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2017年8月22日(火)
茂木敏充大臣に問う! ▽ 天候不順の経済影響

ゲスト

茂木敏充
経済再生 経済財政政策 社会保障・税一体改革 人づくり革命担当大臣(前半)
永濱利廣
第一生命経済研究所首席エコノミスト(後半)


前編

茂木敏充大臣に問う 経済再生・財政健全化・人づくり革命
秋元キャスター
「前半は、今月3日の内閣改造で経済再生や経済財政政策、社会保障・税一体改革、新内閣の旗印でもあります、人づくり革命の担当大臣として入閣された茂木大臣に、日本経済再生と財政健全化の道筋、その方策について聞いていきます。まず内閣府が今月14日に発表しました4月から6月期の実質GDP(国内総生産)の速報値、年率換算で4.0%増と高い伸び率を示しているのですが。まずは茂木さん、この実質GDP年率4.0%増、この数字をどう受け止められますか?」
茂木経済再生相
「率直に良い数字だと思っています。名目にすると4.6%まで伸びているという形でありまして。グラフにもありますように6四半期連続でプラスということになりまして、2015年の1-3月期以来、高い伸びになっていると。しかも、内需主導型という形で、消費、これがプラスの0.9%、さらに設備投資これはプラスの2.4%と極めて堅調な形だと、こんなふうに思っています」
反町キャスター
「これまで日本経済は、外需、外需と言われてきた中で、内需が非常に寄与度が大きかったというのは1ショットのものなのか、もう少し長期的な内需主導の基盤ができていると見ていいのか?」
茂木経済再生相
「直近で内需主導の成長になっていると、これを継続させていく、こういうことが極めて重要だとそんなふうに思っていまして。現在、非常にGDPギャップが縮まってきているわけです。つまり、日本経済が持っている潜在成長率、潜在成長率に近いところまで、MAXに近いところまできているわけですね。そうすると、今度は潜在成長率、言ってみると筋肉ですね、これを上げていくと、こういったサプライサイドの改革、これが必要だと思っていまして。人材の投資による人づくり革命とか、企業の生産性を上げる、さらには新しい未来投資戦略、成長戦略、これをやることによってサプライサイドを強化していくと。もちろん、デマンドサイドの問題はありますけれど、まずはサプライサイドと、こんなふうに思っています」

景気回復は本物か?
反町キャスター
「一方で、個人消費、内需主導と言うと個人消費の部分があると思うのですけれども、個人消費が伸びた、伸びたと言われている中でエアコンであるとか、耐久消費財の需要が買い替えのタイミングに当たったのではないかという話もあります。長雨で日照時間も短いので4-6は良かったけど7-9は落ちるよねという、先々に対する悲観的な見方についてはどう感じますか?」
茂木経済再生相
「まず賃金でありますけれども、我々が政権に戻って4年半が経つわけですけれども、春の賃上げ、4年連続で続いていまして、それが定期昇給だけではなくて、基本的には個人消費に1番直結するベースアップ、これが進んでいるわけですから、可処分所得は間違いなく上がってきている。そうすると、個人も家計も購買力が増えているということは間違いないのだと思います。それが消費の拡大につながっていくかということになると、現在デフレではない、こういう状況がようやくできてきているわけでありますけれども。たとえば、企業についても、本来であったなら、賃上げしていると、さらには生産のコストが上がったら、これを価格に転嫁をすると、値段を上げるのですけれども、なかなかずっとデフレが続いてきましたから価格を上げることについて慎重になっている、価格転嫁について慎重になっている。一方で、個人もそういったマインドはまだ完全には抜け切れていない、払拭できていないですから、どうしても買い控えとか、節約志向とか、こういったものに走っていますので。実際に、景気回復の実感をさらに強く持ってもらうことによって、個人も、また企業も良いものをつくったら値段が上げられる、個人も所得が増えたらそれを消費にまわすと、こういう状況をつくっていきたいと思っています」
反町キャスター
「どちらかと言うと、景気対策とか、規制緩和とか、そういう政策的な話ではなくて、極めて心の問題、叱咤激励、鼓舞するようなイメージ?どうなのですか?あとは心の問題だよという…」
茂木経済再生相
「実際に給与が上がってくる、名目賃金でありますけれど、そうすると懐具合が良くなって、そういった状況が続けば、良くなってきたのだなと。たとえば、1年だけですと、来年またどうなのかと思いますけれども、2年、3年と続いて、その上がり方も増えたりしたら、これは大丈夫だなという状況ができて、マインドも変わるわけでありまして。マインドを変えるためにはまず経済の実態を変えていく、こういうことが極めて重要だと思っています」

