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2017年9月26日(火)
総選挙の争点に急浮上 消費増税の使途を問う

ゲスト

高橋洋一
嘉悦大学ビジネス創造学部教授
駒村康平
慶應義塾大学経済学部教授
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
末冨芳
日本大学文理学部教授

財政健全化か? 社会保障か? 消費増税分使途見直しの是非
秋元キャスター
「昨日、安倍総理は解散表明会見で全世代型の社会保障制度に転換するため、消費税の引き上げ分の使い道を変更する方針を表明しました。そこで、社会保障や教育、財政の専門家を迎え、その是非について検証していきます。昨日、安倍総理は会見を開き、消費税引き上げ分の使い道を変更する意向を表明しました。その会見のポイントがこちらです。消費税の使い道を全世代型社会保障に転換するとし、具体的には幼児教育や高等教育の無償化、待機児童と介護の受け皿整備などを挙げまして、2兆円規模の新たな政策を実施するとしました。プライマリーバランス黒字化の2020年度達成は困難としつつ、具体的な計画を策定していくとしています。この消費税の使い道についてですけれども、そもそも現行案ではこのようになっていました。消費税を8%から10%に増税をした際の増収分5兆円について、そのうち2割を社会保障の充実に充てて、残りの8割は国の借金返済に充てるとしていたのですが。それを社会保障の充実の分はそのままに国の借金返済に充てる予定だった分から、幼児教育の無償化など教育に充てる部分をとるというのが、今回の総理の見直し案ということなのですけれども。土居さん、この消費税引き上げ分の使い道変更について、どのように考えていますか?」
土居教授
「敢えて消費税を10%にまで上げるということを明言されたうえでの見直しということなので、まずは10%に上げるということをおっしゃったという点では評価したいと思います。ただ、もう少し、見直すには、その前にやることがあったのではないかと。無駄遣いがないのかということはよく確認をする必要があって。しかも、使途を拡大するということの中には、本当に無駄遣いはないのかということはきちんとそうならないようにするということをはっきりおっしゃるべきだと思います。もともと3党合意でこの社会保障・税の一体改革をした時には増税分は官の肥大化にはまわさないということをかなりはっきり言っていたわけですね。ですから、しかも、それも、駒村先生も参加されましたけれども、野田内閣でできて、最後、報告書を安倍内閣になって引き渡した社会保障制度改革国民会議、ここで使途のこともかなり詳しくやって、まさにその全世代型社会保障という言葉は、その国民会議から出た言葉だったわけですね。だから、もちろん、その報告書を受け取った安倍総理がその言葉を使われるというのは相応しい総理だと思いますが、若干その時間が空いたというのですか、2013年8月にその報告書を受け取って2017年になって再び、暫くその間、1億総活躍だ、人づくり革命だという、別の言葉でおっしゃっていたけれども、やっと全世代型という言葉を使った。これがとってつけた言葉遣いでないことを願うんですね」
反町キャスター
「とってつけたとはどういうことですか?」
土居教授
「つまり、2020年の黒字化目標がどうやら達成できなさそうだと…」
反町キャスター
「あっ、そちらが先?」
土居教授
「この試算は今年7月に内閣府が示した試算で、現在のままでいくと2020年の基礎的財政収支が8.2兆円の赤字になるということが内閣府の試算として出されています。これは消費税率を予定通り10%に上げても8.2兆円の赤字だということです。ただ、織り込まれていない1つの重要なパーツは、さらなる歳出改革、これは今後決めることだから、まだ8.2兆円の中で本当は歳出改革ができれば、もっと赤字が減るという部分があるのかもしれないけれども、試算では入っていないということがあります。だから、私は必ずしも現在のままでも絶望的ではないとは思ってはいるのですけれど、官邸はこのままだと赤字が残ってしまうだろう。もっと申し上げると、今年の骨太の方針で債務残高対GDP(国内総生産)比を安定的に引き下げるということも、2つセットで目標に掲げた。これで2020年のハードルは下げられたのではないかと思ったのだと思うんですね。基礎的財政収支の黒字化が仮にできなかったとしても、債務残高対GDP比さえ下がれば、こちらができたのだから、これで合格と思ったのだけれど、私もいろいろ試算をしましたが、本当にプライマリーバランスを改善しないと、安定的に債務残高対GDP比が引き下がらない、かなりの数字、いろいろとシミュレーションしましたけれども、かなりの確度でそういうことが言えます。そうすると、ハードルを下げたつもりで骨太の方針を出したのだけれど、どうも骨太の方針でハードルが下がっていないらしい、そうすると、赤字のままで…」
