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2017年9月13日(水)
今考える『核保有』論 米『核の傘』は有効か

ゲスト

中谷元
元防衛大臣 自由民主党衆議院議員
西部邁
評論家
ケビン・メア
元米国務省日本部長

今考える『核保有』と抑止力
秋元キャスター
「5夜連続、北朝鮮暴走の結末、3日目の今夜は北朝鮮の核の脅威が増す中、国の内外で巻き起こっています日本の核保有論について考えます。非核3原則を維持する日本にとって、核保有についての議論はどうあるべきなのか。北朝鮮の核を抑止するために私達は核とどう向き合うべきなのか、今夜はじっくり考えていきます。小野寺防衛大臣は10日にこのような発言をされています。『北朝鮮が脅威となる核兵器を持っていると考えざるを得ない』『核保有国として認めるかどうかは別として核実験を繰り返し、相当な能力を持っている国だということになる』という認識を示されて、これまでは開発中とも言われてきた北朝鮮の核保有について一歩踏み込んだ発言をされています。まずは中谷さん、防衛大臣のこの発言をどう受け止められますか?」
中谷議員
「防衛大臣というのは、我が国の国民の生命・財産・国土を守るという責任がありますので、6回、核実験をやりましたと。この前の規模、計画がドンドン進んでいるということを踏まえれば、相当レベルには達してきているというようなことの前提に立って、国を守るという前提で話をしていると思います」
秋元キャスター
「西部さん、北朝鮮の核保有について、どう感じていますか?」
西部氏
「核保有国として認めるかどうかという小野寺防衛大臣の日本語は、僕にはほとんどブルシット、英語で言うところの、もしくはフェイクと聞こえてならない。これならわかりますよ。まず法律的な次元で認めるかどうか、この場合は主として、例のNPT、核不拡散条約ですけれども、あれの第10条には、周辺の事情によっては脱退することが可能だと書いてあるわけですよ。北朝鮮は、要するに、脱退しているわけですね。それを阻止する法律というのはどこにもありゃしない。他に何か基準があるとしたら、政治、価値観も含めた、国際社会の弱いけれども、共通にあるかもしれない、あるはずの国際道徳を含めた政治の基準として認めるかどうかと。これは、大問題が生じてしまうのはNPTの何条かは忘れましたが、最初の方に既存の核保有国は核軍縮に努めなければならないと書いてあるわけですよ。それは少々のことはやってきましたけれども、たとえば、オバマ大統領の時代に、僕は耳学問ですけれども、自分で調べたわけではないけれど、例の、核の性能強化のために財政支出を30%増やしていると言われているわけですよ。そうしましたら、本当に法律的に議論するのなら、制裁の第1対象はアメリカのはずであって、NPTに反しているではないか、いったい核軍縮のどこに努めているのじゃと、という議論。僕は、北朝鮮の金正恩には何の好意も同情も寄せませんが、いったいどういう理屈をもって北朝鮮を槍玉に上げる資格が現在の国際社会にあるのだと。喋り過ぎたら悪いけど、あるとしたら最後に残るのは、北朝鮮は特異な稀なる侵略国であると、前回呼ばれた時に言ったはずですけれども、もしもそういう認識があるのならば、他国と違うアブノーマルな国なのだから、この国の核武装だけは許せないと、これを許したら国際社会の存立そのものが危うくなるという議論があるのなら、また話は別なのでござんすがね。メアさんに対しては失礼にあたるかもしれないけれど、侵略的な性格云々にまで議論が及ぶのならば、僕は大きな声で断言するわけではないけれど、戦後の70年を見たって最もアグレッシブな性格を少なくとも結果として示しているのはどの国かと、大なる可能性はアメリカだと。これはベトナム戦争以来、現在もイラクでも、シリアでも、アフガニスタンでもいいですよ。もちろん、中国だってチベットを襲ったり、ロシアだってウクライナでそんなことをやっていますから、何もアメリカだけとは申しませんけれど、侵略的な性格についてまで議論するのなら、何も北朝鮮だけを槍玉に上げる、正義・道徳上の言われはどこにもないわけですよ。故に僕の結論。現在のこの核、北朝鮮の核武装を認めるかどうかというのは、ほとんどブルシットであると」
