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2017年9月7日(木)
岸田前外相×北包囲網 詳報『日露首脳会談』

ゲスト

岸田文雄
前外務大臣 前防衛大臣 自由民主党政務調査会長(前半)
森本敏
防衛大臣政策参与 元防衛大臣
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹


前編

岸田文雄×森本敏×宮家邦彦 総力検証『日韓首脳会談』
秋元キャスター
「ロシア・ウラジオストクで開催されている東方経済フォーラムに出席している安倍総理は今日午前中に韓国の文在寅大統領と、先ほどロシアのプーチン大統領との首脳会談を行い、現在、共同記者発表が行われています。いずれの会談も最大の焦点は北朝鮮問題でした。この会談の最新情報を交えながら前半は外交的視点、後半は軍事的視点から今後の対応を考えていきます。この北朝鮮問題についての国際社会の姿勢を見ていきたいと思うのですが、今日午前中に行われました日韓首脳会談を検証していきます。日韓首脳会談での北朝鮮に関する主な内容はこのようになりました。安倍総理は『これまでとは異次元の圧力を課すべく、取り組みを進める必要がある』と発言し、文在寅大統領は『今は対話ではなく最大限の制裁と圧力を加えるが、究極的には平和的方法で解決したい』と発言しました。さらに北朝鮮の挑発行動阻止と朝鮮半島の非核化に向け、日米韓3か国の連携強化を確認し、より強力な制裁決議に向けて、中国・ロシア両国に共に働きかけていくということで両首脳は一致したということなのですが」
反町キャスター
「文大統領の発言が僕は気になるんですよ」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「ここにもありますように、対話ではなく最大限の圧力を加えるが…」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「究極的には…、何ですかこれは、どちらなの?迷っているのですか、まだという印象を受けるのですけれども」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「この文大統領の発言をどう感じますか?」
岸田議員
「文大統領自身、大統領選挙の最中から、北朝鮮との対話、こういったことについては触れておられたと思いますし、融和的なのではないか、こういった指摘があったのは事実だと思います。今日までのいろんな動きの中でさまざまな発言をされてきました。しかし、ここへ来て今はまず圧力だということについては一致したという発言だと思うんです」
反町キャスター
「今はまず?」
岸田議員
「これは圧力をかける際に各国の足並みが乱れる、これが最もまずいことだと思います。その圧力においてもちろん、ポイントは中国、あるいはロシア、この態度だと思いますが、その前に日米韓の足並みが乱れては北朝鮮側からすれば、ほくそ笑んでいるということにもなりかねません。やはり日米韓の足並みを揃える、そういったことで努力を続けてきたわけです」
反町キャスター
「そうした中で、宮家さん、3か国の強固な連携・信頼関係みたいなものが必要だと言う中、トランプ大統領が日本の上をミサイルが飛んだあと、日米首脳会談が電話で行われ、その時に大統領が韓国を評して『北朝鮮との対話にこだわる韓国は物乞いのようだ』と言ったとウチの取材で出ているのですけれども。この大統領の発言…」
宮家氏
「はい」
反町キャスター
「本来、表に出るべきかどうかは別ですよ」
宮家氏
「はい」
反町キャスター
「大統領が日本の総理に対してこういうことを言うということは、本音ベースの語りができる信頼関係だと言ってしまえばそれまでですけれど、それ以上の影響をどのように見ていますか?」
宮家氏
「いや、それ以上の影響がないように、周りの人がちゃんとフォローをしているはずですから」
反町キャスター
「なるほど」
宮家氏
「そうでなければいけないし、そうなっていますから現在のところは大丈夫だと思うけれども。この大統領は残念ながら、ちょっと本当に思ったことをそのままツイートしてしまうとか、喋ってしまう傾向があるので、それはアメリカ政府全体としては、国防長官なり、国務長官なり、関係者がうまく全体としてのバランスをとるようにしていると、信じなければいけないし、これまでそうしてきています。ですから、そこはしょうがないですね」
反町キャスター
「森本さん、いかがですか?」
森本氏
「韓国は北と何らかの圧力をかけながらも対話ができる道があるのではないかと。既に北朝鮮に2つのチャンネル、対話のチャンネルを提案しているわけですね。軍と軍、それから、いわゆる赤十字のライン。3つチャンネルがあるのですけれど、そのうちの2つを提案し、北はまったく反応してきていない。つまり、北は無視している、NOとも言っていない」
