プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年8月18日(金)
前原誠司VS枝野幸男 民進党『再生』への道

ゲスト

前原誠司
民進党衆議院議員(前半)
枝野幸男
民進党衆議院議員(後半)
田﨑史郎
時事通信社特別解説委員


前編

前原誠司×枝野幸男 民進党『再生』への道
松村キャスター
「来週月曜日に民進党代表選挙が告示となります。支持率が低迷を続け、離党者が相次ぐなど不安要素の多い民進党ですが、先週、前原誠司さんと枝野幸男さんが立候補を表明、現状では1騎打ちの構図となっています。民進党は、代表選をきっかけに再び国民の信頼を獲得することはできるのでしょうか。前半に前原誠司さん、後半に枝野幸男さんを迎え、民進党再生への道筋を聞いていきます。新しいリーダーを決める民進党代表選は今月21日に公示され、共同記者会見が開かれます。22日から28日にかけて全国8か所で街頭演説や討論会などを実施、来月1日に臨時党大会が開かれ投開票が行われます。このようなスケジュールですけれども。前原さん、このあと迎えます枝野さんも今回立候補をされています。ズバリお聞きしたいのが、枝野さんではなく前原さん自身が民進党の代表であるべきという1番の理由というのは何だと思われますか?」
前原議員
「前回の選挙で私は、内政では自民党との違いをしっかり示すべきだと、自己責任型の小さな政府。現在の日本の国民負担率は42.5%でありまして、これは先進国中でも下から数えて7番目ぐらいの低さですね、34か国、35か国という先進国の中で。しかしながら国民の所得がこの20年間減ってきて、サービスを受けたくても受けられないような余力のない人達が増えてきているにもかかわらず、自己責任型社会で、多くの若者が結婚をしたくても結婚できない、子供を持ちたくても理想の子供数が持てない。年金は下がり続ける、介護保険料を払っても介護は十二分に受けられないと、皆の世代で不安が溜まりきっているわけですね。我々はそういった各世代の不満というものに応えるための施策をしっかりやっていきましょうと。でも、そのために財源がいる、その財源については応分負担というものをしっかり求めて、応分負担という意味合いも国民に理解をされる中で、All for All、皆が皆で支え合う社会をつくりたいというのが、私の1年前、そして今回の代表選挙の想いですね。誰だから自分ではなくて、私こそが代表になって、内政では自公とは違う選択肢をつくりたい。このモデルこそが日本の社会を救うんだという確信がありますので、立候補させていただいているということであります」
反町キャスター
「なるほど。そのAll for Allの話にいきましょう」
松村キャスター
「All for Allというフレーズを前原さんは今回、掲げていらっしゃいます。1番に中福祉・中負担、2番に世代間の分断をなくし、全ての世代のニーズに応える、3番に低所得者と高所得者の分断をなくし所得制限を撤廃することを掲げています。このAll for All、皆が応分の負担をし、皆が受益者になるという、この理念に行き着いた背景は何でしょうか?」
前原議員
「はい、2番目の世代間の分断をなくすということなのですが、現在、シルバーデモクラシーと言われています、高齢者の方が多くなってきているということなのですが。日本というのは、実は再分配政策がうまくいっていないです。どういう意味かと言うと、再分配政策をする前の貧困率と分配後の貧困率は、日本はほとんど変わらないんですよ、普通は変わるんですね。たとえば、ドイツだったら8.1から3.3に大幅に改善するんです、フランスだったら18.0から6.7に大幅に改善するんですね。日本は13.5から12.9にしか改善されないです。その最大の理由は現役世代に極めて冷たい再分配政策が行われていて、高齢者は、高齢化率が高いですから、当然ながら高齢者に対する分配が行われているわけですね。と言うことは、世代に対する、若い現役世代に対する分配があまりにも薄すぎる、このことが若い世代の貧困を招いて結婚したくても結婚できない、結婚したとしても理想の子供数を持てないようなカップルが増えていって、それが、人口減少、出生率の低下、日本の活力の低下、地域の過疎化、こういうものを、社会問題を生んでいるわけですね。こういうものをなくそうと思ったら、高齢者の、たとえば、再分配先を減らして…」
反町キャスター
「年金を減らして…」
前原議員
「減らして…」
反町キャスター
「老人の医療サービスを減らして若者に配ろうかと?」
前原議員
「しますかということになると、高齢者は反発しますね。高齢者の側も年金は2040年まで下がり続ける、介護保険料を払っているのに自分達はサービスを受けられないと、不満を持っているわけですね。だったら、皆が負担をすることの中で、皆が受益者になったら、若い世代に文句言うとか、高齢者に文句言うとか、なくなるだろう。皆が受益者になって、皆が納得しようというのがこの2番の世代間の分断をなくすという意味です」
