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2017年11月24日(金)
北『テロ支援』再指定 中国特使訪朝は失敗か

ゲスト

興梠一郎
神田外語大学教授
磐村和哉
共同通信社編集委員兼論説委員 元平壌支局長
渡部恒雄
笹川平和財団上席研究員

北『テロ支援国家』再指定 中国『特使訪朝』は失敗か?
竹内キャスター
「中国が北朝鮮に特使を派遣し、帰国後すぐにアメリカが北朝鮮をテロ支援国家に再指定しました。トランプ政権が強める圧力は北朝鮮との対話を引き出す糸口となるのでしょうか。そこで今夜は中国特使の平壌派遣と、アメリカによるテロ支援国家再指定、この2つをテーマに、アメリカ・中国・北朝鮮の思惑と本音を議論します。今月17日から20日まで中国共産党の習近平国家主席の特使として、宋濤・中央対外連絡部部長が平壌を訪問しました。興梠さん、中国はなぜこのタイミングで特使を送ったのでしょうか?」
興梠教授
「ちょっと順番からいくと、いつもは北朝鮮が先なのに…」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「…あとにもってきたというのと。ちょうど習近平・トランプの会談が終わったあとですから、当然これはそういった話も出たはずですよね。北朝鮮側からすると、またあとでお話があると思いますけれども、あまり気持ちが良くないのではないですか」
反町キャスター
「どういうことですか、それは?」
興梠教授
「格がちょっと対外連絡部の部長というのは、従来は政治局員という人達が行っていたわけですけれども、ちょっと格下ですよね、まだ宋さん自身は、でも、習近平さんとは福建時代から懇意な中なので習近平さんの人間と言ってもいいです。そういった意味では、重要なメッセージを持っていく資格はあるのですけれども、しかし、非常に、空港に着いた時からかなり冷たい対応だったっていうふうにも聞いているので…」
反町キャスター
「ほう…」
興梠教授
「中国側としては、ここである程度、説得したいというのもあったと思いますよ」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「でも、北朝鮮からすると何しに来たのと、そんなの最初から受けつけませんよというような感じだったので」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「習近平サイドとしてはちょっとバカにされたような感じはあるのではないでしょうかね」
反町キャスター
「題目と言うか、建前的には、党大会の報告みたいな感じですよね?」
興梠教授
「それは、もう公式にはそう言っています」
反町キャスター
「公式にはそう言っているんですよね?」
興梠教授
「それは確かにそうなんですよ。それが目的だと、最初から期待しないでくれということを公式メディアで出しているし、マジシャンではありませんと」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「ええ、それはもう最初から言っているんですね、あまり期待されても困ると。だから、本来の目的は達成しているわけですよ、報告という。でも、今回は、違う目的もあったわけだから…」
反町キャスター
「なるほど。宋濤さん、この人物に関して言うと、興梠さん、ただ近いという話が先ほどあったではないですか?」
興梠教授
「はい」
反町キャスター
「近いというのは…」
興梠教授
「うん」
反町キャスター
「…北朝鮮もそれは、近いというのはわかっているわけですよね?」
興梠教授
「それはわかっていると思いますよ」
反町キャスター
「と言うことは、格は下だけれど…」
興梠教授
「ええ」
反町キャスター
「非常に強固な政権基盤をつくった習近平の…」
興梠教授
「そうです」
反町キャスター
「側近、知り合いが来る…」
興梠教授
「そうです、そうです」
反町キャスター
「というのは、それはそれで別の意味があると思う部分というのはあるのですか?」
興梠教授
「ええ、宋さんは、だって、2年前でしたか、その時からもう平壌に行っていて、ちゃんと写真にも写っていますし、当時はこの地位には就いていませんでしたけれども、それは習近平氏がいずれここに連れてこようと思っていたわけですよ、このポジションに。だから、順当にやった人事ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「彼が権力を握った時にここのポストにバンと据えたということだから、それはもう北朝鮮側もわかっていると思います」
反町キャスター
「では、そんな自分達を軽く見たかどうか…?」
興梠教授
「だから、習近平さんのメッセージをそのまま伝える人としては的確なんですよ、要するに派閥から言うと」
反町キャスター
「磐村さん、迎えた北朝鮮側は、崔竜海党副委員長と李洙?党副委員長との会談となりました」
磐村氏
「はい」
反町キャスター
「格下だけれど、習近平に近い人が来た時に、北の迎える側としては、崔竜海・李洙?という、この当て方というのは、どう見たらいいのですか?」
磐村氏
「これは妥当なところだと思います」
反町キャスター
「妥当?」
磐村氏
「ええ。単純な政府特使ではなくて、習近平国家主席の特使ですから、一応それなりの、最低限のプロトコールというか、受け入れはやった。ですけれども、この2枚の写真…」
反町キャスター
「出ていますね」
磐村氏
「出ますでしょうか?」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「17日に崔竜海副委員長との会談、崔竜海氏は笑っています、左側の人ですが…」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「…笑って迎えていますね。この17日は党大会の、おそらく内容を直接聞いた…」
反町キャスター
「なるほど」
磐村氏
「…と思うのですが。18日、こちらの右側になりますと李洙?氏、党の国際部長、朝鮮労働党の、だから、カウンターパートですけれども、睨んでいますよね、これは」
反町キャスター
「うん」
磐村氏
「もう睨みつけるようにして、仏頂面ですけれども。18日の会談では、おそらく米中首脳会談の具体的なやりとりを聞いて、アメリカと中国が手を組んで俺達をつぶそうとしているというような受け止め方をして…していたのではないか。かなりこの18日の会談、私は厳しいやりとりがあったのだろうなと思います」
反町キャスター
「17日は中国の内部の報告、党大会の報告、18日が米中首脳会談の報告だったと、こんな理解?」
磐村氏
「そうですね。私は、別の写真があるのですが、会談の写真を見ますと、17日の写真はこの崔竜海さん、副委員長と、党の副部長、それから、記録係と通訳と、4人しかいないですよ。中国側は前列にも後列にもドンと人がいる。18日の会談の場合は、北朝鮮側もいっぱい人を出しています」
