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2018年2月2日(金)
『仮想通貨』落とし穴 リスク&メリット検証

ゲスト

リチャード・クー
野村総研主席研究員チーフエコノミスト
藤和彦
独立行政法人経済産業研究所上席研究員
大西知生
FXcoin株式会社代表取締役社長

仮想通貨の世界で何が… 『580億円相当流出』の衝撃
竹内キャスター
「仮想通貨取引所の『コインチェック』から580億円相当の仮想通貨が流出した問題。実態のない通貨にも関わらず、これだけ巨大な額が集まっていたことに驚かれた方も多いと思いますが、なぜ実体のない通貨への投資が現在、人気を集めているのでしょうか。仮想通貨市場が急速に拡大する背景を探るとともに、お金の価値について考えます。まず仮想通貨について説明をしておきますと、お札や硬貨といった実態はなく、インターネット上でお金と同じようにやりとりすることができるデータのことを仮想通貨と呼んでいます。代表的なビットコインをはじめ、今回問題になっているNEMなど種類は1000を超えています。時価総額は、およそ56兆円に達しているということです。先月、取引所大手コインチェックで本来、インターネットにつながらないオフライン状態で保管すべき仮想通貨がオンライン状態で保管されていたところ、不正アクセスにより580億円相当の仮想通貨・NEMが流出しました。1日時点で、およそ20の口座に送金されていたことが確認されています。コインチェックは、被害を受けた利用者に日本円でおよそ460億円を返金するとの方針ですが、金融庁は今朝、保証のための資金が十分かなのかを把握するため、立ち入り検査に入りました。では、まず大西さん、今回のこのコインチェックの件はどのように見ていますか?」
大西氏
「一般論としてコメントさせていただきます。最初に、今回の件はセキュリティの問題であって、仮想通貨、とりわけ盗まれたNEMそのものの欠陥があったというわけではないということだと思うんです。また、一連の報道などですけれども、会社の管理体制に注目がすごく集まりすぎるあまり、最も本来批難されるべき盗んだ人についての追及がちょっと疎かになっているのではないかなという気は個人的にしております。そのうえで、仮想通貨交換業ということに目を向けると、指摘しておかなければならないことがあると思うんです。それは利便性と安全性のバランス、利便性と安全性のバランスですね」
反町キャスター
「なるほど」
大西氏
「この2つにおいて利便性の方を重視するあまり安全性が軽視されていた。利便性が重視されるあまり、安全性が軽視されていたということなのですけれども。この2つにおいて利便性のバランスが崩れていたと。すなわち利便性を追求すると短時間で簡単に口座開設ができたりとか、取引自体においても使いやすいアプリを提供し、売買が簡単にできるということで、結果として短期間に口座を増やしたりとか、取引を拡大するということができたと思うのですけれど。通常、金融機関ということであれば、法令重視を促すコンプライアンス、もしくはリスク管理などの部署が社内で強い権限を持っていまして、安全性を欠いた利便性の追求については牽制が働いております」
反町キャスター
「なるほど」
大西氏
「従って、結果として利便性と安全性のバランスをとっているということになるのですけれども。残念ながら1部の交換業者につきましては、結果としてそれが機能していなかったのではないかと考えております。従いまして、今後は仮想通貨交換業者の責任として、利便性と安全性のバランスをしっかりととっていくということが重要なのだなとあらためて感じました」
竹内キャスター
「藤さんは、今回の一件をどう見ていますか?」
藤氏
「いわゆるブロックチェーンの技術というのか、いわゆる仮想通貨と言われているものについての技術が、いささかもその安全性が毀損されたわけではないということなのですが。私は一言申し上げたいのは、役人の端折れですから、ちょっと言葉にこだわるのですが、仮想通貨という言い方が間違っていると思っていまして」
反町キャスター
「おお…、どういうことですか?」
藤氏
「私は、正直言って『デジタル貨幣』だという言い方だと思っています」
反町キャスター
「すみません、違いが既にわからない…」
藤氏
「すみません。まず貨幣と通貨の違いなのですが、通貨は流通貨幣の略です。ですから、国家が強制的に流通を規制した貨幣のことを通貨と言っています」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「ですから、これを通貨と言うのは、私は正直言っておかしいと思っています」
反町キャスター
「ほう」
藤氏
「貨幣です。だから、交換の手段として、決済の手段としての貨幣という要素は満たしていると。しかも、アナログの貨幣ではなくて、電子情報ですからデジタルと。ただ、このデジタル貨幣というのは、既にもういっぱいございまして…」
反町キャスター
「たとえば?」
藤氏
「Tポイントカードとか、ANAのマイルは全部、電子情報でやっていれば、あれもデジタル貨幣になります」
反町キャスター
「ほお」
藤氏
「お金にも換金できますし…」
反町キャスター
「おお、なるほど」
藤氏
「ただ、その唯一の違いは、ビットコインの場合は発行者がいないですね」
反町キャスター
「はい」
藤氏
「ですから、Tポイントの場合であれば、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、ANAだったら全日空というところが債務者になっているのですが、債務者がいない形で出ているという意味では違いがありますが、そのうえで私は管理者とか、発行者がないデジタル貨幣と言うべきではないのかというのが、私の持論になります」
反町キャスター
