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2017年8月24日(木)
自衛隊日報問題の真実 『戦闘』隠ぺいの裏側

ゲスト

栁澤協二
国際地政学研究所理事長 元内閣官房副長官補 安全保障担当
伊勢﨑賢治
東京外国語大学大学院教授

自衛隊PKO『不都合な真実』 国際貢献の『現実』と『限界』
秋元キャスター
「稲田防衛大臣の辞任につながった南スーダンPKO部隊の日報ですが、問題の発端は、派遣された自衛官がこの日報の中で、戦闘という言葉を何度も使っていることでした。現場ではいったい何が起きていたのでしょうか。防衛省はなぜこの日報を隠さなければならなかったのか。国際貢献の最前線と防衛省の内部、2つの現場を知るゲストにじっくり話を聞いていきます。まずは日報問題の原点であります南スーダンPKO(国際連合平和維持活動)の現場で何が起きていたのか、主な経緯を見ていきます。2011年7月に南スーダン共和国が独立したのを受け、日本は翌年2012年1月に道路や橋などの整備にあたる南スーダンPKO施設部隊を派遣します。2013年12月に政府軍と反政府勢力が衝突しましたが、日本の部隊は派遣を延長・継続します。昨年4月、反政府勢力も巻き込んだ形で国民統一暫定政府が設立されるのですが、7月には暫定政府が分裂して、大統領派と副大統領派が武力衝突、民間人も合わせて300人以上が死亡するという事態が発生します。これを受けてイギリスやドイツ等の部隊は一時国外退避するのですが、日本の部隊は残ります。11月、安全保障関連法に基づいて施設部隊に駆けつけ警護の新任務が付与されますが、今年5月、5年以上にわたる任務を終えて施設部隊は撤収、現在は司令部要員の4人が現地に残っているという状況です。まず伊勢﨑さん、いわゆる本体は南スーダンから撤収したわけですけれども、この5年以上にわたる南スーダンPKOをどう評価されますか?」
伊勢﨑教授
「これは1994年当時のルワンダですね、これは政府軍と反政府ゲリラが停戦合意をして、PKOが入って、監視業務がうまくいくと思ったのですけれども、ある事件を発端として大戦闘が起こって、その時、国連は逃げちゃったわけですよね。それで100万人が犠牲になった、その反省から保護する責任、住民の保護という考え方ができて、その時に比べると現在のPKOというのは本当に激変しましたよね。つまり、逃げませんから。もっと増員して住民の保護をせよという国際世論、もしくはそれが国連の考え方になっていますから。住民の保護というのはすごく重いことですね。つまり、ある国の国民の保護ですから、これは政府の仕事です、国軍の仕事ですよね。だけど、こういう現場というのは国が何もしない、もしくはその国自体がやっている場合があるわけです、自分の国民を虐めている。そういう時には、国際社会は放って置かないという考えが現在、定着して。現在ほとんどのPKO、南スーダンもそうですけれど、主要なマンデート、筆頭マンデートですね、使命は住民の保護ですよね。だから、戦闘が起きてPKF(国際連合平和維持軍)の身が危なくなったから、住民を放って置いて昔は逃げていたのですけれども、現在は逃げない、それだけの話です」
反町キャスター
「では、この5年間の逃げないPKOにおいて、自衛隊の果たした役割というのは何だったのですか?」
伊勢﨑教授
「僕は自衛隊で教える身分なので、これは別に自衛隊を卑下する、侮辱するものでもまったくないのですけれども、これまでの自衛隊の部隊派遣、PKOの部隊派遣というのは国連にとってはお客様です。PKOのミッションにおいて、1番安全な時期に1番安全なところで1番安全な業務をさせて、無傷で帰っていただくというのが国連との合意事項ですから。その安全な空間が昨年なくなっちゃっただけの話ですね」
反町キャスター
「で、帰ってきたと?」
伊勢﨑教授
「そうです」
反町キャスター
「栁澤さん、5年間の南スーダンのPKO、どう感じますか?」
栁澤氏
「道路を整備するというミッションを与え、とにかく何か手伝いをしたいという、その気持ちは、南スーダン独立の時のムードから言うと、それはわからんではないけれど、しかし、全体として、現在どうなっているかということを考える。どうも私はイラク派遣の時もそういう感じがしたのですが、自衛隊は与えられた条件の中で、与えられた任務をちゃんとやりましたと、だから、自衛隊の派遣は成功だったねという評価になるのだけど、しかし、そのことによって、この国はどうなっているのですか?まったく国の再建にいいというのができていないわけですよね。道路を直せば、それで日本の役割は終わりだよということであれば、それはそれでいいのかもしらんが、そうではないはずなので。むしろだから、ある意味ではもっと施設化部隊が行って道路を治すことだけではなくて、もっとこの国の再建全体を見ていく。そこでの日本の国としてのビジョンをしっかり持っていくということやらないと、この道路だって内戦になれば壊れちゃうわけですね、そのあとまた直しに行くわけでもないわけですから。自衛隊がよくやってくれた、ご苦労さんという話と、それを出した国の目的がうまくいっていないのだったら、そこをどうやっていくかということを考える、そういう時期にきているのではないかなと思います」
反町キャスター