反町キャスター
「なるほど」
磐村氏
「これは何を意味するか?要するに、党大会の話は報道もされているし、知っているから…」
反町キャスター
「はい、なるほど」
磐村氏
「とりあえず聞きおいて…、形式上、特使ですから聞きましたと。ただ、実際の18日、俺達をどうするのだという話について、かなり北朝鮮側も人を出し、中国もやっている、中国がアメリカと足並みを揃えて、経済制裁を強化している、どういうつもりなのだということで、かなり攻め込んだと思います、中国側を」
反町キャスター
「なるほど。磐村さんの想定の通りに、18日に米中の首脳会談の報告が北側にされたとした場合、中朝の今回の会談、どういう雰囲気だった?中国側から北朝鮮にどういう情報が提供されたと見ていますか?」
興梠教授
「テロ支援国家にするという話があるよというのを出したのかどうか」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「公式には言われていないけれども、タイミングからすると、ちゃんと核実験なんなりを控える、やめる、やめないとアメリカが強く出てくるよみたいなことは言った可能性はあると思うんですよね」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「中国は公式にはこういったものを、内容を一切伝えないのですが、実は専門家の声を使ってメディアに出すんですよ」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「今回、香港の中国資本が買収した英字新聞があるんですね、サウスチャイナ・モーニング・ポストという、そこにかなり中国の専門家が発言をしていまして…」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「これは流しているのだろうなと思うのですけれど。冷遇されたと言っている」
反町キャスター
「ほう…」
興梠教授
「はっきり言っていますね。あれは勝手に喋れないんですよ、ちゃんと大学の名前とか、研究機関の名前も出して発言しているので」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「そんなことを勝手に対外的に喋ったら、自分がまずいですから、あとで」
反町キャスター
「まずいですよね…」
興梠教授
「これは言わしているなという感じがあって…」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「冷遇されたということをまず言っている。あとは、これで一応、関係が全部ダメになるわけではないけれども、中国側としては、友好関係をつくろうと思って行ったわけではないですか。実は韓国とか、日本に対しても同時にやっているわけですよ、習近平さんは」
反町キャスター
「ほう…」
興梠教授
「全方位で、現在アメリカもそうです」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「党大会が終わった時点で、これはこれまで関係があまりにも、周辺の国とも悪くなり過ぎたから、そういった緊張緩和の意味合いでもあるわけですよ」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「だから、北朝鮮にも積極的にそうやって関係を改善しようとして行ったわけですよね。前回、北朝鮮側から党大会の報告を受けた時は、習近平さんは確か会っているんですよ」
磐村氏
「会っている」
興梠教授
「なのに、今回は会ってないわけでしょう」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「これは会っていない可能性は高いでしょう。そうするとバカにされたというか、侮辱だとか、そういう言葉を、専門家の声を通して海外に流しているんですね。当然、これはまわりまわって北朝鮮にも伝わるのではないですか」
反町キャスター
「それは、つまり、北京が不満を露わにしたと言っていいですか?」
興梠教授
「していますね、しています、はい。そういうメディアを使って」
反町キャスター
「それは、ちょっと環球時報の記事、用意したのですけれども」
興梠教授
「はい」
反町キャスター
「環球時報の社説、『宋濤氏は魔術師ではない。朝鮮半島情勢が緩和するか否かのカギは米朝の掌中にある』と…」
興梠教授
「あっ、これ…、はい」
反町キャスター
「これは先ほどのサウスチャイナ・モーニング・ポストとは、また別の新聞ですけれども」
興梠教授
「ええ、環球時報というのはこういう役割の新聞で…」
反町キャスター
「どういう役割?」
興梠教授
「これは人民日報の傘下にあって、人民日報が本音で言えないところを強く言ってくる新聞なので」
反町キャスター
「これは、中国のほぼほぼ本音に近いところ?」
興梠教授
「本音ですね、はい」
反町キャスター
「そうすると、今回の宋濤氏の平壌訪問は…」
興梠教授
「はい」
反町キャスター
「どうだったのか?という評価に対する答えがこれなのですか?」
興梠教授
「えっと、かなり期待が高まったではないですか?」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「ツイッターでトランプさんがこの動きを非常に注視しているとか」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「あと韓国とか、日本のメディアもどうなるか」
反町キャスター
「いくぞ、いくぞという…」
興梠教授
「そういうのを負担に感じているわけですよね、中国側は」
反町キャスター
「ほう」
興梠教授
「なぜ私がやらないといけないのということですよ。常に中国は言うんです、これは私の問題ではないでしょう?」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「自分は関わりたいのですけれども、でも、中国が全部やれるような雰囲気ができあがっちゃっているので、そうすると、中国が北朝鮮にプレッシャーをかけなくてはいけなくなるではないですか?」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「そうすると結局アメリカが儲かるのではないかという考え方もあるんですね」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「だから、いつも米朝の話でしょうと言うんですね」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「結局、北朝鮮にプレッシャーをドンドン、アメリカに言われてかけた結果ですね、自分が嫌われるようになる可能性もあるわけですよ」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「だから、それほど責任は私にはありませんよということを常に言うんですよ」
