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2017年9月15日(金)
北ミサイル3700km飛行 検証『衝突』シナリオ

ゲスト

柴山昌彦
自由民主党総裁特別補佐 筆頭副幹事長 衆議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
金田秀昭
元海自護衛艦隊司令官 元海将
磐村和哉
共同通信社編集委員・論説委員 元平壌支局長
朴正鎮
津田塾大学国際関係学科准教授

『3700km』飛行の衝撃
松村キャスター
「今朝、北朝鮮が再びミサイルを発射しました。国連安全保障理事会が北朝鮮への新たな追加制裁決議を採択した直後にこのような行動に出た北朝鮮を、私達はどう見ればよいのか。安全保障とアメリカ・朝鮮半島情勢に詳しいゲストを迎え、北朝鮮への対応について徹底検証します。今朝午前6 時57分頃、北朝鮮の平壌近郊の順安から弾道ミサイルが発射されました。飛行距離はおよそ3700kmです。7時4分から6分ごろに北海道の上空を通過し、7時16分頃に落下しました。襟裳岬からはおよそ2200kmの距離になります。金田さん、前回8月29日の時と比べまして、飛行距離が1000kmほど伸びています」
金田氏
「そうですね」
松村キャスター
「今回発射されたのも前回と同じ火星12型と言われていますが…」
金田氏
「はい」
松村キャスター
「これはどういったことなのでしょうか?」
金田氏
「前回は確かに距離が短かったと思います。その前に、これはロフテッド発射という形で、遠くには飛ばさない、日本列島の上空を通過しないのだけれども、それを換算してみると優にグアム届く距離だということは言われていたわけですね。でも、8月29日に発射した時には、しかしながら2700kmしか飛ばなかった。それは高度も低く、これは最高高度550kmですね。あと何かをやったような、3つに分かれたとか、そういうような話もありまして、形跡もある。だから、何か訳があって、敢えて短くしたか、あるいは何らかの理由でミスしてしまって短くなっちゃったかということだと思うんです。だから、あまり飛ばしますと、あの方向で真っすぐ行きますと、ハワイに行っちゃうわけですね。だから、あまり飛ばしたくないというような刺激したくないということもあったのだろうと思います」
松村キャスター
「今回のミサイルの飛行距離は3700kmでしたが、北朝鮮からグアム、この距離よりも少し長いという距離になります」
金田氏
「うん」
松村キャスター
「磐村さん、これは北朝鮮のミサイル発射というのは成功したと言っていいのでしょうか?」
磐村氏
「射程から見れば、飛んだ距離から見れば、これは、今回は目的を達したと思います。つまり、グアムを飛び越えるぐらいまで能力がある。もちろん、燃料を調整したり、弾頭の大きさを変えたりして、グアムの近海、手前に落とすことも可能でしょう。それぐらいの技術はあるのだということをおそらく今回は見せたと思いますね」
反町キャスター
「柴山さん、前回と同じコースで撃ったことについては、どう我々は受け止めたらいいのですか?」
柴山議員
「はい、前回はたまたま、私、ミサイルが発射された時に韓国を訪問していたのですけれども、その時に私の頭に真っ先に浮かんだのは日本に向けて撃ったということで、日米韓の結束の乱れというものもある程度想定していたのかなというように考えたんですね。だけれども、結局その時、韓国の文在寅大統領もそうでしたけれども、日本と力を合わせて、今回と同じように強い対応を示すということを表明してくれたと思います。今回、同じような軌跡で、かつグアムも捉えるということで、日米韓の結束を試すというより、いよいよ本格的に国際社会全体に向かって挑戦状をある程度見せたという意味合いではないかなと思います」
反町キャスター
「古森さん、いかがですか?今回の、北朝鮮のミサイルの撃ち方をどう見ています?」
古森氏