『財政健全化』への道筋
秋元キャスター
「6月に政府が発表しました経済財政運営の指針、いわゆる骨太の方針では財政健全化についてこのように書いています。『基礎的財政収支、プライマリーバランスを2020年度までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す』としているのですが、ちなみに、昨年は『基礎的財政収支について2020年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す』となっていました。茂木さん、『その後の』だったのが『同時に』と変わりました債務残高対GDP比、どういう理由から変わったのでしょうか?」
茂木経済再生相
「そこまで深い話というよりも、もともと安倍政権においては、財政…、経済再生なくして財政健全化なし、こういう目標の下で、1つは600兆円経済の実現、もう1つは財政健全化目標、2020年ですね。この達成、これを目指してきたわけでありまして。表現としては、その意味では、経済再生なくして財政健全化なしということで言えば、2017年の方が一般的にはもともとの方針のイメージには文章的には合っているのではないかなと思いますけれども。いずれにしても同時に財政、プライマリーバランスの黒字化と、それから、債務残高の対GDPより引き下げていくと、どちらかだけやるという話ではないですから、一緒に進めると。別に、片一方をやったら、片一方ができなくなるというよりも、どちらかと言いますと、両方が一対になって進んでいくものだと考えています」
反町キャスター
「これは、債務残高の対GDP比というのは、たとえば、債務残高が2000兆でGDPが500だとしたら4なわけではないですか、これが要するに、借金が減る、ないしはGDPが増えることによって、この4が3.9、3.8と下がっていくかどうかがポイントになるわけですよね?」
茂木経済再生相
「そうですけれども、もう少しわかりやすくすると、要するに、経済が良くならなかったら、税収が上がらないですね、税収が上がらなければ当然、債務というのは増えていってしまうということでありまして。ですから、経済再生、これが必要なのだということで、実際にこの4年間で税収、国と地方を合わせますと22兆円増加しているわけであります、政権交代前と比べて。今度は、借金の方はどうなりましたかと、新規の国債発行額、これは10兆円近く減ってきているわけですから。同時に経済が良くなることによって税収も上がりますよと、税収が上がれば、その分、借金の額、新規国債の発行分も減っていくということは実際にできているのだと思います」
反町キャスター
「この2つを同時に言うということは、両方同時にやるという意味ですか?それとも、どちらか1つをできればいいよという意味なのか?」
茂木経済再生相
「本来これは同時並行で進んでいくものだと思っていまして。ですから、そんなに大きな違いはないのですけれど、同時並行で進んでいくということで言ったら、文章のイメージとしては2017年、今年の骨太方針の方がやっていくことに近いのではないかなと思っています」
秋元キャスター
「一方、プライマリーバランスの状況がどうなっているのかと言いますと、内閣府の試算では、実質経済成長率2%以上の経済再生ケースでも2020年度のプライマリーバランスは8.2兆円の赤字とされているんです、極めて厳しい数字ですが、茂木さん、2020年度にプライマリーバランスの黒字化の目標をどう実現しようと考えていますか?」
茂木経済再生相
「まずこの目標については堅持をしていきます。現在の経済状況がどうかとか、財政再建の見通し、ここについて少し詳細な分析も行っていって、何が足りないのかと、改善するためのポイントは何なのかと、経済財政諮問会議でもこれからしっかり議論をしていきたいと、こんなふうに思っていまして。最終的に来年の中間評価、ここで目標のあり方ということは検討することになるのですけれど、まずはこの目標を達成する、こういうことを前提にしながら、議論を進めていきたいと思っています」
反町キャスター
「経済再生ケース、現在、比較的良い条件が整った場合でも8.2兆円と考えた時、野党の皆さんやエコノミストの皆さんに聞くと、これはほぼほぼ、いつどうギブアップするかだけの話だよと、そう見ている中で、旗はまだ降ろさない、一方で、今度は債務の対GDP比という別の物差しも同時ということで出してきた。そうすると、イメージとしては、どこかのタイミングでプライマリーバランスというのは残念だけれども、3年、4年先送りになるよね、でも、その代わり債務の対GDP比というものは確実に我々は改善してきたよという、こういう説明をいつか我々は聞くのだろうなと思っているのですが、これは間違いですか?」
茂木経済再生相