反町キャスター
「プレイヤーであるということはもちろん、認めているのだけれども」
興梠教授
「認めています、はい」
反町キャスター
「認めているのだけれども…」
興梠教授
「はい」
反町キャスター
「メインプレイヤーではない、という言い訳をしながら、プレイヤーになっているのですか?」
興梠教授
「自分が外されるのも嫌だけれども、なぜ私がいつもこうやって出て行って、北朝鮮に嫌われ役をしないといけないのですかと。それはあなたが儲かるのではないですかという理論ですよね」
反町キャスター
「そこはどう見たらいいのですか?積極的にメインプレイヤーの役割を果たす、つまり、北朝鮮の側につくのか、北朝鮮にプレッシャーをかけるのかというのは大きな違いもあるのですけれども…」
興梠教授
「はい」
反町キャスター
「それを決められないでいるという見方でもいいのですか?」
興梠教授
「実は気にくわないと思いますよ、やっていることは…」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「…金正恩さんはまったく新しいタイプの指導者だなと思っていると思いますよ、これまでの人達に比べると」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「でも、どうしようもないわけですよ、言うことを聞かないから」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「だからと言って、締め上げちゃうと今度は自分が嫌われちゃうわけでしょう」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「これは核の潜在的な能力があるわけだから、こんなの敵にまわしたら大変ですよね、隣の国にいて」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「だから、プレッシャーをかけたいけれども、でも、嫌われるのも嫌だ、関係も保ちたい。だから、いつも玉虫色で、制裁をしたかと思うと手を緩めたり、これの繰り返しですよ。決定打が打てない、それは自分の利益にならないから」
反町キャスター
「なるほど」

米中朝の『思惑』と『本音』
反町キャスター
「アメリカは半島情勢をどうしたいと思っていると見たらいいのですか?」
渡部氏
「2つ違う考え方が、たぶんトランプ政権にあって。伝統的な人達と、伝統的ではない反主流派みたいな人達があって…」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「伝統的な人達、伝統的と言えば、たとえば、ティラーソン国務長官、マティス国防長官とか、このあたりですけれども」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「結局、同盟国を大事にして、北朝鮮に対して圧力をかけると。それは、同盟国はどこかと言ったら、日本とか、ですけれど、それだけでは弱いだろうから、中国をなるべく味方にして、それで圧力をかけていく、そう考えていると思うのですけれど…」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「たぶん伝統的な人達はロシアも結構、敵なんですよ」
反町キャスター
「はぁ…」
渡部氏
「現在バルト諸国とかに圧力をかけているし、シリアにもサポートしているから。だから、伝統的な人達は中国と組んでとか、ロシアと組んでというのはあまりしにくいですよね」
反町キャスター
「うん」
渡部氏
「ところが、伝統的ではない人達というのは、要するに、トランプさんもたぶん半分入っていると思うのですけれど、前の大統領の主席補佐官だったスティーブ・バノンさんという人がいて、日本へもこの前に来て講演していったと思うのですけれど、彼らはロシアを取り込もうと思っているわけですよね」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「ところが、これが、それもあって現在、ロシアゲートがあって、ちょっとそういう話は堂々とはできなくはいるのですが、たぶんそちらの方の人達の方が、中朝のさまざまな思惑に結構対応できるかもしれないと思っていると思うんですよね」
反町キャスター
「渡部さん、ちょっとそれはよくわからない、どういう意味ですか?」
渡部氏
「要するに、北朝鮮とか、小さい国が大国のそばにくっついて、バランスをとろうとしているというのは、これは歴史的に皆、知っていて。特に彼らはアジアを知らない人でも、それはフィンランド化、フィンランダイゼーションと言って、フィンランドがいかに大国・ソ連の懐でバランスをとったかというのは知っていて、これは、だって、モデルですからね、だから、皆ある程度は知っているわけですよ。だから、そういう中で、では、アメリカは中国と組むのか、ロシアと組むのか、あるいはどちらかと組むのかというのを常に考えて、これはなかなか転換が難しいです。だって、冷戦も最初難しかったでしょう?」
反町キャスター
「うん」
渡部氏
「ソ連と中国対アメリカの構図で中国を自分達に引き込むためにキッシンジャーとかが努力をして、ひっくり返したわけです。では、どうしたらいいのかというのが現在、結構、模索中なのだと思うんですね、トランプ政権の中で」
反町キャスター
「なるほど、なるほど」
渡部氏
「あと、もう1つ大事なことは、小さな国が影響力を与えられるというのは現在、実際に北朝鮮は、韓国、ソウルに住んでいる人達、これは韓国人だけではなくて、日本人もアメリカ人もいるわけですから…」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「これを人質にとって実はある程度、アメリカの一方的な軍事力行使を抑止しているし、していると彼らも思っているわけですよね」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「と言うことは、実は、これは微妙ですけれども、それが崩れてしまうと、アメリカが現在ドーッと、それは人命を大事にしたいし、そんなことはさせたくないけれども、もし何かしら偶発的なことが起こってしまえば、あとは実は、北朝鮮の軍事力というのは実は非常に弱くて、中国とさえ握っていれば、あるいはロシアと握っていれば、ある程度、韓国軍の地上兵力だけでもサーッと行けるぐらいだと思うんですよ、現在だったら」
反町キャスター
「うん」
渡部氏
