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2017年11月7日(火)
櫻井よしこ×手嶋龍一 検証『トランプ歴訪』

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長
手嶋龍一
外交ジャーナリスト 作家

櫻井よしこ×手嶋龍一 韓国晩餐会に『元慰安婦』
秋元キャスター
「アジア歴訪中のトランプ大統領は今日、日本での全日程を終え、次の訪問地であります韓国を訪れました。午後には文在寅大統領との会談が行われました。今夜は、今回の訪日及び訪韓、そのあと予定されています中国訪問を通して見えてくる北朝鮮問題や貿易問題の今後と課題を聞いていきます。櫻井さん、歓迎の場であるはずの晩餐会で、たとえば、竹島のエビを出したりとか、元慰安婦の方を呼んだりとか、こうした姿勢を見せる韓国をどう見ていますか?」
櫻井氏
「この慰安婦の方を、公式の晩餐会でしょう、にお呼びするというのは国際常識からして、考えられない、非常識極まることですよね。異次元の外交に入ってしまったという感じがしないでもないですね」
秋元キャスター
「手嶋さん、どう見ていますか?」
手嶋氏
「例の竹島のエビのことですけれど、あるいはご覧になっている方々がメニューのことではないかとおっしゃっているかもしれないですけれども、これは国際社会、特に首脳外交ではそうでもありませんで、よく晩餐会の政治学などという言葉があって、晩餐会のメニューは実に多くのメッセージが込められている。かつてコールさんも出たのですが、独仏の会談、これは常に緊張をはらんでいる関係であるんですね、その中でアルザス州の、つまり、ドイツが以前に領有をしていたところのホワイトアスパラガスが出ましたよというふうに、これは融和のシンボルでもあるということになりますよね。ですから、大変重要だということになりますし、これはおそらく大統領府がメディアに、竹島のこのエビが出たのだということを公式ではなくてリークをしたということなのでしょうから、非常に意図的ということになりますから、だから、このことはちゃんと論じなければいけない。つまり、晩餐会ではやるべきことではないと思いますね」
反町キャスター
「これについて官房長官がこういう発言をしています。『外国人が他国の要人をどのように接遇するかについて、政府としてはコメントを差し控えます。がしかし、どうかとは思います。日米韓の緊密な連携に、悪影響を及ぼすような動きは避ける必要がある』と、これは官房長官、かなり抑え目にこういう話をされたのですけれど。手嶋さん、この菅さんの発言、どう感じますか?」
手嶋氏
「これは外交的に見ますと、一応、建前としてコメントを差し控えるとは言っているのですけれども、ちゃんと『どうかと思う』と言っているので、明確に私どもジャーナリストならば『どうかと思いますと述べ、韓国側の対応を厳しく批判した』ということになりますね」
反町キャスター
「それと手嶋さん、慰安婦問題についてですけれども。これが2015年の年末に合意された日韓合意です。その中で1番、僕らとしてポイントにしたいのが、2つ目の部分、『今後、国際社会での本問題の非難・批判を控える』ということを両国政府は合意していますけれども…」
手嶋氏
「はい」
反町キャスター
「今回、晩餐会に元慰安婦の方を招待するということは、この日韓合意に反しているのかどうか?」
手嶋氏
「事実上、反していると言わざるを得ないと思いますね。まさに批判派の当人を連れてくる、それを参加者にするということです。事実上、国際社会、つまり、アメリカの大統領までいた晩餐会で批判を行ったということです。それを蒸し返してますよね。ですから、言いにくいのですけれども、不可逆的な解決をというところにも反しているのだと思います」
反町キャスター
「文大統領はこれまでのところ、選挙期間中も含め、日韓合意に関しては破棄するとは言っていないですよね?」
手嶋氏
「ええ、しかし…」
反町キャスター
「国民感情に反するとか、なんとかいろいろなことを言って、反対だよということをジワジワ、ジワジワ言っていた…」
手嶋氏
「文在寅大統領自身は、明らかに本音としては、この合意を破棄したいと思うと。しかし、これは大統領としては、まさに国際社会に対して簡単に廃棄はできませんよね、非難を受けるということになりますので。従って、こういう機会に、今度は破棄すべしという文在寅支持派というのは相当強固なものがありますから、その人達に政治的な手形を落とさなければいけないということを、こんな形でやっているということになるのだと」