「自己満足のPKOだったら行かない方がいいんだよ、みたいなように聞こえてくるんですよ。でも、日本というのはもともとやれることに限界があるから、ここまでだったら国際貢献できる、ここまでの範囲の国際貢献でやろうではないかというのがもともとのPKOに対する日本のスタンスであったような気もするのですが」
伊勢﨑教授
「最初からピントとこないです。つまり、国際貢献という感じではないですね、PKOというのは。PKOは集団安全保障です、それは…」
反町キャスター
「先ほどの話、既にそういう状況ではないのですね?」
伊勢﨑教授
「そう、これは国連が、1つの国で南スーダンという、1つの国で起きていることだけれども、これは国際的な人道危機であると。地球全体の問題であるということで、国連憲章51条には、あそこに武力の行使を規定していますでしょう、集団的自衛権、個別的自衛権、それと集団安全保障、国連的措置ですよね。その3つのうちの1つですよね。だから、国際貢献だと、たとえばNGO(非政府組織)がやっている貧困対策は国際貢献ですよね、そういうものに代替できるものではないです、PKOというのは」
反町キャスター
「武力によるものだからね」
伊勢﨑教授
「集団安全保障ですよ。本当にやむを得ずやっているわけですね。このまま放って置くと本当に何十万人規模の人道危機が起こるという危機の状態でPKOを送るわけですから」
反町キャスター
「PKOがそういうものなのだという前提に立つと、国際協力なんとか法みたいなタイトル自体が既におかしいと?」
伊勢﨑教授
「おかしいです」

『日報問題』の本質とは
秋元キャスター
「南スーダンをめぐる経緯の中で2016年7月、大統領派と副大統領派が大規模武力衝突をし、300人以上が死亡したということがありました。この際、日報にどのように書かれていたかと言うと、日報を一部拡大したものですけれど、激しい戦闘という表記がある他、SPLA、つまり、大統領派の車両への襲撃ですとか、RPG、対戦車ロケット砲の着弾、射撃音、TK砲、つまり戦車による砲撃など生々しい記述がありまして、いずれも自衛隊の宿営地から数百メートルの場所で行われていたということが記録されています」
反町キャスター
「栁澤さん、この日報でメディアが何に1番反応したかと言うと、この戦闘という言葉に反応しているわけですよ。現場の部隊から戦闘があったという報告が、地図上の書き込みであったり、文書であったり、そういう形で東京に送られてくる。戦闘という言葉を現場の人達が書き込む状況、どういう想いだったと感じますか?」
栁澤氏
「いや、それは本当に戦闘なんだと思いますよ。隣の隣接する部隊が、直接攻撃を受けたりしている状況があるわけですから、それを戦闘と言わずして何と言うのですか、ということですね。武力衝突とか、紛争とか、何か通りすがりにちょっと間違って揉め事があったよ、みたいな雰囲気では全然ないわけです、これは。反政府勢力と政府軍との間の、本当に決死の撃ち合いがそこにあったわけですね。だから、これはどういう想いか、それはその通り言わなければいけないということだと思うんですね」
反町キャスター
「ちなみに、現場に行って、この報告書を書く人というのは、別に記者でもなければ、資格を持った人が書いているわけでもなくて…」
栁澤氏
「はい」
反町キャスター
「現地に派遣された自衛隊員の当番か担当の方が聞いたもの、見たものを書いていると思うのですけれども」
栁澤氏
「ええ」
反町キャスター
「戦闘という言葉が、あとでも出てくるのですけれども、戦闘ないしは戦闘状態という言葉というのが、非常に日本の政治の場面においては際どい表現だということを知って書いているとか、書いていないとか、そういう現場で書く人に対して事前のレクと言うか、戦闘という言葉は危ないからねとか」
栁澤氏
「現場で書いている人も当然、教育を受けた幹部だし、それを部隊長もチェックするわけですから、当然、それはこういう表現が東京の政治、あるいはメディアの環境の中でどういう影響を持つかということは、それは当然考えると思います」
反町キャスター
「では、ここで戦闘と書き込むことによって日報がまわりまわって東京で公開された場合の、リスクとは申し上げません、影響まで考えて、ないしは考える余裕もないほど激しいものだったのか?」
栁澤氏
「いや、それは、だから、彼らが考えることではないですよね。正確な事実を上げなければいけないという使命感をむしろ持っていたのだろうと思います。イラクでも、自衛隊がいたサマーワはこういう状況はなかったけれども、ファルージャのようなところは戦車が出て、戦闘機が出てやっているわけです。しかし、法律的には非戦闘地域、戦闘地域とは言えないという言い方をしていたと。しかし、自衛隊のいるところとは全然違う場所だったから、それでもあまり大きな問題にはならなかった。今度は自衛隊がいる目の前がそうだったということですね。部隊は、日報というものは将来のいろいろな活動の、作戦の教訓としても是非必要な、非常に大事な文書ですから、そこは、だから、むしろ嘘偽りなく書くというのが、それが最低限のルールだろうと思うんですね」
反町キャスター
「現場の部隊や担当者の人達があるがままを戦闘という言葉で報告してきたとします。それに対して稲田さんは戦闘という言葉について、稲田大臣、当時の防衛大臣は『法律に定義されているところの戦闘行為ではない』という答弁をされています。これはどういう意味なのですか?」
栁澤氏
