闘というのは、まさにこの頃から始まったんですよ、まさにこの1965年」
反町キャスター
「そうですね」
神津氏
「うん。このあたりから1955年か、昭和30年から。だから、これの10年前ですけれども。要するに、物価が当たり前に上がりますと、それをカバーする賃上げも当たり前にその成果として獲ってきた、その時にできた仕組みなんですね。何を言わんとするかというと、インフレ前提でできた仕組みなので。だから、現在そうではなくて、デフレを脱却する時にどうかということですね、まさにそう」
反町キャスター
「賃上げのためには、何をやったらいいのですか?」
神津氏
「だから、今回この時に労働界に球が投げられたんです。先ほど、海老原さんがおっしゃられたのは、政府から労働界に球が投げられたことに対して、このままではインフレで国民生活が破綻すると言うので、要求の考え方を少し抑制したんですよ」
反町キャスター
「それは、このぐらいの時代の?」
神津氏
「ここ。ここでもって、インフレを退治することができたんです。今度はデフレ脱却だから政府が経済界に球を投げているということは当たり前の話です、そういう意味で」
反町キャスター
「なるほど。この時は労働界に自重を促し…」
神津氏
「そうです」
反町キャスター
「現在は経済界に対して…」
神津氏
「そうです」
反町キャスター
「…賃上げを促している?」
神津氏
「そうです」
反町キャスター
「では、その流れの中で労働界は、政府と経済界、財界の流れを黙って見ているだけなのですか?」
神津氏
「いや、とんでもない。これはこれから、現在、要求提出が始まっていますからね。結果、交渉でしか物事は決まりませんので。だから、かつデフレ脱却なのでね。インフレ退治の時みたいに、この1年でこんなに下がるということにはなかなかならないです。だから、頭をもたげるためには粘り強くやっていかなければいけないので、4年継続して粘り強くやってきた。今年というのは企業収益の状況が良いですから。従って、今年もっと頭をもたげないとデフレ脱却できるかどうかですよ」
斉藤キャスター
「こちらは雇用者に占める労働組合員の割合、労働組合の組織率の推移なのですが、1949年には55.8%だった労働組合の組織率もずっと見ていきますと2017年には17.1%という、かなり低いと言っていいですよね?」
反町キャスター
「ここのところまで落ちてきた中でで、僕は連合の組織率の低さがどうのこうのという話ではなくて…、この賃金の上昇率が鈍くなっている時の、賃金の上昇率が低くなってくる中で、連合の組織率の低さ、労働組合の組織率の低さというのと、並行して動いているように見えるんですよ。つまり、労働組合の、ご利益?」
神津氏
「うん」
反町キャスター
「労働組合があるお陰で何があるのかと言ったら、たぶん1番のご利益というのは賃上げですよ。賃上げがだんだんできなくなってくる中で、組織率も下がっているのではないかと。この相関性というのはどう感じているのですか?」
神津氏
「これは私の言い方ですけれど、結局、中小企業に、先ほど、申し上げたように、労働組合が本当にないですよ。100人未満でいくと、組織率というのは0.9%ですよ。で、現在トータルで17.1%ですけれども、1000人以上の大企業だと45%ぐらいあるんですよ、10社に1社ぐらい。これははっきり言って歪な構造です。歴史的な経過もあるのだけれど。だから、先ほどのストライキの話に半分戻りますけれど、では、連合傘下の組合がここでいきなりこぶしを上げて、皆ストライキでやろうと言った時に、そっちはたまたま少し頭をもたげたとして、だけど、これは結局、格差が開くだけですよ」
反町キャスター
「大企業と中小企業の賃金格差という意味?」
神津氏
「ええ。だから、7割のところを、要するに、世の中全体で7割の人達は中小企業で働かれているわけですよ。そこに波及しないですよ、下手すると」
反町キャスター
「海老原さん、いかがですか?」
海老原氏
「いろいろ見方があると思うんです。これは製造業の衰退でもあるんですよ。その頃は、製造業は40%ぐらいの従業者がいたんです。現在は15、6%しかいないですよ。そうすると、どうなるか。製造業はかなり労働組合を組織しやすいものですよ。対して、現在1番多いのは販売・サービス。販売・サービスは非正規がほとんどです。と言うことで、できない。もう1つの話をすると、組織率が高い、組織している大企業の賃上げが高いかと言うと、中小企業よりは高いですけれども、こんな数字にはなっていないですよ。だから、つまり、労働組合の問題ではなく、日本の経済の問題だと僕は思っている。労働組合があったって、あるところだって、こんなに上がっていないのだから、日本の経済、日本の雇用システムの問題だと思っていますよ」
