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2017年8月9日(水)
岸田文雄氏今こそ語る 憲法改正&ポスト安倍

ゲスト

岸田文雄
自由民主党政務調査会長 前外務大臣 衆議院議員
宮家邦彦
外交評論家(前半)
伊藤惇夫
政治アナリスト(後半)


前編

岸田政調会長 今こそ語る『核兵器禁止条約』と日本
秋元キャスター
「今日は自民党の新しい政調会長で前外務大臣の岸田文雄さんをゲストに迎えて、外交をはじめ、安全保障、憲法改正、経済政策など、日本が直面する課題から、ポスト安倍に対する考えまで、たっぷりお話を聞いていきます」
反町キャスター
「今日は長崎に原爆が投下された日です。8月6日が広島、9日が長崎ということですが、岸田さんは広島出身ということで、この件から聞いていきたいのですが、核兵器禁止条約。核兵器の使用・開発・実験・製造・保有・使用の威嚇などを禁止するというもので、国連加盟193か国中129か国が交渉に参加して122か国が賛成して成立したということになるのですけれども。日本はこの交渉にも不参加でありました。長崎の田上市長もそういう発言をする中で、書生論みたいになっちゃうのですけれども、唯一の被爆国・日本がなぜこの条約の参加を見送ったのか、教えていただけますか?」
岸田政調会長
「私も広島出身の人間ですので、核軍縮・不拡散、これは外務大臣としても、また、私自身、政治家としてもライフワークの1つとして取り組んできました。その中で核兵器のない世界を目指す、この大きな目標を現実のものにするためには核兵器国と非核兵器国、核兵器を持っている国と持っていない国、共に協力しなければ結果が出ない。特に核兵器国を巻き込まないと現実に核兵器を持っているのは核兵器国ですから、具体的な結果が出ない。こういった思いを随分と感じてきました。その中にあって今回の核兵器禁止条約、議論が行われたのですが、核兵器国だけではなく、非核兵器国の中でもドイツとか、カナダとか、オーストラリア、日本と共にこの軍縮・不拡散に取り組んできた中道国という国も参加しませんでした。このまま議論を進めると、この核兵器国と非核兵器国の亀裂、対立をより深刻化させてしまう。こういった判断から、日本としては交渉への参加を見合わせた、こういったことでありました。核兵器国と非核兵器国の協力が重要である、これはこれからも変わらないのですが、今回この核兵器禁止条約の交渉が進められる中で、非核兵器国、核兵器を持っていない国もNPT派と核禁派、要は、核不拡散条約派と核兵器禁止条約派、核兵器を持っていない国もこの両派に分断されてしまったと…」
反町キャスター
「NPT派というのは、つまり、所有国の権利は一応認めたうえで、それ以上の広がりを止めたいという人達ですよね?」
岸田政調会長
「ですから、5か国の核を持っている国は現状認めるわけですが、それを減らしていく努力をする、持っていない国は核を持つことがあってはならないと。しかし、その代わり平和的な利用をする、利用を行う、こういった権利を与える、これがNPT体制です。こういったNPT体制を大事にする国と、それから、核兵器禁止条約を大事にする国、この非核兵器国の中でも、2つに分かれてしまった。この核兵器国とNPT派と核兵器禁止条約派、この3つを協力させないと結果につながらない。唯一の戦争被爆国としてはこの3つを協力させる、このために努力しなければいけない。そこで私は外務大臣を辞める直前に、その3者からそれぞれ有識者を選ばせていただいて、その有識者の方々に議論をしてもらって、この3者を協力するためには何をしたらいいか。これを日本として提言しようということで、9月に第1回目の会合を行ってもらう、来年の春までに日本の考え方を国際社会に提案すると。こういった仕かけをつくるところまでやったのですが、是非こうした仕かけのもとに、この3者が協力する体制をつくるように日本は唯一の戦争被爆国として努力をしなければならない、そのように思っています」