「だから、私は法律に定義されている通りの戦闘行為だったとは、実は思いますよ。これは、だから、我が国の自衛隊がそこに武器を持って関わるという意味の戦闘行為ではないです、もちろん。だけど、大統領派と反大統領派という一種、これを内戦当事者と言うのかどうかの問題ですけれども、内戦当事者同士のまさに戦闘行為があった。そういうものが、だから、国、または国に準ずる組織の間で行われる、武器を持って人を殺傷し、モノを破壊する行為が戦闘行為であると定義されているわけですから、該当している」
反町キャスター
「稲田さんが『法律に定義をされているところの戦闘行為ではない』と言うのは、タッチモニターに出ていますけれども、栁澤さんが言われたみたいに下の部分、『国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い』ではないと…」
栁澤氏
「と言っているわけですね」
反町キャスター
「稲田さんは言っているんですよね。つまり、大統領派と副大統領派の武力衝突?これは戦闘ではないと言っているわけですよね、稲田さんは?」
栁澤氏
「うん、だから、それは常識的におかしいと思います」
反町キャスター
「RPGが飛び交って、戦車砲が火を噴き、銃撃戦が行われている状態を、稲田さんは『戦闘行為ではない』と、国及び国準の武力衝突ではないと言っていた」
栁澤氏
「ちゃんと言うとすれば7月時点はそうでした、そうだったかもしれませんと、しかし、彼女が9月の末に現地に行くわけですね。ジュバは平穏ですと、こうおっしゃるわけですが、その時の、ジュバの状況というのは、反大統領派が一応駆逐されてしまった状態の中で、その意味では、戦闘の一方当事者がいないという状況であるから、現在ここに戦闘状態はないという言い方ならば…」
反町キャスター
「その瞬間に?」
栁澤氏
「ええ、まだそれならわかるのだけれども。あれが、国又は国に準ずる主体ではないと言うのは。ないとしたら、しかし、PKOの建つけそのものが実は内戦の停戦を条件にしたものではなかったものですから、そこにややこしさはあるのですが。しかし、あれが通常、内戦があって、その内戦が停戦合意ができて入っていくPKOだったら、それは国に準ずる主体同士の武力衝突ですね、つまり、戦闘行為になるわけですね。だから、こう言わないとPKO5原則が崩壊しているということになるから、こう言わざるを得なかったのでしょうが。だとしたら、だから、それは部隊を置いておくために言っていることですね。そこはちょっと本末転倒」
反町キャスター
「伊勢﨑さん、いかがですか?稲田さんの発言をどう感じますか?」
伊勢﨑教授
「これは日本の法律で言うことを言っているわけでしょう、それ?」
反町キャスター
「そうです」
伊勢﨑教授
「だから、日本の法律といろいろな国際法の法律が乖離しているということですよね。だって、あれは戦闘行為であって、国際人道法上の、交戦資格のある者同士の衝突ですから、これを交戦と言うわけです。その違反行為を取り締まる、統制する、何が違反行為かと定義するのが国際人道法、国際法の世界ですから、まさにその世界です。と言うことは、日本の法律と、いわゆる国際法には乖離がある、それだけの話です」

日報『組織的隠ぺい』の背景
秋元キャスター
「この問題は後々、事務次官、陸幕長、大臣が辞任する事態に発展するわけですが、その発端となります一連の経緯をまとめました。特別防衛監察報告書によりますと、2016年7月、防衛省が南スーダンPKO部隊に絡む7月6日から15日の電子情報を含む、文書全ての開示請求を受理します。この開示請求に対して、南スーダンPKO部隊からの報告先でありますCRF・中央即応集団の副司令官は日報以外の文書での対応を指示します。その結果、防衛省は昨年9月、日報以外の文書を開示しました。10月に7月7日から12日の日報全ての開示請求を受理するのですが、陸幕とCRF司令部関係職員は7月と同様に不開示という対応で調整します。防衛省は12月、日報は陸自で廃棄済みとして不開示としました。栁澤さん、この情報開示請求に対して日報を開示しないという初動は、なぜこれが起きたと考えますか?」
栁澤氏
「この情報公開に対する対応というのは私も非常に悩ましかった、悩ましかったと言うより、率直な言い方をすれば、だいたい批判的な方々が請求してこられるわけですね。そういうものを出して、出したらどうなるか、出したら国会で質問がくるわけですね。そういうものにどう対応するかというのは、それは率直に言ってあまり出したくないわけですね。だから、それは、いわゆる隠ぺい体質、まずいことがあるからという隠ぺい体質の話とはちょっと違って。特に今回の、内容があるわけですね。1つは、日報を1つ出してしまったら、次から次にいろいろ言われるよ、というのはあったかもしれないけれども、しかし、戦闘が行われたというところが、どういう影響を持つかということは当然わかるわけですから、現場の人達は。だから、これは出さないという判断にいったのはそういう一般的な情報公開に対する、あまり同情心がない部分があるのと。もう1つはこの問題で、この中身だから出せないだろうという、一種の忖度のようなものが働いてくるのだろうと。一方で、部隊の活動の状態、現状をありのままに知ってもらいたいという気持ちも一方であるわけです、国民に対して。だから、メディアの取材はできる限り受けたいという気持ちもある。けれども、一方、それが国会やメディアでの批判の対象になりたくないという気持ちもあるわけです。だから、そういう中で結局、何が決め手になるかと言うと、迷うわけです、そこは。迷った時に何に引きずられるのか。これは現在の状況だと、これを出したら怒られるよな、みたいな、そういう組織全体を覆っている雰囲気みたいなもので人間は決心するのだろうと思うんです。だから、いろいろな、そういう複雑な要因がある中で、担当者は相当迷うので。だから、今回、再発防止策のようにルールを守りましょうみたいなことを言ったって、全然意味がないです」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