反町キャスター
「それを評して、こういうふうに言っているのではないのですか?」
森本氏
「そうではなくて、そういう対話にこだわっているという韓国を、なんとなく口では最大限の圧力、制裁を加えるアメリカに同調をしているかのように見せながら、相変わらず北との対話にこだわっているのだなということを皮肉っぽく言うと、こういう表現になるのだろうと。韓国は今日、THAADを配備して、反対の中で非常に大きな決断をしたと思うのですが、現在の文在寅政権は日米韓の連携をキチッと維持しよう、そこの1点について疑問を持っていないと思うのですが。選挙戦中に言っていたいろんな約束を考えると、なんとかこの問題をアメリカが軍事的な手段に最後の道を求めることだけはできたら避けてほしいという気持ちが非常にあって。大統領としてギリギリ言えることは『究極的には平和的方法で解決したい』、これ以上のものでもこれ以下のものでもないと思うんですよね、表現としては」

『北方領土問題』の行方
秋元キャスター
「今回の首脳会談、日露首脳会談、日韓首脳会談が行われたわけですが、北朝鮮への対応だけでなくて、さまざまな諸課題についても議論が行われました。まずはロシアとの領土問題と経済協力についてですけれど、日露首脳会談・少人数会合においては『平和条約締結に向けて北方四島において早期に取り組むプロジェクト』として海産物・温室野菜・ゴミの減容化・風力発電・島の特性を活かしたツアー開発、5項目について合意をし、10月初旬に現地調査を行うということになりました」
反町キャスター
「今回この5つのプロジェクトで早期に取り組んでいきましょうということで、両首脳が合意をしました。一方、ロシアは北方領土に経済特区を新設する、設置をする動きが出ています」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「その経済特区をつくるということはまさにロシアの北方領土に対する、統治を強化するものではないか」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「統治を強化する方向にロシアが向いている時に、そこに日本がさらに技術や資金を投入することが、島が還ってくることにつながるかどうかというところは、議論していてどうもわからなくなっちゃった。ここをどう理解したらいいのですか?」
岸田議員
「北方四島におけるこの共同経済活動という議論は、かなり前から何度も出てきた話ですが。基本的にお互いの法的な立場を害することがあってしまっては、お互いの立場が説明できなくなってしまうということで、立ち切れになったと。こういった経緯をたどってきました。だからこそ一昨年末、山口で行われた日露首脳会談においては、このお互いの法的立場を害さない形で共同経済活動を行う、これが確認をされています。法的立場を害さないということから、国際約束、たとえば、条約等の国際約束を通じてお互いの立場を害さない、そういった工夫をしたうえでこれを進めようではないか、こういった約束が両国首脳間で行われています。それとの関係において特区の問題は矛盾しないのかどうか。それをしっかりと見ていかなければなりません。ですから、両国の首脳間で確認したこのことはお互いしっかり守っていかなければなりません。ロシアのさまざまな動きが両国首脳間の合意と矛盾しないかどうかをこれからしっかり見ていかなければならない、確認していかなければならない、こういった問題だと思っています」
反町キャスター
「北方領土にロシアが特区を設定することは、場合によって日本の法的立場を害するリスクもあるよ、でも、そうではない可能性もある、だから、しっかり見ていかなくてはいけないと、そういうふうに聞こえます。それでよろしいですか?」
岸田議員
「いずれにせよ、我が国の法的立場が害されてはなりません。我が国の立場、考え方、これは決して譲ることはできませんし、それをしっかりと主張するうえで、矛盾しない対応をしっかり確認していかなければならないと思っています」
反町キャスター
「宮家さん、いかがですか?」
宮家氏
「これはもちろん、両首脳で議論して合意したことがベースになっているのですが、ロシアが本当に日本との関係の改善を考えて、戦略的な判断をするのかどうかということがポイントですよ。還るか、還らないかも大事だけれど。その時にロシアに我々が言わなければいけないのは、プーチンさん、あなたよく考えてくださいよと、中国の旧満州というか、東北3省、あそこは何億人も人が住んでいるんですよと、それでその反対側のシベリアというか、極東のロシア、これは数百万人しか住んでいないですよと。この人口圧力だけ考えたって怖いでしょう。ですから、ロシアに対し、特にプーチンさんに対して、戦略的な対外関係の判断の変更というものをさせることが必要です。これは、来年、再来年はどうかわかりませんが、10年、20年では必ず起こることです。だとすればプーチンさんに10年後、20年後のこの東アジアの脅威、もしくはロシアに対する脅威ですね、そういったものも含めて考えてもらわないといけませんよ、どうですかというような話し合いを続けなければいけないということですよ」