「管理者や発行者がいないというのは、責任の不在というものがあるとしたら、それが危険なのかどうなのか、それはそれで了とすべきものなのかという、そこはどう見ているのですか?」
藤氏
「そこは、私もブロックチェーンの技術…」
反町キャスター
「ああ、なるほど」
藤氏
「これは、量子コンピュータができれば暗号が解かれると言われていますが、そういう意味では、現在、SWIFTを含めて中央銀行の決済システムがありますけれど、それに比べれば、技術的には安全性が高い、そこで担保しているのではないかというのが、私の理解です」
反町キャスター
「ブロックチェーンというのは、プライムニュースでも1回やったことがあるのですけれど、実は僕もいまだによくわかっていない部分がありまして。たくさんのコンピュータの中で情報を共有しながら、信頼性を高めていくと僕は漠と思っているのですけれども。そういう信頼性のものというものは、ブロックチェーンの技術もあって、一般の通貨よりも高いと?」
藤氏
「むしろ技術的には高いと私は見ています」
反町キャスター
「高いというのは、つまり、信頼性というのは、この場合どういう意味ですか?たとえば、偽造とか、そういう意味で言っているのですか?」
藤氏
「そうです。たとえば、送金をする際に、ハッカーに狙われて、破られてしまうということはない」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「先ほども大西さんがおっしゃったように保管している場所のセキュリティの問題であって、送金する際とか、そういう際のエラーでもなんでもないですから」
反町キャスター
「クーさん、通貨というのが、たとえば、昔は金と紐つきがされていたとか…」
クー氏
「はい」
反町キャスター
「金と紐つきが切れたにしても、たとえば、国とか、経済とか、文化と言う人もいます。でも、仮想通貨というものは、僕は聞いた時、これはどこと結びついているのと、紐つきの先が見えないですよ」
クー氏
「うん」
反町キャスター
「通貨というのは、たとえば、金なら金、経済実態なら経済実態、国、文化、そういうものと紐つきがなくても問題がないのか、あるのかというところが1つと。そこのところはどう感じますか?」
クー氏
「だから、ビットコインがここまで一応広がってきたのは供給があるプログラムによって絞られているという部分があるわけですね。マイナーがいろいろなことをやって、少しずつ増えていくけれども、それもある決まったプログラムの下で全てが動いていると。だから、そういう意味で、通貨の1つの条件、供給の部分だけで何とかこのプログラムが押さえているというところは通貨の多々ある条件の中の1つは満たしたのかなと。ただし、これが本当に流通するには、人々がこの価値を認めるには現在みたいなこの価格の振れがあっちゃあ、本来いけないわけですよね」
反町キャスター
「大きいですよね、非常に大きい」
クー氏
「逆に現在、一時ガーッと上がってきましたから、それに皆、乗っかっちゃって、それであたかも通貨みたいな幻想を抱くような世界が私はできちゃったかなと思います」
反町キャスター
「つまり、仮想通貨というのは、投機の対象のものではあっても、決済手段になるのかどうか?仮想通貨でモノを買ったり、何かするということをするとなると、あまり価値が上がったり、下がったりすると、車が100NEMだったのが、明日になったら180NEMになる…」
クー氏
「そうです」
反町キャスター
「商売できない、とても買えないわけですよ。そういうリスクというのをどう感じているのですか?」
クー氏
「だから、それが最終的には全ての限界になると思いますね」
反町キャスター
「限界というのは、広がらない?」
クー氏
「それ以上は広がらない。広がらないというのはあまりにも振れが大きいと」
反町キャスター
「現在、巷でいろいろ流れている1000種類以上の仮想通貨、これはいろいろ濃淡あるのでしょうけれども、大西さんは、これは決済手段としての将来性があると見ているのですか?それとも、これは単なるとは申し上げませんけれど、投機対象になる?どう見ているのですか?」
大西氏
「これは1000種類以上あるというお話がありましたけれども、仮想通貨によるという部分がどうしてもあると思うんですよね」
反町キャスター
「なるほど」
大西氏
「決済手段ということで、その決済のメリットということであれば、安価に容易にできると、スピードがあるということだったと思うのですけれども、その仮想通貨自体の値段が上がってしまうと決済に対してコストがかかってしまうと、ビットコインが現在、最たる例だと思います。そのへんは決済に対しては非常にネガティブな方向になっていくのではないかと考えています。ただ、まだ、他にもいろいろな仮想通貨がありますので、特に決済に強い通貨もありますので、そちらの方を使っていけばいいのかなと思います。投機につきまして、私、為替の仕事を20年以上、マーケットでやっていたので、ちょっと一言いいたいことがあるのですけれども。皆さん、投機は悪い、投機は良くないという…」
反町キャスター
「あっ、そういうようにとりました?ごめんなさい…」
大西氏
「…というのが、反町さんに関わらずよく聞くことがあるのですけれども」
反町キャスター
「悪い意味で言っていないですよ、僕は…」
大西氏
「そうですか。マーケットというのは売る人と買う人というのが常にぶつかって、結果として相場ができると。マーケットというのは大事な機能として価格形成機能というのがあると思うんですけれども、これは実際に売りたい人、買いたい人だけではなくて、投機でやる人がマーケットに入ってこないと、市場の価格形成機能っていうのはちゃんと機能しないんですよね。なので、自由な相場、あと効率的な相場と言うことに対しては、投機というのは不可欠だと思うんですよね」

高値になる背景は?