反町キャスター
「アメリカはこの日韓合意を非常に歓迎していましたよね?歓迎をしたアメリカのトランプ大統領がいるその席に、いわゆる元慰安婦の人を招待している。これはアメリカから見た時にどう見えるのか?これは多少の期待も含めての質問ですけれども、アメリカ大統領は今回招待された元慰安婦の人に対して、どういう姿勢、ないしはわかりやすく言っちゃうと独島エビの料理を食べずに放っておくかどうかとか、そのへんの大統領として、アメリカ政府としての今回の晩餐会に対する反応、どう出ると考えますか?」
手嶋氏
「これはアメリカも、それから韓国の場合も、政権が事情は違いますけれども、変わっていますよね。しかし、アメリカの場合はまさに超党派で全体としては、日韓合意については、これを歓迎すると、なぜならば現在、北の核・ミサイルという大変な問題がある時に、その最も枢要な関係国、日米韓というのの連携はちゃんと保たれていなければいけないと。そのためには、そうでなければ、最大の圧力をということになりませんですよね。従って、当然のことながら前政権の大きな路線をこの点では引き継いで、日韓合意を重視するというのはワシントンの立場なのだと思います」
反町キャスター
「なるほど」
手嶋氏
「従って、そういうものに対する、まさに波乱要素ということになりますから。トランプ大統領は比較的最近政界に入った人なので、そんなに細かいことはわかりませんけれども、一方で言うと勘のいい人でもあるので、ここのところ終始一貫、東京と違って、ソウルでは非常に表情が硬いですよね。非常によく、このことを含めてわかっておられるということになりますから。その点で日本から見るとあまり心配…、懸念すべき事象ですよ、しかし、日本から見るとそれほど、つまり、心配をしなくていい。トランプ大統領はよくこの間の事情をわかっているはずだと私は思います」

トランプ『日・中・韓』歴訪
秋元キャスター
「訪日している間に、トランプ大統領や安倍総理の姿勢に韓国メディアからこういった反応がありました。朝鮮日報は『韓国株価を下落させておいて安倍総理と仲良くしている憎らしい人物であるトランプは、韓国人にとって金正恩に劣らず危険な人物』、中央日報は『文大統領としては、トランプ大統領を迎え、彼の背後にちらつく安倍総理の影を意識しなければならない状況だ』と。櫻井さん、このメディアの反応をどう見ていますか?」
櫻井氏
「韓国のメディアは、日本のメディアよりも100倍くらいおかしいですから」
反町キャスター
「櫻井さん、普段は我々のことをすごく叱るではないですか?」
櫻井氏
「はい」
反町キャスター
「それよりもっと酷い?」
櫻井氏
「もっと酷いと思いますね。これはまず第1に本当に事実を伝えないし、すごく曲がっていますからね。『韓国にとって金正恩に劣らず危険な人物』って、朝鮮日報でしょう、朝鮮日報と言ったら名門だったわけですよね。金正恩が現在何をしているのか、そう考えると、金正恩さんと比べて、トランプさんは、もっと危険な人物と言うのは、判断の基準がジャーナリズムから言うと、受け入れられない。これはデマゴーグであるとしか言えないですよね。それから『トランプ大統領の影に、背後にちらつく安倍首相の、影を意識する』、それは安倍さんが今回持ちだした『インド太平洋構想』というのは、私は、あれは本当に素晴らしい、安倍さんが打ち出したものをトランプさんがそれを受け入れるという形で、本当に日本国の総理大臣の中でこのように大国アメリカの外交政策を打ち出して、それにアメリカが従ったなんていう事例は初めてですよ。このもう1つ大きいことは、トランプさんはアメリカ第1主義で、内向きの人ではないですか。TPPはダメだとか、パリ協定もダメだとか、国連もダメとか、いろいろな国際的な多国間の枠組みを全部否定した人が、このインド太平洋という括りで前向きなんですよ。トランプさんにとって初めての多国間の構想ですよ、これはすごく大きいことで。だから、安倍さんの影響力というのはすごく大きいですね。だから、そこまでちゃんと中央日報の方がわかって書いているのか、ただ単に安倍さんをちょっと非難したいために『安倍さんの影』と言っているのか、そこのところはわかりませんけれども、と言うのが私の感想ですね」
反町キャスター
「手嶋さん、いかがですか?この韓国メディアの論調、ちょっと象徴的な部分を抜き書きしているのはあるにしても…」
手嶋氏