「あまり驚きはないのではないでしょうか。アメリカの反応もまだバチッと出てきていませんけれども、アメリカが衝撃を受けているということは、軍事的技術の面からはあまりないと思うんですよね。グアム島に届くミサイルというのはおそらくあるだろうということはもう推測しているわけだし。彼らにとっての問題は、本土、アメリカ本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)が本当に開発されたのかどうかということで。これが開発されたかどうかというのは、まだ断定できないけれども、開発の度合いが、アメリカが見ていたよりもずっと速いということが、数か月前に、数週間前に、これが判明したということで、そこのところに関心がいっているということが1つと。それから、グアム島に撃つぞというようなことを言っていて結局、撃たなかったですよね。だから、これは、アメリカが、ほら見たことか、やる気はないのだ、そこまではいかないのだということがあったから。ただ、軍事技術を除いて、政治的な面から見たら、国連でやっている、アメリカもちょうど現在グーッと引き締めてきている時ですから、制裁を。その時にまた公然と挑戦してきたということは、これは民主党から見ればトランプ政権のやり方が十分ではないということになるし。政治戦略的な衝撃とか、意味というのは大きいと思いますよね」
反町キャスター
「朴さん、韓国の立場からすれば別に日本の上空を飛んでいくミサイル、2700km飛ぼうと、3700km飛ぼうと、IRBM(中距離弾道ミサイル)というヤツですよね。これは韓国の人達からすれば、自分の方向を向いているわけでもないし、もともとこの長い槍ではなくても、北朝鮮から飛んで来るのは大砲の弾だって十分、38度線以北にある1万もの砲が飛んで来れば、ソウルがやられてしまうという前提を考えると。このミサイルの実験というのは別に韓国の人達にとっての北朝鮮に対する安全保障の感情に何ら影響するものでもない?」
朴准教授
「とてもありません…」
反町キャスター
「ある?ない?」
朴准教授
「もちろん、韓国も今回のミサイル発射実験に対して、かなり国民全体の世論も怒りを発しているし。今朝そうだったのですけれども、文在寅大統領もNSC(国家安全保障会議)の全体会合を開いて、私が知っている限り最も激しい論調で北を非難したわけですよね。発射方向は確かに日本の上空を過ぎたのですけれども、いずれにせよ、現在の段階ではまだアメリカに向けているということで、アメリカに対する攻撃であるのですが、それは日米韓関係をまず考えることと。既に韓国に対してはいつでも攻撃できるという、そういう力のアピールでもありますので、それに対する警戒、警戒心は非常に高いですね」

『米朝衝突』 シナリオ研究
松村キャスター
「今月11日に国連安全保障理事会が採択した、北朝鮮に対する追加制裁決議を見ていきたいと思います。北朝鮮への年間原油供給量は過去12か月の総量内、石油精製品の調達は2018年以降、年間上限200万バレル、北朝鮮からの繊維製品の輸出禁止等が追加されました。これに加えて、アメリカ政府は、中国の銀行などへの独自制裁を拡大する方針だということですね。磐村さん、北朝鮮は制裁決議のどの部分に引っかかりを感じているのでしょうか?」
磐村氏
「原油・石油関係は、北朝鮮は、どこまでやっても中国は我々を見捨てないと考えていると思います。それよりも繊維製品、これは石炭に次ぐ第2の輸出主力製品ですので、これを打ち切られると出せなくなると言うと、北朝鮮の国内市場は小さいですから、吸収できない。結局、生産する必要がなくなってしまう、失業者があふれる、悪循環ですね。これが私はジワジワこれから打撃として効いてくるのではないかなと思います」
反町キャスター
「中国が北朝鮮を見捨てないというのは北朝鮮というバッファーが必要だという意味において、地域として見捨てないのか?金王朝を見捨てないのか?で意味が違ってくると思うのですけれども。どういう意味で言っているのですか?」
磐村氏
「地域として見捨てないということでしょうね」
反町キャスター
「では、差し替えありということですよね?」
磐村氏
「そうですね」
反町キャスター
「差し替えのために原油を止めるというリスクというのはどうですか?」
磐村氏
「それは、非常に中国にもリスクがあります。と言うのは、原油を止めました、だけど、何にも変わりません、ひたすら核・ミサイルをやっています。こうなったら中国のメンツ丸潰れですよね。逆に国際社会から結局、中国というのは何の影響力もなかったのねと中国の地位が下がってしまうんですね。ひょっとしたら見せかけの影響力かもしれないです、北朝鮮に対して。その最後のカードがおそらく中国にとっては原油です。ですから、この原油のカードというのは、中国にとってはもう専売特許」
