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2017年8月25日(金)
『徴用工』SHOCK 訴訟乱発…企業に激震

ゲスト

白眞勲
民進党参議院議員 日韓議連社会文化委員長
髙初輔
弁護士
浅羽祐樹
新潟県立大学大学院国際地域学研究科教授

激震『徴用工問題』 日韓の新たな『火種』
松村キャスター
「日韓関係の新たな火種となってしまうのでしょうか?韓国の文在寅大統領が、戦時中に日本企業に強制労働を強いられたとされる徴用工問題について、韓国人の個人の請求権は消滅していないとの韓国最高裁の見解に理解を示しました。徴用工問題は、解決済みとしていた、これまでの政府の立場を覆す発言に波紋が広がっています。そこで韓国の情勢に詳しい国会議員と専門家を迎えて、徴用工問題と日本に与える影響を聞いていきます。白さんは今週、日韓議員連盟の皆さんと共に韓国を訪問されました」
白議員
「そうですね、はい」
松村キャスター
「文在寅大統領との会談に出席されました」
白議員
「はい、会いました」
松村キャスター
「後ほど、その話も聞きたいと思います」
白議員
「わかりました」
松村キャスター
「まずは今日取り上げる徴用工の問題を、日本の最高裁でも韓国の最高裁でも取り上げられた最初のケースである三菱広島・元徴用工訴訟をもとに見ていきたいと思います。原告は第2次世界大戦中の1944年に国民徴用令に基づいて朝鮮半島から強制連行されて、旧三菱の広島機械製作所及び広島造船所で労働に従事した46人です。原告の請求は、強制連行・強制労働・被ばく被害の放置による精神的損害に対する賠償、未払い賃金などの支払いでした。この裁判なのですが、裁判の経緯、日本は、1審は棄却、2審は原爆被害に対する賠償のみ一部認められましたが、原告側は最高裁に上告、2007年に最高裁が上告を棄却しています。つまり、強制連行ですとか、強制労働に対する賠償責任は認められていないというのですが、髙さん、どのような司法判断だったのでしょうか?」
髙氏
「はい…」
松村キャスター
「一部のみが認められたという?」
髙氏
「一部というのは、おそらく402号通達みたいなものに関する一部の賠償は認めたということですけれども。その他のいわゆる一般的な慰謝料ですとか、そういった請求については、除斥期間とか、あるいは消滅時効等々の理由で棄却をしていると。最も大事なのは、日本の場合は、日韓請求権協定に基づいて韓国側の個々人の請求権、あるいは財産、それから、権利、利益について、1965年6月22日をもって消滅させるという、いわゆる財産権措置法という法律をつくっているんですね」
松村キャスター
「財産権措置法?」
髙氏
「はい。これによって韓国側の個々人、法人も含みますけれども、その請求権は、権利は消滅したと考えるのが日本の裁判所ということになります」
反町キャスター
「髙さんが言われたのは、日韓請求権協定と財産権措置法、この2点。日韓請求権協定というのは、1965年に日本政府が韓国政府に対して5億ドルの経済支援を約束した、その中で重要なのは両国かつ国民間の請求に関すること自体が完全かつ最終的に解決されたことを確認していると、ここの部分ですよね?」
髙氏
「そうです、2条の1項ですね」
反町キャスター
「それと、請求権協定と、もう1つの財産権措置法は、これは同時に結ばれているんですよね?」
髙氏
「財産権措置法は6月22日の締結以降に…」
反町キャスター
「以降…」
松村キャスター
「以降、同じ年に」
髙氏
「同じ年に、確か12月の17日に成立しています」
反町キャスター
「この財産権措置法というのが、請求権協定に規定された、韓国国民の財産・権利・利益の消滅を規定している」
髙氏
「そうです」
反町キャスター
「これは二重にも見えるのですけれども、どう見たらいいのですか?」
髙氏
「これは、日本政府の当初と言うか、最初からの考え方としては、日韓請求権協定では個人的な、個々人の請求権の実態的な消滅、放棄による消滅というふうには日本政府も考えてはいなかったんですね」
反町キャスター
「でも、両国及び国民間の請求権に関する問題が解決されたら消滅するのではないのですか?そういうものでもないのですか?」
髙氏
「そういうものではないです」
反町キャスター
「はあ…」
髙氏
「まずそれは日本政府側の政府委員の国会答弁でもはっきりしているのですけれど、いわゆる個人的請求権について消滅させるものではないと。そうではなくて、外交保護権を消滅させるものであると」
反町キャスター
「外交保護権?また新しい言葉が…」
