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2017年10月27日(金)
日産・神鋼…不正続発 日の丸大企業に何が?

ゲスト

山際大志郎
自由民主党衆議院議員 元経済産業副大臣
町田徹
経済ジャーナリスト
野村修也
中央大学法科大学院教授 弁護士

『日産』『スバル』『神戸製鋼』 日の丸『大企業』に何が?
竹内キャスター
「日本のモノづくりへの信頼が揺らいでいます。日産に続きスバルでも無資格検査が発覚、神戸製鋼も機械部門などの新たな不正疑惑を発表するなど日本の屋台骨とも言える産業で不祥事が相次いでいます。日本の大企業に何が起きているのか、多角的に見ていきたいと思います。日産、スバルで相次いで発覚した無資格検査から見ていきます。日産のリコール届け出数がおよそ120万台、スバルに関しても会見でリコール対象台数がおよそ25万5000台になることを明らかにしました。無資格検査が、どのように行われたのか、その仕組みについてなのですが。まず自動車の検査には型式指定という制度があります。この指定を受けていない車という場合は、完成した自動車を実際に走行する場所の運輸支局に持ち込んで検査を受けなければなりません。ですが型式の指定を受けていれば、メーカーが自社の中で検査をすることができます。ただ、検査はメーカーが認定をする資格を持った人に限られています。今回の日産、スバルでは、この資格のない人が検査をしていたということが問題となっているということです。町田さん、なぜこの完成検査という重要な検査を無資格の人に任せてしまうということになったのでしょうか?」
町田氏
「車の製造段階はすごく複雑な工程がたくさんあるんですよ。それぞれの工程ではかなりキッチリした検査をやっているっていうのは、どこのメーカーも誇りにしているのですけれども。最後のこの完成検査というヤツは、実は検査の中でも割と簡単な検査で、ヘッドランプをつけて、ついたな、OK、OK、ブレーキを踏んで、ブレーキランプついたな、OKと、これぐらいのことをパパッとやっちゃうような検査なものだから、形式だけのものでいいのだという感覚に入ってしまって、それこそ研修中の若い人でもできるよねというニュアンスになっちゃっていたと言うんですね。ところが、動作の上ではそうなのだけれども、このフリップで見ていただければいいのだけれど、これは、実は0回目の車検をやるか、やらないかという話だと思ってほしいんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「普通、3年経ったら、皆、必ず車検受けるでしょう?」
反町キャスター
「やります」
町田氏
「だけども、本当は新車の時から道路を走る以上、車検を通っていなければダメですよ。型式認定があるというのは、大量生産する大きなメーカーだから、型式認定を受けておいて、その型式に合致していれば車検を免除していいですよと。合致しているのかどうかが完成検査です。ところが、できあがっているもの、メーカーではここまでできちゃっているから、自信を持ってつくったから、もう大丈夫だろうと思っているわけ。ところが、これは車検に代わる制度ですから、実は完成検査をやる資格があるか、ないかというのは、どこのだれ兵衛で、この印鑑で証明しますというのまで、全部、国に届けてなければいけないのが本当。だから、それぐらいちゃんとした人がやらないと免除しませんよという話なのに…」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「ここまでは技術的に簡単だから、簡単だと思いこんでしまって、軽く見ていたのではないかというのが、割と一般的な見方だと思います」
反町キャスター
「敢えてちょっとリスクを含んだ言い方になるのですけれども、完成車検査なるものが、意味があるのかどうかという問いかけもやってもいいと思っています?」
町田氏
「正直申し上げて、こんな不祥事がなければもうちょっと実質的にやりましょうよと。アメリカはこういう検査をやっていませんし、ヨーロッパはあるのだけれど、どの程度、メーカーが関与しているかというのはよくわからないですよね」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「だから、そういう意味では、クリアな、簡単な、だけど、実効のあるルールというものに変えましょうよという議論は、こんな不祥事がなければやってもよかったかもしれませんけれども、現在のルールを守っていない人達がルールを変えてくれと言うのは」
反町キャスター
「ああ…、なるほど」
町田氏
「これはもう10年はできないと思いますよ、私は」
反町キャスター
「かえって遠のいちゃった?」
町田氏
「はい」
反町キャスター
「この指摘はいかがですか?」
山際議員
「最終的に1つ1つの部品が確かなものであったとしてもそれを組み合わせて最終的な商品が、製品が、できるとするならば、その最終的な製品がきちんとした性能を発揮できるかどうかという検査は、これはどんな製品であったとしても、これは絶対必要ですよね」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「ですから、何らかの形でこれを検査するということは私は必要だと思います。ただし、それは明確にしておかなければいけなかったのに、実は結構不明確だったよねというのが今回のことで明らかになったんだと思うんです。そもそもこれは道路運送車両法という法律に基づいて、一種、通達のような形でこの検査をやってくださいねと。検査をやるのは認定をされた人にやってくださいねと書いてあるわけで」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「では、認定の基準は何ですかということも決められなければ、言ってみれば、資格と言ってもその国家資格ではないわけですね、それぞれのメーカーが決めているわけですから。非常にルールとしては曖昧なルールであったことは間違いがない。となると、曖昧なルールで、たとえば、今日から、あなた、認定しますと言って、それで認定できるわけですよ、やろうと思えば…」
