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2017年9月20日(水)
『国連』の課題と限界 ▽ 詳報トランプ氏演説

ゲスト

松川るい
自由民主党参議院議員
吉川元偉
前国連大使
古川勝久
元国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員

トランプ大統領初の国連演説 拉致にも言及… 北朝鮮批判
佐々木キャスター
「今夜は、国連安保理の課題と限界について考えていきます。北朝鮮の核実験やミサイル発射は、国連安保理が非難声明や制裁決議を行っても、一向に止まるどころか、加速すらしています。なぜ安保理の制裁で北朝鮮の核・ミサイル開発を抑えることができないのか、安全保障理事会の実情についてじっくり聞いていきます。まずは、トランプ大統領の初の国連演説を検証していきたいと思います。まず『北朝鮮は自国民を飢えさせ、罪のないアメリカ国民を拘束し、13歳の日本人少女を拉致した』と横田めぐみさんを念頭に置いたような発言もありました。『北朝鮮は核・ミサイルを無謀に追求し、全世界に脅威を与えている』、また『北朝鮮の脅威によりアメリカが、自国や同盟国の防衛を強いられれば、北朝鮮を完全に破壊するしか選択肢がない』、他にも『北朝鮮が敵対行為をやめるまで全ての国が協力すべき時だ』と、かなり強い口調が見られます。吉川さん、初の国連演説という場で、この北朝鮮の問題を取り上げたわけですけれど、どう受け止めていますか?」
吉川氏
「世界の主要課題として北朝鮮の問題を真っ先に取り上げて、相当長いことお話になった。これは日本としては大歓迎です。これまで私も国連大使の時に、北朝鮮の問題というのは核・ミサイルは大事だけれども、拉致があるのだ、人権問題があるのだということを訴えてきました。これを大統領自ら、国連演説で出されたということは、私は高く評価したいと思います。他方で、若干気になったところはイランですね。第1の課題は北朝鮮、2番目はイランだと。イランの核合意、これはアメリカがもちろん、入っているわけですけれど、この核合意はアメリカがやった恥の交渉だった、エンバラスメント、日本はあの合意はいいと思っているんですね。現在このイランの例を見れば、国連とアメリカ、ヨーロッパが制裁をかけたことを受けて、イランは交渉に参加し、それで核合意ができたんですね。そのまま北朝鮮に当てはまるとは思いませんけれど、我々がずっとやってきていることは、安保理理事会で北朝鮮に制裁をかけることが、北朝鮮をテーブルにつかせて、もう1度交渉したいということですから、そのイランの例をご破算にされたら我々としては困るんですね。大統領自身がもう1度、全体をご覧になって、イランの合意については、これは進めて、それを1つの参考にして北朝鮮もやっていただきたいと思います」
佐々木キャスター
「松川さんは、この北朝鮮に関わる部分では特に注目しているところは何ですか?」
松川議員
「私は現在の時点でアメリカがやるべき、現在の時点というのは、まさに現在あるいろいろなタイミングです、安保理決議が出されてすぐの、これがどう効果が出るかというこのタイミングでやるべきメッセージとしては非常に良かったと私は思っています。北朝鮮に対してはもちろん、北の側もいつかアメリカと対話をしたい、それは核兵器国になってから、なることを認められてから対話したい、こちらの日米側というか、国際社会の側は核兵器の保有国になるということを放棄するという立場を、方向を明らかにすれば対話をすると、このチキンレースが現在、続いている状態なわけです。この中でこの段階であれば、圧力と言うと変ですけれども、強いメッセージ、言うことを聞かないと、今回、非常に強い言葉でしたけれども、まさに軍事攻撃も辞さないといったようなことを『完全に破壊するしか選択肢がない』といったような強い言い方をされたというのは、この段階では適切だったと。もう1つは、横田めぐみさんのこと、自国のワームビアさんもまさに拉致をされて亡くなられたというのもありますし、横田めぐみさんのことを言って、拉致問題についてもまさに初めて取り上げて、しっかりと対処していかないといけない、これは解決しなければいけない課題だということをアメリカ大統領がはっきり言ったというのは非常に良かったと思います。他にもいろいろありますけれども、とりあえず北についてはこんなところではないのかなと思います」
反町キャスター
「古川さん、どんな印象を持ちましたか?」
古川氏
「私も、圧力というのは必要だというのはわかるのですが、たぶん私が北朝鮮の役人の立場だとしたら、1番ひっかかったことはたぶんロケットマンだと思います」
反町キャスター
「ロケットマンね…」
古川氏
「金正恩委員長を侮辱している言葉ですから」
反町キャスター
「完全にそういうふうにおちょくった言い方ですもの」
