プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年8月21日(月)
小野寺防衛相に生直撃 『日米2+2』舞台裏

ゲスト

小野寺五典
防衛大臣 自由民主党衆議院議員
森本敏
防衛大臣政策参与 元防衛大臣
武貞秀士
拓殖大学海外事情研究所特任教授

米韓合同軍事演習 今日開始 反発・北朝鮮の動向は?
秋元キャスター
「北朝鮮によるグアム近海へのミサイル発射計画の発表など、朝鮮半島情勢が緊迫する中、今日から韓国では米韓合同軍事演習が始まりました。アメリカの行動を見守るとしていた北朝鮮の金正恩委員長はこの軍事演習に対してどのような対応に出てくるのか。今後の朝鮮半島情勢についての対応と日米の防衛政策についてじっくり聞いていきます。今日から米韓合同軍事演習が始まり、これに対し朝鮮労働党機関紙の労働新聞が今日の記事でこのように書いています。『無謀な戦争のシナリオを実行しようとするアメリカの策動は平和に対する挑発に他ならない。アメリカが核の戦略兵器を動員すればするほど、我々は、選択した核部力強化の道がいかに正々堂々たるものかを実感し、核開発の道を前進していく』と、このように反発の姿勢を見せているのですけれども。武貞さん、北朝鮮側のこの記事、4面に出しているのですが、今回の合同軍事演習に対してどのように見ているのでしょうか?」
武貞特任教授
「まず1面ではなくて第4面というのは意味がありますね。こういう時に、初日ですから1面に出してもよいということで、敢えてアメリカに何か秋波を送るようなニュアンスで4面に書いたと思いますね。それから、文面も抽象的ですよね。核兵器云々ということについて、自分の立場を正当化するような、せざるを得ないという、抽象的なこれまでの議論を掲載しただけですよね。8月14日に金正恩委員長は暫くアメリカの行動を見守ると言ったんです。これはまさに8月21日からの米韓合同軍事演習、できれば縮小して、やめてちょうだい、延期してねというニュアンスも含めて言ったはずなのに、その初日にこれですよね。つまり、相当トーンダウンし、アメリカと真っ向勝負でやるというわけではありませんよと。本来、今日、もっと厳しい具体的な、これ以上続けたら、2日目以降、予定通り続けるのであれば、何が起きるかわからないよと北朝鮮らしき言葉で言うはずですけれど。この文言、相当、北朝鮮、無理しながら、アメリカに秋波を送っているなという印象を私は受けました」
反町キャスター
「どういうことですか?ここに至るまで繰り返し述べてきた、やったら何が起こるかわからないぞというアメリカ側からの圧力がちゃんと効果がある?」
武貞特任教授
「効果があったと思いますね。グアム島の領海の中ではなくて、近くに落とすと北朝鮮が言ったのに対して、トランプ大統領はグアムに向けて撃ったらと、領海内か外かという区別をしないで、グアムの方向に火星12を撃ったら、あなた方は大変なことになりますよと言って、撃つこと自体を非常に牽制したわけです。それが効いたわけですよね、恐れをなしてしまった、北朝鮮が。言い換えれば、短い射程のSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)等は、撃つ可能性もまだ残っていると見なければならないですね」

『緊張』朝鮮半島情勢の今後
反町キャスター
「小野寺さん、2プラス2において、武貞さんが言われたみたいに、アメリカ側が言葉だけではなくて、実際に空母を展開し、さまざましてきたこと、その圧力が功を奏しているのかどうか?当然その評価がやりとりの中であったと思うのですけれども、アメリカ側の北に対する自己評価はどうだったのですか?」
小野寺防衛相
「いずれにしても、トランプ政権になりまして初めての2プラス2であります。さまざまな意見を交わしてきましたけれども。前のオバマ政権の時は、北朝鮮に対しては戦略的忍耐ということで、比較的どちらかと言うと見守るみたいな雰囲気があった中で、トランプ政権になって全ての選択肢はテーブルの上にあるということで、しっかりとした発言をして。その中で私どもとしては北朝鮮に一定のメッセージを送っている行動をずっとやっているのだという評価をしていますから、そういう意味で、何らかの北朝鮮に対してのメッセージが届いて、北朝鮮がそれなりに自制的な行動をとるということは、これはもう歓迎したいと思うのですが。ただ、まだ演習が始まったばかりです。これから、さまざまな演習の中で北朝鮮の出方がどうかというのは、私ども油断をしないでしっかりと見ていきたいと思います」
反町キャスター
「森本さん、いかがですか?効果上げているのですか?」
森本氏
「いや、効果を上げていると言うよりか、むしろ14日、金正恩氏…」
反町キャスター
「アメリカの出方を見ると…」
森本氏