栁澤氏
「むしろこのケースでどの部分は部隊の安全を阻害する恐れがあるから、ここは言っちゃいけないよねという、しかし、あとは言ってもいいよねという実例で、しっかり。私は与野党を通じて合意していただければいいのだろうと思うんです。そういう積み重ねが、むしろそういう積み重ねの中で、この問題についてはどこまで何を黒塗りにし、あとは出すのだという判断がつくようになるのだろうと、私は実感としてそう思いますけれども。自分自身、すごく迷った覚えがあるものですからね」
反町キャスター
「戦闘という言葉が入っている日報というのは、立場からするとこれは出したらまずいよねと」
栁澤氏
「そうです」
反町キャスター
「先ほどの稲田さんの話ではないけれども」
栁澤氏
「うん」
反町キャスター
「こういう答弁が国会で飛び交う、ないしは飛び交うことが想定される中、わざわざそこに球を投げ込む必要はないだろうと、そういう話ですよね?」
栁澤氏
「うん、と思っちゃいますよ、それは。だからと言って、戦闘行為というところだけ黒塗りにしたってバレバレですから、それは」
反町キャスター
「そうですね」
栁澤氏
「そういう忖度が働いたのではないかというのが私の経験上から、そういう判断なのかな、自分がその場にいても同じ判断をしたのかなと…」
反町キャスター
「柳澤さんはCRF副司令官になったら、同じ指示を下しましたか?日報以外の文書でなんとか切り抜けろと…」
栁澤氏
「うん…、かもしれないな。いや、自信がないと言うか、むしろそうしたのではないかなという、率直に言ってね」
反町キャスター
「そういう感じですか?」
栁澤氏
「ええ、そんな思いはありますね」
反町キャスター
「伊勢﨑さん、日報を開示しないという初動の判断をどう感じますか?」
伊勢﨑教授
「戦闘という言葉を隠すためにこれだけ大騒ぎをするということが情けないというか。そもそも論から始めますと、軍事組織から上げられる情報ですから、軍事情報なわけですよね、これは極秘ですよ、普通。特にPKOですから、それも現地政権とうまくいっていないPKOですから」
反町キャスター
「なるほど」
伊勢﨑教授
「でしょう?それで悪さをしていたのは、現地政府ですよね。それを詳細に記載して、それが日本で開示されて、つまり、政府にとっては面白くない情報ばかりですよね、相手政府にとっては。それが日本で大騒ぎになって、国際問題になっちゃったら、国連の立場がないですよ。だって、国連、PKOを受け入れているわけですから、現地政府は。だから、国連の立場から言ったら、とんでもないことですよ、これは。だから、こういう情報というのは、いわゆる極秘扱いで、それがそもそも論、一般論ですよ。それは塩漬けにしておいて何年後かに情報公開というのはあり得るかもしれません。でも、現在の状態で、これは極秘として扱わなければならないですが、それほどクリティカルな情報ではないわけです。ただ、戦闘という言葉、日本特有の問題でこれだけ大騒ぎすること、これはやめた方がいいのではないか。戦闘は戦闘なのだから、いわゆる国際法と国内法の共通な用語をそろそろ使った方がよろしいというか、そうしないで自衛隊を送っちゃダメです」
反町キャスター
「ずっとこの状況は続くことになるわけですよね?」
伊勢﨑教授
「そうです」
反町キャスター
「言葉は同じでも意味が違っているわけではないですか?」
伊勢﨑教授
「そう」
反町キャスター
「その言葉が2つの意味を持つことによって、今みたいなこういう現象がずっと続くのではないかという話ですよね?」
伊勢﨑教授
「そうです。それで当初は隠ぺいではなく、破棄だったでしょう。破棄問題でしょう。だから、軍事情報を破棄するということがまずあり得ない。だって、もし戦時国際法、国際人道法上の違反行為をした時に、審議して、裁判沙汰になって、国際法廷になって、これは現在、一義的に国連には国連軍事法廷というのはないですから、これは各国の責任になるんですよ」
反町キャスター
「裁判沙汰になった時にどういう状況だったのかという資料がまったくなくなっちゃうわけですよね?」
伊勢﨑教授
「そうです。それを自ら、自分が発砲したことがやむを得ない状況なのだということを唯一示せる、文書で示せる証拠を、軍事組織自らが破棄するということは常識的に考えられない」

『憲法9条』と日本の役割
秋元キャスター
「ここから自衛隊による国際貢献の意義と限界について聞いていきます。日本がPKOに参加する基本方針として、いわゆるPKO参加5原則があるのですけれども、それがこちら。1つ目が紛争当事者間の停戦合意が成立していること。2つ目が、紛争当事者がPKO活動への日本への参加に同意していること。3つ目、中立的立場を厳守すること。4つ目、上記原則のいずれかが満たされない場合は撤収可能であること。5つ目に武器使用は必要最小限を基本とし、駆けつけ警護では武器使用が可能であるということですけれど。伊勢﨑さん、こうした縛りがある中で、日本は南スーダンという不安定な場所に自衛隊を派遣すべきだったのかどうか、どう考えますか?」