古川氏
「他の何よりもこれが1番、彼は効きますよね」
反町キャスター
「ツイッターにも書いているんですよね」
古川氏
「ええ、だから、私からすれば、この北朝鮮の部分というのは、ツイッターの10発をバーンと投げたような印象があります。現在の時点で推測するに数か月間、少なくとも米朝間で、特に国連のニューヨークチャンネルと言われるのですが、外交の実務当局の折衝というのはまだ続いているはずだと思います。だからこそ、トランプ大統領も今日のメッセージではまだ外交的な余地があるような表現を残していますよね。アメリカが自国や同盟国の防衛を強いられれば俺達は北朝鮮を攻撃するぞと言っている。現在はまだ違う。だから、外交的な余地を残している。他方で、この前にティラーソン国務長官、ヘイリー国連大使を含めて、外交的な時間はもうほとんどなくなってきているというメッセージを出しています。だから、相当にアメリカの国務省と北朝鮮の外務省の間で、本来であれば、かなり詰めた話が進んでいなければいけない段階で、金正恩委員長を侮辱するような発言をしてしまうというところが、実務レベルの外交にどういう影響を与えるのかそこが心配です」

国連安保理の『課題と限界』 北朝鮮制裁は悪循環か
佐々木キャスター
「北朝鮮の核・ミサイル開発に関しては、国連の安保理、これまでも非難声明、制裁決議で対応してきているんですね。吉川さん、ロシアの国連大使の言葉を待たずしても、制裁しても、またすぐにミサイルの発射や核実験が行われる。制裁が本当に効いているのだろうかと、悪循環に陥っているのではないだろうかという見方ができるわけですが。どう見ていますか?」
吉川氏
「私は、安全保障理事会というのは北朝鮮問題を取り組むうえでの1つのフォーラム、1つの舞台だと思うので、あまりここばっかり議論していてもいけないと思うので。私自身は、まず日本はこの問題についてどういう落としどころ、最後はどこにいきたいのだと。世界ではどこまで、これまでの合意ができているのだということを絶えず私は自分の頭の中に入れていないといけないと思うんですね。日本にとってはちょうど15年前ですよ、小泉総理大臣が平壌に行って、2002年、平壌合意を取りつけた…」
反町キャスター
「ありましたね」
吉川氏
「その時に核・ミサイル、それから、拉致問題、これを解決すれば、日本は植民地支配の間の補償、お金を出しましょうと。だから、日本はこの3点セットをもらって、最後は国交樹立にもっていきたい。そのあと、2005年に今度は6者協議がずっとあって、現在ワシントンの大使をやっている、私の同期の佐々江さんが、彼が担当者で、6者協議で合意したのは、アメリカは北朝鮮を侵略したり、攻撃したりしません、北は、私どもは核兵器の開発は放棄します、それで日本もアメリカも国交を開きますと。エネルギーが足りないだろうから、そのエネルギーを供給しますというので6者協議の合意があるんですね。だから、北朝鮮との間では日朝、それから、6者という枠組みで合意ができているわけですよね。我々としてはそこへ最後は着地したいのだと思うんですよね。それは核兵器を放棄させて、その代わりに渡すものは渡そう、それによって東アジアの安定をここへいくために制裁を合計9回ですよ、やってきているので、この制裁自身が成就すれば何かいいことが起きるかどうか、そこの担保はないですね。制裁をやることによって交渉にもっていって、できれば6者協議の枠組みで合意をとりつけるというのが、たぶん日本にとっては1番いいことで。6者協議で合意ができたら、それを安保理にもっていって合意、それを支えてもらう。そうでないと、安保理というのは、日本は常任理事国ではないのだから、出たり、入ったり、年末になったら、いませんよ。だから、安全保障理事会でこの北朝鮮の将来の問題をずっと議論するというのは日本にとって得策だと思わないですね」
反町キャスター
「そうすると、まずゴール、6者協議でも日朝平壌宣言に戻るでもどちらでもいいですよ、そこにもっていくということを最終的な目標とした時に、圧力をかける、つまり、殴らなければ話にならないよという姿勢というのが、本当に正しいのかどうか?そこがそもそも議論になってきますよ?」
吉川氏
「それは、だから、これまで中国も、それから、ロシアも、特に中国は朝鮮半島の非核化というのは我々にとっての1番重要な目的だということでコミットして、我々は北朝鮮に、その代わり、手荒なことはしてはいけませんと。我々もそれを信じて、ずっとこれまでやっているわけで。経済制裁という軍事力を使わない方式で圧力をかけて、圧力をかけることがイランの例のように交渉に出てくるという、必ずそうなるかと言われたらわからないけれど、それを基本的に、それをほぼ唯一の方策としてやっているわけですね」
反町キャスター