「そこで片づけたいという気持ちもたぶんある、アメリカの1部にはあると思うんです」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「そういう中で現在のバランスを考えると頭が痛いぐらい悩ましいのですけれど、困っちゃうのは、普通は他の政権は一応、正しい1つの方向というのが決まっているわけですよ、合意が。トランプ政権はないですからね」
反町キャスター
「はぁ…」
渡部氏
「経験も少ないでしょう?朝鮮半島で」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「実は私、先週、アメリカに行ってきて、オバマ政権でアジア政策をやった人間と喋ってきたけれども、面白いことを言っていました。オバマ政権はいろいろ理屈を考え過ぎて、それはそれで、理屈の虜になっちゃって動けなかったと。だけど、このトランプ政権は理屈がないからねと、これはこれで問題だと言っていましたね」
反町キャスター
「友好関係を結べば、北はもしかしたら対中カードになり得るぞと、北朝鮮を見る人達というのはアメリカにいるのですか?」
渡部氏
「いるでしょう」
反町キャスター
「いる?」
渡部氏
「いるけれども、そういう人達が主流派にはなりにくいですよ。だから、これは、ヘンリー・キッシンジャーがよく自慢するのは、アメリカ人はあの時、つまり、ヘンリー・キッシンジャーがニクソンを使って、と言うか、ニクソンも考えていたのですけれども、それまで中国とソ連と対立していたものを中国と組むことによってバランスを有利にしたわけですけれども、それをやりたくてもアメリカの自由主義のイデオロギーが邪魔をしていてなかなかできなかった。中国となんか組めるかという話ですよ。それをうまくやったから、キッシンジャーは自慢するわけですよ」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「私はヨーロッパのバランス・オブ・パワーを研究していて、だからできた、他の人にはできなかった、本当かどうかはわかりませんよ、それは。でも、そのぐらいアメリカの問題というのは何かと言うと、1つの戦略をとるのに、合意をとるのが難しいということです」
反町キャスター
「なるほど。それは、トランプ大統領というのは、表立って危険な国だと言ってみたり、ハンバーガーを食いたいと言ってみたり、友達になれると言ってみたり、いろいろなことを発信しているのだけれども、現在、言ったような政策の間で揺れていると、そうではないですよね、おそらくトランプさんの頭の中は?」
渡部氏
「トランプ大統領自身は、たぶんあまり深くは考えていないとは思うのですが…」
反町キャスター
「あっ、そうですか…」
渡部氏
「トランプさんの周りの方では、いろいろな考えをしている人がいて。トランプ大統領は結局、1番、実は操りやすいですよね、黒子からすると」
反町キャスター
「うん」
渡部氏
「彼は理屈ではないので、セオリーはないので、直感的にこれで行けると思ったら、よし、やってみろということを言う大統領ですよね」
反町キャスター
「なるほど。その意味で言うと、軍事的な脅威としてしか見ていないというふうに北朝鮮を見るのは危険ですよね、アメリカが?」
渡部氏
「アメリカはそんなに単純には考えていないとは思うし…」
反町キャスター
「そう…」
渡部氏
「状況次第では特にトランプさんという人は基本的なセオリーがないですからね」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「歴史も知らないですから」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「と言うことは、あっ、いけそうだったら、やってみようかとなる可能性はあります。だから、そのために先ほど言ったように、伝統的な考え方をしている人が現在、ガッチリ固めていますけれど、そうではない人もいて、トランプさんを揺さぶっているというのが現在のアメリカの内部の状況だと思います」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、日本の国内世論とかで、北というのは危険だと、拉致もやっていると、危ない国だという世論が僕は非常に圧倒的多数を占めていると思います。アメリカが北朝鮮とパンと組んで、場合によっちゃあ、そこで頭越しに何かをやるかもしれないぞ、その時に北朝鮮がアメリカから見た時の対中国に対するレバレッジになるかもしない…」
渡部氏
「はい」
反町キャスター
「そういうものの見方もしなくてはいけないぞというのは、日本の中にあると思いますか?」
渡部氏
「ありますよ、それは」
反町キャスター
「ある?」
渡部氏
「だから、これはもう日本はそれこそ米中頭越しということを経験しているから、骨身にしみてわかっていると思いますよ。これはアメリカ側もわかっていて、ウォール・ストリート・ジャーナルが記事を書いていて、安倍さんがなぜあんなにトランプを大事に接待したのかという理由の1つに、それがあるからだと…」
反町キャスター
「ほう、頭越しはやめてくれと?」
渡部氏
「頭越しにやられるのは怖いからだって、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルが書いていますから」
反町キャスター
「なるほど。興梠さん、中国が1番もしかしたら警戒しているのは米朝協議なのではないのですか?」
興梠教授
「はい、そうです」
反町キャスター
「米朝にやってくれよと言いながら、米朝は嫌なのでしょう?」
興梠教授
「嫌ですよね」
反町キャスター
「何なのですか?」
興梠教授
「サシでやられるのは嫌でしょうね、自分を外して」
反町キャスター
「混ざっていたい?」
興梠教授
「だから、いつも北京で協議しようという話になって…」
反町キャスター
「ほう…」
興梠教授
「対話を自分の管理下でやりたい、自分は主役でいたいけれども、これはただ単に全部こちらに責任を押しつけるなよと、漁夫の利を得るのではないのという発想だと思うんですよ」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「だけど、ここのところだけ取り出すと、アメリカと北朝鮮で全部やってくれというように見えるけれども、それが中国にとって1番恐ろしいことで…」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「自分が外されちゃうじゃないですか?だから、それより自分が中心になって、前のように皆を集めて話し合いをするという、対話をしたいと」
反町キャスター
「では、米朝ではなくて、6者をもう1回、中国はやりたいと思っているのですか?」
興梠教授