斉藤キャスター
「働き方改革について話を聞く前に、甘利さんにも今年の春闘についてちょっと聞きたいのですが、安倍総理が『今年の賃上げは3%をお願いしたい』と経済界に具体的な数字を挙げて要請しました。一方の連合は4%という目標を掲げているのですが。今年の春闘における賃上げの行方はどう見ていますか?」
甘利議員
「総理が具体的な数字を挙げて要請したというのは、たぶんあまり聞いたことがない。『前年並みの』とかいう表現だったのが、『3』という数字を挙げられたというのは。これは意義あることだと思います。なぜ意義があるかと言うと、消費者物価上昇は2%ですよ。賃上げは2%では追いつかないですよ。だから、これを上まわるようにしなければいけないと。具体的な数字に言及をされたと。神津会長は4%。それは政府の言う通りで結構でございますと言ったら連合の組合の存在感がなくなりますから。それをさらに上まわって、できるところまでやってくれと言うのは妥当な発言だと思います」
斉藤キャスター
「では、ここから安倍政権が進める働き方改革について聞いていきます。働き方改革の主な内容ですけれど、『残業時間の上限規制』『高度プロフェッショナル制度の創設』『裁量労働制の拡大』『同一労働同一賃金』、この4つのポイントです。甘利さんに聞きますが、こうした改革を現在、政府主導で行うことの狙いというのは、どこにあるのですか?」
甘利議員
「もちろん、長時間労働による労災被害が出ていることも、何とかしなければいけないというのがあります。ワークライフバランス、充実した生活を日本国民が送っていくためには仕事も大事、それから、仕事以外のオフタイムも大事、この両方がうまく噛み合うようにするということが大事ですし、長時間労働に頼ると、GDP(国内総生産)を上げるには、より長く働けばいいというようなことになりがちですから。そうではなくて、上限が抑えられていくというと、生産性向上に努力がかなり向かうんです、これは労使共に。そういう意味で、もっと工夫するところはないかとか、もっと改善するところはないかという意識改革にもつながってくると思うんです。合わせて全員参加社会ですから、これまで女性が、スキルが高い、能力が高い、でも、子育てがあるから、こういうあまり好きとは関係のないパートの仕事しかないと言ったら、これは日本の国力の毀損ですから。それをフル稼働させないと、人口減少の中で成長は望めないわけですから。あらゆる能力が総投入できるような環境を整備するという意味でも、ワークライフバランスをきちんととれるようにするとか、いろいろな工夫が必要です。そういう意味合いが込められていると思います」
斉藤キャスター
「神津さん、連合としては政府主導で働き方改革が進められていることに関しては、どのように感じていますか?」
神津氏
「今、甘利さんのおっしゃられたことの部分は私もまったくそうだと思うんですよ。ところが、ここに出ている、この4項目出ていますよね、せっかく良いものを法律に落とし込もうとしているのに明らかに趣旨が違う、向きが違う、高度プロフェッショナル制度、それから、裁量労働制の拡大。これを一緒くたにするというのは、これはあまりにもミスリーディングだと思っているんですよね。この高度プロフェッショナル制度、裁量労働制、これは既に法案としてあったものですよ。だけど、国会で審議されず、塩漬けになっていたわけです。だから、いや、なぜ審議されないのだろうなと。本当に必要なものであれば、その当時から議論されるべきだったのに、これまでずっと塩漬けになっていて、ちょっと言い方が悪いかもしれないけれども、何か抱き合わせ販売みたいな形で、一緒にやろうというのは、私は…」
反町キャスター
「そうですね、今回…」
神津氏
「うん。だから、特に象徴的なことで言えば、この4つの、2つ、2つはあまりにも中身が違うと思っていてね。従って、今日、国会の質疑でも裁量労働制の問題で、総理が答弁を撤回されましたよね?」
反町キャスター
「はい、しました」
神津氏
「これっていったいどういうことなのかということですよ。午後、井出庸生議員がさらにそれに追及して、いや、実は、これまでの国会の中で当時の塩崎厚生労働大臣は、同じことを2回答弁していますよ。それも撤回するのですか、みたいな話になっていて。だから、抱き合わせ販売をしようとされたのかもしれないけれども、どうもパンドラの箱を開けちゃったのではないのと。裁量労働制は現在の運用実態が本当に良い形でちゃんとやっているのですかという問題があらためてクローズアップされたということだと、私は思っているんです」