反町キャスター
「たとえば、投機の対象かという是非論は別にして、仮想通貨の価格が上がったり、下がったりするのは、たとえば、ドルとか、円だったら、その国の金融政策とか、経済力というものをもってさまざまに上下するとした場合に仮想通貨の価格というのは、投機というインセンティブ以外に何で決まるのですか?」
大西氏
「需給です。これは仮想通貨に関わらず、法定通貨も全部そうですけれど。結局、相場というのは買いたい人と売りたい人がいて、そこで、そのレベルが合致するところで相場が決まるのですけれども、それはドルであろうが、円であろうが…」
反町キャスター
「メカニズムとしては需給だというのはわかります。そのメカニズムを左右する要素として、そういう意味で言うと、ここを現在、買っておけば、将来高くなるだろうという、そういう意味の、それはもしかしたら円もドルも全部そうだと言われれば、それで終わってしまうのですけれども、そういう意味で言っているんですよね、たぶん?」
大西氏
「はい、そうですね」
反町キャスター
「結局は、要するに、経済とか、文化だとか、国だとか、紐つきだとか、何だとか、僕が先ほど、クーさんに聞いたのですけれども、そんなことではなくて、普通の通貨の為替のマーケットもそういう投機的な、需給のバランスで決まっているのだから、何も別に実体経済が後ろについていようと、いまいと需給で決まるのだと?」
大西氏
「実体経済の動きというのが需給に大きな影響を与えることは事実ですね。それ自体は無視して考えることはできないと思います」
反町キャスター
「そういう意味で言うと、たとえば、ドルとか円みたいに、経済とか、国というものと紐つきがされていないからと言って、上下動があるのがけしからんとか、そういう意味で僕は言っているのではないですよ」
大西氏
「はい」
反町キャスター
「ただ、その上下動があるというのは、これは円やドルの為替の変動とほぼメカニズムとしては同じだという意味で言っているんですね?」
大西氏
「だというふうに見ています。たとえば、仮想通貨が何を理由に上下するのかというのが、本来のご質問だと思うのですけれども、たとえば、ニップルであるとか、イーサリアムであるとか、ビットコイン以外の仮想通貨は、アルトコインと呼ばれていますが、アルトコインの上下というのは、たとえば、イーサリアムが将来、何らかの技術・決済について大きく使われるという見通しが立てば、そのイーサリアムの需要というのは高まる、だから、値段が上がるというようなことはあると思います」
反町キャスター
「一定の、特定の技術や…、技術ですよね?」
大西氏
「はい」
反町キャスター
「特定の技術や、技術革新、イノベーションと強くリンクした仮想通貨というのもできるのですか?」
大西氏
「あると思います」
反町キャスター
「そういう意味で言っていますよね?」
大西氏
「はい、そうです」
反町キャスター
「要するに、国の経済に代わって、たとえば、この技術はこの仮想通貨でしか取引されないから、これは買いだと、そういう意味で言っているのですか?」
大西氏
「はい、そういうことはあると思います」
反町キャスター
「現在はそういう現象にもうなっているのですか?」
大西氏
「あると思います」
反町キャスター
「もう既に…」
大西氏
「それだけで動いているわけではないのですけれども、そういう材料が出た時は相場が動いていますね、見ていますと」
反町キャスター
「一方、では、その仮想通貨の流れというのを見た時には、上下動が大き過ぎるではないかという話、これはどう感じているのですか?」
大西氏
「何をもって大き過ぎるかというのがあるのですけれど、実は仮想通貨の上下動が大きくて、法定通貨の上下動が小さいかと言うと一概にはそうも言えなくて。1971年のニクソン・ショックのあと、変動相場に入っていく、あの過程においては、実はドルも円も相当大きく動いていたんですよね。あとユーロ、1991年の発足当時ということであれば、毎日数パーセントの価格変動があったということで、一概に仮想通貨だけが大きいとも言えないと思います。あと仮想通貨というのはできて間がないと。だから、市場参加者の、相場観と我々はよく言うのですけれども、相場観も十分にこなれていないという意味で、ちょっとした需給で大きく動いてしまうということはあるので。黎明期だから、ある程度はしょうがないかなと僕は見ています」
反町キャスター
「そういうリスクを覚悟して市場に参加しなさいと、そういう意味でもあるんですね?」
大西氏
「そうですね、はい」
反町キャスター
「一方、でも、ビットコインにしても、供給量を、上限を決めるのではないですか?」
大西氏
「はい」
反町キャスター
「上限を決めるというのは、たぶんそれ以上いくと価値がドンドン下落していくことを懸念して、ここで打ち止めにして、あとは市場の取引で価格を決めてくださいという意味だと僕は思っているのですけれども、その理解でよろしいのですか?」
大西氏
「そうだと思います」
反町キャスター
「その意味で言うと、供給側の意向というのはある程度、安定させたいというのがそこにあるはずですよね?そうでもないのですか?」
大西氏
「僕はビットコインをつくった人ではないので、そこまではちょっとわからないのですけれども」
反町キャスター
「他の仮想通貨というのは別に供給量の上限を決めていないのですか?」
大西氏
「決めているのもあれば、決めていないのもあるというところだと思いますけど、でも、ほとんど決めていると思います」
反町キャスター
「決めていますよね?」
大西氏
「はい」
反町キャスター
「決めるというのは、つまり、ターゲットゾーンみたいな、ある程度のところでまとまってほしいという意向がそこにあるのではないですか?違うのですか?」
大西氏
「もしくは、あとは…」
反町キャスター
「供給量の上限を決めるというのは値崩れを防ぎたいのでしょう?違うのですか?」
大西氏
「もしくは価値の保全は、ある程度、同じにしたいというところだと思います」
反町キャスター
「なるほど。クーさん、いかがですか?聞いていて…」
クー氏
「私も為替市場にいた者として、ニューヨーク連銀の為替デスクにいたのですが」
反町キャスター
「そう、そこ…」
クー氏
「あの為替市場の変動と、私は今回起きている、この仮想通貨の変動というのは、私は異質のものだと思いますね」
反町キャスター
「どう違うのですか?」
クー氏
