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2018年1月15日(月)
『2018日中経済展望』 一帯一路…好機と危機

ゲスト

橋本岳
自由民主党衆議院議員
瀬口清之
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
柯隆
富士通総研主席研究員 静岡県立大学特任教授

習近平国家主席 『笑顔』の背景
竹内キャスター
「今夜のテーマは日本と中国の経済関係です。直近のデータを見ますと、中国は日本の輸入相手国で第1位、輸出相手国としてもアメリカに次いで第2位、さらに、国別の訪日外国人でも中国が第1位となっています。過去10年以上にわたって日本の得意先として存在感を示している中国ですが、今夜は2018年の日本経済の行方を占ううえでも重要な位置を占める、中国との経済面での課題や展望について、専門家の皆さんと考えていきます。こちらの写真、昨年、安倍総理と習近平国家主席は2回会談を行ったのですが、7月の首脳会談では硬い表情だった両首脳です。ですが、こちら11月に行われた会談では、お互いに目を合わせて笑顔も見られるような柔らかい表情です。僅かこの4か月での変化ということなのですが、柯さん、この習主席の笑顔の背景はどのように見ていますか?」
柯氏
「1つは、党大会を終わって権力をちゃんと掌握したものですから、これから経済に軸足をシフトしていくと。それで日本との協力が不可欠なわけですから、それで日中関係を改善しようという、いろいろな読みが背景にあると思います。昨年の19回党大会までは、いわゆる長老達の影響もあるわけですから、日本にあまり弱腰を見せると、党内、国内では、場合によってですけれども、売国奴と批判される可能性もあるわけですね」
反町キャスター
「ニッコリ笑って握手するだけで批判を受ける?」
柯氏
「だから、日本に弱腰、ちゃんと言わなければいけないというのが。だけど、今回の党大会というのは、ちゃんと習近平チームというのができたものですから、それで日本と関係改善しようと思って、実際に態度として表れてきたわけですけれども。最初から恐れているのは、おそらく江沢民のチーム、上海閥の皆さんの批判ですけれど。ただ、今回の党大会ではそれがほとんど一掃されたがために、安心して笑えたと」

日本経済『新アジア戦略』は
反町キャスター
「瀬口さん、いかがですか?中国の対日方針というのか、習近平さんの微笑みの裏には何があると見たらいいのですか?」
瀬口氏
「習近平さんの微笑みの裏に?」
反町キャスター
「はい、日本に期待するもの…、ニコッと笑って手を握って…」
瀬口氏
「ああ、それは、習近平主席の周りには、経済の専門家がいっぱいいるわけで。短期的には現在、中国経済は安定しているのですけれども、あと10年ぐらい先を展望すると非常に不安定な要因がたくさん見えているんですね。少子高齢化の問題もあるし、それから、産業競争力の低下のリスクもあるし、社会保障を増やしていけば財政の悪化もあり得る。そうなってきて、競争力が落ちてくれば、貿易赤字になるリスクもあるわけですね。いろいろな問題で経済成長率が低下していくと今度は現在、思想とか、イデオロギーとか、いろいろな弾圧もやっています、それに対する不満も社会から噴出してくるリスクがあります。そういう不満が噴出してきてしまうと、共産党に対する信任が揺らいでいくリスクというものにまでつながっていく懸念があるわけですね。そこらへんを全部展望して見ると、現在のうちからちゃんと自分の経済の基盤を固めておかないといけないというのは、習近平主席を中心に、その周辺の人達は皆よく相談をしているはずです。どこが1番頼りになるのだと。そうすると、過去の歴史を見ても、日本からの投資額が最も大きく、唯一、1000億ドルに対中投資額が乗っています。日本企業はお人好しが多いので、ちゃんと技術も移転してくれますし、中国から日本に行ってもいろいろなメリットが味わえるというのがわかってきていますので。やっぱり日本かなというのが腹の中にあると思います。でも、あまりそれをさらけ出してしまうと弱腰とか、舐められると言われるので、そこは慎重にはやっていきますけれども。でも、中国にとっては、世界第2の大国に対して第3の大国が当然、最大のパートナーになる。アメリカはパートナーにならないことはもう見えてきていますので。そういう意味で、日本を頼りにせざるを得ないという感じだと思います」
反町キャスター
「橋本さん、瀬口さんは10年後…、今、瞬間は六点何パーセントの成長率をもっていいかもしれないけれども、10年後を考えると、非常に経済・社会情勢に対する不安が、国内で不安があると見た時に今日、中国とどういう経済関係を持つべきなのか?要するに、日本が中国にどう経済協力をしたらいいのか、この議論を2時間するにも関わらず、中国のGDP(国内総生産)はおそらく2035年とか、2030年になったら、アメリカを抜くとか言われているではないですか。では、そうなった時に中国が世界ナンバー1の経済大国になることを、アメリカの同盟国である日本が現在、中国を応援するということが本当に日本の国益にとって重要かどうかという、それを、ずっと聞いていて思ったのですけれども…」
橋本議員
「はい」
反町キャスター
「そこは、政治のレベルではまったく迷いはないのですか?」
橋本議員
