プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年8月23日(水)
地政学的リスクと経済 朝鮮半島有事と米政権

ゲスト

吉崎達彦
双日総合研究所チーフエコノミスト
呉軍華
日本総合研究所理事
礒﨑敦仁
慶應義塾大学准教授

北朝鮮リスクと本質と経済 マーケットと北朝鮮ミサイル
秋元キャスター
「今日はアメリカ・中国・北朝鮮の政治・経済の専門家を迎えまして北朝鮮の核・ミサイル開発による北朝鮮リスクと言われる危機の本質と経済の関係について考えていきます。8月、北朝鮮リスクの高まりをマーケットはどう見ていたのか?まず日本とアメリカの株価の推移を見ていきます。今年4月以降、アメリカ・日本の株価は北朝鮮が次々とミサイル発射実験を強行するなかでも堅調に上昇しました。7月に北朝鮮が長距離弾道ミサイル・ICBMを2回発射した時も、株価は大きく下がることはありませんでした。しかし、今月8日にトランプ大統領が北朝鮮のミサイル発射実験に対して、北朝鮮は火力と怒りに直面すると警告したタイミングで株価が一気に値を下げ、さらに翌日、北朝鮮がグアム沖への弾道ミサイル発射計画を発表すると、日本株はさらに下がりました。まずは吉崎さん、マーケットはトランプ大統領の発言と、それから、北朝鮮のミサイル発射計画、これが大きなリスクに発展すると見て値を下げたと見たらいいのでしょうか?」
吉崎氏
「アメリカはもうちょっと国内事情で株価が動いているんですよ。と言うのは、アメリカの中で、現在1番の注目、この1週間で1番の注目、最大の問題はシャーロッツビルですから、バージニア州シャーロッツビルでの暴動に対するトランプさんの反応で動いている。1番株価が下がったのがいつかと言うと15日にどちらも悪いという発言した時」
反町キャスター
「大統領が…」
吉崎氏
「ええ、なぜ大変かと言いますと、あれ、どちらも悪いということになっちゃうと、大統領は白人優越主義者の肩を持つのか。これはそういうことになれば、たとえば、ゲイリー・コーンとか、ムニューシンとか、ああいったユダヤ系の人達がとてももうついていけなくなるぞと。コーンが辞めたら、大変なことになると思って、皆、売るわけです。ところが、コーンは、いや、辞めませんと、このままやるらしいということで、また戻るわけですね。1番バカバカしいのでは、昨日上がったでしょう。なぜ上がったかというこの理由は、まずそれまでにこのままいくとトランプ政権はこの秋の議会で何も決められない、減税もできない、インフラ投資もできないということで、いったん諦めかけたのだけれども、このままいくとトランプさん以上に議会の信任が落ちているぞということがわかってきて、そうすると、上院の共和党がかなりおとなしくなると、そうするとこの秋は減税もできるのではないかとなって、そこで戻ると。ですから、あまり今、外を見ていないですね」
秋元キャスター
「一方、日本の株価はなぜ下がったと見たらいいのでしょうか?」
吉崎氏
「日本はもともと8月というのはだいたい出来高の細る時期でもあって、これを材料に使って、売りを仕かけている人がいるのではないですかね。と言うのは、先週はもしトランプさんのこれがなければ、何のニュースもない、それこそ天気が悪いとか、甲子園とか、それぐらいしかネタのない時期にすごいネタを提供してくれる人が出たわけですよね。これは仕かけるには絶好のチャンスだったのではないですか。ただ、本当にそんなに下げるほどの材料だったかと言うと、ちょっと疑問ですね」
反町キャスター
「相場は戻るのではないか?」
吉崎氏
「うーん、ではないですかね?」
秋元キャスター
「一方、為替を見てみますと、ドル円相場、トランプ大統領の発言と北朝鮮による計画発表のあとも、それまでの円高傾向から、ずっと円高傾向が続いているのですけれども。普通に考えると、北朝鮮のリスクが高まると円が売られて、円安になるのかなという気もするのですが」
吉崎氏
「そんなことないです。我が国は国難にはもれなく円高がついてくるという非常に珍しい国」
反町キャスター
「どういうことなのですか?メカニズムを教えてください」
吉崎氏
「東日本大震災の時を思い出していただければ、すぐわかるのですけれども」
反町キャスター
「円高になりました」
吉崎氏
「1ドル80円でしたよ。この国は、国難がくると円が買われるんです」
反町キャスター
「どういう仕組みなのですか?」
吉崎氏
「1番簡単に説明しますと、我が国は世界最大の債権国で、昨年末でだいたい350兆円の対外資産を持っているわけです」
反町キャスター
「行って来いの黒字分ですね?」
吉崎氏
「黒字分ですね。そのお金はいったいどうなるのかと、それを世界中の投資家が気にしているわけです。いつ売るのと。それは日本で国難があったら、それは売るだろうと、売るということは、巨額の外貨売り・円買いになるから、それがあるので国難がくると、いきなり円が買われちゃう。そんなことを言って東日本大震災を超える国難は想像できますか。ないですよね。ですから、今回はこの程度で済んでいますけれども。不思議な話ですけれども、有事の円買い」
反町キャスター
「なるほど」