「たとえば、為替市場で変動が起き始めた、特に大きな変動が起き始めるというのは、資本の移動かというのが、その中に入ってきた時ですね。それ以前、資本の移動が自由化されていなかった1980年12月以前の日本ですとか、アメリカで資本の自由化が始まる、同じような時期に始まるのですが、1979年の10月ですけれども、その始まる前の為替市場というのはどういう市場だったのかと言うと、輸出業者が、たとえば、トヨタがアメリカに車を売りました、でも、これはドルですね、でも、国内で支払いをしなくてはいけないのは皆、円を要求しているわけですよ、そうすると、海外で持ってきた、海外で稼いだドルを1回、円に換えて国内の業者・従業員に円で支払わなくてはいけないというのがあるわけですよ、まず1つ」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「同じことがアメリカの、たとえば、クライスラーが日本でジープを売りましたと、でも、そうすると円ですね、これは。でも、アメリカのデトロイトの従業員はドルで払ってくれと言います。だから、金は換えなくてはいけないわけですよね。そうすると、その2人が為替市場に来て、こっちが円を売りたい、こっちがドルを買いたいとやるわけですが、その時に日本の貿易黒字がアメリカよりも大きかったら、だいたい円高ドル安になるんですね。これはだいたいそういう世界がずっと続いてきて。ところが、ここにその資本取引というのが入っちゃいまして、この資本取引というのは、いや、アメリカの車は買いたくないけれども、財務省証券は買いたいのだと、アメリカの財務省証券ですね、と言うのは金利が高いから。これが入ってきて、大西さん流に言えばちょっと投機的な部分が拡大してきた部分もあるのかなと」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「これで随分、為替は振れたりしたのですけれども、たとえば、この1年半をご覧になっていただきますと、おそらく1年半前にこのような番組をやっていた時に、多くの方は、いや、アメリカはこれから金利を上げるし、量的緩和も解除するから、ドル高になると。1ドル130円、十分あり得ると言っていた方は多かったと思うんですね」
反町キャスター
「多かった、多かった…」
クー氏
「現在、1ドル109円ですよね?」
反町キャスター
「そうですよね、はい」
クー氏
「アメリカは確かに金利を上げた、確かに量的緩和の解除に向かった。なぜ109円か。アメリカの大統領が、ウチの貿易赤字は大き過ぎるから減らすと言い始めちゃったんですね」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「そうすると、為替市場にいる人達は、この大統領がそう言ったということは、貿易赤字を減らす最も有効な手段の1つは、為替をドル安ですから。しかも、この大統領は何を言い出すかわからないですよね。ある日突然、ツイートで『ドルは高すぎる、俺は下げることに決めた』と2行出てきたら、おそらく5円、10円、動いちゃいますよ。そうすると、それが怖い為替ディーラー達はドルロングのポジションをとれないですよ。そうすると、為替がドンドン…今度は貿易収支は必ず出てきますから、トヨタはまだアメリカで車を売っているし、それは円に換えなくてはいけない。そうすると、そちらがドル高を抑えちゃうんですね」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「だから、そういう実体経済の動き、一時、この資本の動きで随分、引っ掻き回されたと思うのですが、基本的にはこういう動きで一応、動きとしてはある程度、予測ができた。つまり、貿易赤字を気にする大統領が出てきたら、そんなにドル高にはならないというようなことは言えたと思うんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「でも、このビットコインの動きとかをそういう動きで説明しようと思ったら、これは至難の業ですよね」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「これは本当に需給だけで決まっていると。その時に買いたいと思った人がたまたまたくさんいたからそうなったとか。その需給の背景には、大西さんが言われたように、でも、この通貨はもしかしたら、将来ウンと使われるかもしれないとかいう、これも一種の期待に基づいて、皆さんが動いているのでしょうけれど。そんな通貨を決済に使えますかというのは、私は根本的な疑問ですね」
反町キャスター
「藤さん、決済手段か、投機対象なのかどうかという、この点に対してはどう感じていますか?」
藤氏
「私は正直言って、中島さんという麗澤大学の教授が日銀OBの方が本で書かれていますが、現在のブロックチェーンの技術を使えば、10分の1の送金コストになるということを、実は中央銀行自身がデジタル通貨の発行を考えています、ブロックチェーンで」
反町キャスター
「ほお…、なるほど」
藤氏
「はい。たぶん、この事実はまだ…、ブロックチェーンとビットコインは違うのだということを今日は強調したいと思うんです」
反町キャスター
「そうすると、仮想通貨が決済手段になるか、ならないかという議論ではなくて、仮想通貨の信頼性の拠りどころとなっている、ブロックチェーンという技術を使うことによって、もしかしたら現在、言われているような、送金のコストを下げることができるかもしれない?」
藤氏
「インターネットと同じぐらいの汎用技術を持っていると思います、ブロックチェーンという技術は」
反町キャスター
「投機の対象になっているかどうかという点についてはどう感じているのですか?」
藤氏
「それは、最初につくったビットコインが、最初であるが故に欠陥を持っていたということです」
反町キャスター
「欠陥?」
藤氏
「はい。どうしても通貨の価値を維持したいという気持ちがあったものですから、マイニングと称するインセンティブを付与し過ぎてしまって、それが結果的には、中国のマネロンの手段になって現在、投機商品になってしまったということで。ビットコインはもう将来性はないと思っているのですが。現在の仮想通貨を支えているブロックチェーンの技術というものをもうちょっと見て…」
反町キャスター
「だけど、ビットコインだって、ブロックチェーンの技術の上になっていますよね?」
藤氏
「ただ、マイニングというのが入っている、これが投機を呼んじゃったんですね」
反町キャスター
「ごめんなさい、あまり時間はないのだけれども、マイニングというのは何がいけないのですか?」
藤氏
「マイニングをやることによって、これは一攫千金だと、投機になるのだと皆、思いやすくなっちゃうんですね」
反町キャスター
「ほお…」
藤氏
「交換しないで、自らがその通貨をつくり出せるという、そういう仕組みですよ」
反町キャスター
「ほお…」
藤氏
「だから、金鉱山を同じで、カリフォルニアに行って…」
反町キャスター
「マイニングはそうですね…」
藤氏
「あれと同じようなメッセージを持ってしまって、一気に投機的な人が入ってきてしまったというところがケチのつけ始めですね」
反町キャスター