プーチン大統領『本音』と『思惑』
秋元キャスター
「東方経済フォーラムの全体会合において、北朝鮮の核開発について、プーチン大統領はこのように述べています。『北朝鮮問題には外交的解決しか方法はない。簡単ではなく、時間もかかるが唯一の正解だ。北朝鮮は核開発をやめない。彼らはイラクのことをよく知っている。北朝鮮にとって核・ミサイルが自分を守る唯一の方法だ』と、こういう発言でした」
反町キャスター
「プーチン大統領のこの発言、この発言に限らずに、イラクのことを北朝鮮はよく理解している、北朝鮮にとって核・ミサイルが自分を守る唯一の方法だ、この種の発言をプーチン大統領は過去にも何度もしていますよね?」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「小さな国が身を守るためには、核兵器なるものというのが手段として云々かんぬんみたいな発言を繰り返しプーチン大統領はしています」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「北の核・ミサイルの保持というものに対して…」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「はっきり言えば、理解を示し続けてきたプーチン大統領だという印象を持たざるを得ない部分もあるのですけれども、プーチン大統領のこのスタンス。これは事実上の核保有を容認すべき、ないしはICBM(大陸間弾道ミサイル)の保有を容認して、そのうえで保有国として我々はこの国をどう処遇するのかというのを議論したらいいのではないかと、そういう意味ではないのですか?」
岸田議員
「北朝鮮問題についてはロシアも加わっている6者会合の枠組みの中で、この目的は検証可能な形での朝鮮半島の非核化である、これは6か国として目指すものであるということが確認をされております。ロシアもそれに加わっているわけでありますから、ロシアも朝鮮半島の非核化が目指されるべきものであるということについては理解をしていると思います」
反町キャスター
「非核化は理解している?」
岸田議員
「うん。そのために引き続き協力していかなければならないと我が国は思っており、連携を働きかけている。国連においても厳しい制裁措置を含む、さまざまな決議の採択に努力している、こういったことであると思います。我が国として朝鮮半島の非核化、この目標はしっかり掲げ続けなければならないと思っています」

総力検証 『日露首脳会談』
反町キャスター
「両首脳の発言、プーチン大統領の発言の中で、北朝鮮問題について、この問題は外交的な手段でしか解決できないと。第1として全体的な緊張を下げることである。関係各国の対談が必要ですと」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「さらに段階を踏んで問題を解決していくものなのだと、こういう話がありました」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「さあ、この大統領の発言、どう感じますか?」
岸田議員
「現在、国際社会が協力をして、この問題に取り組んでいかなければならない。その中でロシアの役割は大変重要です。具体的な取り組みにおいてロシアをしっかり巻き込んでいかなければならない。こういったことで日露間においてはこうした政治対話が続いています。具体的な対応についてはこれからもしっかり意思疎通をはかって連携を確認する、こういった努力を続けていかなければならない、これは感じます」
反町キャスター
「でも、この大統領の発言だけを聞いていると、圧力だ、制裁強化だというところではなくて、全体的な緊張を下げることが第1として必要である、ここの部分ですよね。どう受け止めたらいいのですか?これは日米韓と、中国はまだわかりませんが、ロシア、足並みが揃っているようには見えないですよね?」
岸田議員
「従来からロシア・中国の役割は重要だと言ってきましたが、だからこそ足並みを揃えてもらわなければならない、こういったことで働きかけを続けてきました。その働きかけ、引き続き重要であると感じます」

岸田文雄 自由民主党政務調査会長の提言 『1.自らの備え 2.日米同盟 3.外交(圧力)』
