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2017年11月23日(木)
パラダイス文書の真実 消える法人税27兆円

ゲスト

宮沢洋一
自由民主党税制調査会長
深見浩一郎
公認会計士
平野雄吾
共同通信社 記者
浅川雅嗣
財務省財務官(VTR出演)

『パラダイス文書』の真実 国際課税の『限界』と『対応』
秋元キャスター
「昨年のパナマ文書に続き、今月パラダイス文書が公表され、タックスヘイブンを利用した税逃れに世界有数の企業や著名人が関わっていたことが注目を浴びています。今夜はそもそもタックスヘイブンを使った取引のどこが問題なのか、そうした税逃れ対策の最前線ではいったい何が行われているのか、専門家の皆さんにじっくり話を聞いていきます。まずパラダイス文書とは?ですけれども。今月5日に国際調査報道ジャーナリスト連盟と加盟報道機関が公表しましたタックスヘイブンの取引文書のことで、流出した文書が、およそ1340万件、イギリス領バミューダ諸島などを拠点とする法律事務所の内部文書などということですけれども。まずは平野さん、今回明らかになりました1340万件、この膨大な文書はどのような形で流出したのでしょうか?」
平野氏
「どのような形で流出したかというのはトップ・シークレットですね」
反町キャスター
「ほう…」
平野氏
「ですね、ええ。正直、ICIJも把握していません」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「もともとはミュンヘンを拠点とする南ドイツ新聞が入手し、それで量があまりにも膨大だったということでICIJに一緒に取材しようという形で話を持っていって、それはパナマ文書の時と同じなのですけれども。それで今回、ICIJに加盟する、参加している67か国、90の報道機関で380人の記者が合同で取材をしました」

租税回避の『実態』とは
秋元キャスター
「今回流出した文書の中で特に注目を集めたのがこちらです。アメリカでは、ロス商務長官が投資する貿易会社がロシア政府と近い会社と取引をしていたことで、トランプ政権のロシアゲート疑惑が過熱化しました。一方、イギリスではエリザベス女王がイギリス議会や市民団体から批判されたことのあるケイマン諸島のファンドに投資をし、高額な配当を受けていたということが明らかになり、話題になったわけですけれど、平野さん、こうした著名人に関する疑惑が表になったことによって、どういう影響があったと見ていますか?」
平野氏
「密かに、この人達が、一般の目にできないところで経済活動を繰り広げていたということが明らかになったというのが1番大きいと思いますね」
反町キャスター
「なるほど。ただ、この件に関しても違法ではないですよね?」
平野氏
「違法ではないです」
反町キャスター
「違法ではないけれど、密かにやっていた、しかも、それが、たとえば、ロスさんだったらロシアとの関係とかね?」
平野氏
「はい」
反町キャスター
「女王の件だったらば、要するに、皆があの会社おかしいのではないかと言っているところから利益を得ていたという、道義的ないしは政治的な責任になるわけですよね?」
平野氏
「そうです、はい」
反町キャスター
「そういうものと絡むお金の情報が出てくる、これは、たとえば、全部オープンにしようか、どうか?」
平野氏
「はい」
反町キャスター
「ないしはどういうフィルタリングをもって、政治的な責任・道義的な責任が問われる形で世の中に出すべきか?ここの議論は中でだいぶあったのですか、ICIJの中で?」
平野氏
「ロス商務長官、商務長官というポストが、米国の貿易政策の責任を担う立場にある人物であるということと…」
反町キャスター
「はい」
平野氏
「その方が今、関係の悪化しているロシアと…」
反町キャスター
「そう、ロシアです、そうですよ」
平野氏
「特にロシアと利害関係を持っているというのはどうなのだという問題提起ですよね。そこが1番大きいと思います」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「利益相反という言葉を使っていますけれども、それによって、米国の国益が歪められるのではないかというところで、ICIJの記者が、これは問題だと判断して、調べていって記事にしたという経緯です」
反町キャスター
「なるほど」
秋元キャスター
「パラダイス文書には、日本の大企業がタックスヘイブンに法人を設立しているということも記載されていたんです。丸紅は航空機エンジン開発プロジェクトに投資する法人、日本郵船、大阪ガスはLNGを運ぶタンカーへの投資する法人、三井住友海上火災保険とソニー生命保険は、保険会社自身がリスクを分散するための法人、ソフトバンクグループは投資ファンドを管理する事業組合の法人と、これらの企業が法人をそれぞれタックスヘイブンに設立していたということが明らかになったのですが。平野さん、取材をされていて、これらの企業からこの件について何か回答はあったのでしょうか?」
平野氏
「もちろん、各社、回答を寄せてくれて、基本的にはタックスヘイブン対策税制、1978年から施行されていると思うのですけれども、それに基づいて、タックスヘイブンの子会社の利益も日本で一緒に合算して支払っていますというのが基本的な考えで。個別に見ていくと、それぞれ理由があって。丸紅さんは、航空機業界は米ドルで決済する、そのために、為替リスクをできるだけ減らすためにケイマン諸島の会社を利用したということでした」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「日本郵船、大阪ガスさんは、これはタックスヘイブンとはちょっと違うのですけれども、便宜置籍船という制度があって、パナマとか、リベリアとか、たいていの船舶は、実は日本郵船が運航していても、船籍は日本ではなくて、仮の国籍みたいなもんですね、パナマだったり、リベリアだったり、そういうところに置いているので、その一環で、日本郵船と大阪ガス、両社で共同出資して、タンカーをつくって、運航は日本郵船さんに委託をしていると」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「何でそんなことするのかと言うと、1番は人件費ですね」