「結局、世界の平和が1番、誰しもきっと、発展のために良いことなわけです。さはさりながら、もちろん、いろいろな政治課題があったり、紛争があったりするから、なかなか世界平和にならないのですけれども。もちろん、現在、日本は日米同盟を基軸としてということで外交展開をしています。ただ、同時に、別に近隣の国々ともきちんとお付き合いをしていきましょうねということも、別に変らずずっと思っているわけで。結果として世界第1位になるのか、第2位になるのか、第3位になるのかというのはともかくとして、お互いの国がそれぞれWin-Winの関係、中国がよく使う言葉ですけれども、良いパートナーシップを結ぶということが、他のいろいろな摩擦を解決することにもつながる、あるいは少なくとも悪化させないということにつながるということは、別に言えるのではないかと思います」

13億人市場に挑む『日本式』
竹内キャスター
「ここであらためて昨年11月の日中首脳会談で、安倍総理と習近平国家主席の間で確認された経済協力の強化に関する内容を見ていきます。まず1つ目は、『日中経済の幅広い協力を推進』、その中身として、環境・省エネ、金融、食品貿易、観光、少子高齢化などが挙げられています。2つ目が『ルールに基づく自由で開かれた関係を構築』ということで民間企業のビジネスの促進、第3国でも日中のビジネスを展開という内容です。さらに3つ目、『地域や世界の安定と繁栄に日中で貢献する』ために『一帯一路』を含めて、今後の日中関係を議論するというものなのですが。まずは、この1つ目の『幅広い協力の推進』ですが、この中にある『環境・省エネ』の分野は、日本のモノづくり産業の得意ともされる分野なのですが。瀬口さん、日本企業の進出はどの程度、どこまで進んでいるのでしょうか?」
瀬口氏
「具体的にはいろいろな分野が環境・省エネに絡んでいますので、どの程度まで、と言うので、定量的に導き出すのは非常に難しいのですが、まだ十分に入り切れてないと私は思っています。と言うのは、環境・省エネというのは、特に環境問題に関しては本国の政府、中国側の政府がどれぐらい規制を強く強化するか、これにかかっているんですね。一般的には、誰も自分から進んで環境のためにコストを払うということはやりたくないんです。できれば、環境向けの費用を抑えて儲けたいと思うのが、どこの国でも同じですね。中国も同じです。だから、中国政府がどこまで環境規制を強化するかによって、中国企業の環境対策に対するニーズが変化して、強化されればされるほどニーズは強くなります。そうすると、日本に対するニーズが強くなります」
反町キャスター
「規制を強化することというのは、中国経済の成長には寄与するのですか?マイナスに働くのですか?」
瀬口氏
「両方あって、基本的にはコストが高まる方が大きいので、成長を妨げる部分というのはあると思うのですけれども。ただ、社会は健全な発展をしていかないと、長続き、サステナビリティ、持続的発展ができないですよね。そういう意味で、中国の社会がここまで中間所得層が増えてきて、2010年には1億人ぐらいだった人が、2013年には3億人、2020年には7億人から8億人まで増えようとする。この中間所得層が増えていくと、その人達のニーズを満たすような社会の運営をしなければ皆、政府についてこないですね」
反町キャスター
「現在、習主席が1番考えなくてはいけないのは成長を多少犠牲にしてでも、幅広い国民が私を支持してくれる環境政策を打つこと、そう彼らは判断しているのですか?」
瀬口氏
「そっちだと思います。今回の党大会の習主席の基本的なスピーチのメッセージの中で経済の専門家が1番重視した変化、大きな基本方針の変化は、従来は生産力の向上を中国の最大の政策目標にしていたと。ところが、今回のスピーチでそれをやめたんですね。生産物の質と、それから、生産効率、そういうものを重視して、社会のその量はもう足りたと、ある程度足りたと、その量を増やすスピードより、むしろ質を高めて効率を上げる方へ舵を切ろうという方針を出したんですね。だから、生産の量の時代から質の時代へと転換をはかったというのが、今回の習近平スピーチの経済面から見た最大の転換点がこれだと皆、指摘しています」
反町キャスター
「柯隆さん、まず環境・省エネ分野における中国の日本に対する期待と、日本の協力の可能性をどう見ていますか?」
柯氏
「環境について具体的にどういう話かと言うと、1つが水質の改善、これは、日本は既にやり始めています。それから、2番目が大気汚染、大気汚染に関して言うと現在の1番の原因は車ではなくて、石炭を燃やしているからです。中国のエネルギー構成の中で、石炭の割合というのは全体の67%を占めているので、それを減らさないと。しかも、中国は石炭の質が良くないので硫黄分が多いわけ、これを減らさないとどうにもならないというのがあるんです。どうするかと言うと、これは日本の出番ですけれども、日本の優れた技術の1つが、石炭をガス化して、それでガスを燃やす。集中してガス化するがために、その硫黄分などが、SOx、NOxと言われる、あるいは粉じんも全部吸収して、それでクリーンなエネルギー源になるわけですけれども。これを日本はどう供与するか。たぶんあとでルールの話になると…これ以上は言いませんが…」
反町キャスター
「その技術は日本の技術が世界に冠たるものなのですか?」
柯氏
「もう…と言うか、もう確立しています」
橋本議員
「結局、日本は公害先進国ですよ」
反町キャスター
「ああ、なるほど」
橋本議員
「…平たく言っちゃえば。だから、そういうものをドンドン、クリアし、これまで開発を、それこそ日本の企業ががんばってきたというところがあるので」
反町キャスター
「公害先進国…」
橋本議員
