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2017年11月3日(金)
『若者×政治』相関図 『保守化傾向』の核心

ゲスト

佐藤健志
作家 評論家
三浦瑠麗
国際政治学者
古市憲寿
社会学者
津田大介
ジャーナリスト

来日…イバンカ氏が演説 女性活躍推進への課題
秋元キャスター
「今夜は私、秋元と金曜日担当の…」
竹内キャスター
「竹内でお送りいたします。さて、野党の分裂、与党の圧勝に終わった先月の衆院選を若い世代はどのように捉えて、どう行動したのでしょうか。今夜は選挙の結果や投票行動などから現役世代が政治とどう向き合っているのか、その本音に迫ります」
秋元キャスター
「昨日、来日しましたアメリカのトランプ大統領の長女イバンカ・トランプさんが今日、女性活躍をテーマに講演を行いました。今回の衆院選でも、女性議員の割合、およそ1割という現実が日本ではあるわけですけれども、その日本の女性が社会で活躍するための方策についても聞いていきます」
竹内キャスター
「女性の活躍は、安倍政権の成長戦略の中核に置かれているのですが、政府はこちら、2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標を掲げています。今回の衆院選で当選した女性議員は、465人中47人、割合にして10.1%に留まりました。三浦さん、この結果をどう見ていますか?」
三浦氏
「実際、党として、女性を、たとえば、半分立てるとか、党も努力をしないと、選挙制度では1人1票なので、なかなか達成できないと思うんですよね。だから…」
秋元キャスター
「候補者を増やさないと、ということですね?」
三浦氏
「そうです。だから、それは結局、民主的に選ばなければいけない選挙で、男女半分半分にするというのは、原理上、現在はできないですよね。だから、政党の努力が足りないのだろうと思うのですけれど。ただ、女性を発掘するという意味では、非常に困難が伴って。社会的な規範として、日本の良い女性像というのは、要は、口を出さない、手を上げない…」
秋元キャスター
「うーん…」
三浦氏
「だから、手を上げる人というのは正直、別の欲とか、別の目立ちたいみたいなのがあるのだろうと見えるし、実際にそうであることも多いと、と言う中で、どうやってそういう男性にあるような、いわゆる普通の政治家というのを女性で養成していくのかというのは極めて難しいですよね」
秋元キャスター
「価値観…」
佐藤氏
「良い女性と男にとって都合のいい女性というのをどうやって区別するかですよ」
秋元キャスター
「出ました…」
竹内キャスター
「都合のいい…」
秋元キャスター
「都合のいい女性と良い女性と違うということですね?」
佐藤氏
「後者の方がもてなされやすいですよ、はっきり言ってしまえば」
秋元キャスター
「都合いいですから、それは…」
竹内キャスター
「男性社会の中においてということですよね?」
佐藤氏
「女性社会というのは現在のところまだ実現していませんので、この国では…」
秋元キャスター
「そうですよね。古市さん、どうですか?」
古市氏
「だから、この比率の少なさというのは、自民党の女性政策、どこまで本気なのということの1つの表れだと思うんですね。たとえば、自民党だったら、比例名簿の中の半分は女性にしましょうということが本来はできるはずですよね」
秋元キャスター
「はい」
古市氏
「でも、それをしてこなかったと。女性議員は、たとえば、重要閣僚が、女性になって問題を起こすと、女性議員はダメなんだという議論にたぶんなりがちですけれども。そうではなくて、そもそも女性議員を育成してこなかったのは誰のせいですかと言うと、この数十年間、自民党が、ほとんど女性議員ということの育成に本気を入れてこなかったわけですよね。女性議員が大事だなと思うのは、たぶん日本社会において、いろいろな…、まだたぶん女性はマイノリティなわけですよね?」
三浦氏
「うん」
古市氏
「こういう会議の場であっても、職場であっても、政治の場であってももちろん、女性ってマイノリティだった。だから、女性ってどんな形であってもある程度、一定数は入れた方がいいと思うんですね。なぜなら、そのマイノリティの気持ちを知っているから。それだけで、女性で政治家って価値があると思うのですけれども。だから、その過渡期においてはある程度パーセントを決めて、どちらか片方の性を何パーセント以上にしますよということを入れて、たぶん政治としてやっていかないと、なかなか女性議員は増えないと思うんですね」
秋元キャスター
「そもそも候補になり得る人材がいないのですか?どうなのですか?」
古市氏
「でも、もちろん、まさに、なりたくないという問題もありますし。本当に三浦さんみたいな人が女性政治家になればいいと思うのですけれど…」
三浦氏
「いやいや、とんでもない…。ただ、この育てるという問題は候補者発掘の次に問題になってくるのですけれど、なぜ女性候補を増やす必要があるのか、あるいは数を増やす必要があるのかという問いはいつもあるんです。それに対する最適な答えというのは、要は、少数者の場合だと人格・識見全て含め、リーダーシップを養成する男性社会の中に入れてもらえないです。だから、たとえば、飲みにケーションにも入れてもらえないし、いろんなところで仲間外れにされるから、集団の中でリーダーシップを発揮するチャンスを与えられないです。そうすると、たとえば、いきなり大臣になった時にリーダーシップがないのが露わになってしまって、足元をすくわれるというパターンです。だから、私はいつもサル山と言っているのですけれど、サル山の中で勝ち上がる、ボス猿になっていくというのは、もちろん、たとえば、胆力とか、物理的な力とか、猿にはいろいろな論理があるわけですけれども、その中にリーダーシップというのはあるわけですよ。それを鍛え上げられてサル山のてっぺんに登っていく男性がいる一方で、そもそも入れられていない女性というのはもう…」