反町キャスター
「人件費?」
平野氏
「船員の人件費」
反町キャスター
「ほう…」
平野氏
「つまり、日本籍船の場合ですと、日本の国土交通省が承認する資格が必要ですね」
反町キャスター
「ほう…」
平野氏
「ただ、外国人がそれを取得するのは結構大変で…」
反町キャスター
「へえ…」
平野氏
「そのために、日本人は人件費が高いので…」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「フィリピン人だとか、インド人を船に乗せようと思うと、そういうところに、パナマ、ケイマン諸島ですね、そういうところに船籍を置いて、規制が緩いので、誰が乗ってもいいですよという形のところに籍を置いて、運航しているというのが、海運業界で一般的になっていて。戦後、現在の仕組みがアメリカ発祥で生まれたらしいのですけれど、だから、パナマだったり、リベリアだったり、米国と縁の深いところがかなり便宜置籍国として有名ですけれど。世界の商船の全体の6割が現在、言ったような便宜置籍船、便宜的に籍を置くという便宜置籍船の仕組みを使っています」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「日本は、国土交通省が言うと、だいたい7割ぐらいですね。あとはソニー生命さんに関して言うと、税制的なメリットは追求していないし…、メリットはないし、追求していないと」
反町キャスター
「うん」
平野氏
「日本の国税当局とも確認しながら、ちゃんと納税していますと」
反町キャスター
「では、なぜバミューダに?」
平野氏
「バミューダが以前、バミューダ当局の政策もあって、現在、専門家が多くて、弁護士さんを含めて、バミューダに再保険会社…」
反町キャスター
「ロイズみたいなね?」
平野氏
「そうです。あれの、バミューダが1つの世界のセンターになっている、ということで…会社設立も3か月ほどでできましたと、ソニー生命さんはおっしゃっていましたので…」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「会社設立のしやすさも含めて、メリットがバミューダにはあるということですね」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「ソフトバンクさんは、一般的に投資ファンドにはいろいろな国と地域から資金が集まってきていて、それぞれの投資家が母国で納税することを考えると、投資ファンドレベルで高い課税に晒されれば、不要な必要のない2重課税を受けて、投資リターンが下がってしまうと、そのためにケイマン諸島やヴァージン諸島に籍を置いています、という回答でした」
反町キャスター
「今のが最も我々が納得する…」
平野氏
「その通りです」
反町キャスター
「あっ、そこに置いているのだよねという、こういう感じ…。深見さん、どう感じになる?経費節減のためだという説明もあれば…」
深見氏
「ええ、ええ…」
反町キャスター
「ソフトバンクみたいに、なるほど、さもありなんというところもあるのですけれども、全体のこの理由づけとか…。これは、つまり、違法ではないですよね?」
深見氏
「そうですね」
反町キャスター
「ですよね?」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「全体の企業活動における、使われ方というのはどう見ていますか?」
深見氏
「グローバリゼーションの時代だっていうことでしょうね」
反町キャスター
「はい」
深見氏
「もう国境がなくなってしまったので、資本がどこへでも行けますと…」
反町キャスター
「はい、うん」
深見氏
「行けなかったら、これはできないですからね」
反町キャスター
「うん」
深見氏
「だから、そういう自由な時代が来たおかげでこれができているという印象しかないですね。非常にまだ素性がいい方…」
反町キャスター
「あっ、先ほどの話からすると?」
深見氏
「先ほどの話に比べれば」
反町キャスター
「はい」
深見氏
「だから、どこの会社でも、たとえば、1つ、ソフトバンクという名前がついても、日本は、日本にいたら、あっ、孫さんの会社だって思いますよね?」
反町キャスター
「はい」
深見氏
「ところが、誰がやっているのかわからないというのは、そういう登記もたぶん中にはいっぱいあるはずですから」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「そういう氏素性の知れない会社も出入り…、出入りと言うか、投資をし…」
深見氏
「登記されているんですね」
反町キャスター
「登記しているところもあれば…」
深見氏
「ええ…」
反町キャスター
「それが、いわゆるタックスヘイブンという場所においては…」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「僕、イメージがわかないのですけれども、日本のちゃんとした企業のお金も、そういうところのお金も、全部そこで混ざるとは言いませんけれども、いろいろ、それがマネロンの1つのツールになっているのかな…?」
深見氏
「混ぜるかどうかは、その使っている会社が一緒かどうかですよね」
反町キャスター
「そうそう」
深見氏
「だから、あれが、あの例が全部、1つの銀行であれば、それは混ざっちゃいますね」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「それはもちろん、実態はまだここはわからないわけですよね?」
深見氏
「はい、ええ、そこはわからないですね」
反町キャスター
「なるほど。宮沢さん、この使い方をどう感じになりますか?使い方、使われ方…」
宮沢議員
「うん、日本の企業というのは、我々もそう思っていますし、世界的にも割合、お行儀のいい企業が多いわけで、そういう企業が、国際的な競争を勝ち抜くために使っているということで。おそらく脱法行為ではない、そういう中で、されている企業努力の中でやっている話だろうと思っています」
反町キャスター