「…アメリカの出方を少し見守ると言っているわけですから、アメリカがどう出てくるかなと、ということをじっと見ているんですよ」
反町キャスター
「なるほど」
森本氏
「あまり上乗せして北朝鮮が過激な挑発活動をやると、もしかしたら北朝鮮に投げてくるかもしれない何らかの対話のラインが途切れる可能性があるので、むしろ…」
反町キャスター
「軍事的な何かが怖いのではなくて、対話のチャンスを逃したくない?」
森本氏
「それはそうです。ボールは、北朝鮮から見るとボールはアメリカの方にあると見ていると思うんですよ。見守るということは、グアムに撃つと言っておきながら、じっと見守っているわけですから、アメリカの出方を見ているのにこの演習が始まるからといって、新しいメッセージを出すと、自分達の思惑が途切れてしまう可能性があるので。ボールはむしろアメリカ側にあって、アメリカがどう対応するかを引き続き見守っているという状態に変わりはなく。だから、武貞さんがおっしゃったように非常にトーンを低くして、抑制の効いた状態でアメリカ側の反応をじっと見ていると」

小野寺防衛相『日米2+2』 日米同盟の深化と課題
秋元キャスター
「今回の日米2プラス2では、安全保障及び防衛協力の強化ということで、これらのポイントが確認されたのですけれども。まず役割・任務・能力の見直し等を含め、日米同盟をさらに強化する具体的な方策及び行動を立案する。アメリカの拡大抑止が果たす不可欠な役割を再確認し、日本の安全・アジア太平洋地域の平和と安定の確保への関与を深めるということでした。こうした目的のために、日本は日米同盟における日本の役割を拡大し、防衛能力を強化すると。陸上設置型の迎撃ミサイルシステム、イージス・アショア導入に向け協議を開始する。アメリカ側は最新鋭の能力を日本に展開することに引き続きコミットするということになっているのですが。小野寺さん、この日本側の日米同盟における日本の役割を拡大ということがあるのですけれども、現状の日本の役割では足りないですとか、そういう話はあったのでしょうか?」
小野寺防衛相
「安全保障環境は厳しくなっています。そういう中で当然、日米でこの東アジアの安定をもたらすということで、米側も、たとえば、リバランスということでイージス艦を増艦してくれたり、いろいろなことをやっているのですが。日本は日本で何も現在のままでしなくていいのかと言うと、たとえば、日本の中では警戒監視でさらにいろいろな能力を発揮するようなことができて、これが日米でシェアリングできれば、アメリカ側の負担が減る部分があるだろうとか。おそらく日本として現在の専守防衛のやり方の中でやれることがたくさんあるのだろうと、こういうことは協議をして何を分担したらいいかというのは必要だと思います。あくまでも日本の場合には、警戒監視を含めた現在の専守防衛の中で日本ができる役割ということになります。もう1つ、そこにイージス・アショアと書いてあるのですが、イージス・アショアを中心とした、ということが正確な意見ですよね、決め打ちではありません。これはむしろ日本独自の問題でありまして、これを入れることによって米側の防衛能力が高まるということが前提ではなくて、あくまでも日本の防衛に資するということでイージス・アショアを中心とした新たなアセット、防衛能力を私どもとしては整備をしたいと、これは自民党の提言もありますし、政府もそういう方向は検討していました。その中で当然、アメリカからこの装備も実際導入する場合には協力が必要なので、そういう協力をお願いできるかと。最終的には予算も伴う問題ですから、これは私ども予算要求の中でちゃんと組み込んで、国会の議論の中でご予算を認めていただくかどうかを見て、初めて前に進めるものなのですが、ただ、前提はまずアメリカ側から協力がないと一歩も踏み出せないものですから、今回はこういうお話をさせていただきました」

『イージス・アショア』 展望『日本のミサイル防衛』
反町キャスター
「今回、日米2プラス2においては、イージス・アショアをアメリカ側から提供しますよという話、合意・賛成を得たということでよろしいのですか?手続きは、あとは日本側の国内の問題だけになったという理解でよろしいのですか?」
小野寺防衛相
「私ども細目はおそらく、ちゃんとそれぞれ文書で交わすとか、アメリカの中でも手続きがありますから、それをやっていかないといけないとは思いますが、一応、今回の政治レベルの中では協力をするということはいただいていますので、これをあとは事務レベルでしっかり詰めていくこと。ただ何よりも、予算が伴う内容ですから、これは予算要求の中に入れて、国会でのご理解をいただいたうえで初めて進めますので、1つ、1つ段階を踏んでいきたいと思っています」
反町キャスター
「1セット800億と書かれているのですが、だいたいそのぐらいの値段のものなのですか?」
小野寺防衛相