反町キャスター
「いくしかないと?」
土居教授
「ええ、諦めましたと言うと、アベノミクスの失敗ではないかなんていう批判もくると困るので、大義になるものが必要だったと」
反町キャスター
「さあ、高橋さん、」
高橋教授
「…」
反町キャスター
「…笑われるとつらいのですけれども、どうですか?」
高橋教授
「ちょっと考えてみたら、財源で、新規で1兆円に満たないような話について、それを2年先の話をなぜ総理が解散で言ったのかというのをちょっと読み解いた方がいいと思います。よくよく考えてみたらかなり年々の予算編成、私は財務省の出身ですけれど、年々の予算編成でもできなくはないようなレベルの話を、わざわざどうして言ったのか?これは政治家、政治的な話です。経済の話とちょっと違うのですけれども。あの時に一緒に言ったのは、北朝鮮の話をしましたよね。その前に国連総会に行っていますよね。国連総会に行ったあとの昼食会で、安倍さんとトランプさんが並んでいますよね。並んでいるというのは意味があって、実はトランプさんが晋三の隣でなかったら出席しないと言ったんですよ、それだけです。それで並んでいるので、それで私も安倍さんによく聞くのですけれども、トランプさんとは電話連絡を年中しています、1日に何回もしています。全然、公表していませんけれど。そういうことを考えると、いろいろな情報がたぶん入っているんですよ。それで、だから、北朝鮮の話をしているんです。北朝鮮の話で普通考えると、11月に米中首脳会談がありまして、米中首脳会談、その前にトランプさんが来ますけれど、米中首脳会談が決裂する可能性はあるんですね。決裂したあとは実はとんでもないことが起こると、国難が起こるという話ですよ。だから、そういうのを狙って言っている話で。それで、そういう時に国難の話で北朝鮮の話が中心だから、消費税についてはいろいろな意見があるけれども、ここは選挙戦術として、民進党と同じで、かつ無難に、自民党内でも無難なことをやっていけばいいのかなと。なぜならば、要するに、すごく先のことで、もうちょっと大きな本当の国難を安倍さんはたぶん想定しているんですね」
反町キャスター
「それは安全保障面で?」
高橋教授
「そう。それで本当に国難になったら、消費税の話なんてぶっ飛ぶ、ぶっ飛ぶというレベルの話。それで、そういうふうにちょっと見ていた方が私はいいと思っているんですね。だから、そういうふうに見ると、年々の予算編成の話をとってつけたような話で言っていると私は思いました。だから、2年先、2年先の話を一応言いますよ、言いますけれども、現在の法律で書いてあるし、3党合意の枠内のレベルで処理できるような話ですよ。その財源の話でも、これは各分野の専門家にとっては非常に大きな財源なのでしょうけれども、予算全体のフレームワークをつくる立場から言うと、本当に大した話ではないです、これは。だから…」
土居教授
「年々の話というのは、その通りだと思いますよ…」
高橋教授
「それでそれを、だから、そういうふうな目でちょっと見ていた方の方がいいというのを1つ言っている。ちょっとこれは経済の方にずっと突っ込んじゃうと、時々、見誤るし、だから、かなり政治的な話を実は安倍さんがした。それにとってつけたような感じの…」
反町キャスター
「そういう意味で言うと、前原さんが先にAll For Allで言っていた部分というのは…」
高橋教授
「言っているから、曲げて言って、それで自民党内の方がラクだから…」
反町キャスター
「高橋さんから見ると、これはもう完全にパクリはパクリ?」
高橋教授
「パクリですよ」

財政健全化目標見送りの是非
秋元キャスター
「さて、消費税増税分の使途見直しについて表明する一方、昨日、安倍総理は会見で財政健全化について『2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難となる』と述べています。一方、今日、麻生財務大臣は『2022年度か2023年度か、新たな目標をつくり上げないといけない』と話しています。土居さん、財政健全化目標の達成の見送り、これは将来にどういう影響が出るのでしょうか?」
土居教授
「1番大きいのは世代間の受益と負担の格差がそれだけ縮まるのが遅れるということですね。つまり、現在の、プライマリーバランスの赤字の多くは、高齢者への給付によって生じているわけです。これを縮めないと、当然、もちろん、ネットですけれども、払うか、貰うかの差し引きの合計額が圧倒的に現在、高齢者の方が貰い得になっていると、若い人達は払い損になっていると。損という言い方はよくない言い方ですけれども、払いが多い、と言うことですから、そこのバランスを早目に直してあげないと、格差の度合いが酷くなるということです。だから、私は1年でも早く目標を達成すれば、世代間の受益と負担の格差をより縮めることに貢献するということなので、できるだけ早くその目標を達成すべきだと思いました。ご紹介があった麻生財務大臣のご発言は、内閣府の試算でも、結局のところ歳出削減の努力はなくても2025年にプライマリーバランスは黒字になると」