「なるほど。税調会長的な立場からいくと…」
宮沢議員
「ええ…」
反町キャスター
「こういう動きがあるというのは、どう見えるのですか?」
宮沢議員
「昨年の暮れに、実は税制改正大綱というのをまとめた時に、パナマ文書も出てきた、それから、BEPSプロジェクトというのも結論が出たというようなことを受けて、国際関係の税制について少し基本的な考え方というものを、実は昨年、まとめています」
反町キャスター
「なるほど」
宮沢議員
「それで、BEPSプロジェクトをきっちりやっていくということがなによりですけれども、それに加えて、いくつか国内法でBEPSプロジェクトの中にある中で、まだ手当てができていないものというのもあるので…」
反町キャスター
「なるほど」
宮沢議員
「それらについて、今年の改正でも1つ手をつけようと…」
反町キャスター
「BEPSプロジェクトというのは租税回避に対する対抗策ですね?」
宮沢議員
「対抗策を、対抗策を今年の暮れに…、昨年にもやりましたし、今年の暮れにも1つ方向性を出せればと思っていますし」
反町キャスター
「あっ、それは年末の税調報告の中に入ってくる?」
宮沢議員
「それも1点…」
反町キャスター
「あっ、そうですか」
宮沢議員
「それでも、まだあと2、3点、やらなければいけないのが残っているというような状況です」
反町キャスター
「平野さん、ICIJで各国、使われ方を比較することもあると思うのですが、日本の企業の場合というのは、筋がいいとは言いませんけれども、表現として、それほど悪質な使われ方はしていない…」
平野氏
「そうです」
反町キャスター
「こんな印象を持っていますか?」
平野氏
「はい」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「えっと、たとえば、ICIJが原稿にして問題になっていましたけれども、ナイキですね、スポーツ用品大手のナイキは、子会社オランダ、本社はアメリカで子会社をオランダに置いて、さらに、そこがオランダ当局と合意をして、子会社に利益を移してもいいよと、バミューダの子会社に利益を移しても構わないよという合意を密かにオランダ政府と結んでいたというのが明らかになってですね」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「そういうのと比べると、今出ました、丸紅さん、日本郵船さん…、それぞれ理由があってタックスヘイブンを使っているんだろうなというのは率直に感じましたね」

浅川雅嗣財務官に聞く 租税回避の問題点
秋元キャスター
「ここからは、タックスヘイブンの何がどう問題なのかということを聞いていくのですけれども。まずタックスヘイブンの基本的な仕組みについて見ていきます。タックスヘイブンとは、無税もしくは低税率で情報公開や透明性がなく、実際の経済活動を要求しない国や地域のことです。そのため多額の外貨が流入しまして、恩恵を得てきたのですけれども、同時に脱税やマネーロンダリングなどの温床になって、テロ資金の受皿にもなってきました。OECD(経済協力開発機構)によりますと、タックスヘイブンなどを利用して多国籍企業が税を逃れることで失われる税収、世界全体で年間11兆から27兆円と試算をされているんです。この租税回避についての国際会議の議長も務められました、財務省の浅川正嗣財務官にタックスヘイブンの問題点について聞きました」
(VTR)反町キャスター
「多国籍企業の租税回避の実態…」
(VTR)浅川氏
「はい」
(VTR)反町キャスター
「これはどのように我々、まずは見たらよろしいのですか?」
(VTR)浅川氏
「パナマ文書もそうだったし、今回のパラダイス文書もそうですけど、具体的な個人・法人の名前が出ていますので…」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「ちょっと誤解があるかもしれないと思うのは、あそこに名前が登場された個人や法人の全てが違法行為を行っているわけではないと思うんです。これは、節税と脱税の違いになるのですけれども…」
(VTR)反町キャスター
「どういうことでしょうか?」
(VTR)浅川氏
「節税というのは、基本的にはこれは現在の課税ルールからすれば、違法行為ではないもの」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「租税回避と我々は言っていますけれども。逆に脱税になると、これははっきりした違法行為ですから、この2つはまず分けて考える必要があるということだと思います」
(VTR)反町キャスター
「うん」
(VTR)浅川氏
「そういう意味で、今回パナマ文書で出たいろいろな話、それから、パラダイス文書でいろいろ出た話の中で、本当に違法行為はどれぐらいあるかというのは、ちょっと冷静に考えた方がいいと思うんです」
(VTR)反町キャスター
「なるほど」
(VTR)浅川氏
「もう少し具体的に申し上げますと、タックスヘイブンですよね、我々、軽課税国と言っていますけれども、軽課税国を利用して節税行為をはかるというのは、合理的な経済活動だと思うんですね」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「それ自体は悪いことでもなんでもないわけです。問題なのはタックスヘイブンに子会社をつくって、そこに利益が蓄積されるわけですけれども、そうした行為に経済的な合理性があるかどうかというのを根本的に問うわけですよね」
(VTR)反町キャスター
「なるほど」
(VTR)浅川氏
「合理性があるのだったらそれはそういうことだろうと、ラショナルな経済行為であると。ただ、そうではなくて、租税回避が主要な目的で、他に経済的な合理的な理由もないのに、それだけの理由でタックスヘイブンを使ったということになると立派な租税回避行動なので、いろいろな国の政府にとってみたら本来、得べかりし税収を失っているわけですよね。そういう絶対的なデメリットがありますし、もう1つは、多国籍企業は、自分の国で経済活動を行い、利益を上げているのに、自分の国で利益を上げているにも関わらず、税金を納めていない」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「その税金がどこかにいっちゃっている、あるいはどこにも落ちていないというところを見ると、納税者にとってはすごく税の不公平感を醸成するわけですよね」
