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2017年9月18日(月)
加藤厚労相×高齢社会 人生100年の社会保障

ゲスト

加藤勝信
厚生労働大臣 自由民主党衆議院議員
樋口美雄
慶應義塾大学商学部教授
西沢和彦
日本総研主任研究員

急浮上する『早期解散の風』 与野党の争点と衆院選の行方
松村キャスター
「高齢者の働き方と年金制度についてです。今月、安倍政権が人生100年時代構想会議を立ち上げるなど、高齢化時代に対する社会制度の見直しがさまざまな面で加速しています。1億総活躍社会を目指す働き方改革の中で、高齢者は、どのように位置づけられていくのか。雇用と社会保障政策の舵取り役を務める加藤勝信厚労大臣を迎えて、今後の課題をじっくり聞いていきます」
反町キャスター
「50%に回復しました。森友、加計の話で、国会でギシギシ削られて、ジリジリ落ちていった中で、グーッと戻ってきたのですけれども、手応えとして支持率が戻ってきているなというのを肌で感じますか?」
加藤厚労相
「支持率は、基本的に高いほど、政権にとってはありがたいというところはありますけれど、官房長官が記者会見で言っておられるように、上がったり、下がったりしたことに一喜一憂することなく、やるべきことをしっかりやっていく。そうしたことが結果として、国民の皆さんにどう評価されていくかということになるのだろうと思います。そういう意味では、現在、どう感じているかと言っても、私も非常に狭いサンプルでしかありませんけれども。ただ、私の仕事で言えば、今、働き方改革、樋口先生も労働政策審議会で先般、建議をいただいたのですけれど、長時間労働の是正とか、あるいは非正規で働く方の処遇改善につながる同一労働・同一賃金とか、そういったことを1つ1つ具体的に進めていく、これを現在、一生懸命に、我々はやらせていただいているということであります」

社会保障&税制改革をめぐる焦点
反町キャスター
「社会保障の財源に全部使ってしまおう、2%の5.4兆を使ってしまおうということを自民党が打ち出してくるのではないかという前提で、前原さんは、今日こういう発言をされています。『社会保障充実のために皆で分かち合うという考えを理解されたか、かぶせてきて争点隠しをしているだけか、しっかり精査していく』。増税分の肌触り感を民進党も自民党もアピールするというのが今回の総選挙にポイントになるのではないかと前原さんは言っているのですけれど。こういう可能性は現在、出てきているのですか?」
加藤厚労相
「歳出に関して、こういうことをしようということは、従来、我々も言ってきたんですね。そのために財源をしっかり確保しなければいけない。しかし、他方、財政再建も進めなければいけないですね。だから、消費税というものも当初、全額を社会保障、これは、基本理念は社会保障に充てるということになっているのですが、ある意味で社会保障の財源を十分確保しなかったがために、赤字が現在、生まれているという見方もあります。従って、それを解消していくためにも、消費税を上げていきましょうということで、3党合意でやってきたわけです。ですから、その財政再建をどうするのかと、現在、申し上げた必要なさまざまな施策を現在、国民から見ても必要な施策をする財源をどうしていくのか、そこを総合的に議論していかなければいけないのだろうと思います」
反町キャスター
「役所の立場として、厚労省としては2%、5.4兆円というのは財政健全化に使うのではなくて、社会福祉や社会保障の方に全額投入するということというのは、望むべき方向なのですか?」
加藤厚労相
「私どもとしては、先ほど申し上げたように、恒久的な財源がなければできない。消費税の財源というのは、恒久的な財源であることはその通りだと思います。ですから、そこをどう判断されるか、財政再建との関係でありますから、アレですけれども、いずれにしても、我々は恒久的な財源を確保して、今、申し上げたような、特に私どもの関係で言えば、幼児教育や保育の無償化とか、待機児童解消に必要なお金とか、そういったものをしっかりと確保して、国民の皆さんの期待、不安の解消に努めていきたい、これは当然のことですね」

高齢者の活躍と『定年引き上げ』
松村キャスター
「年金制度と定年について皆さんに聞いていきます。現状はどうなっているのかと言いますと、こちら、高齢化に伴う支給開始年齢の引き上げは厚生年金の報酬部分など、まだ継続中ですが、現状としましては基礎的な年金の支給開始は65歳が中心で、前後5年の受け取りが可能となっています。60代前半に繰り上げれば減額、反対に繰り下げれば増額という仕組みです。年金制度の変更を受けて、2000年代に入ってからは企業側に対して、60歳以降の雇用について継続雇用、定年引き上げ、定年制の廃止、この3つの選択肢から何らかの措置を取るよう法律が整備されてきました。その実施状況なのですが、調査結果は中小企業・大企業とも、嘱託や契約社員など継続雇用を行っているという会社が大多数となっている、このような状況となっています。2000年代に入って、法整備が進んできたわけですけれど、加藤さん、企業・働き手ともに65歳が定年という、これは意識が大半になってきていると思われますか?」
加藤厚労相