「安保理における議論というのは中露が反対する、アメリカが強い制裁をやるべきだとするみたいな、この部分というのがずっと続いているようにも見えます。その意味においては、話し合いに北朝鮮を引っ張り出すことが目的と言いながら、明らかに異なる2つの手段というのが常に、それぞれの国の思惑もあって、安保理でそこの部分が決めきれていないのではないか?だから、制裁もドンドン、ドンドン、骨抜きになっていくのではないか?安保理は機能していないのではないかと、こういう議論になっちゃうんですよ」
吉川氏
「うん、そういう部分は確かにあるのだけれど、安保理が完全に形骸化することはロシアにとっても、中国にとっても、自分の国益ではないから、これまでのところ中国がかなり出費をして、出血をする措置をどこまでとるかということを、きているわけで。彼らも、現場の貿易が減っている、労働者も入らなくなる、輸出はできなくなっているという、そういう実益の部分で損を出しながら、北に圧力をかけていると期待しているわけですね」
松川議員
「国連というのは1つのツール、場所です。だから、国連に対して過大な期待をするのも間違っているし、過少評価するのも間違っている」
反町キャスター
「つまり、今日の僕らのテーマも含め、期待し過ぎ?はっきり言って…」
松川議員
「いや、いや、安保理が全てを解決するとか、制裁だけで何かができるとか、そういうことではなくて。まさに軍事力をバックに、チラつかせつつ、たとえば、安保理決議によって、今回の決議が相当効いたら、最初にアメリカが目標にしていたものとは違いますけれど、相当効くのではないのかなと思います。なので、1点目として申し上げたいのは、国連というものは非常に大事な枠組みだし、使える、特にセキュリティカウンシルは使える、いろんな国連の組織がありますが、最も迅速に対応ができ、かつ決定、まさに加盟国に対して強制力を持たせる決定ができる機関ですよね、非常に大事だと。だけど、それだけではなくて、たとえば、アメリカは独自制裁もします、トランプさんの表現は、私もちょっとあまりエレガントではなかったと思いますが、強いメッセージを出します」
反町キャスター
「スピーチライターはああいうのを書きます?ロケットマンとか」
松川議員
「絶対あそこはご自分でおっしゃったのだと思います。いろいろな組み合わせですね。だから、外交というのは軍事力・経済力、全てのツールを使っての総合力ということをまず押さえる必要があるというのが1つ。もう1つは何を我々まさに着地点として目指しているのかという話ですよね。我々の目指しているのは核放棄、核兵器国としたくないので、核放棄をしてもらう、そこに結びつけるということですね」
反町キャスター
「安保理のP5 だけ、常任理事国だけでもいいですよ、北朝鮮の最終的な目的というのは、北朝鮮の核開発を止める、核放棄をさせることだというので、P5の間で合意できていると思います?」
松川議員
「レベルの違いがあると思うんですよ」
反町キャスター
「そこです」
松川議員
「そこを中国とロシアというのは北朝鮮をバッファーとして置いておきたい。それは別に金正恩さんでなくていいのだけれど、とにかく北朝鮮というバッファーゾーンが必要だと思っていて。ただ、核兵器を持った北朝鮮というのは、非常にコントロールがしにくい存在になりますよ、核兵器は言ってみれば、絶対兵器で拒否権を持つということですから、非常に難しくなる。だから、それは中国もロシアも望んでいないですけれど。それは、自国に向けて核兵器が使われることがあるかと言ったら、ないわけです。あるとしたら、日本と韓国だけですよ、言ってみれば。アメリカだってそうではないと思います。そういう意味では、レベルの差はあります。ただ、申し上げたいのは現在制裁がなぜ意味があると私が思うかと言うと、結局、核兵器を絶対に開発して、核兵器国になりたい理由は何か、北朝鮮の。それはミニマムで言えば、体制の維持ではないですか。もしも制裁が本当に厳しいもので効いていけば、体制維持自体が難しくなるというところまでいく可能性はあると思うんです。ちゃんと抜け穴がなくて、中国・ロシアに協力していただければ。そうしたら核保有は体制維持が目的なのに、それが危うくなるレベルまで追い詰められたとしたら、それが見えたとしたら、私は、金正恩さんは非常に合理的なリーダーだと思って、ちょっと厳しいですけれども、決してクレイジーではないと思うんです。そうだとすると、そこまでいった時に、それで即、リビアとイラクの教訓というのもありますから、北朝鮮の中には。簡単に体制が制裁で厳しくなってきたとか、他のいろいろな手段で厳しくなったから、すぐに放棄しようとなるかどうか、それはわかりません。わかりませんが、相当、その協議、それなりの核をもって米朝協議なり、先ほど、大使がおっしゃられた6者なり、いろいろな枠組みで何かしら方向を変える可能性というのはあると思うんですね。それを現在、試さなくて、いつ試すのだということだと思うんです。先ほど、私がこのタイミングでと申し上げたのは、まさに現在は北朝鮮に対して、このまま続けていくと、あなたが1番守りたいと思っている体制維持自体が、難しくなるようなことにもなりかねないのではないですかと」