反町キャスター
「西部さんが先ほど、指摘されたみたいに、国際世論の現在、リーダーはアメリカですよ、北朝鮮に対してということで言うなら、その北朝鮮に対する国際世論、核を捨てろ、ミサイルを廃棄しろという議論の中、言っているアメリカが自分の核能力の向上に予算を使っている、これはいかがなものかとの指摘がありました。いかがですか?」
メア氏
「NPT、核不拡散条約の究極の目的は、アメリカでも、ロシアでも核兵器をなくするという目的です、究極の目的ですけれども。一方的に全てをなくすることはできない、ロシアもたくさん持っているし、中国も持っていると、そういう問題ですから。でも、核保有国ではない国々がたまに不公平ではないかという。でも、歴史があるから、アメリカも拡散したら、すごく全世界が危なくなるから、絶対、拡散しないように皆、努力しないとならないと考えています、基本的に」
反町キャスター
「西部さん、現在のメアさんの話は、まさにNPT体制と呼ばれる、いわゆるP5が核を持ち、それ以外のものは持たないように圧力をかけて、要するに、なるべく核が広がらないようにしよう、でも、持っている人達はいいのだよというこの理屈って、戦後の国際秩序ですよね?」
西部氏
「そうですね」
反町キャスター
「西部さんの話は、第2次大戦の戦勝国を軸とした戦後の国際秩序そのものにチャレンジするべきだと聞こえる」
西部氏
「急激にそれが変えられるとは思わないが、現在の国連、特に安保理事会なんていうのは旧戦勝国の5か国が牛耳っていて、今回はたまたま拒否権の発動はありませんが、大いにしばしば機能停止に陥っているのは、ロシアなり、中国なりが、反米的な、反アメリカ的な態度で拒否権を発動するから、機能不全に陥ることが多い。国連総会という巨大な200国近いものもあるのでしょうけれども、ああいうのは貧しい国が、敢えて乱暴に言いますが、富める国から、いろいろな援助を引き出すための、一種の弱者連合であって、ああいうものがあたかも国際社会の秩序の…、現在のところは否応もなく国連無視の議論はできないことは知っていますよ。けど、しかし、あれだって有名無実とは申しませんが、大いにしばしば実体のない、サブスタンスのないフォーム、形式に過ぎないのだ。そんなことは世界中がよく知っているし、とりわけよく知っているのはアメリカ、だから、アメリカは国連の分担金も払わないと。どうも今度、中国が日本を抜いて1番、分担金を多く払うらしいけれど。それはともかく皆、国連なんてその程度のものだということを、アメリカをはじめとして知っているから、国連決議を何か世界秩序の至上、究極のものなんて考えているのはもう日本人ぐらいですよ」
反町キャスター
「オバマ政権で国家安全保障担当大統領補佐官だったスーザン・ライスさんですけれども、ニューヨーク・タイムズにこういう原稿を載せています。メアさん、このライス提案の先に、どういう北朝鮮における緊張緩和が見えるのですか?」
メア氏
「私は、ライスさんの発言に賛成できない。受け入れるのだったらどうなるか?基本的な問題はこれからどうするかという問題です、言葉の意味ではなくて。どうやって抑止できるか、抑えることができるか。アメリカの防衛能力を強めるべき、それには賛成しますけれども。でも、北朝鮮が核兵器を持っている問題は、2つの脅威です。1つは使うこと、日本を攻撃する、アメリカ、韓国を攻撃する。そうなったらアメリカもすぐ北朝鮮を完全に破壊させることは簡単にできる、核兵器を使わず。もう1つの脅威は拡散します、核兵器。ミサイルではなくて核兵器自体、特にテロ組織に拡散したら1番危ないこと、1番使われる可能性が高いところ。特にIS(イスラム国)みたいな組織に、北朝鮮のこれまでの歴史を見ると、あっちこっちに武器を売って、売っていたから、核兵器も売る可能性は高いですから、すごく危険ですから。だから、実質的に金正恩が、自分が持っている核兵器を放棄することもまったく期待できない、どうやって抑えるか、考える必要がある」