反町キャスター
「なりますね。だから、2022年か2023年と麻生さんが言ったのは微妙に何もしなくてもうまくいくタイミング?そう言っちゃいけない?」
土居教授
「いや、ただでさえ2兆円分の、赤字を減らせないというのがありますから、それがくっついてのこの数字ですから。2025年なんて悠長なことを言っているとちょっと言い方は悪いですけれども、寝て暮らしてもプライマリーバランスは黒字を出すと。そうすると世代間格差はその分だけ縮まらなくなるということですから。できるだけ早く解決するには、歳出を抑制するような努力をしっかりして、2020年から2023年。2023年では私はちょっと遅いのではないかと思うのですけれども、2020年、2022年か2021年、できればそれぐらいで目標達成するような歳出削減の計画をしっかりと立てていただかないといけない」
反町キャスター
「駒村さんの立場からするとプライマリーバランスというのは重要なのですか?それとも、現在の土居さんの話を聞いていると、プライマリーバランスのためには歳出カットなのだと、社会保障費にもメスを、ナタを振らないといけないのだ、そこの部分は二律背反と言うか、難しいと思うのですけれども、どういう立場ですか?」
駒村教授
「現在、社会保障給付はどのくらいのレベル使っているかと言うと、だいたい120兆円ですよ。500兆円強のGDPのうち120兆円使っているわけですね。これが2025年になったら150兆円にいくわけですよ、それを抑えてもですよ。たとえば、基礎年金をその間どのくらいカットする予定なのかとか、これを30年かけて基礎年金、実質水準3割カットですからね、これだけ厳しいことを入れ込んでも、150兆円までいっちゃうわけですよね。私はちゃんと増税で確保してもらいたいと」
反町キャスター
「プライマリーバランスは歳出カットでなく、増税で達成すればいい?」
駒村教授
「必要以上のカットをして、たとえば、介護部分のカットを大幅にやった場合、そうしたら皆、在宅にいきましたと、在宅にいったら、今度、家族が介護しなければいけないと、そうしたら介護離職が起きたらどうするのと。これから2025年を過ぎたら、団塊世代が一気に75歳を超えて要介護状態になれば、在宅介護を進めれば、仕事と介護の両立ができなくなる世代というのは働き盛りの世代が仕事を辞めないければいけないと。これはかえって税収が減るし、経済成長の足を引っ張りますよね。だから、どの部分をちゃんと給付見直しするのかと丁寧にやらないとかえってエライことになっちゃうと思いますよね」
反町キャスター
「なるほど。末冨さん、いかがですか?プライマリーバランスについてはどういう気持ちで見ていますか?」
末冨教授
「私も専門家ではないのですけれども、私も駒村先生と一緒で、増税ですとか、あるいは今回こども保険の議論を1回棚上げにしているのですけれども、たとえば、保育所整備等は働く世帯に対するサービスですので、企業者、あるいは雇用をされている労働者の負担というものも考えつつ、増税もあるし、こども保険という考え方もあるであろうし、という…」
反町キャスター
「こども保険というのは、個人負担と事業者、会社の負担も含めて…」
末冨教授
「…も含めて」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
末冨教授
「はい。働く世代に対してのサービスについては、さまざまな財源のあり方があるだろうなと思っています。単純に消費税の増税だけでいいかと言うと、そんな簡単な議論ではないはずで。土居先生がおっしゃったオプションで言えば、税収ですとか、サービスに要する経費というものは国民からの負担をきちんとルールづけて考え直していく方がよいのではないかと思っています」
反町キャスター
「高橋さんにはそもそも論から聞かなくてはいけないのですけれども、プライマリーバランスとか、財政健全化とかというのはどのくらい真剣に取り組まないといけないのか?という、ここからです」
高橋教授
「専門家の方が、財政の専門家ですと、だいたい数字というのがフローの数字という話ばかり、皆するのですけれども。でも、財政の状況というのを見るのはバランスシートですよ。バランスシートで、ストックで見るんですね。それで実は、私は財務省にいて、このバランスシートを20年以上前につくって、つくったところ、あまり悪い、財政、悪いと言えないじゃないかと言って、実はお蔵入りになっちゃったことがあるんですね」
反町キャスター
「日本の財政ですか、それは?」
高橋教授
「日本の、日本の政府…」
反町キャスター
「政府の財政」
高橋教授