「すごくネガティブな言い方ですけれども。ある意味で、我々は経験してきたことで、水質汚濁にしても、大気汚染にしても。だから、現在、中国がそれこそ発展してきて、ある種、追いついてきて、同じようなプロセスをたどっているという時に、我々の経験というのは活かせるものはあるよね、それは技術にしても、制度にしても、いろいろなことはあるだろうというのは背景にあると思います」
柯氏
「厳密に言うと、公害ビジネス先進国だと思うんですね」
橋本議員
「いや、まあ、そうですね」
反町キャスター
「ああ、なるほどね」
橋本議員
「それをさらにビジネスにしていくという…」
柯氏
「そうそう」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、高齢化社会の話とかもあとで聞きますけれど、要するに、日本は中国よりも社会モデルとして、先に公害を経験し、現在、少子高齢化も先に経験しているから…」
瀬口氏
「うん」
反町キャスター
「課題先進国と俗に言われる中、先に経験している分、中国に提供するノウハウや技術があるという、柯隆さん、そういうことでいいのですか?」
柯氏
「うん、ちょっと待ってね…、まずガスの話も…」
反町キャスター
「ガスの話もいいですよ、やってください」
柯氏
「もう1つ、水の話があって、水の話、何で日本が優れているかと言うと炭素繊維です。あのフィルターをつくる炭素繊維が、日本のいわゆる素材産業という、これは世界でドイツと同じように優れているわけですけれども。これらの技術をまとめて言うと本当に供与をしていいかどうなのかというのを迷っているわけです」
反町キャスター
「日本が?」
柯氏
「うん、供与をしていいか、どうなのか?」
反町キャスター
「それは安全保障上という意味ですか?」
柯氏
「いえ、いやいや、研究者の間でも、財界でもそうなのですが、供与して…、その賛成派は供与をした方が日本の環境にも寄与するわけだから、中国から飛んでこないわけですからね…」
反町キャスター
「そうですね」
柯氏
「ネガティブな人が、いやいや、供与をすると、我らが一生懸命、開発、コストを払って開発した技術が中国に盗られてしまうのではないのか?それが、先ほど申し上げた、いかに技術…、戦略を考えて、戦略的に供与をする。別に無償と言わないのだから、有償にやらなければいけない。さしあたり、この2つ。あとは、たとえば、食品安全性だとか、あるいは僕らがリサーチした中国のゴミ問題、これはどちらかと言うと、日本に飛んでこない話なわけですから、それはあとにして。とりあえず、この2つが国境をまたがる公害なわけですから、これを日本はしっかりここ考えなければいけない問題だろうと」
竹内キャスター
「『少子高齢化』というものがありますが、瀬口さん、これはどのような経済協力、具体的に意図しているのでしょうか?」
瀬口氏
「少子高齢化というのは、社会の変化を表していますので、それと具体的な経済協力が1対1で結びついているわけではないです。日本も少子高齢化、特に高齢化の社会が進んでくるに従って、いろいろな新しい需要が出てきていますね。たとえば、1番わかりやすいのは介護とかでありますけども。たとえば、食べるものもご老人の召し上がるものは結構柔らかくて食べやすいもの、そういうものが必要になってきますよね。それから、若い人と同じようなものを安全には食べられないので、そういう安全にも気をつけなくてはいけないという問題も出てきます。それから、あと、旅行に行く時も、旅行に行く場所も変わってきます。それから、介護に付随しますけれど、ベッドだとか、バリアフリーの住宅だとか、さまざまなサービス、たとえば、飲食店だって、そういうご老人の人達を受け入れる飲食店も増えてきますよね。もう本当に幅広い分野で少子高齢化のサービス、製品の需要というのが広がってきますので、そこに日本は、まさに先ほどおっしゃった、課題先進国、少子高齢化先進国として、さらに進んだものをドンドン提供できていきますので、そこにビジネスチャンスはドンドン広がっていきます」
反町キャスター
「それは、現在の食べ物とか、街中のインフラやら、社会的なインフラ、たとえば、保険制度みたいなものも全部…」
瀬口氏
「もう全部含みます」
反町キャスター
「日本はもう全部提供できると言うのも変ですけれど、向こうの求めているものは、ほぼ日本は持っている?」
瀬口氏
「そうなんです。最近、言われているのは、中間所得層がドンドン増えてくるにつれて、中国の中間所得層の人達が1番ほしいものをそのまま提供してくれるのは、日本しかないのではないかという見方が、中国の社会の中にも出てきていますし、それから、日本企業がそれを実感しています。つい10月の下旬に、北京に行った時も、ある金融機関の支店長が、いや、現在はもう日本しか、中国人の満足を満たせる国はなくなっちゃったのではないかと我々は感じているんですよという話をしていました」
反町キャスター
「柯隆さん、いかがですか?日本は、そんなに中国に対して何でも提供できるマルチサプライヤーなのですか?」
柯氏
「うん、何でも、という言い方はちょっと言い過ぎると思うのですけれども。若干、ちょっといつも聞いていて混乱するので整理させていただくと、日本の視聴者がこの番組を見ていらっしゃるので。なぜ中国でこの少子高齢化の問題が突然出てきたか。40年間、一人っ子政策をやってきた。だけど現在、中国の1人あたりのGDPは9000ドル前後です。日本の1人あたりGDP、9000ドル前後の時代、介護保険はあったか?なかったんです」
反町キャスター
「うーん、なるほど」
柯氏