吉崎氏
「ええ。ただ、これがこのあと、たとえば来月になったら、次のFOMCでアメリカはたぶん、FRBの資産の売り、売りはしないのか?資産減らしを始めると。そうすると、長期的にはドルは強くなるなっていう動きが出てくるんで、私は年末は円安だろうと思っています」
反町キャスター
「逆に言うと、年末までは北朝鮮の危機は続くかもしれないけれども」
吉崎氏
「でも…」
反町キャスター
「北朝鮮危機による円高という為替への影響というのは、年末までには賞味期限は切れている?」
吉崎氏
「そろそろ鮮度は失われてきている」
反町キャスター
「飽きるという意味ですよね?」
吉崎氏
「と、思います」
反町キャスター
「本当に、ミサイルが飛んでくるのかということになって、たとえば、グアムに撃ちました、30km、40kmと言いながらも、もっと内側に入ってアメリカが報復攻撃をするかもしれないとか、ないしは別のステージで38度線を挟んで何かしらの小規模、大規模な軍事衝突があるかもしれないということになったならば、為替は別の動きをするのですか?それでも同じ、有事の際の円買いで円高が進んでいくのですか?」
吉崎氏
「はっきり言っちゃいますとおそらく北朝鮮がミサイルを撃ってもそんなに材料にならなくて、それはグアムのどこかに落ちたぐらいではあまり驚かない。逆にアメリカがサージカルアタックをしたら、これは本当のサプライズですから、その時はどうなるかはわからないです」
反町キャスター
「どうなるのですか、その時は?円はどうなると見ていますか?」
吉崎氏
「とりあえず有事の円買いで…」
反町キャスター
「まだ上がるの?」
吉崎氏
「もう一息いくでしょう、その時は」
反町キャスター
「だって、有事と言ったら、北のミサイルが日本にくるかもしれないというので、ここで我々はどう守るのだろうと」
吉崎氏
「そんなことは…」
反町キャスター
「THAADだ、PAC-3だ、落ちてきたらと、こんな話をする時に、ミサイルが落ちてくるかという時でも、それでもその国の通貨は高くなっていきますか?」
吉崎氏
「東日本大震災でも買われた国ですから。ミサイルぐらいでは、おそらくは…」
反町キャスター
「なるほど。そこはそのままいくのですね?」
吉崎氏
「と思います。北朝鮮の本気はそんなに我々、怖くないと思うんです。アメリカの本気は怖いでしょう?」
反町キャスター
「はあ…」
吉崎氏
「要するに、バノンさんが今までだったら止めてくれたわけですよ、アメリカ・ファーストの人が」
反町キャスター
「そんなところに手を出して何の得があるのだと止めていた…」
吉崎氏
「そう、止めてくれる、その人が今いなくなったんです。そちらの方が、私、よっぽど怖いと思います」
反町キャスター
「呉さん、どうですか?」
呉氏
「いや、私、金正恩さんがとりあえずアメリカのグアムへの攻撃ですね、アメリカの様子を見る背景に、こういうような可能性はないかなと思うのは、アメリカは真剣だと、ちょっと怖くなったというような可能性が、このシナリオですね。要するに、これまでは、なぜ北朝鮮問題がここまでになってしまったかと言うのは、いろいろ原因あるのですけれども、結局このアメリカ側の実質的、融和政策、これまで、要するに、非対称的な考え、こちらは命を大事にしなければいけない、どうでもいいような国で。今度見守るというようなことを言った時に、しかも、その前にアメリカは別に何か譲歩したわけでもないし、と見た時に、もしかしたら、まだ解決策あるなと思ったんですね。なぜならば、彼らはまだ自分の命が、あるいは周りの命が、まだ気になっている。だから、アメリカはトランプ大統領のああいう脅かしとか、実際アメリカで現在、真剣に、マクマスターさん達も言っている、いわゆる予防戦争ですか…、Preemptive Strikeと言っているでしょう。ということから、いろいろ実際動いているんです、評価して。こういうような動きを見ると実際、グアムでしょう。まさにおっしゃったように、下手すると、グアムにやったら、アメリカは真剣に反撃してくるかもしれない。しかも、現在、アメリカで議論している、いわゆる予防というのは、戦争の予防ではなくて、アメリカの脅威になることを予防するから。もちろん、韓国・日本も大変なのですけれど、しかし、アメリカ第一に考えているから、そうすると、何か仕かけるかもしれないということに対してちょっとビビッたかなという感じもしないわけでもない」
反町キャスター
「礒﨑さん、呉さんが言ったみたいに結構、アメリカは本気だよというのが、先日のトランプ大統領の『火力と怒りに直面するだろう』というこんなコメントを見たりしていると、これはもしかしたら尻尾を踏んでしまったかもしれないなと自制している、ブレーキがかかっている、そういう可能性はあるのですか?」
礒﨑准教授