髙氏
「外交保護権というのは、国家の権限です。国家が、自国民が国際的な違法行為によって損害を受けた場合に、その損害の救済等のために他国と交渉をしたりする権限」
反町キャスター
「この場合は、徴用工の皆さんが訴えたのは日本政府ではなくて、企業ですよね?」
髙氏
「企業です」
反町キャスター
「韓国国民が日本企業に対して損害賠償請求をやる場合にも、外交保護権の対象になるのですか?」
髙氏
「なります」
反町キャスター
「なるんですね?」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「元徴用工とされる皆さんが日本企業を訴えた時に、日本における裁判で負けちゃった場合、先ほどの広島の例を挙げたように弾かれたわけではないですか?」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「その時、代わりに韓国政府が日本企業を訴える、同じことをもう1回繰り返すということですか?」
髙氏
「韓国企業…、うん?政府が?」
反町キャスター
「政府が」
髙氏
「…日本企業を訴える、これはない」
反町キャスター
「それはない?徴用工問題における保護権というのは、韓国政府は何をやる権利がある?」
髙氏
「それは韓国民の、日本企業によって、いわゆる強制労働をさせられたということに関する、その慰謝料等の請求がありますね、あるいは未払い賃金等がありますね。そういったものが保護、保証されていない。これを保証してくれと要求したり…」
反町キャスター
「企業に対してですよ?」
髙氏
「日本企業に対して」
反町キャスター
「韓国政府が日本企業に対して請求する?」
髙氏
「政府を通じて要求でしょうね」
反町キャスター
「政府間の交渉で働きかけると、こういう意味ですね?」
髙氏
「そういうことです」
反町キャスター
「その話がまずあるとして、まず日韓請求権協定のところにおいては、個人の請求権は否定されていない?」
髙氏
「否定されていない」
反町キャスター
「否定されていないという前提に立つと、もし日韓請求権協定だけだったならば、今回、韓国の元徴用工の皆さんが日本企業に対する請求、訴えは、止められないわけですよね?」
髙氏
「止めることはできないと思います」
反町キャスター
「止めることはできない?」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「元徴用工の皆さんが今度は韓国で裁判を起こしましたよね?日韓請求権協定というのは、これは日韓の協定なのだから当然、韓国に対しても拘束力がありますよね?」
髙氏
「いわゆる日韓請求権協定の韓国における拘束力というのが何を意味するかというのがちょっとわかりませんけれども、日韓請求権協定は当然、韓国も当事者ですから」
反町キャスター
「有効ですよね?」
髙氏
「有効です」
反町キャスター
「財産権措置法というのは、これは日本国内の法律なのですか?」
髙氏
「そうです」
反町キャスター
「この財産権措置法に似たような法律が韓国にはないのですか?」
髙氏
「ないです」
反町キャスター
「ないことによって、どういうことが起きるんですか?」
髙氏
「ないことによって日韓請求権協定だけで、いわゆる直接的に個人、個々人の請求権を消滅させたかと言うと消滅させていないというのが韓国の政府の立場だし、あるいは裁判所もそのように考えているし。逆に言うと、日本側も、実態的な権利としての個々人の請求権自体を消滅はさせていないとこれまでもずっと答弁はしてきた」
反町キャスター
「なるほど。そうすると、ここで整理しなくてはいけないのは、請求権を認める、認めないの話は、まずこれは日本も韓国も請求権までは否定していないよと。訴えるのはどうぞやってちょうだいと、こういう話ですよね?」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「ただし、日本の場合には財産権措置法まで用意したことによって請求して裁判を起こしても絶対に払わないぞというブロックができている?」
髙氏
「できています」
反町キャスター
「ところが、韓国にはこの財産権措置法なるものがないから…」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「韓国において、元徴用工の人達が日本企業を訴えた場合に…」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「最終的に賠償責任、ないしは未払い賃金なるものを支払えという判断を司法が示した場合、そこに強制力が出てくる、そこは認められる可能性がある?」