反町キャスター
「西部さん、こういうアメリカ国内の議論が出てくる、前の国連大使がこういうことを平場で言って、アメリカの世論に訴えるというのをどう聞いていますか?」
西部氏
「僕は、これは中谷先生に悪いけれども、ごく普通の人間の考える発言であって」
反町キャスター
「この意見がですよね?」
西部氏
「ただ、この背後に重要な問題があるのは、舞台裏で言ったことですけれども、実は日本に、日本の政治の世界に核兵器は使うことのできない兵器だ。広島・長崎が最後で、あと実際に使っていないではないかと。使われない兵器のためになぜ、そんな予算を使うのだ、実験をやるのだという意見が特に政界で、僕、自民党の人達から、自民党を辞めた亀井静香さんなんかが1番先頭にいたから、自民党と言えば語弊があるのかもしれませんけども、平気でまかり通っている。でも、それは大きな誤解であって。僕が言いたいのは、現在の、既核保有国の間の直接的な通常兵器による、大戦争なり、長期戦争は起こっていないわけですよ。なぜ起こらないかと言うと、それをやると最後にどちらかが、核兵器を持ちだすかもしれないという恐怖が背後にあるから、通常破壊兵器による大衝突も起こさない。その代わりに、やらせているのは一種の代理戦争ですけれども。これをいつから数えるか。ベトナム、まだあの頃は冷戦ですからちょっと議論は違いますけど、朝鮮戦争はどうだ、ベトナム戦争はどうだ、それから、イラク、アフガニスタン、シリア、現在のウクライナはどうなのだいというふうに考えていくと、核兵器は確かに広島・長崎以後、使われてはいないが、しかしながら、持っている国、仮にこれを大国と呼べば、大国同士は直接にぶつかり合うことを避けさせているという意味では、核兵器はある偉大な力を発揮しているのだ。この問題を北朝鮮に適用すると北朝鮮を大国と呼ぶわけにはいかないから厄介なのだけれども、これから通常破壊兵器による破壊を北朝鮮に仕かけることは大変難しいわけでしょう。なぜなら北朝鮮は核兵器を持ちましたから、そうしたらあまりに通常破壊兵器による侵略なり、ちょっかいなりをやり続けると、北朝鮮が核兵器を持ちだすかもしれないなと。在韓米軍なり、在沖縄米軍なり、何なりまで含めて、やるかもしれないぞとなると、北朝鮮には手を出すなと、通常破壊兵器によってでもという制約が既存のいわゆる大国側にかかるのだ。北朝鮮が狙っているのはそれであって、そういうことを常識として認めたという意味で、スーザン・ライスさんはさすが政治家であると」
中谷議員
「それは、北朝鮮の要求を飲むということですからね。大国が核を持つというのは安定につながりますけれど、こういったならず者国家とかいう表現もありましたけど、尋常ならざる人が指導者で、ロジカルな考え方ができないですよ。そういう人がこういう核を手にしたら、さらに何を要求するのか。現在はアメリカに体制を維持させるために核をと言っていますけれど、保有を認めた場合はさらに大きな要求がきて、どういった秩序が破壊されるかわかりませんので。現在はとにかく北朝鮮に封じ込める、核を持たせないということに全力を挙げるべきだと思います」
秋元キャスター
「元防衛大臣の石破茂さん、先週この番組に出演いただきまして、このように言っていました。『持たず、つくらずはよいが、アメリカの核の傘の有用性をさらに増すために、『持ち込ませず』の議論は必要だと言いたい』と非核3原則の見直しに言及をされました。ただ、唯一の被爆国であります日本は、1967年に当時の佐藤栄作総理が、核兵器を持たず・つくらず・持ち込ませずという方針を表明し、1971年に国会で決議されてからずっと政府もこの方針を堅持しています。中谷さん、非核3原則の見直し論についてどう考えますか?」