「では、仮想通貨でビットコイン以外のものでマイニング機能を持っていないものであれば、そんなに大きく上っ撥ねしたり、下振れしたりとか、あまりしないだろうと?」
藤氏
「少なくとも今後は、マイニングの手段は、仮想通貨は入れないと思います」
反町キャスター
「その点だけ、大西さん、いかがですか?マイニングがそんなに大きな変動要因になっているのですか?」
大西氏
「変動要因になっていることは事実だと思います。ただ、最初のビットコインがいろいろなところに広がる中において一定の役割を果たしたというのは事実だと思いますね」
反町キャスター
「それはインセンティブとしてね?」
大西氏
「はい」

『お金の価値』を考える
竹内キャスター
「CM中に藤さんが、最初にビットコインができた時に面白いメッセージがあったという話をされていたのですが」
藤氏
「ええ。最初に、ビットコインが送金された、最初の取引の時のブロックに入っているメッセージがすごく面白く、これをご紹介いたしますと、2009年1月6日のイギリスのタイムズ紙のヘッドラインです。ヘッドラインは何かと言うと、イギリスの財務省が2度目の公的資金注入を銀行にしたというメッセージです。何が言いたいかと言うと、それをつくった人達は、これは私の邪推ではあるのですが、銀行封鎖をされたと思うんです。公的資金の注入によって、その銀行が、たとえば、政府の支配下に置かれた時というのは、たぶんお金を動かせなくなりますよね」
反町キャスター
「はい」
藤氏
「ですから、そういう、自分が持っているお金を誰にも強制されずに自由に好きなところに送りたいという意思で、このビットコインは誕生したと思っています」
反町キャスター
「それは狙いとしては、ただ単に、銀行封鎖という目の前の、実利を恐れて、実害を恐れての行動なのですか?」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「そこに理念的なものというのは何かあるのですか?」
藤氏
「それはリバタリアンというか、なるべく政府から支配を受けたくないという人達の中で、しかも、一方的に自分が持っている資産を国の状況だけによって、銀行が、たとえば、破産することに押さえられなくないのだという人達がつくったというメッセージだと思っています」
反町キャスター
「クーさん、現在の話をどう感じますか?そういう動機だったら、なるほどとか、思っちゃったりしちゃったりするものなのですか?」
クー氏
「いや、そういう気持ちを1部の人達が持って、この政府がある日、突然、いや、この銀行はおかしくなったから預金封鎖しますと、あとで1000円だと思っていたものが400円でも、もうそれ以上は出しませんと、こう言われるのをある別の手段をつくって回避しようと。確かにあのメッセージはその可能性を持った書き方ですね、公的資金…」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「公的資金を入れちゃったので、実はそういうことは起きなかったわけですが。もしも公的資金を入れられなかったら、その銀行は潰れちゃうわけですから。そうすると、1部の預金者が損害を被るということはあったわけですよね。でも、現在の決済システムというのは全部、銀行の上に成り立っているわけで、我々が、いろいろな支払いをするのを全部、銀行を介していますから、この外にまったく別のものをつくって、決済も全て銀行を介さずにできるものが本当にできるかどうかと言うと、私はまだ人類はそこまでいっていないのではないかなと」
反町キャスター
「人類…」
クー氏
「人類と敢えて言わせいただいたのは、お金というものを人類が使い始めてから、金との兌換をカットするのに何千年かかっているんですよね。それまでは金とか、銀とか、貴金属と何らかの関わりを持ちながら、信用を何とか維持してきたという、これが人類の歴史ですから。それをある日、ある若いコンピュータに長けた人が、ああ、ポンポンポンと面白いものをつくって、それでこれを信用してくれよと、しかも、これは安定的な価値を皆で共有できますとまでもっていくにはまだまだ、そう簡単にはいかないのではないかなと思います」
反町キャスター
「大西さん、ずっと為替の世界に、先ほど、20年と言われましたけれど、為替の世界におられて、今度、仮想通貨のビジネスの世界に転身された、と僕らは聞いているのですけれども、それは、たとえば、現在ここで議論になったみたいに、より安全な資産、資産保全、ないしはより安全な決済かもしれない、便利な決済かもしれない、そういうものを目指して、そこにあるのではないかという期待感を持って、今回、交換業への転身をはかられているのですか?」
大西氏
「そうですね。ザックリとそんな感じですけれど。もうちょっと突っ込んで説明をさせていただきますと、大きく言うと2つ理由がありまして。1つは先ほどおっしゃったように、仮想通貨の将来性というものを強く感じたということが1つと。もう1つは日本の仮想通貨市場の健全な発展に役に立ちたいということを考えて、転身を考えました」
反町キャスター
「なるほど、うん」
大西氏
「私自身の話をいたしますと、先ほど、為替20年をおっしゃいましたけれども、厳密に言うと実は28年やっているのですけれども、30年近くやっているのですが。1990年に当時の外国為替専門銀行であった東京銀行、こちらに入ってから昨年までずっと為替の世界をやっておりまして。内外の金融機関でずっと仕事をしてきたわけです。特に後半につきましては東京外国為替市場委員会という業界団体を通して、国内外の通貨当局者であったりとか、市場参加者と協力して、外国為替のルールづくりというのをずっとやってきました。それとは別に、また、日本が誇る金融商品と僕はいつも言っているのですが、外国為替証拠金取引が、いわゆるFX取引というのがあるのですけれども、こちらにおいても初期の頃から関わっておりまして。FX業者の人達、もしくは協会の人達と一緒になって、いろいろなルールづくりをしてきて、日本のFX取引は世界の現在、お手本になっているんです。もう日本のFX取引というのは本当によくルールができていて。それをお手本にしてきたという経験と自負がありますので、このような経験を持つ人間が、黎明期の仮想通貨市場において何らかの役に立てるのではないかということを考えて、為替から仮想通貨の方に移ることにしました」
反町キャスター
「と言うことは、現在の日本の仮想通貨市場はノンルールの世界ですか?」
大西氏
「いや、ノンルールではなく、ただ、日本の国として、昨年、改正資金決済法というのが4月から施行されまして、まず法律の枠組みができた。ただ、マーケットというのは法律だけではダメですよね。そこに参加する市場参加者達が、自主ルール、もしくは行動規範というものをきっちり持って、それで皆でつくっていかなければいけないということで、これから皆でつくる最中であると考えています」