反町キャスター
「はい」
山際議員
「とすると、その人が訓練を積んでいない人でも認定できるのだったら、その人が見て本当に検査として正しいものなのかというのは、誰がそれを…」
反町キャスター
「そう、そこです」
山際議員
「確かめるんだって言って、難しいではないですか。それはルールとして明確になっていなかったというのは我々、法をつくる側として反省して、何らかのアクションをこれから起こしていかなければいけないなという想いはあります」
反町キャスター
「野村さん、どう感じていますか?」
野村教授
「実質的に、これが本当に審査がなければ、資格がなければ、危険だったのかどうかというのは、別途議論すべき論点はあると思うんですよね」
反町キャスター
「それは別なのだ…」
野村教授
「あると思うんですよね。ただ、もともとその有資格者というのを認めるプロセスの中で、まだ資格がないけどもOJTのような形で、その現場で練習を積んでいる人達というのがある程度いるわけですよね。その人達との線引きというのは、いわばどこで引くべきだったのかというのは論じられるべきだと思うんですよね。だんだん車の台数が増えていきますと、検査が、量が多くなりますよね。そうすれば、ちょっとだいたいできる人も現場にいるのだから、その人達にやらせとけばいいではないかという、ここの部分の、いわば判断、これが現場レベルでちょっと緩んだのだと思うんですね。これを、たとえば、数十年前であれば許されていたのかもしれないのですが、これが、わかりませんけれども、いわゆるだんだん世の中のコンプライアンスというのが…」
反町キャスター
「ああ…、なるほど」
野村教授
「非常に厳格に厳しく見られるようになっていて。昔であれば結構、幅のあるような形で許されていたものがキチッと線引きがなされるようになってきているわけですよね。そういう中で、こういう時代の変化をキチッと見定めたうえで、点検すべきだったのではないかと思うんですよね。本当にちゃんと資格のある人にやらせているのかどうかというのを見極めるタイミングというのは、もうちょっと前の段階にあったのではないかなというような感じはします」
反町キャスター
「なるほど」
竹内キャスター
「先月18日の国の立ち入り検査で、無資格検査が発覚し、29日に日産が不正を発表しました。今月2日には、日産の西川社長が会見をし、謝罪をしました。11日には謝罪後も無資格検査が続いていたと発表しました。さらに19日には、他の3つの工場でも無資格検査が続いていたことも発表となりました。町田さん、なぜ不正発覚からこの発表するまで、ここが11日もかかってしまったのでしょうか?」
町田氏
「そこは、とりあえず体裁を整えるとか…」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「その他の工場は大丈夫かとか、こういう現象でしたということをある程度まとめていかなければいけなかったと思いますので、その10日ぐらいであれば、そんなに一生懸命、隠していたと考えなくてもいいと思います、前の方は。むしろ問題は後ろの方で、不正発覚後も是正されずに続いていたと」
反町キャスター
「日産の中で?」
町田氏
「はい」
反町キャスター
「これは何なのですか?」
町田氏
「こちらは企業の体をなしていないですよね。当然、記者会見をして是正しますと、大変なことをしましたと言って謝っているのに、社長がですよ、現場は知らん顔して続けているわけでしょう。これはもう明らかに企業の体をなしていなくて。これはまた後ほど出てくる神戸製鋼ともちょっと似ているところがあると思うのですけれども、会社の中で大きな2層構造がある、工場と経営陣、あるいは高等学校とか、高等専門学校を出て、一生、工場で、工場である程度、偉くなるけれど、工場で勤めていくような人達の世界と、大卒とか、大学院卒でトップ経営者にのぼりつめていく人達。日本の会社はここが明らかに2層構造になっていて…」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「ここはここで実は普段、すごくいろいろな問題があるのだけれども、かつてはここが日本の強みで…」
反町キャスター
「はい」
町田氏
「ここが海外、特にアメリカと比べると、ここの人達がすごく努力家で、問題があったら自分で解決しちゃうようなエンジニアリングの世界ですよ。なので、工場のことは工場に任せておけと、こちらの人達はヘタなことを言って現場を混乱させてはいけないみたいな、その2層構造ができあがっちゃっていて。逆に今回みたいなことが起こると、上が何か勝手なことを言っているけど、あの検査は大した検査じゃねえんだ、ほっとけ、みたいなね…」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「そういうことになっていなかったかと。同じ自分達の問題として工場が受け止めて、受け止めることができていたかという、そういう2層構造の問題が日本企業の問題としてすごく気になりますよね」
反町キャスター
「たとえば、ある自動車メーカーだと『カイゼン』という言葉があるではないですか?」
町田氏
「はい」
反町キャスター
「あれは…トヨタでいいや、トヨタの、その工場でラインに、生産に携わる人達のアイデアであって、別に本社の人達が…」
町田氏
「だから、社長が考えるアイデアではないですよね」
反町キャスター
「ではない」
町田氏
「だけども、現場の工員さんが、こうやった方がうまくいくよというのを皆が出し合って、ドンドン良くなっていったのでしょう。これはある段階まで強みなのだけれど、ある段階で驕りになるわけですよ」
反町キャスター
「ほう…」
町田氏