反町キャスター
「教える?」
松川議員
「というふうに言っている段階にあると思うんです」
反町キャスター
「皆さんの話を聞いていると、要するに、安保理にしてもたぶんP5の中が1番問題だと思うのだけれども、北朝鮮を最終的にどういうふうにもっていくのがいいのかという、ゴールにおける腹合わせができていないのではないかという気がするんですよ」
吉川氏
「うん」
反町キャスター
「中露はそれぞれ、核を持っていたら困るけれど、叩き過ぎて国がなくなること、バッファーがなくなることは嫌だと思っているかもしれない。アメリカはどこまで求めているのか?核がない、なおかつ南主導の統一ができればいいと思っているのかもしれない。北の最終的なゴールを、P5の間でキチッとした…、要するに、安保理の機能不全と、僕はそこを言いたいわけですよ」
吉川氏
「はい」
反町キャスター
「皆で腹を合わさないで勝手にヤイヤイ言っている間においては、制裁など効果ないのですかと…」
吉川氏
「これまでの常任理事国、たぶんイギリス・フランスも合意するのは、6者協議、2005年の合意のライン、これは摺り合わせのできているラインだと思う。そうすると、過去を振り返っていくと、1994年の枠組み合意、これは実はかなり甘いんですね。核は凍結なのだ、フリーズして廃止ではないわけですよ。あそこで廃止をやっておれば、この問題はかなり違うのだけれど、それを言ってもしょうがない。2005年はその後ろに引いたやつを前にもう1回もっていって、核を放棄するところまでとっているわけですから。ここでフリーズのところに引き戻されないように、そこはキーになるのは、アメリカと中国とロシアですよ。だから、中国とロシアもそれぞれがアッパーハンドを北朝鮮についてとりたいから、彼らも完全に一枚岩かと言ったら、それはわからんわけで。ソ連が建国をした北朝鮮、いつの間にか中国が朝鮮戦争で完全に植民地にしてしまった、ロシアも隙あらば、北朝鮮をちゃんと押さえておかないと、そこからミサイル防衛なんかされて、将来統一されたら、アメリカと国境を接しますから。だから、そういった意味では、中国もロシアも共通利害を持っているはずなので。アメリカと、おっしゃるように、米朝協議をする前にスクラムをちゃんと組んでおいて…」
反町キャスター
「そう、順番が逆ではないのと思っちゃいます」
吉川氏
「我々の希望としては、その際に日本が外されないようにしておかないと、核の容認、下手すると。あとミサイルの規制、ミサイルもICBM(大陸間弾道ミサイル)だけ規制して短いのは放ったらかしになる。拉致なんてどこにあるのだということになりかねないから。この枠組みの6者で言えば、5+1の5の中の議論の中にちゃんと入れるような格好でやっておかないと、それこそ3人で、これでやろうやと、北朝鮮とやられて、そのあと結果を聞いたら、1994年みたいにお金出してということだけになりかねない」

『北』制裁の実効性と抜け穴
佐々木キャスター
「日本時間の9月12日に国連安保理が全会一致で採択した北朝鮮に対する制裁の主な内容です。原油です、北朝鮮への供給量を過去12か月の総量内に制限し、北朝鮮への石油精製品の輸出を年間上限が200万バレルと制限がかかりました。天然ガスやその副産物の輸出は禁止。繊維製品ですが、北朝鮮の主要な輸出品なわけですけれども、これを北朝鮮から輸入することを禁止するという制裁になりました。北朝鮮からの出稼ぎについては、新たな就労許可は禁止すると。公海上の貨物船検査に関しましては、安保理決議で定めた禁輸物資を積んでいると疑われる場合には、北朝鮮の同意を得て実施できるということになっています。たとえば、具体的に原油ですとか、こういうのは古川さん、どうやってチェックして、誰が監視をしていくことになるのですか?」
古川氏
「各加盟国ですよね。原油にしたって、ドラム缶に入れて、コンテナに詰めたらいくらでも密輸できるので、これから密輸がより積極化すると思います」
反町キャスター
「古川さん、この石油の話、いろいろな人の話を聞いていると、実際に数字が200万バレルと言っても、貿易統計に出てくる分だけで」
古川氏
「ええ」
反町キャスター
「たとえば、無償供与とか、ODA(政府開発援助)とか…」
古川氏
「はい」
反町キャスター
「いくらでも抜け道があるのだと。ドラム缶とか、そういう形もあるかもしれないけれども、川の下を流れているパイプラインで、大慶油田か、そこからバーッと流れている。これも無償供与、ODAと言ってしまえば、貿易統計に数字が出ない。事実上ズブズブだという、この批判に対しては、どう感じますか?」
古川氏