「前から言っていますけれども、北朝鮮は出てこないし。ええ、だから、米朝でやられるのは1番怖いと思いますよ」
反町キャスター
「なるほど」
磐村氏
「2003年に6か国協議が始まりましたけれど、その前段で、米朝中3か国会談というのがあったんですよ」
反町キャスター
「ほう…」
磐村氏
「その時の写真を私、中国の外交部の人からチラッと見せてもらったことがあるのですが、アメリカの代表と北朝鮮の代表が中国式の円形のテーブルに座って話し合っていると。1番メインテーブル、主賓のテーブルにいる中国の代表は、タバコを吸ってそっぽを向いているんですよ」
反町キャスター
「それはどういう意味ですか?」
磐村氏
「要するに…」
反町キャスター
「面白くないから?」
磐村氏
「いや、面白くないのではなくて、我々はもう場所を提供した、だから、米朝がこっそりはやらないで、自分達の目の前でやっていると…」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「そこで直接やりとりする分には、中国としてはOKだということですよね」
反町キャスター
「積極的に関与するつもりはないけど、知っていないと気が済まない?」
磐村氏
「仲間外れは嫌だと」
反町キャスター
「よく組織にそういう人はいるのだけれども、そんな感じですか?」
磐村氏
「仲間外れは嫌です」
反町キャスター
「仲間外れは嫌だ?」
磐村氏
「ええ」
竹内キャスター
「今回のテロ支援国家再指定に対しての反応なのですが。こちら北朝鮮は『我が国に対する重大な挑発だ』と反発しています。さらに中国は『各国が朝鮮半島の緊張緩和につながることをするよう望む』と、再指定を支持しない立場を表明しました。磐村さん、この北朝鮮の反応はどのように分析されますか?」
磐村氏
「非常にレベルが低いですね、想定していたよりも。外務省の報道官談話…」
反町キャスター
「なるほど」
磐村氏
「…という形で、それほど強く反発しているという感じは…。文言は強いですが、レベル的には低いです」
反町キャスター
「うん」
磐村氏
「おそらく北朝鮮はとっくにこれは想定済みだと。確かにアメリカの議会で8月頃から、再指定すべきだという議論は出ていましたし、いずれはされるだろうということは考えていたと思います」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「ただ、今回、この中国の特使が行った直後のタイミングで、やってきたということは、北朝鮮的に、これは中国がギリギリまで米中首脳会談、それから、特使派遣まで、おそらく抑えていたのだと、ちょっと待ってくれと言って…」
反町キャスター
「再指定をね?」
磐村氏
「再指定を…」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「そういう中国の態度を、北朝鮮としてはしめしめと、俺達を最終…、完全には見捨てない、それが中国だと今回も理解したのではないかと思います。その中国の態度を理解するうえで、今回の再指定のタイミングというのは、北朝鮮にとって自分達が思っている通りになったと、逆に、中国がそういうふうに動いたのだというふうに思っているのだと思います」
反町キャスター
「でも、北朝鮮が仮に米朝対話を非常に切望しているとした場合に…」
磐村氏
「はい」
反町キャスター
「テロ支援国家に再指定されたということは対話のチャンスが遠のいたと北は受け止めますよね?そうとも限らないのですか?」
磐村氏
「そうですね、これまでも敵だけれども、さらに敵の上塗りと言うか、上書きをされてしまったと。ただ、北朝鮮から見ると、また、ブッシュの時の…」
反町キャスター
「ははぁ、なるほど」
磐村氏
「2008年以前の状態に戻っただけだと。その前だっていろいろ6か国協議をやったし、対話もしていたということで、言葉は強いですけれど、出すレベルが低かったというのはそこらへんにあるのかなと」
反町キャスター
「渡部さん、テロ支援国家に再指定したことにより米朝協議は遠のいたと見ていいのですか?それとも表舞台におけるレッテル貼りと話し合い…、話し合うと言っても政府間協議をするわけではないので、ニューヨークにおいても、この間も、元シンクタンク、アメリカ側はシンクタンクのメンバーで北朝鮮は政府系の人だったりして、それがやろうと思ったら金正男さんが暗殺されたりしたのでチャラになったとか、そんな流れもあったかのように聞いているのですけれど、話し合いのチャンネルはこれで切れたのですか?それとも再指定によっても話し合いのチャンネルはまだ残っていると見ていいのですか?」
渡部氏
「切れないでしょうね」
反町キャスター
「切れない?」
渡部氏
「それは、だって、歴史をもう1回戻せば、2008年以前ですよ」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「つまり、2008年以前、レーガン以降、まあ、ブッシュ政権の時でいいですよ、子供のブッシュ政権の時、この時はテロ指定…、テロ支援国家指定のまま実は話が進んでいるわけですからね」
反町キャスター
「なるほどね」
渡部氏
「それはレーガンですから。レーガンのあと誰になるか、ブッシュのお父さんになり、それから、クリントンの時に、実は枠組み合意というところができるのですけれど、この時ずっとテロ支援国家指定のままですよね。だから、これは象徴的な意味しかあまりないのだという見方も多いのですが」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「ただ、今回も当事者がいろいろなコメントをしていて興味深いのですけれども、枠組み合意というものをクリントン政権で合意したガルーチという人がコメントしていて、あまりいいことではないと、北朝鮮と話し合いをするのにはあまりいい話ではないということで、結構ネガティブな反応をしていて。その枠組み合意を壊した張本人のブッシュ子政権のボルトンという国務次官は、いや、これはいいことだ、もっと早くやるべきだったと言っているんですよね」
反町キャスター
「渡部さん、その話を聞いていると、要するに、アメリカの中でも…」
渡部氏
「うん」
反町キャスター
「対話と圧力という2元論とシンプルには言いませんけれども…」
渡部氏
「ええ」
反町キャスター
「あっちこっちで違うことを言っていて、アメリカは結局どういう方向なのだというのは決まっていると見ていいのですか?」
渡部氏
「いや、そもそも北朝鮮をここまで核開発させてしまったのは、アメリカが政権交代、あるいは政権交代をしなくても同じ政権が前期と後期でコロコロ変わるからですよ」
反町キャスター
「そうそう、変わった、そういうことです」
渡部氏
「そこで一定の圧力とか、一定の成果を出せずにそこはうまく北朝鮮からすれば、バランスをとりながら、遂にここまで核兵器とミサイルを持ってきたっていうことになるわけで。これはアメリカというのは非常に難しい国ですよね、コントロールするのが」