「おそらく、そういうふうにはならない、こんなふうに思っています。8.2兆円にしても、社会保障関係で構造的な改革を進める余地というのは十分残っていると、こんなふうに思っているわけでありまして。たとえば、PBの黒字化、が難しそうだから、こちらの数値に置き換えようということで…」
反町キャスター
「まさにそういう意味ですよ」
茂木経済再生相
「ええ、そうではない、こんなふうに思っていますけれども。まずこの2020年の黒字化目標、これを堅持したうえで、確かにギャップはありますけれども、これをどう埋められるかというのをまず検討したいと、こんなふうに思っていまして。それを前提にしながら、来年の夏に向けて、中間評価に向けて検討を進めるということで、現在の段階はそこまでですけれども。おそらくこちらが無理だからこちらの数字でということではないと私は思っています」
反町キャスター
「やるぞ、やるぞと、いつまでも言い続けるわけにもいかないですよね?来年の夏の中間評価で、2020年プライマリーバランス黒字化というものをどうターゲット設定として、もう1回、再評価するのか?ないしはあくまでもこれでいくのかという、そう言った時に、かえって日本の財政に対する信頼度が毀損するような懸念はないのですか?」
茂木経済再生相
「あの…」
反町キャスター
「やれないことをやると言っている意味ですよ、これは?」
茂木経済再生相
「まさにこれから経済財政諮問会議の、私が大臣になって、来月にそこでの初会合ということになるわけでありますけれど、そこからじっくり議論していきたいと思っていまして。おそらく半年ぐらい、議論にかかると思います。そこの中で何が足りないのかとか、ターゲットにすべきもの、ポイントになるのはどこか、こういったことも出しながら検討していくということですので。少なくとも、マーケットから見て、そして国民の皆さんから見て、中間評価の段階で理解をしてもらえるような形にはしなければいけないと思っています」

『人づくり革命』
秋元キャスター
「さて、安倍政権は新たに人づくり革命を掲げ、今回の内閣改造で茂木さんがその担当大臣に就任されたのですが。茂木さん、これまでも働き方改革とか、1億総活躍社会とか、看板政策と言われるものがあったのですが、人づくり革命が言葉だけだとわかりにくい気がするのですが、どういう意味が込められているのでしょうか?」
茂木経済再生相
「はい、人材投資、これによって生産性を上げて、これによって成長と分配の好循環をつくっていくと、こういった基本的な方針を示していまして。その中核になるのが、人づくり革命、今回の新しいテーマだと、こんなふうに考えているところなのですけれども。現在、日本が、これから我々が想像しないような変化に直面していくのだと思います。現在10歳の日本の子供達、平均寿命と言いますか、その子供達の2人に1人は107歳まで生きるんですよ」
反町キャスター
「えっ?」
茂木経済再生相
「107歳まで。107歳です、2人に1人が…」
反町キャスター
「はあ…」
茂木経済再生相
「80代ではないんですね」
反町キャスター
「107?」
茂木経済再生相
「そうすると、我々がこれまで考えていた人生のプラン、たとえば、22歳で大学を卒業して、そのあと新卒で就職をして、65歳で定年を迎えるということになると、43年間働くと、そのあと65歳ですから、107歳まで、42年間、老後を過ごすことになるんですよ。ちょっと42年間、老後を過ごすということはおそらくないと。健康寿命が延びているわけですから、もう少し40年という、仕事のプランではなくて、もう少し長いスパンの中で、場合によっては転職であるとか、いろいろな形で社会も変わっていきますから、自分がどう活躍するかということも考えていかなくてはならないと。これまでほとんどの人がこういった形で、教育を高校か大学まで受けて、就職をして、老後を暮らすということを一斉で同じような形でやったのから、ある時期、40歳の人が学び直しをすると、それによって転職をするということも出てきて、同級生を見ても仕事している人もいれば、海外でボランティア活動をしている人も、教育を受けている人もいると、2年後になったらまたそれぞれの人が違う立場になると、こういう人生の再設計というのが出てくるのではないかなと思っていまして。そうなりますと、たとえば、大学のあり方も変わるのだと思います。これまで若い人を相手に、18歳から22歳の人を相手に、一般教養を中心に、そういった教育を提供するということから、もっと実学に近いというか、40歳の人も、50歳の人についてもいろいろな教育をするということも必要になってくる、こんなふうに思っています。社会保障、これもこれまでは老後の面倒と言いますか、高齢者向けの社会保障と、これが中心になってきたわけですけれども、今後は全世代型の社会保障に、たとえば、子育ての支援もそうですし、幼児教育の無償化、保育の問題、こういったものも含めて、変えていくということで。この人づくり革命を通じて日本の社会のあり方、こういったものを見直していくということになるのだと思います」