「日本の政府と、あと子会社全部を含めた…。それで1995年につくったのですけれども、そのあと2004年ぐらいまで、お蔵入りになっていたのですが、私が小泉政権にいたから、小泉さんに話をしたら、それおもしろいのではないのかとポッと出たんですね。出たのですけれども、全然説明がないから、実はまったく皆、世間に知られていないです。現在でも公表はされています。だから、それをなぜ見ているかと言うと、いくらなんでも借金だけで財政の状況なんて説明できませんよ、というのが原点です。だから、バランスシートをつくって、それで実は一般会計と特別会計と全部つくったのですけれども、そういうので見るというのが普通です。それでそう見ると、その時に見た時に借金もありますよ、でも、資産もバッチリあって、実はこれがネットの負債と言って差額が1番重要ですね。その意味で考えると、現在データを見てやると差額の債務超過額はほとんどないので、ないということは…」
反町キャスター
「ツーペイなのですか?」
高橋教授
「だから、これはほとんど、これは、だから、シムズさんとか言っているだけですよ」
反町キャスター
「では、国と地方の借金を合わせて…」
高橋教授
「国ではなくて、地方は、地方を入れるともっと実は資産が大きくなっちゃうんですけれども、国の中央政府だけです」
反町キャスター
「中央政府の借金は800兆円とか、そのぐらいですか?」
高橋教授
「だから、1000兆円ちょっとあるのでしょう」
反町キャスター
「1000兆円…」
高橋教授
「だから、そちらの方に他のいろいろな関連会社の資産なんかを合わせると、実はそこに近い数字になるんですよ」
反町キャスター
「1000兆円借金があっても、資産が1000兆円ある。その中に、日銀が引き受けている国債もあるよ。でも、それは心配ないのだよと、高橋さんは言う。これは心配ないのだったら、今日の途中までやってきたプライマリーバランスとか、財政健全化なんてまったく議論しなくてよくなっちゃうんですよ、非常にハッピーになれるので…」
土居教授
「いや、いや…」
反町キャスター
「違う?幸せになれますか?という質問です」
土居教授
「それは未来永劫デフレが続くならば、そうかもしれませんが、日銀はいずれ出口を迎えることになるということだとすると、持っている国債は売却しないといけない時がくることですが…、そこから先はちょっとやめましょう、金融政策の話になります。私が先ほど来、強く言っていることは現在、日本の借金がたくさん溜まっていて、ただちに財政破綻になるということをお話したいわけではなくて、世代間の受益と負担のバランスがあまりにも極端にアンバランスになっているということが問題ということを言っているわけです。それでも、借金をしても大丈夫だと言うのは、単にネズミ講で先送り、借金をネズミ講で先送りできるのだから、若い人達にたくさん借金があってもネズミ講で先送りできるのだからいいでしょうと言っているだけですよね。そうではいけないわけですよ。しっかり自らの医療や介護のために、若い人達が負担をしているということを現在の高齢者の方は身に沁みて感じていただかなければいけない。もちろん、現在の80代、90代の方々はさらにその人生の先輩に貢いでいたかもしれないけれど、あいにく現在の少子化で若い人達の人数が減っているが故に1人当たりの負担が重くなっているということを、それを含んだうえでの受益と負担を考えていただきたい。それが、プライマリーバランスという指標を媒介にして、給付の選りすぐり、必要なところをきちんと残す、だけれども、必ずしも高齢者のためにもなっていないような支出は削ると、そういうところをメリハリづけしていかないと、借金はいくらでも金利ゼロでできるのですから、財源はいっぱいきますから、別にそんな支出なんて選りすぐらなくたっていいですよとやっていたらキリがないと、世代間の格差も縮まらないと、そういうことになりますから。そこは債務残高対GDP比が何パーセントかということ以前の問題として世代間の格差是正をキチッとやるべき」

幼児教育無償化の是非
秋元キャスター
「ここからは全世代型に転換するという社会保障制度の具体的な政策を見ていきたいと思います。まず安倍総理が昨日の会見で触れたのがこちらです。幼児教育・保育の無償化、低所得世帯の高等教育無償化、給付型奨学金の支給額大幅増と、社会人の学び直し・リカレント教育の拡充、さらに、介護人材の確保ということなのですが。この中で幼児教育についてですけれども、ポイントとなるのが2020年度までに幼児教育・保育の無償化、これは全ての3歳から5歳児を対象としています。保育の無償化については、低所得世帯の0歳児から2歳児までを対象にしています。さらに、待機児童解消を目指すプランを前倒しして、2020年度までに32万人分の保育の受け皿を整備するとしています。末冨さん、この幼児教育の無償化はどういう効果があると見ていますか?」
末冨教授
