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2018年2月12日(月)
総検証『働き方改革』 『高プロ・裁量労働』

ゲスト

橋本岳
自由民主党厚生労働部会長 衆議院議員
長妻昭
立憲民主党代表代行兼政務調査会長 衆議院議員
デービット・アトキンソン
小西美術工藝社社長

高度プロ&裁量労働の拡大
竹内キャスター
「安倍総理が今国会の最重要課題に掲げる『働き方改革』。来月にも国会での議論が本格化する見通しですが、プライムニュースでは今日から3日間にわたり、3つのテーマに分けて働き方改革を徹底検証します。第1弾となる今夜は、従来の時間による評価ではなく、成果によって評価される働き方『高度プロフェッショナル制度』と『裁量労働制』について取り上げます。今国会で安倍政権が成立を目指す、働き方改革関連法案。その中の高度プロフェッショナル制度と裁量労働制に焦点を当てて議論していきますが、そもそもこの2つの制度はどういうものかと見ていきますと、労働時間の長さより労働の質や成果を評価するもの。高度プロフェッショナル制度の対象となるのは金融・経営コンサルティング・研究開発など高度な知識を必要とする専門職で、平均年収の3倍、年収1075万円以上の方々です。労働基準法で定められた労働時間などの適用から外し、自由に時間を使って働けるようになると。ただし、自由に時間を使える一方で、長時間働いても残業ということにはなりません。一方で、裁量労働制は労使間で働く時間を決め、それ以下の労働時間でもそれ以上の労働時間でも決まった時間で働いたことにする『みなし労働時間制』です。これまではクリエイティブ職など19種の専門職と、企画・立案業務のホワイトカラーなどが認められていましたが、これに、課題解決型の開発提案業務などが加わるということですね。これがどういったものなのかは後ほど詳しく聞いていきますが。まずは橋本さん、この2つの新制度の狙いと、これまでの時間イコール成果という仕事への評価が時代に合わなくなってきている、変わってきているということなのでしょうか?」
橋本議員
「まず高度プロフェッショナル制度というものが新しい制度を今度提案しようということになっています。それと、裁量労働制については既に専門業務型と企画業務型という2つのものが既にあって、そこに追加をしようという話ですので、新しい制度ではないということは1つ申し上げます、必ずしもね。それと実は安倍総理がおっしゃることにもやや綾があるのですが、今回の働き方改革の法律では成果を評価する仕組みでは実はないんです。逆に言うと、成果で評価をされるような労働時間で給料を決めるのがあまり合理的ではないクリエイティブな仕事だとか、うーん、そうですね、調整力がいる仕事、企画力がいるような仕事、そうしたお仕事の人にフィットしやすいように労働時間規制の例外をつくろうと。あるいは例外を少し広げようというものだとご理解をいただいた方がいいと思います。だから、それはこれまでのような労働時間規制に合うような、きちんと長い時間働いた方が、売上げがあがる、そうすると、それで残業がつく方が合理的な仕事の仕方というのもそれはあるでしょうし、だから、そういう方には現在のような、現在の制度のままの体系で働いていただければいいと思います。そうではなく、たとえば、研究開発をしていてというような方が、9時-5時で机に座っている人では必ずしもなかったりする。成果が出たり、とりまとめたりするときはかなり忙しくなるけれど、そうではない時は別に早く帰っちゃうとか、実験中だから、机に座らなくていい時は子供の面倒を見に帰るとか、そういうことができるように柔軟な働き方を導入しようというのが今回の制度の趣旨です」
反町キャスター
「長妻さん、要するに、時間ではないところで、賃金、ないしは成果、成果ではないにしても本人がここまでやるというある意味の目標を設定したうえで、賃金を雇用者側と契約を結ぶという、このシステムについてはこれ自体はいいのですか、悪いのですか?どう評価されます?」
長妻議員
「本当にプロフェッショナルで、たとえば、年収2000万円とか、本当に引く手あまたの人が会社と交渉するというのなら、まだわからなくはないのですが…」
反町キャスター
「なるほど」
長妻議員
「最低賃金で働いている人とか、契約社員とか、そういう人が裁量労働を自分の裁量でできるのかということで。それは、あなたは希望するから、希望者だけですよと言ったって、会社からやれと言われたら、それは選択の余地はないので。労働法制というのは…」
橋本議員
「ただ、そこには労使の委員会という委員会というような前提も入っていますからね」
長妻議員
「労働法制というのは、何しろ労働者と経営者の契約は、これは力関係が圧倒的に経営者が強いから、だから、規制を強めている。だから、それを、岩盤規制を総理は言って、穴を開ければいいみたいな発想でやると、本当に日本の労働がさらに劣化する」
反町キャスター
「長妻さん、高プロと裁量労働制は成果主義の1つだと思いますか?」
長妻議員
「いや…」
反町キャスター
「時間ではなくて成果だと総理が言っているので、敢えて聞きます…」
長妻議員
「成果というのが法律上、どこも規定がないわけですね、口ではおっしゃっているのですが。しかも、特に裁量労働制については、自分で裁量できるのかという疑問もあって。現在ある裁量労働制も、調べてみますと、厚労省の独立行政法人ですけれども、出退勤時間が決まっているという裁量労働制の労働者が45%もいるんですよ」
反町キャスター
「それは何かおかしくないですか?」
長妻議員
「何時に出ろ、何時に帰れ、というのは、裁量労働制としては違反ですよね」