反町キャスター
「前原さん、たとえば、中福祉・中負担ということで言うと目指す方向ですよね?」
前原議員
「はい」
反町キャスター
「現在の日本はおそらく、前原さんの話からすると、中福祉・低負担の社会だと言っていると思うのですけれども」
前原議員
「はい」
反町キャスター
「そうすると、All for Allというのは中福祉・低負担から中福祉・中負担、つまり、負担増から俺は逃げないぞという宣言にも聞こえます。それでよろしいですか?」
前原議員
「簡単に言えばそうですね」
反町キャスター
「なるほど」
前原議員
「たとえば、先ほど、日本は42.5%と…」
反町キャスター
「国民負担率…」
前原議員
「所得に占める、どれだけ税と社会保障の保険料をとられていますかという、この割合ですね。これを国民負担率と言いますけれど、42.5%。ヨーロッパの中でも小さな政府と言われているイギリスが47.5%ですね、日本よりも大きい。ヨーロッパでは真ん中よりもちょっと小さな政府かなと言われているドイツが52.5、日本の、人口の半分ぐらいのフランスは68.2ですね。極めて言ってみれば国民負担率が高くて、その代わり、住宅・医療・教育、あるいは福祉、こういったものを自分で買わなくても国がしっかり提供してくれて、皆が安心を得られていると。ですから、高度経済成長のいわゆるピラミッド型の人口構成だったら、低福祉・低負担でもいいんですよ。若い人達が働いて、減税をし、公共事業をし、ドンドン成長を加速させていく中で社会全体が成長していく。今やまさに構造問題の中で賃金が上がらない、団塊の世代が今度は70歳以上になってきて、出生率が低いから、キノコみたいな形になってきているわけですね。その中に合った国民負担と再分配政策になっていますかと言ったら、なっていないわけです。なっていないから、それぞれの世代に負担を、不安を感じているわけです。であれば、政治の簡単な行き着く先というのは、その各世代の方々の不安をなくす施策をして、たとえば、結婚をするハードルを低くしましょう、理想の子供数を持つハードルを低くしましょう、年金もある程度安定するようなものにして将来の不安をなくしましょう、だったら過剰貯蓄もなくなるのではないか、その分が消費にまわるではないか、それで経済を良い循環にさせていくという、トリクルダウンではなく、ボトムアップの選択肢があってもいいのではないか」
反町キャスター
「最初にどこから手をつけたいのか?教育の無償化か、社会保障の充実か、年金・財政の安定化なのか、順番はついていないのですか?」
前原議員
「これまでの党の議論では順番はつけていません。ただ、これからは中間報告から、まさに最終報告にいくわけです。それを私は前原代表の下でやらせていただきたいと思っていますけれども、その場合、全ての世代の不安を解消するということですから、そして分断をなくすということですから、どちらかが先だったら、私の言っていることとは矛盾するんです」
反町キャスター
「えっ?1度に?財源は大変ですよ…」
前原議員
「たとえば、これはまさに私の試算です。2019年の10月に消費税が2%上がりますね。私個人としては、これは代表になった場合は、また皆で議論しようということは大前提で申し上げると、私は現在の経済状況だったら2%上げるべきだと思う。これは野田政権の時に、社会保障・税の一体改革、もともと政調会長で党が分裂していてもこれはやるべきだということで、教育・医療・年金・介護の柱、その財源となるものを決めなければいけないということを決めたんですね。私はこの方向性は間違っていないと、現在でも思っています。それを完成させるためには、5%から8%、8%から10%までやるということが大事。ただ、私は野田さんとこの間、話をしていて、野田さんと意見が合ったのは5%を2段階かけて上げることに決めたわけですけれど、実は財政健全化にまわるのが4%、機能充実が1%、これはどう考えても国民の受益感がちょっと足りなかったよねと、だから、この割合をも少し見直しても良かったですね、ということを野田さんとも話をしたんです」
反町キャスター
「財政健全化は先送りしてでも国民が消費税上がった分、良くなったよねという実感を先にもたらすべきだと?」
前原議員
