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2017年11月30日(木)
好景気のピークを読む

ゲスト

山本幸三
自由民主党衆議院議員 前地方創生担当大臣
早川英男
富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー 元日本銀行理事
小幡績
慶應義塾大学大学院ビジネススクール准教授

戦後2番目『好景気』の実像
秋元キャスター
「先月、史上最長の16連騰を記録、日経平均株価は25年ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新、銀座などの土地価格は過去最高だった1992年を超えました。現在、日本は、バブルに突入しているのでしょうか。戦後2番目に長い好景気はいつまで続き、現在の局面が転換するリスク要因は何なのか。今夜は日本経済の実像についてじっくりと話を聞いていきます。日本の景気の現状について、景気の状況を判断する景気動向指数の推移ですけれども、2012年12月から景気の拡張が直近まで58か月続きまして、1960年代後半、高度経済成長期のいざなぎ景気を超えて、いざなみ景気に次いで、戦後2番目の長さとなっています。まずは山本さん、実感なき好景気とも言われますけれども、景気の実感、実態ですね。どう見ていますか?」
山本議員
「私は、非常に良くなっていると思っています。日本人はすぐ実感なくとかいう象徴的な表現をするのですけれども…」
反町キャスター
「すみません」
山本議員
「指標で見れば全て良くなっているわけで、いわゆる世界的な常識の観点から言えば、日本の景気は良くなっているということだと思います。ただ、それぞれによって違いますから、たとえば、株が上がっているのは、投資家は非常にいい、企業収益がいいし企業経営者はいいと。だた、労働者は賃金が十分に上がっていないというとこで、そこはちょっと実感がないというところがあるのかもしれません」
反町キャスター
「なるほど」
山本議員
「それは、これからだと思っています」
秋元キャスター
「早川さん、景気の実態をどう見ていますか?」
早川氏
「実感がないと言われるのは、1つは間違いなく賃金が上がっていないとか、個人消費が伸びていないということがあるのですけれども、もう1つ、景気の長さという意味では、ほとんど丸5年に近づいてはいるのですが、先ほどの景気動向指数というのを見ていただくと、2こぶ型です。要するに、最初に良かったのが、アベノミクスがスタートして1年目、これはかなり良くなりました。これはもちろん、公共投資もたくさんやったし、それから、ある種、デフレ脱却で世の中が良くなるという期待感があったので上がった。そのあと、暫くの間、景気拡大は続いているのですけれども、必ずしも上に上がっていなくて、どちらかと言うと、横ばいから心持ち下だったんですね」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「それがもう1回、実を言うと、昨年の春を谷にして、もう1回上がってきた。実は昨年の春はご記憶のように、実は悲観論が吹き荒れていたんですよね」
反町キャスター
「うん」
早川氏
「株価も下がっていたし、長期停滞論みたいなことが言われた時期だったのですが、実はなんのことはない、あの時期をボトムにして上がる。何が起こったかと言うと、実は世界同時景気拡大です。ここにお示ししていませんけれども、たとえば、製造業のPMIを見ると世界全体にグッと上がっている。そういう意味では、世界全体の製造業の循環が上向いてきて、だから、日本から見ると実はここ1年半はかなり明確な外需主導型の景気になっています。そういう意味では、だから、丸5年と言うと、ずっと丸5年良いとですね、さすがにそれは良くなってくるのですが、1年伸びて、暫く休みで、また、もう1回、1年半ぐらい上がってきているというのが実態で。今現在起こっているのはまさに世界同時景気拡大ということだと思います」
反町キャスター
「外需主導ということは、別にアベノミクスのおかげではないっちゅうことなのですか?」
早川氏
「まあ、そうだと思います。たとえば、1番わかりやすいのは現在アメリカの景気はすごく良いですよね」
反町キャスター
「はい」
早川氏
「あれはトランプさんのおかげですか?」
反町キャスター
「いやいや、だから、そういうことですよね?」
早川氏
「うん、そう…」
反町キャスター
「なるほど。小幡さん、この表を見ると早川さんは2こぶと言いましたけれども、確かに、安倍政権の最初の時というのは、良くなってきているよねというのがあって。つまり、何を言いたいのかと言うと、この動向指数の数字が100を超えているかどうかではなくて、内閣支持率みたいなもので、上り調子の時には、いいよと感じるのだけれども、高値で安定しても別に変わんないよねと、そんな感じの数字でもあるのですか、こういうのは?」
小幡准教授
「そうではないですか。だから、高値安定だったらそれは別に景気がずっと良いので、加速しようがないから…」
反町キャスター
「良くなっている?」
小幡准教授
「なんか、つまらないみたいに…」
反町キャスター
「つまらないとは僕は言いませんよ」
小幡准教授
「要は、バブルの狂乱みたいなのを皆さん、求め過ぎではないですか」
秋元キャスター
「バブルという話がありましたけれども、景気が良いという中で、日本経済はバブルなのか、どうなのか、具体的な事象を見ていきたいと思うのですが。株価を見ますと、第1次安倍政権発足時の日経平均株価はおよそ1万円だったのですけれども、直近では2万2000円台と2倍以上の水準となっていて、一時的に2万3000円台を回復し、バブル崩壊後の1992年1月以来、25年ぶりとなる高値をつけています。早川さん、安倍政権発足後、株価は2倍以上に上昇しているのですけれど、その要因は何だと見ていますか?」
早川氏