(VTR)反町キャスター
「うん」
(VTR)浅川氏
「それは税制に対する信頼感というのは国家の根本ですから、そこを揺るがす。そこをきっちりとしなくてはいけないという、政府にとって、おそらく関心は強いだろうと思います。これが1つ」
(VTR)反町キャスター
「なるほど」
(VTR)浅川氏
「それから、個人にとってみたら、本当に富裕層というのはあまりにも所得税が高かったら外に…」
(VTR)反町キャスター
「逃げちゃう?」
(VTR)浅川氏
「ええ、移住するという話はときどき聞きますけれども。それは企業に比べると、個人のモビリティというのは各段に低いわけで…」
(VTR)反町キャスター
「うん」
(VTR)浅川氏
「個人からすると、大企業がそういった国境をまたいで節税行為をやっている、そのツケが最終的には俺達にまわっているのではないのかというような税に対する不公平感というのはあると思いますね」
(VTR)反町キャスター
「ありますね」
(VTR)浅川氏
「そこにも注意しなくてはいけない。それから、企業にとってみても、実はこうした企業というのは、国境をまたぐ取引をしている大きめの企業ですよね…」
(VTR)反町キャスター
「そうですね、はい、はい」
(VTR)浅川氏
「中小企業にとってみたら、俺達、そんなことできないよと…」
(VTR)反町キャスター
「できない」
(VTR)浅川氏
「…ということになるとすれば、それも税に対する不公平感になりますよね」
(VTR)反町キャスター
「うん」
(VTR)浅川氏
「だから、あらゆる面から見て、税制に対する信頼感を、キチッと安定的に確保するためには、こうした多国籍企業の行き過ぎた節税行為、租税回避行動というのは規律しなくてはいけないだろうと基本的には思いますね(VTR終わり)」
反町キャスター
「問題なのはタックスヘイブンに子会社をつくって、そこに利益が蓄積されるのだけれども、そこに経済的な合理性があるかどうかという、ここの部分…」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「子会社をつくることによる経済的な合理性というのはどう理解したらよろしいのですか?」
深見氏
「違法ではないのは確かですよね。ただ、そこに貯まったお金、利益ですよね、利益が結果としてお金になって貯まって、課税されないことは、それは不合理」
反町キャスター
「不合理?」
深見氏
「ええ。だから、合理的に貯まっていくのだけれども、不合理というその矛盾…」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「合理性の矛盾を解消されるために、だから、違法ではない行為をしていても、違法だとある程度見なして、国家が手を伸ばしてダメだよと言って引き戻す…」
反町キャスター
「言わなくてはいけない?」
深見氏
「そういうところが今回のポイントなのだろうと思いますね」
反町キャスター
「なるほどね」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「それは、でも、先、何度も日本企業の話題に戻っちゃ悪いのだけれども、平野さん、先ほどの日本企業の話とかを聞いていると子会社をつくって、そこに利益を移し替えて、それで本来払うべき税逃れをしているというようなケースは、日本の企業においては見られていない?」
平野氏
「見つかっていないです」
反町キャスター
「まだ、それはないですね?」
平野氏
「はい」
反町キャスター
「先ほどのナイキの例で言われたのとはちょっと違うと…」
平野氏
「違います」
反町キャスター
「こういうことですね?」
平野氏
「はい」
反町キャスター
「そうすると、深見さん、この話というのは、タックスヘイブンの使い方というのは日本の企業のスタンスと、日本のスタンスと言った方がいいかもしれない…」
深見氏
「うん」
反町キャスター
「欧米のタックスヘイブンに対するスタンスと違うんですね、おそらくは?」
深見氏
「違いますね」
反町キャスター
「それは…」
深見氏
「私の解釈として、要は、グローバリゼーションに日本は乗り遅れているんですよ」
反町キャスター
「あっ、そういう意味?」
深見氏
「だというふうに考えるのが、私は正しいと思いますね」
反町キャスター
「はぁ」
深見氏
「だから、収益率も違うし。はっきり言って、日本の家電メーカーがアップルに勝てるわけがないですよ」
反町キャスター
「ごめんなさい、そうすると、現在の話を聞いていると、タックスヘイブンを使えない日本企業の多国籍感のなさと聞こえちゃうんですよ」
深見氏
「いやいや、そうではないですよ」
反町キャスター
「違う?」
深見氏
「その仕組みを彼らが全部つくっているので、彼らの仕組みの中に、日本人が入っていくというのは、大変ですから。それで出遅れたのはやむを得ないかなと思いますね」
反町キャスター
「なるほど。浅川さんの話にあった不公平感ですけれど」
宮沢議員
「うん」
反町キャスター
「浅川さんは3の根拠を挙げられました。1つは、要するに、自分の国で利益を上げているにも関わらず、そこに税金を納めていないということ、どこかにいってしまうという、それは一般の納税者から見たら不公平になるというのが1つ」
宮沢議員
「うん…」
反町キャスター
「もう1つは、そういう企業から税が自国にちゃんと下りていないことによって、他の真面目な納税者が結局負担を負う、負担を増しているのではないかという、ツケがまわっているという話をされましたけれども、その不公平感と…」
宮沢議員
「うん」
反町キャスター
「もう1つは、そういうことをやりたくても、できない中小企業にしてみたところの、富裕層や大企業に対する不公平感」
宮沢議員
「うん」
反町キャスター
「この3つの不公平感を浅川さんは指摘されましたけれども…」
宮沢議員
「うん」
反町キャスター
「ここはどう感じますか?」
宮沢議員