反町キャスター
「なぜそういうのが…」
長妻議員
「半分が、違反が放ったらかしになっているような働き方で、取り締まれないんですよ、ちゃんとした…」
橋本議員
「そういうこともあるので、今回の法改正でちゃんと出勤・退勤時間については指示をしないことというようなことにはしているので」
長妻議員
「現在もなっているのだけれども、守られていないではないですか」
橋本議員
「要するに、現在、不適正な裁量労働制の適用があるということについては…」
反町キャスター
「それもちゃんとやろうと?」
橋本議員
「それは、ちゃんとやらなければいけませんねというのは、当然あるわけです」
反町キャスター
「そうすると、今回は広げるということなのだけれど、それ以前に現在、存在している裁量労働制についても問題があるというのは皆さん、認識は共有されるわけですね?」
橋本議員
「制度に問題があるのか、制度の運用とか、たとえば、苦情を言うことができ、それを処理するために使用者は適切な措置を講じなければいけないという規定があります。あるけれども、それが実体として動いているのかどうかだとか、そうしたことというのはもちろん。おっしゃるように、確かに不適切な裁量労働のされ方があって…」
反町キャスター
「半分ですよ、働いている人の…、1部ではないから」
橋本議員
「…あって。当然ながら、過労死の人もおいでである。そういうことは本当にあってはならないことであります。それは裁量労働であろうと、普通の労働であろうと、過労死をされる方はおられて、残念ながら。それはきちんと、それぞれの適用されている法律なり、制限なり、いろいろなことをキチッと守っていただいているかどうかというのは、それは厳密に見ないといけないと思います」
反町キャスター
「アトキンソンさん、現在、日本が働き方改革という名の下の、時間ではない、就業時間・残業時間、トータルで賃金がなんぼという、時間ではない形で、賃金とか、そういうものを決めようとしている。この変化、流れというのをどう感じますか?」
アトキンソン氏
「難しいですよね。コーポレートガバナンス制度が導入された時もそうでしたけれども、結局、制度を変えることによって目的が果たせるかどうかという問題があるんですね。私からすると、こういうのはほとんど道具の話です。成果主義ということよりも、成果を出す、経営者側にそういう考え方があれば、こういうような規制を変えることによって、それを実現することは考えられます。ただ、この成果を出すつもりがない経営者にとっては、こういうものを出しても、つくっても、悪用される可能性もあれば、そのまままったく使われないこともあります」

『高度プロ制度』の狙い 自由な働き方と『残業代ゼロ』
反町キャスター
「高度プロフェッショナル制度というのは1075万円以上で、企業とある意味、契約を結んで働き方、時間とか、そういうものに捉われず、キチッと結果を出してくださいという、こういう働き方とした場合に、極めて専門性が高い、金融とか、経営、研究開発等々に携わる方となっている。労働者全体の中での高度プロフェッショナル制度にあたる人というのは2%とか、3%とか、そのくらいですか?」
橋本議員
「と言うか、全体の労働者の中で、1000万円以上、基本給で、ですから、ボーナスは別です、…の方が当てはまるのが管理職の人も入れて3%ぐらいと言われています。ですから…」
反町キャスター
「これは当然、管理職が、ではないですよね、この人達は?」
橋本議員
「…どんな人がわからないですけれども」
反町キャスター
「高プロの対象者が管理職ではない?」
橋本議員
「管理職ではないです。ですから、3%は下まわるよね、ということにはなると思います」
反町キャスター
「なるほど。3%を下まわる人達を対象にしたこういう制度、全体に何か波及する効果があるということなのですか?それとも働いている人達が現在の労働条件が劣悪で、その人達を救わなくてはいけないと、そういう趣旨から高度プロフェッショナル制度を導入しようと思っているのですか?」
橋本議員
「年収を少なくとも1075万円をとって、さまざまな専門性等を駆使し、お仕事をしていただいている方に、もっと自由に働いて、自由にと言うか、時間とかに縛られず仕事をしていただきたい。単に稼ぐだけではなくて、それはワークライフバランスという面もあって。お家のことも、お子さんのことも、やらなければいけないかもしれず、そういうことを柔軟にしていただけるような制度とお考えいただければいいと思います」
反町キャスター
「ただ、労働時間とか、働く時間に関する縛りがなくなる分、それが果たして当事者にとっての、事実上の、と言うか、時間あたり、労働時間あたりの賃上げになるのかどうか?家で働く時間も増えました、ないしはいろいろな形で仕事に拘束される時間が増えて、賃金が変わらなければ、それはもしかしたら賃下げになるかもしれない。そのへんのところは、どう見ているのですか?」
橋本議員
「それは結局、事前のその仕事の内容というものを、どれだけきちんとお互い、使用者と労働者が確認をして、納得をしてやっているかということに尽きると思います。だから、逆に言うと、それ以外の仕事を、これも手伝って、あれも手伝ってよ、と言った時に、いやいや、これ以上は職務内容書に入っていないでしょう。と言えるようなことが必要です」
反町キャスター
「それは一般社員が、たとえば、僕がそうだとした時に、僕が普通に働いていて、いきなり上長か何かに言われ、君は今度、高プロにならないかという提案なのですか、なれという命令なのですか?」
橋本議員
「同意が必要ですから、提案だと思います」
反町キャスター
「提案?」
橋本議員
「はい」
反町キャスター