「基本的には、企業収益が良いということに尽きると思います。確かに賃金は上がっていませんけれども、企業収益は間違いなく良いですから、それを素直に反映したと考えていいと思います。正直言うと、ここ2、3か月、随分、勢いよく上がっているので、ここちょっと気持ち悪いのですけれど。少なくも長い目で見ると、たとえば、1株あたりの利益と株価の関係、いわゆるPERを見る限り、バブルだと言えるような水準ではなくて、ちょっとここ2、3か月の上がり方は、かなり急なので、これはひょっとすると、どこかでコレクションがあるかもしれないけど、大きな流れとしては基本的には企業収益見合いだと思っています」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「ただ、ちょっと怖いのは、あとで出てくるであろう、アメリカの株がちょっと高すぎる感じがするので、アメリカで株が大きく下がったりするとこちらにも影響があるかもしれませんね」
反町キャスター
「でも、先ほど、早川さんは外需主導による景気拡大が続いていると言いました。外需主導の1つの要因としては、たとえば、アメリカの景気の良さがアメリカの株に連動していて、アメリカの株が上がると一夜明けると日本株が連動して上がっていくみたいなことを考えると、日本の株も過熱しているアメリカ経済に引っ張られて実態よりも乖離して上振れしているのではないか、そこまではまだ?」
早川氏
「そこまでは、言いませんけれども。確かに、アメリカの株はちょっと高すぎる感じがするので、そこに調整が入ってくると、日本もおそらく景気そのものにも多少の影響があるだろうし、株価にも何がしかの影響があると思います」
反町キャスター
「株価の下支え、支える1つの要因として、日銀がETF(上場投資信託)を購入していることがどうなのだろうかという議論を時々聞いたりするのですけれども、日銀が、大量の資金を根拠に、ETFは平均株価と連動型の金融商品ですよね、それを大量に購入していること、それが株価にどう影響しているのか?果たして良いことなのか、悪いことなのかというのは、そこはどう見ていますか?」
小幡准教授
「それは影響しているでしょう。それで悪いに決まっています」
反町キャスター
「フフフフ…」
小幡准教授
「即やめるべきですけれど、いったん始めちゃうと、やめるとそのニュースで」
反町キャスター
「そうですよ」
小幡准教授
「暴落すると、やめた方が責められるので、やめにくいですね」
反町キャスター
「やめたら暴落して、その責任を問われるぐらいの規模、介入度、食い込み具合になっていると見ているのですか?」
小幡准教授
「いや、微妙なところですね。やり方次第ではうまく軟着陸できるかもしれないし、運が悪いと暴落になっちゃうかもしれないので、それが怖いからギャンブルすることないので、動けないのだと思いますよ、日銀は。だから、いったん買っちゃうと引けないということは買っちゃダメですよね」
反町キャスター
「でも、現在となって詮無き議論みたいな、あの時やめとけばよかった、こういう意味?」
小幡准教授
「そうです、そうです。とりわけ3兆円から6兆円に倍増したのはまったくのムダなので。3兆円買ったのは、要は、日経平均8000円とか、9000円の頃は、これは異常に安すぎたので、ショック療法で目覚めさせるには、荒療治ですけれど、アリですね。だけど、3兆円から6兆円に増やすのはまったく意味なくて、他に何かやることないから、何かアリバイづくりでやろうと言うので、やったのかどうかはわかりませんけれど、最悪ですね」
反町キャスター
「そこの部分というのは、引き返せないところにきている?まだ引き返せるかもしれない?」
小幡准教授
「いや、度胸があればね」
反町キャスター
「日銀の総裁の度胸ですか?」
小幡准教授
「そうです、そうです、はい」
早川氏
「ハハハ…」
小幡准教授
「やめる度胸があれば、やめるべきですね」
反町キャスター
「山本さん、ETFの買取りはどう見ているのですか?」
山本議員
「私もあまり好きではないです…」
反町キャスター
「あっ、そうですか?」
山本議員
「ETFについては」
反町キャスター
「なるほど」
山本議員
「うん、これは、株式市場に影響を与えるとか、出てきますからね」
反町キャスター
「はい」
山本議員
「だから、現在、売ったら儲けるのだから、少しずつ売ったらいいのではないですか?」
反町キャスター
「日銀が?」
山本議員
「現在は、だって、含み益が4兆円以上あります」
反町キャスター
「そうですけれども。でも、そんなことを始めた時点で今度は株式市場への影響はどうなるのだという、そこはどう見ていますか?」
山本議員
「だから、そこをうまくやるということでしょうね」
反町キャスター
「うまくやれるものなのですか、早川さん?」
早川氏
「いや、正直言って、僕は、えっと、日銀が買っているせいで日経平均が何千円も高くなっているというほどのことではないと思っています、現在、影響は」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「先ほど、申し上げたように、PERを計算しても、特段おかしなことが起こっているわけではないので」
反町キャスター
「はい」
早川氏
「従って、先ほど、小幡さんが言われた通り、日銀がよく、リスクプレミアムの拡大を抑制するためにという言い方、安すぎるからちょっとというぐらいの話だったわけなので」
反町キャスター
「最初は、ですよね?」
早川氏
「最初はね」
反町キャスター
「最初は、はい」
早川氏
「現在は、その理屈はなかなか通らないので、ここでドンドン買い続ける必要はないなと思っています。ただ、上手にやらなければいけないのは事実です。と言うのは、先ほど、申し上げたように、日銀が買っているからウンと上がっているわけではないと思いますので、買うのをやめたら、それでドンと落ちるとは限りませんけれど、株は放っておいても落ちる時があるので、変なタイミングを拾っちゃうと日銀のせいになってしまうので」
反町キャスター
「ほう…」
早川氏
「そこのところが、難しいところと言えば、難しいところですね」
反町キャスター
「なるほど」

『リスク要因』を解説
秋元キャスター
「好景気の日本経済は、果たしてバブルなのか、どうなのか。一方で、不動産価格を見てみますと、こちら首都圏の新築マンションの平均価格と住宅需要の土地価格、消費者物価を指数化したものなのですけれども。1980年代のバブル期には土地価格とマンション価格が両方とも消費者物価から乖離をして急上昇していたのですが、現在は、土地価格は消費者物価と近いにも関わらず、マンション価格がそれらから大きく乖離して、高くなっているんですね。その傾向は、安倍政権が発足してから強まっているわけですが、小幡さん、土地価格から乖離してマンション価格が高騰しているという、この現象はなぜ起きていると考えたらいいのでしょう?」