「ですから、我々がやらなければいけないのは、日本でまさに、日本で稼いだお金について言えば、きっちり我々が課税できるような…」
反町キャスター
「なるほど」
宮沢議員
「…制度を構築していくということが1番だろうと思うんですね」
反町キャスター
「うん」
宮沢議員
「もともと日本の税制は、アメリカを除いて、先進国、一般的な税制で、その企業、法人税ということであれば、日本国内で生じた所得は、これは日本企業であっても、外国の企業であっても、基本的には日本で払ってもらいますよと、しかし、ヨーロッパで稼いだお金については、そこで払ってくださいねと、こういう基本的なもの。その中で、たとえば、子会社をつくって、配当の形で海外からくる、戻ってくるというお金については日本の国内に流入、一時、戻ってこなかったことがあるものですから、戻ってくるお金について言えば、向こうで税金がかかっているわけだから、その配当については日本では受取配当に課税しませんよと、基本的にしないよと、こんな制度をやっているわけで。1番やらなければいけないことは日本で生じた所得についてはきっちり税金を払うという状況をつくりだすことだろうと思っています」

国際課税の『抜け道』
秋元キャスター
「今回、パラダイス文書によって世界の多国籍企業が租税回避を行っていることが明らかになったわけですけれど、現在、国際的な課税システムの何が問題なのか。再び、財務省の浅川正嗣財務官のインタビューVTRです」
(VTR)反町キャスター
「企業が国際活動、多国籍化する中で…」
(VTR)浅川氏
「うん」
(VTR)反町キャスター
「従来の国際課税制度の問題点、課題…」
(VTR)浅川氏
「うん」
(VTR)反町キャスター
「これはどこが1番の問題点だと我々は理解したらよろしいのですか?」
(VTR)浅川氏
「はい。戦後ですね、我々が議論を積み重ねてきて、いろいろな国際課税ルールというのをつくったのですけれど、基本的には、焦点は2重課税の排除、2重課税をいかに排除するかということだったわけですよね。1番わかりやすい例で言うと、たとえば、日本の企業がアメリカに支店をつくります、支店をつくって、そこで経済活動をして利益を上げますと、これはアメリカで稼いだ利益ですから当然アメリカは源泉地国として課税権を行使しますよね」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「ただ、支店ですから、日本の法人の一部ですから、日本は居住地国として日本の課税権を行使する権利があるわけです。そうしますと同じ1つの、同一の所得に対して、源泉地国の課税権と居住地国の課税権がバッティングするわけですね。これは税金を2重にとられたらかなわないということですから、ここをうまくどうやって排除していくかということが、これまでの国際課税ルールのある意味では主眼だったわけですよね」
(VTR)反町キャスター
「なるほど」
(VTR)浅川氏
「そのために条約で対応する方法と、それから、国内法で対応する方法と、両方あるのですけれども、この合わせ技で、これまで2重課税の排除をはかってきたというのが、従来の国際課税ルールなんですね。ところが、今日、フタを開けてみたら2重課税の排除というのはかなりの国ではかられていると、それにある意味では注力し過ぎた結果ということでもいいかもしれませんけれども、2重非課税と申しまして、要は、源泉…、フタを開けて見たら、源泉地国にも、居住地国にも、どこにも税金が落ちていないではないかと。あるいは税金を払っているにしても、先ほど申し上げたように企業が実際に経済活動を行って、利益を生じている国に税金が落ちていない、全然違うところに落ちていると、タックスヘイブンにいっちゃっていると、こういうことがあるわけですよね。これを我々、一般的に2重非課税の問題と、こう言っているのですけれども、この話というのは、我々、あまりこれまで認識してこなかったんです。根っこにあるのは、要は、多国籍企業の経済活動というのは、もうまったく国境を意識しないです、ボーダーレスになっているんですよ。まったく国境を意識しないで自由にやりとりをする、資本のやりとりをし、人の配置を自由にして、無形財産なんかも自由に世界中を移動しまわっているわけですよね。ところが、片や課税権というのは、厳然として国家主権にぶら下がっているわけでしょう」
(VTR)反町キャスター
「そうですね、うん」
(VTR)浅川氏
「だから、これはボーダーがあるわけですね。ボーダーを前提とした、課税権という国家主権と、ボーダーをまったく意識しないボーダーレスな多国籍企業のグローバルな経済活動というのに、どうしてもギャップが生じてしまうんですね、そこだと思います」
秋元キャスター
「深見さん、2重課税を気にし過ぎて結局2重非課税が広がってしまったという話だったのですけれども…」
深見氏
「ええ」
秋元キャスター
「企業の活動がボーダーレス化する中で、国際的な課税システムというのは、どういう問題があると見ていますか?」
深見氏
「2重課税を回避するために…」
反町キャスター
「はい」
深見氏
「はい、100年前に租税条約というものの仕組みを国際連盟の時代に考えたんです」
反町キャスター
「あっ、そんなに昔からなのですか?」
深見氏
「ええ。ほとんど戦前は締結されていなくて戦後になってから締結されたという経緯があって。だから、70年前ですよね、始まったのが」
反町キャスター
「うん」
深見氏
「だから、ほぼグローバル化した現在の世界では完全に陳腐化していっていると。あれはマルチでやるのではなくて、バイでやるんですよ」
反町キャスター
「うん」
深見氏
「だから、1国ずつと手をつなぎ合わせるかのようにやるので…」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「すごい数の租税条約があって、こっちを変えていくとこういう影響が出るから、あっちをああ変えようみたいな世界があって…」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「その網目のような租税条約の穴に、さらに悪用するようにタックスヘイブンではちょっと変わった税制とか、変わった会社法とか、そういうものが存在していて。それを使うことによって、ちょっといろいろな悪巧みができてしまうという状態が現在の問題です。だから、租税条約があることによって問題が発生している」