「60歳の定年が多くて、それを65歳までということで、継続雇用、現在、おっしゃられた法律の中で、65歳まで、その選択肢としては、定年年齢を60歳から65歳まで引き上げるか、定年制を廃止するか、あるいは違う形の継続、雇用形態に変えて、65歳までの雇用を確保していくのか、この3つのうちのどれかを取ってほしいということで、進めています。大半の企業はやっていただているのですけれども、今おっしゃるような、数字としてはほとんどがこの継続雇用ということでありまして。ただ、これは実態を私も地元で聞くと、切り替えで、これまでと同じような仕事をしているのだけれど、60歳から60歳ちょっと、定年年齢を超えた瞬間に、同じ仕事をしているのだけれども、貰う給料が半分ぐらいだとか、これではやる気が出てこないという声も聞くわけですね。ですから、そういう意味で、私どもとしては、定年の引き上げ等によって65歳まで働き続ける、あるいは、さらに言えば、あとに出てくると思いますけれども、元気な限り働きたいという方がたくさんおられますから、65歳と言わずに、さらに継続雇用していただける、そういうことを、まずさまざまな助成措置を、要するに、支援をすることによって、ちょっとこの数字は少ないですから、もっと高めていただく。全体が高まってくると、これは法制度的にどうするかというステージに入っていけると思うのですが、まだそこまでいかないので、まず状況を変えていきたいということで、取り組んでいるところであります」
反町キャスター
「60歳までいって、60歳のあと契約とか、嘱託とか、給料がガターンと落ちる、この部分…」
樋口教授
「ええ」
反町キャスター
「良い解決策はないのですか?」
樋口教授
「いや、定年というのはどういう意味だろうかと考えてみますと、1つは全員がその年齢になったら、会社を基本的にはやめなくてはいけない、仕事をやめなくてはいけないと。もう一方は、その年齢までは雇用を保証しますという制度なわけですよね。たとえば、要するに、仕事の打ち切りの期間、ターミネーションの期間だということですから、これまでの会社の設計として、若いうちは、たとえば、賃金が安くても後払いで賃金を伸ばすという年功賃金的にやってきたわけですね。ですから、たとえば、60歳ということで定年であれば、その前になると、もしかしたら生産性よりも高い賃金を貰っているのかもしれない。それが、ターミネーションを過ぎましたので、元の市場価値の水準に戻しますよというようなところでありますから」
反町キャスター
「継続になって、嘱託になって、給料が半分、3分の1になっちゃったとショックを受けている人達は、それがあなたの現在の価値なのだ、そういう意味になってしまうのですか?」
樋口教授
「いや、ですから、それを変えていくというためには、たとえば、年功賃金というものも変えていかなくてはいけない。これまでのような急なスロープで立っているというようなものではなくて、それぞれの年齢で生産性に見合ったような給与体系ですか、というようなものに、変えていかなくてはいけないということであって。急に、60歳を現在の給与体系のまま65歳、70歳、というふうには企業の側がどうも承知しないというようなところではないでしょうか」
反町キャスター
「言われたみたいに、賃金カーブも含めて、そこのところから変えようと国から企業に働きかけるということはやっているのですか?できないものですか?」
加藤厚労相
「賃金カーブとか、あるいは、あとでもしかして議論になるのかもしれませんが、日本の場合は職能給という、要するに、職務給、この仕事やるからというのではなくて、その人が将来どうなるかとか、いろいろなことを含めて、給料が決まっているとか。あるいは無限定ということです」
反町キャスター
「何ですか?」
加藤厚労相
「無限定とは、要するに、この仕事をするから雇いますとか、この地域ですということではなくて、もうどこへも行きます、何でもやりますと、そういう状況で雇用されている。いろいろなことがこの中に入っていると思うんですね。それは、ただ、それぞれの企業の選択で、ある程度、規範に、要するに、法律等に違反しなければ、それぞれの判断でおやりになる。また、その業種によってもいろいろな形が違うと思うんですね。割と短い期間で出入りがあるようなところと、長い期間に勤めてほしいと思うところと、いろいろあると思いますから、それはそれぞれの企業がご判断することだと思いますが。ただ、これからの日本を考えれば、いわゆる生産年齢人口が、ガンガン減ってきている。その中で、高齢者と女性のところについてはまだまだ働きたいけど、働けない、あるいは十分な時間を働けないようなところがあるので、我々はそうした方々が働きやすいように今回、働き方改革を進めていく。当然その中には企業側もより力を出して、働いてもらうためにはどうしたらいいかということをお考えになると思うんですね。そうすると、こうしたガクンと下がって、やる気がなくなる方がいいのか、それとも65歳までしっかり力を出して給与に見合う、あるいは場合によってはそれ以上の仕事をしてもらう方がいいのか、そこはドンドン判断されていく。そういう判断をされる、そういうところを我々は後押しをしていく」
反町キャスター
「加藤さん、政府は定年の引き上げとか、定年制の廃止に向かって後押ししたいと思っている。たぶん企業側も、全体のいわゆる人手不足で、なかなか非正規の人を雇うにしても賃金がすごく上がっている、だったら、正規の方を雇用したいと思っている部分もあるかもしれない。そういう雇用慣行の変化をしたいと思う人達がいる一方で、それに対する障害というのは何ですか?誰がそれに抵抗しているのか?」
加藤厚労相
「それだけ定年制を上げるということは、人をそれだけ抱え込むわけです」
反町キャスター
「人を?」
加藤厚労相
「人を。そうすると、それに対するリスク。だから、よく賃金が上がらない背景に将来が見通せないので、なかなか賃上げに転じられない、要するに、人件費をそれだけ大きくできない、そういった不安等があるわけですけれど。これはある意味で、長くデフレが続いてきたとか、いろいろなことがあります。ただ、現在状況が変わりつつありますから、それを我々はいろいろな形で後押しをしていくと。そう転じようとする企業を応援していくということが必要だと思う」
樋口教授
「全員一律というものに対して、企業は抵抗があるんですよ」
反町キャスター
「嫌がりますよね」
樋口教授
「たとえば、60歳を過ぎてくると、平均的に健康寿命は伸びているのですけど、いろいろ個人差というのは出てくるわけです。個人差が出てきた時に、全員を65歳まで引っ張っていくのかというようなことに対して、いい人はほしいわけですよ」