岸田議員
「先ほども少し触れましたが、まずは自らの備え、ミサイル防衛態勢をはじめ、我が国自身が国民の命や暮らしを守るためにしっかり備えなければならない。2つ目として、どんな国であっても、アメリカであっても、現在のこの国際情勢の中で、科学技術の進歩の中で1国のみでは自分の国は守れない、これが国際社会の常識です。日本にとって日米同盟、この抑止力・対応力を高めていく、これは大変重要だと思います。外交においては好ましい環境をつくっていく。現在の時点においては、圧力が大事だということを先ほどから申し上げています。この3つを同時並行的にしっかり進めていかなければならないと。だから、1つだけ見ていると、どうなのだという話になりますけれど、この3つが同時並行的に進められることが日本にとってはまず大事だと思います。そのうえで北朝鮮の反応を見、その適切な対応は何なのか、それをまた随時考えていく。この3本の柱を同時並行的に進めながら状況を見ていく、これが日本の対応として大事なのではないかということで、この3つを書かせてもらいました」

北朝鮮をめぐる動きについて 聞きたい事、言いたい事
秋元キャスター
「視聴者からの質問です。『北朝鮮が挑発を続け、ミサイル・核開発を進めるようであれば、日本も対抗上、核開発やミサイル開発をせざるを得ないと発信すれば、中国も、ロシアも、真剣に本気で北朝鮮を押さえにかかるのではないかと思うのですが、いかがですか?』とのことです」
岸田議員
「核開発を日本が自らやる、これは国際社会が戦後ずっと時間をかけて取り組んできた軍縮不拡散のこの基本的な考え方を崩してしまうことになりかねません。核不拡散についても、NPT体制、今日まで皆で努力してきた体制、これを維持しなければならないと思いますし、日本が自ら核を持つということ、非核3原則との関係においても、さらには原子力基本法をはじめとする国内法との関係においても、できないと考えます。日本は日本の立場で努力をしなければいけませんが、国際社会との連携、全体の中で日本は日本の果たすべき役割を果たす。アメリカにはアメリカの果たしてもらう役割をしっかり考えてもらう。こういった、こうした役割分担、連携が大事だと思います。その中で日本の果たすべき役割を考えると、核を自ら持つということは、考えるべきではないと私は思っています」
反町キャスター
「非核3原則に関連して、日本が持つまではいかなくても、3つ目、持ち込ませず、の部分を、たとえば、在日米軍、ないしは原子力潜水艦、その他諸々…、持ち込ませず、をちょっと削る」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「2.5原則で日本の北朝鮮に対する核抑止力を強めるのはいかがかという、こういう議論もあります」
岸田議員
「うん」
反町キャスター
「そこの部分はいかがですか?」
岸田議員
「まず現在のこの米国の核抑止力について日本はしっかりとした信頼を寄せています。現在のこの核抑止力の体制に穴があるとは思っていません」
反町キャスター
「なるほど」
岸田議員
「仮に核抑止力について議論をするのであるならば、非核3原則はしっかり守ったうえで考えて、議論をするということなのだと思います。いずれにせよ、非核3原則、これは引き続きしっかり守っていくべきであると私は思っています」
反町キャスター
「もう1問、視聴者からの質問です。『岸田政調会長におうかがいしたいです。外務大臣時代に発言された、憲法改正は内閣で取り組む問題ではないというお考え、現在でも同じお考えですか?』とのことですが」
岸田議員
「うん?私が申し上げたのは、平和安全法制の議論が終わった、それが、その効力等が確認されているこの段階で、憲法9条についての改正を考えることはない、私は考えないということであります。憲法9条を含めて、憲法については自民党において現在、憲法改正推進本部において現在、議論が行われています。こうした議論の結果、どうあるべきなのか、こういった議論はしっかり行われるべきだと思っています」
反町キャスター
「党でやるのはいいという意味ですよね?」
岸田議員
「いや、党で議論をしたものを、次は国会で議論をするということになります。内閣で議論をするというか、仕組みとしては党が考え方をまとめる、それを国会の議論の中で提案し、各党でしっかり議論をし、その改正を発議するかどうか、これを判断する、これが議論の進め方だと思っています」


後編

森本敏×宮家邦彦 北朝鮮『暴発』シナリオ
秋元キャスター
「今回の核実験の地震規模、マグニチュード6.1と観測されまして、爆発の規模に換算しますと160キロトンと広島県に投下された原爆の10倍以上の規模とされるなど威力は各段に上がっていることがわかります。まず森本さん、今週6回目の核実験をきっかけにアメリカと北朝鮮の軍事的な緊張度が新たな段階に突入したと見ていますか?」