「なかったんですね。と言うのは、日本が経済発展とともに国民が少しずつ豊かになってきて、少しずつ、また、保険などの制度も整備してきた。だけど、中国はひたすら経済を発展させよう、この制度の整備もしていないし、国民が十分に豊かになっていない、お金もとれていないわけですよ、貯めていないと言うか、蓄積していない。だけど、いきなりフタを開けて見たら高齢化率が上がって、しかも、現在、結婚する若者、夫婦はこれから2人が最低4人の老人をケアしなければいけない」
反町キャスター
「2人で4人?」
柯氏
「だって、旦那と奥さんの…」
瀬口氏
「両親がいますから…」
反町キャスター
「ああ、なるほど」
柯氏
「4人でしょう?」
反町キャスター
「そういうことか、一人っ子ですからね?」
柯氏
「保険が何もない中で、この4人をケアして…」
反町キャスター
「橋本さん、日本は肩車って言われていますよね?」
橋本議員
「はい」
反町キャスター
「日本より中国の方が酷いのですか?中国の1人の肩に2人乗っかっているという、今の計算になりますけれども…」
橋本議員
「個々にはそれは家庭の事情ですけれど、そういうことはあり得ると思います、一人っ子同士の本当に結婚しかないということになれば」
反町キャスター
「ああ、なるほど」
柯氏
「と言うことですから。そうすると、この高齢化、少子高齢化、あるいは介護保険どうするのか、まずは金をつくらなければいけない。ファンドに金がないわけですから。いや、一部、年金ファンドができているわけですけれども、でも、年金ファンドというのは悪用・流用されている部分があるわけ、なぜかと言えば…」
反町キャスター
「どういうことですか、それは?」
柯氏
「ガバナンスをちゃんとやっていないものだから、日本でもあったではないですか?」
反町キャスター
「金融ルールの話ですよね、それは、もしかしたら?」
柯氏
「うーん、いや、これは社会保障と一緒で。それは、ファンドは貯めたら運用するんですよね、運用する時にガバナビリティを確立していないと、悪用される、流用されるわけですね。それで気がついたら穴が開いちゃうわけですよね。これが1つ。2つ目はそもそもできていない制度ですから、介護というのは。技術だとか、ベッドだとか、ロボットだとか、以前の話。このファンドに金がなければ、ゼロだから…」
反町キャスター
「そうですね」
柯氏
「これは、日本はロボットを持っている、では、使ってよと無償で提供するのかというのは、1億2000万の日本人ですよ、13億6000万人の中国人を介護するのかというのはとんでもない話でしょう?ですから、これは、話をすると長くなっちゃうのですけれど、この制度を早くつくらなくてはいけない」
反町キャスター
「橋本さん、中国が社会保障制度をつくりたい…」
橋本議員
「はい」
反町キャスター
「社会保障制度を日本が提供できるのかどうか、ここはどうですか?」
橋本議員
「だから、制度のノウハウというか。だから、社会保障、医療保険にしても、介護保険にしても、医療保険はもう中国それなりにあるのだと聞いています、日本と同じかどうかはともかくとして。だから、介護保険はこれからつくるのだというお話だと思います。保険制度の場合、まずどうやって保険料を徴収するのか。それから、それをどう誰に給付をするのか。誰がそのサービスを実際にやるか、みたいなことを全部セットでつくっていかなければいけないわけですね。だから、それを、どういう段階をおって物事を進めていくのか云々ということを、現在は、介護保険は当たり前にあるものとして機能しているので、だけど、日本だってその制度導入の当初はそういうところからすったもんだ、一からつくりあげていったし、政治的にももちろん、いろいろなすったもんだがありましたけれども、なんとかやり動けているわけです。同じプロセスを中国にも踏んでもらわないといけないと言った時に、その時に、たとえば、どういうところからスタートしていったのかとか、保険料、たとえば、日本で言えば40歳からいただくということになっていますけれど、中国ではそれをどのぐらいにすればいいのかとか、もう一から議論を積み重ねていかなければいけない。だから、その時に、日本ではこういうことでやってみた、それで日本でも当然、試行錯誤があるわけで、ここはうまくいった、これはうまくいかなかったということを全部、記録はそれは見ていただければいいわけで。そういうことを、お伝えをきちんとしていくなり、あるいはそれを中国も…」
反町キャスター
「それは政府のビジネスみたいなものですか?たとえば、厚労省が日本の介護保険はこういうシステムでできています、中国の皆さん、これがほしいのだったら、料金を払ってこのシステムを買ってちょうだい、こういうビジネスを日本政府がやる可能性があるという意味ですか?」
橋本議員
「それをビジネスでやるのがいいかどうかは、ちょっと…」
反町キャスター
「でも、タダで渡すわけにはいかないでしょう?」
橋本議員
「ただ結局、これは瀬口さんのお話になることと近くなると思いますが、日本式の介護保険制度を、たとえば、導入をする、中国が決めた、あるいは同じような話で、現在、総務省さんは地上波デジタルの方式をいろいろな国で日本式の導入をと言っているわけです。あれと同じ話で、日本式をその政府が採用してくれたら、1番その制度に慣れている企業はどこですか。それは日本企業に決まっているんです、日本の事業所に決まっているわけです。だから、当然ながら事業所の経営も、中国に行っても同じようなノウハウでいけるよねということは期待してもいいのだろう、ビジネスの世界でいっていただけるよねという話です」
反町キャスター