中谷議員
「私は、現在は必要ないと思います。と言うのは、2年前に、私、大臣の時に、日米のガイドライン、こういった防衛の指針の改訂をしました。その際、これは平時から有事に至るまで、切れ目のない、あらゆる事態に対応する日米協力ということで、ガイドラインの冒頭に、米国は引き続き、その核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供する。アジア太平洋の即応態勢にある戦力を前方展開、戦力を迅速に増強する能力を維持すると。まさに日米で約束をして、それで平和安全法制をつくって、さらに日米協力して、これの対処力と抑止力で日本の国を守るという前提ですから。アメリカはこの拡大抑止という、核の抑止、これは保障するし、まさに機能させているということで、私は必要ないと思います」
反町キャスター
「アメリカの核抑止が機能しているとすれば、中谷さん、核抑止が機能しているにも関わらず北朝鮮において核開発が進むというのは、これは矛盾はしていないのですか?核抑止が効いていれば、つくらないはずだということにはならないのですか?」
中谷議員
「抑止力は効かせています。ですから、まだ、日本に1発もミサイルは落ちていないし、米国にも飛んでいないということは、効いている証拠だと思いますし。また、対処力も、飛んで来たら北朝鮮はおしまいだ、という態勢はできていますので、そういう意味では、核抑止というのは効いていると思います」
メア氏
「持ち込むべきかという議論、すごく抽象的な学者的な議論にしかならないです。なぜかと言うと、戦術的の核兵器という話でしょう。アメリカも20年以上前から戦術的な核兵器を使っていません。そういう冷戦時代の、ちょっと時代遅れの議論だと思います。なぜかと言うと核兵器は潜水艦から発射する。戦略的爆撃機、大陸間弾道ミサイル、前方展開もまったくしていないです、もう持っていないです、運用していないから。だから、どういう議論になるか、あまり意味がない議論だと思います」
西部氏
「こういう話を聞くと泣きたくなるのは、たとえば、先ほどのNPTだって、あれができたのが1968年だか、忘れたけれど、あれを日本は批准するまでに、だいぶ、8、9年かけていますよね、1976年、1977年です。と言うことは、あの頃、日本の政治家は立派で、果たしてこんなものに参加していいのかと。いい?日本は、自力で自分を防衛するという道を捨てちゃいけないのだと、そう簡単に、これを我々は批准してはいけないのではないかという常識が、自由民主党に、当時の与党の中にあったから、そういうふうに何年もかかっちゃったんですよ」
反町キャスター
「当時の政府自民党が核兵器保持に向けた意欲を持っていたということですか?」
西部氏
「それはもう、だって、戦前・戦中派がまだ残っていましたから。日本がいかんともし難い腰抜け国家になったのは、戦前・戦中のことを人生なり、政治として体験しているジェネレーションが一斉に後退してからの話だけれども、その問題はもう話がいき過ぎるから。持ち込ませず、石破さんの発言がなんか泣きたくなるのは、これ持ち込ませずと、有り体に言うとアメリカ様に守っていただく予定ですという意味でしょう。もちろん、アメリカが守ってくれる場合もあるかもしれませんよ。でも、これは、トランプさんが言っているようにですよ、その前からか、アメリカはいわゆる国際警察の地位から、なにも明日降りるとは言っていませんけれども、いつまでもアメリカが、インターナショナル・ポリスの役割はできませんよと、俺達は俺達の面倒でかなり精一杯の状態に入っていますよと、移民問題だ、失業問題だ、エトセトラ。そういうふうに、アメリカ本国の人は自分達の状態をある程度率直に、もちろん、トランプさんは言い過ぎもあるのかもしれませんけれども、認める時に、アメリカに持ち込んでいただいて、守っていただきましょうなどという、そういう平和ボケな話を結構なお立場の方が言うということ自体が大問題。