伊勢﨑教授
「いわゆる保護する責任、1994年のルワンダを契機として国際的にその周辺でも同じようなことが起こって、人道主義、国際人道的な立場から放って置かない、主権国家、1主権国家の内部の抗争でも住民が犠牲になった場合は、国際社会は放って置かないということですよね。だから、停戦合意、昔のPKOというのは、停戦合意を監視する中立な立場、それが主要な任務だったのですけれども、そういうミッションはもうないですから」
反町キャスター
「参加5原則は参加5原則でちゃんとなっていて停戦合意が成立という条件にはなっているのだけれども、伊勢﨑さんの話だと、そういう条件はもうない?」
伊勢﨑教授
「そうですよね。あっても、それが崩れることを想定して国連は法的な枠組みをつくり始めるんです、そこから。それが1999年の国連事務総長による国連官報、事務総長官報という形で、枠組みが決められているんです。だから、PKO、各PKOミッションの当初では国づくりであるとか、停戦監視とかがあるけれども、いつ何が起こるかわからないわけですよ、わけのわからない連中が。昔はそれで逃げちゃったりしていた、戦闘が起こったら、それではいけないということで、じゃあどうするか。そういう時に対処するために、どういう法的な枠組みをつくらなくてはならないということで1999年にお触れが出されたんですよね。それが国連事務総長の国連官報ということですね」
反町キャスター
「ちょっと説明してください。どういうことなのですか、これは?」
伊勢﨑教授
「いわゆる国際人道法、これは合法的な交戦主体ですね、普通、昔はそれが国家だったわけでありますけれど、交戦において守るべきルール、やってはいけないことの歴史的な集積なわけです、人類の。これは国連ができる前から、現在でも積み重なっている、つまり、戦闘中にやっちゃいけないこと。捕虜を虐待するな、民間人をいっぱい殺すなとか、病院施設を攻撃するなとか、それとか、使っちゃいけない武器、それを定めているわけです、現在も定めている、それが国際人道法です。これを国連部隊が、PKO含む、国連部隊が順守しなければならないというお触れだったんです。なぜこれが意味を持っているかと言うと、国際人道法というのは交戦主体、つまり、紛争の当事者が守るべきルールでしょう、と言うことは自動的に国連が紛争の当事者になるということになるんです」
反町キャスター
「なるということですよね?」
伊勢﨑教授
「そうです」
反町キャスター
「停戦合意に基づいた善意の仲介者とか、調停者ではないわけですね?」
伊勢﨑教授
「違います、はい」
反町キャスター
「プレイヤーになっちゃっている?」
伊勢﨑教授
「プレイヤーになっちゃった。それを想定して、各派兵国に法的な枠組み、これを捉えて各国内法を整備しなさいねということだったんです。国際人道法がまず1番これが柱です、これは1つの車両の軸に捉えているのですけれども。国連地域協定というのがあるんですよ、国連が一括して、日本も含む、いろいろな国が兵を出していますよね。国連が一括して南スーダン政府と地位協定を結ぶんです。つまり、軍事組織、国連PKFがもし過失、もし事件を起こした場合、裁判権をどうするのか。日米地位協定と同じように、いわゆる受け入れ国、日米地位協定だったら日本ですよね、この場合だったら南スーダンですよね、に裁判権がないです。では、何で裁くのか、国連が裁けるのか、裁けないですよね、国連に軍事法廷がないから。だからこそこの告知書では各国の国内法廷がやりなさいねというお触れです」
反町キャスター
「なるほど」
伊勢﨑教授
「つまり、どういうことかと言うと、過失は必ず想定しなければいけないでしょう。軍事組織ですから。だから、地位協定を結ぶんですね。戦力だから、その戦力が無理をして異国にいるから、もしそれが事件を起こした時に、裁判権をどうするかということをあらかじめ合意するのが地位協定なわけですよね。基本的に現在の国際法では、各国の国内法廷がそれをやるしかないです。つまり、何が違反行為かということは国際法で決めます、その違反行為を裁くのは各国の国内法廷です。これが普通の国ではこれが軍法になるわけです」
反町キャスター
「ただ、でもPKOというのは多国籍ではないですか。たとえば、中国のPKFと日本のPKFが共同行動中に武力衝突、どこかと戦闘状態になった時に、蜂起した人を銃撃して、向こうに死者が出たという時に、中国は中国の国内法で裁いて、日本は日本の国内法で裁く…」
伊勢﨑教授
「そうです」
反町キャスター
「同じ殺人という疑いがもしかけられとしても…」
伊勢﨑教授
「そうです」
反町キャスター
「別々に裁判する、こういうことになるわけですね?」
伊勢﨑教授
「そうです。それが…」
反町キャスター
「派遣元は一緒だけれども」
伊勢﨑教授
「派遣元は一緒だけれど。つまり、相手国に対しては、地位協定上の責任は国連が負っているわけです。だから、国連はそれがちゃんと裁けるということを見届ける義務があるわけです、南スーダンに対して。だからこそこの告知書では、各派兵国に国内法廷でしか裁けないのだという…」
反町キャスター
「これが必要だと国内法廷が制度化されることが必要だと、アナン事務総長ですか?」
伊勢﨑教授
「そうです。1999年にこれが決まったんです」
反町キャスター