「北朝鮮、ずっとそうだと思いますね、基本的には。4月もそうだったと思うのですけれども、4月は日本で特に危機、4月の危機という感じで報じられましたけれども、しかし、金正恩委員長自身は4月は一切言葉を発せずに部下達に喋らせていたわけですね。事前の予告通りに国会に出てきたり、閲兵式でパレードで閲兵をしていても、金正恩委員長は演説をしない、隣にいる崔龍海総政治局長とか、朴奉珠総理に喋らせる。でも、その喋らせる内容というのは、アメリカを意識してか、トランプ政権が心の中では怖いと言うか、体制崩壊につながり得る戦争は何としても避けたいということで、あくまでも北が攻撃を受ければ、我々北朝鮮は反撃する意思があるのだという、これに過ぎなかったわけですよね。非常に言葉に気をつけながらやってきているように思います。今回、7月に2回、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を撃ちまして、そのあと8月にグアムの話が出てきたわけですけれども、そのグアムの話を出してきたのは金正恩委員長ではないわけですね。あくまでも部下が、戦略軍司令官がこういう提案をしたということが報じられて、それに対して金正恩委員長が、いや、いや、どういう訳でしたか、アホでマヌケなヤンキー野郎の態度を見守ろうではないか少し、と、こういう言い方なわけです。金正恩委員長の言葉の方がずっと重いわけで、そちらを追っていく必要があるとは思います」
反町キャスター
「僕らもVTRとか、KRT、朝鮮中央テレビのアナウンサーのコメントを見て、こんなことをすげえなと思ってやるけれども、あまりこの言葉には捉われない方がいい?プロパガンダだと思って放っておけばいい?」
礒﨑准教授
「おそらく皆さんも、日本社会全体も飽き飽きしていると言うのか、また言っているぞという感覚で、それでいいのだと思います。政府、日本政府としては、それは警戒を緩めてはいけないというところはあるのでしょうけれど。労働新聞の端っこの記事ですとか、北朝鮮外務省の報道官談話とか、在日米軍を攻めてやるとか、韓国を攻めてやる、ガンガン言うわけですね。しかし、金正恩委員長がそこまで言うかというと、そこは違うというところが1つですよね」
反町キャスター
「この8月8日、9日というのは、8日が、要するに、トランプ大統領が火力と怒りに直面するぞと言った日で、9日は北朝鮮がグアムの30km、40kmにミサイルを撃つぞと言った日ですよ。韓国の総合株価指数と、ウォンとドルの為替レートを見たのですけれど、8日から9日にかけて株価は94から68に向けてドンと落ちている、ウォンのレートにしても…」
吉崎氏
「下がっていますね」
反町キャスター
「下がっていると。北朝鮮リスクというものがそこにあるとすれば、単なる材料かもしれませんけれども、株は下がったけれども、円は上がった、韓国はウォンも下がって株も下がっている」
吉崎氏
「これは正常な動きですよね」
反町キャスター
「日本が異常ということになっちゃう…」
吉崎氏
「日本はだから、ちょっと異常なんですよ」
反町キャスター
「これは、リスクが高まれば、通貨も下がれば株も下がる、韓国のこの状況は普通?」
吉崎氏
「普通ですね。ただ、結構、戻しましたけれども、株価、韓国はね」
反町キャスター
「なるほど。その意味で言うと、このあとをトレースしていくと、韓国の経済も、今これだけ北がミサイル撃つ、撃たないと言っている中でも、マーケット、ないしは韓国の経済界も含めて、戦争のリスクというのを直視していないのですか?」
吉崎氏
「すごく鈍感になっていると思います。要するに上で北朝鮮とアメリカがやっても、自分達のところにまさかくるわけがないと、ちょっとタカをくくっている」
反町キャスター
「おかしいのではないですか、それ?」
吉崎氏
「…私もおかしいと思うのだけれども、でも、あの人達はそう受け止めていますよね?」
礒﨑准教授
「鈍感になっていると吉崎先生がおっしゃったのは、まさにそうです。いわゆる軍事境界線、事実上の国境を接していて、これまでに2010年の延坪島の砲撃事件ですとか、もっと昔、朝鮮戦争3年間戦っていたり、ドンパチやっているわけですよね。散々、北朝鮮からも脅しをかけられて、手も出されたし、そういう意味では、日本以上に鈍感になっていることは事実ですよね。でも、実際に何か有事が起きてしまったら、それは大きく動くものなのでしょうけれども、社会全体が」
反町キャスター
「それは、たとえば、この間、文在寅大統領が我が国・韓国の了解なくしてアメリカが北朝鮮に対して軍事行動をとることはないと発言したりもする中で、ああいう発言が出ると、韓国の人たちは、この大統領を選んでよかったと、この大統領がいる限り、半島有事は起きないぞと思うものなのですか?」
礒﨑准教授
「それが本当に実現すればそうなのではないですか。それは米韓関係が非常に頑丈なもので、今も、文在寅大統領の言うことをトランプ大統領が聞くという態勢になっているのであれば、そうなのでしょうけれども…」
反町キャスター
「そう思います?」
礒﨑准教授
「…」
反町キャスター
「トランプ大統領は、文在寅大統領の顔色、判断を受けながら、本当にいくか、いかないかを決める人だと思いますか?」
礒﨑准教授
「それは比較の問題で言えば、日本の首相が何かをトランプ大統領に囁く、戦争だけはなんとかやめてくれとか、中途半端な妥協もかつやめてくれと、それは日本の方が客観的に日米同盟の関係からしても信頼性が高いと思いますよ、対北朝鮮政策について…」