「断ったら、何か怖い目に遭うとか、そういう可能性はないのですか?」
橋本議員
「高プロの同意については、それを断った時に不利益にならないようにということは、法律にちゃんと明記をされています」
反町キャスター
「企業側が…」
橋本議員
「ついでに言うと、これはあくまで私の体験なので、一般化できるかどうかはわかりませんけれど、同時に、要するに、こういう仕事をしなさい、あなたは給料いくらですよ…。私は、前に勤めていた時にフレックスタイムで勤務をしていて、途中から裁量労働制になりました。だから、そうすると、見なしで決まるわけです。その時、要するに、見なしの残業時間は何となくわかりますから、それを超えないように仕事をしようとインセンティブが働くようになりました。たとえば、なぜ長くなるのかと言った時に、これは自分の場合ですけど、間違いをして訂正をするのに時間がかかったとか、資料をつくったけれども、上司の人から直せと言われたので、先に確認しとけばよかったなと思いながら直すとか、そういうようなことを逆に気をつけて、早く済むように、間違いをしないように丁寧にするようにするようになって、それで通常の時はちゃんと見なし時間を、よりも少なく帰るようになったという、そういうこれは個人の体験ですから…」
反町キャスター
「なるほど」
橋本議員
「必ずしも皆さんが皆さん、そうなるかどうか言えませんけれども、そういう面もあるんだろうと思います。要するに、長く働いて結局、間違いをして、すごく夜遅くなっちゃったという時に、残業代のつく制度だった、らそれで給料が増えるわけです」
反町キャスター
「それはそうです」
橋本議員
「それが果たして、合理的なのですか。生産性を上げることにつながるのですか。それよりもどうやったら間違いをしないように、手戻りをしないような仕事をするかということをちゃんと働く人も使用者の人も考えて仕事をしようねということが必要なのだと思います。そういうことを促すための制度だと思っています」

年収1075万円の『線引き』は…
反町キャスター
「長妻さん、裁量労働制ではなく、高プロだけに限って聞いていきたいのですけれど。長妻さんは高度プロフェッショナル制度をどう評価されているのですか?」
長妻議員
「管理職という立場の方は、これは当たり前ですけれども、残業代でないわけですよ。まさに時間とは関係ない成果主義で働いている方がたくさんおられると。だから、管理職という形に何でしないのかと。管理職を偽装して。管理職でないのに管理職にして、給料、残業代を払わないと、こういうことが相当、横行していまして…」
反町キャスター
「それは、いわゆる店長にさせて…」
長妻議員
「そうですね」
反町キャスター
「そういう例がありますよね?」
橋本議員
「肩書をつけて…」
反町キャスター
「肩書をつけてね。ただ、あのケースの場合は1075万円を超えているのですか?」
長妻議員
「名ばかり店長とか…、名ばかり管理職とか、そういうのもありましたけれど。だから、そういうところにこの年収要件も今度ドンドン下げられて」
反町キャスター
「下げるというのが怖い?」
長妻議員
「まず、これは初めての制度ですね。これは一切、時間は問わない、管理杓ではないということで。そういう、懸念も我々は大変多くあると思っています」
反町キャスター
「橋本さん、高度プロフェッショナル制度にならないかと言われた時に、断るか、断らないかの判断というのは個人に委ねられていると言いましたけれど、それは、たとえば、強い労働組合がある会社と、労働組合がほぼほぼない会社では、後ろに支えがいるのと、いないとの、だいぶ変わってくるのではないですか?その違いをどう見る?」
橋本議員
「ええ、手続き的には当然、労使の合意は必要ですし、労使の委員会によって、この人が高プロ制度の対象になるよとか、企画型裁量制度も同じですけど、というような仕組みが入っています。だから、そこでまずガードされるべき人はガードされるであろうというのは、組織の自治の問題、労使自治の問題として、きちんとガードされるだろうと期待をしています。ただし、もちろん、おっしゃったように、いや、実際は機能しないんだよねという会社も結構いっぱいあるのだと思います。その時にこれから議論しなければいけないのは、高プロをいっぺん、このジョブ・ディスクリプションでいくらというので受けましたと、受けた時に、だけど、話が全然違ったとか、やってみたけれども、自分の能力に合わなくてちょっと大変すぎるという時に、それを見直すことができるのか、あるいは破棄をすることができるのかということについて、もうちょっと議論をした方がいいのではないかとは思います」
反町キャスター
「見直しの権利は認められているのですか、現行、この案では?」
橋本議員
「まず苦情を、えっと、苦情を言うことができるということは書いてあります」
反町キャスター
「なるほど」
橋本議員
「ただ、もちろん、それは苦情処理で、しかも、使用者がそれに応じてくれるのかということもたぶん疑問な世界の話をしているんだと思いますが。その時に、同意が前提ですから、当然、同意が前提だったら、それはやめたということは言えるわけです。あるいは言えなければ、それはおかしい話だと思っています」
反町キャスター
「あとは、言われた、たとえば、1500万円で契約して、成果はこういうものを目標にしてがんばりましょうということで契約した時に、達成できなかった時に、ノルマとして、数字として、たとえば、何億円の売上げをあげなくてはいけないと、そういう目標設定にもよるのでしょうけれども、達成できなかった時には契約した賃金よりも減額されるとか、そういうことになるのですか?」
橋本議員