秋元キャスター
「なるほど、普段からもう始まっているわけですね?」
三浦氏
「うん、そうです」
秋元キャスター
「日々の生活とか仕事から…?」
三浦氏
「そうです。だから、数を増やせば、女性のサル山になるだろうと…」
佐藤氏
「女達の…」
竹内キャスター
「まずハードルの1つが数を増やす努力…?」
三浦氏
「そう…」

ネット時代の『本音』 『保守化傾向』の核心
竹内キャスター
「さて、今回の、衆院選の出口調査の結果を見ていきます。こちら安倍総理を信頼していますか?信頼していませんか?という質問に対して、10代・20代、この若い世代ほど信頼していると答えた人の比率が多かったことがわかりました。古市さん、この結果をどう見ていますか?」
古市氏
「安倍首相しか知らない人が多いからではないですか?信頼しているも何も結構長いことやっているので、ずっと見ている人だから大丈夫だろうというのが1つと。あとは現実感覚として現在、安倍さん以外で誰が首相がいるのだろうかという、その現実的な観点から、もしかしたら信頼しているという人が多いのかなとも思いました」
竹内キャスター
「では、率直に知らないという?」
古市氏
「もしくは年配の方は、ずっと森友、いわゆるモリカケ問題でこの半年間ずっと、1年近くワイドショーなどを通じて、安倍政権がいかに独善的かということを、メディアが報道してきたわけですけれども、もしかしたら、それをあまりにも観ている年配世代ほど、安倍政権に対する批判度が強まっていて、逆に10代・20代・30代はあまりテレビを観ていないでしょうから、そこの…」
竹内キャスター
「はい」
秋元キャスター
「観ていないのですか?」
古市氏
「比べると観ていないですよ、60代以上の人と比べると…」
秋元キャスター
「はい」
古市氏
「だから、モリカケ問題に対する距離感というものが、もしかしたらあったのかもしれないですね」
佐藤氏
「…同じFNNの調査でも実は5月から7月にかけて、安倍政権の支持率が落ちた時、10代・20代の支持率の推移を見ていると実は5月には10代の男…、10代から20代の男性はなんと70%、70.8%ですが、現内閣支持です」
秋元キャスター
「ふぅん」
佐藤氏
「これが8月には44.4%に落ちます。女性に至っては…」
秋元キャスター
「結構、ブレが?」
佐藤氏
「そうです。…70.6%が33.8%まで落ちています、半減以下。ですから、若者の支持率というのが変動しやすいということをまず言わなければいけないのですが。ただ、古市さんが言われたように、確かに安倍政権が誕生する前、この国では1年に1回、内閣が交代するということが延々続いたわけです。それはどんな立派な理念を掲げたところで、毎年毎年、内閣交代では、それはまともに政治ができるはずはないと」
竹内キャスター
「三浦さんは、この10代・20代、6割を超えるということなのですが?」
三浦氏
「私は37歳ですよね」
竹内キャスター
「はい」
三浦氏
「37歳なのだけれど、失われた20年しかほとんど記憶にないわけですよ。だから、結局、30代の後半の人でさえ、要は、バブルとか、高度経済成長なんてほとんど知らない、覚えていない、実感がない中で。実は失われた20年の間に人々の、たとえば、気分というのはだいぶ下がったわけです、嫌な感じというのが広がった。あるいは、たとえば、自分が生活で苦境に瀕した時に、自分の抱えている問題というのを、社会の問題と捉えたり、あるいは政治の問題として捉えたりという話はありますよね。私が思うのは、実は40、50代、この50、60代ですか、50、60代の人達というのは、高度経済成長の良かった頃とか、バブルの良かった頃が正常だと思っていて、それを悪くしていると自民党政権はと思っている傾向があると思います。でも、先進国を皆、見ると実はグローバル化によって経済的に恵まれ過ぎていた中産階級が、少しずつ底が抜けてきているというのは共通現象としてあるので、本当に外部要因の場合もあるわけですよ。とすると、現状自分達が抱えている問題がかつてと比べてあまりにも悪いから、全部、政権のせいにしてしまうという態度が見られる一方で、若者はすごく悪いところからスタートしているから現在、本当に雇用の状況も改善されている中で、プラスに評価するというのは自然なのかなと」
秋元キャスター
「良くなっているのではないかということですよね?」
三浦氏
「もともとの期待値も低いですよね」
秋元キャスター
「津田さん、この若者は総理を信用している?」
津田氏
「これは、だから、よく10代・20代の若者が右傾化しているのではないかというのはメディアで結構取り上げられる機会が増えているのですけれども、僕は若干ミスリーディングかなと思いますね。なぜかと言えば、1番、若者にとって気になる話題は就職ですよ、雇用と就職。これはアベノミクスの成果でもありますけれど、間違いなく雇用というのは改善をしているわけで。そこに力を入れてやってきたという中で、現状、就職というのが非常に売り手市場ですね。就職が改善したということ。ただ就職だけではなく、生活不安というのがあって、先がこれからどうなるのだろうというのはなかなか現在、見えにくい…、日本は別に経済絶好調というわけではないですから、先が見えない中でどうしていけばいいのだろうという不安を考えた時に、若者ほど現状維持傾向というのが強くなる。現状維持傾向が強くなった結果、現在の自民党を支持するとなっていくということもあると思いますね」
佐藤氏
「現状維持と言うと現在、自民党というのは憲法改正をはじめ、専ら掲げている政策は改革ですよ。これを保守化志向というのはおかしいのではないか?」