「先ほどから申し上げているように、ヨーロッパの国々というのは、たとえば、北欧だったら25%の消費税は当たり前、他の国も消費税率は高いですね。中国でさえ増値税という間接税にあたるのは17%ですよ。日本は低い、上げることに抵抗がある。つまり、税の使われ方に対する政治に不信感を持っているわけですよ。税が上がって納得できるのだったら構わない、しかし、税が上がっても何に使われているかわからない、それが国民の不信感を招いているわけであって。たとえば、2%、5.5兆円ぐらいです。これを私は、たとえば、極論ですよ、あくまでも私案ですが、財政健全化はいっぺんすっ飛ばし、その5.5兆円を全て国民に還元して、成功体験、あっ、増税というのはこんなに生活の見える景色が変わるのかと。0歳から5歳までの就学前教育・保育は無償になる、あるいは各自治体に委ねられていた小学校・中学校の学校給食はナショナル・ミニマムとして無償化になる、あるいは大学の授業料は国公立の文系、だいたい54万円ぐらいですかね、年間、これが無料化になる、ということを、たとえば、やったとしますね。だいたいこれでかかる費用というのは潜在需要を入れなかったら3兆円弱ですよ。潜在需要を入れなかったら。5.5兆円でたっぷりお釣りがくるではないですか。だったら残りの2.5兆円で、たとえば、現在は保険あってサービスなしと言われている介護保険。36万人以上の人が特別養護老人施設の入所希望で待っているわけですね。介護保険の保険料を払っているのに入れない、こういう.方々をなくすためには、何が必要かと言うと、実は介護士の方々の処遇改善が1つの案ですね。一般サラリーマンの方々の3分の2程度しか給与がなかったら、そしたら近くにアウトレットモールができて、そこの時給が高ければ、そちらに行ってしまうわけですよ。公定価格である、こういったものについて、しっかりと支えるということをやれば、たとえば、安心できる介護というものがそれだけで1つ実現できるわけですよね」

『民共連携』と政権構想
反町キャスター
「前原さんが代表になられたら、たとえば、共産党の志位さんと2人で街宣車の上に立って応援遊説をするとか、反安倍政権、安倍政権打倒の集会があるところに2人が行かれて、他の野党の皆さんも行くかもしれない、そういうのが国会前の集会であったではないですか?当時の代表、岡田さんだったかな、岡田さん、志位さん、一緒に手をつないでエイエイオーをやる、みたいな。前原さんはそういう場には行かないだろうと、こういう気持ちですか?」
前原議員
「頭の整理をさせていただきたいのですけれども、あれは安保法制ですよね?」
反町キャスター
「そうです、あの時は」
前原議員
「つまりは、個別の政策において野党で共闘するということについてはあっていいのではないですか」
反町キャスター
「それはアリ?」
前原議員
「はい」
反町キャスター
「なるほど、では、街宣車は?」
前原議員
「街宣車…」
反町キャスター
「選挙カーの上に2人で立っているとすごく象徴的ですよ。たとえば、民進党の候補者がいる選挙区に志位さんが応援に来る可能性は、僕はゼロではないと思う。来た時に2人で一緒に選挙カーの上に立って応援するということ、そうすると、向こうも見返りを求めてくる。小池さんもこの間、ウチの番組に来た時に『民進党と選挙協力していくのであれば、その中で政権構想も相談していこうではないか』と。共産党はあくまでも…、この番組の中で小池さんは、過半数までに十何議席になった時に、それでも共産党とはやらないのですか、私はそれを問いたいと言って帰りました。そういう状況になった時に、たとえば、閣外協力とか、政策協定とかが出てきますよね、ここのギリギリの部分ですよ、いかがですか?」
前原議員
「民進党と選挙協力…、日米安保で意見が違いますよね?消費税で意見が違いますよね?選挙協力ができます?政権を組めます?」
反町キャスター
「なるほど」
前原議員
「特に衆議院の選挙は政権選択の選挙ですよ。政権選択の選挙でまったく根本的な政策理念が違うのに、一緒に組もうという話になりますか?なりませんよ、それは」
反町キャスター
「そうすると、あくまでも先ほど話されたみたいに…」
前原議員
「それは、すみません…」
反町キャスター
「どうぞ」
前原議員
「共産党を中心とする政権構想ですよ。共産党の戦略ではないですか?これは」
反町キャスター
「小池さんはそれで喋りに来たわけですからね」
前原議員
「ですよね?呼ばれているのだから」
反町キャスター
「はい」
前原議員
「我々は、私は少なくとも民進党の再生をこの代表選挙で言っている中でなぜ他党との協力を前提とするのですか。我々がどうしたら再生するか。私は繰り返し申し上げますけれども、その大事なところは何を目指す政党なのか、どういう社会を目指す政党なのか、それをもう1度、この代表選挙で私はAll for Allという形で世に問いたい、理解されたい、理解されるまではドサまわりでもしたい、そういう思いでいますから。根本的な外交・安全保障、あるいは内政の税の中心である消費税とまったく意見の合わないところと選挙協力とか、ましてや政権構想という話にはならないですよね」
田﨑氏
「前原さんの政治行動をずっと見ていまして、これまでの大きな失敗が3つあると思うんですね」
前原議員
「何ですか?」
田﨑氏