反町キャスター
「切って効果がなかった時が怖くて切れないという意味ですか?」
磐村氏
「そうですね。ですから、それを国連安保理の方の制裁に入れちゃうと、自分でハンドリングできなくなりますよね。仮に国連安保理が原油禁輸100%を決議したとなったら、中国としては、自分の主導権を失ってしまう。さらには北朝鮮への影響力というものがないというような、手をもがれてしまうような状況になってしまう。それは、中国は、私はそういうやり方は選択しないと思います」
反町キャスター
「『中国は石油の大半を北朝鮮に供給している、直接的な行動で示せ』というようなティラーソン国務長官の発言。これは、もしかしたら中国からしたらピントがずれているよねと感じている可能性がある?」
磐村氏
「いや、これはおそらく今回の制裁決議が採択されましたけれども、その過程でも、おそらく中国とアメリカの間でこの原油禁輸の利権と言ってはなんですが、カード、これの取り合いがおそらくあったのではないかなと思います。要するに、中国…」
反町キャスター
「取り合いというのは、アメリカにしてみたらそれを国連によこせと?」
磐村氏
「よこせと、お手柄よこせと。中国にとっては、仮に原油禁輸のカードが、効果があるとなったら、それは中国のお手柄のはずなのに、国連に持っていかれたら国連のお手柄になっちゃいますよね。そこは中国としては面白くない。で、逆に先ほど申し上げたように、何の効果もありませんでしたとなったら、今度、中国は何の影響力もないのねと、存在感が低くなってしまう。両方リスクですね」
松村キャスター
「中国の外務省は、北朝鮮のミサイル発射に関してこのような声明を出しています。『朝鮮半島情勢は複雑でデリケートだ。さらに緊張させてはならない』と関係各国に自制を要求しています。こういった姿勢を中国が崩さないというのは、古森さん、なぜでしょうか?」
古森氏
「中国は、朝鮮半島情勢に関しては現状維持ですよ。あまり堂々と露骨に核兵器を持っているのだよというようなことを、北朝鮮にやってほしくはないけれど、北に絶対にそれを全部やめさせて、金正恩政権が倒れるリスクを冒してまで止めさせるかは、そこまでやる必要はない。だから、安定とか、緊張緩和、緊張を望まないというのは、一種のキーワードで、現状維持だということで。対米関係だって中国は現状維持でもっと中期的長期的には東アジア全体で中国は決して現状維持ではない、アメリカを押し返そうというのだけれども、現在、短期の、目の前の状況を見た場合には現状維持ですから、朝鮮半島に関しては特にそうだから。そういう言葉が出てくるというのは…」
反町キャスター
「そうすると、ティラーソンさんの発言と、外務省の報道局長の発言を直接対比するのも変ですけれども、外交的な局面において現在、アメリカが外交攻勢を、北朝鮮問題を舞台にした場合、中国に対してかけていると見ているわけですか?」
古森氏
「もう…」
反町キャスター
「圧をかけている?」
古森氏
「いや、この1か月ぐらいの変化で。だから、4月に習近平氏がフロリダに行ってトランプさんと会った時はトランプさんが折れたわけですよ。折れて、中国さん、お願いしますよと、北朝鮮に圧力をかけてくださいよと言って。日にちをだいたい100日ぐらいの日にちにしましょうと。それは、米中の貿易問題でいろいろやってくださいよという時の、期限の100日の合わせてやっていて。その100日が過ぎたけれども、何も北朝鮮に関しては中国はやってくれなかったと、これはそういう言い方で、まさにそういう言い方でトランプさん自身が言ったわけですよ。だから、しょうがないなみたいな、と言うことで、また、本来の中国に対する険しい姿勢に戻りつつある、戻ったということで、これは非常に大きな、アメリカの国内の世論、それから議会の超党派の支援、中国に対してもっと厳しくしなければいけないというのがありますからね。だから、そういう流れの中に現在の北朝鮮問題を、特に石油ということを入れた場合に、かなりアメリカはもっと押していくのではないかなという感じがするわけです」
松村キャスター