津田氏
「うん」
佐藤氏
「それは保守というのは、なるべく世の中のあり方を変えないと、変えるにしてもなるべくゆっくりやると、問題のないところはできるだけ残すと、これが近代における政治的保守主義の基本であるとすれば、現在の若者は自民党支持ということは、保守主義、保守化傾向とはまったく言えないと思うんです」
津田氏
「だから、経済政策なんかはとりわけリベラルのところとかもやっていますよね、あるいは改革的なことを進めようとしているところもある。だから、保守化と言うことによって見えなくなっている部分というのもあるので、そこはちゃんと分析をした方がいいなと思うのと、あともう1つは、歴史認識の変化というのもあると思うんですよね。より具体的に言えば、中国・韓国・北朝鮮という国。僕はちょうど現在43歳なので、僕ぐらいの世代だと、ちょうど、おじいちゃんとか、おばあちゃんって戦争体験がありますよね。だから、戦争体験があるし、アジアに対して日本が進出した歴史というのをその時の戦争体験みたいなものをちゃんと口伝てに聞いているということもある。ただ、現在の10代というのはそういう既におじいちゃんであっても戦後生まれということもありますし。2002年に北朝鮮が拉致を認めましたから、北朝鮮とか、中国というのは現在、もう経済成長も甚だしいですし、昔、かつて日本が侵略をした国で、まだ経済的にも日本より遅れているという国だったのが、現在はどこの国も、中国なんかはとりわけ日本よりも進んでいますよね、経済的にも。と言う状況があって、北朝鮮にしても、中国にしても日本を脅かす国というのが彼らが物心ついた時からあると思うんですね。それに対してかなり強気の姿勢を出している安倍首相に対して、それに対して支持が集まるという、そういうシンパシーみたいなものと、たぶんそれの合わせ技だと思います」
秋元キャスター
「実際に投票の傾向に結びついているのかということは…」
竹内キャスター
「比例投票の政党を見てみますと、若い世代ほど自民党に投票しているということがわかるのですが。古市さんは、こちらをどう分析されますか?」
古市氏
「これも自民党しか知らないから…」
竹内キャスター
「あっ、これも知らないから?」
古市氏
「自民党に入れている人が多いのではないかなと思うのですけれども…」
佐藤氏
「いや、これは各社の出口調査を比べてみたんです、そうすると、面白いことがありまして。出口調査で支持政党を聞かれた場合の若者の反応、若者は10代・20代です、基本的に。これは自民党支持が確かに高いです、全年代の数字より高いです。それよりも立憲民主党の支持の低さというのが際立つんです」
秋元キャスター
「うーん」
佐藤氏
「つまり、支持政党がはっきりしている若者の間では、自民党支持というよりも、反リベラルです。ところが、実際にどこの党に入れましたかと、これは支持政党なしと答えた人でも、選挙に行けば必ずどこかに比例を入れますから、無効票の存在はちょっと脇に置きますと、今度は自民党へ入れたという方がガンと高くなる。つまり、無党派層まで入れると、今度は反リベラルより保守です。となると、非常におおざっぱな結論ではありますが、支持政党がはっきり決まっている人は、政治的関心が強いだろうと仮定する限り、つまり、政治に積極的な関心を持っている人は自民党を消極的に支持し、政治に消極的な関心しか持っていない人は自民党を積極的に支持すると、そういう面白いねじれがあるんですよ」
三浦氏
「先ほどおっしゃった、反リベラルというのは、たとえば、民主党政権があまりイケてなかったという記憶もあるのだけれども、基本的には現在の若い人というのはなにで投票していいか、正直わからない。でも、とりあえずたぶん9条死守ではないから、自民党に入れてしまう、北朝鮮が怖いから入れてしまうという感じで、深く考える選択肢も与えられていないし…」
佐藤氏
「選択肢なんて本当に重要な話で、過去25年間、はっきりしたことは、1つは、政権交代で自民党以外の政党が政権を握ると、まず第1に自民党の路線を踏襲せざるを得ない、第2に自滅すると。これは政権交代で政権を獲得した政党のその後の末路を見れば明らかです。消滅するか、万年弱小野党への道を転がり落ちるか、2つに1つです。ただ、同時に、三浦さんもおっしゃっていましたが、過去25年間、明らかになったことは自民党が少なくともかつての55年体制と言われた時代ほどには、経世済民、つまり、国の存立と安全保障を確保し、かつ経済を持続的に発展させて、繁栄をもたらす、このことについて結果を出せていないと、結果を出せていないから危機だろう、国難だろうという話になるわけです。これはもちろん、グローバリズムが広がった挙句の世界的な傾向であって確かにその通りですけれど。同時に日本はナショナリズムをもともと否定する傾向が強いので、グローバリズムに乗りやすいと、これだけ保守が反グローバリズムを言わない国というのは珍しいと思うんですよ。ですから、その点で確かに選択肢はあまりないわけです。ただ、明らかに結果を出せないところよりは、あまり結果を出せないところの方が相対的にマシであるというのは、確かに現実的な判断と言わざるを得ないのではないですかね」

野党『分裂』への視点
竹内キャスター
「こちらに主要政党のツイッターのフォロワー数をまとめてみました。立憲民主党は結党からわずか1か月で日本の政党で最も多くのフォロワー、およそ19万1000人を抱えているということなのですが。津田さんは、立憲民主党が急速にフォロワーを増やした要因はどのように見ていますか?」
津田氏