髙氏
「あります」
反町キャスター
「これが日韓の違いであると理解してよろしいですか?」
髙氏
「いいです」
反町キャスター
「白さん、どうなのですか?」
白議員
「いや、補足して申し上げますと、この日韓請求権・経済協力協定プラス、それに合わせて、その時に日韓請求権・経済協力協定についての合意議事録というのが実際に発表されていまして、第2項で現在、完全かつ最終的に解決されたとなる、この両国のこの部分、完全かつ最終的に解決されたこととなる両国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題は、日韓会談において韓国の対日請求要綱というものがあるんですね。8項目と言うのですけれども、その5項目には、日本国債・公債・日本銀行券・被徴用韓人の未収金まで含まれていると」
反町キャスター
「被徴用韓人の未収金というのは…」
白議員
「未収金…」
反町キャスター
「要するに、徴用工として日本の工場で徴用された人達に対する未払い賃金?」
白議員
「そう、そう、未払い賃金」
反町キャスター
「はい」
白議員
「保証金及びその他の請求権の弁済を請求することも含まれているんですということ」
反町キャスター
「なるほど」
白議員
「つまり、どういうことかと言うと、この日韓請求権・経済協力協定によって、徴用工に支払うべきものも全部この請求権の中に含まれ、それで完全かつ最終的になっているんですよと。つまり、現在この財産特措…」
反町キャスター
「財産権措置法?」
白議員
「財産権措置法。それと同時に、もう1つ、日韓請求権・経済協力協定についての合意議事録ということで、もう1つ、3重のファイヤーウォールをつけているわけですよ」
反町キャスター
「なるほど。日本が韓国に5億ドル支払いましたと」
白議員
「そう、そう、そう…」
反町キャスター
「この5億ドルの中に…」
白議員
「入っていますよと」
反町キャスター
「未払い賃金も含まれていると。これは日本の言い分ではなくて、日韓の合意だという理解でよろしいですか?」
白議員
「そう、それで、なおかつ韓国側にも、これは2005年8月26日に対日会談文書公開フォローアップ関連官民共同委員会という報道指針の中で…」
反町キャスター
「2008年…」
白議員
「2008年…、2005年の8月26日、その中で、この政府は受領した無償3億ドル、3億ドルは無償資金のうち、この個人財産権・朝鮮総督府の対日債権等の韓国政府が国家として持つ請求権というのは、強制動員被害補償問題を解決の性格の資金等について包括的に勘案されていると見なさなければならないと」
反町キャスター
「韓国側も言っている?」
白議員
「韓国側も言っているんです。政府はこのお金、3億ドルの無償資金のうち、相当金額をこの強制動員の被害者に、つまり、徴用工の被害者の救済に使わなければならない道義的な責任があると判断している。つまり、どういうことかと言うと、日本も韓国も、強制徴用については既に1965年の、いわゆる日韓の条約を締結する時にはもう話題になっていましたから、要は、貰った3億ドルをあとは韓国政府が責任を持って徴用工に対してもお支払する金額ですよということを、韓国側が認めているわけですね」
反町キャスター
「コミコミの一括払いだと向こうも認めている?」
白議員
「認めている。つまり、それはどういうことかと言うと、これは私の勝手な推測かもしれないけれど、日本政府が個々の徴用工に支払い賃金と言っても、それはなかなか難しいですねと。ですから、あとは韓国政府さん、3億ドルを渡すから、それについては3億ドルを善しなに使ってくださいと。それで全て完全かつ最終的に解決されたことを確認しましたねということで、1965年、日韓条約が決めていると。なおかつ2012年にも、大法院判決が出たあとにも、政府レベルにおける請求権協定問題についての韓国政府の立場は一貫していると。つまり、ずっとこれまで韓国外務省は一貫して、政府としてはこの立場に変化はない、ということは言っているわけですね」
反町キャスター
「なるほど。元徴用工の皆さんが韓国政府に対して未払い金やら何やらという問題に対して、あなた方が日本から3億ドルを貰ったのだから我々が受け取るべき正当な分け前をちゃんと出しなさいよという訴えも起こしていますよね?」
白議員
「うん」
反町キャスター
「これならわかるんですよ」
白議員