「上が何を言ったって、工場の現場をわかっていないヤツが何を勝手なことを言っているのだという。現在みたいに低成長になってきて、ロクに設備投資もしない、工場の現場の課長さんは20年前から課長さんみたいなことをやっていた、そうすると、新しいモノをつくり始めて、プラスの人事評価を受ける特典なんかはないわけですよ。ラインを止めちゃいけない、減点されちゃうからと、そちらの方に関心がいっちゃっているから、多少のトラブルなら全部隠しちゃえと。こういうことが日本の企業で蔓延していないかというのも、減点主義の中で、低成長の中で、これももう1つ日本企業の共通の病根ではないかということをチェックしなければいけない時期にきていますよね」
反町キャスター
「いかがですか?」
山際議員
「1つのものをもって、全てのものを論じるというのは、さすがに乱暴だと思うんです。ですから、これは、他に本当に努力をしている会社がほとんどだと思いますから。もっと言うなら、別に肩を持つわけではありませんけれども、日産やスバルが努力をしていないか、というのは、現場はそうではないと思います。だから、全てに当てはめるのはちょっと乱暴だとは思いますが、時代がすごい勢いで動いているのは事実ですよね」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「そうすると、時代の変化に対応できる現場に変えていく。おそらくそれは、おっしゃったように、2層構造になっているようなものでは乗り切れない。特に国際社会で競争しているところは、2層構造では乗り切れないというのは事実ですから。風通しをどう良くするかということも含めて、そこをつくりかえていく努力というのは各社、もう既にやっていると思いますけれども、さらにそれはやらなければいけないということなのかなと思います」
竹内キャスター
「続いてはスバルの経緯について見ていきます。今月3日、無資格検査が発覚しました。今日、社長は無資格検査が30年以上前から行われていたと発表しました。でも、町田さん、なぜ日産の不祥事が発覚したあとも、スバルでこういった無資格検査が続いてしまっていたのでしょうか?」
町田氏
「これは冒頭少しお話しましたけれども、これから完成検査員になってほしい人達の研修過程で一部、完成検査をやらせていると、まさにOJT的という言葉がありましたけれども、オン・ザ・ジョブ・トレーニングとしてやっていると。そういう仕組みだったというのが、30年以上前から変わっていないから、30年以上前から行われていたと考えるしかないという発表をしているんですね」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「だから、本当にやっていたかどうかはわからないのですけれども、だけど、育てる過程では、やらせてみなければいけない部分がありますよねということを言っているわけです、これは。ただ、それが無資格だっていう形でスバル自身が思ったということは、実はちゃんとチェックしているはずの完成検査員が見ていない工程が何かあったとか、見ていない時間があったとか、何か完全にチェックしていましたと言えない何かがあるから、こういう発表をしたのかなと、今日の発表を聞いて私は思いましたけれども。そこはまだ細かいところは明らかにされていませんから、まだ推測段階ですけれども、そうではないかなと思います」
反町キャスター
「スバルの30年の話とか、日産のチェックの問題というのは、トップに上がっていなかったという、ここの部分というのは、先ほど言われた、生産現場と経営の間の断絶みたいな、これが情報を上げさせない壁になっていたということでよろしいですか?」
町田氏
「上に上げるほどの情報ではない程度が一生懸命隠しているほどの悪意があったかどうかもわからないようなレベルだったのではないかなという気がします」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「ただですよ、経営者はそれで合格かと言うとダメですね。経営者は自分の会社のコアな部分、この2つの会社で言えば、車の生産現場である工場の、強み、弱みを自分で一生懸命、努力をして調べて把握していなければ、経営者失格です。これはどんな会社でも、たとえば、営業の弱い会社なら、自分の会社の営業が、何が弱いのか、これを一生懸命見つめて、どういう手を打ってどうするかと考えるのが経営者ですから。そこにこういう穴が開いているのに気づいていなかった経営者は、免罪はされません。経営者は失格です、それは」
反町キャスター
「ただ、日産の例で言えば、自動運転の技術とか、電池自動車の技術、いろいろな新機軸をドンドン打ってきているわけではないですか。その部分というのは、経営者のリーダーシップの部分ですよね?」
町田氏
「はい、ありますね」
反町キャスター
「要するに、経営者はこういうことをやりたいということで、現場に下ろして、こういうものを開発しなさい、つくりなさいというのはある。でも、下から上に上がってこない。この部分の、双方向になっていない部分というのは、これはどう見たらいいのですか?」
町田氏
「企業活動は総合力ですから。反町さんがおっしゃるような、新しい面白いものをつくって、新製品・新技術を投入してというのも経営ですけれど、それを現場でキチッとつくりあげて欠陥がないとか、ルールに則ってつくるということも経営だし。それから、それをお客様にその円滑に販売して届けていくという流通も維持していくというのも経営ですから。その全体が見えないと、経営ができているとは言わないわけですね」
反町キャスター
「うん。山際さん、今回の日産・スバルの自動車の件に関しては、政府・自民党、政府・与党の間では調査・報告、どのようなものを皆さんは受けているのですか?」
山際議員
「まずこの検査そのものは国土交通省所管ですね」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「ですから、国土交通省がきちんと各社、この完成検査をやっているかということについて、各社それぞれに調べて、報告を1か月以内にするようにというのは、もう出ていますね。それに従ってドンドン報告が上がってきて、今日はスバルがああいうことになりましたという報告になったわけです」
反町キャスター
「はい」
山際議員