反町キャスター
「えっ、では、どうしたらいいのですか?」
深見氏
「だから…」
反町キャスター
「国ごとに結んでいるものを、全部1回チャラにして世界統一の…」
深見氏
「本当は、だから、チャラにするのが1番いいですよ」
反町キャスター
「そんなことはできないでしょう?」
深見氏
「いや、できないですよ。だから、できないから、BEPSで、租税回避の上に…、ごめんなさい、租税条約の上にフタをして…」
反町キャスター
「共通のルールみたいな?」
深見氏
「そう。共通のフタを置いて、租税条約をいじらなくてもその上で決まったことが全部、一瞬にして変わるという仕組みを確立したということですね」
宮沢議員
「とりあえず、現在BEPSプログラムということで話は進んではいますけれど、本当にどう考えていくのか。おそらくすぐには答えが出ないと思います。国家そのものの話を、しかも、ある意味では、レベルの違う国、産業が大変強い国、金融が大変強い国、一方、そういうものが一切ないけれど、ね?場所だけある、通信がネットの社会で何でもできるようになったから、そういうところでも場所を、まさにウィンブルドンをつくれるわけですよ。という時代にどう対応していくのかというのは、もう少し全体の危機感が出なければいけないし、全体で国際協調をしなければできないけれども、これで得する国というのがある限りは世界全体で統一歩調というのは難しいなと。となると、先ほどの話に戻りますけれど、先ほど、浅川さんが言っていたようなBEPSのような取り組みを、しつこく、しつこく進めていくということと、もう1つは、徹底した情報交換というものが行えるシステム、現在もBEPSの中でやっていますけれど、それに非協力的な国はブラックリストに載っけると、そこの経済活動については主だった国が相当なペナルティをかけると…」
反町キャスター
「なるほど」
宮沢議員
「いうようなことを将来的には導入しないと、とりあえず、そのへんしかないのかなと思いますね」
秋元キャスター
「大企業による巧妙な租税回避がどういうものなのかということですが、租税回避策の中で最も完成度が高いと言われていたのがダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチという課税逃れの仕組みですね。この仕組みを生み出したのは、アメリカのアップル社と言われていまして、その後、グーグル社、フェイスブック社など世界有数の企業が利用したとされているのですが。こうした企業、アメリカ国内で利益を計上しますと、38.91%という世界で最も高額な法人税が課されてしまいます。これを回避するために、まずアイルランドにA社を設立するんです、この会社は法人としてはアイルランドで登記をされているのですが、経営実態はバミューダなどのタックスヘイブンに置かれています。アイルランドの法律では、経営実態のある国で課税するということになっていますので、このA社の利益というのはバミューダで課税されるということになるので、法人税はゼロということになります。ただ、問題があって、A社というのは経営実態がタックスヘイブンにあるので、国際的な評価に乏しく、他の国との取引ができないということになるんです、使うことができない。そこで同じアイルランドに2つ目のB社というのをつくって、アメリカ本社が持つライセンスを、A社を通じて、B社に移すんですね。B社はこのライセンスを使って、さまざまな国を相手に営業活動を行う、つまり、多額の利益がこのB社にいくということですね。このままB社で利益を計上しますと、アイルランドで12.5%の法人税が課せられるのですけれども、これさえも回避したいという企業はさらにオランダにC社をつくるんですね。実はアイルランドとオランダの間では、租税条約が結ばれていまして、資金の移動に税金がかからないため、この利益をそっくりそのままオランダに移しても、この税金を徴収されることがないですね。しかし、このC社で利益を計上するとオランダの25%の法人税がかかってしまうので再び最初につくったA社に資金を移動するわけですね。この資金の移動も同じ、アイルランドとオランダ間の条約によって非課税となります。A社はアイルランドの法律によってバミューダで課税をされるという会社なので、法人税はゼロということで、利益はそのままA 社の中に蓄積される、こうしてアイルランドの2つの企業でオランダの1つの企業を挟む、つまり、ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチと、ほぼ非課税で利益を蓄積する巧妙なシステムが完成すると」
反町キャスター
「この制度自体をどう見ていますか?これはもう1つのステレオタイプとして、こういうものがあちらこちらで世界中にできていると思った方がいい?」
深見氏
「そうですね。芸術品みたいなものですね」
秋元キャスター
「芸術品…」
反町キャスター
「芸術品?」
深見氏
「いや、これを調べてつくるって相当の法律、税法上の知識がないと組めませんから」
反町キャスター
「誰が?」
深見氏
「いや、それはアメリカの法律事務所ですよ。アップルの顧問法律事務所です、どこかの」
反町キャスター
「ほう…」
深見氏
「ええ。そこがこれを開発して、たぶん同じパターンでザーッとやっていたのでしょうから、まあ、大儲けしているでしょうね」
反町キャスター
「これは、でも、スキームとしては違法ではないですよね?」
深見氏
「違法ではないですね」
反町キャスター
「違法ではないですよね?」
深見氏
「ええ」
反町キャスター
「要するに、だから、節税の知恵として、こういうものが存在していたという理解でよろしいんですよね?」
深見氏
「はい、それで結構」
反町キャスター
「では、取り締まれる方法はないんですよね?」
深見氏
「取り締まれる方法はないです、現在のその制度を変えない限りは」
反町キャスター
「なるほど。現状はアイルランドの法律改正かなんかがあって…」
深見氏
「そうです」
反町キャスター