小幡准教授
「アベノミクスが始まった瞬間に、株も不動産も安すぎたので、お金持ちを中心に、よし、買いだと言って、グワーッと入ったんですよ」
反町キャスター
「はい」
小幡准教授
「だけど、マンションを建てようとすると、土地の仕入れから引き渡しまで、どんなに短くても3年、だから、タイムラグがあるんですよね。だから、仕込んじゃったのを現在、売らなければいけないのだけれども、仕込む時には奪い合いで、マンションにできる土地は限られていますから…」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「かなり高値掴みをするわけですよ、皆さん」
反町キャスター
「デベロッパーがね?」
小幡准教授
「デベロッパー」
反町キャスター
「はい」
小幡准教授
「それで人手不足もきて、オリンピックもきていますから、建設費も高い。だから、高く値づけせざるを得ないと、それだけのことなので」
反町キャスター
「うん」
小幡准教授
「そうすると、買い手はついていけないから」
反町キャスター
「そうですよね?」
小幡准教授
「売れなくなってくるということですね」
反町キャスター
「明らかに地価、住宅地との乖離があるというのは、別に経済的な現象として何かということよりも単なるデベロッパーが高値掴みしたヤツを現在さらに人件費も上がっている中でつくっているから、建設業者の事情で高値がついているだけであって、別にそこに市場メカニズムが働いているわけでもなんでもない?」
小幡准教授
「だから、新築マンションというのは歪んだ市場なので、だから、住宅地の実売価格は実勢を反映していますよね」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「だから、すごく細かい話ですけれども、アベノミクスが始まった瞬間に、戸建てが流行ったんです」
反町キャスター
「あっ、そうですか?」
小幡准教授
「はい。すごくインチキな、と言うと語弊がありますけれども」
反町キャスター
「また…」
小幡准教授
「すごく簡単な戸建てというのは、すぐ建てられるので」
早川氏
「うん」
小幡准教授
「現在、土地が上がったら、この際、売りたいという人達がいっぱいいて、相続とか、いろいろなのがあるので」
反町キャスター
「はい、はい」
小幡准教授
「そういう人達が売った時に、業者もすぐ売りたいので」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「現在この流れをつかみたい。それでマンションは建っていないから、買いたい人はいっぱいいるのにタマがないと。そうしたら、1番簡単、戸建てを分譲で、本来なら、マンション建ててもよさそうな広い土地でも、グッと小っちゃい戸建てを建てて、結構、それが飛ぶように売れたという時期がありました」
反町キャスター
「そうするとマンション価格がいまだに高値を推移しているというのは、これはバブルとか、そういうことでは全然ないですね?」
小幡准教授
「いや、土地は都心に関してはミニバブルだったと思いますよ」
反町キャスター
「だった?」
小幡准教授
「はい。完全に失速して現在、値段が落ちてきていますよね」
反町キャスター
「そうですよね」
小幡准教授
「それで…」
反町キャスター
「そこの話で、この話なのですけれど、新規販売戸数、だんだん不動産業界の業界内話みたいになっちゃうのですけれども、あと1問、この部分だけ。明らかに建設戸数、着工戸数は6万戸以上ずっとつくる中で、販売戸数がドンドン、ドンドン、減ってきて、2016年に至っては6万5000戸着工しているにも関わらず、売れているのは3万5000戸しか売れていない。こういうワニの口みたいにだんだんなってきているのはワニの口は悪い例えの方が多いですけれども」
小幡准教授
「ええ…」
反町キャスター
「これを小幡さんはどう見ていますか?」
小幡准教授
「いや、だから、値段が高くなっちゃって、買い手がついていけないので、売れないということですよ」
反町キャスター
「なぜ値段が下がらないのですか?」
小幡准教授
「いや、それは損して売れないではないですか」
反町キャスター
「そうすると売れないマンションを多数抱えている業者がどこかにいるはずですよね?」
小幡准教授
「そうですね」
反町キャスター
「早川さん、このマンションの話だけを見ると、市場メカニズムが健全に機能していないような印象を受けるのですけれども」
早川氏
「うん」
反町キャスター
「これはどう感じますか?」
早川氏
「以前は、マンションというのは中小の業者がいっぱいいたんですよ。現在、かなり寡占化が進んでいて…」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「要するに、三井・三菱・住友・野村みたいな、いわゆる旧財閥系みたいなのがほとんど中心で、彼ら、体力があるので損してまで売りたくないし、お金の面はジャブジャブの金融緩和なので、問題ないので長期戦でじっくりいこうという感じになっているということだと思いますよ」
小幡准教授
「まずそれ以外の業者が売れていないと思いますね」
反町キャスター
「どういうことですか、それは?」
小幡准教授
「いや、だから、質も低いし、ブランド力もないところで、無理やり建てたので、これはほしくないなというのが余っているとか、あるいはタワーマンションは節税対策、相続税対策で建ったのに、それが強化されメリットが薄くなってきたので、タワーマンションは売れなくなってきているということですね」
反町キャスター
「金余りの状況の中でということも、早川さんの話を聞いているとアベノミクスの金融緩和の1つの副作用みたいなね?」
小幡准教授
「ただ、副作用で1番大きいのは現在、アパート経営とか…」
早川氏
「あっ、それ、あります」
小幡准教授
「しかも、サラリーマンで不動産投資をしようという…」
反町キャスター
「どういうことですか、それ?」
小幡准教授
「いや、皆、現在やっていますよ。元金ゼロでアパート経営できますとか、マンション…」
反町キャスター