森本氏
「その通りだと思いますね。CTBTOという、包括的核実験禁止条約機関が、分析した数字を見直して、変更してきたのですが、我々が想像していた以上に爆発の規模が大きく、160キロトンというのは、広島でも15キロトン、長崎でも21キロトンですから、それの8倍から10倍なのですが。通常、50キロトンを上回る爆発というのは水爆である蓋然性が非常に高いです。既にある核保有国、たとえば、アメリカであれば、原爆をやって、強化原爆をやって、水爆に至る、この開発の期間というのはだいたいアメリカの場合で7年、ソ連で6年、イギリスで5年。5年、6年、7年ぐらいです。北朝鮮は第1回目の核実験を2006年にやっていますので、11年がかかってここまで来ているということなので。こういう規模の水爆が実用化され、これがどこまで小型化されるかということが重要なのですが。ICBMのようなものに載るためには、これを現在、小型化されていることはほぼ確実ですが、ICBMのように長距離であればあるほど弾頭部分が小さくないといけないですね。たぶん1万2000km~3000kmを飛ぶということになると、200kg~300kgの弾頭にならないといけないのですが、そこまでいっているかどうか、まだおそらく数回の核実験と、数回のICBMの発射実験を行って、完成しないといけないのではないかと。と言いますのは現在の段階でICBMも、この核兵器も、生産というか、製造のオーダーが下りていないので、まだ開発途上、最後の詰めをやらないといけないというレベルに至っているのではないかと思いますが。それにしても、5回目とはまったくレベルの違う、内容においても、規模においても、大変大きな脅威が我々の周りにある、ここは間違いのないところだと思います」
反町キャスター
「森本さん、現在の北朝鮮を核保有国として見るべきかどうか。実態においては核保有国と見ざるを得ないのですけれども、国際社会が北に対して向き合う時に、開発をやめろと言うのか、持っているものを捨てろと言うのか、これはまた違ってくると思うのですけれども。現在の北朝鮮を国際社会はどう見るべきだと感じていますか?」
森本氏
「核兵器国であることはいかなる理由からも認めるわけにはいかないということです。もともとNPTに入っておきながら違反をし、6か国協議の約束にも違反し、6か国協議に戻ってこないと言い、そういう北朝鮮が実際に核兵器を持って、爆発をしたからと言って、核兵器国であることを認知してしまうということになると、全ての条約の枠組み、国際社会におけるいろいろな決まりというのか、国際法に基づく秩序が根本的に変わってしまうので。私は、実際に北朝鮮がどういうものを持っているか、どういう開発を行っているかとは別に、既に行っているものをいかにしていかなる手段をもって断念させていくかという手段を考えるべきなので、既に北朝鮮が核開発で核保有国であるということを認めてしまうと、北朝鮮がさらに核兵器の近代化をドンドンしていくということをドンドン認める、追認してしまう。それは容認すべきでないですね」
秋元キャスター
「持ってしまったものを容易に手放すとは考えられないですよね?」
森本氏
「いや、どうでしょうか。歴史の中で、たとえば、南アフリカはいったん持ったものを自分で廃棄した例もありますし、旧ソ連邦の独立国家共同体も自国の中に核兵器があったわけですが、それはリスボン条約という条約によって、自ら廃棄するという手段をとったので、核兵器国になった国が核兵器を捨てた例がまったくないというのは、それは事実に反するということだと思います」

北朝鮮『国際包囲網』
反町キャスター
「宮家さん、いかがですか?どのように北と向き合うべきだと感じますか?」
宮家氏
「水爆である可能性が高い。あの構造を見ると、ご承知の通り、水爆というのは原爆で起爆するわけですよ。ですから、原爆の技術も相当進んでいる、小型化しているということですよね。それから、次にICBMで1番、私が気にしているのは再突入の技術なのですが、私は、これはもう時間の問題だと思っています。ですから、その意味で、数か月前までは5年、10年ありますよなんて適当なことを言ったのだけれども、そうでもない。これは数年とならざるを得ないだろうと思っています。そのうえで、先ほどの、プーチンさんの言葉の『外交的な解決しかない』、それはもちろん、断念させるためには戦争をやるわけにはいかないので。ただ『やめない。イラクのことをよく知っている』、よく言うよと、私の方がよく知っていますよ。イラクは持っていなかったからやられたのではなくて、持っているかもしれないということを曖昧にし過ぎたために戦争になったんですよ。