「ちょっと予算については私ども、ここで詳細に、これから詰めないとわからないと思いますが、実際、たとえば、日本のイージス艦船にこれまではイージスの部分を積んでいます。ですから、そういう意味で、これまでは船の予算も必要、さらに載っけるイージスの装備も必要ということで、イージス艦自体がかなり高額になっています。イージス艦というのは船ですから、実は現在、365日24時間対応するためには船ですから整備もあれば、給油も要ります、そうすると、相当こうやり繰りをして必死になって対応をしている。そういうのが現場の声だとすると、ある程度、従前になかった24時間365日態勢で防衛をするためには、むしろこの装備を、たとえば一部、陸上に展開した方が、かえって安定した運用ができるのではないか。それがイージス・アショア・タイプということになりますから。むしろイージス艦よりは、その一部のところが陸上配備ということになりますので、むしろ予算に関してはより…」
反町キャスター
「安くなる?」
小野寺防衛相
「ええ、割安感がありお得だということで。同じミサイル防衛をするのであれば、陸上に置いた方が、そこで働く隊員の負担も軽減されるし、言ってみれば、船は要らないものですから、そういう面で効果的ではないかと思っています。ただ、あくまでイージス・アショアを中心にという言い方をさせていただいて…」
反町キャスター
「それはどういう意味ですか?中心にというのはイージス艦による海上展開であるとか、PAC-3であるとか、他のものも全部含めて、という意味で言っているのですか?」
小野寺防衛相
「現在、ミサイル防衛で実際に運用されているものと言えば、イージス・アショアもあれば、陸上配備型のTHAADもあります。こういうことを、最終的には日米協力の中でどれがいいかというのは、防衛省の中で決めて、予算で乗せるわけですから、そういう中では一応、言い方はイージス・アショアを中心にという言い方にしています」
反町キャスター
「日本全土を2基でカバーできるというのは技術的にそういうものなのですか?」
小野寺防衛相
「これは最終的に専門家が決めることだと思いますが、少なくとも現在のPAC-3とか、それから、THAADミサイルよりは、かなり高いところで撃ち落とすので、より広い範囲を守れます。そういう意味では、そんなにたくさんなくてもある程度、日本全国を守れる、そういう装備だと思います」
反町キャスター
「森本さん、2基で日本全土をカバーできるイージス・アショア、評価をまず聞きたいのですけれども」
森本氏
「2基、たとえば、仮に固定のイージス・アショアがあれば、最低まず2基で日本全土のミッドコースの防衛ができると」
反町キャスター
「ミッドコース…、ごめんなさい、図を出すのを忘れていました」
森本氏
「中間段階ですね」
反町キャスター
「ミッドコースというのは、撃ち上げてこの黄色いあたりですよね?」
森本氏
「中間段階…、そうですね。ミッドコースに対応できるシステムが、まず最低限あるので、多数撃たれた場合に、艦艇を重要なところに持っていけると、より運用が柔軟になりますよね。だから、撃たれる、つまり、相手のミサイルが同時多数であったり、あるいは特定の目標に集中したりした時、まずベースは固定のイージス・アショアで対応し、艦艇を柔軟に運用できるという、運用全体が重層的になるので、それはミサイル防衛そのものの信頼性がより高くなるということですが。それに必要な経費がかなり他のシステムと比べれば効率的に価格を設定できるということなので。ミサイル防衛システム全体の多装能力というのか、重層的な対応能力を考えると、この選択は非常にコストパフォーマンスがいいというか、費用対効果が非常に高いと考えてよいのではないでしょうか」

日米同盟で臨む対『北』戦略
反町キャスター
「今回の2プラス2においては日米同盟の関係上、グアムに飛んでいくミサイルが日本上空を通過する時、日本はこういう行動をしてほしいというような要請、ないしは向き合い方、話し合い、どんなものが行われたのですか?」
小野寺防衛相
「これは詳細については、特に私どもはお話できませんが、基本的にアメリカは自国を自国で守るというさまざまな装備も持っていますし、そういう気持ちもありますので、基本的に、たとえば、自分のところに来た場合には自分のところのさまざまなアセットでそれをしっかり食い止めるということは常に準備をしているのだと思います」
反町キャスター
「そうすると、この間番組にお迎えした時にもこの話をやりましたが、日本の自衛隊がミサイルに対する迎撃オペレーションに入るためには、まずアメリカ側が攻撃を受けたという認定をして、アメリカから日本に対して要請が来て、それを受けて日本側も存立危機事態かという認定をしたうえで、それから、初めて迎撃態勢がとれると思うのですけれども、この流れを考えると、まずアメリカは自前で対応するつもりがあるということは、日本に対して協力要請はこないということですか?」