反町キャスター
「どこかで企業側は足切りをしたいわけですね?」
樋口教授
「というのが本音だと思いますよ」
反町キャスター
「なるほど。それはでも、その考え方を採ったら政府のスキームは成立しませんものね?企業側が望む人材は65歳でも70歳でもいいけれども、それ以前に企業側が必要としない人材は切られてもいいのだよと、このスキームを政府が進めるわけには、当然いきませんよね?」
加藤厚労相
「ですから、そこは企業の中でそれぞれお決めいただくという話、それから、その話はもっと手前のところで、いろいろな意味で転職できるとか、自分の持っている力を発揮できるとか、そういったことも我々は進めていかなければいけないんだろうと思います」
反町キャスター
「西沢さん、定年制に関する政府の取り組み、やれるところには限界があるような話を聞いてきたように思うのですが、どう感じていますか?」
西沢氏
「政府が、たとえば、最低賃金とか、定年とか、ルールを決めることって副作用があると思うんですよね。たとえば、雇用を定年延長して、企業は定年延長の評価を政府から得たいから、たとえば、渋々、私が65歳になって雇うと、私も働きたくないけれども、ウーンといってしがみつくみたいなのはハッピーではなくて。ですから、政府が意識づけするというのはそのイニシャルであって、本当は事業主と労働者の当事者同士の話し合いと言うか、マーケットに委ねられるのが、たぶん1番ハッピーだと思うんですね。本当に私を必要としてくれているところが受け入れてくれるというマッチング、市場における。ですから、政府がこうして意識づけをされて、リードされているということは初期投資として、あとは極力、市場に委ねて、私のスキルなりを広く他の会社に知ってもらうようなマッチング機能に政府は徹するとか、そうすると、働く側もハッピーですし、雇う側も義務ではなく、本当に人として働くようになるので。そのためには労働時間の規制とかもできれば本当に外して、柔軟な働き方をすれば、年齢を重ねても働けるようになりますし。その代わり、労働者の権利保護というのがありますので、事後評価ですか、それは政府がきちんと厳しくやっていく。ですから、マーケット機能を活かしながら、政府は事後評価、マーケットを機能させる役に徹するというのが私は好ましいと思うんですけどね」
反町キャスター
「いかがですか?」
加藤厚労相
「そのマーケットとおっしゃっている…」
反町キャスター
「労働市場」
加藤厚労相
「…市場もあるでしょうし、中での労使のいろいろな議論もあるのだろうと思いますので。ですから、我々は先ほど、少なくとも現在の状況においてこの規制として、法律としてこうするということには至らないし、状況的にも。ですから、まずさまざまにやりたい、進めたいという人達を応援しながら、1つの状況が転じてきて、ある程度の量が、これが社会の常識になってきたということになれば、それをどういう形で担保していくのかという議論に入っていくのだろうと思っています。まずその前段階を、現在、一生懸命、取り組みをさせていただいていますし、また、この議論というのは、一歩間違えると定員を決めていて定年を上げると、どこにしわ寄せがくるかと言うと若い人の雇用にきますから。雇用の状況、それもたぶんマーケットということにつながると思いますので、そのへんを見ながら進めていかなければいけませんが。ただ、現在は少なくとも雇用は非常にタイトな状況になっている」

働き続ける高齢者の実情は…
松村キャスター
「最新調査による、年代別の就業率を見ていきます。オレンジと黄色い部分が働いている人ということになるのですが、男性は60代前半で77.1%、60代後半では53%、70代前半でも32.5%となっています。女性を見てみますと、60代前半はおよそ半数の人が働いている、60代後半は33.3%、70代前半は18.8%と、このようになっています。加藤さん、60代、70代で働く高齢者は今後もドンドン増えていくと思われますか?」
加藤厚労相
「そうした希望を持っている方もいらっしゃいますし、申し上げた、全体としての労働力市場がタイトになっている。ただ、40代・50代と同じように、60代というのはなかなかしんどいところもありますから。そうした高齢者の方々が働きやすいような雇用体系とか、あるいは短時間で働けるとか、週4日で働ける、いろいろな選択肢が提供されるということが大事なのだろうと思いますね」
反町キャスター
「加藤さん、働きたい人がいるのはいいにしても、その理由として、暇だから、生きがいだから、やりがいだからと言う人もいれば、単に生活費が足りないのだよ、年金では食っていけないからという、そのへんの実態を政府としてどう把握されているのですか?」
加藤厚労相
「いろいろな理由があるのだと思いますけれど、ただ一般的にはアンケート調査をとれば、いつまで働きたいですかという質問に対しては元気な限りですね…」
反町キャスター
「これこれ、いつまでも…」
加藤厚労相
「ええ、働けるうちはいつまでも、75歳、あるいは70歳という方が多いですね。ですから、これは、国は若干こういう意識が違うと思いますけれど、少なくとも現在の、日本の高齢者の方々というのは、こういう意識を持っておられて。それはもちろん、生活費の足しになるということはあるけれども、毎日やるべきことがあって、それが生活の張りになり、生きがいになり、ある意味では、健康長寿につながっていく部分もあるのだろうと思います。ですから、そういった想い、しかも、現在、労働市場は全体がタイトですから、いろいろな方に参加していただきたいという意味においては、そういった能力と希望が、たまたま年齢が高いというだけで仕事がないと言うのではなくて、能力と経験のある方にはドンドン力を発揮していただける、そういう状況、社会をつくっていきたいと思います」
樋口教授