彼らがもし開発していたら間違いなくやられていましたよ。ですから、核兵器を持つということは決して彼らの安全を保障しないです。そのことを伝えなければいけないですよ。北朝鮮にとって現在、核兵器を持っているから自分が安全だと思っているかもしれないけれども、それが間違いなのである。核兵器を開発することが実は北朝鮮の体制、もしくは国家そのものが危なくなるのだということを理解させない限り、これは物事は動かないわけですよね。ですから、プーチンさんがこんなことを言っているのは、それは北朝鮮がかわいいから言っているのではなくて、彼はこう言っているんですよ。戦争になったら、プーチンさんのロシアが困るんですよと、だから、やめてくれと言っているだけですよ。だけど、それは問題の解決にはならないので、我々が考えなければならないのは、北朝鮮に対してなぜ核兵器を持つことが危険、自分達にとって危険なのかということを理解させなければいけない、そのための圧力ですよ」
反町キャスター
「圧力をかけることによって、彼らは自ら学ぶ?」
宮家氏
「それはもちろん、学ばない人は学ばないですけれど」
森本氏
「理解させ、自分達が置かれている客観情勢がいかに危険であり、場合によっては政権そのものを崩壊させられることになるかもしれないということを自らが悟り、自ら理性的な判断をしていくように仕向ける。それが、いわゆる国連安保理の制裁であったり、その他の外交的手段であったりするのですが。軍事的な方法で理解させるというのは無理です」
反町キャスター
「無理ですか?」
森本氏
「いや…」
反町キャスター
「限定的な武力行使とよく言うではないですか?」
森本氏
「いや、それは解決の方法はそうですけれども、理解させる方法ですよ、言っているのは。理解させる方法を軍事的な手段によって解決させるというのは無理」
宮家氏
「1つだけ、敢えてこれは仮説であり、仮定の話ですから、私が言っているという意味ではないですけれども。もし軍事的に何らかの形でメッセージを送るとすれば、彼らが撃つミサイルが全部撃ち落とされると、たとえば。だから、撃っても意味がない。アメリカに対してミサイルを撃っても実は届かない、途中で撃ち落とされてしまう。これは彼らにとっては、あ?っというものになり得るかもしれないということ。ただ、ここでその議論を深くするつもりはないですよ、だけど、まったくないわけではないし、それ以外の外交的な方法も含めれば、これをうまく組み合わせてすれば、彼らにもしかしたら核兵器を持たない方が生き延びられるんちゃいますかと思わせることができると思います。その時のカギは中国です。中国が本気で、たとえば、石油・原油等々について、もし放棄しないのだったら、本当にABCD包囲網になりまっせと、昔と同じになります、その結果、何が起きたかわかっているのでしょう、というような形の厳しいことを中国が言えるかどうかというのが1つのカギになると」
森本氏
「総理とプーチンさんの記者会見でも核開発及びミサイル開発そのものについては強い非難をするということで意見の一致をみた。平和的、外交的な解決しか現在はない。たくさんこの両方で意見の一致をみているのですが、問題はそうではなくて現在、国連で議論をしている安保理決議にロシアが賛成にまわるか、中国が賛成にまわるかが重要です、それは一言も述べていないです。実は4回目だったか、3回目だったのか、忘れましたが、日米の首脳電話会談で、おそらく私の想像ですけれど、聞いたわけではないですけれども、アメリカとロシアが現在、話せる状態にないので、結局、中国に対してはアメリカが働きかけましょう」
反町キャスター
「電話をしましたね」
森本氏
「電話をしました」
反町キャスター
「あっ、そうか…」
森本氏
「ロシアはプーチンさんと総理が会うので、日本がロシアに働きかけましょう。つまり、役割を分担したんです」
反町キャスター
「なるほど」
森本氏
「他方、我々の勘はそれほど緊密に中国とロシアが連携をとっているふうはないということなので。どちらかと言えば、両方100%、新しい安保理決議、たとえば、石油の完全供給とか、部分的供給とか、あるいは期間を決めた供給の停止などに中国・ロシアが共に賛成してくれればいいですが、どちらかが賛成し、どちらかが賛成してくれなければ、日米は中露の間の分断をはかることができるので、どうやって働きかけるかということをやってみて、あらためて日米間で相談するという、そういうプロセスです、明日からは」
反町キャスター
「なるほど」
森本氏
「できれば9月の9日、もう日にちがないですが…」
反町キャスター
「建国記念日」
森本氏