「制度、システムは、ソフトウェアみたいなもの…」
橋本議員
「ええ」
反町キャスター
「これはどうぞ使ってくださいと、フリー…」
橋本議員
「もちろん、そこで、それは何か条件をつけたり、バーターにするとか、そこは別にあってもいいとは思いますが。ただ、正直言って、その政策の歴史みたいなものはどの本だって書いてあるんだし、オープンな基本的に情報なので、あまりそこでケチケチしたことを言うというよりは、ちゃんと制度を導入してもらって、だけども、ちゃんとそこで日本の人達も行って、ビジネスができるという形にする方が戦略としてはいいのではないかとは思います」
反町キャスター
「僕、制度が全然わからないので、外形的な話で聞きますけれど、橋本さん、たとえば、日本の介護保険制度というのはどういうものかというのはモノの本とか、そういうものにいろいろと出ているとした場合に、中国の人がそれを見て、あっ、これをつくればいいんだというような、そんな簡単なものではなくて…」
橋本議員
「ええ」
反町キャスター
「厚労省のちゃんとした担当の人が行って、いや、ここの部分ではこういう変数でこういうシステムだよというふうに説明しないと、制度としてとても中国政府で導入できるようなものではないのですか?要するに、黙ってもコピーできるようなものではないのかどうかですよ?」
橋本議員
「法律とか、制度というのは、それは明文化されたものがきっとあるので、それは読めばいいですよねという話です。ただ、結局、なぜそういう法律になっているのか。なぜそういう制度になっているのか?なぜここで線を引いたのかというものは、その経緯みたいなことというのはちゃんと誰かが口で言って説明をしないと必ずしもそこまできちんと文書化されているかわからないし、あとは日本での経緯はそうでしたねと言うと、中国で同じような経緯でものが進むのか、それはわからない。国会の仕組みだとかも全然違うし、政治の、政府の体制そのものも違うのだし、当然ながら国民の家族の構成だとか、生活の仕方だとかも違うし、住んでいる広さだって違うし、みたいなことは、それはそれで中国に合わせてどうカスタマイズするかということも考えなければいけません」
柯氏
「反町さん、ちょっと一言…」
反町キャスター
「はい、どうぞ」
柯氏
「その前に実は重要なのは、中国は、介護保険を導入するかどうなのかです。国民全員をカバーするような…」
橋本議員
「まさに、そう」
柯氏
「これは理念の議論をまずしないといけないので。現在の中国は、13億6000万人全員をカバーするような制度はできないです。お金がゼロだから。だから、結局のところ、勉強するのが上位何パーセント、たとえば、10%、20%、30%…」
反町キャスター
「えっ、富裕層だけを救済する保険制度をつくるの?」
柯氏
「それは、アメリカだって介護保険をやっていないというのは…」
反町キャスター
「もちろん、そうですよね」
橋本議員
「介護保険は当たり前だと思っちゃいけないです、世界で」
反町キャスター
「それはそうだ」
柯氏
「海外で介護保険が導入されている国はむしろ少ないので。だから、中国は現在、勉強しようとしているのが、日本のこういう完璧な制度なのですけれども、上位30%の人をカバーして、残りの人達が、申し訳ない、あなたの子供にちょっとアレしてもらうとかという、そのへんをどうするのかとか。要するに、理念の議論をまずしないとけないので、制度というのは全部公表されているもの」
反町キャスター
「ただ、柯隆さん、共産主義なのでしょう?」
柯氏
「そういう議論にいきます?」
反町キャスター
「ハハハ…、そういう理念で、人民の党で、共産党で上位30%だけ生き残る社会保険制度をつくる、こんな自己矛盾を彼らはやるのですか?彼らと言ってはいけない、北京はそういうことをやるのですか?」
柯氏
「やらざるを…、だって、他の選択肢があるのですか?」
橋本議員
「いや、だから…」
反町キャスター
「僕は知らないですよ」
柯氏
「ないです、だから」
反町キャスター
「ないの?」
柯氏
「ないのだから…」
反町キャスター
「全員を救えないということを共産党が表立って我々は全員を救えないので、共産党だけれども、上位30%だけ救うシステムをつくりますと言うのですか?」
柯氏
「いや、だから、そういうふうに宣言するかどうかは別として。僕らは現在、実質的に議論をしているので、実質的にそうやらざるを得ない」
反町キャスター
「日本の社会保障制度は中国で適用できるのですか?そもそも向こうが受け入れる気があるのかどうかから聞きたいです」
瀬口氏
「所得水準から見て、そのまま受け入れたら財政が破綻しますので、それは無理だと思います。でも、柯隆さんが言うように、一部の人だけの保険制度を考えられるかと言うと、それは反町さんの想像通り、たぶんそれも難しいと思うんです」
反町キャスター
「民間企業でやるのだったら、別ですよ?」
瀬口氏
「たぶん日本だと要介護3、2、1とあって、要介護1まで全部カバーしますよね。要介護1のところは家庭でやってよと、2、3をやるよというような、その程度の、社会のニーズに応じた財政と社会のニーズに応じた制度設計というのはあり得ると思うんです」
反町キャスター
「なるほど」
瀬口氏