「僕はジャーナリストですから、韓国のジャーナリストにも、心ある立派な人はまだいるのですけれども、少なくとも紙面には残念ながら現在のところ反映されていないと。政治家がそうであるように、メディアも時には大きなこの世論の流れとか、感情的な流れに抗して、ここは違うのだと言うことは随分重要なので、その点ではやがて論調は変わってくると思いますけれども、これはあまり感心しませんね。特にトランプ大統領は、現在、ロシア疑惑、ゲートなどと言われて、選ばれ方については確かに疑念は出ている。しかし、とにもかくにも民意によって選ばれているということになりますよね。従って、その人と金正恩を同列に並べるというのは間違いだと思います。特に現在、在韓米軍というような人達がいるのですけれども、この人達は一朝事があった時に、最終的にはトランプ大統領の意に服して死地に赴かなければいけないということですね。このことの意味は大変大きくて、僕はかつて2年間、アメリカの大学の研究所で陸海空の高級幕僚と生活を共にしたことがあるのですけれど、その時に1つだけ気をつけていたことがありました。彼らはいざという時には、家族もいて、大変良い方々ですよね、しかし、大統領の命令を受け戦地に赴くということになりますから大統領がどんな人であれ、時の大統領がどんな誤りを起こしているとしても、大統領そのものを彼らの前で悪し様に批判するというようなのはやるべきではないと思っていたので。注意をしながら意見を伝えましたよ、だけれど、そこのところは気をつけていたということになりますので。この在韓米軍がいることの意味と、その最高司令官が誰であるのかということは韓国のメディアも肝に銘じていただきたいと思います」

速報『米韓首脳会談』
秋元キャスター
「韓国を訪れたトランプ大統領ですけれども、今日夕方、米韓共同会見が行われました。その中で安全保障についてこういった発言がありました。文在寅大統領からは『北朝鮮核問題を平和的に解決し、朝鮮半島に恒久的な平和体制を定着させることにした』と。一方で、トランプ大統領からは『世界最強の3つの空母を派遣した。原子力潜水艦も配置についている。使わなくて済むことを神に祈っている』ということですが。手嶋さん、一方は『平和』、こちらは『空母』と、米韓の北朝鮮に対する温度差をどう見ていますか?」
手嶋氏
「ええ、明らかに違いは歴然としていますよね。文在寅大統領は注意深くお話をしているのですけれども、最終的に、各国の圧力というのが効果をあげて、という、これ現にご本人が言っていますよね。やがて妥協策を見出し、そのことによって恒久的な平和体制を定着させることになると、そういう話し合いの枠組みが徐々にと言うのですけれど、明らかに楽観的に過ぎるということになりますよね。なぜならば、北朝鮮をめぐる各国の圧力と言いましても、文在寅政権自身が圧力をちゃんと加えるということについて、そのスクラムの中にガッチリといるのかどうかということは明らかに疑問ですし、実は、アメリカは世界の警察官だ、などと言って、同盟国に軍隊を置いてということにはなるのですけれども、アメリカという国は一方において、その国が自国を守るという自覚がなければ、伝家の宝刀を抜いて、アメリカの若者を、まさに大統領の最終的な命令によって死地に赴かせるということになりますから、それができない仕組みになっているんですね。これは実は韓国だけではなくて、尖閣諸島ですけれど、そこは中国が領有を主張していますから、そこに最悪の事態としては人民解放軍がと言うことが考えられる。その時には当然、個別的な自衛権を発動しますから、日本は個別的な自衛権を発動して、実力でこれを排除するということ、これは中国も当然そうするだろうと思っているのですけれども、中国の関心はたった1つ、半世紀を超えて安全保障同盟を結んでいるアメリカが、アメリカの軍隊が出てくるかどうかという点ですよね。これは時に不明だったこともあったのですけれど、トランプ大統領は、それはちゃんと安保条約第5条に基づいて軍隊を出すということを先の日米首脳会談、2月に明らかにしていますよね。これは最も重要ということなのですが、これをよく見てみますと『日米が共同で対処する』ということですね。日本が覚悟を持ってしなければ、アメリカは動かないという、ここは日本の人々は時に見過ごしているということになりますので。日本も、もちろん、戦争などないに越したことはないと、私もそれを強く望んでいますけれども、しかし、究極の場合は伝家の宝刀を抜くかもしれない覚悟が、相手を突き動かすということになるのだと思いますけれども。文在寅政権はそのことについて本当にそういう覚悟を持っているのかどうかということについて、少し関係国の間で疑念は出ているのだと思います」
反町キャスター