「それとは別に、たとえば、経済産業省などは、日産が現在、工場が止まっていますね。そのことによって実車を販売している販売店はものが売れなくなっている」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「あるいはサプライヤーが部品を納入するのが滞っているということ。要するに、周辺にいろいろな影響が出るわけです。その影響がどれぐらい大きいかということは、きちんと注意深く調べたうえで、たとえば、セーフティーネット貸付のような融資、そういうものが…」
反町キャスター
「そういう話になっているのですか…」
山際議員
「一時的に仮に必要ならば、そういう話にはまだなっていませんが、仮に必要なら、そういうことを準備するというようなことも、当然やっていかなければいけないと」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「だから、あらゆる意味で、それはちゃんとアンテナを張ってサポートできる態勢はとっているのだと思います」
竹内キャスター
「神戸製鋼所で発覚した主な不正なのですが。今月8日にアルミなどの強度データ改ざんが発覚、その後、11日には液晶部品向け合金、さらに13日には銅や本業の鉄鋼分野、昨日も機械部門などでデータの改ざんや検査が行われていなかった、などということがありました。なぜこのような不正が行われてしまったのかというところを見ていきますと、10月8日の会見では、想定される不正の原因として3つ問題をあげています。1つ目が、生産技術・設備の不足、これによって求められる品質とズレが生じていたという問題。2つ目が、品質管理、さらに監査する機能の不足。3つ目が品質に関するコンプライアンス意識の問題ということなのですが。町田さん、この分析はどう見ていますか?」
町田氏
「それぞれそういうことはあると思いますけれども、それだけでこれだけの広い分野で30年も40年も続いていたと言われるようなことにはならないので、もっと根本的な問題があるのではないですかということも考えなければいけないでしょう」
反町キャスター
「何ですか、それは?」
町田氏
「要するに、バレなければ、やっちゃえばいい、バレなければいいと、ちょっとぐらい足りないぐらいなら大した問題にならないということが、すごく早い段階からこの会社にはびこっていたのではないかと疑わざるを得ないですよね」
反町キャスター
「もともと鉄鋼業界全体にそういう体質があるという意味で言っているのですか?」
町田氏
「10年前に、実はあまり皆さん、おっしゃらないですけれども、鉄鋼業界全体で建材用とかの油用のパイプのようなもので、強度不足は問題になっているんですよ」
反町キャスター
「ほう…」
町田氏
「それで、その時に相当反省しましたというのが、あとで出てくるでしょうけど、鉄鋼大手と言われる各社の対応で、この話が最初に出た時、えっ?まだ反省してなかったの?あの時、私達、懲りたよねというのが鉄鋼大手の反応でしたよね」
反町キャスター
「他社の?」
町田氏
「他社の」
反町キャスター
「それは、要するに、10年前の問題をいかに反省材料にしたか、しないかで、今回の違いが出た?」
町田氏
「だから、もしこの後、他の鉄鋼大手で出てきたら、10年前に反省しなかったのが神戸製鋼だけではないということになりますから。ちょっと断言していいのか、わかりませんけれど。現状を見ている限りだと10年前にバレるのですから、はるか昔からやっていて、10年前にバレて、他はやめたと言っている。やめてなくて、すごく幅広い分野で出てきちゃった。たとえば、最初に発覚したアルミは、実は再編に乗り遅れた会社なんです、神戸製鋼所というのは」
反町キャスター
「ほう」
町田氏
「上は新日本製鐵と住友金属工業が合併して新日鐵住金になっている。川崎製鉄、NKK、日本鋼管と川崎製鉄が合併してJFEになっている。この2つがくっついたことで、5位から3位に上がっちゃったのだけれども、圧倒的に弱い3位ですから、高炉会社・鉄鋼会社としては生きていけないから、多角化をすると言っていた会社ですね。最初に問題が発覚したアルミは、多角化分野の1番新しい分野の1番がんばっている部署だから。このようなお話、生産技術や設備が不足して品質のズレではないかとか、管理・機能の不足ではないかとか、コンプライアンス意識だとか、新しい部署だからこそあるのではないかと思われたわけですよ。ところが、その後、本業と言われている鉄鋼製品でも出てきました…」
反町キャスター
「うん」
町田氏
「この会社は実は、だから、多角化3本柱になっているのですけれども、素材というのはもともと大きなところで、素材の中で1番大黒柱が鉄鋼、あるいは特殊鋼というところで、アルミや銅があるわけですよ。アルミや銅から出たからこういう話だったけど、鉄に至った段階で、この会社の本質ですよね、もはや。さらにもう1つの機械、もう1つの柱である機械分野、建設機械のところでも出てきていますから。そうすると、もう完全にこの会社の体質と言わざるを得ないですね。残っている多角部門、多角部門は発電だけなのですけれど。そうすると、これだけ広い分野でやっていたら、この会社のそのものだと、体質そのものだと考えざるを得ないでしょう」
反町キャスター
「神戸製鋼グループとしてと、そういう意味で言っているのですか?」
町田氏
「グループとして、もう…」
反町キャスター
「経営者が当然、子会社に行ったり、人事交流があったりするわけで…」
町田氏
「はい」
反町キャスター
「それを20年、30年かけて、そういう、言われたような問題点が徐々にグループ全体に広がっていったのではないかと、こういう意味で言っている?」
町田氏
「そうですね。ずっと見逃してきたから、ちょっとぐらい足りないぐらいなら、このまま出していても問題にはならないと。圧倒的に足りなくてすぐ壊れるようなレベルではないわけですよ。だけれども、たとえば、JIS(日本工業規格)基準という日本の信頼の根幹になっているような工業規格に上まわっているけれど、社内ルールのここにいっていないから、改竄してこのへんにあるのを、ここを改竄して、ここは、だから、違反にはならないと思っていた、みたいな説明になるわけですね。だけど、社内ルール、ちょっと足りないぐらいなら、JIS基準も超えているから、事故なんかにならないでしょうと、いいじゃない、これぐらい、という体質が、この会社にずっとあったのではないかと思わざるを得ない状況に入ってきちゃっているわけです」