「何を要介護2にするか、何を3にするかというのは、まさに理念だけではないですね。日本のノウハウがないと、こうやったら、2と3が分けられるよと、こういう判断基準が項目としてあるよというのは日本から導入できると思うんです。それを導入して、中国が採用した瞬間に、今度はそこに応じたサービスというのは、日本のサービスはこういうふうなのが応用できるよ、では、日本の企業が行きましょうかと。ベッドはこういうのが使えるよ、リハビリはこういうのがあるよ、施設はこういうのがあるよというふうに、ドンドン、ニーズは生きるので、政府がそういう土台を敷いてくれれば中国に合った制度を一緒につくっていけば、そこに日本のビジネスチャンスは生まれてきます」

アジアに描く『経済ルール』
竹内キャスター
「昨年の首脳会談では『ルールに基づく自由で開かれた関係を構築すること』が確認されましたが、柯さん、中国は日本とのルール構築についてはどのように考えていると?」
柯氏
「ルール構築という意味では、本当のことを言うと、まだ途上国なんですね。たとえば、パテント、特許、法的に守らなければいけない、アンチダンピングだとか、市場の透明性、政府の買付の時の入札の制度にしても、十分にガバナンスが効いていないのがありまして。中国に進出している日本企業は、いつもそこに不自由を感じる部分があるわけだし、いきなり自分のロゴがコピーされていたりするわけですから、私は、これは中央政府できちんと議論をして、いわゆるルールづくりをしていかなければいけない。ただ、中央政府が決めた、こういうルールづくりの話ですけれども、地方政府になると必ず守ってくれるかというと、またそうではないところがありまして」
瀬口氏
「あります…」
柯氏
「あまりにも国が大きいものですから。たとえば、中央政府が、パテント、特許を守らなければいけない、だけど、実際に浙江省とか、福建省とかに行くと、勝手にコピーしているのはあるわけですから。それはなぜかと言うと、全体的に彼らがコピーすることによって大きな利益を得ている。逆に、コピーしなければ失業者もあふれるし、地方政府の財源…」
反町キャスター
「それは勝手な理屈で…」
柯氏
「だから、理屈はもちろん、勝手ですけれど、でも、その背景にはそれがあるわけですから。それをいかに説得し、たとえば、コピーすればするほど中国の企業がいわゆる基礎研究をやらない、技術がつくられない、これはお前、困るだろうと。だから、現在、たとえば、中国は世界2番目の経済ですけれども、中国企業のブランド力が世界2番目になっているかって、なっていないわけ。そういうふうに説得していかなければいけない。日本企業が、守ってほしい、という説得だと、結局、自分のことしか考えないだろうと。そうではなく、中国の企業のブランド力を上げるためには中国の企業にもっと技術を開発させていかなければいけないという論法を考えなければいけないと思いますね」
反町キャスター
「いかがですか、中国におけるルールづくり、どのように見ていますか?」
瀬口氏
「柯隆さんがおっしゃった、地方の問題というのは深刻な問題で、実はルールが、ルールに基づいていなくて、1番困っているのは、中国の中央政府です。何とかルール通りやろうと。要するに、法治国家を何とかつくろうと、そういうことを今、一生懸命やっているのですが。その法治の方は西洋的な意味ではなくて、ちゃんと地方がルールを守ってくれと。裁判所まで、どっちがたくさん自分に賄賂をくれるかというのを考えて、賄賂をたくさんくれる方に勝訴させるというようなことがよく言われるほど、最後の守りの砦ですら、そんな状態ですので。ルールがそもそも守られないというのが、中国の伝統社会として…」
反町キャスター
「そんなところに日本企業が進出できないではないですか?」
瀬口氏
「そこです。日本企業はそこらへんを全部踏まえて、進出するノウハウをずっと蓄積していたんですよね。だから、最先端の技術は絶対に持っていかない。それは持っていったらアウトです。5年前につくった技術で、まだ中国でちゃんと普及していないヤツがいっぱいある。たとえば、ダイキンのインバーターの技術なんかそうなのですけれども、中国にはない、日本では随分前にあった、だから、出そうと。でも、周りは皆、猛反対をしたんです。でも、ここは出して、また次の技術を開発しようというふうに、ダイキンの会長は決断をしてやって、大成功して世界シェアをガーンと上げたんです。これが中国と日本の付き合いのコツ」
反町キャスター
「でも、結果、その技術は盗まれたんですよね、おそらく?」
瀬口氏
「そうです。盗まれたと言うか、お金でちゃんと取引したんです。2006年から2008年まで、私、3年間、中国にいた時にずっと同じ質問をし続けたんです。日本はずっと技術を開発し続ける、でも、中国がドンドン追いついてくる。そのうちに日本の技術は全部盗られて、中国に日本の企業が全部席巻される、日本はもうお払い箱になる、そういう時代が来ると思うかという質問を、私の親しい友人で信頼できる友人に全員に聞いたんです。答えは、全員、NOでした。なぜ?いや、日本は技術を開発する時にチームワークで長期にわたってコツコツ、コツコツ、職人芸でやっていくと。そうすると、途中ですごい技術が開発されて、会社がそれを使って、すごい製品をやっても、皆、技術を開発するところに魅力を感じていて、売上げの利益で何十億儲かったから、そのうち給料を俺に何億よこせとは誰も言わない。でも、中国人は自分の技術を売って何億儲けたかというのをちゃんと計算していて、それに対する対価を必ず言ってくると。だから、中国人の技術で、日本人みたいに素晴らしい技術が長期にわたって安く提供される環境は絶対、中国にはできない。だから、中国のお金持ちは必ず日本人を頼るんだと、心配するなと言われたんです」
反町キャスター
「柯隆さん、どうですか、この中国論?」
柯氏
「いや、若干、僕、極論のように聞こえているのがありまして…」
反町キャスター