小野寺防衛相
「それは全体の事態を考えて想定するものだと思いますので、たとえば、今回のような北朝鮮の言葉を信じれば、グアムに対して4発を発射し、数十kmのところに落とすと、グアムの。こういう話であれば、言ってみれば直接の攻撃ではありませんし、領海内でもなければ、領土でもないということであります。ですから、そういうことに関して、これは北朝鮮とアメリカが完全に戦争状態になって、アメリカが攻撃を受けているというふうにはまだ想定されません。そういう場合、おそらく存立危機事態の3要件には当然あたりませんしアメリカ側もそうだと思っていますので、そういう時、3要件を考えれば、3要件にはあたらないということだと思いますが。ただ、今後、さまざまな事態が変わってきて、本当に全体の事態認定をした中で、これは万が一の場合は日本の存立危機にあたる、3要件に該当する場合には、それはこのグアムの事例とは別に、一般的にその3要件で対応するということになると思います」
反町キャスター
「その3要件、言葉が難しいのであまり細かくできないのですけれども、要するに、我が国に関係のある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命云々かんぬん…根底から覆される明白な危険というのが、これが前提ですよね。でも、第一義的には先方からの、我が国と密接な関係にある他国からの要請が先ですよね?それを受けてからということになると、これはミサイルが通過する時にはもう終わっている話ですよね?とりあえずグアムに関しては」
小野寺防衛相
「ですから、先ほどからお話しているように、たとえば、今回の北朝鮮が言っていることを信じれば、グアムの近海に落とすということですから、これはアメリカとしても特に武力攻撃にあったと現在の時点で考えるわけではないと思います。ですから、その時点で当然、日本に要請することはないと思いますが、グアムと限らずに全体の事態認定の中で、これは完全に戦争の状況にあって、アメリカが、たとえば、どこかからアメリカが攻撃を受ける、同じようにその国は日本に対して攻撃の意図を持っている、日本の防衛というのは来たものは防ぐという防衛ですが、最終的に来た元を断つ、あるいは相手に対して2度とそういう攻撃ができないような、いわば反撃力は、米側がこれを全部行うことになっています。とすれば、米側がその反撃力を行使できないような状況になれば、次に日本は攻撃されるがままになります、そうすると、これは日本の存立に明確に危険が及ぶということですから、他に、たとえば、代替がない場合は3要件に該当する中で事態認定をして存立危機事態となる可能性もあるということです」
反町キャスター
「小野寺さん、大臣になる前に自民党でまとめられた敵基地攻撃能力の話ですけれど、それは今回の2プラス2においては意見交換の材料にはされたのですか?」
小野寺防衛相
「これは、私ども、自民党の中の提言ということで、より抑止力を高めるためには日本もそういう能力を持った方がいいのではないかということで提言をしましたが、総理は明確に現在はそのような予定はないというお話をされています。と言うことは、総理がそういうスタンスですから、それを受けて私は、今回2プラス2に臨んでいるので、その場でそういうことを言う必要はないのだと思います」
反町キャスター
「先方から期待感の表明とかはなかったのですか?」
小野寺防衛相
「これは当然、2プラス2のティラーソンさんも、マティスさんも、日本の安全保障の問題、日本の憲法をよく知っていらっしゃいますから当然、その枠内での議論ということになります」
反町キャスター
「要するに、マティスさんから、小野寺さんが大臣になる前に自民党で提案された敵基地反撃能力、アメリカとしても検討したし、期待もしているんだよみたいな発言は、あったのですか?なかったのですか?」
小野寺防衛相
「残念ながらたぶんマティスさんは私が自民党の中で、安全保障の委員会の中で、そういう提言をまとめたというところまではもしかしたら認識していないのかもしれません」

金正恩委員長『真』の狙い 対話の可能性と条件
秋元キャスター
「今月6日、マニラで行われていたASEAN(東南アジア諸国連合)閣僚会議で、河野外務大臣は『北朝鮮の外相と立ち話で話す機会があったので、日朝平壌宣言に基づいて拉致・核・ミサイルを包括的に解決するというのが日本の立場だということを伝えた』と、北朝鮮の李容浩外相と立ち話をしたということを明らかにしました。後日、これに対して北朝鮮側は『対話をしたい』との意向を伝えたと報じられているのですが、武貞さん、北朝鮮側の狙い、意図は、アメリカとの交渉に向けて日本に橋渡し役になってもらいたいと、そういうことなのでしょうか?」
武貞特任教授