「はい、現行案ですと、全ての3歳児から5歳児の幼児教育を無償化することになっているのですが、現状では既に低所得世帯についてはほぼ無償に近い状態ですね。ここから無償化をするという時に、誰のメリットになるかと言うと、中所得層や高所得層がかなり特に保育園は高い保育料をお支払いだと思うのですけれど、そこが無償化されることによって、中所得層・高所得層でお子さんがいらっしゃる、3歳から5歳のお子さんがいらっしゃる家庭の手取りが…」
反町キャスター
「あっ、そうか、保育園は所得比例で…」
末冨教授
「そうです、はい。なので、より所得が高い層に言ってみればバラ撒くような政策になってしまっているので、それが消費税の使途として正しいかどうかということについては、もっと議論が尽くされる必要があるだろうと考えています。個人的には、いわゆる人づくり革命と言う時には、少子化で取りこぼしがないように子供を育てていって、より社会で活躍できるように教育をしましょうという趣旨だったと思っているので、まず少子化の解消につながるような、たとえば、出産の検診費用を完全無償化ですとか、あるいは保育の待機児童の解消というのは非常にいいと思うのですけれど。なぜ3歳から5歳の幼児教育を無償化しなければいけないのだろうかについては、私自身も、政策の目的がわからず、総理の会見を見てもまだ理解に苦しんでいるところですね。それよりせっかく国民から広く集める消費税財源ですので、先ほども申し上げたように教育を社会のセーフティーネットとして考えれば、どんな低所得世代の子供でも質の高い教育を受けて大人になれるように、底上げをはかるような教育投資に振り向けていく方が、効果が高いのではないかと考えます」
反町キャスター
「所得制限を設けるかどうかということに関しては、まさに前原さんの言っていたAll For Allのところでは所得制限を設けないのだよと、皆から集めて皆が恩恵を受けるようにするのだというのが基本的なコンセプトだと思っているのですけれども。末冨さんのは所得制限を設けた方がいいという話に聞こえますよね、現在の話は?」
末冨教授
「幼児教育や保育を無償化することと、子育てしている全ての世帯に対して、現在でも児童手当がありますが、子供を育てていること自体に対しての社会としての再分配をすることは別だと考えています。特に3歳児の幼児教育の就園率は、まだ90%に到達していませんので、10%の一定、3歳児の幼児教育を受けていない世帯と公平性をどうするのだと。同じように子育てをしながら、幼稚園・保育に通わせているだけでメリットを受けていいのかという議論は当然あり得ると思います。あるとするならば、つまり、子育てしている世帯、特に再分配の現在、置き去りにされているのが1人親で子育てをしている世帯については貧困率が非常に高いですので、1人親で子育てをしておられるような世帯により手厚く再分配をし、かつ子育て世帯の児童手当等については、子育てをして子供を大事にする社会だというメッセージであれば、現在より手厚い水準にしていくべきだと思います。その部分はAll for Allで構いませんが、ある程度の所得スライドというのは、現状のように維持する方が良いのではないかと考えます」
駒村教授
「1.2兆円ですよ、これに使うお金は。これ対象は300万人ぐらいですよ。割ると40万円ぐらいですね。これは平均で見ればそうですけれども、細かく見ると、先ほどもお話があったように、非課税世帯だと年間で7万円ぐらいですよ。高所得世帯で保育料は年間120万円ですよ。つまり、これをやるとどうなるかと言うと、低所得世代はほとんどメリットはないけれど、高所得世代にはすごくメリットがあるということです。まったく逆再分配政策をやろうとしていると。そういう意味では、現金給付と同じような意味ですし、あるいはこれまで使っていない、3歳児で若干使っていない人もいるわけですけれども、これタダになるのだということになるともっと需要が増えてしまって、かえって待機児童が増えてしまうのではないかと。つまり、お話にあったように供給サイドをちゃんと整備するという政策のためにお金を使うのなら、最大優先順位になりますけど、なぜ現金給付に近い、あるいは需要刺激政策の方にこのお金をバラ撒くのかというのがまったく効果がないと。ちゃんと少子化対策をやるならば、低所得者世帯に対する十分なサービスの質の向上、それから、保育サービスの質の向上、量的な供給、このサービス政策、それから、所得補償政策、児童手当の拡充、仕事と暮らしの両立政策、この3本の矢をバランスよくやって初めて少子化が解消できますので。こういう1点重点主義で、しかも、効果が真逆になるようなことをやっちゃいけない政策だと思います」
反町キャスター
「そうすると、前原さんのやろうとしていることもダメなのですね?」
駒村教授
「あれも間違っています」
反町キャスター
「あれも間違っている?」
駒村教授
「はい、ダメです」