「今朝、韓国軍は北朝鮮のミサイル発射とほぼ同じ時刻に弾道ミサイル・玄武2号を発射しましたが、金田さん、この発射の意図は何だったのでしょうか?」
金田氏
「これは先週、韓国に行った時にもひしひしと感じたのですけれども、いわゆる現在、北朝鮮の挑発に対して、韓国は軍事的には3つの方策、これを考えています。1つがキルチェーン、これは言ってみれば敵基地の攻撃の能力。それから、もう1つが、KAMD、コリアン・エア・アンド・ミサイル・ディフェンス。言って見れば、弾道ミサイル防衛」
反町キャスター
「ミサイル防衛ですね?」
金田氏
「ミサイル防衛です。これは現実に粛々と進んでいることですね。韓国の政府のバックアップを受けて進んでいると。もう1つは、ちょっと少しおどろおどろしい話ですが、KMPRと言いまして、コリアン・マッシブ・パニッシュメント・アンド・リタリエーションという、ですから、大量、懲罰、報復というようなことですね。それまでやらないとやめないだろうということのようですけれども。これは実際まだ現在の文政権下でどうなるかわかりませんが。いずれにしてもそういう柱を立てている。その中のキルチェーン、これは非常に歴史も古いし、やっているのですけれど。最初にミサイルが発射された場合には、これは弾道ミサイル防衛でやるのだけれども、その基地を叩く。次に2発目・3発目はないようにするということ。できれば、いわゆるプリエンプティブ・アタックという、先制攻撃という日本語では訳されていますけれども、それはもし明らかに韓国を攻撃するような状況になった場合には、これを先に叩く、そういう状況が確実にあれば叩くという、そういうような能力を持とうとしている。この玄武2というのは、まさにそういうための短距離弾道ミサイルですから、今回は、その発射位置から平壌の位置までの250km。その250kmというレンジをそのまま使って、しかし、日本海に撃ったということですね。ですから、その同時刻に発射されたあとの直後に、こういったことをやっているということは、しっかりとした情報収集体制と、そういったキルチェーンというシステムが連動しているのだということを示したかったのだと思います」
反町キャスター
「そうした中、皆さんに聞きたいのですけれども、韓国政府は北朝鮮に対して800万ドル、日本円でおよそ8億8000万、9億円にのぼる人道支援を検討していることを明らかにしています。韓国統一省副報道官は今日、『政治・軍事的状況と切り離して行うという政府の立場に変化はない』と発言しています。柴山さん、この状況下における韓国のこの姿勢をどう見ていますか?」
柴山議員
「文在寅政権のこれが個性なのかもしれませんけれども。我々、日本の政府としては、これだけ国際社会が結束をして北朝鮮に対して圧力をかけていこう、特に経済的な圧力をかけていこうという時に、こういうメッセージを韓国が出すということは誤った印象を与えかねないと思いますね。要するに、韓国が本気で経済制裁をやろうとしているのかと。それと、そもそも論で言えば、結局ルール破りをしているのは100%北朝鮮なわけですよ。だから、我々が主張するべきは、とにかく北朝鮮にそういう無法行為をやめろと、それに対する見返りというのがそもそもあり得ないわけです。だから、やめたならお金をあげるよというのは、それはあたかも身代金目的の誘拐犯に身代金をあげるというような、例えがいいかはわかりませんけれども」
反町キャスター
「わかりやすいですね」
柴山議員
「だから、日本政府としては、これは菅官房長官も、不快感を表明されていたと思いますけれども、この発言はありがたくないなということだと思います」
反町キャスター
「朴さんはこの9億円支援をどう見ているのですか?」
朴准教授
「まず今回の支援の形態と言いますか、内容をちょっと整理してみてみたいと思うのですけれども。まず韓国政府の基本的な立場を紹介すると、今回の支援はあくまでも直接的な支援ではなくて…」
反町キャスター
「赤十字ですよ」
朴准教授