反町キャスター
「そうすると、礒﨑さんの目から見て、韓国の鈍感度というのは根拠があるものなのですか?」
礒﨑准教授
「根拠はないです。朝鮮戦争が60年以上前のことで、それまで確かに韓国人は拉致され、韓国人も同じように、日本人以上に拉致されていますし、延坪島の砲撃事件から、魚雷から、いろいろな事件がありましたけれども、しかし、朝鮮戦争以降の戦争になっていないではないか、しかも、韓国はすごく北朝鮮を上から目線で見るところがありますよ。北朝鮮はまだ発展途上国で、確かに核・ミサイルをやっているけれども、人々の民心、人々の心はもう変わっていると、そういうところは現実的に見ている。今、崩壊したら、統一コストがかかって大変だと現実的に見ている一方、現在の米朝関係について、日本は必要以上に反応してしまった部分もあるかもしれないけれど、韓国はその実態よりも鈍感かもしれないと、そのぐらいですかね、表現の仕方とすれば」
反町キャスター
「日本が過剰で、向こうが過少反応なのですか?」
礒﨑准教授
「日本が4月に、4月でしたか、地下鉄を止めた時に、韓国の報道では日本はこんなことをやっているのだという非常に嘲笑するような形で批評された」
反町キャスター
「そう…」
礒﨑准教授
「それは行き過ぎで。日本もちょっとやり過ぎだった部分はあるのかもしれないですけれど、韓国が実際に何かものを…、実際にアメリカが北朝鮮に軍事オプションを行使した時、あなた達が1番大変なのでしょうという。そういう自分達の意識は、でも、安泰だと言うか、大丈夫だという何か自信がある。これは民族性の問題なのか、そこまで言ってしまうと強過ぎるのですけれども」

中国の対応と中朝関係
秋元キャスター
「呉さん、中国は、ヒートアップするアメリカと北朝鮮の威嚇の応酬というのをどう見ているのでしょうか?」
呉氏
「どう見ていると言うか、もう1つのジレンマに陥っていると思うんですね。中国が、もちろん北朝鮮のこの共産党政権、同じく共産党政権と見ていますので、その政権の崩壊は絶対に見たくないですね。よく中国はなぜ徹底的に北朝鮮の制裁をしないかという時に、いわゆる緩衝地帯を持ちたいとか、難民とか、それもそうですけれども、それよりもおそらくもっと大きいのは北朝鮮が現在、世界で数少ない、いわゆる社会主義国家ですね。中国は、たとえば、天安門事件以降、特に、旧ソ連崩壊等のあとに、1番気にしたのはレジームチェンジですね。そうすると、数少ない同じ共産党政権で、少なくとも自分の手で加担してその崩壊を促したくないというのはたぶん、いわゆる難民とか、こういうもの以上にこういう気持ちが強いかと思うんです」
反町キャスター
「中国は北朝鮮を属国とは言わないけれども、わかりやすく言っちゃうとパイプライン1本でですよ、パイプライン1本で北朝鮮をコントロールしているつもりでいるのですか?」
呉氏
「いや、私はそうではないと思うんですね。だって、金正恩氏もまだ会っていないのでしょう、習近平主席と。関係は決していいとはなっていないですね。すごく中国を批判しているし、最近、北朝鮮、中国の体質を非常に批判もしている、関係は決してよくないですね。こういう状況で、中国がやめろと言ったら、やめる、と言うわけにはいかないと思うんですね」
反町キャスター
「でも、原油は止めないですよね?」
呉氏
「先ほど、申し上げました通り、自分の手で完全にやりたくないのでしょう」
反町キャスター
「では、他人の手だったらよいのかと…。環球時報」
秋元キャスター
「はい、環球時報に、このような社説が載っています。8月11日の社説ですけれども、北朝鮮がアメリカを威嚇するミサイルを発射し、アメリカの報復を招いた場合、中国は中立を保つ。米韓同盟が軍事攻撃を仕かけ、北朝鮮の政権転覆や朝鮮半島の勢力図の変化を試みた場合、中国は断固阻止する。下の部分は、先ほど、呉さんが言っていた話ですよね?」
呉氏
「うん」
秋元キャスター
「そうすると、上の部分は?」
呉氏
「それはまさに、このジレンマの両面ですね。だから、ある程度、それなりに無事になんとか片づけてくれれば、もうそれはいいというところでしょう」
反町キャスター
「これはこれで…」
秋元キャスター
「この2つは、ちょっと矛盾する部分が…」
吉崎氏
「上は、要するに、サージカルアタックだったらOKよと言っているわけですよね?」
呉氏
「うん、ただ、もちろん、さらにいろいろ条件はあると思うんですね。アメリカ軍が、たとえば、38度線を越えないとか、こういういろいろあると思うのですけれども、既にアメリカも約束しているんですね、こういうことはしないとか、これはおそらく」
反町キャスター
「それは前に言ったティラーソンさんの…」
呉氏
「ティラーソンさんの発言があったでしょう、既に」
反町キャスター
「ありましたよ」
呉氏
「もうしないとか、場合によって、最終的に朝鮮半島から米軍を撤退させるとか、このへんのネゴシエーションを、いろいろたぶん条件をつけてくると思うんですね」
秋元キャスター
「政権が必ず転覆することがないような報復はかなり狭まりますよね?」
呉氏
「はい。だから、政権。政権と人間はちょっと違う、場合によっては分けて考える必要がある」