「うん、そうそう。だから、それは韓国内の問題でしょうと。だから、日本政府は現在、何度も申し上げているように、このような形でちゃんと3重の一種のファイヤーウォールがちゃんとあるわけだから、韓国側の皆さん、それは韓国政府と被害者との関係でちゃんと解決してあげてくださいよというのが日本側の基本的なスタンスだということでいいと思いますよ」
反町キャスター
「そこはどうですか?」
髙氏
「法秩序というのは、法体系というのは、国別ですよね。今、世界政府というのはないわけですから、日本の法体系の中ではその権利は認められない、でも、韓国の法体系の中では認められるということがあり得るんですよ、実際に。だから、その局面が、この徴用工の問題で出ていると。今おっしゃったようなことで3重のファイヤーウォールでブロックされているのだとすれば、なぜ韓国の大法院はその論理を使ってないのかですよね、使えばいいのに」
反町キャスター
「なるほど…」
髙氏
「使わないということは、韓国の大法院がまったく法律に関して素人であるというわけではないし、キチッとそれなりの法律を勉強してきた方がやっているわけです、その中で論理を尽くして、いわば原告勝訴の判決を出しているわけですから、それなりの理屈はあるわけですよね」

検証… 韓国の司法判断
松村キャスター
「日本での判決を不服とした原告は、その後、韓国の釜山地裁に提訴をしました。1審、2審は棄却されましたが、2012年に韓国の最高裁判所が高裁判決を破棄し、高裁に差し戻しました。釜山高裁では最高裁の判決を受けて1人あたり8000万ウォン、およそ800万円の賠償を認める判決が出されまして現在再び最高裁で係争中という、このような経緯ですけれども。髙さん、原告は日本の裁判で敗訴したあと、同じ内容の訴訟を韓国の地裁に提起したのですけれども、これはやり方には問題はないのでしょうか?」
髙氏
「結論的には問題はないです。ただ、日本で原告は敗訴判決を受けているわけですから、その日本の判決が韓国でその効力が認められるということになれば同じ内容の事案ですから、いわゆる判決の既判力というものが認められ、同じ判断をしなければいけなくなるということなのですけれども。結局、釜山高裁で棄却されているのは、結論的に言うと、その既判力が認められて…」
反町キャスター
「既判力?」
髙氏
「はい、既に判断した力。と言うことで、同じ判断をしなければいけないと」
松村キャスター
「それが2009年の?」
髙氏
「そうです」
松村キャスター
「この釜山高裁の棄却ということですね?」
髙氏
「そうです」
反町キャスター
「そうすると、韓国の最高裁は日本の最高裁までいって出た判決に既判力がないと見たっちゅうことですか?」
髙氏
「そういうことです」
反町キャスター
「要するに、日本の最高裁が示した判断を、お手本にはできないと判断したっちゅうことですよね?」
髙氏
「いや、お手本とか、そういうことではなくて…」
反町キャスター
「言葉が稚拙で申し訳ない」
髙氏
「いえいえ。お手本ではなくて、外国判決を自分の国で効力を認めるための要件というのがあるんです。それは日本にもあります。外国判決の要件…」
反町キャスター
「外国判決承認の要件は、つまり、同じ案件を日本でもやって韓国でもやる時に、先に出ている日本の判決を韓国の裁判所が参考にできるのかどうか?」
髙氏
「参考ではない、効力を認める…」
反町キャスター
「効力を認めるのかどうか」
髙氏
「判決の効力を認めるということは既判力を認めるということです」
反町キャスター
「それは、つまり、そのままその判決を支持するということにつながる話ですよね?」
髙氏
「そうです、はい」
反町キャスター
「4つあるわけですけれど、特にこの徴用工の問題について重要になってくるのはどれになるのですか?」
髙氏
「1番重要なのは3ですね。1と2と4は当然認められるということにたぶんなると思いますので。3の、日本の最高裁の判決を承認することが公の秩序に反するのではないかという議論があるわけです。韓国の最高裁は公の秩序に反すると、これを承認することは…」
反町キャスター
「ごめんなさい、日本の最高裁の判断をそのまま受け入れることが韓国の秩序や善良な風俗に反するという判断ですよね?」
髙氏
「はい。善良な風俗ではないですけれども、本件については」
反町キャスター
「公の…」
髙氏
「公の秩序です」
反町キャスター
「韓国の公の秩序を乱すのですね?」
髙氏
「乱す」
反町キャスター
「日本の最高裁の判断が?」
髙氏
「はい」
松村キャスター