「おっしゃったのは原油ですよね、原油のパイプラインですね。あれは事実上、据え置きですから、それはちゃんとした統計データがないですよね、それは1面の事実だと思います」
反町キャスター
「止めようがないのですよね?」
古川氏
「はい」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
古川氏
「プラス、もう1つ重要なポイントとして、北朝鮮は石炭が豊富なんですよ。現在、輸出できないようになっていますね、安保理決議で。ですから、たとえば、寧辺にある核施設というのは、あれは火力発電で動いていますから、たぶんそれはなかなか止まらないでしょう。いろいろなエネルギー専門家の方々のお話をうかがいますと、石炭の液化技術というのも一応あるそうですね。どれぐらい北朝鮮がそれを持っているかはわかりませんけれども、彼らはできることをガムシャラにやると思います。国家が一体となって核ミサイルに必要なだけのリソース、エネルギー源を確保しようと思ったら、それを止める術というのは非常に難しいと思います」
佐々木キャスター
「トランプ大統領が、このようなことを国連演説の中で言っているんですね。『核戦争の不安をあおる政権と貿易する国があるのは言語道断』である。『それらの国は兵器や財政などの支援もしている』と。このそれらというのは、おそらく中国やロシアに当たると思うのですけれども、まずそういう認識でいいですよね?中国やロシアだとすると、ここまで言及したことに関しては、吉川さん、どう思いますか?」
吉川氏
「名指しをしていない。それから、たくさんいるわけですね、私は時々、北朝鮮というのは世界で大変孤立しているような国というようなことを思っている方が多いから、いや、そんなことないですよ、150以上と国交を結んで、最近の、国連の決議の中で外交団を締め上げようと、つい最近、たとえば、僕も昔、大使をやったスペイン、ペルー、メキシコが、それぞれ自分の国にいる北の外交官を追放したりしているというのは、これまではいたわけだ」
反町キャスター
「そういうことですよね」
吉川氏
「そういうことでしょう。それから、マレーシアでは殺人事件が行われたけれど、マレーシアと北朝鮮はビザなし交流ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
吉川氏
「いろいろなところにネットワークがあって特定の国のみが兵器・ファイナンスということではないですよね。北の武器は安価で、性能がいいということになっていますよね、ミサイルも。ですから、有力な輸出産品を持っているわけです。買う方からすれば安い方がいいわけだし、それは安保理の決議に反しているかわからんけれど、そのへんはこっそりやろうと。古川さんがいた監視委員会に、安保理の制裁委員会に見つけられない限り、自分の方から言わなければいいわけですから。そういう意味では、制裁については実行されてナンボだと、実行されない限りは絵に描いたモチですので、制裁委員会が徹底的に追いかけて、それをできるだけ明るみに出し、そこで1つ1つ圧力をかけていくと、難しいですけれども、これをかなり広範に長続きするようにやっていかないといけない」
反町キャスター
「中国・ロシアがどのくらい守っているのかどうか、そもそもそこから見なくてはいけないではないですか?」
古川氏
「守っていないですよね」
反町キャスター
「そういうことですよね、つまり」
古川氏
「中国はまだいろいろな形で統計とか、商業用のデータベースで北朝鮮と取引をしている企業の情報が摘発しやすいです。完璧なブラックボックスが、完璧とは言いませんが…」
反町キャスター
「ロシア?」
古川氏
「ロシアですね」
反町キャスター
「見えないですよね?」
古川氏
「見えないです。最近出てきている情報を見ましても国として守っていると言うよりは、むしろそういう密輸業者が相当に暗躍し始めてきている。中朝国境付近でもレッドサンという、赤い陽と言うのでしょう、そういうローカルなマフィアのグループもいれば、ウラジオストクにはクラブマフィアという、カニですか…」
吉川氏
「クラブ…」
反町キャスター
「あっ、クラブはそっち?ナイトクラブではなくて…」
古川氏
「そういうのが結構、出てきている。それは本当に1例ですよ。ですから、禁輸にすれば、今度はそれを可能にするための密輸業者が活性化すると。特に中朝国境付近というのは、言ってみれば、親戚が国境の両側に住んでいてもともと経済構造は地域で一体化しています、中国の企業が北朝鮮側に繊維と機械を送って、北朝鮮側で衣服をつくって、それをまた中国に戻し、中央企業がそれを販売する。だから、一体化した経済構造を現在、ぶっちぎっているので、当然このビジネスをしている人達からすれば、制裁違反してでもビジネスを続けようというインセンティブはかなり強いですよね。そこに手を差し伸べるマフィア集団とか、あるいは腐敗した地域の地元の役人、いろいろなのがいますから、なかなか取り締まろうと思っても厳しいのだろうなと思いますね」