反町キャスター
「えっ?それはすげえ微妙な話ですね」
呉氏
「だから、無事に…」
吉崎氏
「斬首作戦はOK?」
反町キャスター
「金正男氏の息子を持っていけば、それだけ政権が続くと、そういう話になっちゃうではないですか?」
呉氏
「なるかもしれないですね」
反町キャスター
「ほう」
呉氏
「ただ、うまくできるかどうか…」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
呉氏
「はい」
反町キャスター
「中朝同盟があるではないですか?中朝同盟というのはどちらかが攻撃された場合には、それは自国への攻撃と見なして反撃するというのが中朝同盟のはずですよ。これ上の部分は…」
呉氏
「それはもうないのでしょう」
反町キャスター
「ない?正式にあれは破棄されました?」
呉氏
「廃棄はしていないのですけれども、こう書いた以上は、基本的にこれを守って、守って、これを守る…」
反町キャスター
「環球時報というのは、政府寄りの新聞ではあるけれども、単なる新聞ですよ?」
呉氏
「新聞です」
反町キャスター
「中朝同盟は、中国と北朝鮮の間で結ばれた国家間の国際条約ですよ?」
呉氏
「でも…」
反町キャスター
「はい」
呉氏
「特にこれは人民日報下でしょう。政府の意向とまったく反対するようなことは書けますか」
反町キャスター
「ということは、中国は北朝鮮に対して中朝同盟を破棄するよと…」
呉氏
「だから、もし北朝鮮のせいでこういうことをやったら…」
 
反町キャスター
「そういうことを政府間の交渉で言わないで代わりに環球時報を使って言っている、これはちょっと外交として…」
呉氏
「だって、政府間で、どこかで言っているかもしれない、それは私達は知らない、私達はわからないですけれども」
反町キャスター
「言っているかも?ああ、そうか。なるほど。呉さん、僕は別に中国に北朝鮮を徹底的に守ってほしくて言っているわけではないのだけれども、中朝同盟という鉄の同盟とか、鉄のなんとかとか、ずっと僕らも考えていたりするものを、ここ数年急にこういう言い方になってくる中で、中国の国としての信頼性、あの国とは安全保障条約や何らかの条約をやっても、都合が悪くなったら解釈の問題だと言って反故にする国なのだと、そういうリスク。たとえば、これは日米安保と同じです。日米安保条約で尖閣に何かあった時とかに、アメリカがもし何にもやってくれなかったら、どうするかと言ったら、アメリカは他の国ともいろいろな安保条約を結んでいる中で、アメリカの国際的な信認が極めて下落すると皆、思っている。だから、アメリカはメンツをかけて応援にくるだろうと皆、思っているわけですよ。中国はこういうことをやって、中国は信頼できないよねと、こういうことにならないのですか?そういう心配はしない?」
呉氏
「性格の違う問題なので」
反町キャスター
「そうかなあ?」
呉氏
「日本が尖閣ではなくて、海南島、海南島に侵攻して、アメリカは守るの?」
反町キャスター
「守らないですよね」
呉氏
「そう、そうでしょう。同じですよ。だから、北朝鮮が何もしないで、アメリカがいきなりやって来たら、今おっしゃるようなことが起きるかもしれない。ここははっきり書いているでしょう、北朝鮮が先に何かやってはいけないことをやった場合に私達は中立だよと」
吉崎氏
「中国は他に同盟国はないですからね」
反町キャスター
「あっ、そうか」
吉崎氏
「それはあまり関係ないです」
反町キャスター
「他の国からどう思われようと関係ない、そういうことになる?」
吉崎氏
「ええ。それよりも中国は国内が問題なわけですよね」
反町キャスター
「なるほど」
吉崎氏
「なぜ見殺しにするのだみたいなことを言われるのが嫌だけれども、とりあえず、ここまでは国内的にOKだという、そういう解釈ができるのではないですか?」
呉氏
「国内も現在は、もっとかなり前から北朝鮮、もちろん、宣伝とか、あるいは普通の概念では鉄の同盟とか、いろいろ、あまりいい印象を持つ人はそれほど多くないですね」
吉崎氏
「いい印象を持っている人は…」
呉氏
「逆に北朝鮮の核の問題で場合によって日本も核、韓国も核、こういう状況になるというのは、つくったのは北朝鮮でしょう?」
 
反町キャスター
「なるほど」
呉氏
「北朝鮮がやりたい放題で、何か困ったら中国が全部面倒見るというのはもう御免だというのが結構、理由としてはあります」
反町キャスター
「吉崎さん、こういう社説と言いながらも、ほぼほぼ中国政府の意向に見られるものがここに出てくるということ、アメリカ側からすれば、よし、ちょっとどこまでできるのかなという、こういう話になりますよね?」
吉崎氏
「これを見ると、斬首作戦だったらいいのだなと」
反町キャスター
「国境を変えませんものね?」
吉崎氏
「ええ」
呉氏
「いやいや、だって、2つ目を読んでみてください」
吉崎氏
「いやいや、2つ目は…」
呉氏
「2つ目は、先制攻撃してはいけないよと言っているでしょう?」
反町キャスター
「もちろん、ミサイル攻撃に対する報復として、平壌をピンポイントで攻撃するという意味です」
吉崎氏