「それは日米首脳会談の関係においても、政府関係者等々からトランプ大統領が文在寅大統領に対する評価として、総理に、安倍総理に対してですよ、文大統領というのは何か緩いのだと、決めきれていないんだよという話をしたのではないかという話が1日空けて今日あたりポロポロ、ポロポロ出てくるんです。それはかなり確度の高い、トランプ大統領の文在寅大統領評だと思ってよろしいですか?」
手嶋氏
「これは、実は非常に鋭い質問で僕は主にアメリカ側からやりとりをしていますけれど、その感じで言うとおっしゃる通りなのだと思います。これは今回のやりとりだけではなくて、一貫して、これまで電話では、公式の場合は十数回ですか、やりとりをしている、首脳会談も5回行われていることになりますから、その中で当然のことながら第3国のことについてはほとんど外交当局は、一般的にそうなのですけれども、発表しないということになりますけれど、アメリカ側も日本側もより詳しい記録がありますよね。その場で聞いている人達がいる、そういう人達の話を総合しますと相当厳しく、文在寅大統領の地位について大統領はそれを安倍さんに言うと、安倍さんも、文在寅大統領と電話会談をしていますから、安倍総理からもそのことは厳しく言ってほしいというようなことがあって。実はそのあとトランプ大統領は、本当に言ってくれたのかどうかと言うために、また電話がかかってくる、あんなに電話がかかってくるのは、実はそれが最大の理由の1つと」
反町キャスター
「なるほど」
手嶋氏
「ここは情報源が関わっているので、ギリギリのところを反町さんに申し上げているのですけれども」
反町キャスター
「では、もう…」
手嶋氏
「もうこれ以上は聞かないでいただきたいのですけれども、おっしゃる通りと、つい僕は正直なので言ってしまうのですけれども」
反町キャスター
「ありがとうございました」
櫻井氏
「文在寅さんは、北朝鮮と戦いたくないというのはもう明らかですよね」
反町キャスター
「はい」
櫻井氏
「だけれども、アメリカにしてみたら絶対に北朝鮮を核保有国としては認めないと、北朝鮮の核は許さないのだと、ICBM(大陸間弾道ミサイル)も許さないのだ、これはもう極めて明確なわけですね。だから、アメリカとしては北朝鮮から核を除去するために、どういった方法があるだろうかと現在一生懸命考えている。だから、それが1つの軍事紛争であるか、それとも中国なども一緒になって、石油まで締め上げて、どうにもこうにもならないところまで追いつめるのか。追いつめて、安倍総理は、北朝鮮が政策を変えるから、だから、どうにかしてくれと言って頼みにくる、そのチャンスを狙って拉致も解決したいと、いろいろな国がいろいろなことを考えているわけですね。その中でどうにも緩いのが文在寅さんだけですよ。何をしたいのかがわからない。自分が何をすればいいのかがわからない。韓国を守るという気持ちがあるのかも、彼自身がはっきりしていないと思いますよ。ですから、こうやっていくとドンドン、ドンドン、各国々は自分の国の国益、自分の国の国民を守るために一生懸命やっている時に、韓国のいき場がなくなるんですよ。こういうのは国際社会では、irrelevantになる、もう関係なくなっちゃうと。朝鮮半島の南半分であるにも関わらず北朝鮮の核を除去するために韓国が何をするのか。本当は、たとえば、ソビエトの中距離核ミサイルに対して、ドイツに、アメリカが中距離核ミサイルをドイツの依頼で配備したということがありました、1970年代の終わりに」
反町キャスター
「ありました」
櫻井氏
「それと同じように、核をなくすためには、両方が核を持つというのが1つの力のバランスから言ったやり方ですよ。韓国も核を持つ」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「お互いにこれは危ないからやめようねということで核をお互いにやめる。でも、韓国にはその気持ちがないし、北朝鮮もそれに応じないでしょう。とするとこの道はないわけですね。すると、韓国以外の国が、アメリカかもしれない、中国かもしれない、どこかが北朝鮮の核を取り除かなければいけないというステージに上がってしまうわけです。軍事侵攻みたいなものがあり得るとしても、韓国軍が戦わないとなれば、もっとirrelevantに、もっと無関係な存在になってしまうというところですね。だから、米韓のその立場の違いがすごくはっきり出ましたね」
反町キャスター
「櫻井さんの中では既に韓国は…」
櫻井氏
「はい」
反町キャスター
「irrelevant?要するに、もう関係がない存在になっちゃっているのですか?頭の中は、櫻井さん的に言うと…」