反町キャスター
「裁量労働制のデータのとり方がおかしいのではないか?データのとり方と言うか、データが間違っているのではないかという長妻さんの指摘で、厚労省がそれを撤回して、総理も撤回・陳謝し、今日、加藤厚労大臣も答弁に追われたというのが今日の流れになっているのですけれども…」
神津氏
「そうですね」
反町キャスター
「野党側は、これに関しては今回の撤回によって今回の働き方改革法案の根幹が崩れたんだということで、審議時間の延長は当然なのだけれども、法案そのものの撤回とか、出し直せとか、こういう話になっているのですが。野党側の姿勢に関しては、どう感じているのですか?これは当たり前だと思います?」
神津氏
「うん、趣旨が違うものが混ざっていますから」
反町キャスター
「趣旨が違うとか、どうこうと言うよりも、この1点、今日のこの撤回・謝罪の1点をもって、法案の出し直し、審議をやるのだったら、出し直したうえで、審議時間をたっぷりとり直さなくてはいけないという、そこまでの重要性がある今回のデータ、発言の撤回かどうか、ここの部分、政治的なバリューの話です」
神津氏
「それは政治の世界で議論をされる話ですけれど。でも、私はそのぐらい重たい話だと思いますよ。だって、これまで国会の中で、その文言、言い方を使ってやってきているということですよね。あらためて総理が撤回したということなので、これまでの議論、もともとだから塩漬けになっていた法案の性格はどういうことなの。先ほど、申し上げた、裁量労働制は実際どういう運用になっているのかということを、これをクリアにしないと、とてもではないけれども、今の形でやれないということになってしまいますよね。これは一昨日だか長妻さんが出られていましたね、裁量労働制が入っているにも関わらず朝9時出社しなければいけないというのが4割以上もそんな会社があるわけでしょう。この1つとっても裁量労働制ということの意味がちゃんとわかって…」
反町キャスター
「出勤時間と退社時間が決まっている裁量労働制はおかしいですよ」
神津氏
「ええ、おかしいですよ」
反町キャスター
「おかしいです」
神津氏
「だから…」
反町キャスター
「その話を長妻さんはされていました」
神津氏
「ええ」
反町キャスター
「ただ、そうすると、裁量労働制の問題というのは、そういう問題も含めて、裁量労働制そのもの、時間に縛られない働き方というのがあるのではないかという、そこの考え方はもともと否定されるわけではないですよね?」
神津氏
「そこを全否定するつもりはないです。ただ、今度の高度プロフェッショナル制度でもなぜ深夜割増まで、なしにするのですかと。たとえば、管理職の方々、これはある意味、時間に伴ってではないでしょう。それはある意味、そういう規制も外れているわけです。だけど、そういう方々でさえ深夜労働については、これは人間の体にとっては負担がありますから、そこのところは割増のペナルティがあるわけです。だから、そんなものまでとっちゃって、労働基準法というのは、全ての人にとっての最低基準を規定している法律ですから、そこにそういう風穴が入ってしまうというのは、私達は、これは見過ごすわけにはいかないと」
反町キャスター
「海老原さん、賃上げも働き方改革も政府主導でというこの大きな流れというのを、これはもうしょうがないと思って受け取るべきなのか、それとも労働組合の不在というものを…、本来、だって、賃上げとか、働き方というのはまず労使の間で話し合っていいのではないかなと僕なんかは思っちゃうのですけれど。そこに政府が介入してくるということについては、どう感じるのですか?それはもうしょうがないのですか?」
海老原氏
「もうしょうがないと思います」
反町キャスター
「しょうがない?なぜしょうがない?労働組合に交渉力がないから?」
海老原氏