反町キャスター
「ちょっとテーマを整理しましょう…」
秋元キャスター
「そうですね。5つテーマがあります。無償化を含む、教育機会の確保、高等教育の改革、人材採用の多元化・高齢者雇用、人材投資による生産性向上、全世代型の社会保障への改革ということですけども。まずはこの教育機会の確保、高等教育の無償化について、これはどういう具体策が考えられているのでしょうか?」
茂木経済再生相
「無償化につきましては、高等教育だけではなく、当然、全ての人に開かれたということでありますから、どういう家庭環境であっても、自分が学びたいと、進学したいところに行けるようなものをつくっていくということになりますと、幼児教育から始まって、高等教育まで含めて、どれだけ無償化を進め、負担軽減を進めていくかと、こういうことが出てきます。さらにある程度の年齢になった方が学び直しをしたい、リカレント教育をしたい、こういったことも含めて、さまざまな教育機会を確保していくというのが、1番目のテーマになっているのだと思います」
反町キャスター
「茂木さん、その話はスッと聞いていると、スッとなっちゃうのですが、大学教育だけでも3兆円から4兆円ぐらいの総出費になりますよね?」
茂木経済再生相
「はい」
反町キャスター
「所得制限とかを設けないで、完全な大学高等教育の無償化というのをビジョンに入れているのですか?」
茂木経済再生相
「まだそこまで決めているわけではありません。いろんな支援策というのはあると思っていますけれども、まさにこれを人生100年構想会議、新たに立ち上げることになるわけですけれども、総理をヘッドにして、私が代行を務めながらやっていくということに、おそらくなるのだと思いますけれども。そこで今、出していただいた5つのテーマを中心にしながら、おそらく民間の委員の方とか、有識者の方に入っていただきながら、議論をして、できれば年内には中間報告、来年には具体的な政策パッケージも含めた、1つの構想というのを打ち出したいと思っています」
反町キャスター
「高等教育の無償化について、まだアイデア段階だと思うのですけれど、こういう構想が伝えられているではないですか」
茂木経済再生相
「はい」
反町キャスター
「出世払い方式による教育国債という高等教育無償化の1つのパターンですけれども…」
茂木経済再生相
「はい」
反町キャスター
「この学生さんが学校に行きたいのだけれども、なかなか大学に入る金が難しいよという時に、政府が市場に教育国債を発行して資金を調達して、それを学生の代わりに学費を納入すると、学生さんはその学費によって勉強をし、卒業後、一定の所得水準になる、要するに、稼げるようになるまでは返済を免除されて、稼げるようになったら出世払いだよと、出世払いは響きがいいですけれども、こんなシステムのイメージ?」
茂木経済再生相
「誤解を招いてはいけないので、このため特別な教育国債といったことを発行するということは、少なくとも現時点では想定していませんけれども。現在、オーストラリア、ここでこういった制度を、HECS(ヘックス)と言うのですけれども…」
反町キャスター
「HECS?」
茂木経済再生相
「はい。Higher Education Contributions Scheme、高等教育、ハイアーエデュケーションのコントリビューション・スキームということで、ここにあるように、学生に無償で教育資金を提供して、その学生が仕事に就くと支払い能力というか、給料がたくさんもらえる人はその分を返してもらうと、満額返す人もいるでしょうし、そこまでなかなかうまくいかなくて、満額返せないという人も出てくる、満額以上返すことはないですね、オーストラリアの政府の…」
反町キャスター
「なるほど、人の分までは払わなくていい?」
茂木経済再生相
「そうです、ええ。そういう、オーストラリアの制度もあります。ただ、これだけではなくて、いろいろな方式が考えられると思うんですよ。そこの中で、無償化とか、教育負担の軽減ということは考えていきたいと思っています」
反町キャスター
「先ほど、茂木さんは実学と言いましたけれども、こういう形によって大学進学率が高まるだろうと思う一方、大学で勉強すること、したことというのが本当に…、いわば多少の政府負担分も出てくるわけではないですか、全部がきれいに返ってくるわけではないのだから。要するに、税金を使って大学に行きたいけれども、行けない人、行きたいと思っている人達をアシストするという制度は本当に日本の社会のためになるのかどうか?ここの部分ですけれど、大学教育が現在の日本社会において、僕、自分が勉強していなかったからそう言うのですけれども、大学を本当に出たことが日本のためになるのかどうか?国の税金を使ってまでやる意味がどこまであるのかという、大学に対する問いかけというのはどうなっているのですか?」