「米朝会談が実現するように、日本に橋渡ししてくださいと言うことは、100%ないでしょうね。現在はアメリカを交渉の場に引っ張り出す、そのすぐ手前まで来ていると彼らは思っていますから、日本の世話にはなりたくないよと思っているでしょうし、日本の出番ではないよと思っていると思うんですね。ただ、河野大臣のこの言葉、拉致・核・ミサイルを包括的に解決するという時に、日朝平壌宣言、2002年9月です、小泉総理が平壌に行った時の、この宣言に基づいてというのは、非常に彼らは好感をもって受け止めたと思いますね。一貫して、毎日のように労働新聞で報道しているのは、日朝平壌宣言に基づいて拉致の問題には言及していませんけれども、国交正常化を目指してということを最初に文言を入れていますから、日朝平壌宣言というのはですね。とにかく拉致とか、そういったことはできるだけ小さく小さく扱いながら、日朝国交正常化、経済支援というふうにもっていきたい、日朝交渉をやりたいです、やりたいですというのが、彼らの想いですよね。それを新しい外務大臣がこういう形でおっしゃったということで、彼らは歓迎している。で、日本も拉致というのは昨年の2月に拉致問題に関する特別調査委員会を北朝鮮は解散をしましたよ。日本があまりにも政治的にこれを利用し過ぎているということを言って、解散しました。私は昨年の11月、北朝鮮外交の前責任者の李洙墉前外相と3時間半、懇談をしました。その時に日本にとって拉致問題がまだ残っていますと、拉致問題について、あるいは核・ミサイル問題について、日本と北朝鮮は見解が違います、立場が違います、そういう意味でも日朝の対話というものが必要ですねと申し上げました。外交の総責任者、現在は北朝鮮の国会にあたる最高人民会議外交委員会の委員長であり、労働党の中央委員会の副委員長でもある人が、決して否定はしなかった。そういう意味で、彼らの立場は、日朝関係、打開をしたいなという気持ちで一貫をしていますよね。ですから、決してブレはないと思うんですね。ただ、それは拉致の問題を前面に出して解決をしたいという日本の立場、あるいはこれまで誠意ある、拉致の問題の調査報告書が出なかったということについて日本は非常に不満ですね、そういうところはあまり耳を傾けてくれないというところで立場は相当違っています。でも、対話というものについては、日朝はそれほど大きな違いは、私はなくなりつつあるのではないかなという印象を持ちます」
反町キャスター
「日朝平壌宣言をベースにして、それを起点にもう1度、話し合いをと河野さんがもっていって、それに対して北朝鮮側もそれは我々も考えるところだよという趣旨の話をしたとすれば、北朝鮮から見た時に日朝平壌宣言の中におけるいくつかの部分というのは日本が既に反故にしていると思っている部分がたくさんあるわけではないですか。それは在日朝鮮人の待遇の問題とか諸々、全部含めて。向こうにしてみたら日朝平壌宣言の趣旨を壊したのは君達だろう、北朝鮮は北朝鮮なりの言い分がある。日本は日本で逆のことで言い分がある。日朝平壌宣言をベースにしてもう1回、話し合おうということ、先が見えないのではないですか?」
武貞特任教授
「見えないから現在、膠着状態ですけれども。日朝平壌宣言というのは、内閣総理大臣が平壌を訪問して、日帰りで訪問をして、向こうは金正日総書記が出てきて、双方が、国防委員会委員長という北朝鮮の当時のトップの肩書を記入して署名したもの、日本側も総理大臣がキチッと署名をしたものですから。これは、形骸化しているとか言って、これを離れるわけにはいかないので、国家同士の約束ですから。これを基にして、あとは日本がその中で大事だと思うところにメリハリを、日本ふうの味つけをして、メリハリをつけて交渉の場にもっていく。その時に、あまり膠着状態の拉致問題に対して杓子定規の基準を設けて、ハードルを上げるのではなくて、むしろハードルを下げてアメリカがよくやっているように1人でも北朝鮮の法廷で裁かれて、15年の労働強化刑、こういった人達の存在がわかった、健康状態が悪いと言ったら、飛行機を派遣して、政府高官が彼を救出して帰っているわけですね。1人、2人でも日本人がいれば、日本政府は全力を挙げてその日本人を保護しますという、1つ、2つの積み上げ方式で問題を解決していきましょうねという姿勢をとれば、北朝鮮はアメリカに対してそうしたように、決してそっぽは向かない。あまり全部を完璧な形で、1発回答で拉致の問題、報告書を待ちますよと、それ以外のものは聞きたくありませんというところで、膠着状態に陥ったというところで、2002年9月の日朝平壌宣言に遡って、これは大枠です、北朝鮮の言い分を100%とり入れて戻りましょうと言っているのではないですよ、これはもう動かせない国家同士の約束ですから、そこに戻って日本ができることはたくさんあると思いますよ」
反町キャスター