「いや、労働組合の形が日本はちょっと世界と違いますから、それは無理ですよ。だって、連合がナショナルセンターと言いますけれど、1つの労働組合がいろいろな企業に入っているので、日本はいろいろな組合を寄せ集めているだけの話ではないですか。足並みも揃わないし、協定給もつくれないですよ。だから、そういう問題があるから、やらなければいけないのと。安倍さんのすごいところは、甲論乙駁で困って動かなくなったものを、エイヤーでやってみるところが、安倍さんの良いところではないですか。だから、これはやるべきことで、やればいいと思うんです。僕はあの中で、確かに全部よくやったことだと思いますけれども、ただ、高プロと裁量労働制に関しては不足がかなり大きい。それは何かと言うと、12年も前にそれは厚労省と同じような研究会で結論が出ているんですよ。日本の法律には抜けているところがあるから、直さなければいけませんよ、これがまず1個目の課題ですよ。2つ目は、真剣に脱日本型を考えなければいけませんよ、これが2つ目の課題ですよ。上の残業上限規制の問題は、これは1個目の問題で、抜けているものがあるからつくらなくてはいけないという1つ目の話。2つ目の話の、日本型の脱を本気で考えなければいけないのが2番目と3番目なのだけど、脱を本気で考える形になっていないですよ。たとえば、現在の管理職というのは全員エグゼンプションなのですから、それは早く帰って自立しているかと言ったら、全員働かされ放題で、労働時間は管理職の方が長い。と言うことは、うまくいっていないです。なぜか。本気で法制が整っていないからです。たとえば、欧米との1番の違いというのはプロフェッショナルだって認められたら、まず異動権もないし、人事権は企業から剥奪されるんですよ。企業側は結局、その部分は出すのは嫌で、残業代だけ払わないという形で、イーブンになっていないからうまくいかないです。勝手に異動させられて、新しい仕事をやれ、では、残業時間が増えても当たり前ではないですか、やったことのない仕事を。プロフェッショナルなら、あなたの仕事はこれで、勝手に新しい仕事も付け加えられない、異動もさせられないよ、こういうふうに人事権を削がなければいけないですよ。限定型雇用にするということが法律にちゃんと入っていなければいけないのだけれど、そこを抜きにして、勝手に労働時間の話だけやっていると、管理職が働かされ放題と同じになっちゃうんですよ」
反町キャスター
「そうすると、高プロ制度の話とか、裁量労働制の拡大の背景には経営者のマインドしか入っていない?」
海老原氏
「そう思います。だから、脱日本ということを本気で考えなければいけない」
反町キャスター
「脱日本は、つまり、脱経営者という意味ですかね?たぶん違うな…」
海老原氏
「いや、こういうことですよ。もし、その人事異動権とかがなくなって、この仕事をやりなさいという形になったら、企業の雇用保障もすごく薄くなるんです。ということは、これはクビになる可能性も増えるんです。そういうことで言うと、これは経営者にとっても1勝1敗ですよ。だけど、日本型は勝手に動かせる分、クビにもしないよと、そういう1勝1敗の体制をつくらないから、どちらも何となくぬるま湯になるんですよ」
反町キャスター
「海老原さんの指摘、甘利さん、いかがですか?」
甘利議員
「従来の時間と成果が極めて直接的にリンクしている働き方だけではやっていけないということは共通認識だと思うんですね。まだ日本に新しい制度も入れていない部分もありますから、この運用がうまくいっていないということと、制度をやめちまえというのとは違う話ですから。制度を入れる必要性は感じていらっしゃると思うんです。これまでの働き方では立ちいかなくなり日本の競争力がドンドン落ちていく、生産性も思ったほど上がらない。だから、必要な制度だと。あとはどう入れていく中で運用改善していくかという問題ですから。全否定するのではなく、こういう働き方が必要だと、では、その働き方が本当に機能するためにはどういう改善が必要だと」
海老原氏
「…」
甘利議員
「そういう議論にもっていった方がいいと思うんですよ」
反町キャスター
「そこは、海老原さんもたぶん一緒ですよね?」
海老原氏
「ですけど、僕は甘利さんに聞きたいのは、新しい制度と申しますけれども、この管理職のエグゼンプションというものは歴史が40年も、70年もあるわけではないですか。その中で専門職という形でスペシャリストの管理職はたくさんいるんですよ。だけど、働かせ放題になっているではないですか。つまり、足りないものがたくさんあるんですよ、今のままでは。おっしゃる通り、ちゃんと入れていけば、これはやるべきだと思います」
反町キャスター
「1番足りないものは何ですか?」
海老原氏
「僕は人事権です。企業が無限定雇用になっているということは日本…、欧州とは違うことですから、日本は」
反町キャスター
「なるほど。プロフェッショナルを認めるのだったら人事権は企業が…」
海老原氏
「失う」
反町キャスター
「手放していくべきであると?」
海老原氏
「そういうこと。その代わり、雇用保障もなくなるんです。1勝1敗ですよ」
反町キャスター
「それは別に、本人の希望でいいのですか?」
海老原氏