茂木経済再生相
「まずこれからは大学というものありきで考えるのではないんだと思います。つまり、18歳から22歳の人がその年代で大学教育を受けるということではなくて、場合によってはもっと早い状態で、仕事をいったんしてみると、それによって、もう少し20代になってから、学び直しをしたいというか、大学に入る、こういう人も出てくる。おそらくアメリカの場合、ビジネススクールに行ったりする人も、いったん就職をするんですね、大学院にそのまま行くのではなくて、いったん就職をして、より自分のキャリアアップをはかりたいということでビジネススクールに行って、また就職をする、こういうキャリアアップをはかっていくための手段であって。どうしても、しょうがないんですね、単線型で我々もやってきましたから。だから、大学は出るものだとか、若い人が大学に行くものだという発想自体を変えて、いろいろな年代に対して、いろいろな教育機会が出てくると。それをどう、ニーズが多様になっているのですから、大学の側も発想を変えて、もう学生と言われるのは18歳から22歳ではないのだと、15歳も場合によっているかもしれない、65歳もいるかもしれない、そういう人に対して1番、そのニーズに合った教育なりを提供していくにはどうしたらいいかという、こうしたことは検討してほしいと思っています」
反町キャスター
「一方、人材採用の多元化・高齢者雇用のところなのですけれど、これは、つまり、まさに言われた単線の部分というのを複線化する話だと思うのですけれども、でも、たとえば、終身雇用とか、年功序列とか、そういうものを壊すことが前提になっていますよね?」
茂木経済再生相
「前提にはしていませんけれど、おそらく結果的には壊れていくということで。現在は大学を出て就職をする、学生の側から。企業の側からすると新卒一括採用、その人達がある程度、定年近くまでいるという状況が一般的だったのですけれど、これが変わってくる。必ずしも、新卒は何歳ですかという定義がなくなっちゃうんです。つまり、大学に行く年齢も変わってきますから、新卒という定義もおそらく変わっていくのだと思います。途中で、いったん仕事を辞めて、大学に戻る人もいるということになりますから。いろいろな教育を受け終わった人、30歳でも、40歳でもそういった人を採用していかないとなかなか優秀な人間を、新卒だけというか、22歳、23歳の人だけをターゲットに待っていたら、採れないという状況が、企業の人事でも起こってくるのではないかなと思います」
反町キャスター
「そうなると、企業側にも決めてもらわないといけないのは、たとえば、定年をどうするのですかとか、採用の時の年齢制限、これはアメリカとか、絶対にないではないですか?採用時の年齢制限の撤廃とか、定年の撤廃とか、そういったものについては、政府は企業に対して働きかけていくことになるのですか?」
茂木経済再生相
「ここも柔軟性を持った制度にしていくということになりますけれども、当然、業種によって違いというのが出てくるのだと思うんです、こういったものは。それは業種によって、業種にもよりますけれども、そういったものを早目にとり入れた企業の方がおそらく良い人材が採れるような時代になっていくのだと思います」
反町キャスター
「そういう時代になる流れを待っているみたいに聞こえてしまうのですが、それに向けて、政府が定年や採用の年齢制限を撤廃した企業に対して何らかの褒賞、インセンティブを与えるという、そういう導入政策というのは出てくるものですか?」
茂木経済再生相
「まさに、第1回目の会議もやっていませんので…。ここから議論してと、そう思っていますけれども。少なくともそういった単線型のモデル、それぞれの人が、同じ年次の人は同じライフプランを歩んでいるということから、個々にテーラーメイドの人生設計、こういったものが出てくるのだと思っています」

TPPの行方
秋元キャスター
「アベノミクス3本の矢の1つ、成長戦略の柱としてきたTPPですが、アメリカの離脱によって、11か国による発効を目指す交渉が行われているのですが。茂木さん、現状と今後の見通し、どう見ていますか?」
茂木経済再生相
「先月、箱根でTPP11、アメリカ以外の11か国の会議がありまして、11か国でしっかり結束してTPPで合意をした高いレベルのルール、これをしっかりつくっていこうということで、相当、議論の進展、具体的な議論の進展があったと思っていまして、それを日本が議長国としてリードしたわけですけれども。来週から今度はオーストラリアで次の2回目の会合、これが開かれる予定でありまして、日本としても、オーストラリアともしっかり連携をしながら、さらに議論を進めて、11月のAPECの首脳会合で良い結果が出せるようにしたいと思っていまして。今週中にオーストラリア、それから、ニュージーランドの貿易大臣、私のカウンターパートとも電話でちょっと話をして、来週、豪州での11か国の会合、どう進めてようかと意見交換もしたいと思っています」