結論を先に言うと、そろそろ日本人は、もしもまともでしたら、おい、自分らで持つことも考えてみようかと、つくることも考えてみようかと、いつまでも、アメリカ様に持ち込んでもらってなんとかしようというのは、結構な金もある、技術もあるくせにして、いかにも情けないぜという、そういう世論が国民の中から、澎湃と言わないまでも有力に出てくるようなお国柄でしたら、それは政治家だって、中谷さんのような慎重な言い方をしなくてもいいわけですよ。でも、日本人がこういう惨状ですから、これしか言えない。だから、僕、石破さんを批判しているのではなくて、石破さんが、この程度のことしか言えないというところに、日本人の政治家というよりも国民性の、74年にわたる不甲斐なさ、こんな国は、小さな声で言いますけれども、もう国ではないのではないか、こんな国を国、国と言っていること自体が、誤解ではないか、くらいの悪い冗談をあっちこっちで飛ばす人間が生まれてくるぐらいでないと」
メア氏
「現在の世界でアメリカでも、独自・完全に、自分の国を守る、安全保障体制を守ることはできないです、現在の世界で。だから、同盟関係を強化すべきです。アメリカが思っていることは同盟関係ですから、同盟国は日本が1番信頼されている国だから日本も独自の抑止能力を向上してほしい理由は、安全保障、東アジアの安全保障のために平和を維持するために必要であると思っていますから」
中谷議員
「アメリカと日本は、主義・主張とか国益、一致しているんですね。だから、安倍総理も毎日のようにトランプ大統領に電話して、打ち合わせもしていますが。先ほども言いましたように、2年前に、ガイドラインで細部にわたって同盟調整メカニズムという連絡機構とか、計画ですね、ここまでつくっています。ですから、日米は信頼すべき相手で、安全保障も信頼しなければいけないし。また、核については、先ほど、メアさんも言われたように、1991年から戦術核はアメリカの艦艇・飛行機は一切持ちませんという方針になっていますので、持ち込ませず、と言いますけれども…」
反町キャスター
「艦艇とは水上艦艇ですよね?」
中谷議員
「水上艦艇。潜水艦もトマホークなどはもう廃棄をするということですから、持ち込むという可能性というのはないし。仮に必要があったら事前協議があります。岡田外務大臣が在任中に、万が一の時は臨機応変として、その時の政権が判断することもあり得るということですから。そういった意味では、核抑止については日米で万全の体制が今できているのではないかと思います」
反町キャスター
「日米安保の話が出ました。アメリカが同盟国として日本を本当に信頼しているのであれば、どこまで信頼しているかにもよるのですけれども、日本の核武装論、核保有というものをアメリカが認めるかどうかという議論も一部出てきます。それに関連して石破さんが日本が核兵器保有の類型は4つあると説明されました。主にヨーロッパのケースですけれども、フランスのように自国開発をして核兵器を持つ国、アメリカと核を共有するイギリスのパターン、NATO(北大西洋条約機構)のようにアメリカの核の使用権を持つというパターン、アメリカの核を配備し実際に使うにあたってドイツ政府の承諾を得たうえで使うかどうかになるという、この4つのパターンがあるという石破さんの分類があったのですけれども。メアさん、アメリカはヨーロッパにおいては核の保持・配備をそれぞれの国のパターンに応じて認めてきました。では、日本に対して、日本政府はフランスのように自国で開発してもいいですよとか、さまざまなこのパターン、日本に対しては何かこれまでにあったのですか?」
メア氏