「国内法廷がちゃんと整備されていない国はPKOに参加しちゃいかんということになるわけですか?」
伊勢﨑教授
「当たり前です」
反町キャスター
「栁澤さん、時のアナン事務総長の判断に、日本政府はどういう対応をしたのですか?」
栁澤氏
「特に、それがあるからということで、いろいろ議論した記憶は、私はないですけれども。つまり、政府答弁ふうに言えば、いずれにせよ、というのがくるわけですね。いずれにせよ我が国の自衛隊がやることは自己保存の武器使用しか持たずにやる。しかも、いわゆる、ちょっと法律によって法体系は違うけれども、わかりやすく言えば、戦闘が行われていない地域で、直接戦闘には結びつかない仕事しかしていませんと、武器の使用も最後の自己保存のための武器使用に限定されていますと、だから、そういうことを考える必要はないんですというのが当時の発想だったのではないかと思いますね」
反町キャスター
「栁澤さん、自身で説明をされていて無理があると思います?」
栁澤氏
「いや、無理があるんです。それは、つまり、自己保存のための武器使用、権限はあるわけですね。そうすると、今の話で、自己保存、自分がやられると思って撃ち返した、そのプロセスの中で間違って民間人が何人か死にました、これをどうするのですか。つまり、警察官職務執行法の武器使用と同じひな形の条文ですから、撃った本人の責任として裁かなければいけないわけですね」
反町キャスター
「そうすると、自衛官個人の?」
栁澤氏
「そうです。だから、法律の建つけは、自衛官はこれこれの時に武器を使うことができると書いてあるわけですね、自衛隊はではないです」
反町キャスター
「では、その場合、もし日本で裁くことになると、たとえば、反町自衛官は南スーダンでの勤務中に誤って民間人を射殺した、お前は殺人罪に問われると、こういう建つけになるのですか?」
栁澤氏
「うん、ということですよ。つまり…」
反町キャスター
「これは…」
栁澤氏
「おかしいです。それでずっと、しかし、PKOも行ったし、イラクまでそれで出していたわけですね。だけど、率直に言って、当時、陸上自衛隊との間でも、これを議論した記憶はないですね。なぜかと考えてみると、つまり、まさか武器を使って撃つとは思っていないです、誰も。だから、殺すことはない」
反町キャスター
「アナン事務総長が、当事者の覚悟がなければ参加するなという趣旨の話ですよ?」
栁澤氏
「うん、だから、その部分に参加していないわけなので、日本は覚悟が要らないところ、先ほどおっしゃった、これしかできないから、道路工事しかしませんという範囲でやっているから武器も使う前提がないから、だから、そこは何も厳格に言わなくたって、それを、それがそれに抵触しない範囲でやれるんですという考え方。しかし、これまでのような自己保存の武器使用権限であっても誤って殺したらどうするのという問題はあった。それは率直に自分で気がつかなかったと思います」
反町キャスター
「伊勢﨑さん、もう1つ、先ほど、言われた国内法廷の話」
伊勢﨑教授
「はい」
反町キャスター
「国内法廷の状況というのは、日本は現在、どういう状況なのですか?」
伊勢﨑教授
「国内法廷というのは、この場合、国際人道法違反、それも殺傷に関わる国際人道法はいろいろありますよね、文化財を壊しちゃいけないとか、ありますよね。そちらの方は実は日本はあるんですけれども、あるんですよね、でも、肝心の殺傷に関するものはないですよ。なぜかと言うと、戦闘もしないことになっているから」
反町キャスター
「それは憲法との兼ね合い?」
伊勢﨑教授
「それは、だって、なぜ戦闘という言葉が使えないかと言うと、戦力を否定しているからですよね。自衛隊は戦力ではないということですけれども」
反町キャスター
「自衛隊は戦闘をしないから海外において何かそういう戦闘状態の結果としての殺傷行為があった時の国内法廷というのはつくる必要がないという理屈建てになるのですか?」
伊勢﨑教授
「そうですね」
反町キャスター
「そういうことなのですか?栁澤さん」
栁澤氏
「1つの言い方でしょうね。そうだと思いますよ」
反町キャスター
「必要性というのは政府内において議論されたことはないのですか?要するに、軍事法廷ですよね?」
伊勢﨑教授
「うん」
反町キャスター
「そういったものを日本につくらなくてはいけないかどうかということは、議論されたことはないのですか?」
栁澤氏
「あの…」
反町キャスター
「議論すること自体が憲法9条に抵触するのですか?」
栁澤氏
「いや、ブレーンストーミング程度に議論した記憶はあります。けれど、それは、要は、終審裁判所でなければつくってもいいよねと言いながら、要は、そこを裁いている時の規範をどうするかというところが、全然見えないですね。つまり、故意に人を殺せば殺人罪だというのを刑法はあるけれども、この場合、故意に殺すわけです、戦闘行為は。だけれど、それはどういう条件の下で殺人罪にはならなくなるのかという法理が見えないですよね。だから、ちょっと難しいよねというところで…」
反町キャスター
「でも、先ほどの話を聞いていると、PKOに参加する前提として、それがないといけないのではないかというような話だったですよね?」
伊勢﨑教授
「いわゆる無責任・無法国家になりますよね」
栁澤氏
「だから、それは…」
伊勢﨑教授
「…」
栁澤氏
「政府はこれまで、おっしゃるPKFには入っていませんという話をしているわけですよ、つまり」
反町キャスター