「あるいは核兵器とか、ミサイル基地だけをキレイに潰し、体制に手をつけないというのは、たぶんこれはOKですよね?」
呉氏
「いえいえ、2つ目は、アメリカの方から何かやってはいけないよと言ってるんです」
反町キャスター
「でも、報復だったらいいのでしょう?」
呉氏
「はい」
反町キャスター
「1発目、最初は北朝鮮が、たとえば、グアムに対して…」
呉氏
「それは中立…」
反町キャスター
「1発に対してアメリカが40発撃つかどうかはわかりませんけれども、それは、しかも、国境は越えないということであれば、ミサイルに対してミサイル、数はちょっと多いかもしれないけれどもみたいな、そういう拡大解釈が、この環球時報には、そういう都合のいい解釈を生み出しかねない、緩みというか遊びがあるんですよ。そこはあまり心配しなくていいのですか?」
呉氏
「まあ…」
反町キャスター
「どう、呉さん?」
呉氏
「アメリカの方で拡大解釈?」
反町キャスター
「うん、そう…」
呉氏
「たぶんこれを書く時にそこまで考えて書いて…、だから、両方牽制している」
吉崎氏
「むしろ米朝は、私は接近しているような、嫌な予感がずっとしているんです」
反町キャスター
「なるほど」
吉崎氏
「ええ。だって、我々の目には見えないけれども、実は中国が核実験を何とか止めているかもしれないですよね、今年の春とか」
呉氏
「はい」
吉崎氏
「本当はやるはずだったのを実は止めていて、それは我々には見えていないだけかもしれないので。だから、1番嫌なのは米朝が直にもう取引をしちゃって、わかりました、500km以上のミサイルはもう我々は金輪際つくりませんと」
反町キャスター
「それは日本に入っちゃうではないですか?」
吉崎氏
「そう。いや、日本はどうでもいいです、米朝だけだから」
反町キャスター
「なるほど、2国間協議で。日本抜きでやっちゃうという話」
吉崎氏
「それでアメリカ・ファーストでやられたら、困りますよね」

トランプ政権と米朝関係
秋元キャスター
「アメリカのトランプ大統領は22日に演説で、北朝鮮が新たな武力挑発を行っていないことを念頭にこのような発言をしています。『金正恩委員長が我々に敬意を表し始めたという事実を評価したい』『何か前向きなことが起きるかもしれない』といった発言なのですが」
反町キャスター
「礒﨑さん、いかがですか?トランプ大統領の発言から感じられる米朝の接近の具合というのは、どう見ていますか?」
礒﨑准教授
「これは両方考えられますよね、この『何か前向きなことが起きるかもしれない』。これまで通りにトランプ大統領が非常にいい加減な形で、ツイッターを出してきたような形で言って、単に2週間、金正恩委員長の北朝鮮が様子見している状態だけを見て言っているのか?それともニューヨークかどこかで、水面下で交渉して、し始めた、その内容が少し伝わってきているのか、匂わしているのか。両方が考えられるので両極端ですよね、そういう意味では。もう少し前者で、実際は何も進展していないのに、北朝鮮側がアメリカの様子を見ているという、この2週間だけを表して、前向きなことがと言っているのであれば、これは大変な思い違いになりかねないですよね。すぐにでも北朝鮮がグアムとは言わなくても、SLBM(潜水艦発射型ミサイル)の実験とか、他のことでもってもアメリカがまた強く反論するということに繰り返しなりかねないですよね。アメリカの国内で、特に国務省の人事、北朝鮮政策、誰が責任をとるのか、国務省以外でも定まっていない。北朝鮮に対してオバマさんと違うことをやりたいのはわかるのですけれど、オバマ大統領と、それが何なのかというのがまだ明確に見えていないところではあまり深読みしない方がいいのかしらと思うんですよね」
反町キャスター
「何か月ぐらい前でしたか、ストックホルムで米朝の接触がありましたよね?」
礒﨑准教授
「はい」
反町キャスター
「接触がありましたけれど、それがずっと続いていて、そろそろどこか水面の上に頭を出してくるとか、そんな期待感を持つ話では全然ない?」
礒﨑准教授
「話し合いをしていることは確かで、いまだに北朝鮮国内にコリアン系のアメリカ人が3人ですか、まだ拘束をされていると。先般、バージニア大学の大学生、オットー・ワームビア氏が帰国して、帰国直後に死去してしまったわけですけれど、そういう人道的な問題については、米朝間で、水面下でやっていたのだなということが明確にわかったわけですよ。ですから、チャンネルがまったくないわけではない。ただ、そこのチャンネルかどこかで、このミサイル問題についてきちんと話し合いを詰めてやっているのかというのがわからないですね、この発言だけでは」
秋元キャスター
「ティラーソン国務長官も近いような発言をしているのですけれども、吉崎さん、そこはいかがですか?」
吉崎氏
「ここのところずっとやっているのは、ティラーソンさん…、要するに、グッドコップ、バッドコップというヤツで、要は、良い警察官と悪い警察官がいて、悪い警察官の役をやっているのがずっとトランプさん、脅しをかける。ところが、ティラーソンさんは良い警察官で、いいよ、交渉に乗ってもいいよ、4つのNOだよ、そういうのをやって。そうすると、繰り返し見ていると、だんだん良いおまわりさんの、良い警察官の言うことは全部正しく思えてくるので、この人にちょっと電話してみようか、それを期待しているのだと思うんです」