野村教授
「これは出てきていますように、たとえ10年前に何か問題があったと言っても、その時点でこの会社はそこから戻れないような体質になっていた会社と見えるんですよね。つまり、本当に会社の根っこの部分から、こう根本的に立て直していくということをやらなければ直せないほど、いろいろな分野にそれが蔓延してしまっているという状況ですよね。そうなると、これ自体は本当に会社を根本から立て直すという覚悟をもって、会社をもう1回、1からスタートしていくという状況にしないと、直らないですよね。要するに、簡単に言えば、ちょっとニキビが出たので、そこに軟膏を塗りますというような対応策ではなくて、なぜニキビが出ているのかというところの体質の根本的なところまで全部見極めて、そこから外科的な手術をしなければいけないような状況に陥っているというふうな会社だと思います」
反町キャスター
「もう1つの、分析を…」
町田氏
「はい」
反町キャスター
「…見ていくうえでのキーワード『トクサイ(特別採用)』という言葉があるのですが。これはどういう言葉なのですか?」
町田氏
「これの話を先にしますと、特別採用、まさに書いてあるのの短縮系『トクサイ』と言っているのですけれども。要するに、お願いして決めてあった、お客さんと合意してあった寸法に合わないとか、強度に合わないときに、安くして、ちょっと、すみません、言われていたより短いのですけれども、使えるでしょう、安く引きとってくれませんかというので、8掛けとか、7掛けとか、6掛けで、寸法に合わないけれども…」
反町キャスター
「アウトレット?」
町田氏
「そう、アウトレット価格であげますよと」
反町キャスター
「ちょっと品質は悪いけれども、安く…」
町田氏
「基本は、日本のこの種の素材産業の製品というのはオーバースペックだという前提があって…」
反町キャスター
「ああ…」
町田氏
「それぐらいならなんとか使えるよねという時は、実は使う側も高い部品ばかり使っていると大変ですから、コストカットしたいですから…」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「まあ、いいや、使ってあげましょうということが、これは善意の使える範囲内で一般的にはあるんです。一般的に日本の素材メーカーとそれを使うメーカーとの間で」
反町キャスター
「はい」
町田氏
「神戸製鋼の場合はそれを、寸法に足りませんでした、強度が足りませんでしたっていうことを言わずに、そのまま出しちゃっていたのではないですか、それがこういう強度偽装を本格的にしていった理由ではないですかと、原点で、先ほど申し上げたような2層構造みたいなものがもう1度出てくるのですけれども、時々、将来社長になる、取締役になる人達が、学校を出たての頃は研修と称して工場に来たりするわけですよ。そういう人達が中途半端に仕事を勉強する段階で、発注書なんかを書いてみたりすると、寸法を間違えたとか、強度不足だということが起きるわけ」
反町キャスター
「…なるほど」
町田氏
「起きるわけ。その時に、クビになるかと、深刻に思うこともあるかもしれないけれども、この会社の場合、意外とそれが起きないわけですよ。なぜか…」
反町キャスター
「神鋼は優しい会社なの?」
町田氏
「黙って、このトクサイをやっちゃうから…」
反町キャスター
「えっ!?」
町田氏
「事なきを得たということがあったのではないかということですよ」
反町キャスター
「なるほど」
町田氏
「そうやって偉くなった人達は見て見ぬふりをするわけです」
反町キャスター
「はあ…」
町田氏
「工場のことは工場に任せておけと、うまくやってくれると」
反町キャスター
「うん」
町田氏
「それがここまで悪どいかどうかよくわからないけれど、もしかしたらちゃんとトクサイのルールに則って処分してくれて、事なきを得ていると思っているかもしれないけれども、そういうことが放置されてきて、情報が遮断されて、ガバナンス、企業統治が届かないという状況が構造的に放置されていたとしか、これだけの部署で全部起きると、考えられないです」
反町キャスター
「町田さん、亜細亜大学の後藤先生に我々話を聞いて…」
町田氏
「はい」
反町キャスター
「こういう話を聞いているんです。『40年前にある一部分で始まった不正が、ここ10年ぐらいの技術者不足や経営の多角化で大きく広がったのではないか』と。先ほどの町田さんの話と重なる部分が多いのですけれど、この見方と、先ほどの『トクサイ』、何十年もかけてこういうカルチャーの企業が今になって表面化していると、こういう理解でよろしいのですか?」
町田氏
「あり得ると思います。これも証拠に基づいてこうだということをおっしゃっているわけではたぶんなくて、この方、新聞記者出身ですから、20年前も、10年前も、鉄鋼業を取材してきた記者出身の人ですから、取材していた中でこういう節があるということを仮定の問題としておっしゃっているのだと思うんです。その可能性は私も否定できないとは思います。ただ、本当に10年ぐらいのところでどれぐらい広がったのかはわからなくて、まさにそのアルミとか、銅とか、多角化分野ではあったかもしれないですけれども、だけど、鉄で引き続き構造的に残っているのを見ると、でも、ある一部分なんて言えるのですかというところとか」
反町キャスター
「そこから広がっていった?」
町田氏
「もともと相当広く広がっていたのではないですかと。さらに加速をしたのではないですかとか。ちょっと、だから、そのへんは数字を持ってこないと、こういうふうに言っていいのかどうかは…」
反町キャスター
「わからない?断言できない?」
町田氏
「ええ」
野村教授
「ちょっと、町田さんの先ほどのご説明というのは、私の理解であっているのかどうかなのですけれども、本来ならば…」
反町キャスター
「『トクサイ』のところ?」
野村教授