「あっ、それは安く金を借りられるから?」
小幡准教授
「そうです、そうです。それで、本人が借金を背負って…」
反町キャスター
「はい、はい」
小幡准教授
「収入が何百万円、年収が何百万円の人が、3億円、4億円の借金を背負って、いろいろなアパートとか、マンションの1戸、区分所有で買って、それで賃貸にまわして、投資を狙っているのですけれども、これはどこかで崩れると思うんですよね」
山本議員
「もう崩れているのではない?」
反町キャスター
「崩れている?」
山本議員
「もう崩れている、入る人が少なくなって…」
早川氏
「もう崩れている」
山本議員
「足りない、つくり過ぎて…」
反町キャスター
「そうなのですか?」
小幡准教授
「崩れるというのは…、だから、その人達は、いいのは、要は、働いて返す発想なので、貸す側はバンバン貸すんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「要は、もとのアパートが劣悪なものであって入居者がなかったら、本人の年収から、長い時間かけて返せばいいし…」
反町キャスター
「そうですね」
小幡准教授
「そのアパートも価値がゼロになるわけではないので」
反町キャスター
「はい」
小幡准教授
「そうだとすると、結構、喜んで、皆、敷金もアパートの方が高いので」
早川氏
「これ基本的には…」
小幡准教授
「そこが1番危ないですね、バブル的という意味では、はい」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「税制の歪みがあるんですよ」
反町キャスター
「はあ?」
早川氏
「要するに、土地に上物を建てると、相続税の評価が下がるんですよ」
反町キャスター
「ほう」
早川氏
「従って、相続税を節約できるという話があって…」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「そこに、それはもともとあったんですよ。そこにご承知のように、2、3年前に、相続税制を強化したので、節税インセンティブが大きくなっちゃった」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「そこへ、たまたま、また、マイナス金利みたいなものが出てきたものだから、それが全部重なってとにかく安い金利で借りて、上物を建てれば別に住人が入らなくても、税金さえ安くなればいいやとか言って、建てちゃったというのがあるので」
反町キャスター
「ほう…」
小幡准教授
「だから、それは昔からあるのですけれど、現在アベノミクスの文脈で言うと、アベノミクスのせいにすると、アベノミクスに悪いのですけれども、ただ、雰囲気がバブル的になったんですよ、株がね」
反町キャスター
「だから、明らかにバブルではない日本経済を言いながら、マンションバブル、アパートバブルみたいなものがあるように聞こえてくる」
小幡准教授
「だから、バブルで一緒くたにするからいけないんです。まず80年代のあの…」
反町キャスター
「先ほどの?」
小幡准教授
「踊ったりとか、ラーメンを食べに札幌行っちゃったりとか、そういう実態経済まで浮かれちゃって。実は、昔は良かったと言うけれども、これはすごく罪深いですよ。そのあとの20年間、日本の不況はその時に過剰雇用、過剰投資、過剰負債を負って、それのせいで15年かかったわけですから」
反町キャスター
「そうですね」
小幡准教授
「それはすごく罪深いのだけれども、そういうのと違って、要は、実体経済は普通に、景気は普通にいいですよ。これはちょっと金融緩和をし過ぎたり、消費税を上げなかったりしたというのもありますけれども。部分、局地的には資産市場でバブルが起きていると」
反町キャスター
「うん」
小幡准教授
「アベノミクスのせいだと言うのは株式がうまいことダーッと上がったので、儲かった人がいっぱいいるではないですか?」
反町キャスター
「うん」
小幡准教授
「それで、それに乗れなかった人で、しかも、ゼロ金利でしょう。これから資産運用しなければと金もないのに、これからはアパートとかをやると、なしでもできるよと言われてやったりとか、ビットコインを買ってみたりとか、これはもう完全に風潮は、運用と言うか、資産運用に関してはバブル的になっていますね」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「実体経済は全然、バブル的ではないと思います」
反町キャスター
「つまり、アベノミクスで株がパンと上がって…」
小幡准教授
「はい」
反町キャスター
「それで第1波、アベノミクス恩恵組が先行しているとした時に、後発組の人達がどうやってその人達に追いつこうかというところにおいて、そこにちょっと泡が生じていて、乗り損ねたり、転んだりする人が出てきている?」
小幡准教授
「しかも、最初に乗った人達は現金でパッと土地を買えたりとか…」
反町キャスター
「そうですね」
小幡准教授
「株をもともと持っていたりする本当のお金持ちではないですか、経験豊富な」
反町キャスター
「はい、うん」
小幡准教授
「それでそれが羨ましいなと思って、やったことがない人が入ってきているというのは、これは、いわゆる資産市場の投機バブル的な状況ですし、事後的に…、経済には、大変申し訳ないけれども、ウエイトも金額が小さいですから…」
反町キャスター
「はい」
小幡准教授
「…そんなに全面的に悪くはならないのだけれども、社会問題にはなると思います」
反町キャスター
「いわば格差の話ですよ、それは」
小幡准教授
「はい」
反町キャスター
「事実上、結果的に後発組が転ぶことによって社会的な格差が広がるのではないか、こういう話でよろしいですか?」
小幡准教授
「そうですね。中堅で一応、投資はしようという気が起きるぐらい、お金はあるけれども、本当は金持ちではない人、これで投資をしちゃっていて失敗すると苦しくなるのではないかと思いますね」
反町キャスター
「うん。いかがですか?ほぼ同意されますか?それとも、そんなに酷いものではないのだよと?」
山本議員
「いや、全然、同意しない」
反町キャスター
「同意しない?」
山本議員
「要するに、アベノミクスで株が上がり、これまでまさに低すぎた株が上がり、資産も上がってくるというのは、それは当然のことで、デフレがなくなってくるわけですからね」