「それはどういう形でその労働契約を結んでいるかによると思います。ただし、払われる金額が1075万円以上というのは決まっているので」
反町キャスター
「最低それは保障するという意味ですか?」
橋本議員
「はい」
反町キャスター
「ただ、それも、たとえば、アトキンスさんに聞けば済むかもしれないけれども、外資系の銀行で、ディーリングの話とか、そういうことをやっている皆さんというのは、おそらく1000万単位ではないですよ?」
橋本議員
「ええ、ですから、逆に言うと成績が上がらなくても1075万円ぐらい払われているよねというラインで切っているんです」
長妻議員
「保障するというのも初めて聞きましたけれども、これは…」
反町キャスター
「ちょっと待ってください。1075万円が最低限と言ったって2億、3億円、ガラガラ稼いでいる人達がいる中で、最低1075万円が保障されているからと、それはちょっと何か…」
橋本議員
「ごめんなさい、基本的に払われる給料が…、基本的に払われる、要するに、事前にこの1年間で年収が1075万円以上ということは前提として入っているので、それを下まわってはいけないということになります」
反町キャスター
「では、契約をした以上、どんなに成績が悪くても、その分は払わなくてはいけないということが経営側にも?」
橋本議員
「高度プロフェッショナル制度を適用している限りです」

国際社会が見る『日本の労働』
アトキンソン氏
「先生の話にあったように、経営者と労働者が対等ではないという話があったのですけれども、これは大きく変わります」
反町キャスター
「ほう」
アトキンソン氏
「それは現在から2060年までに日本の生産年齢人口は3625万人が減るというんですよね。42%です。これまでの先進国の中での歴史の中で、そのぐらいの減少が起きたのは、1347年以降の欧州におけるペストの時代」
反町キャスター
「ほう」
アトキンソン氏
「ちょうど半分になったんです」
反町キャスター
「なるほど」
アトキンソン氏
「半分になった時に、何が起きたかと言うと封建制度が崩壊していって、民主主義が始まったんです」
反町キャスター
「フフフフ…」
橋本議員
「なるほど」
反町キャスター
「日本では何が起こるのですか?」
アトキンソン氏
「これまでの、私から見た日本の企業制度というのは、戦争が終わったあとにどの先進国でも体験したことのない爆発的な人口増加があったんです。1950年から1960年までに日本の労働者の人口が1000万人から2100万人まで増えているんです。どの国でも、このぐらいのペースで増えている国はないです。人があふれ過ぎて、その時代では雇用してくれれば何でもやりますという、まさに封建制度です」
反町キャスター
「なるほど」
アトキンソン氏
「これからはドンドン減っていく中で、労働者というのは、貴重品中の貴重品になりますので。これまでは経営者としては雇ってやるよという感じだったのですけれども、現在は既に始まっています、社長として、お願いしますよと頭を下げるようになっています」
反町キャスター
「へえ」
アトキンソン氏
「そう考えると、ドンドンその方向に行きますので。ドンドンこういう経営者・労働者というのがドンドンこういうふうに逆転していくということで。そういう意味では、こういうような問題というのは、現在はどう考えるかという視点も大事なのでしょうけれども、これから人口減少によって、この関係がどう変わっていくかということを考える必要はあると感じます」
反町キャスター
「アトキンソンさんの立場からすると、高度プロフェッショナル制度、極めて専門性が高い職業で、1075万円以上の専門職の人に関しては残業時間とか、総労働時間とか、働く場所、もう自由にやってくださいという、そういう契約を会社と労働者との間で交わすというのは、こういう制度というのは、もう要らなくなる?そんなことを言おうと、言うまいと労働者の方が強くなって、あなた、僕にいくらくれるの?僕は普通に仕事するからねという、そういうような関係にドンドン変わっていくのではないか、そういう意味ですか?」
アトキンソン氏
「外資系を見ると、私は外資系に7年いたのですけど、契約なんか1枚ないですよ。高度プロフェッショナル云々ということは言われたこともない。ただ単に、今年1年間でどう働いていって、それに対してどう評価するのかということと、1年間を終わったところで、経営者との今年の報酬はどうするのかというものですが、これはあった方がいいと思います。ないよりあった方がいい。だけれども、これがあったからと言って、どうということはないというところが変わらないところですね」
反町キャスター
「日本の人口で1075万円以上の人が3%しかいないと、管理職も含めて。実際に1075万円以上の専門職として働いている人は、たとえば、1%とか、2%しかいないということになった時、その人達があまり増えることというのが企業の活動全体にとって善いのか、悪いのかということも考えどころですよね?」
アトキンソン氏
「いや、でも、1000万円…、1000万円と言ったら世界的に見てそんなに高いものではないですよ」
反町キャスター
「でも、日本で3%しかいない」
アトキンソン氏
「だから、それがおかしい」
反町キャスター
「あっ、日本の給料が低すぎる?」
アトキンソン氏
「要するに、生産性が低いから、その分だけ所得が低いのですけれども。そうすると、1075万円と言ったら、私がいたゴールドマンサックスで新入社員以下ですよ」
反町キャスター
「厳しいことを言いますね」
アトキンソン氏
「だから、これの云々ということを言うのだったら、1000万円もらえる人だってドンドン増やしてもらえば、それは素晴らしいことだと思います。現在は3%しかいないということは、そこに問題があるんです」