反町キャスター
「なるほど。トランプさんも、今回のアジアツアーでもあっちこっちで、圧力だ、北には何も供給するなというふうにソウルでの国会演説で言ってみたりしているのだけれども、それはその通りに受け止める…、大統領が言ったからといって、アメリカそうだというふうには…、我々はそう報道しちゃうのだけれども」
渡部氏
「ええ」
反町キャスター
「そうではないということですよね?」
渡部氏
「そうではない可能性があるから、逆に日本政府は一生懸命、これはアメリカと足並みを揃えて、圧力をかける方向で現在やっているし。簡単に変わるようでは困るから。皆、わかっているんですよ、でも、私は政府の人間ではないから、面と向かって言いますけれども、あんたら変わり過ぎだと。でも、政府の人は言えないでしょう?」
反町キャスター
「なるほど。一方、中国側のコメントですけれども、『各国が朝鮮半島の緊張緩和につながることをするように望む』。中国はアメリカのテロ支援国家再指定というものをどう受け止めていると見たらいいのですか?」
興梠教授
「あまり強いコメントではないですよね。どちらかと言うと、自分ところに火の粉が飛んでこない、火の手がまわってこないように自分の国の会社も名指しされましたから」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「ええ、これは前から言われていた会社ですけれど、もアメリカはしっかり調べているのだなというのがわかりましたよね」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「どいうふうに、原子炉関連物資とか、民生用と言いながら軍用に転換できるものを売っていると。ですから、これは尻尾をつかまれちゃっているわけですよ」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「あなた、本当に本気で制裁していないでしょうということ。だから、あまりこの問題でまた激しく抗議したりなんかすると、ドンドン暴露されちゃうみたいな…」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「中国は制裁をしていないではないかという世論ができあがる可能性もあるではないですか。ですから、これはどっちつかずの発言で、反対しているようなコメントも出していますけれども、しかし、それ以上は踏み込んではいないですよね」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「だから、あまり強いコメントではないと思いますよ」
反町キャスター
「なるほど」
興梠教授
「自分がちょっと弱みを抱えているので、そこはトランプ側が実は非常にうまくて、あなた、ちゃんと説得してないですね?と、北朝鮮を、だから、あなたも暴露しますよと出されちゃったわけですよ。もっとプレッシャーをかけなくては…」
反町キャスター
「その話は、直近のニュースで、橋を閉じるとか、閉じないとか…」
興梠教授
「はい」
反町キャスター
「あれはどう?はい、どうぞ…」
興梠教授
「あれも期間限定ではないですか?」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「報道を見ると、一時的にということで、だから、また、いずれ…、ちょっとお仕置きしたような感じには見えるし…」
反町キャスター
「それはやったフリ?」
興梠教授
「だと思いますよ。だって、あそこを止めちゃったら中国の遼寧省とか、東北地方の経済に非常に大きな影響が出ますから」
反町キャスター
「北朝鮮との交易で潤っている人達ですね?」
興梠教授
「そうですよね。だから、あそこは景気がもともと悪いではないですか」
反町キャスター
「はい」
興梠教授
「だから、北朝鮮とどんな商売でもやりたいわけですよ」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「だから、それは中央政府もわかっていると思うので。でも、何かやっているフリをしないといけないではないですか。特使があんな目に遭っちゃったのだから…」
反町キャスター
「うん」
興梠教授
「だから、それはアメリカに対するアピールでもあるし、北朝鮮に対する態度でもあるけれども、でも、北朝鮮はちゃんと足元を見ていると思いますよ。どうせ、これずっとではないでしょうと…」
反町キャスター
「では、北朝鮮は、常に中国対しては、いわばタカをくくっている?」
興梠教授
「いや、お宅が困るでしょうと」
反町キャスター
「ティラーソンさんにいきましょう、テロ支援国家再指定について…」
竹内キャスター
「アメリカの国務長官が20日の会見で『再指定はとても象徴的なものだ。実質的な影響は限定的かもしれないが、いくつかの抜け穴をふさげたらと期待している』と発言をしました。渡部さん、ティラーソン国務長官は、再指定を象徴的というふうにも表現しましたが…」
渡部氏
「ええ」
竹内キャスター
「効力がないと見ていいのでしょうか?」
渡部氏
「ええ、だから、ティラーソン国務長官は正直な人なので。一説によれば、トランプ大統領をなんかちょっと低能だと言ったというらしいし…」
反町キャスター
「本当に言ったのですか?」
渡部氏
「でも、本人は否定していませんから。だから、正直な人なのでしょうね」
反町キャスター
「ほう…」
渡部氏
「国務省は否定していますよ、本人は自分の口では否定していませんから」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「だから、いや、これ本当に象徴的なものだと思いますよ。ただ、逆に言えば、限定的かもしれないけれど、いくらかの抜け穴をというのもたぶん本当で、それは北朝鮮に対してではなくて、たぶん中国に対して。こういうのをやっているのだから、中国、もうちょっと協力しなさいよという圧力をかけるようなツールとして期待しているだろうと、でも、そんなに強い圧力になるとは思っていないということです。でも、この言い方を見る限りでは、そうですよね」
反町キャスター
「このテロ支援国再指定というのは、対北朝鮮ではなくて、対中国?」
渡部氏
「私は中国の要素の方が強いと思います。だから、本当はわからないのですけど、中国に対し、貿易とか、経済で厳しい球を打ってくるかというところがポイントで、私は厳しい球を打ってくるのではないかなと思っているんです、そういう話を聞いているので」
反町キャスター
「えっ?それはどういう意味ですか?要するに、我々はテロ再指定までして、北朝鮮に対してしっかりやっている、お前はなんだと?」
渡部氏
「うん」
反町キャスター