「うーん、希望…」
反町キャスター
「全員、プロフェッショナルかどうかは誰かが決めて…、だんだん自分の個人的な相談みたいになっちゃうのだけれども…」
海老原氏
「つまり、でも、認定基準というものを、たぶん運用上、何かしら通達とか、指令が出てこないと無理でしょうね」
反町キャスター
「それを決めるのは大変ですよね?」
海老原氏
「おっしゃる通りだと思います」
反町キャスター
「そこまで細かい法制ができるのですか?」
海老原氏
「法制ではなくて、でも、それは通達とか、いろいろな形で出せるのだと思いますよ」
神津氏
「海老原さんがおっしゃっているのは、非常に大事な話だと思っていて。日本の社会のいろいろなことのネックになっているのが、本音と建前があまりにも違い過ぎるということですよ」
反町キャスター
「なるほど」
神津氏
「だから、その管理職の問題で言えば、これは法律に照らして、本当にこの人、管理・監督的業務ですかということでゴリゴリやれば、相当、これは違う人がわんさと入っちゃっているんですよ。だから、海老原さんがおっしゃるような問題になっているので。本当は突き詰めてそこをやるべきだし、建前というか、法律、ルールにちゃんと実態も合わせるようにしないと、先ほど、裁量労働の話もしましたね。建前はこうかもしれないけど、4割は9時に会社に来ていなかったら、なんだと怒られると」
反町キャスター
「おかしい」
神津氏
「これはおかしいですよ、うん」

労働生産性の向上は?
斉藤キャスター
「政府が進めようとしています働き方改革の大きな目的の1つが『政府の働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段』としているんですね。甘利さん、なぜ働き方改革が、労働生産性が向上すると言えるのでしょうか?」
甘利議員
「働き方改革の中で過度な超過労働、時間超過労働に罰則をつけて法的に制約をすると。制約をすれば、工夫が生まれることは確かです。それから、企業は、人材投資というのは、ここのところかなり細っているんです。個々の従業員のスキルを上げていくということは生産性が上がるということにもなります。一定の縛りをかけると、その中で同じ付加価値をつくり出すためには全体のプロセスをどう見直すかとか、どこにIT(情報技術)を入れていくかとか、そういう経営側の改善努力につながっていくんですね。全体の効率を上げていくということ、それから、スキルを上げていく方向に、工夫の方向に行きますから、これは生産性を上げることにつながっていくんですね」
斉藤キャスター
「日本の労働生産性について、データがあります。日本の 1人あたりのGDPですけれども、190か国中、日本は27位ですね。一方、OECD(経済協力開発機構)が加盟している24か国の成人に調査したところ、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力で、全て1位という結果です。つまり、能力と稼ぐ力に乖離があることがわかりますよね。甘利さん、このデータから見ますと、日本人は能力はあるのに稼ぐことができないということだと思うのですが、どう考えますか?」
甘利議員
「能力を効果的にフル稼働させていないということになるのではないですか」
反町キャスター
「それはなぜ?何が悪いのですか?」
甘利議員
「たとえば、高学歴の女性が結婚して子供を産む。それに縛られて、働くことを諦めなければならないと。本来だとそのスキルを活かして、働く場所があるのだけれど、子育てしながらフルタイムでは働けない、だから、パートに行ってしまう。だとしたら、子育てをしやすい環境を整えるとか、あるいは子育て中の女性でもそういうスキルの高いところに、きちんと働けるような、柔軟な働き方をつくっていくと。だから、働き方改革というのは能力のある人が、こういう環境ができれば能力がフル活用できるという環境をつくっていくことだと思うんです」
反町キャスター
「なるほど」
甘利議員
「自分の働き方の足かせになっているものを少しずつ、足かせを解いていくという環境整備をしていく。だから、子育て支援、幼児教育の無償化とか、いろいろな環境整備をしているところです」
反町キャスター
「海老原さん、この日本の生産性の低さと、それに対して個人の能力の高さ、このギャップというのはどう見たらいいのですか?」
海老原氏