「最初は、代表だった時に偽メール問題で辞任された。次に政権を獲られて国土交通大臣になられたその日に八ッ場ダムの見直しを打ち出され、かなり苦しまれた。3つ目は、外務大臣の時に、外国人からの献金問題で辞められました。そういうところを見ていまして、この3つの失敗をどう総括されて、自分の政治活動に活かそうとされているのかというところを、ちょっとおうかがいしたいと思って」
前原議員
「ありがとうございます。まずメール問題については、これは最も私にとっては重い失敗だったと思っています。それは、そのメールをとり上げて質問をした議員が、後に自ら命を絶つということがありまして、非常に私自身は重い問題だと思っています。あまり細かなことを言うと、私に全て、代表ですから、最後は責任がありますけれども、簡単に言うと、もちろん、私は事前に相談を受けました、その時にちゃんと調べてやれよということを言いました、国対があとはそれをとり上げたわけですけれども。そのメール問題の反省で言うと、リーダーは冷徹にならなければいけない時がある、つまりは早くに人を切らないといけない時があるけれども、その甘さが私にはあったと思いますね」
田﨑氏
「うん、うん」
前原議員
「2つ目、八ッ場の問題です。私が国交大臣の時は羽田の国際化、インバウンドのためのビザの緩和とか、あるいは日本航空の再生とか、いっぱい私は自分自身でやったことの自負はありますが、八ッ場は大きな失敗でした。つまりは、マニフェストに廃止と書いてあったので、そのまま言っちゃったわけでありますけれども、物事をやる時にはワンクッション置いて、結論ありきでなく、ワンクッション置いたうえで、ズルイ言い方をすると逃げ道を残すということを自分でやっておかないと、できた時はカッコいいけど、できなかった時にはそればかりが責められるということは、痛いほど経験しましたので。それについてはワンクッション置くということでしょう。外国人からの献金の問題というのは、これは自分の事務所のチェック体制が極めて甘かった、それも全て私の責任ですよ。そういう意味では、甘いところがいっぱいあった、これは戦国時代だったら、その都度、切腹ものですよね、だから、生きていないです。生きていない人間が代表選挙に出させてもらっているということはそれほど重いことなのだと。この失敗を経験しているからこそ、私はもう1度、野党を再生させ、日本の国のリーダーに、政権交代をしてなりたいという想いを真剣に持っていますので。党全体でした失敗の経験、自分の失敗の経験をもとに今度こそはうまくやると、こういう想いで私はやらせていただきたいと思いますね」

民進党と憲法改正
反町キャスター
「先日行われた日米の2プラス2等を見ていても安保法制のスキームのうえに立って北朝鮮からミサイルが飛んで来る時に、どういう日米間の防衛協力ができるのかという議論が進んでいるように見えます。前原さんが民進党の代表になられた時に、次の総選挙にむけて、次の参議院選挙に向けて、安保法制の破棄、これを再び掲げて選挙に臨まれるのですか?」
前原議員
「私は…」
反町キャスター
「この状況下においてですよ?」
前原議員
「1年前にもその議論があったんです」
反町キャスター
「はい、ありました」
前原議員
「その時の、私の発言と同じ発言をします。その時と比べていただいたら結構ですが。安保法制は違憲であると、ただし、我々が政権を獲った時にそれについてはアメリカと相談をするということを言っているんです。つまり、これは日米間の取り決めなんですよ、日米間の取り決め。日米の取り決めの中で日米ガイドラインというのが決められて、その責任のもとで、アメリカも態勢の整備を行い、日本も態勢の整備を行い、その一環として安保法制を行い、言ってみれば装備などの見直しを行っているわけです。これは日米で合意したことの、日本の国内の、言ってみれば、手続きを進めたことなんです。ここに私は瑕疵があると言っているわけです。反町さんがおっしゃっているように、北朝鮮がこんな状況ですね。アメリカからするとこんな状況なのにこれをいったん破棄するということは、言ってみれば、日米防衛ガイドラインまで見直すという話になりますから、おそらく現実的ではないと思います。これは、私は、旧民主党政権の時に、辺野古の問題がありました。この問題というのは、私は旧民主党政権の時の、1つの大きな反省の材料として見なくてはいけないと思います。それはどういうことかと言うと、違う政権であっても、当時の日米で交わされた文書というものは重いのだということをしっかりと踏まえないといけない。オバマさんも言ったわけですよ、あの時は、いや、結んだのはブッシュ政権だと、でも、俺達もそれを踏襲しているのだから、日本も踏襲してくれないかと言ったわけです。たとえば、別の話で言うと、現在の日韓の間で慰安婦の問題。これは、文大統領は、当時、朴槿恵政権であったけれども、日韓合意は守るべきですよ。それは政府としての連続性が続いているのだから。私はその3年3か月の反省の中に立って言えば、安保法制は違憲だし、おかしいという考え方はまったく変わっていません。これについて上書きするということも、反対をします。ただ、現実の北朝鮮の危機があり、この日本の手続きに瑕疵があったとしても、そのうえでの、うえと言うのは、前提での日米合意というのは日米政府間で決められたものであって、極めて重いものであるという前提は崩しちゃいかんと。それは、北朝鮮や中国につけ入られるだけだと思いますよ」