「では、なんとかを買えと、そこのすり替えが起きるということですか?」
渡部氏
「たとえば、26兆ドルのディールでトランプが満足していたというのは、そうでもないのかもしれないという話が実際にアメリカの中では言われているんですね」
反町キャスター
「ほう?」
渡部氏
「私が聞いた話だとなぜ今回、トランプさんが中国に厳しい球を、経済ですよ…」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「貿易とか、為替とか、投げなかったかと言うと、アメリカの方で準備ができていなかったと。つまり、アメリカは現在、忙しいんですよ、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しがあって、USTR(アメリカ合衆国通商代表部)とか…」
反町キャスター
「…」
渡部氏
「これは冗談抜きで、あそこに現在、入ってくる人が少ないから…」
反町キャスター
「そうですね」
渡部氏
「対中も準備していたのだけれども、間に合わなかったと、トランプさんが行くまでには」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「間に合わなかったけれども、では、トランプさんがなぜあんなに習近平さんと仲良くしようとしたかというと、、むしろこのあと厳しい球を投げた時に、あまり酷くなり過ぎても危ないから、とりあえず個人的な関係だけはつくっておけと思ったという見方すらあるんですよ」
竹内キャスター
「国連安保理は今年の9月、過去最大の核実験を行った北朝鮮に対して制裁決議を下しました。磐村さん、これらの制裁の効果というのは出ていますか?」
磐村氏
「原油関係、エネルギー関係についてはこの夏頃からガソリンの価格が上昇していると言われています」
反町キャスター
「なるほど」
磐村氏
「ただ、10月に入った共同通信の取材団が見てもまだ平壌、少なくとも平壌市内でガソリンスタンドに行列ができているとか、あとは車の量が減ったとか、そういう傾向はまだ見えないので、どこかから油が入っているのだろう…」
反町キャスター
「うん」
磐村氏
「それが先ほど、ティラーソン国務長官のコメントにあった、いくつかの抜け穴、それがおそらく中国企業なのか、ロシア企業なのか。現在のところ、際立って、制裁が効いているという現象は見えづらいです」
反町キャスター
「うん」
磐村氏
「ただし、この冬をこれまで通り越せるのかどうなのか?ジワジワと効いてくる時期が、おそらく来月、1月ぐらいかなと。その時点で判断しないと、まだ、効いている、効いていないというのは、ちょっと言いづらいかなと思います」
反町キャスター
「宴会に対する自粛例が出たとか、出ないとかという話も出ていましたけれども、そういうのは制裁が効いている証拠と見ていいのか?」
磐村氏
「いや…」
反町キャスター
「それとも、単なる引き締め策なのか?」
磐村氏
「引き締めでしょうし、もう1か月前を過ぎちゃいましたけれど、来月の12月17日は金正日総書記の死去6周年なので、そろそろ、いわゆる追悼の雰囲気に入る時期です」
反町キャスター
「あっ、そういう意味なのですか?なるほど」
磐村氏
「ええ。もちろん、状況がこれだけ緊張しているというので、国内を引き締めるという意味ももちろん、あるでしょうけれども。時期的に言うと、私は来月の12月17日、金正日総書記の死去6周年に向けた、そちらの意味合いが強いのではないかとも思います」
反町キャスター
「磐村さん、原油を止める、石油製品を止めると、総量規制があったりしていても十分入っているっちゅうことですかね?」
磐村氏
「闇で入っていると思いますね」
反町キャスター
「闇と言っても、タンクローリーが数珠つなぎになっているとか、そういうものでもないし、中国からあのパイプラインを使って、川の下を流れている、順調に石油・原油は供給されていると、こう見ていいのですか?」
磐村氏
「総量は規制されていると思いますけれども、流れていると思いますし、あとは海上ですね」
反町キャスター
「海上?」
磐村氏
「ええ。海上で船舶がそのまま入ってくるのではなく、海上で移し替えるとかね」
反町キャスター
「えっ?」
磐村氏
「あとは、それも見られないようにするために船舶というのは信号を出しているのですが…」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「それを切っちゃう」
反町キャスター
「ほう」
磐村氏
「切って、北朝鮮の港に入るということも、現象もあると言われています」
反町キャスター
「北朝鮮は原油の代金を払うだけの外貨獲得手段はあるのですか?」
磐村氏
「それが減っているのですけれども」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「おそらくは北朝鮮に非常に多いレアアースというのを、物々交換のような形でやっている可能性があります」
反町キャスター
「それを買っているのが、かつて言われた東南アジアの国々も含めて?」
磐村氏
「中国も」
反町キャスター
「中国も?」
磐村氏
「中国は、中国企業がドンドン投資をしていましたから、開発のためにね」
反町キャスター
「なるほど。そういうものと引き換えに、石油を手に入れているということになるわけですか?」
磐村氏
「…の可能性があると思うんです」
反町キャスター
「アメリカは、渡部さん、この経済制裁というのに、いつまでこだわるとは言いませんけれども、次のステップに行かずに、まだ経済制裁で次の手、さらに次の手というのを打っていくのですか?それとも経済制裁を見切るタイミングというのをどこかで計る可能性があるのか?どう見ていますか?」
渡部氏
「アメリカの政権は短いですよね…」
反町キャスター
「うん」
渡部氏
「つまり、寿命が4年でしょう?」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「4年と言ったって、もう3年過ぎちゃって、来年、中間選挙があると、そのあとはレームダック化しちゃうわけですよね」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「そういう意味で、4年ですよ、いいところ。現在は4年どころか、あと3年を切っているんですよね」
反町キャスター
「そうですね」
渡部氏
「そういう中で、だから、軍事的な圧力というのも組み合わせるわけですよね」
反町キャスター
「うん」
渡部氏
「それで、なんとか効力を出したいと思っているのではないですか?これはアメリカの場合、一応、成功体験としてあるのはイランに対する金融制裁ですよね」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「これは効いたんですよね」
反町キャスター
「はい」
渡部氏