櫻井氏
「いや…」
反町キャスター
「半島有事に対し、この国は関われない国だという感じで見ています?」
櫻井氏
「主体的に関わることができないですね。だって、文在寅さんはやる気が、そういう意味では、話し合いということをずっと言っていますでしょう。でも、安倍さんが、この去年の9月に国連で北朝鮮問題を演説しましたけども、あそこで安倍さんがおっしゃったのは、この20年間、94年ぐらいからですけども、北朝鮮と関わった国々の全てが皆、騙されてきたわけですよ。そうでしょう?」
反町キャスター
「はい」
櫻井氏
「だって、最初はプルトニウムをどうするとか、その次は核をどうするとか、皆、騙され、その間に重油を与えたり、お金を与えたり、軽水炉をつくりましょうと約束したりということで、皆、騙されてきて。これ以上、何十年も交渉してきたのに、これ以上、交渉してもおそらくどこにも到達しない、だから、現在は話し合いよりも圧力だ、圧力ということは軍事的な圧力もあるし、経済的圧力もある、全部の圧力なのだということを言っているわけですね。その圧力を文在寅さんはかけようとしない、過去20年間の北朝鮮をめぐるこの外交交渉の、こちら側の失敗にちっとも学ばない。なぜならば、彼の心は半分以上、向こう側にあるからだとしか思えないですね。このような大統領を戴いている韓国が、この北朝鮮問題の解決に関われるはずがないと思いませんか?」

『米中首脳会談』の展望
秋元キャスター
「明日からトランプ大統領は2泊3日で中国を訪問して、習近平主席との米中首脳会談も控えているわけなのですが、手嶋さん、今回の米中首脳会談、何に最も注目されますか?」
手嶋氏
「安倍総理が大変親しい盟友であると、このことは世界に知られていると。トランプ大統領にとって。ところが、同時に、トランプ大統領は非常に気がかりな発言をしていて、習近平国家主席とも自分は大変に親しくて、盟友だと言っていますよね。しかし、その中国は力で海洋に進出してきている。尖閣諸島も我が領土だと言っているということになりますから。これは日米安保条約の文脈から見るとまさに諸所に大きな問題を抱えている。その習近平さんとどんなやりとりをするのか、それに対して中国側は現在、経済的に日の出の勢いということになりますから、大変多くの買い物リストを、それはテーブルの上で出してくるかどうかはわかりませんけれども、用意をしていると。それはアメリカ・ファーストを掲げるトランプ大統領にとってはアメリカ国内のプア・ホワイトと言われる、所得の低い貧しい白人層、この人達がまさにトランプ政権を誕生させたということになりますから、それへのお土産にもなるということになります。従って、これは二重、三重に錯綜した情勢の中で、さて、どんな首脳会談に臨むのか、このことは日本にとってとても重要だと思います」
反町キャスター
「それは北朝鮮に対しての米中連携とか、そういうレベルの話ではない、もう2大スーパーパワー同士のガチンコのせめぎ合いだと?」
手嶋氏
「本質的にはまさにそうなのですけれども。ただ、今回トランプ大統領としては、一部、中国に譲るような局面があるかもしれないという時に、大義名分も必要ですよね。それは北朝鮮の核・ミサイル問題に対応して、中国の役割は非常に重要だ、かつての4月の、一連の米中首脳会談でも大きなテーマになったということになりますから。それは、北朝鮮問題というのはトランプ大統領にとって中国と一部妥協したりするという材料にもなりかねないと思います。しかし、安倍総理自らが言っているのですけど、北朝鮮の核・ミサイル問題は短期では確かに大きな問題だ、しかし、中長期では力を背景にした中国の海洋進出というのはさらにもっと大きな問題だということで、トランプ大統領にそれを説得し、その大きな文脈の中で、まさに『開かれて自由なインド太平洋』という構想が出てきたということになりましたよね。従って、中長期で大変重要な問題、まさに日本の命運を担うような問題がそこにもあるということになりますから、北朝鮮問題だけに目を奪われることなく、全体としてどんな会談がなされるのかということは大変大きい問題だと再度申し上げたいと思います」
反町キャスター
「櫻井さん、いかがですか?」
櫻井氏