「なるほど。小野寺さん、話を聞いていると北の関心は日本との対話というよりは、米朝だと考えた時に、先日、ティラーソンさんとマティスさん、2プラス2で小野寺さんが会った2人、ウォール・ストリート・ジャーナルに、こういう意見を出しているわけです。『北朝鮮が核を使用したら圧倒的な対抗措置をとる。真摯な態度をとり挑発行動を停止した場合、アメリカは北朝鮮と交渉する用意がある』という言い方をしているのですけれども。一緒に発表された2プラス2の共同発表、あの中においては圧力を強化していくと日米で確認したということを強く打ち出している一方、その先に交渉する用意があると、ここの部分まで合意事項の中に入っているのですか?」
小野寺防衛相
「これは、今回の私どもの中ではしっかり北に圧力をかけていきましょうということなのですが。これを読み取ると、決して何かすごく変わったわけではなくて、もし北が核を使用したりすれば圧倒的な対抗措置、これはそうです。たとえば、真摯な態度をとり、挑発行動を停止した場合、この全文を読むと、たとえば、北朝鮮が核とか、ミサイルとか、そういう問題についてこれをやめるという態度をとれば、交渉してあげるよということなので、何かアメリカが引いた話でもなければ従前から話をしているように、圧力をしっかりかけて、北朝鮮に方針の変更を要求し、それが行われれば、それは交渉するのが普通ですよねという、ごく当たり前のことを両長官が寄稿したものだと思っています」

『対話と圧力』日本の姿勢は…
反町キャスター
「武貞さん、かつてアメリカ政府が言っていたことというのは核を廃棄すれば、話し合いに応じるとか、もっと高いハードルを設定していたように僕らは覚えているんですよ。今回、明らかに核を廃棄とは言っていないわけですよ、真摯な態度をとり、挑発行動を停止した場合と。かつてミサイル実験を停止した場合には、米韓合同軍事演習を中断とか、縮小すると言った、文大統領の側近が、アメリカでその発言をして怒られたパターンがあったではないですか、それと同じことを、アメリカの国務長官と国防長官が言い出しているのかと、ここはどう見たらいいのですか?」
武貞特任教授
「ご指摘の通りですね、大幅に…」
反町キャスター
「では、弱くなった?」
武貞特任教授
「いや、弱くなったとは思いません。弱くなったのではなく、非常に戦略的にハードルを下げて寝技に持ち込もうという、そういうチームがワシントンに登場したと私は思います。核を使用したら誰だって頭にきて、圧倒的な対抗措置をとるのは当たり前で、現在、大臣がおっしゃったように当たり前のことを1番上の文言、言っていますよね。真摯な態度をとり、挑発行動を停止した場合、すごく抽象的ですよね。これまで、次、核実験をしたらタダではおかないとか、グアムの方向に向けたら、それに対して対抗措置はトランプ大統領が考えるという発言とか、非常に具体的で北朝鮮を縛りつけるような、次の一手を打てないような具体的な事例を挙げ、ハードルを上げていったけれど、それで有事という事態になれば、韓国と日本、大変な被害が起きるのではないかと、また、予想以上に誘導技術も北朝鮮、向上しているようで、被害は想定以上のものが出てきそうだということがわかって相当、アメリカは変えてきたと思うのですけれど。お2人の本音は国防長官と国務長官がウォール・ストリート・ジャーナルという新聞に2人で、連名でこういったエッセイを書くというのは、これは異例なことだと思うのですが、それで異例のことをされるぐらいに力を入れてアピールをしたかったのだろう、アピールしたかった部分は当たり前の、核を使用したらタダではおかない、という部分ではなく、アメリカは北朝鮮と交渉する用意があるという言葉であって。しかも、これはトランプ大統領のこれまで言ってきた言葉と決して矛盾していないので。昨年5月ハンバーガーでも食べながら金正恩さんと話をしたいと、今年の5月の初めには、状況が整えば米朝首脳会談をやってもよいと言ったというところと符号するんですね。だんだんここに至って、アメリカはハードルを下げて、アメリカが北朝鮮に対して誘い水を少しずつ投げかけているような印象を受けるんですね。そういう意味で、北朝鮮が米韓合同軍事演習の初日に具体的なアメリカに対する批判というものを控えたというところと、一種の調和したムード、完全に緊張緩和に向かったとは言いませんよ、という意味で意外と、ロシア・中国・アメリカ・北朝鮮、文在寅大統領、これらの人々が対話・交渉を通じて解決する方法以外ないのではないかということを考え始めたというのが、この1か月ぐらいの展開ではないかと私は見ています」

緊迫する『米朝』駆け引き 日本が為すべき北朝鮮対応
反町キャスター
「小野寺さん、外交の話なのでコメントをしにくいと思いながら、可能ならばと、聞くのですけれども、アメリカも、北朝鮮も両方少しずつハードルを下げつつあるのではないかという印象、これはどう感じますか?」