「私、個人的な話だけれども、ほとんどのアメリカ政府の人も同じように考えていると思うのですけれど、と言うと、実用的に考える必要がある。抽象的な学者的な議論をする時ではないです。中国に対する、北朝鮮に対する、どう対処するか、その中で日本は防衛予算が限られているから、アメリカもそうだけれど、これからどういう面で抑止力を向上する必要があるかを冷静に考えるのだったら、核兵器ではないんです。情報収集と偵察能力とか向上して、私も攻撃…、敵基地反撃能力も早く導入すべきですけど、でも、攻撃能力ということ、核兵器ではなく、いろいろ早く導入できるようなトマホーク、巡航ミサイルか、JSM・空対地巡航ミサイルとか、そういうことを早く攻撃能力を、反撃能力を導入すべきだと思います。抑止力を向上することになるから。でも、なぜ核兵器の方が望ましくないかと言うと、実用的に見ると、予算がかかるから。日本の防衛のための防衛予算は限られているから」
反町キャスター
「5兆円ですからね」
メア氏
「たくさん現在すぐ必要向上する必要があるところから予算がとられちゃう。だから、あまりいいことにならないです。それに加えて、核兵器、日本が、英語で言うとStrategic depth、戦略的深さがないのですけれども、アメリカは広いから、冷戦時代から考えているStrategic depthという意味は、1発か2発吸収できる、大変なことだけれども、反撃できる。日本は狭い国ですから、2発だけでもう終わり。だから、核戦争は、相互確実破壊という概念があまり効かない、日本では。でも、それを別にして、核兵器を使って北朝鮮を攻撃したら、近いから風がこちらに向いている。だから、韓国も近い、すごく被害者が多くなる、北朝鮮だけでなくて。そういうふうに実用的に冷静に考える必要がある。ただ、でも、主な人達が、相手が核兵器を持っている、我々も核兵器を持つべきだ、それしか議論していない人が多いです、現在、日本でも。だから、間違っている考え方が。日本の抑止力を向上するために、何が必要であるかと計算しないといけない。そういう計算の中に核兵器はあまり入らないです。現実的に考えると」
西部氏
「でも…、今の話は一貫されていますけれども、欠けているのは予算が限られている中で、どうして核兵器を持っていくのだという疑念だった。僕は何十年も前からですけれども、防衛費を倍増すればいいではないかと。ちょっと冗談半分に言えば、民主党政権時代に、子ども手当で6兆円、現在の防衛省の手当はだいたい5兆円でしょう。それを10兆円にするとなれば、核武装の問題だけではなくて、その他の僕は軍事問題に詳しくないけれども、国防力全体についての議論になり得て。そのうちの1番目とは申しませんよ、3番目か、4番目か、専門家が考えてください、その中の1つとして、核兵器を自分でつくって持つかどうかということが、当然ながら、それこそアジェンダの1つとして出てきて当たり前。ところが、日本人は、防衛費倍増、3倍増とまでは申しませんけれど、それについてだって一切沈黙を守っていて、それに乗るようにしてメアさんが、限られた防衛予算の中でどうして核兵器にやるの、という疑問を出されるのは、そういう疑問は正しいですよ。だから、僕の核武装論の中には、同時に附帯、附帯と言うのは組み合わせとして防衛費、倍増か3倍増かは中谷先生にお任せしますが、防衛費の拡充ということも入っているわけですよ。でも、それぐらいの議論をしていい頃ですよ」
反町キャスター
「メアさん、アメリカがNATOに求めているのはGDP(国内総生産)の3%でしたよね、防衛予算?」
メア氏
「うん、2%…、3%」
反町キャスター
「日本だったら3%って言ったら15兆円ですよ。現在、実際の防衛予算は5兆円ですよ」
メア氏
「そうですよ」
反町キャスター
「そこの部分というのは、アメリカは日本に対し、NATOの各国だって守っている国はいやしませんけれど、アメリカは日本に対して同じような物差しで、日本はもっと防衛予算を大きくしろよと、これは言っていますよね?」
メア氏