「それも国連傘下団体の要請に応ずる形ですね。ユニセフとか、WFP。それは韓国のみならずアメリカもやっているところ。それから、スイス、スウェーデン、カナダ、ロシアもやっているところ。だから、制裁と北朝鮮に対する人道支援は、いつも平行することがかなり普遍的ではあるという、そういう前提があります。それから、支援する内容も直接、現金がいくか、あるいは食料支援のように、軍事的な転用が可能なような形ではなくて、あくまで女性と児童に対しての医療、それも現物を通じた支援であるということですよね。だから、内容そのものからすると、別に北朝鮮に対する制裁、何より国連傘下団体からの支援要請に応じた形ですから、これは制裁のいろいろ国際的な連携の足並みを乱すためのそういう動きではないように、そのような考えをしたと思うのですけれど。ただし、私個人的にもこのタイミング、その前からちょっとやったことであればアレですけれども、新しくやることですから、少しタイミングの調整が必要かなと思うし、この議論は国内的にもあるわけですね。それから、何より韓国の場合は、どちらかと言うと現在、情勢変化に応じて、いずれ制裁ばっかりとってはいけない、そういう意味よりは、この件はどちらかと言うと、文在寅大統領の個人的な哲学もかなり反映されていると私は思います」
反町キャスター
「たとえば、韓国の国内において、与野党、保守、進歩とか、そういうことだけではなくて、国際社会が経済制裁をしている、しかも、それが強化される方向にある中での、人道支援とは言え9億円というのは、どういう議論になっているのですか?賛成・反対が半々ぐらいですか?それとも我々が選んだ大統領がやるのだから、やらせてみようよ、というのが大半を占めるとか、韓国の国内世論はどういう情勢ですか?」
朴准教授
「世論の測り方はいろいろありますから、何とも言えないですけれど。ほぼ半々という世論調査の結果もあります。私、韓国人としての実感からすると実際、半々ぐらいかもしれません。いずれにせよ、北という存在は韓国人にとっては両面性を持っています」
反町キャスター
「何ですか、両面性?」
朴准教授
「両面性と言うか、北朝鮮は我々の安全保障を脅かす脅威でもありながら同じ民族でもある。しかしながら、同じ民族であるから支援するのではなくて、そういった北朝鮮と付き合わなければいけない、そういう状況で。あくまでも問題は、北朝鮮の政権であり、住民ではないということですよね。そういった意味で、人道支援の内容からすると、韓国人からすると、根本的に反対するまでいかない方も結構いらっしゃると思います」
反町キャスター
「平壌の金正恩政権に対する批判、嫌悪感、嫌い、恐怖という気持ちと、北朝鮮の国民に対する思いは違う、それはわかりますけれども。この人道支援にしても、これがキチッと民間の人々に行き渡るかどうかの検証はできないでしょう?そういうことを考えた時にどこまでいくのか、そのへんの疑問は韓国の中であまり起きないのですか?」
朴准教授
「起きますよ。しかしながら、そもそも人道支援というのは、ある特定の国の体制の性格を基準にして人道支援をするか、しないかということになると、そもそも人道支援そのものが成り立たないことが結構多いです。だから、北朝鮮に対してはアメリカも支援しているし、他の国もやっているわけで。もちろん、韓国国内でも、北朝鮮に対する人道支援に対して激しい批判もあるのですけれども、基本はそこにあると思いますね」
反町キャスター
「北朝鮮メディアは『日本列島の4つの島を核爆弾で海の底に沈めるべきだ』と報じました。磐村さん、これは真に受けなくていいのですか?」
磐村氏
「と思います。このあと、文章が続いていて、そういう国民の声もあると」
反町キャスター
「北朝鮮世論を紹介してくれている?」
磐村氏
「そう。そういう声が国民、それから、兵士の間から出ている。そういう説明になっているんですね。本当にこれをやるつもりは初めからないと思います。ただ、北朝鮮はなぜこんな刺激的な表現を使ってきたのかというと、日本に対して他にやることがあるだろうと。圧力をかけるのではなく、もしくはアメリカのトランプ政権に追随して、あちこちに圧力をかけまわるのではなくて、他にやることがあるだろうという、そういう強烈な不満があると思います。他にやることがあるだろうというのは現在、世界の首脳の中で1番トランプ大統領と意思疎通できているのは安倍首相ですよね。その安倍首相がなぜトランプ大統領に我々の立場を少し理解するように仕向けてくれないのだという不満が、私はあるような気がします」
反町キャスター
「北朝鮮から見た時に、安倍さんは、我々のためにトランプ大統領を懐柔してくれるかもしれない、期待感を持って安倍さんを見ているのですか?」