反町キャスター
「それは役割を自分達でふっているのですか?それとも、たまたまそうなっているんですかね?」
吉崎氏
「それぐらいのことはさすがに考えていると思うのですが。ティラーソンさんが言っている4つのNOというのは、もともと、たぶん北朝鮮の側から見ると満額回答とは言わないまでも、かなりいい話ですよね。もしお父さんの正日さんの頃であったら、もうとっくの昔に手を挙げて、わかった、シンガポールあたりで会おうという話になっていたかもしれない」
反町キャスター
「そう感じますか?」
礒﨑准教授
「はい、まったくそうですね」
反町キャスター
「ティラーソンさんの言った4つのNOは、政権転覆をはからないとか」
礒﨑准教授
「はい、すごく踏み込んでいるではないですか?」
反町キャスター
「…ですよね?諸々、北朝鮮が安心するような話が4つあったと思うのですけれども、まさに吉崎さんが言われたみたいに、同じように感じますか?これまでの過去の北朝鮮だったら、これを握ってパッと…」
礒﨑准教授
「そう、5年、10年、15年のスパンから見ると、北朝鮮のやってきたことは、自分達がやってきたことは正しいと。ICBM(大陸間弾道ミサイル)の成功宣言と思われるものを出して、7月にドンチャン騒ぎをして、金正恩委員長の格、権威づけ、権力はあったけれども、権威づけが足りないと考えられていた金正恩委員長の権威づけも上手にいった、ようやくこれで外交の場に出られるはずですけれど。しかし、具体的なものがほしいですよね、対北朝鮮圧迫政策を変えろと、アメリカの政策が変わればいいのだということを言っているわけですから、明確に変わったという、もう少し何か。今回のそういう意味では、トランプ大統領がメッセージを出したと。評価するのは、これは悪いことでは決してないわけですけれども、リスクを避けるという意味で、悪くはないのですが、もう少し具体的なもの、現在やっている米韓軍事演習も、たとえば、縮小するとか、短縮するとか、そういう明確なことができたはずです。そういったものが出せれば、金正恩委員長はこの対話というか、対話という言い方がちょっと違うと思うのですけれど、交渉の場に、外交ですよね、外交交渉…」

米中関係と北朝鮮
秋元キャスター
「さて、アメリカと北朝鮮の関係が緊迫する中、トランプ大統領は今月14日、通商法301条に基づいて、中国における知的財産権の侵害の調査をするように指示しました。アメリカ通商法301条ですけれども、貿易相手国の不公正な取引慣行に対して、民間の求めや政府の判断により外国の貿易慣行や政策を調べ、問題があると判断すれば、輸入関税引き上げなどの対抗措置を一方的にとることができると、こういった法律です。この背景には、北朝鮮の核・ミサイル問題で中国から協力を引き出すために圧力を強める狙いがあると言われているのですが。吉崎さん、どう見ていますか?」
吉崎氏
「そうですね。今回のバノンが考えていたことが実は敵は本能寺ではないけれど、米中経済戦争だと、それが自分にとっては全てなのだと、北朝鮮は枝葉なのだとそういうことを言っていた。ただ、その人は現在、外へ出た。もちろん、彼の同志と言えるような人はまだ何人かホワイトハウス内に残ってはいるけれども、おそらく米中経済戦争という見方はやや後ろに引いているのでしょうね」
反町キャスター
「なるほど。そう考えると、これは301条をかざした、手にとり上げたということは、ここの部分と北朝鮮への圧力というものをディールする用意がこれから出てくる?」
吉崎氏
「これは別に確信があって言っているわけではないですけれど、米中の間で相当、この北朝鮮の問題に関して取引が進んでいるような…」
反町キャスター
「進んでいるのだったら、あらためて301をやる必要があるのかどうか?」
吉崎氏
「これはどちらかと言うとバノンさんが押し込んだのではないのかなと」
反町キャスター
「なるほど、そういう見方ですか?」
吉崎氏
「ええ」
反町キャスター
「要するに、301条というのは、あくまでもバノンさんが、北朝鮮は関係なくて、中国を叩かなくてはいけないというところから出てきた政策判断であって…」
吉崎氏
「…でないかなと」
反町キャスター
「それとはまったく別の次元で、北朝鮮をめぐる米中の水面下の協議、握りですよね、それというのは別チャンネルでやっているのではないかという?」
吉崎氏
「うん、ではないかな」
反町キャスター
「もしかしたらこの301の話というのは、これから先、尻つぼみになる可能性もある?」
吉崎氏
「そうなるのではないかなと思いますね」
反町キャスター
「呉さん、いかがですか?301をアメリカが中国に対して突きつけてきたことをどう感じていますか?」
呉氏
「間違っているかもしれないのですけれど、私はちょっと逆の考えで、北朝鮮問題で圧力をかけるためにこの時点で出てきたというよりも、本来ならばもっと早く出ていたものが、北朝鮮問題で遅らせたと」
反町キャスター
「どういうこと?」
呉氏