「えっと、イランという国が実は北朝鮮よりははるかに外に経済が開かれていて、というところがあるのですが、それが効くかどうかやってみたいと、みようということはあるでしょうし。あと軍事力がどの程度、圧力が効くかというのも試したいと。でも、先ほど、申し上げた通り、トランプ政権は過去の北朝鮮の政策を肌身で知って経験しているような人がほとんど入っていませんから。そういう意味で、逆に、いや、俺達は違うと思って、やれるかもしれないと思っているのかもしれない、そういう人もいるかもしれない」
反町キャスター
「ただ、年がだんだん経っていって、あと2年、1年となってくる時に、再選されれば別ですけれども、レガシーと言うか、政権の成果として、北が本当になり得るのかというところで、シャッフルをかける可能性がありますよね」
渡部氏
「ブッシュ政権が、あの2期目のブッシュ政権で、先ほど言った、テロ支援国家を解除したりしたのは何かと言うと、あれは厳しく北朝鮮に言っていたブッシュ政権が、フッと緩めることによって、短期間に成果ができるという期待をして、やったわけです」
反町キャスター
「なるほど」
渡部氏
「これはまんまとオイシイところ取りを北朝鮮にされているんです」
反町キャスター
「フフフフ…」
渡部氏
「それは、可能性はあるわけですね」
反町キャスター
「なるほど。その意味で言うと、トランプ大統領も、もしかしたらそういうことを?現在ガンガンやっているけれども、やる可能性はあるということですね?」
渡部氏
「それはトランプさんだからと言うのではなくて、常にアメリカの政権にはそういうものがあるということです」
反町キャスター
「磐村さん、北朝鮮はアメリカのブレみたいなものを期待と言いませんけれども、可能性を見て、現在、ひたすら米朝対話のタイミングを計っているというのは、そういう意味なのですか?」
磐村氏
「おそらく渡部先生がおっしゃったように来年の中間選挙以降のトランプ政権の寿命、そこから逆算している部分もあると思いますね」
反町キャスター
「ほう…」
磐村氏
「ええ。だから、実質は2年もないと、そういう相手とどこまで本気でやれるのか。さらには仮に何らかの合意をつくっても、それがあとでひっくり返されるようなことがないのか。そこらへんを、アメリカの政治スケジュールというか、政治カレンダーを見ながら計算していると思いますね」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、来年の中間選挙で、共和党が思ったより善戦して、トランプ再選だということになると、また態勢が変わってくるかもしれない?」
磐村氏
「出方を変えると思います。戦術は変えると思います」
反町キャスター
「変わってくる?」
磐村氏
「はい」
反町キャスター
「それは、もしかしたら、もう少し、アメリカが米朝対話に乗り出してきやすいような雰囲気をつくるように、中間選挙の結果を見て北が別のカードを出してくる可能性があるという意味ですか?」
磐村氏
「そこまで考えている可能性はあると思いますね。実は昨年、アメリカの大統領選挙がありました。昨年も春先からミサイルをドンドン撃っていましたけど、大統領選が始まって、年が明けて、今年1月にトランプ大統領が就任するまで、何にもしていません、北朝鮮は」
反町キャスター
「ほう…」
磐村氏
「3か月近く何にもしていません」
反町キャスター
「なるほど」
磐村氏
「ちゃんと考えているんですよ。要するに、オバマ政権はもうダメだ、終わったと、次のトランプ政権でなんとかしようという期待感は当初は持っていたと思います」
反町キャスター
「うん」
磐村氏
「だから、オバマ政権の時に、実は末期にアメリカとの対話チャンネルは切ると宣言し、ニューヨークの国連代表部を舞台とする実務レベルの対話ラインを切っちゃったんですね、電話も全然出なくなっちゃった…」
反町キャスター
「はい」
磐村氏
「ところが、トランプ大統領が就任し、就任式を終わった1週間か2週間ぐらいして、北朝鮮の方からアメリカの国務省に電話して、この電話をまた開けるからと言ってガチャンと切っちゃった」
反町キャスター
「そんなものなのですか?」
磐村氏
「だから、北朝鮮のニューヨークの国連代表部というのは国連安保理の経済制裁決議がある度に怒ってばかりいますけれど、ちゃんと計算し本国の指示で動いていますね」
反町キャスター
「それを前提として、いくら経済制裁をしても北朝鮮ははっきり言えば、耐えられる?」
磐村氏
「耐えられます」
反町キャスター
「何年でも?そういうふうに理解していいのですか?」
磐村氏
「ええ」
反町キャスター
「要するに、いいタイミングのために、現状だったら、ずっと冬眠状態とは言いませんけれども、待っていられる、そういう国家体制だと思っていいのですか?」
磐村氏
「ええ。そういう国家体制をもう来年、建国70年ですけれども、これまでずっとつくりあげてきたんですね、金日成主席の時代から」
反町キャスター
「では、明日にもとか、来月とか、そんなレベルでこの問題を考えない方がいいですね?」
磐村氏
「考えない…。北朝鮮が持っている腕時計は24時間計ではなくて、24年計ぐらいの腕時計だと思いますね」

興梠一郎 神田外語大学教授の提言 『すきま』
興梠教授
「この大国間の隙間がなくならないと常に生存し続けるだろうというのが1つあります。重要なのは中国で、たとえば、ソ連が、体制が崩壊したあと、東ヨーロッパがバーッと変わっていったのにイメージが似ているのですけれど、中国が現在の体制を維持する限りは、おそらく北朝鮮も現在の体制が生き残るであろうと思います」

磐村和哉 共同通信社編集委員兼論説委員の提言 『戦略的に利用させる外交』
磐村氏
「北朝鮮の金正恩委員長は現在、地政学のゲームをやっています。だったら日本も北朝鮮に戦略的に日本を利用させるような外交…、圧力一辺倒ではなく、日本と話せば、ひょっとしたらワシントンへの風穴が開くかもしれないというふうに思わせるような外交をするということが1つアイデアとしてあってもいいのではないかなと思います」
反町キャスター
「それは北朝鮮にそういうふうに思わせるということですか?」
磐村氏
「思わせる。思わせて、日本を利用させるということです」

渡部恒雄 笹川平和財団上席研究員の提言『残念ながら日本は主要アクターではないことを自覚せよ』
渡部氏
「残念ながら日本は主要アクターではないです、北朝鮮問題で、これを自覚するということです。その代わり何をしたらいいのかと言ったら、日本の価値を高める、日米同盟における価値を高める、あるいは中国における日本の経済の価値を高める、あと東南アジアでの日本の価値を高めて、中国に対する牽制球を投げる。それによって実は北朝鮮、朝鮮半島問題に関しても日本の価値が上がるかもしれない。実は磐村さんが言ったのは、小泉政権で拉致の話で一時解決したのも、それですよ」