佐々木キャスター
「となると、本当に守らなくても特にペナルティも課されないわけではないですか。そうなった場合に、吉川さん、国連安保理としては何ができるのですか?そういう守っていないということがわかった場合…」
吉川氏
「これは、私は国連にいた時には、イエメンの制裁委員会の議長をやったんですね。イエメンに対して武器を売っている国、あげている国、これは我々も知っているわけですね。それはいろいろな情報が入ってきますから。そういう国の大使のところに乗り込んで行って、こういう情報がありますよ、というのを紙に書いて渡す。紙を書くのはいろいろ他の人とも相談しないといけないけれども、私が行って話をするぐらいはできる」
反町キャスター
「それは効果はありますか?」
吉川氏
「うーん、どうだろう、ただ、それがせいぜい…」
反町キャスター
「松川さん、話を聞いていると、限界を感じちゃうんですよ」
松川議員
「うん、そうですね」
反町キャスター
「強制力もないし…」
松川議員
「ないですね」
反町キャスター
「制裁決議といっても各国に順守義務があるといっても、守ってくださいよということで…」
松川議員
「はい」
反町キャスター
「守らなかった時の罰則も実際ないわけでしょう?」
松川議員
「うん、はい…」
反町キャスター
「これはどうにもならないですよね?」
松川議員
「いや、でも、私は、まだ安保理決議というのは、およそいろいろある中では1番エフェクティブと言うか、効果的なものだと思うんですよね。そのもともとの前提がちょっと違うと思うんですね。およそ国際社会においては中央政府はないわけですから、そもそも強制して、ある主権国家、全ての主権国家をどうこうするということは、およそできないという前提から始まらないといけないですよ。その前提から考えた時に、仮にも、安保理決議が出てくれば、それについては国連加盟国であれば、法的な、この法的というのは強制力がないわけですけれども、それはかかるわけです。抜け穴をどこの国でやっているのかということを調査する権限も出てくる。それについて非難することもできると。もしもなかったらということを考えていただくと、私は、安保理が確かに、安保理決議が万能ではないというのはまさにその通りなのですが、およそこの国際社会、主権国家からなっている国際社会の中で他により良い、強制と言うか、強制的な、方策があるのかと言えば、そうではないと思うんです」

『次の一手』と日本の役割
佐々木キャスター
「今後、北朝鮮が新たな核・ミサイル実験を行った場合、国連安保理はどう対応するのかですが。当初、アメリカが主張していた制裁決議案の中で、今回見送られて修正された内容ですね。見ていきます。原油の全面禁輸、金正恩委員長の個人資産を凍結する、制裁指定された船舶の検査時にあらゆる必要な措置を講じることを許可する、ということを最初に主張していたわけですが」
反町キャスター
「古川さん、この話は、要するに、経済制裁を次から次から強化していく時には、たぶんこういうパターンの繰り返しになると思うんですよ」
古川氏
「ええ」
反町キャスター
「たとえば、武力行使を念頭に置いた時、経済制裁ではなくて非難決議みたいなものがあって…」
古川氏
「はい」
反町キャスター
「それを根拠に有志連合をつくるとか、そういうことをもって武力行使に入っていくというパターンが過去にいくつかあったではないですか?アメリカがやったように」
古川氏
「はい」
反町キャスター
「そういうパターンにいくか、いかないか、この見極め、まだ暫くこの状態が続く、制裁のせめぎ合いが続くと見ていますか?」
古川氏
「アメリカの国務長官、国連大使等の話を聞いていると、安保理決議、安保理のレベルでできることはほぼ尽くしたと言っています」
反町キャスター
「そう、そこです」
古川氏
「全て尽くしたとは言っていません、ほぼ、と言っています。この前の9月5日に採択された決議も、私からすれば、あの内容に中国が、ほんの5日間ぐらいですか…」
反町キャスター
「速かった、速かった」
古川氏
「合意したなんてあり得ない話です。とてもあり得ないです。これは、絶対、習近平主席のトップダウンの介入があったとしか、私は思えません。トランプさんと習近平さんが電話会談をしていましたよね」
反町キャスター
「はい、やっていました」
古川氏
「もしかしたらですよ、私の単なる憶測ですけれど、これが採択されなかったら、アメリカとしては単独で自衛権の発動にいくというような脅しをした可能性はすごくあると思います。ですから、中国が意思決定をすれば、基本的にロシアはどちらかと言うと、中国の意思を尊重する、踏みにじることはしませんので後ろについていくようなパターンになります。ですから、基本的には次の決議においても、中国がどう判断するか。それはトランプ大統領が、また中国に対してどのようなメッセージを送るかということにかなり強く依存するところもあるのかなと思います。ただ、安保理決議でアメリカがこれは納得いかないとなれば、いつでも彼らは自衛権のもとに単独にいく。そこで有志連合でいくということは十分あり得る話だと思います」