反町キャスター
「自民・民進、両方間違っている?」
駒村教授
「両方間違っています」
反町キャスター
「駒村さん、今みたいな話を聞いているとこの総選挙というのは非常に真剣な公約を各党が提案して、どちらが本当にいいのかと議論する場になるはずですよ」
駒村教授
「うん」
反町キャスター
「ただ、もしも民進党のAll For Allも、総理が言っているこの話も専門家の目から見た時に、これはちょっとあまりにというところで、でも、そうかと言って、自民・公明・民進が同じ政策を言っていたら選択の余地がないですよ。この総選挙をどう感じているのですか?」
駒村教授
「いや、もうちょっと真面目に政策論争をやっていただきたいなと思いますよ。難しい話や複雑な話もありますけれども、先ほどのお話でも子供の貧困率16%というのは先進国でかなり高い方ですよ。しかも、貧困の谷がもっと、他の国よりもより深刻な状態なわけですよね。こういう子供達が現在、どういう養育環境になっているのかと、ここをちゃんと補ってあげなければ、社会を信頼できないと。実は研究もあって、低所得の家や劣悪な状況で育っている子供達は社会を信頼しないという傾向があるわけです。そういう人が大人になってしまって、ますます社会がガサついてくるということになるとちゃんとフォーカスを当て、どの部分にまずプライオリティがあるのかと。財政がいくらでもあるわけではないですから、プライオリティを決め、それから、政策目標をちゃんと整理して、ベストの政策組み合わせを出してもらいたいと思う。多くの方が、いやいや、平均40万円、子供のためにもらえるよというのは、それはオイシイかもしれない。見かけはいいのかもしれないですけれども、そういう簡単な話に飛びつくような政策を出してはいけなくて、本来はちゃんと説明をして、負担すべきものは負担してもらって、ガマンしてもらうものはガマンしてもらう。我々は2025年を超えるために、どういうことをしなければいけないのかということを訴えるのが政治家の役割だと思います」

高等教育無償化の是非
秋元キャスター
「ここから人づくり革命の中でも高等教育に関する政策を見ていきたいと思います。高等教育に関する総理会見のポイントですが、低所得世代に限り高等教育の無償化を実現する、授業料減免措置と給付型奨学金、社会人の学び直し・リカレント教育の拡充、大学改革というものを挙げていますけれども。駒村さん、この高等教育の無償化をどう考えますか?」
駒村教授
「これは難しい議論だと思っていて、簡単な答えは出ないのかなと思います。先ほどの幼児教育は、所得を考慮した形の負担論になっていますから、再分配機能は既にあると。こちらの方はそういうことになっていないので、お金がなくて、進学できない人もいるだろうと思います。従って、低所得世帯に対しては給付型の奨学金を出してあげるというのは大事かなと、意欲のある人には出してあげたいと思います。ただ、中間所得層・高所得層にまで無償化するかというと、これはちょっと違っていて。本人の卒業後の所得に連動する形で返すという所得連動型奨学金が普及すればいいかなと思っています。大学の教育の価値が、自分の賃金を上げるということが現在、目的ですから、そういう意味で、受益者がちゃんと負担をするというのは正しいと思います。ただ、今後、生涯にわたって、学び続ける機会が重要になってくるのかもしれません。知識や技術の進化が速くなれば、中高の教育だけでは足りないと。そういうことになってくると、誰でもいつでも、学びにいけるというチャンスは、今後やっていかなければならないと思いますけれども、そこに相応しい大学教育のレベルになっているかどうかは我々教育者が応えていかなければいけないなと思います」
反町キャスター
「たとえば、僕が現在の歳で、もうちょっと若い方がいいのかな、会社を辞めて別の仕事に就きたいなという時の職能訓練みたいな?」
駒村教授
「はい」
反町キャスター
「そういう機能が大学に求められていく、そういう時代なのですか?」
駒村教授
「専門職としての職能訓練も必要だと思います。総理の言っている中で正しいなと思っている部分もあって、現在の子供達、21世紀生まれの子供達は100歳近くまでは生きていく、長い寿命になるわけですね。65歳や60歳で引退するというような話ではないわけですよ。70歳ぐらいまでは現役でいなければいけないとなると常に新しい知識や情報を身に着ける、この柔らかさとか、自分の技能を高めるということ、あるいは人生で2つの仕事を同時に行ったり、2つの仕事をまた別の期間で行ったり、いろいろな多様な生き方をするためには、教育の機会というのは、人生学び続ける機会というのは大事だと。ただ、そういう教育のサービスが提供できているかと言われると、まだまだ足りないと思います」
秋元キャスター
「末冨さん、いかがですか?」
末冨教授