「2012年、最高裁で差し戻しされました。その判断理由を見てみると、日本判決承認の可否で、韓国憲法の規定に照らすと日帝占領期の韓半島支配は規範的観点から不法な独占にすぎない。日本判決をそのまま承認するのは、韓国の善良な風俗やその他の社会秩序に違反する。従って、我が国で日本の判決を承認し、その効力を認定できないとあります。また、損害賠償請求については、個人請求権、外交的保護権を放棄しなかったと解するのが相当。時効については、信義誠実の原則に反する権利濫用であり、許容できない。これが最高裁の判断理由ということなのですけれども、韓国の善良な風俗やその他の社会秩序に違反するということですね、日本判決をそのまま承認すると」
反町キャスター
「これはどういうことなのですか?」
髙氏
「日本の判決は日本の植民地支配、日韓併合ですね、1910年の併合について、これは違法ではない、不法ではないという前提に立った判決であると」
反町キャスター
「つまり、1910年に日韓併合しました。その時点において、大韓帝国が日本の1つの領土になりました。その同じ日本の中における徴用令によって、韓国にいた朝鮮人の人達を日本に運んで、そこに強制性があったかどうかは別の議論です、徴用令によって日本の工場や炭鉱で働いてもらったのだから、国内法の適用だから問題ないだろうというのが最高裁の判断に組み込まれているということですね?」
髙氏
「そうですね」
反町キャスター
「その前提となる国内法の適用だったからというところを認めてしまうのは、韓国の善良な風俗やその他の社会秩序に違反する、というのが韓国の最高裁の判断ですよね?」
髙氏
「そうですね」
反町キャスター
「歴史認識の違いですよね?」
髙氏
「1つは、そうですよね」
反町キャスター
「日韓併合を法的な手続きとして認められるものなのか。国際法的にはまったく認められないもので、それを認めることは韓国の善良な風俗やその他の社会秩序に違反するものだから韓国の最高裁はとても認められないというスタンスですよね?」
髙氏
「そうですね。結局、もはや無効という、あの言葉ですよね。だから、韓国としては最初から無効であるという考え方に立っているにもかかわらず、日本の最高裁判決は、それとは違って不法ではないと、当時は。日韓条約1965年の条約によって無効になったのだという言い方をしているわけですから、それが受け入れられないということなのだと思いますね」
浅羽教授
「8月17日の文在寅大統領の記者会見で注目すべき発言は、1919年に大韓民国は建国されたということを言っているんですね。1919年というのは、3.1運動があって、上海に臨時政府ができて、憲法ができて、大統領が登場してということで、当然、当時の大日本帝国の一領域で、住民、領土、実効支配を及ぼす政府という、国家成立の3要素をどれも満たしていないと。外国からの承認も、当時、中華民国の国民党政府が臨時政府を支援していましたけれども、中華民国でさえ承認しなかった。ですので、実態はどの基準から見ても国家ではないのですけれども、1919年に大韓民国は建国されたという歴史観を示したんですね。1919年に大韓民国ができていたとすると1910年の韓国併合条約による、日本による韓国統治の終わりが1945年の敗戦時なのか、サンフランシスコ講和の1951年なのか、発効の1952年なのかはともかくとして、1945年までは合法的に、有効に統治が行われていたという、そういう判断に立った日本政府の見解、日本の裁判所、のみならず、韓国の下級審の、釜山高裁の判決文、持ってきましたけれども、ここまではそういう解釈で成り立っているんですね。韓国の最高裁の判決ですが、ここで何を言っているかというと外国判決承認要件の3つ目の、公の秩序というのが韓国憲法の核心的価値に反していると。革新的価値というのは、韓国憲法の前文にこう書いているんです。1919年の3.1運動 によって臨時政府ができたと。その法と法の伝統を大韓民国は継承している。現在の憲法はそういう精神を継承していると、別問題ですけれども、内政的に皆、理解しているだけです。法と法の伝統、正当性を継承していると、そういう解釈に立つと、1910年から1945年までがそもそも不法に占領されていた、強制的に占領されていたものにすぎないので、徴用令に基づいて合法的に徴用したから、公の秩序に反しないなどではなくて、1910年から1945年の全体が不法なのだということになるので、そういう韓国憲法の核心と相反する日本側の解釈をそのまま受け取った下級審の判決は受け入れることができないのだと、そういう理解です、韓国の大法院は。