検証『裁量労働制』 対象拡大の狙いと効果
竹内キャスター
「これまではクリエイティブ職など19種の専門職と、企画・立案業務のホワイトカラーなどが既に認められていましたが、働き方改革では、これに課題解決型の開発提案業務などを加えるとしています。裁量労働制ということで、労使合意に基づく『見なし労働時間』が適用されます。橋本さん、この新たに対象になる『課題解決型開発提案業務』というのは具体的にどういった仕事なのでしょうか?」
橋本議員
「はい、具体的には、こうシステム開発もする、コンサル担当みたいなものをイメージしていただくと1番近いと思います。そもそも企画業務型の裁量労働制というのは、まず自分の会社の事業の運営に関して、調査・研究、それから、企画・開発をする、企画・計画をするとか、というものを主にされる方というのが現在の対象です、ざっくり言ってしまえば。それは、要するに、自分の企画部みたいな、たとえば、会社の経営企画部みたいなところで、管理職ではないけれども、そういう仕事をしている人を対象にして裁量労働制にしていると。それは自分の会社の中でやっている人はそうなのですけれども、当然ながら、その会社で経営企画部みたいなものがなく、コンサルタントがやっていますとか、あるいはそこで基幹システムの導入みたいなものを含め、その会社の業務の見直し、フローの見直し等々をやって、システム開発をするみたいな人もいます。そういう人にも、この裁量労働制を当てはめていこうというのが課題解決型の開発提案業務ということです。ですから、基本はまず自分の会社の事業のその企画部門の人みたいなイメージの、現在、裁量労働制になっているわけですけれども、それをよその会社について、法人である顧客の事業の運営、監査事項について云々、企画・立案・調査を主とする云々となっていますが、よその会社のそうした調査研究とかを、こうしようという方向を定めるような仕事をし、さらに自社が持っている、たとえば、システムの開発というか、カスタマイズぐらいでもいいわけですけれども、そうしたことを提案していく、こうしたことを…」
反町キャスター
「コンサルティング業みたいな感じ?」
橋本議員
「えっと、ざっくり言ってしまえば、そういうことです」
反町キャスター
「そんな感じですか。よく俗にこの話は『課題解決型の提案業務など』という、この漢字がたくさん並んでいる表現ではなくて、かつて長妻さんから聞いたのかな?」
橋本議員
「以前はたぶん…」
反町キャスター
「法人対象の営業が入るのだよという…、これは違うのですか?」
橋本議員
「以前、この法案はこの前の衆議院解散総選挙でいっぺん廃案になっちゃったので、今回、他のいろいろなことと、もう1回出し直すということになります。その時に、前の提出をした法案の時には『課題解決型定提案営業業務』でしたかしら。そんな名前になっていました。営業という面がすごくクローズアップをされていたという面があります。その間…、それで、それがもう1回、働き方改革ということで出し直すということになる、時間的には前ですが、連合さんからもご要望をいただいて、これはちょっと営業というのが入ってしまうのは問題が多いのではないかというご要望もあり、厚生労働省の方でそれを受けて、こういう課題解決型の解決…、開発提案業務、こういう整理にしたということがあります」
長妻議員
「これは一応、打ち出しとして、前は国会でも何度も答弁していたのは『課題解決型提案営業』ということで答弁していたんですね。営業は法人営業、それも課題解決型のものは入るという答弁をしていたのですが。今度は法律の条文を変えて、もうそれは入らないというような、営業は入らないというような趣旨の形で当初、いろいろ外に宣伝をしていて、橋本さんもおそらくそういう理解でおられるのだと思いますが、まったくの間違いで。私が、厚生労働省に明確に確認をしましたところ、前の課題解決型提案営業という名前自身は通称名で、この業務の名前はやめたけれど、開発提案業務と変えたけれど、中身はまったく変わっていませんということは、明言していますので。これはもう間違いのない事実なので、ここで言っておきたいと思うんです。それで、たとえば、私もかつて電機メーカーの営業マンをやっていたんですね、大学を出て。その業務は入るのですかと厚生労働省に聞いてちゃんと定義が出てきました。『金融機関に対し、新たな全社的な業務新システムを開発し提案する業務』、これは私がやっていたわけですよ、だから、入るわけですね。たとえば、私がやっていたのは営業ですけれども、汎用コンピューターの。信用金庫を丸ごと、そのシステムを提案して、全部それはオーダーメイドですよね、SE(システムエンジニア)を連れて。そういうその出来合いのコンピューターでなく、システムをコンサルタントとして売るわけですから、システムをつくって。ですから、そういう営業というのは、これは入るわけで。ですから、一部上場企業の法人営業というのは、かなり入るのではないかなと」

どう防ぐ? 長時間労働リスク
反町キャスター
「長妻さん、そもそも論を1点。裁量労働制というのは良くないの?」
長妻議員
「良くないですね」
反町キャスター
「良くない?何が良くないのかだけ、簡単に教えてください」
長妻議員
「まずは時間管理ができない。しかも、裁量労働制、現在の小さい裁量労働制ですら、出退勤、出勤と退出の時間が半分の労働者はもう決まっているというような…」
反町キャスター
「裁量と言いながら?」
長妻議員