「特に低所得層にとっては、高等教育を受けることというのは社会で活躍するためにとても大事なことですね。ただ、現実には大学や専修学校の授業料が払えないから進学を諦めている子供達が現にたくさんいるわけですので。給付型奨学金や授業料免除等を大幅に拡充すれば、夢を諦めずに自分の資格なり、学歴を持って社会で活躍できる子供が増えます。ただ、その時に、教育の質というのは大学の前から改善していかないといけないと。幼児教育の質の向上も大事だと申し上げましたけれども、教育というのは生まれてから大人に育つまでにかなり長い期間がかかるんですね。高卒でも18年、大卒だと最短で22年かかりますよね…の時に、低所得であって、いろいろ困りごとに晒されやすい子供達に対しては、継続的に安定した支援と教育を提供していかないとなりたいものになろうという意欲すら湧いてこないわけですよね。それで、また、貧困の連鎖が起きると。安倍総理も、貧困の連鎖を防ぐと記者会見でおっしゃっていましたが、貧困の連鎖を本当に防ぎたければ生まれてからの就学前教育、義務教育、それから、高校教育、大学・専修学校のように切れ目のない形で支援をつなげて、厳しい状態にある子供達についてはなるべく良い教育を受けられるようにどんな教育よりも条件を整備していかないとうまくいかないと考えています。高等教育の無償化や給付型奨学金を真剣におっしゃってくださっているのだとすれば、その前の教育段階についての投資も特に子供の貧困対策の観点からは重視していただきたいと」

持続性ある社会保障とは
秋元キャスター
「消費税増税分の使途見直しの是非について、ここまで聞いてきましたけれども、財源が限られている中で、一方で、社会保障費が毎年ドンドン膨らんでいく。持続可能な社会保障制度に現在、何が必要なのかということを考えていきたいのですが、土居さん、何が必要なのでしょう?」
土居教授
「ネズミ講式に財源負担を将来世代に先送りをするということをやめるということです。年金も現在の仕組みは賦課方式、つまり、子供達の負担によって親の給付が賄われているという仕組みがずっと続いています。医療・介護はもちろん、そうです。これはドンドン子供が増えて、人口自体も増えていくような状況ならばまだしも、むしろこれから減ると予想されているというような状況では、ネズミ講式に負担を先送りするということは長続きしないということ、持続可能ではないということですから。もちろん、全部の性質をあらためるというのは無理ですが、少しでもそういう仕組みをあらため、できるだけ現在の世代の負担は現在の世代で賄えるようにするということで、給付と負担のバランスをとって世代間の助け合いを維持しながら、世代間の受益と負担の格差を縮めていくということが必要だと思います」
秋元キャスター
「駒村さん、いかがですか?現在、何が必要か?」
駒村教授
「まず無駄な社会保障があるのは間違いないと思うんですね。医療も薬をたくさん貰い過ぎちゃって、飲み過ぎてかえって体が悪くなるみたいなことになってはいけないと思いますので、そういう部分はちゃんと見直さないといけない。一方、介護予防とか、そういう投資的な部分はちゃんと重点化していかないと2025年以降ももたなくなるということになると思います。それから、格差の縮小はやっておかないと社会の中のバランスが崩れていって、低所得者世帯の就労意欲を下げてしまいますので、いかに若い子供世代、あるいは現役世代の格差を小さくしていくかということをやっておかなければいけないと。最後に高齢世代の方なのですけれども、高齢世代、かなり経済力にばらつきがあります。現在、生活保護の受給者の半分は高齢者という状態で、今後年金も下がっていくし、医療・介護の負担もドンドン上がっていきますから、低所得高齢者は増えていくと思います。社会保障給付を高所得者層にまで十分に出すということがかなり難しくなると思いますので、高所得・高資産の高齢者については次の世代に良い社会を残すのだと、自分と自分の子供だけが幸せになる社会はつくれないのだから、自分達が少し多めに負担し、給付カットを我慢しても貢献してもらいたいと思いますので、高所得世帯の社会貢献と言うのでしょうか、に期待したい。将来世代への思いというところ、将来世代への倫理観というのを高齢者世代に持っていただきたいなと思いますね」
秋元キャスター
「末冨さん、いかがですか?」
末冨教授
「私自身は教育の専門家なので、教育への投資が全然足りていないわけですね。なので、これを増やしてくださることは非常にいいアイデアだとは思っています。ただ、その時に、今回のさまざまなつまみ食い批判もありましたけれども、どういう原則で子供や教育に投資をしていくというのが見えないと、かえって子育てがしづらい社会になってしまって、少子化だって改善しないと思います。何をどの順番で解決していくのか、待機児童が先なのか、それとも高等教育の無償化が急がれるのか、それをどういう原則のもとにするのか。私自身はどの子育て世帯も大切にしながら、駒村先生もおっしゃったように、格差を縮小していくということに重きを置いて、底上げに重点を置く社会であってほしいと思うのですけれど。そうした原則を明確にしながら、特に子育てをする、子供を産もうと考えている人達に対して、安心して子供を産んでいいんだよと、ちゃんと社会で育てるから、消費税財源はこういうふうに使いますというメッセージを発せられるような政策でなければ、この社会そのものがドンドン立ち行かなくなっていくと考えています」