後編

前原誠司×枝野幸男 民進党『再生』への道
松村キャスター
「枝野さんは今回、初めて代表選に立候補されました。先ほど、話を聞いた前原さんも立候補をされています。今回、前原さんではなく、自身が代表ではなくてはならないと思う、1番の理由というのはどこにありますか?」
枝野議員
「民進党がこの代表選挙で問われているのは、代表を誰にするかではないと思っているんです。党全体が、民進党という形で大きくなってから1年半ぐらい、私の場合、前身の民主党時代から、特に下野して以降、党内マネジメントがうまくいってこなかった。それは政権時代の反省も大きいけれども、この3年、4年ぐらいの状況ということについて、しっかりと、私も国会議員として大きな責任があると思っていますが、それは国会議員全てが、あるいは党全体が、本来持っている力を結集させて発揮することができてこなかった。その全体の力が、しっかり発揮できるような党へ変わっていくきっかけにしないと、なかなか地域でがんばっている党員サポーターや地方議員の皆さん、あるいは潜在的には自民党に代わり得る、もう1つの明確的な軸を求めている国民の皆さんからももう待てないということになってしまうのではないかと。その時に、特に現場で、たとえば、国会議員もまったくいないような地域で、逆風の中で民進党の旗を掲げてがんばってくれている地方議員の皆さん、あるいはそれを支えている党員サポーターの皆さん、たまたま2年間ほど幹事長をやらせていただいて、誰よりもそうした人達の現状や声というものを知っているのは自分ではないかと。こうした皆さんの声、こうした皆さんの力というものをしっかりと引き出す、そのことが求められているのではないか。なので、その現状が1番わかっている自分が、大変厳しい局面なので、大変だなと思いながらも、手を挙げて、そういう皆さんの力を引き出す仕事、役割を果たさせていただければと思った」
松村キャスター
「枝野さんは、出馬の会見で社会像については『支え合いの仕組みを再構築する』と話していますが、具体的にどのようなシステムをイメージしていますか?」
枝野議員
「前原さんはAll for Allとおっしゃってきている話、これは党調査会でもやってきていることだし、民主党政権でやろうとしたこと、たとえば、子ども手当であるとか、高校授業料の無償化とか、基本的には昔から我々が目指している社会像というのはあった、ただ、それがきちんと伝わっていない。私は、お互い様の支え合いの仕組みというのが、それでも抽象的だけれども、わかりやすいのではないかと思っています。問題は具体的に何をどういう順番でやっていくのか、そのことをしっかりと示していくことがもう1つ、現在、問われているのではないか」
反町キャスター
「それは、これからですか?」
枝野議員
「私はここが明確で、非常に大きなところで言うと、介護職員と保育士さんに象徴される公的なサービスの担い手であって、需要がたくさんあるのに低賃金であるために人手不足の分野、ここに公的資金をいかに投入して、それによって可処分所得を増やし、消費を拡大させるか。これは、ほとんどの人が所得の低い、これを底上げしようとしても決してその何千万も貰える世界ではないわけですから、ほとんどが消費に向かう世代層なわけです。その人達に出したお金は消費の拡大に間違いなくつながる。そのことによって、子育て世代が、あるいは介護を必要としている人達がその人達の生活の安心につながっていくと、2重、3重の効果が生じるんですよ。こういうところから社会を建て直していこうと。具体的には大きなところ、特に需要不足が顕著であって、賃金が低いからということで、たとえば、保育士さんの資格を持っている人達はたくさんいるわけ、でも、資格を持っていてもその人達が働いてくれていない、それは明らかに低賃金ですよ。だから、その賃金にお金を注ぎ込めば、そこは人が集まって来るし、そのことによって保育所の不足が解消するんですよ。そこに渡した分の給料というのは、間違いなくほとんど、99%は言い過ぎかもしれないけれども、地域での消費にまわるんですよ」
反町キャスター
「貯蓄ではなくて、まわるだろうと?」
枝野議員
「うん、そうですよ。だって…」
反町キャスター
「財源は何ですか、その場合の?」
枝野議員