「裁量でないような働き方が横行していると。こういう現状に鑑みると、時間に捉われない働き方というのは限定正社員とか、フレックスタイム制、いっぱいあるわけですよ、現在、日本にはメニューが。その中で裁量労働制を営業まで拡大していくというのは、たとえば、大手印刷会社の男性、27歳で過労死された方も、裁量労働制で、見なしは1日8.5時間の労働でしたけれども、メールでは1時過ぎに帰宅して、3時に就寝して、6時半に起床して、7時過ぎに出社するみたいな、証拠も残っているわけで。あるいは機械の大手では、34歳で過労死された方も裁量労働制で1日の労働時間が8時間と見なされたけれども、月に残業が、100時間以上が多かったとか…」
反町キャスター
「ただ、その場合は、1日の労働時間が8時間と言いながらも、月の残業時間が100時間ということは、超えた分というのは当然、裁量労働制の賃金の外ですから」
長妻議員
「払われないです。だから、残業代ゼロ法案と言っているんです」
反町キャスター
「そこは一切、払われないのですか?」
長妻議員
「払われない」
橋本議員
「見なし時間までしか出ないので、それ以上、働いても出ません」
反町キャスター
「見なしを超えた分についてはまったく手当てされないままに、今度の新しい拡大も行われるのですか?」
長妻議員
「それで、反町さん、現場で本当に苦労している、過労死を出さないということでがんばっているご遺族の方とか、いろいろな方にお話を聞くとブラック企業がホワイト企業にこれからなると言うわけですよ」
反町キャスター
「裁量労働制によって?」
長妻議員
「ええ。だけど、裁量労働制が拡大されていない時は残業、あるいはサービス残業で、実際に正確に計れば相当、長時間労働が蔓延しているということになるのですが。ただ、要件が合えば、営業に拡大すれば、それは残業がないと。高度プロフェッショナル制度は一応、年収の1075万円というのがあると。それは年収200万円、300万円の方よりは交渉力はありますよね。それもいろいろ問題があるのですが。ですから、我々が申し上げているのは、裁量労働制の適用の方々について、年収要件もないし、いったい入社何年目から適用されるのか、出勤時間・退社時間も指示されているような、あるいは契約社員でも裁量労働制ができると。つまり、理屈は立派ですよ、お昼でも帰れますよと言うわけですよ、早く仕事が終わればと。ところが、実際の力関係を見ると、到底そういう現状になっていないと。高プロは、入っていないですけれども、裁量労働制は既に小さく入っているわけで、そこでも、そういう問題が多く出ているわけ」
反町キャスター
「労働者側がより現実に近い契約を結べるような方法はないのですか?それとも、裁量労働制自体を完全にチャラにしなくてはいけないと考えているのですか?」
長妻議員
「これは、だから、現在ある制度の中で、やっていく必要があるとは思いますね。現在でも、だから、こういう働き方というのはもうメニューがたくさんあってできるわけですから。こういうような形で労働時間をなくしていくと、成果主義の美名の下に、これは大変危ういことになると、もうデータが示しているわけです」
反町キャスター
「なるほど。いかがですか?何とか実態に近い線というのか、当たり前ですけれども、実態の線で見なしを結ぶということはできないのですか?」
橋本議員
「要するに、実態に見合った見なし時間を設定しなさいということは、指針として書いてあります」
反町キャスター
「ですよね?」
橋本議員
「ですから、本来…、しかも、それは労使の合意、もちろん、労働組合がない会社については労働者代表ということになりますし、その選ばれ方についてはいろいろな議論もあるので、それが万能とは言いませんが、一応、労使の合意によって見なし時間を決めるということになっている。その時にきちんと実態と乖離のない見なし時間をすべきということになっています。ですから、そこについてもし本当に乖離が多くの、たとえば、何人もの人がなっていて、もう長い時間ずっと働いています、みたいな話になれば、それは監督指導の対象になります。先ほど来、過労死の方がおられる、それは不幸なことで、なくすべきことです。それは裁量労働制だからか、それとも、いかなる労働制度であっても使用者がそれを守らない、あるいは無理やり働かせる、パワハラでも、何でもあってということがあって亡くなったのか。要するに、制度が悪いのか、その運用なり、その環境なりが整っていないのか、そこは区別をして議論しなければいけないと思います」
反町キャスター
「でも、話を聞いていると、制度は整っているのだけれども、監視体制なのかな…?」
橋本議員
「監視体制もあるかもしれませんし、あと働く方も、要するに、なぜ残業するのと言う時にもちろん、言われたからやっているのだという人もいると思いますし、何かやらなければいけないからやっているのだっていう人もいる、何となく自分では自発的に思ってやっていらっしゃる方もいるかもしれません。本当を言うと、それはルールの話ではないですけれども、きちんと成果に見合った仕事を適切な時間でやるというような管理がされるべきだと思いますし、必ずしも日本のマネジメントという中で、できていない。これは法律の問題ではなくて、マネジメントの問題ということがあると思います」
反町キャスター
「えっ!?でも、マネジメントの問題ではなくて、政府として労働法制の枠の中に…」
橋本議員
「ですから、政府としては…」
反町キャスター
「…裁量労働制というものを立てるのであれば、それがキチッと見なし労働時間も含めた正しい契約が結ばれるように、法律の中にビルドインするのであれば、それをちゃんと実現するべく、規制なり、監督なりするのは…」
橋本議員
「はい、ですから、政府としては…、だから、規制としては、ルールとしてはこういうふうに決めますという提案をしているわけです」
反町キャスター