反町キャスター
「うん、はい」
山本議員
「それを反映していると。ただ、マンションの話は、早川さんがおっしゃったように、資材とかが高くなり過ぎちゃって、値段が高くなって、そうなっているわけですから、まさに市場メカニズムそのものでできているわけですね。それから、資産の運用云々のところは、それは株を持っている人はたくさん持っていたら確かに上がって、その人達が高級な貴金属を買ったりとか、そういうのはありました。だけど、全体として見て、アベノミクスが始まって、これまで仕事がなかった人が仕事をして賃金が得られるようになり、あるいは賃金も上がってきて、完全に上がってはいないとは言いながら、2%ずつぐらい、4年間上がっているわけですから。指標を見れば、格差は確実に縮まっている、ジニ係数も小さくなっているし、子供の貧困率というのも1.63が1.39になっちゃったり、そういう意味では、アベノミクスで格差が広がったなんていうのはあり得ない、逆です」
反町キャスター
「なるほど」
山本議員
「指標をキチッと見ればね」
秋元キャスター
「日本の好景気、いつまで続くのか、日本経済のリスク要因はないのかということなのですが。事前に、早川さんと小幡さんに聞きましたところ、早川さんは、アメリカ株・中国不動産など海外要因、それから、日銀の金融緩和、さらに建設投資の頭打ちということを挙げられました。小幡さんは、北朝鮮リスク、日銀総裁人事、想定外の些細なことと言っているのですが。まず2人とも挙げられました海外要因について聞いていきます。小幡さんの、北朝鮮リスクということについて聞いていきたいと思うのですが、昨日も北朝鮮は弾道ミサイルを発射しましたけれど、北朝鮮情勢がどういう状況になれば、リスク要因となってしまうのか?」
小幡准教授
「逆に言うと、リスク要因はほぼないということです、私の主張としては」
反町キャスター
「それは3つも、ですか?」
小幡准教授
「北朝鮮リスクというのはアメリカが空爆するとか、実際に戦争になるとか」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「うん、リスクというより戦争が起きるということですけれど、そうなれば、さすがに悪くなると思いますけれど、そうならない限り、悪くなりようがないというか、世界経済も当面いいので。いや、永久に良いというわけではないですよ」
反町キャスター
「はい」
小幡准教授
「この先、1、2年は、そういう意味では、リスクはないのではないかなと」
 
反町キャスター
「オリンピックまではもつぞと?」
小幡准教授
「オリンピックまでという議論はバカバカしくあまり関係ないです、オリンピックは、そんなには。だから、想定外の些細なことと言っても皆、浮かれていて、順調な時に、小さなきっかけで、いや、資産市場はバブル的ですよ、実体経済は特にバブルではないので、ただ、資産市場が些細なことで崩れかねないので。たとえば、ビットコインが来年、僕は来年、必ず暴落すると思うのですけれども、暴落したら、それで個人がいろいろなことがあって、ムードが変わるとかいう、予想外のことが必ず起こるんですよ」
反町キャスター
「なるほど、なるほど」
小幡准教授
「それで資産市場はその予想外のことに対して脆弱だと思うので」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「資産市場がまず崩れて、それが実体経済に波及するというのはあると思います。ただ、実体経済そのものが崩れるというのは当面考えにくいと。全部言っちゃえば、日銀総裁人事というのも、だから、よっぽど何か変わった人がくれば、これは大事件だと思いますけれども、それ以外は大丈夫かなと」
反町キャスター
「現在いろいろな人の名前が皆さんの頭の中をグルグルまわっているのですけれども…」
小幡准教授
「はい」
反町キャスター
「個人名はここで取り沙汰さない方がいいですね?」
小幡准教授
「はい」
反町キャスター
「はい、わかりました」
秋元キャスター
「一方、早川さんが指摘されました、アメリカ株が海外要因のリスクということですけれども。見ていきますと、ニューヨークのダウ平均株価、2万4000ドルに迫るなど史上最高値を更新しているのですが。早川さん、このアメリカの株式市場、何がリスク要因になるのでしょう?」
早川氏
「トランプ大統領の当選前から高いと言われていたのにトランプさんが当選したら、いろいろな減税だとか、いろいろな政策が進むということで勝手に期待して、また上がったんですよね」
反町キャスター
「はい」
早川氏
「ところが、それがちっとも進まないことが明らかになってきたにも関わらず、ドンドン…」
反町キャスター
「…上がっていますよね?」
早川氏
「最高値を更新し続けているので、ちょっとこれはあんまりではないかと言っている専門家は多いと思います」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「実際に、有名なのはロバート・シラーという…」
反町キャスター
「このシラー指数は、早川さんに言われて、我々、用意したのですが、シラー指数とは何ですか?」
早川氏
「これは、いわゆるPERです。PERで1株あたり利益と株価を比べたものなのですけど、普通はPERを計算する時に今年の利益、あるいは来年の利益で…」
小幡准教授
「そうです」
早川氏
「…やるのですけれども、シラーさんは1年やそこらではダメで、もっと長い、10年ぐらいの企業収益の平均値と、それと株価の関係を見るべきだと彼は言っていて…」
反町キャスター
「10年あたりの、1株当たりの利益と株価を比較した時に…」
早川氏
「うん、はい」
反町キャスター
「世界恐慌の時にピキンとこれが30いくつまで上がっていて…」
早川氏
「うん」
反町キャスター
「IT(情報技術)バブルが崩壊した時も45近くまで上がっている。これは数字が上がるというのは、どういう状況なのですか?」
早川氏
「利益に比べて株価が高すぎるという意味なので…」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「現在の水準というのは、100年以上の歴史の中で3番目に高いですね。要するに、1番高かったのはITバブル直前で、その次が1929年の世界恐慌の直前、現在は3番目で、 従って…」