「これは一方的な発信ではなくて、イマドキの発信だったなと思いますね。たとえば、だから、街頭演説とかの動画をかなりこまめにアップして、その動画とかも、動画は長すぎると皆、観ないので、ちゃんと普通に街頭演説をやると15分とか、20分、かかるので、それをいちいち全部観る人はよっぽどファンではないと見ないので、その演説の中のすごくオイシイ部分をテレビ的に1分とか、2分ぐらいのコンパクトな動画にまとめて、また、その動画にちゃんと日本語のテロップなんかも入れていって。あと写真なんかもすごく、観た時に、これは枝野さんの演説が選挙カーを使わずに、お立ち台をちょっと使って、人のたくさんいる中でやって、そういう有権者と近いところにいるんだということをうまく演出したりということもありましたし、あるいは否定的なもの、アンチみたいな人達がいろいろ立憲民主党のツイッターにリプライをつけてきますけれど、それに対してうまく受け流しながら、でも、こういうことです、と丁寧に答えたりもしていた。そういう、まさに排除とは真逆の姿勢というか、そういうものも批判意見も受け入れながら、自分達の主張をするということもうまくやっていたので非常にコミュニケーション上手な人が担当しているだろうなとは思いました」
秋元キャスター
「やり方がうまかった?」
津田氏
「相当、慣れていましたね」
古市氏
「でも、そもそも19万1000人は、津田さんのフォロワー数よりもだいぶ少ないのではないですか?」
秋元キャスター
「津田さんのフォロワー数はどのくらいなのですか?」
津田氏
「たぶん立憲のフォロワー数が増えたということも関係しているのですけれども。結局フォロワーはある一定以上増えていくと、要するに、ある程度の有名アカウントだなみたいに、たぶん業者が判断して自動フォローするんですよ」
秋元キャスター
「はあ」
津田氏
「と言うことと同時に、それだけではなくて、急速にフォロワーが増える、注目が集まって、フォロワー数が増えたアカウントというのも、これも業者に狙われるということがあって、それで増えているということもあるので。そういう、それがたぶんあったのだと思いますよ」
秋元キャスター
「えっ、その業者って?」
古市氏
「だから、大した話ではないということですよね、ツイッターの世界全体で見渡してみたら。たとえば、芸能人はたいてい100万人以上のフォロワーがいる方がたくさんいらっしゃいますから。それにこの数はそもそも少ない同士を比べているだけであって、これも大した話ではないと思うんですね。実際に立憲民主は若者の投票数は少ないという話でしたけれども、ただ、このツイッターのことをやたらマスコミ、ワイドショーが取り上げたなという感じがするんですね」
津田氏
「これは、だから、本当は古市さんの言っていることももっともなのですけれど、もうちょっと正確に言うと、つまり、だから、ソーシャルメディアの影響力は、業界ではエンゲージメントと言われるんですね」
秋元キャスター
「エンゲージメント?」
津田氏
「要は、フォロワーというのは、単に届いていく購読者の数ですけれども、実際には発進した情報がどれだけリツイートされるか、あるいは動画がどれだけ見られるか、あるいはそれに対してコメントが、発信にしてどれだけユーザーがアクションを起こしたかというのが、それが指標として使われるんですよ。たとえば、このツイートはたくさんフェイスブックにシェアされたねとか、あるいはリツイートをたくさんされたねみたいなものがすごく重要で。それは、たぶん立憲民主党は、エンゲージメント、そういう反応がすごく多かったのですよね。だから、19万人しか届かないのだけれども、19万のツイートというので、その中で、たとえば、100万フォロワーがいる人がリツイートとかをすると、今度は100万人に広がったりもするので。ただ、エンゲージメントがどれぐらいあったのかというところも含めて見ないと、19万だからすごいという話ではなくて」
古市氏
「結果的に投票行動に結びつかなかったわけで、立憲民主党が当然、ツイッターをやっている目的は投票してもらうことですよね。でも、結局たぶんツイッターのメインユーザー層である30代・40代は、決して立憲民主の投票数が多かったわけではないということを考えると、効果は限定的だったのではないかなということを思うんですね」
津田氏
「だから、総務省が情報通信白書を毎年出していて、それを見ると、ツイッターの利用率も出ているんですね。10代と20代は現在、ツイッターを6割使っているんですよ。30代になると、それが3割ぐらいになって、40代ぐらいになると2割ぐらいになって、と言って実は20代と30代ですごく大きな壁があるのですけれど。ただ、この年代別比例投票先のヤツを見てみると、ツイッターの影響力を見ると、立憲民主のツイッターというのは今回、若者にたぶん影響していなくて、それなりにツイッターの利用率がある30代・40代の無党派層には、それにはおそらく効いたのではないかなと、そういう意味での限定的な効果だったとは思います」
三浦氏
「要は、政治に対するフォロワーというのは、日本ではそもそもすごく少ないのだけれども、希望がこれだけ1万3000人というふうに、すごくショボい数字で、立憲が19万1000人というのは、差は、津田さんがおっしゃるように、メッセージの発信の仕方であるとか、双方向であるとか、拡散しやすいタイプのコミュニケーションがあったっていうのはあると思うのですけれども。もう1つ、私が気になるのは、立憲は運動だったと思うんですよ。希望は運動足り得なかったと。それは、立憲は運動だったから、いわゆるツイッターに向いているタイプの政治運動だったんですね。ただ、希望というのはどちらかと言うとワイドショーに向いていて、そこで、たとえば、小池さんが何を言うかということに対して関心が集まって、それを皆、ワイワイ、ガヤガヤ言うと。立憲民主が運動であったということは、要は、すごくコアなファンが、ツイッターの中でも、その年代の中では、もちろん投票した時の意思の強さというのもまたちょっとあるわけなので、すごくコアなファンは正直お見かけしたし、ツイッターで。それは希望が当初、あれだけ支持を集めながら失速したのとは対照的だったんですね。その軸は何があったかと言うと、ほとんどの場合、安倍政権を終わりにするというキーワードと、あとは憲法の改悪を許さないという話と、それから、反グローバリゼーション、アメリカに対する毅然とした態度、言ってみれば、若干、反米的な要素というのが入っていて。だから、希望がそういうものを持っていなかったのに比べると、立憲というのはすごく運動足り得るイデオロギーだったのだなという気がしますね」