反町キャスター
「アメリカはどうなるのですか?来るのですか、来ないのですかという話ですよね?」
茂木経済再生相
「ええ…」
反町キャスター
「来なくても行くのですか、とこういう質問でもあるのですけれども」
茂木経済再生相
「TPP11、これができなければアメリカが戻ってくることはありません、それは。ですから、TPP11、これを進めるということが極めて重要だと思っていまして。それに対して、アメリカが現在、ネガティブな反応をしているわけでも何でもないですね。アメリカもおそらくこれから世界の中で、日本・アメリカを含めた自由主義、この主要国というのが、21世紀型の新しい投資とか、知的財産、いろいろなルールをつくっていく、この主導役を日本もそうですけれども、アメリカも担わなければいけない。こういうことについて、認識は一緒なのだと思います。TPPについてトランプ大統領をはじめ、これは選挙でも約束をしたことですから、離脱を表明しているわけですけれども、日本としてはそういった21世紀型の貿易ルールや投資ルールをつくっていくということについて、アメリカは主導的な役割を担うのでしょうということについて、同じ考えです。同時に、アメリカは、テクノロジーの面でもそうですけれども、世界で1番進んでいる国ですね。そうすると、このTPP、こういった経済連携に入ることが結果的にはアメリカの経済、さらには雇用にとってプラスになるのだということを粘り強く話していきたいと思っていますが。まずTPP11がまとまらなかったら、アメリカの復帰はないです」

茂木敏充 経済再生担当大臣の提言 『3つの変化への対応』
茂木経済再生相
「今日の議論の中でもお話申し上げたのですけれど、1つはテクノロジー、これが大きく現在、変化をしていまして、人工知能とか、IoT(モノのインターネット)、こういった第4次産業革命、さらにはソサエティー5.0の時代、世界に先がけた成長戦略をつくっていくうえでは、これが1つの変化だと思っています。もう1つは、お話したTPPも含め、経済社会がグローバル化をしている、こういった中でTPP、日EU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)をはじめ、21世紀型のルールづくり、これを日本が主導していきたい。3つ目の変化は、まさに人生100年時代ですよ、107歳ですよ、こういうその変化が起こっているのに対して、教育をどうするのだ、雇用の制度をどうするのだ、社会保障をどうするのだと、こういった改革を進める、この対応をしていくということです」


後編

日本経済の現状と課題 エコノミストの分析は…
秋元キャスター
「ここからは記録的な長雨が日本経済に与える影響について話を聞いていきます」
反町キャスター
「永濱さんから見て、日本企業というか、日本経済、賃金への分配率は低いのですか?」
永濱氏
「低いですね」
反町キャスター
「低い?」
永濱氏
「低いです、はい」
反町キャスター
「これは企業の全ての収入の賃金に対する分配率が低い、なおかつ企業内留保が400兆という、この状況はどう感じているのですか?」
永濱氏
「実は国際比較で企業の貯蓄超過というのを、日米欧で比較すると…」
反町キャスター
「貯蓄超過?」
永濱氏
「貯蓄超過額。だから、普通、企業というのは、一昔前は投資超過でお金を銀行から借りて投資をするというの当たり前だったので。2000年代以降は先進国も皆、貯蓄超過になっちゃっているんですね」
反町キャスター
「日本だけでなくて?」
永濱氏
「日本だけでなくて。ただ、その貯蓄超過幅を見ると、GDP比で見ると圧倒的に日本が高いですね、足元で。それはまさに先ほど出ましたけれど、デフレマインドが長期化したことによって、投資であったり、たとえば、人への分配とか、そのへんがかなり慎重になってしまっているというところはあるのだろうと思います」
反町キャスター
「永濱さんを当番組に迎えて、もう7年も8年も経つ気がするのですが、デフレマインドからの脱却、デフレマインドからの脱却と、ずっと聞いているような気もするのですが…」
永濱氏
「はい」
反町キャスター
「7年、8年経っても脱却できていないのですか?」
永濱氏
「はい。それはなぜかと言うと…」
反町キャスター
「そこですよ」
永濱氏
「要は、それなりに、特にアベノミクス入って、3本の矢で特に金融政策がかなり効いて、かなり良い方向にはいったのですけれども、だいたいこれまでの日本の政策を見てみると、そこそこ良いところにいくとすぐ引き締めちゃうんですよね。だから、今回のアベノミクスであれば、2013年から金融政策で好循環が進み始めたと思ったら、いきなり1年後に消費税を3%も上げちゃったわけですね。これが財政の足を引っ張っちゃったわけではないですか。本格的にデフレマインドが払拭するまで、私は金融も財政もマイナス、足を引っ張っちゃいけないと思うんですよね」