誤解のないように申し上げたいのですけれど、1919年に建国されたのというのは、私が支持しているのではなくて、韓国の大統領があらためて初めて、韓国の左派でそういう見解がこれまでもあって、韓国内での歴史認識、建国はいつなのか。韓国の右派、保守派は、朴槿恵政権、李明博政権も8月15日が光復節、日本の植民地支配から解放されただけはなくて、1948年に建国された日としても祝うべきだと。2015年は光復70周年であると同時に、建国67年として祝うべきだと。それに対して左派・進歩派は1919年が建国で1948年は政府が樹立されたにすぎない。文大統領は2019年、再来年を建国100年として祝いたいと。こういう韓国左派の歴史認識が、先頭でリードしているのが、ある意味、韓国大法院、最高裁で、1919年の建国説に立っているのでそもそも無効説に立っているんです。日韓の1965年の合意はもはや無効という形で、当時も戦って、非常に激しく争いましたけれども、そもそも無効説では日本はとても飲めないし、それが日本側で通用しないのが韓国側でもわかっていたわけですよね」
反町キャスター
「韓国の歴史教科書ではいつが独立となっているのですか?」
浅羽教授
「朴槿恵政権の末期に正しい歴史教科書、国定の教科書は1948年建国説を書き込もうとしたんですよ。ある意味、国際スタンダードですよね。ですが、それは韓国左派の非常に激しい反発を受けて、文大統領就任、直ちに国定のその教科書を廃止して、今回、1919年建国説と。来年憲法を変えた時に、憲法の前文に書き込んで、再来年建国100年として祝いたいと、そういう歴史認識を先取りしたのが、この大法院の判決ですね」
反町キャスター
「政権によって、かの国は建国の年が毎回、変わるのですか?」
浅羽教授
「1948年の次の年、1949年には建国30周年として当時、政府の式典で祝っているんですよ。その直後に1950年代初めには光復節3周年として祝っているんです。当時の1948年の憲法には1919年に建国されたということが書かれていて、1962年の憲法、朴正𤋮の時の憲法に3.1運動の崇高な独立精神と、彼らは崇高な独立精神として見ている。1987年の、民主化の熱気の中でできた現在の憲法は1948年の最初の憲法の文言にかなり近づいて、3.1運動の結果、上海に臨時政府ができて、その法の伝統を継承している。来年、憲法を変えると文大統領は言っていますけれども、1948年の規定に戻すと。1919年に建国したと。もちろん、韓国国内で非常に激しいバトルが繰り広げられていくのは間違いない」
反町キャスター
「白さん、議連の間で、おたくの国はいつできたの、とはならないですよね?」
白議員
「ならない」
反町キャスター
「この話はおかしな話ですよね」
白議員
「でも、事実として、先生がおっしゃったように、独立運動を起点とした1919年にするかどうかというのは相当、韓国内でも論争があるわけですね。ですから、そういう中で1965年の日韓協定も、もはや無効という、どちらかと言うと、玉虫色的なことで妥結したわけですよね。要するに、両者共に譲らずのなかでの1つの方向性だったという部分だったので、それで良かったねと思っていたら、今回の最高裁判決で、植民地支配は合法であったとの認識を前提とした日本の裁判所の判決は承認できない、というのが今回の、韓国の最高裁の判決なわけですね。と同時に日本の国家権力が関与した反人道的不法行為である、植民地支配と直結した不法行為による損害賠償請求権は日韓協定、日韓請求権には含まれないのだという、非人道性という観点から最高裁が今回、言い出したという部分がポイントだと思うんですね」
浅羽教授
「韓国の最高裁の判断が変わったという意味ではなく、2012年、そもそも初めてで、高裁に差し戻して、それが再上告されて、現在3件、韓国最高裁で、係留中で長いやつは3年以上、ほったらかしなのでいつ出てもおかしくないと。最高裁でこういう判決が出たので、下級審からさらに上がってきたものがあって、トータルで十何件あるわけですよ。下級審では1人あたり1億ウォンぐらい、1000万円前後。2012年の判決の沿ったラインなので、基本的には同じですよね。額は多少下がりますが、事実関係で争っていないので、法理で争っていただけなので、最高裁でそう出たので、それを当てはめるしかないので、当該の日本企業は当然、控訴、上告するので、再上告されたのが3件と、大法院からもう1度、戻ってきたやつの判決がいつ出るのか、どういう形で出るのか。通常考えると、2012年の判決の通り、具体的な日本企業の名前は挙げますけれど、三菱と、新日鉄ですね。さらに列をなしてる。となると、これは本当に大変なことで、韓国の大法院の法理がそうなので、これがあらたまらない限り、この通りになるわけですよ。いつかという部分はあれですけれど、1年とか、2年とかで出るわけですよね」