「建国記念日、できなくても9・11の月曜日までに新しい安保理決議を通したい。その中にはいろいろな、たとえば、貿易の中止だとか、あるいは労働者の派遣の中止だとか、あるいはIT(情報技術)などを活用して他国の金融機関から金を盗みとるなどを一切、安保理決議の中に入れるが、問題の石油の供給停止というのはどういう形で入れ…、中国の方が多いです、年間50万トンぐらいでして、ロシアの方はせいぜい2、3万トンで、ロシアはあまり実害がないのですが、中国がこれを飲むかどうかがカギです。中国が飲んで、ロシアも反対するということになると、先ほど申し上げたように、中露は考え方が違うので、中国だけこちらに引き寄せればいいので。そこはこれから安保理決議を通すまでの間に、こちらの安保理決議が早く通るか、あちらがさらなる挑発活動をやるかという、非常に厳しい時間の勝負がこれから3、4日あるということだと思います」
宮家氏
「あと1点だけつけ加えると、中露が一体に見えるけれども、実はおっしゃった通り、割れる可能性があるわけですよ。中国…、私の経験から言ったら、中国は孤立を恐れていますから、ロシアが棄権すれば、中国は判断を変える可能性も…」
反町キャスター
「乗ってくる?」
宮家氏
「いや、乗ってくるというのか、何らかの別の行動をせざるを得なくなることがあると思います。ですから、中露を一緒にしておくのが1番いけないので。それが中国としてはそこを崩されたくない。逆に言うと現在、森本さんがおっしゃったような形で分断をはかるというのは、極めて正しい」
反町キャスター
「北朝鮮への制裁決議案、具体的に現在、我々が理解しているのにこういうものが挙げられています。金正恩委員長の海外資産凍結・渡航禁止、公海上船舶検査、原油や石油精製品、つまり、原油だけはなくて、ガソリンとかナフサ、重油の石油精製品の輸出も禁止、繊維製品の輸入禁止、出稼ぎ労働者の送還・受け入れの禁止、さらにこれまであったものを強化していくということになるのですけれど。宮家さん、この制裁決議案、先ほどのロシアと中国のはまり方ですけれど、両方、中露が連携して反対だと言えば、こないですよね?」
宮家氏
「うん」
反町キャスター
「ロシアが棄権、ないしはロシアだけが入らずに、中国が乗ってくるとなると、どういう組み合わせになるのですか?」
宮家氏
「ロシアが中国ほど、北朝鮮の問題について自国の戦略的な生存に関わるような問題と考えていないと思うんです。彼らが北朝鮮問題に関与するのはロシアにとって1番頭が痛いのは欧米のクリミア事件以降の経済制裁だと私は思っていて。だからこそロシアはアメリカに対して常にメッセージを送っていて。シリアもそうですけれども、舐めんなよと、ロシアをと。もし舐めるのだったら、俺達はお前らのやりたいことをできなくしてやれるのだぞということを、常にアピールしようとしているわけですよね。だから、中国がもし北朝鮮との関係が悪くなれば、そこはスルスルスルと入っていってある程度のことはする。舐めんなよと、東アジアだって、ロシアは東アジアの国で権益があるのだから、舐めんなよということはやります。だけど、本当に中国のように、朝鮮半島の北の問題というのは、これは実は中国の東北3省、旧満州の安全保障の問題に直結する問題ですから、ロシアとは微妙に違うんです。だから、その部分をうまく突けば、これは両者をある程度、分断することは不可能ではないと思っています」
森本氏
「ただ、もう1つの側面を考えないといけないのは、中国とロシアが国内問題を抱えていることで。中国も中国共産党大会までに、これまでアメリカとの関係で言うと、アメリカからの圧力に相当、妥協、妥協、妥協してきて、たとえば、台湾の武器供与とか、南シナ海の自由航行だとか、あるいは貿易インバランスの圧力だとか、あるいはTHAADの配備だとか、あらゆることに中国はアメリカに圧力を受けて妥協してきたわけで、国内でこんなにアメリカの圧力に妥協していいのかという非難が習近平さんにあまり強く至ると、これは中国共産党大会の時に非常に難しい状態になるので、国内も非常に大きいと思います。ロシアもそうです。来年3月18日、クリミア独立の日に投票日を設定しているので、反米ナショナリズムがあるので、だから、いろいろプーチンさんは言っているけれど、本音は国内の反米ナショナリズムをどうやって妥協させることができるかが、判断基準の非常に大きなウエイトを占めていると私は思います」
秋元キャスター
「北朝鮮包囲網ですけれども、カギを握る中国は、北朝鮮の核実験に対してこのような反応を行っています。中国外務省の声明、3日に出ました。『北朝鮮が国際社会の反対を顧みず、再び核実験を行ったことに断固とした反対と強烈な非難を表明する』と。王毅外相は今日、記者会見で『中国は国連安保理がさらなる必要な措置を取ることに賛同する』と発言しています。宮家さん、この中国のスタンス、どのように読みますか?」
宮家氏