「私は、これは、だから景気対策だと言っています、経済対策と言っています。経済対策として大型の公共事業をやるより経済波及効果は大きいんです。景気対策は国債でやっているんです、なぜ景気対策なのに国債でやっちゃいけないのですか、つなぎとして」
反町キャスター
「なるほど」
枝野議員
「もちろん、長期的にやっていくためには、当然、恒久財源が必要です、そのことはちゃんと言います。恒久財源のためには何らかの皆さんの負担が必要です。だけど、当面、景気対策ですから、景気対策としては建設国債を出すのと…」
反町キャスター
「同じだと?」
枝野議員
「もっと経済波及効果が大きい、赤字国債でつないでもいいではないかと。しかし、これは経済対策だから、景気状況によっては、それはもう国債ではなくて、財政健全化に向けなければならないです。その時には、これを維持するためには、その負担が必要なんですよと。実際にサービスが充実をしている、その姿を見たうえでこれを続けるためには財源が必要ですという話を、国民の皆さんに理解を求めていく」
反町キャスター
「田﨑さん、いかがですか?」
田﨑氏
「だから、今の話、先ほど、前原さんも同じことを言われていたんですよね。消費税を2%、2019年10月から予定通り上げるべきだと、2%と言われたのですけれども、その部分については、枝野さんはどう考えているのですか?」
枝野議員
「べき論からすれば、上げるべきというのは私も同感ですが、上げられる状況ではないと思います。それは2つ意味があります。1つは経済状況です。足元だけ見れば、若干、消費が回復しているという数字はありますが、決してこれ安定的に消費が回復している、そういう状況にはないし、それは次の消費税上げの時期まで見据えてもその時までに消費が回復基調になるとはとても見込めない。その状況で、消費税の増税をすれば、明らかに消費にマイナス効果になると。日本の経済の足を引っ張っているのは個人消費ですから、現在の経済状況としては、それは…、上げるべきですよ、社会保障と税の一体改革は正しかった、正しかったけれども、その後、運用した安倍政権が間違っていた。だけど、その間違った結果として、消費不況がさらに酷くなっている状況の中で、それを加速させるというのは、やるべきだけれど、できない。もう1つは、たとえば、足元でも法人税減税をやっているわけですよ、財政再建が必要だ、社会保障財源が必要だと言って消費税をお願いしながら一方で法人減税をしておいて、だけど、財源が足りないのだから。所得の低い人も、生活困窮している人も、消費税もっと負担してください、と言うのは、これは国民の理解が得られない。少なくとも、あの社会保障と税の一体改革をした時点での、たとえば、法人税、あるいは所得税の、高額所得者に対する所得税や、そうした状況までは戻さなければいけないし。さらに言えば、この間の4年半の状況を見たら、いや、そういうところでもうちょっと払っていただけるところは、もっと払ってもらいましょうね、そちらを先行させないと、それは財源が足りないからという話に対して国民の皆さんが理解していただける状況ではないと私は思います」
反町キャスター
「そうすると、資産課税とか、所得税の累進性の強化とか…」
枝野議員
「はい、法人税…」
反町キャスター
「…法人税とか、そういう相続税もあるかもしれない」
枝野議員
「そうですね、はい」
反町キャスター
「そういうところで、数兆円なりのロットが稼げるようなところをまず考えるべきだと、こういう話ですか?」
枝野議員
「それで必要な社会保障財源を全部できるだなんて無責任なことを言うつもりはありません」
反町キャスター
「あとは国債でと言いましたよね」
枝野議員
「でも、それがいくら出るのかは別としても、そのことについてやれることをキチッとやる、そのことが前提です」
反町キャスター
「消費税よりも、今言った課税強化の方か先だという意味ですね?」
枝野議員
「そうです、はい」
反町キャスター
「なるほど。それは結果的に財政再建の先送り。プライマリーバランス2020年と言っていますけれども、政府は。その部分との兼ね合いはどう見ているのですか?」
枝野議員
「これも我々が政権をお預かりしていた時には2020年でやるべきだと、やれると思っていましたが、その後、景気対策と称して、実は経済波及効果が相対的に小さな、実際に実体経済を潤していない、公共事業、赤字、建設国債の増発をやっているわけですよ、さらに悪化させているわけですよ。なおかつそれでも消費が回復しないという状況では、今、緊縮はできません。それは税制再建するためには、緊縮をして、増税をして、と両方やらなければいけないわけですが、今、緊縮したら、本当に経済はボロボロではないですか。そこは本来、場合によっては緊縮もして税の負担もお願いしてやらなければならない財政状況ではあるけれども、一方で、特にこの4年半の状況でますます消費不況の状況が深刻化している、ここをなんとかしない限りは、現在の経済状況を脱出できない。その中で緊縮財政をとるという道は、現在はとれないと、私は経済論として思います」