反町キャスター
「それは先日の文大統領の理解を示す発言が引き金になっている?」
浅羽教授
「そもそも事実で争っていないので、いつ出てもおかしくないですよ」
反町キャスター
「差し戻されて、3年も塩漬けになっているというのはどういうことなのですか?」
浅羽教授
「韓国最高裁も判決を出してしまうと、多大なる外交関係に関する影響があるということを熟知しているので、先延ばししたと。一説によると、韓国政府、朴槿恵政権の時ですが、陰に陽に働きかけたという話もあります」
反町キャスター
「あり得ないでしょう、普通。政権交代を待っていたのですか、最高裁は?」
浅羽教授
「そこははっきりわかりませんが、そういう一説があるという話です。ただ、韓国の司法は、司法積極主義で、外交問題に関しても日本で言う統治行為論には立つ場合もあるのですが、イラク戦争に派兵した時には統治行為論に立って、合憲と憲法裁判所は判断しているので、事案によっては統治行為論に立つのですけれども、慰安婦問題然り、徴用工問題然り、日韓関係の外交関係を、1965年の合意を根底から覆しかねない問題に対して積極的なんですね。ですので、差し戻しでもう1度、戻ってきたものに対して韓国最高裁の出す判決がおおよそ見えているので、これに対して我々はどう考えるか、どう対応するのかということをこれから考えていかなければいけない」
反町キャスター
「全部で何人ぐらいのケースになるのですか?訴えている人達は?」
浅羽教授
「何十人から何百人ですね」
反町キャスター
「全部足しあげて1000人ぐらいですか?」
浅羽教授
「そんなにはいかない。最初はいくのではないかと言われたのですけれども、事実関係が精査されている事案は、韓国側で言うところの、いいタマはなかったと」
反町キャスター
「そうすると、総額で言ったら、数十億で止まる話ですよね?」
浅羽教授
「そうですね。ですので、一民間企業としてどう対応するのかというのはいろいろあり得るのだと思いますが、一民間人と一民間企業の民事訴訟ですので、直ちに外交関係に跳ね返らないですし、直ちに政府が対応をとる事案ではないですよ、論理的には。ただ、外交的、政治的には当然、対応を考えるわけですので、民間企業がそれならば賠償に応じようとか、法のスキームの、別のところで和解という形で対応した日本企業と中国の間の問題で、そういう解決スキームがあったわけですね。日韓の間でも模索されたこともあるわけです。ただ、現在、裁判で上がって、確定判決が出た時にどうするのかという部分は、そういうスキームが今後とり得ないことはないわけではないですけれども、どうするのかですよね」
反町キャスター
「浅羽さんはどうなると見ているのですか?最終的に」
浅羽教授
「韓国最高裁は、日本企業、敗訴、賠償を命じる判決を出すのはほぼ確実だと思います。そもそも差し戻し審ですので」
反町キャスター
「日本企業は、差し戻し審の判決を受けて、1人800万円だか、1000万円の金を払わなければ、今度は差し押さえになりますよね?」
浅羽教授
「実は既に差し押さえが可能ですね。高裁の段階で、ただ、強制執行はしていないですよ。強制執行するとまずいということもわかっているわけで。だから、最高裁で確定判決が出ると、強制執行せざるを得ないわけですよね。となると、当該企業は韓国に法人を持っていないので、支社を持っていないのですが、関連する資産を差し押さえることになりかねない」

文政権の『本音』
松村キャスター
「文大統領は就任100日記者会見で『徴用工の問題でも日韓請求権協定が個々人の権利を侵害することはできない。民事的な権利はそのまま残っているというのが韓国の憲法裁判所と韓国最高裁の判決。政府はそのような立場で過去の歴史問題に臨む』。一方で、盧武鉱政権は2005年に『徴用工問題については(日韓請求権協定で)解決済みとの立場』を示していました。白さん、文大統領はこれからどのような立場をとっていくのでしょうか?」
白議員
「私も日韓議連で、21日だったと思いますが、会いました。会っていろいろこの件についても話題になったわけなのですけれども、事実から言いますと、額賀日韓議連の会長が最初にご発言をされまして、そこで徴用工・慰安婦の話をしたわけなのですけれど、それに対して文大統領がお話されたのは、慰安婦の話だけで、徴用工の話に触れなかったです。その前に韓国の議員とも私達は会って、十何人集まって会ったのですけれども、歴史問題という言い方はしましたけれども、徴用工の具体的な話については一切触れずという感じですね」