「そう、PKOとPKFの使い分けをしていましたよね?」
栁澤氏
「はい」
伊勢﨑教授
「PKFですよ、自衛隊はPKFですから」
反町キャスター
「でも今や、完全に、先ほど、言われたみたいに、当事者として参加すると言っている以上は、PKOとPKFの使い分けというのは、現実の場面において、それは許されない、だからこそ駆けつけ警護の話が出ていると、そういう理解でいいですよね?」
伊勢﨑教授
「PKFは、PKOの中の4つあるコンポーネントの1つにしか過ぎないわけで、どちらかという話ではなくて。部隊なのですから、部隊として戦力地位協定に入っているんです。でなかったら、おかしいんです。日本は2国間の地位協定を結んでいないでしょう、南スーダンと、と言うことは、国連の地位協定の中に入っている。国連の地位協定は国連の兵力地位協定ですから、戦力、もしくは兵力が犯す過失、もしくは故意犯でもいいです、とにかく事件に関して起こった時の裁判権をどうするかということを決めるのが地位協定ですから、それによって訴追を免除されているわけです。なぜ訴追免除を相手国が受け入れるかと言うと、各派兵国がちゃんと裁くルールがあるから」
反町キャスター
「法廷ルールがあるから?」
伊勢﨑教授
「だって、もしそれがないと言ったら相手国が承認すると思いますか。もしアメリカが明日から軍法を廃止すると言ったら、でも、日米地位協定はそのまま運用と言ったら、我々、怒るでしょう?」
反町キャスター
「なるほど」
伊勢﨑教授
「それと同じですから」
秋元キャスター
「そこまで無理をして日本がPKOに参加する意味とはなんだろう」
伊勢﨑教授
「PKOは参加しなければいけません。だって、これは集団安全保障ですから。でも、しかし、PKOに参加というのはPKFの参加だけではない」
反町キャスター
「別のやり方があるのではないか?」
伊勢﨑教授
「別のやり方、あります。日本というのは9条という問題がありながら現在あまりにも、ほとんど先進国がやらなくなった部隊派遣に日本はこだわるのか?」
栁澤氏
「なぜそれなのに自衛隊を出すのかと、結局、国際貢献はワーディングが違うとおっしゃるかもしれないが、何かしなければいけないよねと、その時にやってくれるのは自衛隊しかいないよねというところで、自衛隊に丸投げしちゃって、それで国の責任が終わったような錯覚に囚われているからではないかと思うんですね」
反町キャスター
「カンボジアで文民警官の方が亡くなりましたですよね?」
栁澤氏
「はい」
反町キャスター
「その他、文民で選挙監視団みたいなところに行くという、そちらの方がはるかにリスクが高くて…」
伊勢﨑教授
「うん」
反町キャスター
「…という判断もあるのではないですか?」
伊勢﨑教授
「いや、だけど、それでも何とかしなければならない。つまり、地球規模の問題として、地球の課題として。国連の決定することに対して一応、やらなくたって罰則はないですよ。だけど、集団安全保障、皆で寄って立って地球を支えていくという概念で発動されるものですから、これに無視するということはあり得ないです。特に国連というのは、戦後の日本にとって我々の存在を律する最も重要なものですね。なぜかと言うと、我々はまだ敵国条項、敵国条項はまだ生きているんですよ、国際法的に我々は保護観察の身なのですから、国連を無視してこの国は成り立たないですよね」
反町キャスター
「伊勢﨑さんは、日本というのは保護観察処分だと言いました。国連という枠の中で一生懸命、国際貢献しなくてはいけない立場だと考えた時、PKOに積極的に参加して、アナンさんが言われたみたいな当事者としてのPKO、ないしはPKFへの参加をするために、9条を抜本的に、9条2項のこの部分かもしれないです、ここの部分も含めて、改正をして、行けるようにするべきだと」
伊勢﨑教授
「うん」
反町キャスター
「そういう考えは持っているのですか?」
伊勢﨑教授
「いえ、それは政治政策論だと思うんですよね。これから国際情勢もしくは国防の問題を踏まえて、日本はどうすべきかと考える、政治の話ですから。そこで言うと、現在、海外派兵が必要とされる現場というのは国連PKO、これは国連がマンデートを謳い、国連が指揮を執るもの、これがPKOですよね、でも、国連がマンデートを与えて、国連が指揮を執らない、有志連合に任せる、NATO(北大西洋条約機構)みたいな、それもあり得るわけです。その2つにおいて、先ほど言ったコフィー・アナンの告知書は適用されるわけです。と言うことは、これは地位協定の関係から戦力を保持しないと言って、でも、戦力を持っている、我々、そこで9条2項、おかしくなりますよね。だから、これに参加するのであれば変えなければいけませんよね?」
反町キャスター
「変えなくてはいけないです」
伊勢﨑教授
「でも、果たして、これからの国際情勢において、PKOにおいて先進国、我々みたいなのが部隊を出すことが果たして政治選択なのかというと、NOという立場です」
反町キャスター
「では、それは誤った国際貢献…、誤ったとは言わない、そういう形の国際貢献の道を日本は目指すべきではないという話ですよね?」
伊勢﨑教授