「60歳から64歳、男性の77%が働いているということですが、半分以下しか正社員として働いている人はいないですよね。むしろ嘱託とか、非正規という形で働いている人が過半数ということになりますから。見方によっては、たとえば、パートタイム、週に3日とか、4日ということであれば、完全にリタイアするのではなくて、パーシャル・リタイアメントとよく言うんですね、部分的にリタイア、しかし、仕事はしていますよというような、そういった人達が増えているということだと思うんです。その人達が本当に仕事がないから、やむを得ずパーシャルで働いているのかどうかということを考えていると、かなり希望している人というのも、そういった働き方というのを希望しているという人も多いということですから。65歳に、たとえば、定年を引き上げた時には、全員がフルタイマーとして65歳まで働きますということをたぶん想定しているのだろうと思うんですね。それが果たしていいのかどうかというような、現実的かどうかという問題を判断していかなければいけないということだと思います」
反町キャスター
「そうすると、樋口さん、その前提としては、終身雇用とか、年功序列とか、そういったものも当然のことながら、人それぞれの雇用形態があるよと、その時代に変わっていかなくてはいけないわけではないですか?」
樋口教授
「そうですね」
反町キャスター
「社会文化みたいなもの…、今ここでずっと話をしていることは、1つの企業がやって、どうこうということよりも、日本の企業風土というか、労働慣行、労働文化みたいなものを全部変えなくてはいけないよと、こういう話ですよね?」
樋口教授
「そうですね。制度には、いわゆる補完性ということがあるということですね。1つだけの制度、これだけを変えてもチグハグになってしまうということですから。徐々に徐々に全体を変えていくということが必要だということだろうと思いますね」
反町キャスター
「もう1つ、加藤さん、働けるうちは働きたいという人達が42%いるという時に、また先ほどの話になるのですけれども、この人達が現在の収入、年金では生活ができないから、現金所得がほしくて働いている人がいるとした場合に、現在はたまたま労働市場がタイトだから働こうと思えば働けるのかもしれないし、非正規から正規の間口もあるかもしれない。労働市場が変化した場合に、先に切られるのは若年者ではなくて、こういう人達ではないかという、そこの考え方はいかがなのですか?」
加藤厚労相
「いや、ですから、そこはそうならないように我々としては、経済に対して、景気というものをしっかり、回復基調にあるように、成長にあるようにもっていくというのに、全力で現在、取り組んでいるわけで。逆にこれまで取り組んできた結果が、現在、こういう形になって現れているわけです。もちろん、景気には山や波がありますけれども、トレンドとして、そうした方向へもっていくということが、さらに言えば、そういう中でトータルとしての生産年齢人口が下がっていますから、こうした高齢者の方々が働き得る状況をしっかり確保していきたいと思いますね」
反町キャスター
「長期的に日本は人口減少傾向にあるわけですから、労働市場がルースになるということをあまり前提としては考えていない?こういうことなのですか?」
加藤厚労相
「それはいろいろな可能性があると思います。現在のAI(人工知能)が云々とか、そういったこともあると思いますけれども。しかし、そういう状況の中においても、そうした高齢者のみならず、雇用をしっかり確保していくということは国民の生活の基盤になりますから、それは我々の政府の責任として、全力で取り組むべき課題のトップに挙がるべきものだと思いますね」
樋口教授
「それはセーフティーネットですよ、逆に。景気が悪くなって、たとえば、仕事に就けないというようなことがあれば、ちゃんとセーフティーネットあって、セーフティーネットの機能というのが発揮されるわけですから、それはちゃんと用意しておかければいけないということですよ」
反町キャスター
「それがないから、皆、心配で働いているのではないのですか?」
樋口教授
「いや…」
反町キャスター
「たとえば、年金の実際の給付額が少ないとか、年金の次にどこにいくのか、いきなり生活保護になってしまうことに対する抵抗感とか、そういうもの、セーフティーネットと樋口さんは言いましたけれども、セーフティーネットが1か2の2択で、その間のものがないというところにおいて、途中で止まるところがないから、皆、多少無理をしてでもがんばらなくてはいけないという…、どうぞ」
樋口教授
「1つは国民年金の話だと思うんですね。国民年金の給付額が少ないというのは事実だと思いますよ、私も。そこをちゃんと拡充するというのも政府の役割の1つだろうと思います。厚生年金と、一方において無年金と言うか、それを必要としないというような人達というのもいるわけですから、そこのところの、中間のところが薄いというところ、それはまさに弱者というような立場から考えれば、充実させていくということが不可欠だと思います」
加藤厚労相
「人生100年という時代、60歳、65歳で辞めて、あと全部年金でと言われると、それを誰が負担をするかと言えば、今度、今、働いている若い人達になるわけですから。そういった意味では、人生が90歳、100歳という中から見た時に、実際にどこまで働くのか、また、そこをどうバランスをとるのかということは、考えていかなければいけないと思いますし。高齢者の方はもちろん、病気になったり、介護が必要になったり、あるいは仕事がしにくくなる、若い人に比べて。そういうリスクがありますけれども、若い人がないのかと言えば、子育てのリスクとか、いろいろなリスクがありますから。そういったリスクにしっかり対応していこうということで今回、全世代の社会保障ということを1つ、私どもは申し上げているんですね」

低年金・無年金問題への『処方箋』
松村キャスター
「既に年金を受け取っている高齢者の生活ぶりを、国民年金の老齢基礎年金のみの世帯を例に見てみます。加藤さん、この現状をどのように見ていますか?」
加藤厚労相