反町キャスター
「この仮想通貨の取引を、市場に参加しているさまざまな取引している人達の話、ないしは売り手側の方の話も何人かから聞いた機会があるのですけれど。当局側の捕捉する方法です。たとえば、手にしている仮想通貨を売却した場合、日本円に換金しますよね。そこは当然、雑所得となるわけで、税がおそらくかかるはず」
大西氏
「はい、かかります」
反町キャスター
「雑所得ですよ、MAX55%ですよね。税の捕捉率が現在どうなっているかと言うと、事実上、ないでしょう?」
大西氏
「そこはデータがないので、わからない」
反町キャスター
「聞いているところはありますか?」
藤氏
「私もそれは詳しくないです。それはもう相当、捕捉は難しいでしょう、普通で考えたら」
反町キャスター
「捕捉が非常に難しい?」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「もう1つ。一方、では、その所得税の話もあれば、取引する時のここには証券の取引税みたいな、そこにはあり得るんですかね?それはないのですか?」
大西氏
「聞いていないですね」

リアル経済に潜む課題
反町キャスター
「いずれにしても捕捉率を上げるためにどうしたらいいのかという議論も当然出てくると思うんですよ。株をやれば、それは、現在はマイナンバーでパッチリ持っていかれますよね。何をやっても、相続にしたって、持っていかれる。それはマイナンバーでバチっと持っていかれる中で、今回の仮想通貨の取引に関しては、まだ、その部分における捕捉性というものについては、僕は不十分であるという話しか聞いたことがありません。その捕捉率を高めるためには、どうしたらいいのかという議論も現在、言われた、自主ルールの皆さんの中で議論する中で、出てくる可能性はありますか?」
大西氏
「可能性は十分あると思いますね。あと自主ルール、既に仮想通貨の世界は協会があって、実際、自主ルールづくりはやられているんですね。おそらく将来的には、もしくは僕が知らないだけでやられているのかもしれませんけれど、その議論というのはおそらく入ってくるのだろうなと考えています」
竹内キャスター
「クーさん、目に見えるお金がまわる実体経済はまともに現在機能していると言えるのでしょうか?」
クー氏
「グラフのここには、1番上の赤い部分が、中央銀行が供給した流動性、中央銀行はいくらでも流動性を供給しようと思えばできるんですよ。つまり、市中から債権とか、株を買っちゃえば、その分だけお金は出ていきますから、それがグラフの赤い線ですね。次の青い線が銀行預金の総額、マネーサプライと言いますけれど、銀行預金を全部足して、あと1万円札だとか、5000円札を足したものなのですが、ほとんどは銀行預金ですね。緑の部分が、銀行がどのくらいお金を貸したかという指標なのですが…」
藤氏
「低いですね」
反町キャスター
「全然上がっていない…」
クー氏
「反町さんも大学で経済学をもちろん、勉強されていたら…」
反町キャスター
「いや、いや…、どうぞ…」
クー氏
「…この3つは同じように動くはずなんですね」
反町キャスター
「はあ、はい」
クー氏
「つまり、中央銀行が流動性を1割増やせば、マネーサプライも信用も1割ずつ増える。実際に日本でバブルが崩壊する前までは3本の線がピターッと同じように動いていますよね」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「と言うことは、我々は教科書の世界にいたんですね、3本の線が同じように動くと。ところが、バブルが崩壊してから、これがだんだん乖離しまして、デカップリングが起きちゃうわけですが、どんなに中央銀行が増やしても、1番下がインフレ率ですけれども、全然これが加速しない。教科書の世界と我々の生きてきた世界とどこが違うかと言うと…」
反町キャスター
「うん、そこです」
クー氏
「お金を借りる人がいなくなっちゃったということですね」
反町キャスター
「うん」
クー氏
「中央銀行はいくらでも資金を供給できます。私も元中央銀行にいたので、これは実際にやっていた作業ですけれども。でも、その供給した資金は銀行まではいくのですが、銀行から外へ出るには、銀行というのはお金をバラ撒くわけにはいかないんですね。これは預金者のお金ですから、最終的には。貸さなくてはいけない。ところが、借り手がいなくなっちゃうと、銀行の中で止まっちゃうわけです。つまり、金融システムの中で止まって、そこから出てこなくなるんです。この緑の部分がまさにそれを示しておりまして、バブルが崩壊してから、バブルの時を100としますと、これは28年前ですよね。現在、120ですよ。と言うことは、28年間でたったの20%しか増えなかったと。と言うことは、ほとんど増えなかったということです。と言うことは、日銀は一生懸命やったのですが、実際に銀行のシステムの外に出た金はこれぽっちしかなかった。だから、インフレにならないわけですよ」
反町キャスター
「うん」
クー氏
「では、なぜお金を借りる人がいなくなったか?これが、まさに話の1番重要なポイントになるのですが、2つ理由がありまして、1つはバブルの崩壊ですね。バブルの時はだいたい皆さん、先ほどの話ではないですが、レバレッジを上げていくわけです。お金をいっぱい借りて投資をすると。お金を借りた分だけ儲けはうまくいけば大きくなりますから。ところが、バブルが崩壊するとどうなるか。借金が残ったまま資産価格が下がってしまいますから、財務内容がメッチャクチャになっちゃうわけです、債務超過。債務超過というともう破綻しているということになりますが、実は債務超過にも2種類ありまして。本業がダメになって、キャッシュフローがなくなって、車もカメラも売れなくなって債務超過になっちゃったと、これはもうこれ以上、どうしようもないですから、ここで話は終わっちゃうのですが。もう1つ、本業はしっかりしているけれど、バブルに乗っちゃって債務超過になっちゃったと。本業がしっかりしていればキャッシュフローがありますから、自動車も売れている、カメラも売れていると。日本も大きな貿易黒字、世界中の消費者が日本の商品を買いたがっていると。だから、キャッシュフローはあるわけですよ。でも、バブルの時に変なものを社長が買っちゃったから、会社がガタガタになっていると。そういう時はどうするのか。キャッシュフローで借金返済をすればいいわけですよ。それで、キャッシュフローがある限り、毎年、借金を返済していけばバランスしますよね、これは。そうすると、また元の健全な財務内容に戻る。これは個々の経営者の行動としては正しいです。もしも私がそういう企業をやっていたら同じことをやっているだろうし、反町さんがやっていたらおそらく同じことをやっていたと思いますが。