「これは、僕は甘利さんとは逆の見方をするわけですよ。まず日本人は真面目過ぎているんですよ。たとえば、欧米だとどうかと言うと、量販店は1%ぐらいの不良品が出てもいいわけです。そうすると、簡単につくって、労働時間がすごい短くなるわけです。日本はこれが0.1%でないと許されない。そうすると、どうなるかと言うと、生産性は1%から0.1%の不良品、たった0.9%しか生産性は伸びていないですよ。それに対して、この不良品を取り除くのに労働時間は1割、2割増えるんですよ。そういうことの連続で向こうはいい加減に働くから生産性が高いですよ。1番驚いたのはバスで、5時になったから観光バスで降りてくれと言われて。目的地に着けないのに降ろされた人がいるんですと。で、向こうの人は、僕も5時で帰るから、当たり前ですと言って、そこからタクシーに乗ったり、電車に乗るんですって。日本人はそんなのあり得ない…」
反町キャスター
「絶対、あり得ないです」
海老原氏
「あり得ないと言って、8時まで残業して連れて行ってくれても、生産は1円も賃金伸びていないですよ。ところが、彼らは降りて、電車を使ったり、バスを使うと、また新しく生産ができるんですよ。つまり、いい加減に働いて、早く帰る。99%、98%で終えて早く帰る。0.1%まで詰めないという社会にすれば、これは社会が全部、楽になるんですよ」
反町キャスター
「それができます?」
海老原氏
「それなんですよ」
反町キャスター
「日本人…」
海老原氏
「でも、噛んでもいいんですよ、アナウンサーだって」
反町キャスター
「海老原さん、それは自分で、海老原さんはそういうキャラなのですか?」
海老原氏
「いやいや、そんなことありませんよ、私は」
反町キャスター
「自分ができないことをやれと言ったってダメではないですか?」
海老原氏
「社会が…、僕、社畜というのは、会社の畜ではなくて、社会畜ですよ。社会、皆がそれを求めて、こういう形になっているから、労使に矮小化するのはなくて、社会を変えていかないと無理でしょう、ここから先は」
反町キャスター
「連合は、そこまで踏み込んだことはなかなか言いませんよね?海老原さんみたいな話、いい加減に働くことによって生産性を高めようという、ロジックをとります?」
神津氏
「私ら、誇りをもって…」
反町キャスター
「ほら、ほら…、ここが、ダメでしょう?」
神津氏
「ただ、海老原さんの話とちょっと共通することとして我慢し過ぎるという問題があると思っているんですよ。ちょっと面白い数字で、若い人達のキャリア観ということで、職場に不満があれば転職する方が良いと考えている割合、20代の人達、スウェーデンは47.4%で半分近く、日本は14.2%。だから…」
反町キャスター
「若い人で?」
神津氏
「そう。不満があってもじっと我慢をして、とにかくここでやろうと、もう他に道ないなということですよ」
反町キャスター
「3年と言うではないですか?石の上にも何とか、みたいな…」
神津氏
「スウェーデンとこの日本の違い、セーフティーネットの違いですよ」
反町キャスター
「ああ、はい」
神津氏
「だから、現在、雇用の金銭解決みたいなことも何か議論の俎上に上がっているけれども、セーフティーネットが確立しているか、していないかで、世の中、全然違ってくるんですよ。スウェーデンは解雇規制が緩いですよ、すぐにクビにできますよ。だけど、国と労働組合と一緒になって、経営者も一緒になって路頭に迷わすということをしないんですよ。職業訓練を完璧にやって、やりたい仕事は、あなたは何ですか、その仕事先を見つけます、そこまでやるんですよ。だから、自分の勤めている会社に文句があれば、いつでも辞めてやるわという、逆に言ったら、労働者に力があるんですよ」
反町キャスター
「だったら、連合だって、労働者に対して、いつでも辞めるぞと、グイッと言えというふうに、闘う姿勢を注射すれば一気に…、どうぞ…」
神津氏
「いや、セーフティーネットがないから」
反町キャスター
「あっ、ないから、それが言えないと言うの?」
神津氏
「そう」
反町キャスター
「えー?」
神津氏
「いや、それは大きいですよ。だから、それを今からでもやっていく必要があると。要するに、現在、人手不足だから、ちょっと現実と違うのではないのと皆さん、思うかもしれないけれど、今のうちにやらないと、うん、雇用保険だってお金が貯まっているのだから、そういう制度をつくったらいいと思う」
反町キャスター
「もう1つ。生産性の話で言うと最低賃金の議論を言う方もいます。1時間あたりの最低賃金、フランス、オーストラリア、ルクセンブルク、OECDの一部先進国のデータですけれども、日本は11位ですよ。この日本の最低賃金というものの低さというのと、生産性、関係あると思いますか?」
神津氏