「と言うか、そういう風潮になります。つまり、PKOの慣習的なミッション設計の前提として、まず外貨がほしい発展途上国、これは昔からですけれど。それと現在、1国の内戦でも周りの国にとっては1国の問題ではないわけですよね。だから、どちらかと言うと、集団安全保障よりも集団的自衛権の観点から国連PKOに周辺国が参加するという時代ですから、彼らの方が真剣に戦ってくれる、だから、国連もそれを是としているわけですよね。先進国があまりこれに関わらない、他の形で関わるということです。もう1つ、国連が指揮をとらない非PKOの形です。たとえば、中東における作戦だとアフガニスタンだとか、これはもう断定できますけれども、先進国というのはアメリカを中心とするNATOが10万人、20万人規模の地上軍を展開して、敵と戦うということはもうしません。アフガニスタンで懲りていますから、軍事的な常識としてこれは共有された、トランプさんでもやらないです、トランプ政権でもやらないです。それはだんだん空軍力であるとか、特殊部隊、もしくは友軍支援、これが1番大きいです。地元の国軍、警察を支援する、訓練要員を送るという、そちらの方にいっていますから。そういうことで、日本が協力するとなったらどうするかという時にそこを考えるんですね。日本はどうするかというのを。日本…、いわゆる軍を地上に置かない日本の協力の仕方があるだろうと思っています。現在、そういうことで作戦が行われているところというのはイスラム世界が多いから。彼らはとにかく異国の軍がイスラムの土地にいるということを極端に嫌うわけです。それがアメリカのああいうところが占領政策、もしくは敵をやってつけるのは結構簡単です、そのあとが問題で、それが全部失敗しているわけです、イラクもそうです。こういうところで日本が軍事的な占領者にならないで、日本にしかできないことがあるはずだと思っているわけです。これは政策論ですから。果たして私のこの主張が政治に支持されるのかどうかはわかりませんが」
反町キャスター
「そのために9条を変える必要はないわけですよね?」
伊勢﨑教授
「いやいや、戦力ですから、これは…」
反町キャスター
「そこの部分は引っかかる?」
伊勢﨑教授
「うん、だって…」
反町キャスター
「この話は最後まで残る?」
伊勢﨑教授
「そうです。日本の国防の問題に直結しています。この問題というのは」
反町キャスター
「栁澤さん、いかがですか?総理の、安倍さんは総裁として発言されていますけれども、改憲私案をどう感じますか?」
栁澤氏
「安倍さんがおっしゃるように1項、2項をそのままにして、3項で自衛隊を持つと書いちゃうと、そこをどうするのだいという矛盾が顕在化してしまうわけです。だから、そこに決着をつけないと、つまり、本当にどこまでやっていくつもりがあるのということをはっきりさせないと、これまでのように海外で1発も撃ちませんという前提であれば、それこそ変えなくてもいいわけですね。それで変えたけれども、海外で1発撃った時の後処理の発想がまったく、1項、2項があるために軍隊らしい後処理ができないですと、警察官の個人責任と同じですとそういう話になるのだったら、おかしいではないかという部分がそのまま引きずられて残っちゃうわけですね。だから、本当にどこまで国民は自衛隊にやらせようとしているのか。自衛隊の方もどこまでそれを受けてやっていく覚悟があるのかという、そこの議論の方がはるかに大事なので。そこのコンセンサスがないと、本当にどう変えたらいいのかというのは。いや、私もこのままでずっといけるとは思っていないけれども。自衛隊は確かに、自衛隊の存在をどう子供に教えたらいいのですかと、学校の先生に質問されて、困ったこともあったけれども。しかし、現状はそういうものであるが故に、災害派遣をやっている、海外で1発も撃ってこなかったという実績を踏まえて90%以上の国民の支持があるというのも現実だと思うんです。だから、それをどこまで、どう変えていくのかという議論を、合わせてと言うのか、先にと言うのか、やっていかないと。私は言葉で書くのはいくらでも法律的には書きようがあると思うのだけれど、本当に中身を国民がどう認識するか?国民の理解と自衛隊の負うリスクがちゃんと重なっていないと」

栁澤協二 国際地政学研究所理事長の提言 『日本人は何のために死ねるか?』
栁澤氏
「私は、実は臆病者なものですから、どういう観点で見るかと言うと、国の政策としてなんだと言っても、出す、出る自衛隊は、命令で出るわけですよ、自分の自発的な意思ではなくて。だから、その時に自分はやれるかと考えちゃうわけ。俺、やれないよな、俺にやれないことを他人にやれと言えるのかという。せっかく安倍さんが憲法の問題提起をされているのですから、日本人1人1人が是非お考えいただきたい。私も我が事としてそれを考えなければいけないと思っています。結局、国際安全保障でもいい、世界の人達のために本当に死ねるのですかということ、それは死なないに越したことはないが、それが問われているという問題なのだということを非常に感じるんですね」

伊勢﨑賢治 東京外国語大学大学院教授の提言 『国際貢献?"集団安全保障"』
伊勢﨑教授
「柳澤さんのお話に続いて、集団安全保障、国連が発動する集団安全保障の措置に対してオールジャパンで考えるということ。これからこれを無視するということはできません。これは責任になります。しかし、これは部隊を派遣することだけがその解答ではないということですね。オールジャパンで考えていただきたいということであります。繰り返しますけれども、集団安全保障ですから国際貢献ではありません、貧困対策やっていればいいじゃない、JICAががんばればいいじゃない、NGOががんばればいいじゃないという話ではないです、それに代替できるものではありません」