「いや、そうではなくて、監視体制の話ですよ」
橋本議員
「それがきちんと実行されているのか、どうかという監視体制は強めなければいけないと思っています」
長妻議員
「もう1つは、これは曖昧なんですよ」
反町キャスター
「何が?」
長妻議員
「監視体制と同時に、曖昧ですね。たとえば、今の話でも法人営業のいったいどこまでが、営業と言ったって、単にモノを売る、法人に売るというのはないですよね。コンサルタントをしながら売るわけで、どこまでかと。実は、これは世の中には、残業代を払わない方法みたいなマニュアル本がいっぱい売っているわけです、本屋さんで。それが変な話、皆が皆、そういうマインドではないのですけれども、経営者の中には裁量労働制が拡大するから、裁量労働制ということで一応適用しておこうと、残業代を払わないでおこうと。もし注意をされたら遡って払うだけでいいのだと。と言うのは、現在、非管理職でサービス残業が4割ぐらいあるという研究データを先ほど申し上げましたけれども、にもかかわらず、昨年1年間で、違法残業で罰金払わせた件数は、たった8件しかないんです。ほとんど取り締まっていないというか、放ったらかしになっているので。ですから、バレたら罰金まではいかないですよ、ほとんどが。ただ、払えばいいわけです、払えば、遡って、本来、払うべきお金を。だから、そういういろいろなメニューを一応当てはめて、残業代を払わないというような形で凌いでいこうと考えるところを増長する危険性もあるし、取り締まりがキチッとされていても、この営業の区分というのは、たぶん反町さんも聞かれてもわからないと思うんですね。法人営業のどこがバツで、どこがマルなのか…」
反町キャスター
「わからないですよ」
長妻議員
「何かコンサルタント的なことをすればマルで。ちょっと単純にブツを、モノをただ売るだけをバツだとか。それが曖昧ですよ。ですから、非常にこれは問題があると」

『日本型経営』理想と現実
竹内キャスター
「戦後の復興から行動経済成長を遂げ、GDP(国内総生産)世界第3位の経済大国となったに日本ですが、そのGDPを国民1人あたりで見てみますと、190か国中27位で、アメリカと比べますとおよそ3分の2と低い位置に現在います。アトキンソンさん、こんなに日本の1人あたりのGDPが低いのはなぜなのでしょうか?」
アトキンソン氏
「これには問題が2つあるんですね。今日の話の通りなのですけれども、結局。働く目的が、生産性が目的で、その生産性をもって所得が決まります。これまでは、こういうのは、27位というのは、要するに、働く成果はいったい何なのか。会社に対する服従なのか、とにかく上司から、早く帰らなければ、それで成果なのかという、こういうような不適切な考え方がずっと、人口がドンドン増えている時代で、非現実的な働き方がいっぱいできたんです。その象徴的なものが、高品質・低価格。高品質・低価格を考えると、要するに、この価格にはまったく見合っていない素晴らしいものをつくる。それで、長時間労働はそこから発生しますね。でも、低価格だから、当然ながら、その人は所得をもらえない。これが、人口が増えていれば、高品質・低価格は正しいです。人口横ばい、これから減少になっていきますので、高品質・低価格というのは、それは労働者地獄です。それがここに出てきているんですよ。日本的経営、日本型資本主義と言って、高品質・低価格をつくって、所得がもらえなくても結構ですと、その結果として27位になりますと。それで、何がポイントなのかと言うと、高い、低いではないです。日本の人材はワールド・エコノミック・フォーラムだとか、国連がやっている分析だと世界4位の質です」
反町キャスター
「すごいではないですか」
アトキンソン氏
「先進国の中でトップ10に入るのは、日本以外にどこもないです、皆、小さいです。唯一入ってくるのは11位のドイツです。そうすると、普通の国であれば人材の質とその国の生産性というのは、ほとんど合っています。要するに、日本人は真面目に働く、技術がある、ちゃんと教育されていて、社会の秩序は保たれているのだけれども、そこで所得になっていない」
反町キャスター
「なぜ?」
アトキンソン氏
「そうすると、全然、回収しないですよね。なぜこうなっていないのかと言うと、金利が低い、インフレもない、すごく安い値段で人を調達することができる。なおかつ、おっしゃるように、割と悪用することも可能だったんです」
反町キャスター
「悪用?」
アトキンソン氏
「過労死をさせるとかね」
反町キャスター
「はい、はい…」
アトキンソン氏
「それでも、世界27位の生産性しか出せない。要するに、金利が低い、インフレがない、株価も上がらない、株主のことを言うことを聞かない。政府の言うことも聞かない。人はすごく安い値段で調達できる。かつその人の質はすごく良い。要するに、奇跡的に無能の経営者です」
橋本議員
「ハハハハ…」
反町キャスター
「話を聞いていると、今日のテーマは働き方改革ですけれども、働き方改革ではなく、経営者改革をするのが日本経済にとって最も大切だ、そういう意味でよろしいのですか?」
アトキンソン氏
「一時的なものはそこです。今、話されている内容というのは道具で、二次的なものですよね」
反町キャスター
「なるほど」
アトキンソン氏
「これを実現するための道具。私としてはこの道具は大事ですけれども、こちらの方が同時に進めていかないと、これがあまり期待できないものに終わると」
反町キャスター
「そうすると、経営者改革をするためには何をやったらいいのですか?」
アトキンソン氏