「中国は満を持してトランプさんを待っているわけですよ。だって、10月の第19回共産党大会で、習近平さんが3時間20分にわたる長い長い演説をしましたね。あれを読んでみて、ああ、なるほど、これが中国、習近平さんが目指している、これからの何十年間のことなのだと。そこは、2049年、中国、現在の人民共和国建国100年ですよね、その時までには中国は世界の諸民族の上にそびえ立つ存在になると、軍事的にはこれまで見たことのないような強い国になって、経済も本当に先進国の豊かな経済を国民1人1人に実現していますと。その中で、世界の諸民族はどのようにすべきかと、ザクロの中の、ザクロとは果物の、ザクロの中に実がずっしり…」
反町キャスター
「ツブツブがいっぱい入っている」
櫻井氏
「それが硬い実に覆われて、諸民族はこのザクロの中の実のようになるものだと書いてあるんですよ」
反町キャスター
「ほう…」
櫻井氏
「中国の優れた文化、そのような影響が世界中に受け入れられて、中国は各教育とか、力を入れていくのだと、この中国の価値観というものは、国の内外において非常に浸透していきたい。たとえば、国内においては、党、政治、軍、民間の社会、教育、地理的には東西南北プラス中心です、東西南北中、ここに共産党の指導が全部いきわたるようにすると言うんですね。その中で、中国は世界に影響を与えていくと。これはまさに、本当に21世紀の中華大帝国主義ですよ。そのような構想を描いていて具体的な軍事力とか、経済力、これは一帯一路とかやっていますね。その中で…の、彼は自分の10年に留まらず、20年でも、25年でも、30年でも、毛沢東さんと同じくらい長い独裁政権体制をつくったわけでしょう。そこにトランプさんをお迎えするわけですね。トランプさんの今回の1番大きな目的というのはまず北朝鮮問題、これは核とミサイルですね。もう1つはアメリカ・ファーストですから、アメリカの対中赤字、これはアメリカの貿易赤字の約半分ですよ、40兆円ぐらいあるわけです。これをなんとか解消したい、フェアなものにしたい。中国にとってみれば一時的にこれを解消することは安い買い物です、むしろトランプさんの気持ちを中国側に、親中的に変えることができれば。それでなくても、10月にキッシンジャーさんがホワイトハウスに呼ばれていますよね」
反町キャスター
「はい」
櫻井氏
「キッシンジャーさんは、名うての親中派ですよね。キッシンジャーさんが8月の11日でしたか、新聞に発表した記事がありますけれど、そこは繰り返し、繰り返し、アメリカと中国は力を合わせるべきなのだ、北朝鮮に対して軍事行動をとってはならないと、アメリカと中国が力を合わせ、これを上手に抑えるべきだということで、すごく中国に気を遣っているんですね」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「この名うての親中派のキッシンジャーさんがこの1年間、何度かトランプさん、もしくはトランプファミリーに会って、彼の考え方をその伝えていますよね。時にはトランプさんの事実上の使者となって、中国に行って、習近平さん達にも会っているわけですね。ですから、私は、トランプさんに対するキッシンジャーさんの影響がどこまであるかはわかりませんけれども、そういったこともあって、もしかしてアメリカ・ファーストという比較的短期的な視点に立ったトランプさんが非常に長期的な視点に立った習近平さんの戦略の中にとり込まれるようなことがあっては本当に大変だと思っています」
反町キャスター
「中間選挙が来年、ありますよね?トランプ大統領、とりあえず30%台にまで落ちた支持率をなんとか上げたい、そう考えると、たとえば、中国が、例によってボーイングを300機買いますよみたいなことを言われた時、まさに短期と長期で言ったらコロッといって、どうなるかわからないのですけれども、中国の手のひらに乗ってしまうリスク、かなり高いのではないかと、話を聞いていて思ったのですけれど、いかがですか?」
櫻井氏
「かなり高いかどうかはわかりませんけれど、そのリスクは否定できないと思いますね。現在、私達はアメリカがかなり変わってきたということを、すごく深刻に受け止めなければいけないのは、大東亜戦争のあと、アメリカは本当に事実上、世界の超大国になっていくわけでしょう。これも第1次世界大戦の時にイギリスとアメリカが立場を徐々に変えていって、アメリカが大国への道を歩み始めて、あの第2次世界大戦の勝利で決定的になったと思うのですけれども。その時になぜアメリカが世界の超大国になり得たのか?その後の冷戦をなぜアメリカが勝ち抜き得たのかというのは、まず大戦略があったということですよ」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「この大戦略を支えるものが、私達が是とする価値観であったということですよ。