秋元キャスター
「古市さん、運動と親和性が高かったというのは?」
古市氏
「でも、希望の党はそもそも、たとえば、保守政党を掲げながら、非常に都市型の政党でもありましたよね。満員電車がゼロとか、そんなの、そもそも、たとえば、秋田県とか、岩手県の人からしたらまったく関係がない話ではないですか」
秋元キャスター
「はい」
古市氏
「だから、保守…、希望の党のこの政策を見てみても、そもそも政党として無理があって、都市型政党として革新派でいくか、もしくは保守政党として地方の本当に山間部も含めた人々まで包摂するという自民党型でいくかというとどちらでもなくて。だって、電柱にしても、だって、そもそもないみたいな、田んぼみたいなエリアも当然、日本国なわけですから。この2つの軸というのは無理があったのではないかなという気がしちゃいますね」

『炎上』のメカニズム
竹内キャスター
「ここからはインターネット時代における政治について考えていきます。インターネットの世界で避けて通れないのが『炎上』です。SNSでの失言に対し、非難や中傷の投稿が多く届く状態を指す炎上ということなのですが、津田さん、あらためて炎上の定義というのを?」
古市氏
「経験者ですものね…」
津田氏
「そこに炎上のプロフェッショナルがいるので…」
竹内キャスター
「プロフェッショナル?」
秋元キャスター
「皆さん、結構、炎上されている」
古市氏
「ここの皆さんは、たぶん炎上されている方が多いのではないですかね」
秋元キャスター
「はい」
津田氏
「炎上って何で炎上というのになったのかというと、これはネットスラングなのですけれども、ちょうどブログですよね。だから、ちょうど12、13年ぐらい前、13、14年ぐらい前ですかね、2004年、2005年ぐらいにブログが一般化し始めて、芸能人の人とかも始めて。いろいろな人が情報発信の手段として、ブログが手段としてなっていた時に、そこに対して、ブログって…昔のホームページは双方向ではなかったんですよね、自分で何かしら意見とかを書いたら、でも、それを書いたものに対して、それに対する意見とかが同じページでは見られなかったんですよね。ところが、ブログになったことで何か記事を書きました、記事を書いた下に掲示板のようなコメント欄というのがたくさんつくようになって、あれが仕組みとして整えられたことによって、ちょっと尖った意見、あるいは異論・反論がある意見を誰かが書いた時に、そこにそれを見つけた時に、ネットで話題になって。こんなところでこんな変な意見を書いているヤツがいるぞ、みたいな人が、ドンドン匿名掲示板のノリで、その本人のブログ欄に100個とか、200個とか、否定的な書き込みをする、それで、もう本当にずっと…。それが何で炎上なのかと言うと、これは野球の炎上からきているんですね」
竹内キャスター
「延長?」
津田氏
「いや、野球の炎上で、リリーフピッチャーがリリーフをするために登板するのですけれど、それが打ち込まれちゃって炎上しましたなんて言い方をするではないですか。だから、アレがコメント欄に否定的な意見がバーッときているのがつるべ打ちされているような状況と似ているので、それでコメント欄にそういう否定的な異変がくるのを炎上と評した人がいて、それがドンドン広まっていって、定着して、炎上になった、これが歴史的な流れです」
古市氏
「歴史…」
秋元キャスター
「もともとブログから始まったということですけど、現在はツイッターとかもあるわけで、SNS上だけの発言だけではなくて、リアルな社会での発言というのも結局ツイッターで炎上ということもあるわけですね?」
古市氏
「そうですね。たとえば、現在だって、こうやってテレビ番組で発言したことがネットニュースで書かれて、ネットニュースで一部を切り取られて、ネットでそれが炎上して、それでまた雑誌とか、テレビで取り上げられて、今度は無限サイクルに入ってくる、ということに僕も嵌ったことがあるのですけれども…」
秋元キャスター
「お疲れさまでした」
津田氏
「日常、日常ですよね?」
秋元キャスター
「日常的にある?」
古市氏
「…ただ、とは言え、ネットで、いわゆる炎上に加担する人は、数パーセントとも言われていて、実は多数派ではないですよね。ほとんどの人は別にそういうこともあるかなぐらいにニュースで思っていることをある一部の暇な人というのですか、暇な人がやたらそのことをすごく騒ぎ立てて大袈裟にするということがたぶん起こっていると思うんです。だから、その炎上ということが、別に人間社会でどこにでも起こってきたことで、政治に関して言えば、たとえば、その昔の池田隼人首相の『貧乏人は麦を食ってろ』でしたか、いろいろなことで別に炎上ということが起こってきたわけで、そこである種、人々が社会の結束観と言うか、そこで自分達が同じということを確認するという意味も当然あると思うんですね。でも、一方で思うのは、この炎上ということが、果たしてこの世界を良くしているかと言うと、あまり良くしていない気もするんですね」
秋元キャスター
「うーん…」
古市氏