「アメリカ政府も、日本の防衛予算は増やさないとならないと思っている。GDPの何パーセントという議論より、何が具体的に必要、購入できるように考える必要。いつも、たとえば、中期防でこういうものがいろいろ必要であると、でも、十分な予算がないから何回も延期されちゃう、ドンドン高くなる、効率的な購入のやり方ではないです。でも、お金より、具体的にどういう能力が必要であるかと考えて予算をつけるべき。これまでの防衛予算、11年間ずっと減っていた、削減されていた。安倍政権が発足してから、今回の政権が11年ぶりにちょっと増やした。でも、現在の中期防で事実上の防衛のための能力のための0.8%しか増やしていない。だから、今度の次の中期防で2%か、3%増やす、毎年。それ以上だったら吸収できない、人数が限られているから、人口が減っているから。そういう問題が具体的に…」
中谷議員
「日本には、三沢とか、横田とか、横須賀とか、佐世保とか、沖縄とか、米軍基地があるんですね。日本に米軍基地があるということはアメリカにもメリットがあって、相当アメリカは評価しています、評価と言うか、感謝と言うか。それに加え、日本に米軍基地があるということは核抑止以上に非常に効果があって、こういったアメリカの存在というものが抑止力として機能しています。防衛費については防衛計画の大綱に基づいて5年間、中期防でやっていますが、これは政府でよく議論をして計画しますが、当然、米側と、その基地負担の話も毎年していますので、そういった意味で、必要最小限度の予算を計上しています。ただ、西部先生が言われるように本当に大丈夫かと言われれば、もっともっとこれは予算が必要だと思いますけれども」
反町キャスター
「アメリカの日本に対する信頼の証になるかどうか?こういう形であるみたいな、日本に対して核保有をアメリカが認めるかどうかという、この可能性については中谷さん、どう感じていますか?」
中谷議員
「これはヨーロッパで、集団的自衛権に基づく前提ですが。日本は日米安保というのがあって、ガイドラインの1番上に、アメリカは日本に対して拡大抑止を提供すると、そういう約束をしていますので、実質同じことだし。これはもう突き詰めて言えば、アメリカが了解しないと発動しないですね。結局、日本の場合と同じような状況ではないかなと思います、これは」
秋元キャスター
「仮に、ですけれども、日本が核を保有したとした場合に、世界がその先、どういう世界になっていくのか?たとえば、核ドミノが起きてくるのかどうか?西部さん、どんな世界がその先にあると見ていますか?」
西部氏
「僕、核ドミノのことはわからないけれども、僕は、基本的に、先ほどから軍備増強と言っていたけれども、僕、近代の軍隊はおよそ信じない。その意味は、軍隊こそは、非常に近代史的に合理的に設計され、計画され、すごく危ないものですよ。普通の文化でしたらその国の長い歴史があり、常識があり、共同体があり、共同体の慣習があり、習慣・伝統があり。でも、軍隊だけはある種の理屈によって、しかも、武器という名のテクノロジーの配置によって合理的に編成されるのですよ。従って、そういうものに、核兵器を持たせて野放しにした時、核ドミノ論の可能性も出てくるし、それから、軍隊の暴走も出てくるし、従って、条件は、古臭い話ですが、いわゆるシビリアンコントロールだけれども、日本人はシビリアンコントロールの意味すら正確にわきまえていない。シビリアンというのはノン・ソルジャー、兵隊ではない人がなれば、シビリアンだと思っているけど、もともとシビル、シビルというか、キビックの意味は、公共精神という意味ですよ。だから、英語の字引で市民、シチズンと調べれば何と書いてあるかと言うと国から保護してもらうこととの引き換えで国へ忠誠を誓う人々というのが、市民という言葉の意味ですし、日本人はそんなことすらわからずに市民とは何?と言ったら、区役所に戸籍を届けた、戸籍届をした人ぐらいにしか思っていない。ある時、防衛大学出身の自衛隊に入った人達の入隊式の講演に呼ばれたことがあるんですね。