「そうそう。本来ならばアウトレットで品質が悪いもののはずなのだけれども、結構もともと高いスペックだから、これでも何と言うことなく問題のないものだと。ですから、我々、たとえば、アウトレットモールで商品を買う時に見た目どこがアウトレットなのだろうと思うようなものが…」
反町キャスター
「わからないです」
野村教授
「…たくさんあると。それをアウトレットではないですと、要するに、これは正しい品質のものですと言って出してしまっていたという、そういうご理解ですか?」
町田氏
「そういうことだと思いますよ」
野村教授
「ああ、なるほど…」
町田氏
「そういう悪用の仕方が…。逆に言うと、アウトレット製品でも、使い道がある製品が意外とたくさんあったから、逆にその出す側からすると、多少足りなくても十分使えるんだよね、使用に耐えるんだよね、わざわざ自分達が白状することないよねという話だったのではないですかということですね」
野村教授
「そうすると、結局そのやり方としてはデータを偽装するしかないということになるということですかね?」
反町キャスター
「山際さん、今回の、この神戸製鋼の問題というのは、神戸製鋼自体の被害、ないしは関連業界やら何やらかんやらも全部含めての産業全体のダメージ、どんなふうになると、感じになっているのですか?」
山際議員
「これは正直申し上げて、予断を持って申し上げられない段階だと思います。町田さんがおっしゃったようにかなり品質の高いものをつくっているメーカーであることは間違いがないです。ですから、つき合って最終製品をつくっている会社は安全性に問題がないと言っている会社が8割と言われています。だから、すなわちオーバースペックのモノは少しスペックが足りなかったとしても、製品としては何ら性能に問題がないということを言っている人が8割です。だけど、それが本当に確かなのかということはこれからしっかり見ていかなければいけないのだろうと思います。当然それを調べるのにはコストがかかります。コストは誰が負担するのですかという問題も出てくると思います。また、決定的に本当に品質としてこれは機能しないというようなものが仮に1つでも見つかった場合には、それは、たとえば、それが宇宙のものであるとか…」
反町キャスター
「はい、そうですよね」
山際議員
「あるいは航空機であるとか、そういう本当に人間の命に即、関わってしまうもので仮に出た時には、それはすごく大きな話になりますね。ちょっと全体がどうなのかということが現在の段階ではまだわかっていない…」
反町キャスター
「なるほど」
山際議員
「…ので、予断を持ってお話するわけにはいかないのだろうという気はします」
竹内キャスター
「最近では相次ぐ不祥事の防止と、企業に成長を促すという観点から、企業統治、コーポレートガバナンスの強化が安倍政権の成長戦略にも盛り込まれています。こうした流れを受け、2015年には東証がコーポレートガバナンス・コードという上場企業が守るべき企業統治の指針を出しました。それがこちらなのですが、上場企業に独立した社外取締役を2人以上置くこと、さらに、株主との対話を進めることなどを求めるというものなのですが。野村さん、これはいったいどういった役割のあるものなのですか?」
野村教授
「日本の場合は、どうしても不祥事が起こるとガバナンスを強化と、こういう言い方をしてきたのですが、ちょっと考え方が逆でして。基本的には、企業の経営を成長させるために、コーポレートガバナンスというのを考えていくというのが基本ですよね。ですから、たとえば、経営者がのんびりとしているのだったら、社外の取締役は、もっと経営をしっかりやらなければダメだとか、こういう目標を立てた方がいいとか、あるいは経営者がしがらみの中から本来やるべきことをやらずにいるのだったら、背中を押して、私がリスクをとってあげますよという形で社外取締役が関与する、これが本来の姿です。他方で社外取締役は、言いましたように、しがらみがありませんから、不祥事を見つけた時に1番強く指摘することができる人でもあるわけですね。さらには机を叩いて、こんなような会社だったらもうやっていられないからとプレッシャーをかけることもできると。そういう期待感から、この独立した社外取締役の設置が促されているということですよね。1番大事なことは、アクセルを思いっきり踏めば、リスクに対する感覚というのは鋭くなるんですよね」
反町キャスター
「はあ」
野村教授
「アクセルを一生懸命踏めば、ここに石ころがあったら車が転倒するかもしれないと思いますでしょう?」
竹内キャスター
「はい」
野村教授
「日本はどちらかと言うと、こちらのアクセルが弱いですよね。ゆっくりエンジンブレーキで進んでいるような会社なわけですよ。こういう会社ですと逆にリスク管理も緩くなってしまうというところがあるんですね。だから、それにも関わらず、ゆっくり走っている会社に対してドンドン不祥事防止しろとか、なんとかしろ、コンプライアンスやれと、こういうことばっかりやってきたというのが、日本の生産性を上げずに、しかも、リスク管理もしっかりやらないという感じの会社になっていたわけです。だから、本当はアクセルを思いっきり踏んで、日本の企業が本当に成長を目指していくと、おそろしいではないですか?」
反町キャスター
「うん」
野村教授
「目の前に石ころがあったら転倒するかもしれないと思うので、リスク感覚が研ぎ澄まされて、それに対する対応策をしっかりやっていくという会社になるはずですが。そこがまったく日本のところは、描けていないというのが現状だと思うんですよね」
反町キャスター
「そうすると、コーポレートガバナンス的に言うと、現在、日本企業はオーバースペックなのですか?アクセルを踏み込んでもいないのに、システムだけが先にできちゃっている?」
野村教授