「ここにいる皆さん、炎上に巻き込まれたことが多いということでしたけれども、それで果たして社会が良くなったかと言うと、別に大して良くもなっていない、議論も進んでいるかと言うと、大して議論も進んでいない。だから、本来はメディアに関しても、政治家に関しても、あまり炎上とかを気にせずに本当は発言するとか、していった方がいいのではないかなということは思いますね」
秋元キャスター
「実際に政治の世界にも、炎上ということが注目されていますよね?」
竹内キャスター
「こちら先月、衆院選に関して2人の政治家の発言がありました。選挙前に希望の党・小池代表から出た『排除いたします』という発言、メディアでもネット上でも繰り返し反復されて、選挙結果に大きな影響を与えたとも言われています。一方で、選挙後、自民党の麻生副総理兼財務大臣による『(衆院選での自民党圧勝について)北朝鮮のおかげ』という発言がありましたが、これはそんなに物議を醸さなかったという」
秋元キャスター
「小池さんほどは?」
竹内キャスター
「はい、そうですね。小池さんは炎上して、麻生さんは炎上しなかったというのはなぜなのですかね?」
佐藤氏
「小池さんの発言には矛盾があるわけです。麻生さんの発言には矛盾がないわけですよ」
竹内キャスター
「矛盾?」
佐藤氏
「小池さんの方からいきますと、排除いたしますと、これは基本的な政策が一致しない人は民進党から合流を希望しても公認は出しません、そういう文脈でおっしゃったわけですが、これは9月29日の発言ですね。ところが、この時に希望の党の政策というのは発表されていないわけです。政策が発表されたのは10月6日です。それから、いわゆる踏み絵なんて言われた、いわゆる政策協定書、これだって10月に入ってから初めてできたわけです。つまり、まだ政策の決まっていない党に入るか、入らないかについて、政策が違う人を排除しますと、これは明らかに言っていることがおかしい。これに対して、麻生さんの発言は『北朝鮮のおかげです』、それは相当皮肉っぽい表現ですが、別に矛盾してはいないですね」
三浦氏
「これは。でも、ちょっと私、誤解があると思っていて。北朝鮮のおかげで…」
佐藤氏
「…ということもあると言ったんです」
三浦氏
「要は、日本海沿岸の県なんかをまわると、そこの人達の安保意識、北朝鮮有事に関する意識が高まったのが北朝鮮のおかげもあると発言しているんです。だから、選挙の大勝にかかっているのではなく、おかげで安保意識が高まったと、もちろん、1本置いて、そこで大勝をと1呼吸をメディアが外しているんですね。だから、私、この2つで思ったのは、ちょっとテレビの自意識過剰ではないかと思っていて、新聞やテレビの…」
秋元キャスター
「はい」
三浦氏
「つまり、『排除いたします』発言では、別に支持は離れていないと思うんですよ。言ってみれば、この時に報道の内容が変わっただけなのです。報道が『排除いたします』発言を散々繰り返すことによって小池さんに対して、あるいは希望の党に対してマイナスな報道をするようになったのであって、あるいは新聞。それは別に本当に民意を動かしたのかがわからないですよ。実は『12のゼロ』の方がよっぽどダメージを与えたのかもしれない。それは実は検証できないです。しかも、私が肌感覚で感じたのは『排除いたします』発言の前後で、本当に動いたのは週刊誌の女性誌ですね。要は、小池さんの支持層というのは50代・60代とかの主婦層であると言われてきましたけれど、彼女達、熱心に小池さんの写真集を買っていた層、が離れたという効果は、判官びいきで小池さんを応援していた人が、実はいじめっ子ではないかという話になって変わった。それはもうワイドショーを重視しているテレビの自意識であって、実はそれではなかった、政策の中身のなさだったと思っているんですね」
津田氏
「それまで主張している、その主張してきたことによって築き上げてきたキャラとの齟齬があるか、ないかということで炎上の割合も違うと思うんです。だから、それは、小池さんはソフトなイメージでやってきたことが突然違うイメージになったから、有権者も混乱したというのが大きかった。別に麻生さんに関して言えば、別に今に始まったことではないですよ。つまり、だから、これは橋下さんとかもそうですけれど、橋下さんとか、石原慎太郎さんとか、要するに、暴言・直言、あるいは本音トーク、そういうので人気を得ている人に関して言えば、むしろもっとやれみたいなところがあるわけです。そういうのが有権者の支持を得られるところもある」
秋元キャスター
「えっ、暴言…」
津田氏
「たとえば、石原慎太郎さんなんて、東日本大震災が起きた時に『東北に対する天罰だ』くらいのことも言っているわけですね。でも、あれはちょっと確かにかなり批判を呼びましたけれども、それによって彼が議員辞職したかと言ったら、そんなこともないわけです。だから、そういう、この人はこういう、要するに、アイツだったら、しょうがないなというキャラ・ポジションを得た人というのは、炎上というのもある種、ものともしないというところにいけるので。そういう意味での受け入れら方というのもあるだろうし、そこには男女のジェンダーの違いというところもあるとは思います」
秋元キャスター
「えっ、普段から結構、麻生さんみたいなキャラクターとか、石原さんみたいなキャラクター、そういう方が得ではないですか?」
津田氏
「そう思います。そうだし、芸能界はそうですよね、だいたい?」
佐藤氏
「それで人を呼べれば。それでウケなかったら話にならないと思いますよ…」
三浦氏