山本議員
「31…」
早川氏
「これはいくらなんでもダメですねと、30ちょっといっているので」
反町キャスター
「いつ壊れてもおかしくないという意味で言っていますか?」
早川氏
「ただ、難しいのは、バブルというのは、日本のかつての不動産バブル、日本株バブルもそうだったし…」
反町キャスター
「はい」
早川氏
「それから、2000年代半ばのアメリカの住宅バブルもそうだったのですけれども、これは高すぎると、だんだんわかってくるんですよ。だけど、いつ崩壊するかというのは誰もわからないので」
反町キャスター
「アメリカの当局はその危険性を感じているのですか?」
早川氏
「感じていると思います」
反町キャスター
「手は打っているのですか?」
早川氏
「今回は、たとえば、FRBの関係者が時々米国株は高すぎるのではないかということを言っています」
反町キャスター
「はい」
早川氏
「ご承知のように、現在アメリカは比較的、着実に利上げを進めているわけなのですけれども、実は物価はあまり上がっていないですよね。物価は、彼らの大好きなPCEデフレーターというので、実は1%台半ば、前半しかなくて、なかなか2%にいきそうにもないにも関わらず、金利は着実に上げていっている。背景にはちょっとこれは株式市場、危険かもしれないという意識がたぶんあるのだと思います」
反町キャスター
「なるほど。当局の懸念、少しずつ打っている利上げの流れの中で現在のこの部分というのは…」
早川氏
「うん」
反町キャスター
「ここから先の見通しとして、早川さん、ちゃんと落ちていくだろうと感じています?」
早川氏
「いや、そこは明確には言えないのですけれども、どこかで落ちてくるだろうとは思いますね」
小幡准教授
「まずシラーがこのへんで異常に高いから、いつ崩壊してもおかしくないと、前に言い始めたんです」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「それで前のグリーンスパンも…」
早川氏
「そう」
小幡准教授
「irrational exuberanceと言って、『根拠なき熱狂』と言ったのが、このへんですよね」
反町キャスター
「うん」
小幡准教授
「それでいつ崩れてもおかしくないと言ったのだけれど、そこからここまでグオーッといっちゃったから、言う通り買って売ったら損したではないかとよく言われるんです。だから、今回もこうなるかもしれませんよ、だけど…」
反町キャスター
「でも、上がったら、あとはもう落ちるのではないのですか?」
小幡准教授
「あっ、そうです、そうです、だから…」
秋元キャスター
「でも、どこまで上がるかはわからないから?」
小幡准教授
「わからないです」
反町キャスター
「そこはもうチキンレースがマーケットで?」
小幡准教授
「チキン、まさに、チキンレースですよ」
反町キャスター
「でしょう?」
小幡准教授
「だから、グワーッと上がるということは、グワーッと下がるので、早めに落ちてくれれば調整も緩やかですし…」
反町キャスター
「日本にとっては早めの調整が望ましいですよね?そうでもない?」
小幡准教授
「いや、まともな人にとってはそうですね。市場関係者にとっては、乱高下した方が儲かる。つまり、最後につかむ人というのは周辺の人なわけですよ」
反町キャスター
「はぁ…」
小幡准教授
「そこは潰れるというか、だから、米国投資銀行でも有力上位1、2は生き残って、3位以下が潰れたというか、なくなるわけなので…」
反町キャスター
「なるほど。山本さん、このアメリカの株価をどう見ていますか?」
山本議員
「おっしゃったように、シラー係数から見れば、ちょっと30を超えましたからね、ちょっと危ないかなという気がします」
反町キャスター
「気にされますか?」
山本議員
「だから、そこはFRB(連邦準備制度理事会)が金利を少しずつ上げることによって調整をしているのだろうと思いますが…」
反町キャスター
「うん」
山本議員
「ただ、実体経済としてはアメリカは非常に現在、良いので」
反町キャスター
「はい」
山本議員
「企業収益も上がっているし、それがまた反映され、パッと上がっているわけですね。それから、トランプさんの減税政策も、上院を通ったから、できるかもしれんねという、期待になっちゃって。それで、アメリカの経済ではどこまで続くのかというのが問題で、これはいろいろな見方があると思いますけれども、過去のデータから見ると、アメリカのGDPギャップというのは、ようやくゼロに近づいてきたんですよね、これからプラスに入る」
反町キャスター
「はい」
山本議員
「過去の例から見ると、プラスの領域に入ってから、2年から4年ぐらいは良いのだけれども、そこから落ちるというのが、だいたい繰り返しですね」
反町キャスター
「うん」
山本議員
「それから、島田さんがよく言うのだけれど、周期循環とかがあって、アメリカも日本もゴールドサイクルは2018年ぐらいまではいいと、2019年以降がちょっと危ないという話があって、そういうのを比べると、最短で2019年になると、要注意に実体経済がなりかけるので…」
反町キャスター
「なるほど」
山本議員
「そこのところまでにうまく調整をしないと、逆に一気に崩れる可能性があるかなという気がちょっとしているんですね」
反町キャスター
「日本も含めて、という意味で言っていますね?」
山本議員
「いや、日本は…」
反町キャスター
「だって、現在、同時に?」
山本議員
「いや、アメリカが…」
反町キャスター
「崩れれば…」
山本議員
「崩れれば、そこは崩れますよね」
反町キャスター
「ですよね?」
山本議員
「そう、そこは、そういう意味ですけれども、日本経済のヤツはまだまだサイクルとしては2019年までは大丈夫。だけど、アメリカ経済、アメリカ経済と消費税の引き上げが2019年にありますから…」
反町キャスター
「そう」
山本議員
「だから、2019年はちょっと要注意」
反町キャスター
「なるほど」

どうつくる? 『経済の好循環』
秋元キャスター