「いろいろなものがありますよね。基本的には現在、経営者というのは、のほほんとしている人が非常に多いのですけれども、経団連であれば、上場企業の場合はちゃんとした継続的に、持続性のある、利益だけではなくて、付加価値の継続的な増加につながるような経営戦略をきちんとやりなさいと。できないのだったら、もう次から次へ社長のクビを切って、それができる人がでるまでは、切ればいいです、それが1つ」
反町キャスター
「はあ…」
アトキンソン氏
「もう1つ、日本の人材というのは中小企業がほとんどですから、中小企業に対し、そういう労働者地獄をなくさなければいけない。ここまで教育してきましたと、国として。ここまで労働環境をつくりました、技術もちゃんとありますと。世界4位なのに、27位という、この最大のギャップのそのところを、埋めていかなければいけない。中小企業の場合は取締役が大事だと思います。もう1つ、最低賃金」
反町キャスター
「ほお…」
アトキンソン氏
「実は、全世界で見ると、最低賃金と生産性の相関関係というのは84.4%なので」
反町キャスター
「最低賃金を上げると生産性も上がる?」
アトキンソン氏
「上がります。これは不思議なことですけれども、上がります。1月から、先月から、日本の最低賃金は隣の韓国より下にいってしまいました。現在ですと先進国の中で1番低い、圧倒的に低い。それで見ると韓国の人材の質というのは32位ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
アトキンソン氏
「4位の人達で、32位のところの最低賃金以下というのは、あり得ない話だと思います。もう1つあるのは、格差社会というのは最低賃金がどうあるのかということによって決まるものですから、結局、上と下ですから。下を上げていかないと、それは上がらない、自動的には上がらないものではありますけれども、これでは…。もう1つあるのですけれども、1人あたりGDP、これに対して、最低賃金というのは、ほとんどの場合は50%で最低賃金が設定されています。今現在では日本は27.7%でその設定がされています。どの先進国の中でも1番低いです。そのぐらいの最低賃金の設定をしているのは、メキシコだとか、こういう途上国並みのものになっています」
反町キャスター
「アトキンソンさん、最低賃金を上げると中小企業がドコドコ倒産するよという、この話はどうですか?」
アトキンソン氏
「ただ、これは2つあるのですけれども。要するに、最低賃金の引き上げによって経営者としては、私もその1人ですけれど、上がると、それに対応しなければいけないんですよ。工夫し始めるんです。最低賃金を正当化と言いますか、調達するために、生産性を上げるしかないです。これが1つです。もう1つは大事なポイントですけど、実際にこれまでで見ると、人口がずっと増えて、企業がずっと増えてきたんです。人口が減っていきます、企業がそのままになっていますと、過剰供給になってデフレがドンドン加速していきます。企業の数はそんなには要らない。そうすると、そんなに人があふれる時代ではなくなりましたので、最低賃金を上げることによって、要するに、生産性目標を与えているようなものです。その最低賃金を払えない企業は退出してもらえばいいんです。それによって、国全体の生産性が上がっていって、それで失業者が増えるのではないのということを言ったけれども、そもそも人が減るのだから、そういうことを心配する必要は何もないです。もう1つあるのは、最低賃金を上げる国はいくらでもあります。導入して上げていった時、エコノミストが皆そろって、これで失業者がいっぱい増えて景気が悪くなると言う。実際に、まったく逆の方向にいっています」

デービット・アトキンソン 小西美術工藝社社長の提言 『・最低賃金を1300円に・企業の数を半分に・霞ヶ関の半分を女性に』
アトキンソン氏
「この3つなのですけれど。計算方式があります。GDPを見ると、最低賃金をいくらにすべきか、という世界の常識があります。それで計算すると今現在、日本の最低賃金は1300円にしないといけないです。最低、そのぐらいです。2つ目、企業の数は半分に、要するに、これからドンドン人が減りますので、半分に統合し、合併されたりすることがデフレをなくす最大のポイントだと思います。もう1つは、女性のところですけれども、女性の活躍、同一労働・同一賃金ができている国と生産性の相関関係を見ると、77%。そうしますと、霞が関の半分を女性にするということは政府主導でやるのであれば、これがメインだと思います。イギリスは53%、イギリスの高官の39%が女性です。日本の高官の3%しかいません。この問題で、民間に言う前に自分のところでやってもらいたいと思います」

長妻昭 立憲民主党代表代行兼政務調査会長の提言 『人間らしい働き方』
長妻議員
「日本は、先進国で残念ながら最も劣悪な働き方が続いている国でありまして、そういう意味で、ヨーロッパ諸国と比べても、これだけ馬車馬のように我が日本、働いているのに生活の質がなぜヨーロッパ諸国よりもこんなに低いのだろうと、何かがおかしいと。本当に人間らしい働き方を確保するために法律でキチッと歯止めをかけていくことで、先ほどの話ではないですけれども、経営者改革も進む、労働生産性が高まるということも進む。職業訓練もキチッとして、ゆとりのある、高付加価値を生み出すような職場環境をつくるということならないと、結果として日本の生産性も上がらないと考えています」

橋本岳 自由民主党厚生労働部会長の提言 『働き方改革は経営者・消費者も意識改革を』
橋本議員
「これまでの話に通じると思いますが、働き方改革というのは、単に働く人の働き方だけではなく、経営者の経営マインドとか、あるいは消費者の消費マインドだとか、そういうところも含めて、全体で意識改革をしていかないと意味がないことだと思います」