「だから、それはインターネットに依存したり、ワイドショーに依存したりするから、実は自分が弱くなるんです。小池さんはワイドショーに依存していました。従って、ワイドショーが敵にまわった時、小池さんは弱かったんです。あるいはネットに依存している人、たとえば、クリーンなイメージをネットで拡散していた人が、たとえば、そこで自分がクリーンではなかったことが発覚するとすごいダメージでくるわけですね。ただ、麻生さんという方は別にネットにも、ワイドショーにも依存していないでこられた、日本のザ・エリート、2世、3世ですので。そういう意味では、新しく出てきた人はドンドン、メディアに合わせて自分の売り方というのを工夫してきて、その売り方が逆風になることもあるということなのですけれど。たとえば、麻生さんみたいな、いわゆるプリンス的な人であるか、石原さんみたいにすごく個性が確立して、いわゆる実力人気作家として支持を得るかという…、かなり限られたタレントですよね」
秋元キャスター
「古市さん、本人のキャラクターと、それを裏切られた時に、炎上するみたいなことは?」
古市氏
「それはあると思いますけれども。あとこの件に関してはたぶん実際そうだろうなって思った人が、麻生さん発言の方がたぶん多かったと思うんですね」
秋元キャスター
「ふぅん」
古市氏
「本当かどうかは置いておいて、北朝鮮のおかげで自民党が勝ったんだよねと思った人がたぶん一定数いた。あの麻生さんの『武装難民』発言もありましたけれど、アレも、残念なことに、と言いますか、たぶんそうだろうなと思った人がある一定数いたから、そこまで大騒ぎにならずに済んだと思うんですね。だから、一面を支持するというところがたぶんこの麻生発言の、そこまで大事にはならなかったことの1つなのかなということは思いますね」
秋元キャスター
「本当のことを言っているよなとか、そういうことですか?本音みたいな?」
古市氏
「そう。たぶんトランプ現象もそこが似ていて。なかなか皆が言えなかったことをちゃんと本音で彼は喋ってくれたみたいな形で人気を集めているというところもあるのかもしれません」

議員の信頼と『本音』
竹内キャスター
「先月の衆院選で多くの聴衆を集めたのが、自民党や安倍総理の批判も厭わなかった小泉進次郎議員の応援演説でした」
津田氏
「選挙の街頭演説とかのスピーチで、政治家か本音なんか言うわけがないですよ」
秋元キャスター
「そうなのですか?」
津田氏
「その時に、そこに来た中で、その時どう支持を得られるかということを、計算しながら喋っているということなので。だから、そういう意味で言うと、なぜ若者が自民党を支持するのかというのも関係すると思うのですけれども、今回というか、前ですか、今井絵理子議員が昔、ツイートしたことが話題になったんです。ツイッターで『批判なき選挙、批判なき政治をやる』ということを…」
三浦氏
「あははは、そうだ…」
津田氏
「いや、書いて、それが、要するに、すごく政治家としてそれはどうなの?批判なき政治とか、批判なき選挙なんてあり得ないでしょうという総ツッコミ状況、それこそ炎上したのですけれど。でも、あれは、僕はある種の若者の感覚を象徴しているとも思うんですよね。なぜかと言うと、現在の若い人達、僕も大学で教えているのでわかるのですけれども、すごく優しいですよ、優しいし、結構、何でもOKですよね。だから、LGBTもOKだし、モリカケだってOKみたいな、そういうところがあって。ディスカッションとかもすごく苦手で、他人を否定するとか、批判的なもの言いというのをすごく嫌がるんですよね。だから、それが野党での国会論戦、あるいはマスコミというのが嫌いだというのになっていることにつながっていると思っていますし、実際この演説というのはすごく本音を言っているように見えますけれど、その前に相当、野党批判をしているわけですよ。つまり、野党というのは無責任だと、無責任な希望の党、それから、立憲民主も含めて、すごく野党批判をしたうえで…」
古市氏
「それは、そうでしょう」
津田氏
「だけれども、自民党だってこういうところあるよねというふうにして。つまり、ずっと野党批判だけしているとマスコミとか、野党と同じようになっちゃう、でも、そことは違うのだよというのの演出として、こう言っているということだと思いますよ、僕は」
秋元キャスター
「うーん、自分の見え方を、自分プロデュースというのですか、自分がどう見えるかというのを非常に現在の政治家の方達は大事だなと思うのですけれど。三浦さん、どうですか?そのあたりは」
三浦氏
「気を遣っているんですよ。要は、情報社会になってニュースも普通に考えたら偉い論説員が考えた方向で新聞とかもつくっていたのが、ネット発でテレビにきたりということになると、ドンドン民主化されていくわけです。民主化されると結局のところ、我々が昔お茶の間と呼んでいたところの…に対する忖度みたいなものがさらに広がった忖度が行われるわけです。そうすると、政治家というのはキレイごとしか言えなくなってきて、その結果として厳しい判断が求められるものに関して踏み込まなかったり、ドンドン自分の首を絞めていくんです。だから、民主化社会に抗いながら政治家が政策で語れなければいけないのですけれども、政策で語ろうとする態度が日本ではドンドン、ドンドン少なくなってきているんですよ」
津田氏
「それは小選挙区制がそうさせているというところもあるのではないですか?」
三浦氏
「小選挙区制がそういうふうにさせているのかどうかはわからなくて。実は、中選挙区時代には、正直、人の好き嫌いというのがあって、人間関係によって、現在でも中選挙区制のなごりというのは、いわゆる自民党の県連とかに行くと割と皆、仲が悪かったりして、見えてくるわけですよ。その人間関係がある種、政策論争を代替していただけで、政策論争がなかったかもしれない。それはなんとなくエリートの言論が伝わりやすかった、それが選挙のお題目になりやすかっただけで。現在は皆が一応考える権利があるし、発信する権利があるとなっている中で、自民党の議員を育てましょうという時に、では2年生議員がいろいろ不祥事を起こしていますと、どうやって育てますかと言うと、おっしゃるように小選挙区制の影響として自分が政策の勉強をするよりも、どちらかと言うと、派閥のお偉いさんに対して気を遣うという方を優先してしまう。表に向けてはキレイごとしか、ネットとかの影響で言わなくなってくるというのがコンビネーションで、だんだん骨太な政治家が少なくなってきた感じがしますよね」