反町キャスター
「そうすると、先ほど、ここで言っていた2020年プライマリーバランスなんたらかんたら8.2兆がとか、あんなもの全然気にしない?」
永濱氏
「気にしなくていい」
反町キャスター
「とにかく進めと?」
永濱氏
「はい。政府残高債務GDP比が上がっていなければ、私はいいと思います」
反町キャスター
「その話ですよね?政府のあの話というのは2020年のプライマリーバランス達成と同時に債務のGDP比の減少という、この同時にと入ることによって、2つ条件を並べて、どちらか1つできればいいやと保険をかけ始めていると見るのが正しい?」
永濱氏
「と言うか、本当の最終目標というのは、政府債務残高GDP比さえ下げればいいんですよ。それを、要は、政府債務残高GDPの上昇が止まる条件というのが、ドーマー条件というのがあって、1つは、プライマリーバランスをニュートラルにするのと、もう1つは名目成長率を国債の利回りも上げるということですね。でも、今って、日銀が国債を大量に買っているので金利が低いではないですか。そういう状況であれば、実は政府債務残高GDP比はもう上昇は止まっているんですね」
反町キャスター
「そういう意味で言うと、2020年プライマリーバランス黒字化というのは、これは民主党政権の時につくった話で、その頃、クロダノミクスになっていない金融の大緩和が起きる前の目標だから、既に前提条件が変わっているから、それにいつまでもこだわる必要はない?」
永濱氏
「そうですね」
反町キャスター
「でも、そういう人はあまりいないですよね、街中に…」
永濱氏
「そんなことないです」
反町キャスター
「そんなことない?」
永濱氏
「はい」
反町キャスター
「そんなことないですか?」
永濱氏
「その当時の…」
反町キャスター
「その看板はもう捨てていいよという話になっているのですか?」
永濱氏
「捨てていいと思いますけれど、私は」
反町キャスター
「そうなのですか?」
永濱氏
「いや、そもそも過去、民主党政権の時にあった1つの理論というのは、要は、長期金利の水準が名目成長率をずっと下回ることは難しい、いつかは、上回るという話があったのですけれども、現在、世界中を見ても、もうかなり長い間、下回っていますよね。だから、それは必ずしも、必ず上回るというわけではないと思います」
反町キャスター
「政府が永濱さんみたいな筋道で、2020年プライマリーバランスはチャラ、前提条件が変わったからやめ、債務残高の対GDP比だけで我々は勝負しますとスッキリ言えない理由は何ですか?」
永濱氏
「それは、現在、プライマリーバランスの見通しもまだ8.2兆円マイナスと言っているではないですか、でも、民主党政権の時からのずっとこの見通しが改訂されているのを見ると、ずっと改善してきているんですよ、これでも」
反町キャスター
「なるほど」
永濱氏
「だから、名目成長率が順調にいけば、私はこれよりも縮小すると思いますし、逆に言うと、たぶん国債市場が…、と話があると思うのですけれども、実際に国債市場で、これを達成できると思っている市場関係者がどれだけいますかという話ですね」
反町キャスター
「あまりいないですよね」
永濱氏
「でも、現在、全然、国債市場…」
反町キャスター
「ブレていない…」
永濱氏
「…ですよねということだと思います」

『長雨の夏』 日本経済への影響は?
秋元キャスター
「さて、ここのところ、雨が続くなと思っている方、多いと思うのですけれども。それが日本経済にどういう影響を与えるのかということを見ていきたいと思います。東京の雨、今日はまだ、ここまでのところ観測されていないのですけれども、8月に入って昨日までで21日間連続で雨が降っています。これまでの8月の東京の長雨記録が1977年の22日間で、今日このあと雨が降れば、タイ記録ということになるんです。年間の東京の長雨記録は1954年6月19日から7月20日までの32日間、全国では青森で2004年11月23日から2005年4月1日までの130日間という記録があります。永濱さん、夏休みでも雨だと出かけるのをやめようかなという気になっちゃいますけれども、この長雨が日本経済に与える影響、どういうことがあるのでしょうか?」
永濱氏
「はい、大きく3つのポイントがありまして、経済を押し下げるのですけれども。1つ目が、夏物商戦への悪影響ということで、たとえば、夏に売れるものと言うと、ビールとか、飲料とか、エアコンとか、夏物衣料とか、こういうのが売れなくなっちゃうというのがまず1つ目ですね。2つ目が行楽客の人出減少ということなので、そもそも雨が降れば外出しにくいので減るのですけど、特に夏の場合は海水浴とか、プールとか、こういったところの人出が減っちゃいますと、そういったレジャーだけではなくて、たとえば、目薬とか、日焼け止めとか、関連するようなところにも悪影響が出てくるというところでマイナスになります。3つ目が何かと言うと、長雨で日照不足になると、農作物の被害が出ますから、もう既に足元で野菜の値段が上がったとか、しているではないですか、この影響で、値段が上がると人々が消費を控えますから、これが経済に悪影響という形で結構、影響は大きいと思いますね」