全員がこれを同時にやると、合成の誤謬と言いますが、1人1人は正しい行動をとっても全体がマイナスになると。なぜ全体にマイナスになるかと言うと、1国の経済で、誰かが貯金していたり、借金返済をしていたら、誰か別の人がこれを借りて使っていないと、経済ってまわらないわけですよ」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「普通は金利を上げたり、下げたりして、この貯金された金がちゃんと借りて使われるようになっているのですが、こういう大きなバブルが崩壊しますと皆、こっちですね、社金返済をやっていて、こっちに誰もいなくなっちゃうんです。そうなると、いくら中央銀行が資金を供給しても、金融機関まではいきますが、ここでいっていますね、でも、そこから先、出ていけなくなると。そうすると、金融機関の中にある部分、これは誰かが運用しなくてはいけなくなるわけですけれど、伝統的に借りてくれる企業とか、こういうところが皆、借金返済ばっかりやっている状況だと、こういう方々は最後はしょうがなく、ビットコインだとか、そちらにお金を向けざるを得なくなっちゃうんですね」
反町キャスター
「ほお」
クー氏
「これが1部でミニバブルが発生するメカニズムでして。この二十何年間、景気が悪い、景気が悪いと、おそらく多くの国民の皆さんはそう思われていたと思うのですが、それはお金がまわらないからですよ。でも、お金が貯まっているところがあるんですよ、それが金融市場ですね」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「と言うのは、我々家計の一員としてはまだ将来不安がありますから貯金しますよね。貯金した金が金融市場に入ってくる。バブルで遊んじゃって、現在、大やけどしている企業が借金返済する、このお金も金融市場に入ってくる。中央銀行も、まだ教科書の世界だと思っている人がたくさんおりますから、金融緩和すれば何とかなる、このお金も入ってくると。そうすると、金融市場だけがジャブジャブです。だから、金利がこれだけ下がっちゃうんですね。皆、誰かちょっと借りようとしたら、必死に皆、貸そうとしますから、それで競争になって金利が低くなっちゃう。だから、日銀が金利を抑えているのではなくて、本当に借り手がいないからこうなっているんです。そういう時に、資金を運用しなくてはいけない人達からしてみれば、もう何か上がりそうなものがあったら飛びつくしかないですね」
反町キャスター
「なるほど」
クー氏
「これがビットコインになったり、1部、不動産になったり。特に2008年以降は、これは日本だけではなくて、世界でまったく同じことが起きましたから、そうすると、私の言うバランスシート不況に陥ってない国の資産を皆、買おうと。だから、まず1に発展途上国の債権が暴騰するんですね。次は商品市場、次は石油、これは、全部、もちろん、バブルは崩壊するわけですが。こういう世界に、残念ながら現在、我々はいる」

『お金』の将来像は
竹内キャスター
「ここからはお金の将来像について考えていきます。藤さんが手がけている地域通貨構想とは何でしょうか?」
藤氏
「はい、地域通貨というのは、地方でしか流通しない通貨ということで。よく地方創生をやっておられる方の話を聞きますと、日本というのは人材の流出が激しいと、地方は。ただ、それ以上に激しいのはお金の流出だと言うんですね。と言うのは、あまりにも日本円はハードカレンシーですから、特に少しでも利益があるところにお金がいっちゃうと。と言うことで、何とか地方を再生するには1度、地方に来たお金、たとえば、政府が交付金とか、補助金を出しますが、それをなるべく歩留まりを留めなければいけないのではないかというぐらい、現在、地方は酷い状況に実はなっています」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「ですから、先ほど、クーさんがおっしゃった公共事業も重要なのですが、それがほとんど地方に下りずに、そのまま、たとえば、東京とか、首都圏、海外に行っちゃっている可能性がある」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「ですから、私の知り合いの企業で、地域通貨、使い勝手の悪いお金を使って、敢えて地域振興をしようという発想で地方創生をやっている企業がありまして。日本の場合、2002年ぐらいに竹中さんが地域通貨という話をしたものですから、通産省、総務省もお金をつけて、ちょっとしたブームになったのですが、その当時は全て紙のお金でしたから、発行費用がかかります。それから、偽造防止のモニタリング・コストがかかります。2000万、3000万、平気でかかります」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「金の切れ目が縁の切れ目で、ほとんどポシャってしまいましたが。私が、前からブロックチェーンと言っていますのは、ブロックチェーンを使えば、地域通貨はほとんどタダで発行できるんですね」
反町キャスター
「では、仮想通貨による地域通貨なのですか?」
藤氏
「はい。ブロックチェーンを使った地域通貨を出したらどうかと?」
反町キャスター
「イメージが湧かないですよね…」
藤氏
「たとえば…」
反町キャスター
「大宜味村(おおぎみそん)と言うのですか?」
藤氏
「大宜味村と言うのですが…」
反町キャスター
「大宜味村では仮想通貨?」
藤氏
「たとえば、スマホで決済してしまえばいいわけですね、スマートフォンで」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「ただ、大宜味村ですぐそこまでできるかどうかはわかりませんが。ただ、私が知っている企業はICカードを使ってやったりしているのですが、少なくとも当時に比べたら相当、発行コストが下がってきましたと言うところで、できるのではないかと。たぶん、この話にいく前に、これは地方通貨2.0の話なので、1.0の話をしますと、たとえば、高松に有名な商店街があるのですが、『めぐりんマイル』という地域通貨を出しています」
反町キャスター
「はい」
藤氏
「500店以上の商店街が参加をしておりまして、昨年の10月、1か月間、ちょっと面白い社会実験をしました。香川大学の経済学部の2年生の学生が、1か月、地域通貨だけで生活ができるかやったら、実際にできました」
反町キャスター
「うん。その通貨は、要するに、紙幣で発行していたのですか?」
藤氏
「ICカードみたいなものですね」
反町キャスター
「ICカード?」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「そのシステムを使うことによって生活が事足りるようになったのですか?」
藤氏
「なりました」