ちょうどアメリカが、ブッシュ・ジュニアが、バクダッド攻撃をやった直後だった、4月の初めですから。その時に、僕は、これはアメリカの侵略ですと言ったんですね。これにやすやすとついていくと必ず恥さらしなことになりますと言って、それはいいですよ、僕の講演を宣伝したいのではなくて、そのあとの質疑応答の時に2つの質問がまとまって出た。え?防大出身、2つとも同じ質問、先生、寄らば大樹の陰でどこが悪いのですか?もう1つは、長いものに巻かれろ、という諺があるではないですか?日本の自衛隊員のド真ん中から、まだ22、23の青年から、長いものに…、長いものというのはアメリカのことです。寄らば大樹の陰、大樹はアメリカのことですよ。アメリカに寄りかかっていればどうにかなるのだろう。それは全員とは言いませんよ、たった2つの質問だから。そういうのが堂々と、防大を出て、自衛隊のいずれ幹部になるんでしょう。はっきり申します、日本の軍隊は信じられない。アメリカの属軍でもやっていればふさわしい軍隊です」
反町キャスター
「中谷さん、いかがですか?」
中谷議員
「いや、日本には憲法がありますので、非常に自衛隊の位置づけもありますが、同時に日米安保条約を結びましたので、その2つで国を守っていますので、表現は適切ではないのですけれども、日米が信頼してお互いに協力するという意味だと思います」
反町キャスター
「もともとの質問である、日本からの核武装が始まった時に…」
中谷議員
「これは…、世界唯一の被爆国として、核不拡散を言ってきた国として、保有をすればこれ信頼を失うでしょうね。それから、もう1つは、核ドミノでこういった拡散が広がってしまうということ、国内的には非常に日本の国の国論が割れることになります。また制裁を受けて経済的に疲弊をすると。その結果、国民の生活収入が現在の2分の1になってしまうと。そういう意味では、デメリットの方が大きいと思います」
反町キャスター
「メアさん、いかがですか?」
メア氏
「日本が核保有国になったら、まずおっしゃったように、唯一の被爆者である国が核を保有したら、まずNPT、核不拡散条約の体制は終わりです。すごくあっちこっちに核が拡散すると考えるべきです。それ以上、その時に東アジアだけに関して言うと、すぐ次は韓国も核を保有すべきだという。今も世論調査の60%ぐらいそうすべきだと返事をしたし、他の東南アジアとか、望ましくない状態がある。でも、もう1つの問題は、前に申し上げたように、日本が核のために防衛予算を支出して、現実的に実用的に必要であるところがあまり向上できなくなるから、安保体制にとって望ましいことではないことと考えるべきだと思います」

ケビン・メア 元米国務省日本部長の提言 『冷静』
メア氏
「私の提言は冷静という言葉ですけれど。核兵器とか、北朝鮮からの脅威とか、冷静に考える必要がある。感情的に考えたらヤバいことになると思います。と言うと、日本の防衛のために実用的に運用上の面から何が必要であるかを考えたら、核兵器ということではなく、別のところですから、そう冷静に考える必要があると、私の提言です」

評論家 西部邁氏の提言 『さっさと持て!!』
西部氏
「僕も冷静なつもりですが、防衛費増強を含めて、さっさと持ちやがれ。やがれとは書いてないはずですが」
反町キャスター
「持て!!と書いてある…」
西部氏
「持て!!と書いて…、別にそれは5年かかるか、10年かかるか、そんなことを言っているのではなく、そういうことを堂々と議論をする、そういう根性がなくて防衛などという仰々しいことを言うなと」

中谷元 元防衛大臣の提言 『日米拡大抑止とガイドラインの実行』
中谷議員
「今の韓国とアメリカと日本は、北朝鮮に対して実際にオペレーションしています。訓練をしたり、協議をしたり。ですから、2年前にガイドライン、平和安全法制、これで日米強化をはかりましたので、こういったもので北朝鮮の核武装に対応するので。お互いが信頼して、密接に協力をして、対応するということが大事だと思います」