小野寺防衛相
「私は、アメリカのスタンスは全ての選択肢はテーブルにあるということは一切、変わっていないと思います。北朝鮮の立場から見たら、既に、たとえば、国連での制裁にロシア・中国が入ってしまった。ペンス副大統領は、私達が2プラス2をやっている間に何をしていたかと言うと、中南米をまわって、北朝鮮と貿易がある国をまわって、やめろ、やめろということで、全部、プレッシャーを、圧力をかけているわけです。ですから、アメリカは実は現在、本気になって、北朝鮮と外交がある、190もある国、そういう国、皆に北朝鮮と貿易をやめろ、外貨獲得をやめさせろという形で抜け穴を塞いでいっているわけです。そうすると、北朝鮮からしたら逆に言えば、兵糧攻めに現在、遭っている状況にだんだんなってきて、しかも、中国・ロシアもこれに賛同する、正直言ってこれは厳しいなと思っているかもしれません。そういう中で対話ということになれば、北朝鮮としていく方向というのは、この方向しかないかなということで。私ども、希望的なことを言えば、北朝鮮がこの核・ミサイルの問題で譲歩をする中で一定の緊張感が緩和されれば、それは国際社会にとって良いことだと思います」

北朝鮮『Xデー』シナリオ ミサイル発射・核実験の可能性
秋元キャスター
「今日から31日まで米韓合同軍事演習が行われます。その間の25日に、金正日総書記が軍事優先の政治を始めたとされる先軍節というのがあります。さらに来月の9日には、昨年、核実験が行われました建国記念日があります。10月10日には、朝鮮労働党創立記念日が控えているということですけれど、武貞さん、北朝鮮がミサイル発射とか、核実験を行うとしたら、その可能性が高いのはいつ頃だと見ていますか?」
武貞特任教授
「いつからこの番組、クイズ番組になったのでしょうかと思うのですけど。北朝鮮にとってこの中で最も重要なのは建国記念日ですね。9月9日ですが。もう1つは10月10日、労働党創立記念日、これは第1回核実験というのは2006年10月9日にしています、と言うのは、これは労働党記念日の前の日、核実験ということで。この9月9日、10月10日というのは、北朝鮮がこの時に国威発揚のために核実験、あるいはミサイル実験をすれば、盛り上がるだろうと考えるだろう日ですね。と言うことで、緊張が高まるのは、この日に撃つとは言いません、私はクイズ回答者ではありませんので、9月9日、10月10日は緊張が高まると私は見ています」
反町キャスター
「森本さん、スケジュール的なもので言うと、9月9日、10月10日、我々としてもこのへんが大きな山場になるのかなと見る、この感覚をどう感じますか?」
森本氏
「私はそういう時期は意味がないと思います。何が現在、起きているかと言うと、私は先ほど、武貞さんが説明されたことに半分賛成、半分ちょっとリザベーションがあるんです。賛成する部分は、アメリカが対話を模索するステージにシフトしつつあるという、これはそうだと思います。でも、それに全面的に中国・ロシア・韓国が現在、合意して、乗って、一緒にやろうというところまで進んでいない。現在まずアメリカが、日本と一緒に、最初の中国にどういう枠組みで北朝鮮と対話の道筋がつくられるのかということを話し合うステージがこれから始まると思うんです。それが合意されれば、おそらくロシア・韓国は反対しないと思うんです。だから、中国がカギだと思うんです。ただ中国はご承知の通り、通商301でかなりやってますし、これはまったく無関係ではなくて、制裁も国連安保理決議の2371によく合意したと思いますが、合意をしたのは合意した理由があって、中国は北朝鮮に対する原油の供給、これをなんとかリザーブしたい、確保しておきたい、そのためにそれ以外のものを合意したという妥協の産物で。どちらかと言うと、中国の方は自分の方が勝ったと、中国の中は、中国の外交の勝利と言っているんです。だけれども、本当に北朝鮮と対話をするということに全面的に中国が飲むというところまでまだ至っていない。条件闘争がこれから始まると思うんです。対話をする時に北朝鮮は必ず核兵器国であることを認めろとか、米韓の合同演習を途中で中止しろ、安保理決議を全部破棄しろとか、THAADを撤退しろとか、在韓米軍は撤退しろとか、好き勝手なことを言うんです。それは全然飲めないですから一切、飲めないのに対話をするためにはどういう条件闘争をやるかということを、中国と話し合うステージがあって、それができて初めて…。現在、北朝鮮はストップして、自分達のミサイルを撃たないでじっと我慢して様子を見ている、それが全部ダメだと思ったら撃つと思うんです。それはこのタイミングを見て決めているのではなくて、まさにこれからの外交交渉によって決まっていくということなので、私はこれのどこに近いですかというのはあまり意味がないと議論なのではないかと思います」
反町キャスター