「現在、だいたい、えっと、40…でしたっけ?」
西沢氏
「6万6000円ですね」
加藤厚労相
「…6万5000円ですけれど。中にはその分だけ保険料を払うことができない方というのもいらっしゃいますし、満額は現在、7万円弱ですけれども、夫婦合わせると14万円という数字になったり、単身世代だと7万円、それが衣食住に必要な費用とみて、ちょっと足らなかったり、だいたいトントンぐらいの、そんな状況ですから。それ以外の費用もかかりますね、生活をすれば。ですから、そこに至っていないというのはその通りだと思います」
反町キャスター
「これは西沢さん、そもそも国民年金という建てつけが自営業者だとか、昔はそうだったけれど、現在は非正規の人も含めてドンドンいろいろな人達が入ってくる中で、年金、基礎年金というものが持つ意味、これを我々はどう受け止めたらいいと思いますか?」
西沢氏
「これはいろいろありますけれども、1つは、この社会保険方式でこの国民年金は成り立っているのですが、社会保険というのは完全雇用が前提ですね。と言うのもきちんと職を得ることができて相応の収入があると、だから、保険料が払うことができて、老後に備えられるという。でも、かつては我が国も失業率は1%台で、雇用と言えばだいたいが正社員だったわけですけれども、ですから、完全雇用が達成されて、賃金状況も良かった中で社会保険はうまく機能してきたのですが、ところが、この前提が崩れてくると、社会保険方式の国民年金というのは若干きつくなってきまして。ですから、もう少し、私は、所得再分配を強く持たせ、失業期間とか、育児・子育てで休んでいる期間、あるいは転職でいったん職を離れた期間などについても、現在、国庫負担分は貰えますけれども、満額貰えるような仕組みにすべきでしょうし。長期的に給付したい、給付はしたいですけれども、それは若い人の保険料負担を伴ってしまいますし、赤字国債で現在、基礎年金も賄われている側面もあります、そこも本当は埋めなければいけない中で、痛しかゆしのところがあって。ですので、私は、年金制度は本来、基礎年金に資源を集中し、2階である厚生年金の報酬比例分についてはもう少し薄くして、自助力に任せていく、政府の範囲を基礎年金に集中していくという大きな改革を大臣にはお願いしたいです」
反町キャスター
「いかがですか?」
加藤厚労相
「だから、平均年齢がずっと伸びてくる、それに従ってずっと保険料、年金保険料が上がってきたんですね。これではということで、上限を設定して、結果的にそれでバランスをとるために、受給を、貰う時にその時、働いている人の実際の収入と約半分は少なくとも確保できるという、これを5年ごとに財政検証し、そのための、マクロ経済政策を入れ、そういう仕組みになっています。そのうえで、これからそれをどう議論していくのかというのは、これは常にある議論だと思いますけれども。ただ、まず私どもとしては、これがしっかり運営されていくというか、継続していくということに一生懸命取り組んでいるということですね」
反町キャスター
「たとえば、西沢さんが言われたみたいな、いわゆる低所得者への対策として再分配機能をもっと強化しませんか。どこから持ってくるのかというのは、それは消費税かもしれないし、所得税かもしれないし、資産課税かもしれないが、どこかから持ってきて、富裕な人からたくさんとって、それを低所得の人にまわす、この再分配機能を強化しようか、これは今の話ではなく、長期的なビジョンですよ、自民党政府はどっちを向いているのですか?」
加藤厚労相
「再分配という意味においては、現在の、たとえば、国民年金よりは、それは厚生年金の方がはるかに再分配機能が出ているわけですね。ですから、厚生年金に入る人の割合を今度下げまして、さらに現在、任意管理もできるようにし、これをさらにもう少し引き上げていくということも検討していくことも申し上げているわけで。そういった形で取り組んでいくとか、それから、これからに関して言えば、保険料を納めれば、それから先に貰える年金は増えていくわけですから、そこをどう設定していくのかですとか。それから、年金生活者支援給付金と言われるのですけれども、そういったものを創設…」
反町キャスター
「5000円」
加藤厚労相
「そうですね、5000円、マキシマム5000円ですけれども。そういったことをすることによって、現在の低年金の方々、を上げていくという努力をしているところです」
反町キャスター
「そうすると、単純に僕が考える再分配の強化と言うとたくさんとって下に厚く配るという、そのダイナミズムみたいなものに関しては、あまり踏み込まれないわけですね?」
加藤厚労相
「その場合の再分配となりますと、年金の場合は年金保険料をとっている人達の世代と世代が違いますよね」
反町キャスター
「その意味ではないですよね?年金システムの中だけの話ですか?」
加藤厚労相
「いや、でも…」
西沢氏
「同世代の中の…」
加藤厚労相
「長期的にはそうなると思いますけれども、現在、短期的な意味において仮にやるとすると、そういうことになってしまうか、あるいは現在の年金をそちらにまわすことによって、将来の年金水準を下げてしまうということになりかねないですね。ただ、これまで議論にあるように、基礎年金の中に税負担が入っています、半分入っています、それをかなり高額な年金を貰っている方まで税負担をした年金をお支払いする必要があるのかとか。あるいはこの間、小泉進次郎さんがおっしゃっていましたけれども、たくさん貰っている人は年金…」
反町キャスター
「辞退してくれと?」
加藤厚労相
「辞退してくれ、これはちょっといろいろ議論がありますけれど。いずれにしてもそういった形で特に低年金の方々、そうした方々をどう上げていくのか、生活保護という形ではなくて年金等々によって老後の生活を安心して過ごしていける。もちろん、一方、就労とか、そういった希望がある方にはその可能性が実現できる、そういう仕組みにしていくというのが、私どものスタンスですね」

公的年金制度は持続可能か?