「現在は、これはもうできなくなっているということなんですね?」
深見氏
「ええ。アイルランドの方でEU(欧州連合)がその税制は現在だったらアップルですけれども、アップルに対して特有の便宜をはかっているのだと、だから、これは違法だということで、国家の幇助という考え方で、独禁法ですね、でもって罰則ということで、税金をかけるということを現在、始めています」
秋元キャスター
「2016年8月に、アップル社に最大130億ユーロの追徴課税をするように、アイルランド政府に指示をしたということですけれども」
深見氏
「ええ。アイルランドはそうされては堪らないので、アップルも逃げちゃいますし、そうではないですよ、ということで反訴していますので、まだ係争中と」
反町キャスター
「係争中?」
深見氏
「うん」
反町キャスター
「アイルランドは、このお金を…、130億ユーロは1兆5000億ぐらいになりますよね?」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「アイルランドはこのお金をアップルから取りたいのですか?取りたくないのですか?」
深見氏
「取りたくないですよ」
反町キャスター
「何で取りたくないの?だって1兆5000億の…」
深見氏
「だって、アップルの、現在だったらB社ですね、B社のあるおかげですごく雇用が生まれていて…」
反町キャスター
「ああ、逃げちゃうから?」
深見氏
「そう。アップルに逃げられると困るんですよ。その雇用をどうやって挽回するのかという話になっちゃうから」
反町キャスター
「なるほどね」
深見氏
「ええ」
反町キャスター
「そうするとアップルも払いたくないし、アイルランドも取りたくないけれども…」
深見氏
「ええ」
反町キャスター
「EUから、ちゃんと取れよと言われて…」
深見氏
「はい」
反町キャスター
「両方が困っているということで…?」
深見氏
「はい、そうですね」
反町キャスター
「これは最終的にどういう決着になりそうなのですか?」
深見氏
「えっと、いや、決着はわからないけれど、それは。EUの裁判所の判決を待たないとわかりませんけれども、現在やられているので、パラダイスでわかったのは、ジャージー諸島…」
反町キャスター
「また別のタックスヘイブンですよね?」
深見氏
「ええ。アイルランドもタックスヘイブンでしたけど、使い方がね。ジャージー諸島に逃げて、ジャージーでこれを組み直そうとしているのか、したのか、ちょっとそこまで正確にわかりませんけれど、そういう報道がありましたね、アップルは」
反町キャスター
「ほう、なるほど」
深見氏
「ええ。そういうのを調べようという、メールかなんかでやりとりが残っていたという、パラダイス文書の中に」
反町キャスター
「聞いていますか?」
平野氏
「細かいスキームはまだわかっていなくて…」
反町キャスター
「なるほど」
平野氏
「アップルが、ジャージー島の税制とかを調べていた形跡があるという…」
反町キャスター
「ほう、パラダイス文書の中にそういうのも入っているのですか?」
平野氏
「メールのやりとりもあるので」
反町キャスター
「ああ、なるほどね」
秋元キャスター
「さて、2012年に日本をはじめとする先進国を中心に多国籍企業の税逃れに対処するためプロジェクトが立ち上がり、現在は世界107の国と地域が参加しているのですけれども。その国際会議の議長も務められました、財務省の浅川正嗣財務官にこのプロジェクトのポイントと展望について話を聞いています」
(VTR)反町キャスター
「多国籍企業に対する、正しい課税のために、透明性を高めるために…」
(VTR)浅川氏
「うん」
(VTR)反町キャスター
「それぞれの政府、特に税務当局が向き合っていくべき最初の話、どこをポイントにしてみていくべきだと感じますか?」
(VTR)浅川氏
「多国籍企業が経済活動をして、実際に価値が創造されている、そこでキチッとした適正な額の納税をしようよと、これが根本ですよね」
(VTR)反町キャスター
「そうですね」
(VTR)浅川氏
「これをどう担保するか?これが1つだと思います」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「それから、もう1つは、そのために、多国籍企業はいろいろなクロスボーダーで経済活動をやっている、その経済活動の透明性を高めましょうと」
(VTR)反町キャスター
「うん」
(VTR)浅川氏
「透明性を高めましょうと」
(VTR)反町キャスター
「はい」
(VTR)浅川氏
「基本的には透明性を高めることによって、不当な、行き過ぎた、租税回避行動や、あるいは違法な脱税行為がないようにしていきましょう、これが2つ目です」
(VTR)反町キャスター
「うん」
(VTR)浅川氏
「それから、3つ目に、そうは言っても、ルールを強化するだけだと非常に納税者にとって不安が募るでしょうから、最終的に、租税の問題で源泉地国と居住地国が揉めた場合には国税当局同士で相互協議というのをやるんですね」
(VTR)反町キャスター
「はい、うん」
(VTR)浅川氏
「相互協議をやるのですけれども、なかなかまとまらないことがあって、お互いに税金をまけたくないものだから延々と続くことがあるんですね。そういうことに関してはキチッと合理的な時間の範囲内で、できるだけ相互協議をまとめていきましょうという、これは努力規定ですけれども」
(VTR)反町キャスター
「実際に漏れというか、グレーゾーンがキチッと抑えることができるのかどうかという、ここはいかがですか?」
(VTR)浅川氏
「はい、これはあくまでもイタチごっこのところがありまして、これをしたら現時点でパーフェクトだと思っても次の日にはそうではなくなる、そういうことがありますので…」
(VTR)反町キャスター
「ああ…」
(VTR)浅川氏
「なかなか完全に塞がれるでしょうかと言った時にそうですと胸を張って言えるのかというのは多少自信がないところがあるのですけれども。ただ、是非ご注目いただきたいのは、たとえば、この前、大戦が終わって、為替の分野とか、それから、貿易の分野では、これはIMF(国際通貨基金)と、当時はGATT(関税及び貿易に関する一般協定)と言っていまして、現在WTO(世界貿易機関)ですけれども、こういう国際機関ができ、国際的なマルチの協調が一気に進んだわけですね。これは戦前の為替の引き下げ競争とか、あるいは貿易のブロック化ということが大戦を引き起こしたという、そういうものの反省からきているわけですけれど。ところが、税の世界ではこういう国際機関ができなかったではないですか」