『民共連携』と政権構想
松村キャスター
「枝野さんは、野党との連携をどのように考えていますか?」
枝野議員
「まず我が党がしっかりと主体性を持って行わなければいけないと。それから、我々にとって、できる範囲というのは、それは政党が違えば、考えてることが違うから別の政党なわけですから、その一致する限度でしかできない、従って限界はある、これはもうはっきりしている。それをグラつかせてしまったら理解を得られるはずない。本来の我が党に対する支持者・応援団の皆さんの理解を得られる範囲でやらなければ、それは結果にもつながらない。従って、これは、いかに自民党の議席を減らし、自民党の暴走にブレーキをかけるかということが目的なのですから、党の本来の支持者・応援団の反発を食って、それでむしろ票を減らしたのでは意味がないし。それから、本来我々が目指している社会の像と、違うことをやらざるを得ないことに追い込まれたら、それは元も子もない話ですから。ですから、やれることについての限界はあると。だから、私が幹事長時代に結んだ4党での合意も、でき得る限りで、ということを必ず入れているわけです。でき得る限りでということを、いかに最大化するかというのは、これは路線の問題ではなく、政治の技術の問題だと思います。お互い立場が違う、4党間でも立場が違う、それから、我が党の中にも、応援をしてくれている人達の中にも、いろいろな意見がある。その全てが折り合えるギリギリの線のところをどうつくりあげていくのかという政治の技術の問題であると。従って、路線の問題ではない、だから、路線対立ではないと思っています。その技術という意味では、まさに参議院選挙の時の幹事長をやらせていただいて、あの時の現在とは比べものにならないような安倍内閣の高支持率と自民党の高支持率の中で、東日本・北日本に限定されているとは言いながら、1人区で、しかも、勝ったのは、新潟と沖縄以外は全て民主党…、民進党の候補者です、成果を挙げたんです。同じことをやればいいとは思っていません。なぜならば衆議院選挙は政権選択選挙でもありますから、参議院選挙とは位置づけも違う。だから、もっとハードルは高いとは思っていますが、その時の経験を活かして、今申し上げた、4党でのそれぞれの折り合いがつく、我が党を応援してくれている人達もなんとかギリギリ理解してもらえる、その結果として1番、自民党の議席を減らすという、野党第1党としての責任を果たす、その結果に結びつける技術をどれぐらい発揮できるのかということが問われるのだと思っています」
田﨑氏
「見え方、見せ方の問題があって、たとえば、国会対策、国会運営対策上、共産党となんでも一緒にやっていると、民進党は、と見られますと、民進党に投票しようが、共産党に投票しようが、どちらだって同じではないかとなっていくと思うんです。だから、どういうふうに共産党との関係を見せるかということにおいては、もうちょっと注意深くやった方が、地方議員の人達、共産党と戦っているわけですから、そういう人達がやり易くなるのではないかなと思うんですね」
枝野議員
「非常に具体的なことを申し上げると、実は今日から、私の、地元中の地元の埼玉県さいたま市大宮区で県議補選がスタートしているんです。ここは、我が党も公認候補を出していますが、共産党も公認候補を出して戦っているんです」
田﨑氏
「そうですね」
枝野議員
「だから、当然、できること、できないことがあって。私の足元で共産党と戦っているんですよ、現在」
田﨑氏
「ええ」
枝野議員
「ですから、まさにできないことはできない、やらない。それは明確に私自身が現在、体現しているんですよ。だから、そこは、ましてや野党第1党が他党にすり寄っているみたいな姿を見せたら、絶対に理解できるはずはないわけです。ただ、自民党の議席を減らすことが優先課題だよねと言ってくれる他の政党があるのであれば、我々が主体性を持った範囲の中でやれることに最大限努力すると。できないことは、やっていないわけです、実際に自分の足元で。代表選挙の直前に投票日がある、私にとって落とすわけにはいかない選挙で、だって、県政については与党と野党は立場が違いますから、それは一緒にできるはずがない、実際戦っているわけですから、そういうところを見ていただければ、私の姿勢というのははっきりしていると思います」

民進党と憲法改正
松村キャスター
「では、憲法改正への見解についてです。枝野さんは先日の出馬会見で『立憲主義を破壊し専守防衛を逸脱した集団的自衛権の一部行使容認は到底認めることはできません。これを前提とした9条の改訂は党綱領に反するものとして徹底的に戦います』と見解を表明されています。安倍総理が掲げる9条の改訂には反対?」
枝野議員
「それは当然です。これに協力できる余地はないと思います」
反町キャスター