秋元キャスター
「高橋さん、いかがですか?」
高橋教授
「学者の人と議論をして、いつも制度の話だけを触れて言うのですけれども、私は半分以上実務家なので、制度は現在のままだけれども、執行でやるべきことがあると言いたいのですけれども。はっきり言って社会保険費をとりっぱぐれているというだけの話です。それは、私は税務署長をしていたので、それでよくわかったのですけれど、社会保険料というのは実は税金の扱いです、扱いなのですけれども、源泉徴収とまったく一緒なのですけれども、税務署は全然それにタッチできないんですよ。だから、わかっているのだけれども、全然やらないという世界なので。これを源泉徴収と同じように普通にやればいい、それだけの話なので。だから、どこの国でも皆、要するに、国税庁みたいなところと年金機構みたいなところというのは皆、一緒です。一緒で、だから、私は海外にいた時に、ここが一緒です、ここも一緒です、社会主義国、皆一緒になっていますというレポートをたくさんやりましたけれど。でも、未だかつてやっていないです。どのくらい増えるかと言うと、これはやってみなければわからないのですけれども、要するに、数兆円にいくという計算もあります」
反町キャスター
「数兆円?」
高橋教授
「そう。だから、これは試しにやってみたらいいという話です。やらない理由ばかり実は言うんですよね。そんなの先にやってみればいいではないかと。現在の制度の枠内だからということだけです。それで税務署の方でちょっと調べて、そちらの権限だけ調査をやった時にちょっと指摘するというだけで結構できるんですね。だから、そういうのをやればいいのではないかな。そうすれば次の問題もよくわかる。だから、これは歳入…、国税庁と年金機構の合体と言うので、1つの言葉で言えば歳入庁という言葉です」

高橋洋一 嘉悦大学ビジネス創造学部教授の提言 『凍結』
高橋教授
「使い道というか、消費税凍結した方が簡単ですね。それで教育の話になるのだったら、要するに、国債を発行してやれば単純でそれで終わりです。だから、要するに、必要だったら国債をちょっと発行してやればいいでしょうというレベルなので。実はこういう案もあったと思うのですけれども、党内事情とか、いろいろなので消えちゃって。結局、財政再建のところはやらなくて、気にしないでということなので。その意味では、そこはいいと思いますけれども、もっと単純にやればいいのではないかなと思いますよ」

駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授の提言 『将来世代への思い』
駒村教授
「将来世代への思いを持ってもらいたいと思います。消費税というのは我々の良い社会をつくっていくための重要な投資だと思っていただきたい。特に高齢世代は我慢してもらいたいこともたくさんあると思います。高齢世代に、将来世代がどうなっても構わないと思ってもらっては困る。将来世代への思い、倫理観を持っていただければ、多少の厳しい改革も乗り越えられるのではないかと。そういう部分をちゃんと国民に説得するのが真面目な政治家の役割ではないかなと思います」

土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授の提言 『後代のツケ回し軽減 事業主負担保険料』
土居教授
「まずは後代のツケ回しを軽減するという原則に立ち返っていただきたいと。もちろん、一時的な歳出の増加があってもいいかもしれませんけれども、効果のある支出だけ残し、効果のない支出を削ることで赤字国債を減らすことができる。もう1つ重要なことは、今日は話題になりませんでしたけれど、実は賃上げを阻んでいるのは事業主負担保険料が増えているということですので、これが、もし赤字国債を減らせなくても敢えて負担軽減をはかるということができれば、賃上げにもつながる可能性があるのではないかと思います」

末冨芳 日本大学文理学部教授の提言 『底上げ 教育の質』
末冨教授
「消費税増税によって子供や教育への投資が底上げされることは歓迎します。ただ、同時に、何回も申し上げましたけれども、より厳しい状態にある子達への投資の底上げというのを最優先にしていただきたいと考えます。それと同時にバラ撒くのではなく、質の高い教育に結びつくような投資であってほしいと。そのための消費税の使い道を真剣に考えていただく国会であり、政府であってほしいなと願っています」