反町キャスター
「金額的な、今年この8月、雨がずっと続く中で、トータルで何千億円とか、何兆円はすぐには出ないのでしょうけれども、先々出てくるもんなのですか?長雨、冷夏による経済ダメージは?」
永濱氏
「はい、結果が出てくれば計算できまして、どうして計算できるのかと言うと、こちらのパネル…、データがありまして。これが夏の日照時間の、7-9月の、日照時間の前年比のグラフが赤色で、夏の7-9月の家計消費の前年比が水色です。これ見ていただくとわかります通り、特に2000年代半ば以降ですか、非常に密接な関係があると思うんですね。これを統計的に処理をすると、夏の日照時間が1割減ると平均して夏場の個人消費が0.4%減る、そういう関係性があります」
反町キャスター
「はあ…」
永濱氏
「はい。それで計算すると、平年からの比較か、前年からの比較かで、ちょっと金額が変わってくるのですけれども、たとえば、前年からの比較で言えば、幸い今年は、7月は天気が良かったんですね」
反町キャスター
「良かったですね」
永濱氏
「ええ、これでこの関係から計算すると、個人消費を2100億円ぐらい押し上げているということになるのですけれども」
反町キャスター
「へえ」
永濱氏
「ただ、今回8月の3分の2ぐらいが長雨ですね。特に東日本で6割ぐらい日照時間が少ないという。仮にその3分の2がその影響で、これから元に天気が戻るとしても、それだけで3200億円ぐらい消費がマイナスになっちゃいますから。ネットでマイナス1000億円以上、損失がたぶん出るということになりますね」
反町キャスター
「4-6月の4%というのは、7-9月はどう考えても買い替え需要にたまたま当たりましたというのに加えて、今回の雨の部分を入れると良いわけがない?」
永濱氏
「そうですね。今回と結構似ている最近の事例で言うと、2003年がこの時も結構、冷夏で日照時間が少なかったのですけれど、消費マイナスになっているではないですか?」
反町キャスター
「ガクンと落ちていますね」
永濱氏
「まさに、2003年の4-6月というのが年率換算で3.7、3.8%成長したんですね。だから、今回の4%に近い成長をしたのですけれど、7-9月がここにある通り、前期比で見てもマイナスになったので、一応成長は、プラスは維持したのですけれど、3.8から1.7に成長が、半分以下に減速しましたから。今回、そうは言っても7月は良かったので9月がどうなのかということですけれども、減速はたぶん間違いないかなと思いますね」
反町キャスター
「日照不足とか、冷夏は心理的な影響みたいなものもあるのですか?」
永濱氏
「間違いなくありますね、はい。これが消費マインドのデータですね」
反町キャスター
「日当たりによって消費マインドが変わるのですか?」
永濱氏
「変わりますね、はい。先ほどの景気の実感という話と、茂木大臣のところでお話があったのですけれども、結構近いと思うんですね、景気の実感に。消費者態度指数と言って、たとえば、収入の増え方とか、暮らし向きがどうだとか、雇用環境がどうだとか、耐久消費財の買い替え・替え時判断がというのを見てこういったデータが出るのですけれども。実は冷夏で日照不足が激しかった時というのが、前回が2003年の時ですけれども、その前が1993年の、いずれも消費マインドがかなり落ち込んでいるんですね。特に影響が大きかったのが1993年でして、この時、実は景気の判断にも影響を与えたんですね、冷夏が。どういうことかと言うと、この1993年というのは1990年以降、バブル崩壊でずっと景気が悪かったのですけれども、1993年の頭ぐらいになって経済指標が良くなってきたので、1回政府が景気底入れ宣言を6月にしたんですよ。したのだれけど、そのあとに、あの時はもう夏が来ないで梅雨から秋になっちゃったという、そういう酷い時で、かなり消費が落ち込んだので、政府がいったん景気底入れ宣言を間違っていましたと取り下げたんですよ、という大きな影響ですね。2003年、この時は下がっている、実は冷夏が起きるのとちょっとあとですけれど、この時に何があったかと言うとイラク戦争…。こういった地政学リスクの時も消費マインドは下がるではないですか。下がってそのあとにイラク戦争が早期で終わって、りそな銀行への公的資金の注入が入ったことで株が上がったということで上ったのですけれども。今回の状況を見ると、長雨のこともそうだし、北朝鮮の問題で地政学リスクが出てきているではないですかということを考えると、結構、7-9月の消費マインドは既に実は4~6で若干下がっているんですけど、ちょっと心配だなという気がしますね」