「関係ありますよ。だから、取るべきもの取らないで我慢してきちゃったから、こういうことになってきたんですよ。だから、20年間、デフレだったでしょう。実際には、中小企業に働いている人だとか、あるいはその20年間、何が起きたかと言うと、非正規と言われる形態で働いている方々が2割から4割になっちゃったわけですよ。そうすると、低所得の人達がすごく増えて、しかも、そこは、賃金が上がらないという仕組みを20年間つくっちゃったから、この蓄積がこの差になっちゃっているんです。アメリカも、連邦の最賃ですけど、州ごとにこれを15ドルぐらいを目指そうというのが現在の動きですから」
反町キャスター
「海老原さん、日本のこの最低賃金の状況をどう見ているのですか?」
海老原氏
「うん、低いと思います」
反町キャスター
「低い?」
海老原氏
「低いけど…」
反町キャスター
「これを上げれば、生産性が上がるのですか?」
海老原氏
「ただ、向こうの一般的なワーカーはもっともっと貰っているんですよ。たとえば、レストランとかでも、もっともっと貰っている。レストランで普通に給仕している人だって、20ユーロぐらい貰っているんですね。それは協定賃金という形で、かなり横の労働組合があって、一緒に上げていくという仕組みがあるから上がるんです。それぐらい貰わない限り、生産性は意味ないですよ。最低賃金で働いている人は、だいぶ減ってきていますから、現在」

改革がもたらす変化
反町キャスター
「生産性と言うと、効率みたいな話、たとえば、AI(人工知能)を導入するとか…」
海老原氏
「いや、違います」
反町キャスター
「そうではないですよね?」
海老原氏
「そう、つまり…」
反町キャスター
「賃金だという、その話…」
海老原氏
「賃金。そうすると、それでいくのは、向こうはその分、レストランも高いんですよ。そういうような生活を強いられてもそれが社会だと思うわけですよ。高いものを食べて、高い給与を貰って、高い協定賃金があって、こういう社会ですよ。それはそれで、どう思いますか?」
反町キャスター
「でも、500円ランチができないですね、その場合は絶対に?」
海老原氏
「そうすると、残業もしなくなるし、家に帰ってご飯を食べるんです」
反町キャスター
「連合はそういう社会を目指しているのですか?」
神津氏
「そうです。だから、何かずうっと溜まってきてしまっている、それを何とかブレークスルーするためには上げなければいけないですよ。だから、消費者としての態度というものも考えようというのが今回の私どもの方針の中に入れているんですよ。要するに、安かろう悪かろうではダメなので。それは消費者としても、こういう良いものを買えるということがちゃんと持続的につながるねと、この陰で働いている人達はどういう形で働いているのだろうか。そのへんまで思いを致していこうよと、そういう投げかけもしているんですよ」
反町キャスター
「甘利さん、最低賃金をどう考えますか?日本は上げるべきと感じますか?」
甘利議員
「言わせていただきますけれど、安倍内閣の5年間で100円上げているんですよ。私、昔、労働大臣をやりましたけれど、それはそれぞれ政労使で、いろいろと話し合っていく中で1円、2円上げるのは大変だったんです、当時。現在は平均20円上げていくわけですよ」
海老原氏
「うん」
甘利議員
「この努力は、要するに、安倍内閣として最低賃金、中小企業は大変だけれど、そういう上げられる環境をつくりながら上げていくのだという強い意志があるから、これだけ上がっているんです。もちろん、生産性を上げていって経済成長を高くもっていって、そういう環境整備はしますけれども、最賃は1000円を目指してやっていきますから。この努力は大いに評価されていいと思うんです。それから、先ほど、海老原さんが言われた話は、これは絶対やっちゃいけないことです。なぜかと言うとね…」
反町キャスター
「どの部分ですか?」
甘利議員
「たとえば、95%の精度があれば製品として通ると…」
反町キャスター
「ああ、はい」
甘利議員
「それを96%ぐらいで欧米はいいのだと、日本は99%とか、下手すれば100を求めようとすると。この努力が、日本を支えているし、その努力を完璧にしていくということをうまく競争力につなげることがまだ噛み合っていないから、こういう状態ですけどね。この本質を失ったら、日本の産業は崩壊しますよ」
反町キャスター
「質を落として生産性を高めるか…」
甘利議員
「それは邪道です」
反町キャスター
「ないしは質は維持しながら生産性を上げるためには…」
甘利議員
「要するに…」
反町キャスター