外相『4年7か月』の実像
秋元キャスター
「外務大臣の在任日数ですが、岸田さんは4年7か月を超える1682日と、吉田茂元総理に次いで2番目の長さなわけです。岸田さん、あらためて4年7か月、どの場面が1番印象に残っていますか?」
岸田政調会長
「いろんなことがありました。印象に残っているのは、一昨年の日韓合意ですとか、昨年のオバマ大統領の広島訪問、安倍総理の真珠湾訪問。今年に入ってからの日EU(欧州連合)、EPA(経済連携協定)の大枠合意、これは国際社会がだんだん内向きになっていると言われている中にあって、自由貿易の旗を高く掲げるということができた、この大枠合意だったのではないかと思っています、あれも印象に残っています」
反町キャスター
「宮家さん、安倍外交・岸田外交を見た時、安倍さんと岸田さんの役割分担、どういう歯車に見えました?」
宮家氏
「名前をつけるのかどうかは別にして、日本外交で考えた場合、これは1人ではできないですよ。これは総理だけでできるものではない、総理がやるにせよ、外務省を使い、相手があることですから、細かいことをちゃんと手順を踏んでやって初めてそれが花開くわけでしょう。ですから、これは外務省を指揮されたということだけではなく、内閣全体でやっている外交の中で外務省の役割は1番大きいわけですから、それはよくやられたなと思うんです。日韓合意もすごいなと思うし、それから、オバマさんが広島に来たんですよね、あれはケリーさんと話がうまくいかなかったら絶対なかったですよね?」
岸田政調会長
「そうですね」
宮家氏
「それをやられたのは、岸田さんではないのですか?」
岸田政調会長
「うん、ケリー国務長官、それから、当時のキャロライン・ケネディ大使、大変、協力してもらったし、オバマ大統領の広島訪問には大きな役割を果たしてもらったと思っています」
反町キャスター
「戦後70年のタイミングとか、自身が広島出身であることとか、めぐり合わせみたいなものも感じましたか?」
岸田政調会長
「うん、めぐり合わせみたいなものも感じました。現職の米国大統領の被爆地訪問、これは広島の人間からすると戦後72年間、これはいつか是非、来てもらいたいと言い続けてきましたけれど、ある意味では遠い将来の話のような感覚で72年間語ってきたようなところもありました。72年間願っていたものが、現実になったというのは大きな出来事だったと思います」