「そうです。完全にエンジンブレーキ型です。前に進もうと思ってもちょっと待ってくださいと、その手続きをしてくださいと、書類出してください、そういう話ですから、ビューンとはいかないわけです。本当はすごくアクセルを踏んで、前に進んでいく、F1のように進みながら、すごい強いブレーキを載せるというのが本来のガバナンスの姿なわけです。それを何か不祥事があるとブレーキばかりが立派になっていくわけです。ですから、たとえば、監査役を置きなさいとか、何とかしなさい、こういうことがドンドン出てくるという形になるのですが、それはやや本末転倒で、キッチリと前に進む、推進力を持った会社でありながらブレーキを強化していくというやり方にしないと過剰コンプライアンスとか、あるいは過剰ガバナンスになってしまうということになるのだと思います」
反町キャスター
「神戸製鋼の今回のケースというのはコーポレートガバナンス的にいうと、そこに問題はあったのですか?それともコーポレートガバナンス的には問題はなくて、ただ単に経営者の文化の問題とか?」
野村教授
「うん」
反町キャスター
「そういう形で片づける話なのですか?」
野村教授
「その文化の問題をうち砕いていくのがガバナンスなわけです」
反町キャスター
「なるほど」
野村教授
「つまり、会社というのは長年やっていきますと、皆で歴史もありますから、善いこともたくさん積み上がっていくわけですね。善い会社であるからこそ、皆が、それが好きだ。でも、その中には必ず垢のように溜まってきている、さまざまな問題というのがあるわけです。これを、パンドラの箱を開ける人がいないと、それはいつまでも、いつまでも温存されていくわけですよね。これを開けるのをどうやっていくのかということです。本来は役員の人達が自分達でガンガンこの筋肉質のガバナンスをつくっていくことが大事なわけで。何だ、そこは、大丈夫なのかと他の部署にも厳しく目を向けて機能していく、これが本来のガバナンスですから。そうやっていきさえすればいいのですが、日本的な企業はなかなかそうは難しいので。そういう時に社外取締役の口を借りて、そこの人にちょっと言ってもらうと、そこから穴が開いて、大きな変化に結びついていくという可能性もあるわけですよね」
反町キャスター
「なるほど」
野村教授
「社外者というのは、ほとんど会社のことをわからない人ですから、そんなに役に立つ人ではないわけです。ただ、1番良いのは、仮に社長が始めたビジネスでも、ダメなものにはダメと言えるということですよね」
反町キャスター
「うん」
野村教授
「社長が始めたビジネスに、他の役員はダメとは言わないですよ。いわゆる忖度が働きますから。ですから、そういう意味では、社外取締役の人達などを導入することによって、根本的に会社の体質を見直しましょうとかということを言っていけるような会社にしていくということが必要ですよね」
反町キャスター
「うーん、ちょっと失礼な質問になっちゃうかな?2人とも社外取締役を務めているので、ぶっちゃけた話をすると僕はある方から、それは企業のトップをやっていた人ですよ…」
野村教授
「はい」
反町キャスター
「社外取締役というのは株の持ち合いに代わる人の持ち合いなのだから」
野村教授
「うん」
反町キャスター
「俺の言うことを聞いてくれる人が1番いいのだよと言われたのですが、その人はアメリカのトップ企業の人からそういうふうにアドバイスを受けたと言うのですけれども、これは嘘ですか?」
野村教授
「いや、アメリカも実は社外取締役はお友達であるケースもあります」
反町キャスター
「うん」
野村教授
「ただ、本当に企業の成長をはかっていこうとか、あるいは不祥事を防止しようと思ったら1番自分にとって耳障りなことを言ってくれる人を置かないと、特に日本みたいに、成長を遂げてきた社会や会社の場合には危ないですよ」
反町キャスター
「なるほど」
野村教授
「ええ。ですから、まさに自分が代表訴訟リスクを負わないようにしたいと思ったら、1番、見つけてくれて、厳しく言ってくれて、変えてくれる人を置かないと危ないと思います。ですから、むしろ日本の企業はこれだけ大企業になって、立派な会社がたくさんある中で、なかなか成長しないのであれば、アクセルを一生懸命踏んでくれることを、背中を押してくれる人も必要ですし。この世の中、会社の中に蔓延している、そういった不祥事みたいなものにフタを開けてくれる人を置かないともうやっていけないという時代になってきているのだと私は思います」
反町キャスター
「神戸製鋼、アルミも鉄も建設機械も全部こういう状況が広がっていたということになると、政治家としてはなかなか言いにくいかな、この会社、今後どうなるのですか?」
山際議員
「いや、ですから、予断を持ってはちょっと申し上げられませんが、当然ですけれども、鉄というのは産業の基ですよね」
反町キャスター
「はい」
山際議員
「だから、およそ全ての部分に関わっていることは間違いない。その大元の元の部分で、その不正が行われたことは間違いないのでしょうが、不正の程度がどれぐらいかということ、それがわかっていないわけです。ですから、必要な基準をクリアしたうえでの不正だとすれば、たぶん安全性には何の問題もないということで終わってしまうのでしょうが、そうでない部分の事例ということも出始めているというとになると、そういうのが1つでも本当に直接、我々の国民の命に関わるようなものが出てきた時には、それは立っていられなくなるというのは、どの会社でも同じだと思うんです」
反町キャスター
「町田さん、どう感じますか?」
町田氏
「今期、大変な経営危機になるというようなことは考えないでいいと思います。2期連続で赤字を出していて、プラスにしたいと言ってがんばっている時だったので、この不祥事が猛烈に期間収益に厳しいことになるのは事実です。品質が足りないものを交換するコスト、それから、それによって出た損害を賠償しろというコスト、その結果、ここの製品はもう買わないという、売上げの方が落ちる顧客離れ、さらにはアメリカの司法機関が、関心を持って調査に入っていますから、これに対して罰金だとか、制裁金だとかいう問題もあり得ますし。現実にエアバッグのタカタというのはそれが最後の決定打になって、破綻に追い込まれるわけですから。そういった意味では、かなり諸々ありますけれども、残り半年かそこらですから、この期、いきなり経営破綻とか、そういうことはおそらく考えないでも、歴史のある会社で内部留保もたくさんありますから、大丈夫だと思います。ただ、この状況を2年、3年、信頼回復できずにこの状況でバタバタしていくようであれば、これは経営危機という言葉が、その4文字が浮かんでくる事態になってもおかしくないです」