反町キャスター
「ただ、吉川さん、安保理が制裁決議、そういうところから、いきなりアメリカが有志連合をつくるか、もうちょっと別の決議ないしはステップがあったうえで、これが行き詰まって、もういよいよダメだということが建前上必要ではないか?そうでもないですか?」
吉川氏
「それはそうでしょう。第7章での強制措置というのは軍事・非軍事…。非軍事がインクリメンタルと言うのかな、自動的に軍事につながるということ、これはないですよ。それは国際の平和と安全を具体的に壊したというアクションがとられない限り…」
反町キャスター
「先手、北朝鮮でなければ無理だという意味ですよね?」
吉川氏
「北朝鮮が何らかの行動を起こすということを引き金にして…」
反町キャスター
「そうですよね」
吉川氏
「安全保障理事会は次のレベル、第7章の強制措置のうちの軍事的なところに、初めて動けるわけですね」
古川氏
「アメリカ案はもともと、先ほど、吉川大使がおっしゃった案だったんですね。国連憲章第7章に基づくとなっていたんです、これは武力措置を含むという条文ですね。従来は第7章の第41条に基づくとなっていた、これが第41条というのが、非軍事的手段のみです、それが伝統だったんです。アメリカ案ではこの第41条を除いたので、武力手段も含むということで、そういういろいろな大胆な措置があったんですね」
反町キャスター
「あっ、あらゆる措置というのは、そういう言い方ですね?」
古川氏
「そちらの方、この次の安保理決議でこれをアメリカが出してくるということは、まさにそのプレリュードに近いような状況になると認識しておくべきだと」
反町キャスター
「次にこれが入ってきた時には、法的には、建てつけ上は…」
松川議員
「はい」
反町キャスター
「たとえば、先手、北朝鮮がなければアメリカはやらないという話にもなったけれども」
松川議員
「うん」
反町キャスター
「これが組み込まれていれば、先手、北朝鮮ではなくてもいけるのですか?」
松川議員
「そうですね、はい」
吉川氏
「今の、ちょっと…」
松川議員
「ここの…」
反町キャスター
「どうぞ…」
吉川氏
「過去のアメリカの行動を見ると安全保障理事会のお墨付きがあってアクションを起こしたというのは非常に限られているわけですね」
反町キャスター
「なるほど」
吉川氏
「これまでの、つい最近のシリアの空爆…」
反町キャスター
「59発…」
吉川氏
「それは安保理のお墨付きは全然ないです」
反町キャスター
「その代わり、中国の了解を得たかどうかわからないですよね?」
吉川氏
「だから、そういう、それは過去の行動を見ますとそういう例があるということは、それは覚えておいた方がいいですよね」
反町キャスター
「なるほど。そうすると、吉川さんの話を聞いていると、あらゆる必要な措置とか、これが次の安保理の理事会にあがってくるか、こないかは、アメリカがその気になったら関係ないっちゅう話になるわけですよ」
吉川氏
「それは、むしろアメリカの本当の意味でのレッドラインはどこなのだと。ある国がアメリカ合衆国のテリトリーを、領土を、核兵器で攻撃できるだけの、運搬手段を含めて、持ったという瞬間に、それはもうレッドラインだということを、これまで何回か言われているわけだから。その直前になった時に、たとえば、中国がお前ちょっと危ないぞということをキチッとメッセージとして伝えて、そこで急展開して、過去に何回もあったように北朝鮮が、あっ、かくかくしかじかだから、交渉しよう、しますと言っても、実は驚かないのだな。過去にもそういうサプライズはありましたよ。南北朝鮮が国連に一緒に入ろう、それまでノーと言っていたのが、1晩で入ろうと言ったような。いろいろとサプライズはあり得るから、そういうところは、我々としては期待していますけれども」

機能向上と日本の役割
佐々木キャスター
「吉川さん、日本は国連安保理に対してどんな働きかけをし、どんなことが今後できていくと思いますか?」
吉川氏
「日本はいろいろなことができると思いますよ。まずは議席を確保する。1月から日本は安保理に座らないわけですよ。これまで日本が入っているから、いろいろな交渉を現場でやれたのだけれども、これができなくなる。そこで頼れるのはアメリカしかいないです。イギリス・フランスにも頼めるけれど、日本の国益を考えて最後までやってくれるのはもうアメリカしかないですよね。現在の不完全な国際社会の中で法的な拘束力を持つ決定ができるのは安全保障理事会しかないわけですよね。だから、そこに、いつも席を持って座っている。常任理事国になろうというのが日本政府の立場だし、僕もそれで二十数年間やってきましたけれど、私は常在、いつもいればいいのだ、常任でなくていいのだと」