『日韓合意』舞台裏と今後
秋元キャスター
「岸田さんの外交の中で大きなトピックの1つ、日韓合意、2015年12月です」
反町キャスター
「日韓合意、最終的かつ不可逆的な解決。最終的なものであり、後戻りしないよという意味だと思うのですけれども、現状どうですか?そういう状況に向かっているのですか?韓国の状況を見た時に、我々にはなかなかそう見えない部分があります」
岸田政調会長
「この合意については、一昨年合意がなされた時点で、ご存命であられた元慰安婦の方、47名のうち36名の方が受け入れを表明していると承知しています。こうした方々の想いに、両国政府がしっかりと応じていかなければならないと思っています。さまざまな意味で、日韓合意の重みを感じています。是非、日本と韓国、両国が世界に向けて発信した合意、これを是非履行するべく、これからも努力をしていきたいと思います。日本は既に韓国側が設置した財団に対して昨年、10億円を拠出しました、約束はしっかりと履行をしています。韓国側にもこの履行をお願いし続けていきたいと思っています」
反町キャスター
「日本が果たすべき役割について先週この番組で、『和解・癒やし財団』の理事である陳昌洙さんを迎えて聞いたのですけれど、陳さんは『和解・癒やし財団』の理事としてもいろいろやる中で日韓合意の特に、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う。『日韓両政府が協力し』というところがあるのだよというのが、陳理事の主張なんですよ。つまり、10億円を今回拠出した、財団にお金を出したから韓国側の皆さん、あとは自分達で解決してねという、そういう問題ではないのだと。だから、それ以降も日本政府は協力する義務があるのではないか?たとえば、韓国側、『和解・癒やし財団』が求め、総理が毛頭検討しないと言われた手紙の話です。お金に合わせて手紙を出すかどうかということについて総理は毛頭検討しない、考えていないということを言いました。毛頭という言葉がまた強く、韓国側がこれでまたパンと撥ねたという、こういう説明をされたのですけれども。10億円でおしまいなのか、陳さんが言ったみたいにその後のフォロー、手間のかかる話で僕ら的にもいかがなものかと思う部分もありながらも、そういう協力をするべきかどうか、ここはどうですか?」
岸田政調会長
「まず日韓合意の中身は一昨年、両国の外相がカメラを通じて世界に発信した、発言したあの内容に尽きています。財団の運営について、これは具体的にどんな事業を行うのかということについては、日韓両政府がしっかりと相談をし、そうして議論をし、そうしたうえで進めていく、こういったものであったと理解しています。それ以上でもなければ、それ以下でもありません。これを履行するべく努力を続けなければならないと思っています」
反町キャスター
「1点だけ。10億円を出したことで日本側は日韓合意の全ての義務を果たしたことになるのですか?『日韓両国政府が協力し』という部分においてプラスαまだやるべきなのか?」
岸田政調会長
「財団の具体的な事業について、まったく日本政府の理解もなしに勝手に事業が進められるということはあってはならないわけですから、その内容については両国の意思疎通をしっかりはかっていく、そういったことであると思っています。それ以上のことは日韓合意の中に何も書いていないと思っています」
反町キャスター
「宮家さん、いかがですか?」
宮家氏
「不可逆的という言葉を使ったと聞いて、私、ビックリしたんですよね、すごいことだなと。ゴールポストを、これでもう動かさないのだということですよ。その意味で、それでさらに『日韓両国政府が協力し』というのは、日本政府がやれというだけではないわけで、韓国政府もやるんですよ。その相互性というものをちょっと誤解されているのかもしれないけれど。すごい合意であって、日本はやるべきことを全部やっていて、何かあったらここに戻れるというものをつくられたというのはすごく大きなことだと思う。ですから、時間はかかりますよ、韓国の問題は、この問題はどうせどこかで国内問題になるんですよ。これからも続くかもしれません。でも、戻るのはこれで、不可逆的なものだから。だから、私はこれでいくしかないと」
反町キャスター
「そうすると、日本側は、韓国政府ないし『和解・癒やし財団』等々からさまざまな要求、手紙を出してくれ、10億円以外にも他の費用が発生する時に、その部分での協力とか、今後さまざまなシグナルがくる可能性は十分あると思いますけれど、それはこれ以上は…?」
宮家氏
「それはもうこの文言に戻って、その時々に考えればいいことだと思います」
反町キャスター
「それは、韓国ないし財団からの要求をいちいち検討することが不可逆的な合意、最終的な決着という日韓合意を反故にすることになりませんか?」
宮家氏
「いや、検討と言うか、もしそういうご要望があれば、もちろん、聞きますよ、お話としては」
反町キャスター
「そこです…」
宮家氏
「だけれども、そこで判断をどうするかというのは、この文言に戻るしかないんですよ」
反町キャスター
「でも、聞いたら向こうも期待値が高まるのではないですか?」
岸田政調会長
「ですから、この日韓合意はもう一昨年、両国の外務大臣が発言した内容、それに尽きています。ですから、この問題について、何か議論があればこの文言に戻る、これが基本であると思っています」
反町キャスター
「この協力するという文言は生きているということになりますよね?」
岸田政調会長
「うん?」
反町キャスター
「協力し…」
岸田政調会長
「この文言はもちろん、生きています。それで何かあればこの文言に戻る、そういうことだと思います」
秋元キャスター
「韓国側がもし本当に一緒に協力しようというつもりがあったとしたら、表で手紙を要求しますとか言われると、日本側も困るわけではないですか?」
岸田政調会長
「いずれにせよ、最終的・不可逆的に解決する、これを確認しました。そして少なくともこの問題で、両国は国際社会においてお互いをもう非難することはやめる、これを確認した。この意味は大変大きいと思います。そのうえにおいて両国が協力するようなことがあるかどうかということですが。だから、いずれにせよ、この原点はこれからもしっかり大事にしなければならないと思います」