反町キャスター
「内部留保がまだそれなりにあるということは当面、たとえば、再生法みたいな形で経営陣の刷新、ないしは政府の公的支援が入るとか、そういう状況にはまだ暫くならないだろうと?」
町田氏
「2年から3年の間ぐらいは問題ないと思いますね。ただ、問題は、だから、その時に今度雇用の問題だからと言って、政府は当然、国策救済的な、東京電力だとか、東芝だとか、ということで、いろいろなこと、必ずしもお金を出したわけではないですけれど、どの部分を売って、どの部分を解体してみたいな、ご指導までなさったことまで含めて…」
反町キャスター
「ありました」
町田氏
「いろいろな形で政府が介入の誘惑にかられる可能性はかなりあるでしょうね」
反町キャスター
「介入の誘惑、かられていますか?山際さん?」
山際議員
「いや、もちろん、私はかられていないのですが。たとえば、本当に仮定の話ですけれども、もしそのようなことになった時、外為法に引っかかるか、引っかからないかみたいな話は、我々はきちんとそういうものは最初から考えておかないといけないです」
反町キャスター
「それは買収相手が国内か、国外かみたいなことも含めてと、こういう議論になってくるんですか?」
山際議員
「ええ。仮の話です、そういうことは現在まだ考えていませんが…」
町田氏
「だから、防衛整備品が現実に、この会社も素材の部分ではあるわけですよ」
反町キャスター
「はあ…」
町田氏
「従って、そこまでお考えになっていて、いざとなったら、いや別に具体的な話を山際さん達がされているとは私も思いません、そんな状況にはないから。だけど、いざという時があれば、それを理由に国策で介入して支えるということが大義名分は成り立つよねということは既にお気づきになっているということですね」
反町キャスター
「東芝の時には、半導体がどうこうとか、言われましたですよね?」
町田氏
「おっしゃる通りです。これも防衛装備品ですね」
反町キャスター
「そういう意味において、神戸製鋼の鉄、ないしは金属系のモノというのは、そんなに日本の防衛産業の根本を支える…、だって、新日鐵住金とか他の企業からいくらでも調達できるもの、そういうものでもない?その技術が流出することで、日本の国益を損なうのですか?」
町田氏
「防衛装備品であれば、そういう拡大解釈も含めて、言われてしまって、そんなのなくなってもいいのだという理屈はなかなか通らなくなりますよね。ただ、もしそうだとしたら、東京電力型の会社そのものを支えるみたいなやり方ではなくて、その部門だけを守りたいという、東芝型の解体に基づきながら、国が守りたいものを残していくための支援策という形の、その支援が考えられますよね。つまり、神戸製鋼で言えば、その3つの大きな塊があって、1つは防衛装備品がたっぷりある素材であるとか、それから、機械、建設機械の部門です。あと発電です。1番儲かっていて、1番将来性があると思われていて、1番売りやすいのは発電ですから。防衛整備品のあるところを抱えて活かすために、発電を切り離せとか。東芝を例にとるなら、そういうご指導を政府がなさっても、不思議はないのではないかなと思います」
反町キャスター
「山際さん、ちょっと嫌な質問ですけれども、ここは、安倍さんが就職していた会社です。この会社に対して政府がどのくらい、どういう対応をするのかというのは、普通に対応しても悪くとりたい人達は悪くとることができるケースになりかねない。非常に慎重な対応が求められると思うのですけれども、どう感じますか?」
山際議員
「現段階において、やっていただかなくてはいけないことは、事実が何なのかということを全て詳らかにしていただくということですね。それが第1ですから。経営がどうのという話はまったく現在、政府として考えていないと思います。確認したわけではありませんが、いないと思います。ですから、現段階において先のことは正直申し上げて、政府は何も考えていないと思います。ただ、可能性としてどうなのかというご質問だったから、おそらく可能性としては、こういうこともあるし、ああいうこともあるのではないですかとお話が出ただけで。現在、私達がやらなくてはいけないことは、まさにこの神戸製鋼という会社がどういうことをやってきたのかということを全て出していただく、こういうことでいいのではないでしょうか、現在のところは」
町田氏
「そんなに遅くはなく、日本のお役人というのは優秀で。東芝の場合、粉飾決算問題にケリがつき、メディカル売却の決まった瞬間、次、メモリを売れという指導を昨年の3月の段階で東芝に言っていますね、指導が。それは問題だと思ってから動いたら買い叩かれますから、速く動けというアドバイスは、むしろアドバイスとしても実はあり得る話で、陰謀めいた話ではないかもしれないです」
反町キャスター
「なるほど。それは結果的に、神鋼のためには1番いい可能性?」
町田氏
「高く売り抜ける可能性がありますから」
反町キャスター
「競わせる前に売り抜けろと、そういう意味ですよね?」
町田氏
「はい」

山際大志郎 自由民主党衆議院議員の提言 『透明性と危機管理』
山際議員
「日本企業というのか、今回の件に関してですけれど、問題だったのは現場と経営陣との間での風通し、情報のやりとりが足りなかったということと、外から見た時の透明性が圧倒的に足りないということがあります。さらにリスクマネージメントの部分での初動をかなり間違えた部分があると思います。これからの経営というものは、透明性と危機管理というものをしっかり持たないと乗り切れないということだと思います」

経済ジャーナリスト 町田徹氏の提言 『順法精神』
町田氏
「順法精神と書きました。透明性と危機管理、山際さんがおっしゃることはもちろん、大切なのですが、現在起きていることはそれ以前の法律もちゃんと守らないみたいなレベルですから。そこぐらいはやらないと、企業は成り立っていきません。キチッと守ってくださいということだと思います」