反町キャスター
「たとえば…、香川県の何市でしたか?」
藤氏
「えっと、あれは高松市です」
反町キャスター
「高松市。高松市に対して、国からの、いわゆる交付金やら何やらでお金が落ちます…」
藤氏
「一切ありません」
反町キャスター
「ない?」
藤氏
「とりあえずは団体が発行するのですが、団体が債務者になります。そこに対しては市の方から何らかの補助が出ているという形になっていますので…」
反町キャスター
「では、そのICカードを発行することによって、今、言われた、お金が地域外に流出することは食い止められると?」
藤氏
「かなり食い止められています」
反町キャスター
「具体的にどういうメカニズムで食い止められる?」
藤氏
「たとえば、その地域通貨で、たとえば、地域でしか消費できませんから…」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「地域で、たとえば、食事をします。たとえば、地方振興券を出しても、たとえば、ナショナルブランドのビールを買ったら全部、東京に行っちゃうわけですね」
反町キャスター
「はぁ」
藤氏
「地場のものを買えば、地場でまわりますと」
反町キャスター
「なるほど」
藤氏
「たぶん、そういう形で現在、少しずつ、そういう話になってきています」
反町キャスター
「今、言われた仮想通貨による地域通貨というものの購入対象、使える対象というのは地場のもの?」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「野菜も、魚も…」
藤氏
「そうです」
反町キャスター
「本当に?」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「そんなことできるのですか?」
藤氏
「はい、それを始めています。要は、地域通貨というのは、これまで行政が各単位ごとに縦割りで出していたものですから、ここの民間企業は横串にして、いわゆる、この保険部門で出たポイントは、たとえば、商店街でも使えますという形にして、購買力を上げることによって利便性を上げました。先ほどのビットコインも日本ではあまり使われていませんけれど、いろいろなところで決済できるということで一時期、価値が上がったりとかするものですから、そういう形になってきたということと。それから、あと広島市が、これは面白いのですが、広島市は広域自治体で地域通貨を発行するということを決定しまして。その時に彼らは地域通貨・円、基本的には交換しないことになっているのですが、地域通貨の方が円よりも価値を高めようとして実は何をやっているかと言いますと、たとえば、この地域通貨でなければ、広島カープの選手との握手ができないとか…」
反町キャスター
「へえ…」
藤氏
「たとえば、花火大会の特等席、たとえば、3000円だとすると、地域通貨の3000分でないと買えないとか。そういう形で少しずつプレミアをつけて、地域通貨を、価値をつけていこうということでやっているのですが。いずれもこれはまだICカードということで進んでいますが、これをもっともっと広域連携になっていけば、情報量が増えていけば、ブロックチェーンという形でやればいいというのが1.0ですが。2.0で、ここで書きました、仮想通貨の機能を使って、たとえば、寄付の機能を導入しようということですが、現在、これは別の企業の話なのですが、彼らは現在、仮想通貨を使って資金調達をやろうとしています。その時に、寄付も、たとえば、入れちゃおうと」
反町キャスター
「どこに対する寄付ですか?自治体?」
藤氏
「たとえば、自治体と言うか、大宜味村の、具体的には500年間続いているお祭りがあって、そこのメインがおばあちゃんですよ、90歳、100歳の。90歳のおばあちゃんの人に対して、たとえば、寄付をしましょうだとか、そういう形の、たとえば、新しいお金の流れもつくったりということで。ですから、日本の円でやっている限りはなかなか世知辛い世の中ではあるのですが、寄付的なあたたかいお金も含め、少し移動の仕組みが非常に簡単にできるものですから、円ではできなかった、すごくきめの細かい、個別最適的な経済圏ができるという、現在、予兆がありまして。たぶんそういうことを、30歳から下の経営者はかなり自然のものとして考えています」
反町キャスター
「大西さん、どう感じますか?」
大西氏
「すごく興味深いですね。仮想通貨、どうしても投機のところが注目が集まっているのですけれども、こういう地域発展、もしくは何か人に役に立つみたいな、というのは聞いていて、すごくワクワクしますし、僕は今日、来て良かったなと思います」

リチャード・クー 野村総研主席研究員チーフエコノミストの提言 『手を出すな』
クー氏
「いや、書けといわれたから、こんなもの…」
反町キャスター
「手を出すな」
クー氏
「いや、若くて元気なコンピュータに強い人が、いくらでもこれからいろいろなものをつくってくる世界ですから。現在は目新しいし、いろいろな先ほどもお話したような、中国とかいろいろな、日本の金利があまりにも低すぎるという、こういう事情から、そこにちょっとお金が集まっていますけれど。将来どうかと考えたら、何か『たまごっち』みたいに終わっちゃうのではないのかなという気がしますね。一時はすごく流行ったけど、そのあと何かポシャっちゃうと。だから、私は元中央銀行マンだったので、保守的すぎるかもしれませんけれど、私はあまり手を出すべきではないのではないかという気がします」

藤和彦 独立行政法人経済産業研究所上席研究員の提言 『老いては子に従え』
藤氏
「『老いては、子に従え』です。ダグラス・アダムスという、イギリスの作家がいて、2001年に死んじゃったのですが、彼は、面白いことを言っていまして、新しい技術が登場した時に、たとえば、その時に15歳以下の人は非常に自然のものとして受け止める。これが15歳から35歳の方はなかなかエキサイティングだねと言って、何となく理解して受け止めると。35歳以上になりますと、もう●●に、これは自然に反すると言って拒否するという話があって」
反町キャスター
「今日の番組みたいな感じ…」
藤氏
「と言うことで、私はこれから将来、現在、少子高齢化とは言え、ドンドン子供の数が増えていきますから、こういう時は若い人の行動に、僕は目をつぶってでもいいからかけるべきではないかなと思っています」

大西知生 FXcoin株式会社代表取締役社長の提言 『世界をつなぐ 未来をつくる』
大西氏
「仮想通貨、世界をつなぐ、未来をつくるものだ、と考えています。仮想通貨の技術及び、先ほどから話もありましたブロックチェーンの技術というものは、すばらしいものですので、大事なのは結局、使う人がどう使うかということだと思いますので、この技術そのものは未来をつくっていく良いものだと考えております」