反町キャスター
「樋口さん、ちょっと年齢のことを聞きたいですけれども、日本の年金制度ができた時の平均寿命はたぶん62歳か63歳ぐらいだと思うのですけれども、現在は88歳とか、90歳とか、そのぐらいにいこうとしていますよね?」
樋口教授
「はい」
反町キャスター
「平均寿命が25年ぐらい伸びた中で年金の支給年齢が60歳から65歳に5年後ろに後ずさりしているだけという、これは事実上、しかも、人口が減っていく中で、破綻するのではないか?もたないのではないか?もっとわかりやすく言っちゃうと、25年平均年齢が伸びたのだったら何年、支給開始年齢を本当は後ろにずらし、それに合わせた社会構造をつくらなくてはいけないのか?それはどう考えているのですか?」
樋口教授
「いや、ですから、ほんの僅かだって言われるかもしれませんけれど、従来は55歳の定年だったのを60歳まで引き上げます。また、65歳までは雇用保証してください、と伸びてはきているんですよ。伸びてはきているのだけれど、そのスピードが遅いというようなことだろうと思うんですね。ただ、60歳を過ぎていつまでもフルタイムで働けるのかというような人が増えているのも当然ですから、そこのところというのは、まさに選択肢ですよね。どれだけ働き、どれだけ社会保障で補っていくのかというようなことを選択できるような社会にしていかないと、そこのところは難しいだろうと思いますね」
反町キャスター
「加藤さん、いかがですか?25年平均寿命が延びても、支給開始年齢が5年しか後ろにずれていないぞと。5年、伸びたのは大変なのだという樋口さんの話がありましたけれども、これで本当に政府として維持できるのですか?」
加藤厚労相
「ただ、申し上げたように、たとえば、1万円から3万円とか、3万円から5万円で、少し足らないということでご苦労されている方、それをさらに後ろに伸ばしたら、そういった皆さんもさらに広がるわけです。ですから、一律な現象というのは、私はやるべきではないし、それから、年金全体のスキームからして、一応、我々が考えた制度のようにとりあえず現在はまわっているんですね。ですから、それよりは、もしあるとするならば、もう少し70歳ではなくて75歳から貰えるようにするとか、そういう弾力的な形にしていくというのはあるのだろうと思いますけれども」
松村キャスター
「現在、働いている人に対する年金・医療保険料支払いの実態について、厚労省の調査ですけれども、こちら正規雇用の社員に対しては年金・医療とも企業は社会保険料をほぼ全員に適用しています。しかし、非正規についてはおよそ半数、このうち、パート労働者に限って見ますと保険料を負担している企業は40%に満たない、このような状況となっています。加藤さん、このように適用されていない人達が老後を迎えますと、どのような懸念が出てきますか?」
加藤厚労相
「そうすると、基礎年金だけ、国民年金だけということになります。これは裏腹なのですけれども、逆に現在、103万円の壁とか、130万円の壁というのをお聞きになったと思うのですが、ちょうど今回少し変えたので、企業の規模によってはもう少し106万円だったかな、下がってきているところはあるのですが、いずれにしてもそこを超えると、厚生年金適用になってしまうので、保険料を払いたくないからと言って、働かなくなってしまうという部分、労働時間を抑減するという、そういった現象も表われているんですね。ですから、それを含めて、どう対応していくのかというのは、いろいろ議論があります。ただ、さはさりながら、厚生年金に入っていただくと、それは分配が国民年金よりはしっかり効きますから、そういったところに入っていただく人を増やしていけるように、適用対象を広げていく、あるいは任意で入ってもらう企業、これまでは入っちゃいけないことになっていたのですけれども、企業、労使が、いや、入りましょうということなら、入ってもらうということでその幅を広げていく、その幅がある程度広がっていくと、今度、壁というものは消えていくことになりますから、そうすると、また少し働き方も変わっていくのではないかなと。そういう方向でこの問題に対応していきたいと思います」
反町キャスター
「そういった制度改正みたいなものは年内に取りまとめて、国会に提出して議論していくという、その一連の中に入っている話ですか?」
加藤厚労相
「いや、年内ということにはなっていませんけれども…」
反町キャスター
「それは別枠なのですか?」
加藤厚労相
「ここにきて1つ1つやっていますので、それをさらにその方向で検討するということは法律上、書かれていますから、それに沿ってまた議論していかなければいけないと思います」

全世代対応制度の課題と展望
樋口教授
「従来、たとえば、非正規のパートのみというのが35.3しか入っていませんということだったわけですね。その時には週の労働時間が30時間以上というのが加入の要件だったんですよ。昨年から、従業員500人以上ですか、については20時間以上としてだんだん広げているんですね。広げているのだけれど、もう1つ別の問題が起こってきている。何かと言うと、ここはあくまでも会社に雇われている人です。むしろフリーランサーとか、あるいはまさに個人請負とか、これは雇用関係にありませんから、労使折半の厚生年金には入っていないということになるわけです。そういったものが、これは日本よりも海外の方が急増しているというようなことがありまして、ここのところの企業負担を重くすると、そちらの方向に逃げていくのではないかということも懸念されるわけです」