(VTR)反町キャスター
「ほう…」
(VTR)浅川氏
「IMFやGATTに匹敵する…」
(VTR)反町キャスター
「なるほど」
(VTR)浅川氏
「これは、なぜかと言うと、税というのは1番、国家主権に近い、主権そのものだったからだと思うんです。ある意味、1番、国際的な協調になじみにくい分野が税だったと。逆に先ほど、申し上げたように、まったくボーダーを気にせず経済活動をする多国籍企業とのギャップが、だからこそ広がるわけですけれども。ただ、これほど大規模な国際課税ルールの見直しをやったのは戦後たぶん初めてのことだったと思います。小さな1歩かもしれませんけれど、私は、この戦後の国際租税の世界における1つの大きなイベントだったのかなと思いたいということが1つございます」
秋元キャスター
「深見さん、こういった措置で租税回避というのがなくなるかどうなのか?どう見ていますか?」
深見氏
「最初にBEPSの今のプロジェクトを評価させていただくと、これは画期的です」
反町キャスター
「ほう…」
深見氏
「租税条約という古びたものの上にキチッと覆いをつけて共通なルールでいこうというのは非常に真っ当なアプローチで、それはそれでちゃんとしていると思うのですが」
反町キャスター
「はい」
深見氏
「おっしゃったように、時間と、協議と、民主主義の世界ですからという話で、とにかく時間がかかるというのは、逆のコストとして考えなければいけないのですけれど」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「従って、効いてくるところには大いに効くと思います、タックスヘイブンの…」
反町キャスター
「うん」
深見氏
「もう諦めちゃったところ、たとえば、先ほど、話が出たパナマ…はもう諦めていますから…」
反町キャスター
「それで国の生業を立てようとは思っていない?」
深見氏
「いや、思っていなくはないですけど、非常にもう前は協議にも応じなかった」
反町キャスター
「ああ、そうなのですか?」
深見氏
「ええ、だから、そういう国がああやって日和ってきたこと自体も大した圧力が、今回のヤツでできているのだと思いますよ」
反町キャスター
「なるほど」
深見氏
「要は、預金情報を自動公開されて丸裸にされたら、もうやっていけんわというような考え方を持っていらっしゃるのではないでしょうか」
反町キャスター
「はい、どうぞ…」
深見氏
「あっ、いいですか?それが効き過ぎると今度はさらに逃げ始めるということがたぶん起こると思うので、たとえば、銀行を押さえられましたと言ったら、たぶん銀行が管理しない通貨にいきますよ、仮想通貨ですよ」
反町キャスター
「うーん、なるほど…」
深見氏
「デジタルの方に、ドンドン、ドンドン逃げてしまえば、たとえば、ファンドが全然一般人の方が見られないサイバー空間にお店を開いて、皆がそこで仮想通貨でもって預けると、なんか運用してくれるぜ、みたいな、要は、タックスヘイブンの…」
反町キャスター
「バーチャル版?サイバー版ですよね」
深見氏
「そう、サイバー版のようなところにもいきかねないので、そうやってしまっても、やるのだと強烈にBEPSで押していくのか、そこらへんの、ちょっと舵取りを是非ともうまく考えていきたいなと思います」

共同通信社記者 平野雄吾氏の提言 『透明な社会』
平野氏
「透明な社会。租税回避の1番の問題はタックスヘイブンが秘密の空間であるということだと思うんですね。そうすると、要は、秘密であれば課税のしようがないというところがあると思うので、まず透明な社会。翻って日本を見ても個人情報保護法も含めて、かなりプライバシーと個人情報というものの区別が曖昧になって、新聞表記上も実名なのか、匿名なのかという問題もあると思うし、秘密保護法、安全保障法制含め、なんとなく秘密が増えてきているなというのが個人的印象なので。そこが広がるとタックスヘイブンに、根っこのところで問題は同じだと思うので、市民社会として、透明な社会をつくっていきたいなと個人的には思っています」

公認会計士 深見浩一郎氏の提言 『我々庶民の大問題』
深見氏
「我々庶民の大問題だと、これを今日の覚えておきたい問題だということにしたいと思います。イギリスは世界の3分の1のタックスヘイブンを持っています。アメリカはそれと同等、ないしは同等規模以上の金融ネットワークを持っています、ネバダだ、アリゾナだって、いろいろなところでタックスヘイブンを国内でも持っています。そういう我々が非常に遠い世界のように見えますけれども、めぐりめぐって考えると、全て我々の懐に落ちてくる話ですので。先日もアマゾンに対して日本の国税庁が課税をしようと思ったのですけれども、結局、日米協議で撥ねつけられました。それはアメリカがBEPSに乗らなかったがために租税条約をまた1から見直さなければいけないという、ちょっと枠組みの外側になっちゃっている話があって。そういう中で最終的には自分のところの懐に問題があるのだから常にそこに立ち戻ってこの問題を考えていきたいなということは考えています」

宮沢洋一 自由民主党税制調査会長の提言 『国際協力』
宮沢議員
「この問題の対応は国際協力しかないと思います。先ほどのBEPSプロジェクトもありましたけれども、あれも国際的な協力、OECD、プラスG8の国、さらにその他の国・地域を入れて、100を超える国が参加して、やっと少し効果が出てくるという話ですから。そういった意味で、国際的に、ある意味では、共通の意識を持った国が集まって、制度をつくる、また情報を交換し合う、そういうようなことをやり、それに参加しない国をどう排除していくのかということをしないと、それはグローバル企業とか、大変なお金持ち・富裕層にアドバイスをするコンサルタントというのは常に先を行っていますから、彼らを何とか追っかけて止めるためには国際協力しかないと思います」