「バノンさんに対しては反対勢力がいるのですけれども、トランプ陣営のまさに。しかし、バノンさんの中国に対する見方は皆、異論を唱えていないです。ですから、言い方がちょっと極端かもしれないけれど、分裂しているアメリカで唯一かどうかはともかくとして、コンセンサスはそこにあるんですね」
反町キャスター
「なるほどね」
呉氏
「はい」
反町キャスター
「そうすると、301条に関しては、アメリカは本気で中国を経済面で叩きにいくと?」
呉氏
「はい」
反町キャスター
「これは、でも、行き着く先はどうなるのですか?だって、関税の引き上げとかをやったら今度、報復合戦にならないのですか?」
呉氏
「いや、それはまさにディールをしながら、これが初めてではないし、そこでどうやって中国側の譲歩を引き出せるか?」
吉崎氏
「もし本気で中国を叩きたいのだったらWTO(世界貿易機関)を使った方がいいですよね」
呉氏
「えっ?いや、いや」
吉崎氏
「だって…」
呉氏
「WTOで、この問題で今回、使っているのは、スペシャルの方、スーパーの方ではなくて、スペシャルの方でしょう。要するに、知的財産権、知財。その知財の問題はWTOのルールを使えば基本的にリーガルなのですから、合法です」
反町キャスター
「中国がやっていることはWTOにおいて違法にならない?」
呉氏
「はい。要するに、中国が…、これを話すとすごく長くなるのですけれども。WTOの交渉、中国が加盟の交渉する時に、いろいろある意味では条件、いい条件を引き出したんです。その時になぜアメリカとか、他の国が与えたかというのは、おそらく何年も経てば、こういう問題がなくなるのではないかという前提で、いいだろうと、たとえば、国内産業の保護とか、いろいろな問題で。しかし、問題が、アメリカ側から見て、これだけ、15年が経ったかな、経っても実は進んでいないと、約束していた開放は進んでいないと。そこでこのWTOの枠組みでは中国の行動に対して、できなくなると、これを持ちだしたのですね」
反町キャスター
「中国側としては301で、アメリカの知的財産権が不法にコピーされて、商品化されていてという話については、していないと言い張ることになるのですか?」
呉氏
「そうですね。中国は、別にこういう指摘されたようなものはしていないとか…」
反町キャスター
「していないと?」
呉氏
「はい」
反町キャスター
「これで結果的にアメリカ側が対抗措置として関税引き上げをやりますよね?このままいっちゃったら、吉崎さん?」
吉崎氏
「どこまでやるのですかね…」
反町キャスター
「いかない?」
吉崎氏
「いや、現在、表面的に見えることは、これを1番強く言っていたはずのバノンさんが外へ出て、それから、またこれに、こういうことに賛成しそうなのはロス商務長官とか、ピーター・ナヴァロさんとか、そのへんで、このへんの人も現在どちらかと言うと、あまり声が聞こえてこない」
反町キャスター
「なるほど」
吉崎氏
「だったら、私はそんなにこれは出てこないかなと…」
反町キャスター
「北朝鮮は枝葉であると、本命は中国であると言っていたバノンさんがいなくなったら、北朝鮮に対してアメリカは本気になるということになるのですか?」
吉崎氏
「本気になる確率が若干上がっていると思います」
反町キャスター
「若干上がっている?」
吉崎氏
「はい」

吉崎達彦 双日総合研究所チーフエコノミストの提言 『高度な常識』
吉崎氏
「これは昔、会社の研修でリスクマネージメントという講座を受けた時に、結論がこれです。つまり、自分が、商社マンが乗っている飛行機がハイジャックをされたならどうするかとか、テロに遭ったらどうするかとか、いろいろケースが出てくるのですが、最後に落としどころはこれです。高度な常識。ちょっとでも助かるのはどちらか、ということを考えると答えは出てくる、それは非常に理詰めに出てくる。でも、だいたい北朝鮮の話は、かなり想像を超えたところに出てきているので、結局、自分の身を守る時はこれ」
反町キャスター
「トランプさんや金正恩さんが同じ常識をシェアしているのですか?」
吉崎氏
「あまり常識人ではないですね、どちらも。だから、我々こそが常識を高度に持たなければいけない」

呉軍華 日本総合研究所理事の提言 『分配よりも成長』
呉氏
「直接関係ないように見えますけれども、私は北朝鮮のリスクを考える時、北朝鮮問題の本質はどこにあるかをまず見なければいけない。現在、我々が、私が、ポスト冷戦時代が終わって、未知の時代に入っていると、その中で日本がどうかできるのは非常に限られている。その状態の中で足元を、自分の力を強くしていく、そのためにはパイの分配だけではなく、パイの拡大に注力すべきだと、それによって経済力を強化するという」

礒﨑敦仁 慶應義塾大学准教授の提言 『何がマシかを考える』
礒﨑准教授
「私は何がマシかを考えると。核放棄、ICBMの放棄、できればいいのですが、難しいのであれば、何がマシかを考えて外交を進めるということだと思います」
反町キャスター
「何がマシか?それは取捨選択と言うことですよね?」
礒﨑准教授
「そうですね。言ってみれば、1つの妥協です」
吉崎氏
「何を諦めるのですか?」
礒﨑准教授
「…」
呉氏
「核を」