反町キャスター
「逃げていくというのは、企業がそちらに追いやるという意味?」
樋口教授
「うん、だから、雇用関係ではなくて、そこは請負でいいのではないかとか、という形が出てくる可能性があるわけです。まさに雇用形態も多様化してきましたけれど、就業形態の方も、働き方の方も多様化する中で、現在のような労使折半でというやり方、これにある意味では限界があるところもあるわけですね」
反町キャスター
「どういうことですか?」
樋口教授
「フリーランサーの人達に、たとえば、企業側の負担を求めるかどうか。厚生年金に入ってもらうかというようなことというのを議論しかなくてはいけないということだと思いますよ」
反町キャスター
「それは今後の課題として浮上してくるのですか?」
樋口教授
「私は出てくると思います。もう既に議論が始まっていると思いますよ」
反町キャスター
「厚労省に対する問いかけとして議論されているという理解でよろしいのですか?」
樋口教授
「これはずっと前から、福田内閣の時からグレーな、グレーゾーンというのがあるわけです。雇用関係になっているのか、自営業なのか、その中間の働き方というのがまさに請負という形で出てきているわけですね。これをどうするか、これは無年金になる可能性もあるわけですよ。本当は国民年金に入って基礎年金の…というところなわけですけれども、そういうやり方で果たしていいのかということですね」
反町キャスター
「その人達は数にしてどのくらいいるものなのですか?」
樋口教授
「これはなかなかわからないです。自営業主は減ってきているんです、逆に。ただ、現在のような請負という形の人達、マスコミにもたくさんいらっしゃいますよね」
反町キャスター
「いる、いると言っては悪いけれど、いるのでしょうね、と思いますよ」
樋口教授
「ええ、そうですよ。そこの問題というのはあると思いますよ」

『人生100年』を支える財源は…
松村キャスター
「社会保険料と税によって国民がどれだけの負担を負っているか、国民負担率を欧米諸国と比べてみます。日本は、所得のうち、42.5%を税金と保険料の形で負担しています。アメリカは32.7%、イギリスは45.9%、スウェーデンは56.0%、フランスは多くて68.2%で税が40.9%、保険料は27.3%となっています。樋口さん、現在、国民が受けているサービスを考えた場合、日本の負担率というのは適正だと思われますか?」
樋口教授
「いや、ここに出ているのは全額含まれていないですね、実は国債で既に借金で賄っている部分というのもあるわけですから。それまでを含め、それは後の世代の人達が払うということですが、いずれにしても払わなくてはいけないということになっていると思うんですね。これで見る時、ちょっと低いなと、42.5%というのは、低いなと感じますね」
反町キャスター
「樋口さん、数字に出ている42.5%、手元にあるデータだと、2017年度で財政赤字の割合がマイナス7%ぐらいあるとすると、全部でほぼほぼ50%が隠れ負担も含めた国民負担率と見た時、隠れも含めた50%の国民負担率での日本の福祉の状況というのは、いわゆる中福祉高負担とか、高福祉低負担とかいろいろとある中で、それは中福祉中負担という言い方で成立しているものなのですか?」
樋口教授
「全体で見ればそうだと思いますよ。ただ、私が申し上げたいのは、所得の再分配機能、ここのところがちゃんと担保されているのか、日本の場合には。どうも税まで含め、高所得の人が負担しているかどうかということですね。逆に、貧しい人達に福祉というものが行き渡っているのかどうかというようなところに疑問を持つということです」
反町キャスター
「なるほど。西沢さん、再分配、ちゃんととってまわしているかという、ここの部分、どう感じますか?」
西沢氏
「まわりにくいですかね。先ほどのこの正規・非正規の話もありましたけれども、年金で現在10月から18.3を労使折半。協会健保という企業の健康保険は10%を労使折半していて、企業はその負担が重いが故に、不本意非正規という人達をつくり出しているかもしれない。本来はそういう人達が1番、社会保障を必要としているのかもしれなくて、本来、労働者を守るべき社会保障が、実は非正規を生み出しているのかもしれない状況がありますし、基礎年金についてもマクロ経済スライドという2004年改正で入れた仕組みがあって、これは年金給付抑制を段階的にはかろうとしたものですけれども、2階である厚生年金よりも、1階である基礎年金に、より長期にきつくかかってくるんですね。ですから、これも低年金・低所得の人にとって厳しいことになると。ですから、せっかく財源をこれだけ調達しても、本当に行き届いているかどうかというと見直さなければいけない」
反町キャスター
「隠れ負担も含めた、50%の国民負担率だと言いながらも、50%に見合った、困った人に厚い社会保障になっていないという趣旨で言っていますよね?」
西沢氏