磐村氏
「期待感まではいかないでしょうけれども、戦略的に利用できないかなと考えている部分が、私はあると思います」
反町キャスター
「核・ミサイル問題に加えて、拉致問題も抱えていて、アメリカよりも日本の方が北朝鮮に対してハードルが高いというのは、向こうもわかっている?」
磐村氏
「わかっているのだけれども、その拉致問題で日本を引き込めると、逆に。そこからバイパスではないけれども、トランプ大統領に圧力以外の選択肢として対話もあるのではないかと、こういうことを伝える立場に本来、安倍首相がいるのではないかと考えているのではないかと考えている可能性があると思います」
古森氏
「米朝関係はこの20年間、やはり核問題です。北朝鮮が核兵器を開発しようとしていると、アメリカは絶対やめてくれ、させないと言い続けて、では、やめましょうかということをやって、では、そうしましょうとやってみたら、プルトニウムではなくて、今度はウランでやってたとか、アメリカとしては騙されたことが続いているから、だから、北朝鮮の思惑には興味があるけれども、なかなかそう簡単にはいかないのではないですか」
柴山議員
「北朝鮮の最終目標は米朝対話だと思いますね。要するに、そのためのカードとして核兵器とミサイルシステムを使って、アメリカと少なくとも対等に交渉をしたいと、話し合いをしたいというのは間違いないと思います。結局、アメリカに対して本気で喧嘩は売らないけれども、そういった力があるのだぞということは誇示したいと。その時に、いいように使われているのが日本に対する脅迫ではないかなと思いますけれども」
反町キャスター
「古森さん、北朝鮮は米朝対話をやりたいのだけれど、進んでいなくて、安倍さんの力を借りられるなら、借りてでもトランプさんと向き合って何か話をしたいと。北朝鮮側はここまで寸詰まりになっていると感じますか?」
古森氏
「北朝鮮は自分達が核武装することも認めてもらって、それで、いろいろと対話しましょうと、アメリカが、オバマ政権を含め、核開発をやめるとはっきり行動で示してからでなければ対話はしないと、これは一貫している。現在のそういう構図を、安倍さんがいくらトランプさんと親しいと言って、それを変えるだけの力があるとは思えないし、北朝鮮だってそう思っていないのではないでしょうか」
反町キャスター
「古森さんの分析でいくと非軍事手段の次は、準軍事手段、電磁波とか、レーザー、サイバーなどによる攻撃、さらには政権の内部崩壊を狙う準軍事手段というのもあるのではないか。最終手段は軍事手段として予防攻撃…、先制攻撃に近いニュアンスですよね」
古森氏
「時によっては先制攻撃と予防攻撃、私は分けて使う時があるので。先制攻撃というのはファーストストライクで撃っていく。予防攻撃というのは事前に何かあるものを空にする、何か起きていることをなくすという、明らかに危険な兆候があった時に、それを直前に抑えるために攻撃するという、ギリギリのところですが、現在のアメリカが軍事手段で使っている言葉は、予防という、先制と訳しても間違いではないのですけれど。だから、それをやると必ず全面戦争になるし、韓国にすごく犠牲が出るから絶対にそれはできませんよと。だから、軍事手段はダメですよという議論はアメリカでもあるわけです。それを突き詰めていくと、では、どうなのだというと、北朝鮮が核兵器を持つ、核武装を認めてしまう、核武装の容認ですよね、この意見がアメリカのごく一部だけど、出てきているんです、スーザン・ライス氏、オバマ政権の、これは日本や韓国にとって危険な議論ですけれども。だから、軍事手段で米朝戦争が起きるのかどうか、あるいは全面戦争にはならないけれども、拠点を直接攻撃して、全面戦争を防ぐということも、可能性は低いがあるかもしれない。こういう問題というのは絶対にないのだとか、絶対にあるのだというアプローチは禁物だと思って…、誰にもわからないとことだし」
反町キャスター
「非軍事手段について皆さんの意見を聞いていきましょう」
松村キャスター
「12日に安全保障に関する国際会議が行われていたスイスで、北朝鮮の外務省幹部とアメリカの元高官が非公式に会談を行いました。そこで北朝鮮外務省幹部は『アメリカとは良い会話ができたと思う』と語っていましたが、こういった水面下の動きをどう思いますか?」