「安倍総理は今国会の所信表明演説でこのように述べています。『経済の成長軌道を確かなものにするために、"生産性革命"、"人づくり革命"を断行する。大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる施策を総動員することでデフレからの脱却を確実なものとしていく』ということなのですが。山本さん、トータルパッケージでどう景気を下支えしていくのか?」
山本議員
「アベノミクスの、基本的な考え方をしっかりと、また、徹底してやっていく必要があると。だから、金融緩和をしっかりとデフレを脱却するまで続けなければいかんし、それから、もう1つは、2%の物価目標と、それから、失業率ですね、現在2.8%ですけれど、我々の計算から言うと、2.5%ぐらいまでは下げられるということで、ある意味で言うと2.5%ぐらいが構造的失業率、いわゆる自然失業率、これ以上、下げられないというレベル、そこまでいくと2%はできるというように読んでいますので」
反町キャスター
「2%は消費者…」
山本議員
「消費者物価指数」
反町キャスター
「消費者物価指数ですか?」
山本議員
「だから、それに達するためには有効需要があと20兆円以上必要なので、財政もケチなことを言わないで、今年、来年で合わせて20兆円ぐらい、拡大予算を、補正予算でもやるべきだと。金融緩和とやっていけば、2019年、消費税引き上げまでに、そういう状況ができると。しかし、そこで財政にしても、金融にしても緊縮策をとろうという意見を言う人が結構たくさんいますから、それをやった途端におかしくなると思っています」
反町キャスター
「消費税2%増はその時までに打つ手を打っておけば、乗り越えられると見ているのですか?山本さんはずっと消費税、3%増の時も反対されましたし、今度の2%増もやるべき手を打っておけば、2%上げてもいいよと聞こえます」
山本議員
「本当は…」
反町キャスター
「本当は?」
山本議員
「完全に脱却するまでは」
反町キャスター
「そう、ずっとそう言っていたではないですか?」
山本議員
「やるべきではないと思いますけれども」
反町キャスター
「はい」
山本議員
「そういう脱却できるような状況をいかにつくれるかの勝負だと思っています」
反町キャスター
「2%というと、5兆円ちょっとですよね。5兆円ちょっと税収を増やすために、それまでに20兆円の財政支出をするべきだと、こういう話に聞こえるのですけど、そういう意味でよろしいのですか?」
山本議員
「20兆円は、20兆円の財政支出拡大をやって、GDPを24、25兆円増やすと、いわゆる完全雇用状態が達成されて、それができると半年か、1年後に物価が…」
反町キャスター
「動き出すと?」
山本議員
「…ので、2%が達成できると」
反町キャスター
「なるほど」
反町キャスター
「早川さん、現在の山本さんのパッケージ論、どう感じますか?」
早川氏
「いや、僕は2%達成するまで日銀が粘り強く金融緩和を続けるというのは賛成ですよ。ただ、その副作用というのがいろいろあって…」
反町キャスター
「はい」
早川氏
「その副作用の最たるものが現在みたいな議論ですね。要するに、どれだけ財政をメチャクチャやっても、金利が上がらないから大丈夫だから、ドンドンやっちゃおうという、まさに財政規律の弛緩みたいな議論が出てきてしまうのが実は最大の副作用だと。それから、もちろん、もう1つは、これは最近、日銀も随分意識しているのですけれども、金融緩和自体はいいのですけれども、これが長期化すればするほど、たとえば、金融システムの金融機関の体力の疲弊につながって、それは金融システムの安定性、あるいは長い目で見ると、金融面の資源配分機能を落としてしまうという副作用もあるし。ですから、いわゆる粘り強くやる必要はあるのだけれど、一方で当然、長期化するに伴って起こってくる、いろいろな副作用に対する目配りも大事な局面だと思っています」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「ですから、最たるものですね、要するに、こういう議論が出てきちゃう」
反町キャスター
「うーん。小幡さん、日本経済、現状、そんなに悪くないと言う中で、それを持続させて、少しでも長続きさせるために20兆円の財政出動だと山本さんは言っている。どういう手を打つべきだと感じますか?」
小幡准教授
「現在の話を聞いていると、アベノミクスをやめることではないですか?」
反町キャスター
「えっ?」
小幡准教授
「だって、現在の…」
反町キャスター
「やめるというのはどういう意味ですか?」
小幡准教授
「いや、アベノミクスが最大のリスクですよ」
反町キャスター
「ほう」
小幡准教授
「1番の問題は今日議論してきたように景気はすごく良いわけですよ。それで資産市場はバブル的になりつつすらあると。その中でこれまで通り、アベノミクスというのは、要は、悲観論からの脱却で大成功した、ロケットみたいなものなので、そのまま突っ走るということは、先ほど言った、バブルは途中で崩れれば、そんなに大きな被害はないのだけれども、上がるところまで上がっちゃうと…」
反町キャスター
「大崩れする」
小幡准教授
「トコトン下がるというのが怖いという話だから」
反町キャスター
「なるほど」
小幡准教授
「景気も一緒で、加熱し過ぎるということはすごいロスが大きくて、その分、反動がきついわけですよ。だから、こんなに景気が良いのにまだ財政出動をしよう、金融緩和をトコトン続けようというのが、アベノミクスの発想だとすると、これが日本経済における最大のリスクなので」
反町キャスター
「そうすると、山本さんは2%を達成するためにという理由を消費者物価を2%に上げる、まず必要があるのかどうかということと、必要ならば、山本さんの言う、20兆円の財政出動以外にどういう方法で2%にもっていけるのか?ここはどうですか?」
小幡准教授
「ここは私の個人的な意見ですが、物価2%はあったく必要ないと思います」
反町キャスター
「ほう…」
小幡准教授
「要は、もともと金融緩和とか、財政出動というのは、20世紀中盤から出てきた経済政策であって、その目的はただ1つ、失業をなくすということです。異常な失業は社会にとってもロスだし、若者にとってもロスなので、失業はなんとしても食い止めると。現在、失業はないと。そうしたら、金融緩和、財政出動はするべきではないわけです。その時までとっておくものだと。ですから、非常に現在、危険な状態にあるということではないですか」
反町キャスター