「そう、改善の余地があると思いますね。貧困率を、相対的貧困率をもっと改善させたり。というのは、先ほどの低年金者への福祉的給付という5000円についても、加入期間が長い人ほど5000円に近づいていくんですね。これは社会保険という仕組みをとっている以上、長く払った人に…、しょうがない」
反町キャスター
「しょうがない。だけど、それが困っている人に対する手当になっているのかどうかですよね?」
西沢氏
「なりにくいわけですよね、社会保険という仕組みをとっている以上。ですから、社会保険は理念的には非常に美しい仕組みではあるのですけれど、もはや完全雇用が成り立ちにくい、賃金格差がある世の中で、もう少し再分配的な機能を、財源をそっちに集中すれば、国民負担を大きく膨らませずに困っている人を助け得るのではないかと思います」
反町キャスター
「加藤さん、ここは哲学みたいな話だと思いますよ。自助を重んじるのか、それとも公助なのか、自立を重んじるのか、それともどうなのかと、この部分はどのような方針で臨んでいかれるのですか?」
加藤厚労相
「基本的には、私どもは自助、共助、公助の順番で。自助で言えば、先ほど、就労をするために能力を開発し、機会を提供して、より自立をする環境をつくっていく。特に病気になったり、介護になったりと、そういったさまざまなリスクがありますから、そのリスクはお互いが支え合うという、これは社会保険方式を主としています。それでもという困窮な方に対しては、生活保護等のまさに公助、こういう形で進めてきているわけですから、あとはその間の中で1つ1つを見ながら、これが十分に機能しているかどうか、たとえば、子供の貧困の問題もあります。あるいは1人親、特に1人親家庭、現在増えてきていますけれども、そういう皆さん、仕事を持っているんです、それでも貧困率が高いという、こうした…。これは他の国と見てかなり高いというのは、事実だと思いますから、そういったことに対してどういう手当をしていくのか。それはそうした皆さんが、要するに、非正規から正規というより条件の良い仕事に就きやすくするとか、あるいはそうした子供さんに対する、子供さんを持っていますから、子供さんに対する、たとえば、幼稚園や保育、特に保育園のそうした費用を軽減したり、無償化すると、さまざまな施策をしっかりやっていくという必要があると思いますね」
反町キャスター
「民主党政権の時と比較しても、だいぶ昔の話なのでどうかなとも思うのですけれど、いわゆる川下・川上の話があったり、家計を直接支援する時に、現金なのか、現物支給なのかという話があった時に、今の話を聞いていると自民党としては現金を直接給付ということよりも、現物だったり、サービスだったり、そういうモノの形での再分配を進めていきたい、こういう理解でよろしいですか?」
加藤厚労相
「もちろん、現金として支援しないといけない部分もあると思いますけれど、ただ、一般的にはどこを補うのかということを考えれば、負担する国民側の思いからしても、この支援がきちんとそこに届いているという意味においては、現物支給の方がそこはわかりやすいというのはあると思います」
反町キャスター
「樋口さん、現金か現物かということを考えた時に、どちらの方がより再分配として…」
樋口教授
「現金でやった時に何に使うのかがわからないという心配から、むしろ実物という話もあるわけです。ただ、家族形態というのがすごく多様化してきている。生涯未婚率というのが、2030年でしたっけ、男性は三十数パーセントになるとなっているわけですから。これまでのように夫婦が揃って、ということを想定したようなものというのは社会保障制度でもできない。そうなった時に、たとえば、家族が介護をするというようなことを前提にすることはできなくなってくるわけです。どうしてもそこでは実物というようなモノというものも支給しなければならないということが出てくると思いますから。それはまさにニーズに応じてというところだろうと思いますね」

加藤勝信 厚生労働大臣の提言 『全ての人の安心確保』
加藤厚労相
「全ての人の安心確保ということで。先ほど申し上げました全世代型の社会保障ということを我々は進めていきたいと思っていますし、どういう若い方でも、ご年配の方でも、いろいろなリスクがあって、それにしっかり応えていく。これはセーフティーネットが張られていく、そのことは、またしっかり支えがあれば、いろいろなことに挑戦していくということにもつながっていくと思っています」

樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授の提言 『再分配機能の強化』
樋口教授
「今日の議論でもわかるように、無年金の人がいたり、あるいは低年金の人達が増えている。今後、格差というのは拡大していくのだろうと思うんです。人生100年時代に向けても、どうしても政府の機能として、やるべきこととして再分配機能というものを強化していくということが必要だろうと思います」

西沢和彦 日本総研主任研究員の提言 『脱政府依存』
西沢氏
「脱政府依存と書いています。結局、人生100年ありますと制度を変えるにしても、政府の動きが、スピーディーになるか、あるいは財政危機といったこともありますし、自己投資しながら自分を守るというのを基軸にして、それでできないところを政府でカバーするというのがいいのではないかなと思います」