磐村氏
「良い会話ができたと北朝鮮の人間が言うのは当たり前だと思います。と言うのは、相手がクリントン時代の寛容政策、エンゲージメントを担当していた役人達だったんですよ。だから、彼らがスイスで話をして、ワシントンに持ち帰っても、トランプ政権、ティラーソン国務長官はおそらく聞く耳を持ちません。全然スジが違う人達と会っていたと言ってもいいと思います。ですから、これはあまり参考にならないなと考えています。それとは別に確かに米朝は水面下でやっているようです。ただ、平壌サイドから聞こえてくる話は、お互い対話を言っているんですよ。だけれど、全然性質が違うんです。北朝鮮は無条件の対話だと、アメリカは非核化のための対話だと。180度違うんです。前提条件で揉めています。現在のところ平行線を辿っている」
反町キャスター
「暫くして双方が、テーブルにつく可能性があると思いますか?対話という方法に将来はあると思いますか?」
磐村氏
「これは難しいですね。非軍事的手段、いわゆる国連憲章で第41条の部分ですが、このレベルで話がまとまるかというのはまだまだ予断を許さないと思います。北朝鮮がミサイルを撃つ、核実験をやっているのは、目的はトランプ政権に無条件で対話に出てくるしか選択肢がないよねと思わせる、そういう攻め込んでいるアクションですよ。それをトランプ政権がもうしょうがないと折れるかどうか、ここはどうでしょう?古森さん」
古森氏
「折れる気配はないですね。超党派の折れるなというサポートもあるし、世論もついているから、なかなか。もし変わるとしたら激変になってしまいますね」
朴准教授
「水面下の形ですけれども、米朝間の話し合いは既に始まっていると思いますし、ユンというアメリカ国務省の北朝鮮政策担当特別大使と、北朝鮮国連代表部のパクさんと、北朝鮮外務省のチェさんの間、いわゆるニューヨークチャンネルという長い間、定期的に話し合いがありましたし、それから、アメリカと北朝鮮がどのような話し合いがあるかは定かではないのですけれど、いずれにせよ、アメリカ自ら、あらゆるオプションを考えているという話で、そこには対話もあるわけです。そう言った意味では、対話と制裁の両方が既に進行しているんですよ。結果はわかりませんけれども」
古森氏
「トランプ政権の公式の言明としては対話は入っていませんよ、対話はしない。何のための対話なのだと。水面下でいろいろなものがあるのはその通りかもしれませんけれど、公式ではそうです」
金田氏
「ここにいくつかのオプションがありますよね。この中で準軍事手段ということはあまり議論されていませんが、電磁波、レーザー、サイバーという攻撃、これは非常に魅力的な、しかも、誰が攻撃を仕かけたかというのがわかりにくくて、だから、全面戦争になるとか、そういった意味でのエクスキューズ、これが採りにくいということで、魅力的ではあると思うのですが、しかし、これを1回使ってしまうと、相手に相当手の内を知られてしまう、その特性を知られることになりますから、だから、これはとって置きですよ。ちょっと試したりはするかもしれません。だけども、本当のパワーは見せたくないというのがあると思います。レジームチェンジは平和的なレジームチェンジ、厳しい、いわゆる斬首作戦とか、そういったものを含めたレジームチェンジがありますが、アメリカがこれを実際に発動しようとした場合、代わりは何なの、入れ替えするものは何なのと。入れ替えするものを外から持ってくるとか、あるいは内側もあるのかもしれないが、その周りをサポートしてくれる人を育てなければならない。それには結構、時間がかかりますよ。当然、既にやっていると思いますけれども。だから、そういうことから考えるとなかなか厳しいものがあるのではないかなという気がします」
柴山議員
「現在の状況だと、要するに、北朝鮮の唯一絶対のカードがそこです。だから、結局、自らの国の生存を保障してくれるという確証がなければ、北朝鮮は絶対に核を手放さないと思います」
反町キャスター
「生存保障をしてもそのうえで、これを持っていれば、もっといろいろなことができると思うのが核兵器ではないかという、ここはいかがですか?」
柴山議員
「ただ、他の国も結局、査察を受け入れるですとか、核実験を平和利用以外に絶対にしないですとか、いろいろなオプションを追加して、原子力協定なども結んでいるわけですから、当面、北朝鮮がそのようなことを受け入れることはほとんど望み薄だと思っています」