「だって、先ほどの柯隆さんの話だと、地方政府から地方企業に対する働きかけというのは、ちゃんとルールを守ることがその企業の、ないしは地方経済の最終的なプラスになるよ。つまり、研究開発なんかもちゃんと真面目にやりなさいよという働きかけをするんだという、こういう話だったですよね?」
柯氏
「うん」
反町キャスター
「それをやっていけば今の話の逆になるのではないか?中国が技術大国として日本を凌駕する時期も来るのではないかという前提にはならないのですか?」
柯氏
「凌駕するというか、今の中国の技術レベルがまだ日本に十分に追いついていないし、追いつくにはいつかまだ読めないわけですから。しかも、忘れてはならないのは技術というのは日々進化するものでして、古い技術を抱え込んだって古くなっちゃうものですから、むしろそれを有効利用して、移転していく。これが昔、我々、経済学で学んだ雁行発展モデルという、鳥が飛んでいて、日本は当然1番生産性が…、少しずつ移転していくというようなモデルがあったものですから、これは逆に日本は尊敬されるわけですから、良いこととして。問題なのはたぶん中国国内の制度・システム、いわゆるルールの話ですけれども。そういうのが先ほど、インバーダー技術、あるいは…、ちゃんと話さなければいけない、格力電器と言われる会社が、ダイキンのいわゆるエアコンが、売ってあげるというディールで、その移転を受けたわけですよ。これは最先端ではなくて、でも、優れた技術。格力電器もそれによって爆発的に売れ出し、ダイキンも中国の市場をシェアできたわけですから、すごく良いモデルだと思います。問題は、先ほど最初に申し上げた、たとえば、そういう素材とか、いろいろ日本にしかないオンリー1の技術を日本はどう活かしていくのか。それが、たとえば、経団連の皆さんが中国に行って李国強首相に会った、ああいう時になぜ言わないのか。もう少しきちんと話、発言をしなければいけない。尊敬する李国強閣下というような挨拶も良いのですけれども、我々は十分に供与をする用意があるのだけれども、ただし、守ってほしいと。日本は、いつもそこは配慮し過ぎている部分があるので、是々非々できちんと言った方がいいと思いますね」
反町キャスター
「橋本さん、いかがですか?中国に対してもっとズケズケものを言った方がいいのではないかというような、柯隆さんの話、どう感じます?」
橋本議員
「ですから、きちんと、自治体が守るかどうかという話はありましたが、とりあえず国ベースではRCEP(東アジア地域包括的経済連携)という経済連携、中国も日本もASEAN(東南アジア諸国連合)の国とかも入った協定の協議をしているわけです、もう5年ぐらい。ですから、その中で当然ながら、知財の保護だとか、投資をする時のお互いのルールであるだとか、そんなことも決めようねという議論をしているところなので。そこで、できるだけ高いレベルの透明性だとか、公平性だとか、みたいなことをきちんと中国にも受け入れてもらって、当然、守れよということも言って。たとえば、紛争が起こった時には、国際的な、たとえば、仲裁裁判所に出ようとか、そういうところまで、できれば含めた協定をちゃんと政府間で結んでいく、あるいはRCEPなどという枠組みを実現すれば、それはお互いに投資のしやすい環境になるよねということになるのだと思います。だから、政府のレベルではそういう議論をやっているので、地道に。昨年、だから、初めて首脳会談ができた、一応、今年がんばろうというような合意になっているわけですから、それをきちんと、ちゃんと我々もショーアップをしてちゃんと政府…、要するに、政治家レベルでもきちんとそういうことをやっていこうねということも、それは言っていくべきなのだろうと思います」

日本の『技術』めぐる攻防
竹内キャスター
「中国を起点として、ヨーロッパ・アフリカまでを陸と海の経路を結ぶ一帯一路ですが、この地域、日本が関係する、もう1つの地域構想と重なり合っています。昨年11月、安倍・トランプ会談で合意されたインド・太平洋戦略、これは民主主義・法の支配による平和と安定、さらに自由で開かれた市場経済などを提唱したものなのですが。橋本さん、経済協力で日中の関係が動き出していますが、経済と安全保障で、安倍外交は中国とアメリカ、両国とどう向き合っていけばいいのでしょうか?」
橋本議員
「一言で言ってしまえば、是々非々ということだと思うんです。それは、中国は中国で一帯一路というのを打ち上げて、昔のシルクロードのあたりで、いろいろな開発だとか、あるいはその政治的コミュニケーションだとか、いろいろな分野があるのですが、観光だとか、そういうことをやろうと言っている。別にそれそのものが批判をされるようなものでもない。別に日本だっていろいろな経済協力とかやっているのだから。同時に、日本は日本でアメリカとかと組んで、『自由で開かれたインド太平洋戦略』という正式名称というのがついているのですけれども、そういうものを、安全を確保しようとか、公平なルールにしようとか…です。要するに、お互いにその中で協力できるものがあるならば、すればいいと思うし、たとえば、我々の観点からして一帯一路のプロジェクトだからと言って、たとえば、十分にオープンではないよねとか、十分に採算性がとれなさそうだよねとか、その公正性がイコールフッティングではなさそうだねということであれば、そこは協力しない方がいいよねということになるのだと思いますし。我々としては結局国際ルールに応じたような、則ったようなもので一緒に仕事ができることがあれば、すればいいと思うし、そうでなければ、そうではないという付き合い方をするということが正しいのだと思います」