「そこは、もう1回、山本さんに聞きたい。なぜ我々は消費者物価2%を目指さなくてはいけないのか?」
山本議員
「経済というのは成長していくわけですけれども、基本的に、最終的に決めるのは生産性の上昇で決まっていくわけですね。生産性の上昇というのは2%ぐらい生産性が伸びると、経済というのは順調な成長軌道を描くということが基本にあって…」
反町キャスター
「なるほど」
山本議員
「それは、まさに実質成長率を2%にしようということの裏ですね。それをやるためには賃金がそれに応じて上がらなければいけないし、逆に言うと、生産性が上がると賃金も上がるのですけれども。そういう状況をつくらないと人々というのはまさに実感を持った景気回復という形で、将来の経済の行方、自分の生活の行方、それに安心できなくなるんですね。だから、そのためには過去の例から言っても、世界的にも2%の生産性上昇に応じた物価上昇率というのは当然必要なので。そのために2%と言っているわけです」
小幡准教授
「だから、それは根本的に間違っていて…」
早川氏
「そんな理屈はどこにもないですね」
小幡准教授
「物価が2%…」
反町キャスター
「早川さんも2%にこだわらなくていいと思う?」
早川氏
「いや、違う。僕は、実は2%は必要だと思っていますけれども、2%生産性が上がるために2%物価が上がらなければいけないという理屈は、世の中にどこにもないと思います」
反町キャスター
「それはないのですか?」
早川氏
「はい。まったくないと思います」
反町キャスター
「そうすると、2%、消費者物価を上げることは必要だと、早川さんは」
早川氏
「僕は前からいつも言っているのですけれども、要するに、いざという時に金融緩和ができる状態にするためには、平時の金利水準というのがゼロでは困るんです」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「思い出してほしいのですけれど、1997年から1998年にかけて日本に金融危機がきた時、この時の出発点の金利水準は0.5%だったんですよ」
反町キャスター
「うん」
早川氏
「この間、リーマン・ショックがきた時の金利水準の出発点も0.5%だったんですよ。だからこそ、どんなに大きなショックがきても金融緩和は0.5%しかできない」
反町キャスター
「なるほど」
早川氏
「…という状態。ですから、普段から2%がすごく大事なわけではないのだけれど、いざという時にそういうもの、そういう政策発動余地がないことが長い目で見て日本経済にとってマイナスが大きいから。そういうので2%がなぜ必要かということの説明ができていないのだと思うんですよ」
反町キャスター
「うん」
早川氏
「2%が必要なのはいざという時に金融政策における対応余地をつくり出すために必要。どちらかと言うと、ですから、日銀が皆さんのために2%がいいのではなくて、日銀が2%ほしいんですと。それは長い目で見れば、皆さんのためにもなるのだから、理解してくださいと説明しなければいけない」

山本幸三 自由民主党衆議院議員の提言 『賃金引き上げ』
山本議員
「賃金引上げです。最終的にはここまでもっていかないといけないので、そうしないと、まさに雇用者の実感が生まれません。そのために総理も経済界にお願いをして、まずやってくれということを言っていますし、それから、そういう状況をつくらなければいけない。まさにこれ以上は雇用は増やせないという状況になれば、賃金は上げざるを得なくなってくるわけですから、そういう状況にもっていく財政・金融政策が必要だと思っています」
反町キャスター
「多少無理してでも政府主導、政府が力技でも賃金を引き上げる、それでもいいですね?」
山本議員
「ええ。デフレ均衡から、そうではない均衡にいく時には、かなり人為的な、少し無理もやらないと、それはできないと思いますので」

早川英男 富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローの提言 『賃上げ3%実現』
早川氏
「意見がいろいろと違うのですが、結論は同じになりまして、私も3%ということです。これは無理だと言う人が多いのですけれど、実は3%で、定期昇給が1.8%あるので、基本的に人件費の増加は1.2%です。しかも、実は2015年は2.4%まで1回いったのですよ、それが下がってきちゃっているのですけれども、1つ、大事なことがあって、実はこれまで毎年、毎年、年金保険料が上がっていたんですよ、0.3%、0.4%、毎年上がっていて、これはもう終わるんです今年で。そうすると、これまでは賃金を上げなくても、企業から見ると、人件費負担はドンドン増えていたので、これが終わるのでその0.4%乗せてよと。そうすると、2015年の2.4%に0.4乗せれば2.8%、あと一声でしょうという、それぐらいはがんばってくださいという感じです」
反町キャスター
「そういう話は、企業側から出ませんよね?年金負担が減るから(賃金が)上げやすくなったと」
早川氏
「彼らはこれまでは、逆に言うと、年金負担が増えているから上げられないのだと言っていたけれども、あれは終わったのですよという」
反町キャスター
「なるほど」

小幡績 慶應義塾大学大学院ビジネススクール准教授の提言 『実感が誤り』
小幡准教授
「実感が誤りということ」
反町キャスター
「また、逆張りで…」
小幡准教授
「逆張りではないですよ、景気は良いのだけれども、実感がないというのは、実感が間違っているということですよね。だから、実感…、特に政策当局者は1960年代の高度成長や、1980年代のバブルの再現を目指しているような気がします。それは絶対に起きないので、それは間違っている、目指すものが間違っている。それで、もし現在、経済的に苦しいと言う方々もいっぱいいらっしゃると思いますけれど、それは景気の問題ではないと、つまり、景気が良くなっても、それは解決しない社会問題であり、構造問題なので、別のアプローチが必要だということですね」
反町キャスター
「政治がもっと国民に痛みを強いる形でも無理に構造を変化させないとその問題は解決しないということですよね?」
小幡准教授
「まず、だから…」
反町キャスター
「財政支出、アベノミクスで、金融緩和でどうこう、それで問題が解決する、そういう話ではないと?」
小幡准教授
「絶対しないですね」