「あまりやる気ないということですよね。強い決議はつくる気はないということですよ。それで先ほど、森本先生がおっしゃった通り、党大会の最中ですから、これから始まるわけですから、できっこないですよ、キツイことは。中国としては国内で、まだ北朝鮮を含む、朝鮮半島の将来についてのどうすべきかということについて、国内で議論がずっと割れたままです。現在でもコンセンサスはないです。と言うことは、その意見が割れている限り、中国は北朝鮮を見捨てられないです」
反町キャスター
「北を守るか、切るか、腹が固まっていない?」
宮家氏
「そうです。それはもう10年、20年と議論している話です」
反町キャスター
「なるほど」
宮家氏
「でも、それはどちらも理があってなかなかそこまで踏み切れないということは、北朝鮮を見捨てるわけにはいかんということになる。そうなれば現在のような状態が続くということです」
反町キャスター
「それはいつ頃に決着するのですか?党大会が終わって…」
宮家氏
「はあ…」
反町キャスター
「ため息が出るくらいわからない感じですか?」
宮家氏
「うん。本当であれば、中国がそれに踏み切るべきだと私は個人的に思います」
反町キャスター
「ただ、環球時報とか、諸々、そういう中国のアドバルーン的なものを見ると、もう中朝同盟なんかポイするよと」
宮家氏
「うん」
反町キャスター
「我々は国際社会の一員として、大国として、中朝同盟とか、そういうものにこだわらない新しい国際国家を目指すのだみたいな…」
宮家氏
「環球時報ばっかり読んではダメです」
反町キャスター
「ごめんなさい、どうぞ」
森本氏
「そうならないと思いますよね」
反町キャスター
「ならない?」
森本氏
「ならないのは、確かに以前よりも、現在の金正恩体制で行っている挑発活動に中国は不快感を持っていて、それは単に金正恩が中国の呼びかけにも関わらず、中国に1度も来ないというだけではなくて、そもそも北朝鮮がこういう非常にシリアスな挑発活動をやることによって、北東アジアで中国が大変厳しいところに追い込まれているのは、もともとの原因は北朝鮮がつくったのだと思っているから。この最初の『断固とした反対と強烈な非難を表明する』というのは、口先ですけれども、これまでよりも少しトーンが強いですよね。だけれども、先ほど、宮家さんがおっしゃったように何か断固とした本当に実効性のある安保理決議に賛成するのかというと、中国はそれをやったら、たとえば、として石油を何分の1か止めたら単に核・ミサイル開発がスローダウンするだけではなく、既に、北朝鮮の中で電車が止まっているという話がありますが、実際に社会生活、産業、エネルギー、全部こうやって止まっていって、国民が暴動とは言いませんけれども、非常に金正恩体制に不満を持って、場合によっては中朝国境からこれから寒くなる時期に中国に逃げていく人が出てくるかもしれない。そういう、緩やかな混乱は中国にとって最も望ましくない、国家の安全保障に関わる問題なので。これ以上、北朝鮮をあまり国内混乱に陥れるような安保理決議は通したくないという意見が中国共産党の中で非常に強いと思います」
反町キャスター
「そうすると、制裁強化に中国はおそらく二の足を踏むのではないか?」
森本氏
「いや、だから、その程度によるのですけれども。いかにも中国は安保理決議に、これだけ言っておきながら、拒否権を発動するということはなかなか政治的に難しいので。アメリカとの関係でもアメリカからどういう報復を受けるかわかりませんので。これ以上、たとえば…」
反町キャスター
「トランプさんが何をやってくるのかがわからない?」
森本氏
「わからない。貿易インバランスを完全に止められたり、そういうことをされると、中国経済が決定的なダメージを受ける。その責任は習近平さんがとらないといけないと、党大会の前に。そんなことはできない。だから、いかにして内容のない安保理決議にして賛成にまわるかくらいしかない」

森本敏 防衛大臣政策参与の提言 『圧力に全力投入しつつ、危機に備える』
森本氏
「私は、先ほど申し上げたように、国際社会はとにかくまず圧力をかけるということに全力投球しながら、しかし、アメリカが軍事オプションを真剣に考えているということを念頭に置くとドンドンとチキンゲームが、ドンドンとどこかに収束をして、非常の場合というのがあり得るので、それに常に備えるという心構えを持っていないといけない。この二正面作戦でやらないといけないのではないかと思います」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言 『自国を守る意志と日米韓連携!』
宮家氏
「日米韓の連携は当たり前なのですが、戦争は往々にして誤算によって起きます。その誤算は起き得るのです。と言うことは、日本は国内の地方自治体も含め、危機の時の準備をしておかなければいけないと思います。大丈夫でしょうか?心配です」