それは民主主義であったり、人権であったり、自由であったり、自由経済であったりとか、私達が現在、とても大事だね、中国はこれを持っていないねというような価値観で、アメリカはもちろん、欠点のたくさんある国ですけれども、それでも世界を引っ張ってきた、大戦略と価値観ですね。でも、現在この2つがアメリカにとってみるとちょっと揺らいでいるとしか思えない。まず大戦略があるのだろうかと当然考えますね。ティラーソンさんが、あれはウォール・ストリート・ジャーナルですか、どこかの記事に書いておられたと思うのですけれど、自分はビジネスをやってきた関係で、しかも、石油のビジネスだから、10年、20年の長期スパンで考えると。大統領は極めて短期の視点で考えると言っているんですね。こんなことを言うから時々このお二方の間にいろいろな摩擦が起きるのでしょうけれど。でも、その言葉を聞きながら、記事を読みながら、なるほど、ティラーソンさんはご自分の視点を、10年、20年で捉えて、これを長期視点と言う、これは確かに長期ですけれども、でも、中国は50年、100年だということをパッと感じたんですね。これはアメリカ、本当に注意しないと、してやられるかもしれないという、ある種の懸念を抱かざるを得ないですよね」
手嶋氏
「櫻井さんから短期的な視点に立つ、現在のトランプ政権、長期の構想に立つ習近平政権というお話があった、確かにそうですね。しかも、制度上もそれを裏づけることができますよね。つまり、4年ごとに大統領を選ぶ選挙をしている民主主義の国・アメリカに対して中国は1党独裁ということになりますから、この点で中国に少しアドバンテージ、有利なところがあるのかもしれません。しかし、一方で、最も重要な、アメリカにとって最大の力というのは軍事力に留まらないと思います。もちろん、基軸通貨ドルの話もありますけれども、それを超えて、櫻井さん、これをいみじくも指摘をされましたけれども、理念、自由や民主主義という価値観をと言うことになるのだと思います。確かにその通りで、ご指摘はあまり日本のメディアでは言われないのですけれども、とても重要だと思います。僕は、レーガン大統領の時に、ワシントンに特派員として行ったのですけれども、大変苦労しました。それは当時、日本のメディアはレーガン大統領というのは俳優あがりのというふうに、ちゃんとした教育も受けていないかもしれないというふうに明らかに見下げていて、東部エスタブリッシュメントと言われるアメリカのメディアもそうでした。それを、そういう常識というか、一種の偏見というのを乗り越えて、この政権を理解するのに大変に苦労しました。しかし、翻って見ると、レーガン大統領というのは、アメリカの民主主義というものに対しておそらくどの政治家よりも揺るぎない自信を持っているということになりますよね。しかも、民主主義の理念というのはあらゆるところでちゃんと適用する。日本の強制収容というものに対して初めて明確に謝罪をしたのも…」
反町キャスター
「あぁ、そうですね…」
手嶋氏
「あのレーガン大統領の演説というのは最も感動的なものでもありましたので。そういうレーガン大統領の姿勢ゆえに、冷戦で、軍事力で相手を、つまり、伝家の宝刀を抜いて打ち負かしたのではなくて、アメリカの理念が勝利をしたということになりますよね。現在、このレーガン大統領と同じ共和党のトランプ大統領ということになりますから、トランプ大統領は現在、大変いろいろな問題を抱えているのですけれど、そのことに思いを至して、アメリカという国の最大の武器は理念、自由とか、民主主義だ、それを背景にして中国に乗り込んでいってほしいと思います」
反町キャスター
「それは、でも、理念、自由とか、民主主義というものを掲げて、それを守るために世界の警察官だったアメリカが世界の警察官を辞めるよと言っていますよね。旗を掲げるだけで、これまでと同じようなリーダーシップをアメリカがまだ持ち続ける?」
手嶋氏
「アメリカ単独では無理ですね。従って、自由で開かれたインド、太平洋という構想の中で、有力な関係国、これは例の新興の大国・インドもいますし、オーストラリアも、日本もいる。その人達は同じ民主主義という理念によって結ばれている。ASEAN各国の多くの国もそうであるという点で。確かに現在、中国は日の出の勢いですし、つい先頃も中国に行ってきましたけれども、2010年以前の中国人と同じ人であるのかということが疑問なほど、圧倒的な自信を持っているということになりますよね。それが、揺るぎない自信を持って、軍事力を持ち始めているということになりますから。そういう中国に相対して、中国の、そういう力に頼った外交戦略というものをあらためさせるというのは大変難しい世界の責務ですけれども、決して諦めてはいけない」