「そうすると、トランプ大統領が提起した通商法301条で中国に対する経済制裁を課すかどうかという話がドンと立ち上がったではないですか、まずこの決着…」
森本氏
「それは…」
反町キャスター
「しかも、トランプ大統領は経済と安全保障をバーターで考える人だという立場に立った場合…」
森本氏
「だけども、それだけではないと思うんです。トータルで2371をちゃんと中国は履行するのかどうかということもありますし、それから、ティラーソン国務長官が北朝鮮次第だと言っているんです。次第だということは、たとえば、わかりやすく言ってしまうと、グアムへの発射というのも、そんなことは可能性が低いですが、当分の間、やめますということを言ったら、まさに挑発そのものをやめたということになりますね。そこまで北朝鮮の…、停止した、だから、やめたというのは、もうやりませんではなく、いったんサスペンドするというこの状態を止めたまま、対話をしていく道を探りますという対応にしたら、これは、アメリカは交渉する用意がある。アメリカは、と主語が書いてあるからアメリカだけなんです。だけれども、他の国がうんと言わないと、アメリカだけではやらないと思いますね」
反町キャスター
「森本さん、たとえば、現在、予定されているといわれる火星12号とか、14号とか、そういう長距離のミサイルではなくて、短距離・中距離のミサイルをこれまでみたいに、日本海に向かって撃つとか、ないしは向きを変えるとか、そういう形の変更の可能性についてはどう感じますか?」
森本氏
「だから、たとえば、潜水艦の発射をこの合同演習の最中にやったらまさに挑発活動を停止したことにならないですよね。だから、挑発活動を一切止めると言ったなら、アメリカは交渉すると言うけれども、本当の米朝交渉だけやると失敗したらアメリカが全責任を負うことになりますから、おそらく中国を巻き込んで、皆で共同責任をとりながら北朝鮮を動かしていくという道を選ぶと思うんです。北朝鮮から見たらまったくダメだと、とても相手にならないと北朝鮮が思ったら、北朝鮮は既定の路線を再開するということになると思うんです、最悪のシナリオですけれども。なるべく皆、そうしたくはないから、ここはいったんなんとか話し合いの道筋ができないかという水面下で起こっているステージが静かに始まっているのではないかと、それが明らかにされてないだけの話だと」
反町キャスター
「小野寺さん、外交についての話を聞くつもりはないのですけれども、日本の安全ということを考えた時に、我々はどこを見ていれば、危険度が高まっている、ないしは安全性が現在はいい方向に向いているのだなと、防衛大臣の閣議後の会見とか、日頃の発言とか、我々はどこを見ていたなら、現在の北朝鮮の状況が把握できると見たらよろしいのですか?」
小野寺防衛相
「防衛当局とすれば、北朝鮮がどういう行動をとるかは正直言って、予測不可能ではないかという印象を持っています。急にある時、威嚇的な発言をしてみたり、ある時、静かになってみたり、そういう相手の意図がなかなかわかりにくいということであれば、やれることはたった1つで、どういう時でも、もし日本に対して何らかの攻撃があった場合には、速やかにそれを食い止めて、日米同盟の枠内で日本の国民を守っていく、このことしかないので。いつ、たとえば、発射する、しないよりはどんな時にもちゃんと守れる態勢をつくるということなのだと思います」

小野寺五典 防衛大臣の提言 『同盟強化』
小野寺防衛相
「私は日米の同盟をしっかり強化するということだと思います。安倍総理とトランプ大統領の中で、北朝鮮にこういうミサイルを撃たせないということが1番大事だと。それは同盟強化がしっかりしていれば抑止力になります。今回の2プラス2もその役割のための1つだと思っています」

森本敏 防衛大臣政策参与の提言 『強固な抑止体制を維持して北朝鮮に妥協を強要』
森本氏
「私も同じ趣旨ですけれども。あくまで日米韓の強固な抑止体制を、さらに強化して、堅持しながら、圧力をかけて北朝鮮に強要すると言いますか、つまり、和戦両様で対応しながら、対話の道筋を探っていくということに尽きると思います」

武貞秀士 拓殖大学海外事情研究所特任教授の提言 『圧力と"3つの対話"』
武貞特任教授
「私は、圧力と3つの対話と申し上げたいです。圧力と対話は、たくさんこういう言葉は聞いてきましたけれど、圧力という意味では、日米2プラス2、非常にタイミングが良かったと思うんですね。3つの対話、米朝対話だけ進むと韓国は穏やかではない、日本だって拉致問題置き去りねという気持ちがあります。ですから、日朝、南北対話、米朝対話、この3つを同時並行して進めて、日米韓が結果として協調しながら北朝鮮に対してアプローチできるということが可能なのではないでしょうか。3つの対話と、抑止・圧力、これを同時並行して進めるというのがいいと思います」