反町キャスター
「なるほど。瀬口さん、いかがですか?一帯一路、インド太平洋戦略、是々非々だと橋本さんは言いました。一帯一路と我々はどう向き合っていったらいいですか?」
瀬口氏
「一帯一路というのは、中国の危機感の表れだと私は思っているんです。と言うのは、先ほど申しました通り、2020年代後半ぐらいになってくると、中国の経済成長率は低下してきて、場合によっては社会不安にまで飛び火し、共産党の信任まで揺らぐ可能性のある時代が、もうあと10年ぐらいすると、リスクとして出てきちゃうわけですね。そうならないかもしれませんけれど、そうなるかもしれないと。その時に1 番怖いのは、成長率が急に落っこちていくことがある。一帯一路をやり始めたということは、日本がかつて都市化が終わって、需要が終わって、ドンドン経済成長率が下がってしまったように中国も、もし中国の国内需要が止まってしまうと、急に成長率が落ちる。それを防ぐためにはユーラシア大陸、もしくはもっと広い範囲で中国のその投資を増やしておいて、インフラ整備をやって、周辺国の需要が中国のモノを買ってくれるような仕組みをどうつくるかというところが問題ですね。日本としてどう考えるべきか。2030年頃を考えてみると現在、四百数十万台、日本の車は中国で売れていますけれども、1000万台売れてもおかしくないぐらい、すごい勢いで現在、日本の車は売れているんです。安心安全でいくと、その全部がEVにはなりませんから、日本の車のシェアは高まっていく可能性がある。そうすると仮に1000万台売れていたら、25兆円ぐらいの売上げがあって、5兆円ぐらい利益が出てきて、法人税もそこからガバガバくるわけですね。それが、国がひっくり返るような経済不況になれば、日本もろとも倒れる、場合によっては金融不安まで起きるかもしれない。と言うことは、中国の長期的な金融…、経済リスクを避けるのは日本と中国の共通課題になってしまっているんです。それを防ぐのに、一帯一路をどう使うか、インド太平洋戦略をどう使うか、これが日中で話し合うべき長期的なテーマだと私は思っています」
反町キャスター
「中国で1000万台売れて25兆円で、5兆円の利益があると言いましたけれども、中国で上げた利益は日本に還流できるのですか?」
瀬口氏
「できます」
反町キャスター
「できないような…」
瀬口氏
「かつてはそれもあったのですけれども」
反町キャスター
「そう、そのルールはもうなくなった?」
瀬口氏
「なくなりました。ただ、合弁企業なので、50、50なので、5兆円のうち2兆5000億円は中国に、2兆5000億円は日本にということになるかもしれません」
反町キャスター
「なるほど」
瀬口氏
「ただ、それはカー生産者メーカーだけですから、その他のメーカーも含めれば、その2倍、3倍という利益が出ますので。その頃には、法人税の何兆円かが中国に依存するような国に日本がなっていてもおかしくないです」
反町キャスター
「柯隆さん、一帯一路を我々はどう見ていったらいいのですか?」
柯氏
「一帯一路をどう思うかと言うと、インフラ整備というプロジェクトからすると、できつつあります。中国からドイツまでの直通の列車がもう走っているわけだから。ただ、中国が狙っているのは、インフラだけではなく、巨大なユーラシア経済圏の形成、それを将来的にそこがFTA(自由貿易協定)みたいな議論になってくると日本にとっても相当大きなインパクトが出てきます。一方、インド太平洋戦略の議論ですけれども、これはまだ中身がないです。おそらく南シナ海を意識しているのですが、こういう枠組みをつくっていく時に誰がリーダーシップをとるのか。誰がそのコストを払うのかですよね。だから、アメリカは払う気がないし、日本はどうなのかというのはあるわけだし。中国が現在、経済力が1番ある時ですから、だから、一帯一路をつくっていく。日本はかつて経済力があった時、いわゆる円圏をつくろう、円の国際化をやろうと『宮澤プラン』『チェンマイイニシアティブ』が出てきた。現在、日本の経済力はどれぐらいなのかというのは、もっとアベノミクスに期待するしかないんじゃないの?」

瀬口清之 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言 『民主体』
瀬口氏
「私は民主体と。政府は両国の民間主体が、お互いにうまく交流し発展しあえるようなプラットフォームをつくる。それを政府の役割として、とにかく民間がのびのびとお互いに交流ができて、お互いに協力ができるような体制をどうつくるか、これが外交保障面でも、安全保障面でも、経済面でも協力のカギになると思っています」

柯隆 富士通総研主席研究員の提言 『春暖花開』
柯氏
「春暖かくなって花が開くと、花が咲くと。すなわち、これまでの日中関係がいろいろな問題で良くなかったのですけれども、おそらく今年は花が咲くだろうと。ただ、花が咲いて実るのかどうかというのは秋なわけですから、秋に向けて我々はもっと努力しなければいけないと思います」

橋本岳 自由民主党衆議院議員の提言 『高い透明性・公平性』
橋本議員
「高い透明性・公平性と書きましたが。先ほどのお話に加えて言えば、要するに、政府は逆に言うとまさにプラットフォームをつくる、先ほど言っていたRCEPみたいなものは、たとえば、そういうものだと思いますが。そういうことを通じて、市場として高い透明性だとか、公平性というのをちゃんとつくっていこうねという努力はしていく。そのうえで民間の方々が進出したり、出て行ったりということになるといいなと思います」