佐々木キャスター
「非常任であっても、ということですね?」
吉川氏
「うん、どういう格好であってもいいから、いつもあそこに座っているという、まず議席を獲る」
佐々木キャスター
「そこがプレゼンスを高めていくことになりますよね?」
吉川氏
「そう、それからあとはいろいろなことがやれますよ。日本のプレゼンスというのを高めるための人の部分ですね、たとえば、大使に松川るいのような女性で強力な人を送り込む。事務局に日本人の職員をドンドン増やしていく。現在アントニオ・グテーレス新事務総長になって、国連の幹部は50%女性ですよ、と言うか50%が男。日本から中満泉さんが女性で初めて事務次長になっていますけれども、人を増やす。国連についてはすぐ何もできない組織ではないかというような批判があるのだけれど、日本全体がこれに関心を持って、日本は国連を重視していく。そういう点では、安倍総理大臣が、5回連続、国連総会に出席された。こういうトップがどこを見ているかということを世界の中できっちりわからせる、非常に大事ですよ。ですから、そういうことによって国連全体の中で、こう言うと語弊があるけれども、1番中心にならないといけないアメリカが、国連に対して相当、こんなに俺は金を払い過ぎている、もっとお前らがんばれ、と言っている、そういう中で、第2の拠出国である日本が存在感を示す良いチャンスですよ。ですから、いろいろなアイデアを出して、人も増やして、そういう格好で是非、日本自身が国連により大きな存在感をつくっていくことが大事だと思います」
佐々木キャスター
「現場で働かれていた古川さんからすると、日本にできることは何でしょうか?」
古川氏
「あります。数は少ないですけれども、非常に、優秀な日本人の職員がいます。ですけれども、イギリス・フランスの反対で上にいけないです。安保理の事務局というのは既得権益になっていましてイギリスとフランスがほとんど主要ポストを独占するんです。申し訳ないですけれども、あまり良い人達はいません。ですけれども、日本人というのは非常に真面目で良い人達がいるのですけれども、なかなか上にいかない。ですから、ここをもう少し政府も一体になって1人ずつ上にいくと。中満泉さんみたいな事務次長に続くような人材が結構いますので、これを地道ですけれども、1つずつ上にあげていく。国連では敵は意外なところから来ると私どもは言っていました。最初はヨーロッパというのは、すごく仲の良い同志だと思っていたのですが、どうも必ずしもそうではないというところが私の印象なので。是非ここを、既存の日本人の人材を上にあげていく、ここに注目する必要があると思う」
松川議員
「ハイレベルポジションの職員を増やさないと、現在、IAEA(国際原子力機関)の天野事務局長と中満さんだけですよ。日本人職員の数も800人、アメリカは3200人。量もそうですけれども、前もって、だって、空くポストは、国連は大きな機関ですから、2年後にこのポストが空くとか、わかっているわけですよ。そうしたら、そこに向けて、誰をどういう箔をつけて送り込むというプランニングからやっていかないといけないし、発掘しておかないといけないし」
反町キャスター
「それは外務省の仕事?」
松川議員
「いや、そうなのでしょうね」
佐々木キャスター
「上にいくための戦略が必要である?」
松川議員
「長期プランニングしないと無理ですよ」

松川るい 自由民主党参議院議員の提言 『日本と印を安保理に!』
松川議員
「日本と印を安保理に。日本が入るというのは先ほど、大使もおっしゃられたように、常にそこにいると意思決定あるポジションにいるということが非常に日本の国益にもなるし、国連のためにもいい。アメリカしか現在、日本の代弁者がいない。インドと日本というのはナチュラルパートナーです。私は是非、日本とインドを安保理に。これが国連のためにもなる、日本のためにもなると思っています」

古川勝久 元国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員の提言 『既得権益 排除!!』
古川氏
「既得権益排除、イギリスとフランスが現在、牛耳っているポストを是非、日本人が取り戻して、取り戻すと言うか、奪還する、そうやって1人ずつ良い日本人を1つでも多くの責任あるポストに入れていく、これが必要だと思います」

吉川元偉 前国連大使の提言 『日本は安保理常在理事国を目指す』
吉川氏
「日本は安全保障理事会にいつもいること、これが日本の国益にとって最も大事だということを、42年間の外交官人生で確信しています。常任理事国になることがすぐに達成できないのであれば、常在、いつもいる、この方式を探していきたい、いくのがいいと思っています」