佐藤氏
「あとアレですよ。政治に関して言えば、建前が形骸化しているというのも重大な問題だと思います。特にこれは左側、リベラルの方に強いわけです。つまり、いつまでたっても安全保障に関する平和主義、特にかなり厳格な絶対平和主義、さらに護憲。これは最近、政府の解散権に関する内閣の権限に制限を与えようとか、知る権利について補充しようということで、ようやく護憲・改憲というのが、保守とリベラルを分ける要素ではなくなってきて、ひょっとしたらリベラル型の改憲というのもあり得るのかなという感じにようやくなってきましたが。基本、国のあり方、基本的なあり方及び…、に関する建前が完全に硬直化してしまって、それがまた70年硬直化したままでやっている。そうしたら形骸化するのは当たり前です。つまり、その建前からまだ脱却できない。となると、この建前に対してアンチテーゼとして出てくる建前もそんなにパワフルなものにはならないと。すると、建前のその本音のフリをしたような建前が出てきただけで、非常に新鮮な印象を与えるけれども、それは実はパフォーマンスでしかないのだと、そういうことではないでしょうかね」
津田氏
「あとは、小泉さんは絶対的に選挙に強いですから、もう何を言っても大丈夫というのがあるというのはありますよね」

作家 佐藤健志氏の提言 『言い訳せずに結果を出す』
佐藤氏
「言い訳せずに結果を出すということなのですが、別にもうネット時代になったから何か政治が本質的に変わるということはないと思っているんです。ただ、ネット時代の特徴というのは本当に情報発信に関する民主化が進みますので、つまらない言い訳とか、ごまかしとかをやるとすぐ突っつかれると。ついでにネットの発達で情報検索がしやすくなっていますから、昔と違うではないかと言って、すぐブーメランだの、炎上だのという話になる。すると、政治は根本に立ち返って、結果を出せないことの言い訳をするのではなくて、ちゃんと結果を出すと。特にこの25年間、日本の政治というのは十分な結果を出してこられなかった、でなかったら、危機だの、国難だの、という話にはなりません。と言うわけで、ネットというある意味、監視機構がついたわけですから、あらためて言い訳せずに結果を出すと、こうあるべきだと思います」

ジャーナリスト 津田大介氏の提言 『判断材料を増やそう』
津田氏
「これは有権者にとってのことですね。判断材料というのが2013年にネット選挙が解禁されて、選挙期間中にこのネットの情報発信ができるわけですよね。今回はそれが本当にうまく機能し始めたなという選挙でもあって。昔って街頭演説ってたまたまそこに遭遇しないと聞けなかったわけですけれども、現在だったらライブでの中継も誰かがしているし、終わったあとに、それこそ党のツイッター、あるいは誰かがあげるユーチューブとかで街頭演説を見て、好きなタイミングで政見放送とか、街頭演説を見ることができる。これは選挙公報とか、マスコミの報道だけだと、ムードに流されて投票してしまうので、この政治家が本当に信頼できるかというのを自分で情報を取ってこられるというのも重要でしょうし。あるいは炎上とかもしますけれど、でも、炎上みたいなこととか、選挙期間中以外のところに炎上した時にどう対応しているのかということ、そういうこともたぶん判断材料になると思うんですよね。昔って、結構、街頭演説とかで、かなり酷いことを言っていたりもしたのが、誰かにアップされるので、結構ちゃんとそういうのの抑止効果にもなっていると思うんです。だから、うまくそういう有権者の判断材料としてネットを活用していくのが政治の質を上げていくうえでは重要かなと思いますね」

国際政治学者 三浦瑠麗氏の提言 『政治家が極端に身奇麗さをアピールする』
三浦氏
「私、提言と言うよりは、現在の現状ということですね。つまり、ネット時代になると、先ほど申し上げたように、情報がドンドン民主化されます。見え方を必要以上に政治家が気にするようになって、セルフプロデュースするようになるんです。そうすると、結局のところ、さらにネットの影響力が高まり…というサイクルに入っていってしまうんですよ。だから、政治家が自立できなくなってきている。つまり、ネットに依存した戦略を立てざるを得なくなってきているというのが現在の問題の現状なのだろうと。それに対する対応策というのはなかなかないのですけれども、国民の皆さんに考えていただきたいのは、政治家に、たとえば、道徳とか、身ぎれいさをドンドン求めていったとしましょう。その果てにあるのは何ですか、と言うと、道徳や身ぎれいさをすごく重視する政治家が、国民にそれを押しつける結果もあるかもしれないので、我が身に結局返ってくるのだよというところを考えていただきたいなと思います」

社会学者 古市憲寿氏の提言 『より生々しい民主主義へ。』
古市氏
「より生々しい民主主義へと書いたのですけれども。近代民主主義が始まって、もうだいぶ経ちますけれども、より本当の意味で民主主義というものがこれからもっと始まっていくと思うんですね。先ほど、本音という話がありましたけれども、むしろ本音が何かと言うよりも政治家はもはやいろいろなことを隠蔽できなくなっていくと思うんです。豊田真由子議員の、あの発言が象徴的ですけれど、いろいろなことが全部赤裸々になっていく中で、政治家は何も隠せない、民衆も本当にその時、その時の気分で投票先を決めていくという形で政治というものがより面白い時代になっていくのではないかなということは思いますね」