「前原さんにも聞いている部分ですけれど、次に民進党の代表になられた時に、参議院選挙や総選挙がある時に党代表としては安保法制の廃棄、それを公約として掲げて戦われるのですか?」
枝野議員
「前回の参議院選挙もそうでしたし、基本的にはそうだと思っています。ただ、ただし、安保法制は廃棄しますけれども、我々は同時に違憲部分を除いた、我々が最大限、我が国の安全保障について現行憲法の下でできることについてキチッと行う。それは安保法制の時にも案を出しましたし、示しましたし、それをベースにしたものをキチッと廃止と同時につくるということをセットでやるので、あの時につくったものを全部ゼロにしてしまうというつもりはまったくありません」
反町キャスター
「でも、日米安保法制に基づいた日米ガイドラインもできて、その結果、同じように繰り返しますけれども、2プラス2においても、その積み重ねにおいて現在、北朝鮮への対応の準備が進められているように僕らには見えます。そこの部分、安保法制を廃棄して、新しい民進党なりのオリジナルな別の、個別的自衛権に特化したものだと思うのですけれども、それによってガイドラインの見直しやら、北朝鮮の問題に対する対応に揺らぎは出ないですか?」
枝野議員
「現状では直近の2プラス2は外交・安全保障問題ですから全てが公開されているわけではありませんが、私の知り得る限りでは、つまり、いわゆる今回、安倍政権が行った安保法制において拡大した、逸脱した集団的自衛権の一部行使容認を前提としなくても、この間、積み重ねられている日米間の安全保障に向けての合意は履行できると思っています」
反町キャスター
「そうすると、次の国政選挙に向けて安保法制の廃棄というものを1つの柱として戦われると、そういうことになるんですね?」
枝野議員
「そうです、はい。ただし、繰り返します、廃棄するだけではないですから、全部なくしてしまうわけではない、違憲部分を。違憲なのだからダメですとやめさせる。でも、それにあたってはパッケージの法案でつくられましたから、それはいったんゼロにはするけど、同時に日本の安全保障について必要なこと、自民党が逆にやっていなかった、尖閣を本当に守るために必要なグレーゾーンをどう守るのかとか…」
反町キャスター
「領域警備法」
枝野議員
「そう、こういったことも同時にやりますから、我々は。なくすことだけ強調されると、ちょっと違います」
田﨑氏
「枝野さんの話はいつも論理的だと思うのですけれども、何かリーダーとしての情熱みたいなものをあまり感じないです、実は」
枝野議員
「時々、怒られます…」
反町キャスター
「答えようがないよね?」
枝野議員
「時々、怒られますが…、世界の潮流でもあると思うんですけれども、先進国において。上からのリーダーシップ、つまり、由らしむべし、知らしむべからず的な一種、安倍さん、そうですよね、経済運営もそうだし、なにか上からこれでいくのだと、やることによって、世の中を引っ張っていく。これは1つのリーダーシップの形だと思います。でも、要するに、価値観も多様化して、いろいろな人達が社会にいる中で、皆が納得して、国をまとめていって前に進んでいこうと思った時、それはもう時代遅れだと思っています。逆に草の根の声にキチッと耳を傾けて、そうしたところの声をいかに包括的に受け止めて、その中で皆が納得できる落としどころと言うか、あっ、これならば皆でまとまっていけるよねというものをキチッと示していきながら皆でつくっていく。こういう社会にしていかないと、なかなか現代の民主主義というのはまわっていかないのではないか?現在それがなかなか難しいことなので、ちょっと目先の変わったリーダーに一時いってしまっている国が、日本も含めてあって、でも、それはまわらないよねというフェーズに入りつつあるのだと思っていまして。俺がこれでいくのだ、ではなくて、私がキチッと皆の声を聞いて、皆ができるだけ納得できるような話でまとめていきましょう、それで皆でいきましょうよと。これはもともと日本の社会のあり方です、日本の最初の政治方針は、和を以て貴しとなす、です」
反町キャスター
「民進党の党運営もそういうポリシーでやっていくということですね?」
枝野議員
「そうです、はい。もちろん、私、たとえば、明確にこれでいきたい、これでいくのだということを示さなければならないことはたくさんある。だけど、それだけではなくて、むしろ多くのことは皆さんの、しかも、それは国会議員ではないですよ、むしろ党運営ということで言えば、地方議員であったり、党員サポーターであったり。国政の運営ということであったら、別に1億人の声を全部聞けるわけではない、だけれども、そうしたところにいかにネットワークを張って、なかなか入ってこない声を聞けるのか、それをどう受け止めて、意見が対立していたら折り合いをつけられない、つけにくいことを、どう折り合いをつけていくか。これが21世紀型のリーダーだと思っています」