反町キャスター
「日本側から切り出したのですか?向こうから?日韓議連で」
白議員
「日韓議連で、文在寅大統領と額賀さんが話した時には、日本側の額賀さんが話を切り出したんです。最初に額賀さんが喋り出したんですよ。それに対し、通訳を介して、15分から20分ぐらい話しましたよ、長いです。だって、30分の面会時間だった。喋った中に全部入っていたんですよ。それに対して文さんはずっと聞いていて、雰囲気的には穏やかな雰囲気でしたけれど、話している最中にはそこにある書類に目を通したりしながら、通訳を介してですから、日本語で話している時は書類をチラチラ見ながらやっていましたけれども、最終的に文在寅さんから慰安婦の話はされましたけれども、徴用工の件は一言も触れず」
反町キャスター
「印象から言うと文大統領は、個人の民事的権利はそのまま残っているとか、過去の歴史問題にはこういう立場で臨むとか、我々的に言うと、こういうことをカギカッコで抜いて、さあ、文大統領は徴用工でも仕かけてくるぞとやるわけではないですか。実際に、大統領に直接会われた感触からすると、文大統領が徴用工の問題で仕かけてくる感じを受けなかった?」
白議員
「その時はね。17日の、その文章の、政府はそれまでの立場で、過去の歴史問題に臨んでいますというあとに、ただしと言って、私が強調しているのはそのような歴史問題が韓日関係の未来志向的発展の障害物になってはならない。そのため歴史問題は歴史問題で、未来志向的発展の韓日関係の協力は協力として別途に行っていくことが必要と言っているわけです。つまり、そこの部分だけやると、いやいや、これは大変だということがあるけれど、そのあと必ず文さんは今回の日韓議連の会合でも未来志向ということは言っていますので、そればかりを取り上げているわけではない、ということも我々は理解しなければいけないかなと思っています。ただし、8.15光復節の時の演説はどうしても日本からの植民地時代からの解放もありますから当然、日本の過去の歴史問題についても触れるのが当たり前だという前提のもとで考えた場合、私は気になっているフレーズがあって、それは何かと言いますと、今後、南北関係が良くなれば南北が共同で強制動員被害の実態調査を行うことも検討しますと言ったんですよ。これは非常に気をつけなければいけないと私は1人で感じているんですね。つまり、北朝鮮と一緒になってやろうではないかみたいなことを言い出したと。ただ、北朝鮮側は文在寅氏の様々な提案に対しては、現在のところ、落第だと言っているんですよね。落第だということはもう一声みたいなことを言っているわけですよね、簡単に言えば。北朝鮮にとってみれば、日韓がいろいろな面でいがみ合うことが、北朝鮮にとってみればいいわけですよ。ですから、そういった中での歴史カードということを、北朝鮮がこれから振り出してきた時には嫌な感じがするなと思っています」

白眞勲 民進党参議院議員の提言 『トップ同士の人間関係』
白議員
「トップ同士の人間関係をもっともっと構築していくべきだと思います。つまり、シャトル外交だと。朴槿恵大統領の時はそうでもなかったけれども、もっとシャトル外交をしていこうではないかということで、今日も30分間話をしたということですが、30分では足りないですよ、1日ずっと話し合ってもいいぐらい。ずっとやるべきですよ。隣同士なのだから。通訳を介するから半分になってしまうんです、時間が。ドンドンやっていった方がいいです。人間関係、それによってわかり合うこと、それしかないと思っています」

弁護士 髙初輔氏の提言 『地道な努力』
髙氏
「韓国の大法院と日本の最高裁の考え方はまったく違う。水と油みたいな感じだと思うのですけれど、何とか政府当局の方が、地道な努力をして和解。和解というのが1番いいのではないかな。その地道な努力を惜しまずにやっていっていただきたいと思います」

浅羽祐樹 新潟県立大学大学院国際地域学研究科教授の提言 『credibility』
浅羽教授
「credibility、信用ですね。いろいろな信用がかかっていると思います。過去への向き合い方という部分もありますし、韓国という国の形ですね。司法が2005年に示した判決、見直しの時にはいったん徴用工は違うのだと言っていた問題に対して、もう1度、問題にするのかどうかと。さらには日韓関係…、1965年以降、成り立たせていた日韓関係の土台が崩れているのか、そういうcredibilityがかかっていると思います」