松村キャスター
「古森さん、アメリカがもし軍事的手段を北朝鮮に対して用いる場合、どのようなことがきっかけだと思われますか?」
古森氏
「現在以上に北朝鮮が挑発的なことをやる、韓国に何かを撃つとか、アメリカの方に撃つとか、これまでよりももっと出たことですよね。北朝鮮が先制攻撃を、本当に韓国に撃ってきた場合、ほぼ自動的に全面戦争になるわけだから、全面戦争になれば、どちらが勝つのかははっきりしているわけですよね。ただ、あまりにも人間の命が多く失われると、このことに現在の民主主義国家というのは、極端にセンシティブでなければいけないことだから、その人間の命という要因が軍事衝突のシナリオで果たす役割はほぼ全てぐらいのものになってしまっていると思うんですよね。しかし、それでも、戦争とか、軍事衝突というのものは起きる時は起きるわけだし、たとえば、北朝鮮が核兵器を持って、それを使って、どういうことをこれからやるか。韓国という国を国家として認めていないし、核の力によって朝鮮半島を武力統一に近い形で統一するということが予想されても軍事衝突を避けなければいけないから北朝鮮の核武装を認めるのかということになってしまうわけで、だから、起きてほしくないし、すぐに起きる、軍事衝突ですね、というのは非常に少ないけれども、起きないとは言えないと、そんな感じですね」
磐村氏
「今回の国連安保理の制裁の当初案、船舶、貨物船に対する臨検、これを見た時に危ないなと思いました。これは海上での限定的な衝突であるのでしょうけれど、そういう危険性は十分にあるだろうと思います。今後、制裁強化がまた議論されていく中で出てくると、特に日本、韓国、朝鮮半島の周辺の海域を見る国は、それなりに準備・覚悟が必要なのかなという気がしました」
反町キャスター
「臨検以外に北朝鮮が先に攻撃を仕かけてくる可能性をどう見ていますか?」
磐村氏
「それはないと思いますね」
反町キャスター
「アメリカも、北朝鮮がやってこない限りはやらない?」
磐村氏
「やらない。北朝鮮が目指していることは力の均衡ですよ。仮に対話をする、交渉をする。北朝鮮が考えていることはおそらく戦略的な共存です。仲良く共存することではないです。だから、北朝鮮というのは1970年代の世界を再現しようとしているのではないかと。冷戦時代の真っ只中」
反町キャスター
「半島における冷戦構造を固定化させようとしている?」
磐村氏
「半島だけではないです。中国、ロシア、アメリカ、日本、韓国、全部」
反町キャスター
「中国、ロシアが自分の側に立つと?」
磐村氏
「見ていますね」
朴准教授
「古森先生がおっしゃる通り、現在は小さい衝突であっても全面戦争になり得ることですから、緊張しながら、見極める必要があると思います。どちらかと言うと、ハリウッド映画ではない限り、北朝鮮が先に攻撃を始める、そういうシミュレーショはないわけで、もしかして起こるのであれば、アメリカ側が先制する形になるかと思うのですけれども、韓国の政府の立場からすると、おそらく第1原則は朝鮮半島で戦争は絶対にいけないと。そういう原則の中で現在、政策を進めていると思います」
反町キャスター
「延坪島の砲撃事件がありました。あの時、北朝鮮はアメリカ軍が展開していないところを狙って撃ってきましたよ。被害が出たのは、韓国軍と韓国軍の周辺の人達だけでした。ああいう形の軍事的な挑発の可能性、その時に韓国はどう反応するのか、どう見ていますか?」
朴准教授
「韓国軍と韓国の国民は、戦争というリアリティをある程度知っていると思います。軍事的な挑発ですけれども、延坪島以外にも北方境界線の中でも数回ありました。そこでとどまらせる知恵を韓国人はある程度考えている。北の方もそれをもって戦争を始める、そういう考えはないこと。ある程度のコンセンサスはあると思います」
金田氏
「チキンレースが始まったとはまだ言えないと思います。だけど、それにかなり近い状態であるということで、ですから、これまでの戦争の歴史を振り返ってみても、これがデッドラインでやるのだとか、そういう話も無きにしも非ずだけれど、何か小さいことがきっかけで、あっと言う間にエスカレートするケースが多いのではないかと思います」