「賃金を、価格を上げなければいけなくなるんですよ」
甘利議員
「要するに、それを競争力にうまく噛み合っていないですよ。そこをしっかりやっていくのが政策ですよ」
海老原氏
「いや、先ほど、話した話、甘利さんのおっしゃる通りだと思っているんですね。要は、アイロニーで話しているんですよ。日本人の良い部分でもあるということを忘れて、つまり、それを捨ててまで、本当に労働時間を短くするのですか。だから、かなりそれと引っついて良い部分ができているんですよ。それも考えながらしっかりやっていかなければいかんのだと思うんです。日本はすぐ欧米の真似をして全部、日本はダメだって言うから、そういうのはあまり好きではないですよ。しっかり考えて、あなたの生活が、たとえば、誰かの残業時間にもなっていますよ、でも、あなたはそれで心地いいですよね、こういうことまで考えていかなければいけないと思うんですよね」
反町キャスター
「そうすると、働き方改革のあとで、仕事や会社に対する日本人の意識というのは働き方改革から離れてもいいですよ、変えていかなくてはいけない部分があるとしたら、どこを変えていかなくてはいけないのですか?」
海老原氏
「…」
反町キャスター
「密度?何ですか?よくダラダラ働きとか言われるではないですか?」
海老原氏
「でも、これは…」
反町キャスター
「ダラダラ働きは本当にダメなのですか?」
海老原氏
「いや、ダラダラ働きしている人はそんなにいないです、すごく働いていますよ。あれやれ、これやれ、で、それがほとんどおもてなしですよ。だから、おもてなしを少し、若干減らしたらどうですか?」
反町キャスター
「接待とか、そういう意味ではないですよね?要するに、急な注文に対しても柔軟に対応するとか」
海老原氏
「そうですよ、明日までにやりますとか」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
海老原氏
「うん」
反町キャスター
「それは、要するに、日本企業の数字に表れない負担?」
海老原氏
「でも、それはまた…」
反町キャスター
「それは日本企業の強さですよね?」
海老原氏
「強さです。でも、社外でやる時はいいのですけれど、社内でもそれがあるんですよ。上司の急な注文とか、急な…、上司の上司がダメと言うので、また、やれとか、こういう社内のだけでも直した方がよくないですか?」

雇用ジャーナリスト 海老原嗣生氏の提言 『サービスは有料』
海老原氏
「甘利さんと神津さんと話していて、ようやく僕もわかりました。おもてなしとか、なくてはいけないですよ。なくさずにそれはちゃんと有料で対価をもらわなければいけない。それが日本の問題です。と言うことは、サービスという概念、サービスという言葉をちょっと変えなければ、日本はサービス、イコール無料ではないですか。サービスしておきますは無料ではないですか。サービス残業は無料残業ではないですか。そうではなく、向こうはサービスしたのだから、有料で当たり前なのだから、サービス、イコール有料という概念にしていくのが社会改革かなと思いました」

神津里季生 連合会長の提言 『これも底上げ』
神津氏
「私は、これも底上げということで書かせていただいたのですけれども。先ほど、申し上げたように春闘、私ども一昨年から底上げだということで、中小が大手を上まわる賃上げで、これも実績として、連合の中では獲得しているんですよ。働き方改革も、私はこれも底上げだと思って、この20年来の中で、差がついちゃっている、この分野でも差がついているんだと思うんです。現在、人手不足ですから、放っておくとしわが中小企業に寄ってしまいますよ。現在、残念な動きとして、政労使で腹を括ったはずの働き方改革、これの施行のタイミングが中小企業は一部ずらすという話でしょう。私はとんでもない話だと思っていて。そういうことを認めちゃうから、いつまで経っても意識改革ができないのだということですよ。それは中小企業の経営者の方は大変ですよ。だけど、そんな1年ずらすということによって、中小企業は違うよなと、難しいんだよな、みたいなことの悪しき常識がまた頭をもたげてしまうので。私は絶対そんなことをすべきではないと思っているんです」

甘利明 元経済再生担当大臣の提言 『小さなカイゼン 大きな改革』
甘利議員
「トヨタの躍進を聞かれた時に、張会長はカイゼンですと。そんなことないでしょう、大きな革新が、技術革新があったのではないですか?いや、カイゼンの積み重ねですと。政労使、皆、関係するものは良いと思うことを少しずつ提案して、それをまとめあげることが大きな前進につながると思っています」