反町キャスター
「その件に関して日米共同会見でこういう話が出ています。『海洋秩序の維持は、地域にとって死活的に重要。日米は自由で開かれたインド・太平洋への指針に向けた協力強化で一致した』。これは昨日の会見ではこういう話ですけれども、もともと安倍総理が、TICAD(アフリカ開発会議)で言われたようなところで、南シナ海、太平洋、インド洋、さらにはその先の中東の一部まで至るような経済的な連携、ないしは安全保障上の連携みたいなものを日米主導でアジアからインド洋、アフリカ一部にかけてまでやろうかという、この趣旨の発言だと思うのですけれども」
手嶋氏
「そうですね」
反町キャスター
「この考え方というのは、中国の一帯一路とか、海のシルクロードに対する対抗策として見るのか、そこをどう見るのか?」
手嶋氏
「そういうような指摘はあるのですけれども、これは『自由と繁栄の弧』、現在、日本版NSC(国家安全保障会議)を率いている谷内正太郎さんが提唱し、それを踏まえてということなのですけれど。『自由と繁栄の弧』から新しい『自由で開かれたインド太平洋構想』に至るまでについては戦後の日本外交がこうした構想を提示するというのは極めて稀なことです。しかも、肝心の外務省の中からも強い批判が、つまり、イデオロギーとか、そのように傾いた構想はいかがなものかという明確な批判も聞かれるということになるのですけれど。しかし、僕はちゃんと新しい構想は出していくべき。しかし、現在ご指摘がありましたように、やや、中国の一帯一路、海洋強国というものを受けて立っている側面もなしとしないと。どんな形でどう進めていくのか、グランドデザインのような大まかなものはありますけれども、さらに個々の形で具体的、国際社会を納得させるような具体的な構想がどう出てくるのかと、ここが勝負どころだと思います」
反町キャスター
「いかがですか?」
櫻井氏
「気持ちのうえでは、一帯一路に対抗するものですよ。だけれども、現実を見ると、アジアの国々、アフリカを含めてですけれども、明確に対中国の枠組みだと言ったら、入らないですよ。だって、怖いですからね」
反町キャスター
「そうですね」
櫻井氏
「ですから、これは現実的ではないわけですね。でも、重なる形でつくりますよね、だって、同じ地域ですから。だけれども、こちら側は日本・アメリカ・豪州・インド、これは民主主義の4つのスターですよ。ここで一緒にやりましょうと、価値観も同じですねということです。日本もアメリカも、AIIB(アジアインフラ投資銀行)とか、それから、一帯一路に関心を形のうえで示していますね。これは本当に関心があるのではなく、全然関わらなかったら、中国に好きなようにされてしまうから、関心を持って、ある意味ではチェックしていきましょうというのが、その精神だと思うんです。ですから、アメリカと日本が本当に真剣になって、オーストラリアやインドを巻き込んで、本当はここに韓国も入れたいのですけれども、なかなかそこがうまくいかないというのがありますね。でも、いわゆるダイヤモンドの形ですよね、を基本にして、日本が本当に日本ふうのすごくいい援助の仕方、それから、融資の仕方、いろいろなインフラのつくり方、中国がつくった道路は3年すればもうメチャクチャですけれど、日本がつくったものはずっと保つんですね、橋もそう、学校もそう、建物もそう、車も、列車も、皆そうです。ですから、日本のそういったいいところをきちんと実施しながら、インド太平洋地域の連携をやっていけばいいと思うんです」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言 『荒きは強きにあらず』
櫻井氏
「荒きは強きにあらずというので。これは『武士道』を書いた新渡戸稲造さんの言葉です。荒々しいことが強いことではないのであって、日本は強さも持っているけれど、日本文明は非常に穏やかですよ、誠実ですよ。だから、そういった力をこれから発揮して、中国とは全然違います、アメリカとも違います、これが日本の貢献の仕方ですということで、それこそこのインド太平洋地域でリーダーシップをとるような心構えを持ったらいいと思います」

外交ジャーナリスト 手嶋龍一氏の提言 『日米は理念の大国たれ』
手嶋氏
「太平洋を挟む同盟国である日本とアメリカは、海洋強国・中国にはないような民主主義と、開かれた言論、自由な言論を持つ理念の大国であり続けてほしいと。それが世界に大きな影響力を与えるような、そういう存在に共になってほしいと思っています」