日本の課題と『ポスト安倍』
反町キャスター
「河野さんのお話を聞きたいですけれども、次の外務大臣ですけれども。昨日、この番組でやったのですけれども、王毅さんと河野さんの初手合わせがありました、外相会談、その冒頭の頭撮りの部分、頭撮りというのはカメラが入って、記者もいて、その発言内容は全てオープンの部分です。その中で王毅さんは河野さんに対して『あなたのお父さんは正直な政治家で中国を含む周辺国との友好関係を望む外交官だった、しかし、今回あなたは国際的な外交デビューを果たしたけれども発言した内容にはがっかりした、アメリカがあなたに与えた任務のような感じがした、今日は良い機会なのであなたの考え方を聞きたい』と。非常に挑発的な冒頭の挨拶がありました。それに対して河野さんは『親というのはありがたいもんだなと改めて思った、中国には大国としての振る舞い方というのをやはり身につけていただかなくてはならない』と切り返したようにも見えるのですが。素人目に見ると、非常に非礼だな王毅さんという人は、と思うわけです。岸田さん、王毅さんとの出会いはどんな感じだったのですか?」
岸田政調会長
「確か十数回、王毅さんとはいろいろなやり取りをしました、会談等をしました。最初は前の政権、第2次安倍政権がスタートする前の政権時代に、尖閣の国有化問題等があって、日中関係がもう完全に冷え切った段階ですから、日中外相会談そのものが成立しないという状況でしたので。半ば強引に、この話し合いの場を求めてこちらから働きかけたと、そんなこともありましたし。ようやく会談という形に持ち込んでからも、会談の場に国旗は掲げないとか、最初、今回、冒頭発言がオープンになったわけですが、私の時は会談形式になってからも、冒頭発言なしと、お互いじっと黙って、姿だけ映して会談に入るとか。そういった状況から少しずつ日中関係が良くなってきて、日中外相会談もこうして、確かあれは国旗もちゃんと掲げて…」
反町キャスター
「立っていました、立っていました…」
岸田政調会長
「2人、2か国の外相が共に冒頭発言をするという場面が映像を通じて世界に発信される。4年7か月前と考えると、だいぶ日中関係も…」
反町キャスター
「あっ、これは良くなった?」
岸田政調会長
「こうした議論が成り立ってきたなと。4年間、4年何か月かの間に、日中関係のあり様もだいぶ進んできた部分もあるな。ただ、これは結果が大事ですから、話し合う形としてはだいぶ形が整ってきただろうなと、そんなことは感じています」
反町キャスター
「昨日、皆、スタジオ全員で怒ったのですけれども、岸田さんの話を聞いていると、随分ましになったのだよと、こう見た方がいいのですか?」
宮家氏
「これはこの人達、あまり言いたくないけど、かますんですよ、最初に。それでひるんではいけないですよ。だから、粘り強くやられた結果がこういうことですよ」


後編

『政調会長』就任の舞台裏
秋元キャスター
「安倍総理は今月5日のテレビ番組で、岸田さんを政調会長に起用したことについて聞かれて、こう答えています。『岸田さんとは、ブリュッセルでの日EU首脳会合の際、私の部屋でゆっくり一杯やりながらお互いに胸襟を開いて話をした。これから厳しい状況の中で、自民党、そして、政府をどうやって運営していこうかということを話し合った。そのあと、また話を続け、最終的に岸田さんには政調会長として党を支えていただくことになった』と話されていますが、もともと内閣の骨格は変えないとしていた安倍さんは、岸田さんに外務大臣の留任を要請したとの報道もありましたけれども、岸田さん、外務大臣留任をという話というのはブリュッセルですとか、そのあと、そういう話はあったのでしょうか?」
岸田政調会長
「人事というのは結果が全てですので、結果が出たらその役割をしっかり果たす、これは当然のことですが。逆に人事が決定するまでの過程は、私はあまり明らかにすべきではないと思っています。1つ言えることは今回、安倍総理とじっくり話をさせていただいて、両者が納得したうえで今回のポストをいただいたと思っています。それ以上のことを言うと、報道もいろいろな報道がありましたので、私が何か言えば、どの報道が正しくて、どの報道が間違っていたみたいな話にもなりますし。いずれにしても、人事というのはいろいろな方々にも影響が出る話ですから、結果はもちろん、明らかにしますが、その過程、やり取りは明らかにしないということを申し上げています」
反町キャスター
「岸田さんは、安倍さんが来年の総裁選で3選を目指すことについては賛成なのですか?反対なのですか?」
岸田政調会長
「それは、安倍総理の判断だと思いますし、私が年明けからずっと言っているのは、安倍総理は卓越したリーダーです、しかし、未来永劫、安倍総理1人にずっと頼り続けるというのでは、日本の政治もちょっと心もとない、頼りないということになりかねません。いつかは安倍時代は終わります、そのあと何ができるか。これを今から我々はしっかりと準備して、努力していくことが大事だ、こういったことを申し上げています。ですから、安倍総理がいつまでやられるかとか、来年の総裁選挙がどうだとか、そういうことについては何も言っていませんし、政界というのは、一寸先は闇だと、これはよく言われることですし、常識だと思っているので、先のことは言わない」
反町キャスター
「派閥によっては3選に賛成というところも出てきているではないですか。そこの部分は、岸田さんは個人としても、派閥の会長としても安倍さんの3選に賛成するか、しないかというのは、暫く言ってもしょうがない、言うべきでないと思っている?」
岸田政調会長
「今は何も言っていません」
反町キャスター
「安倍さんが卓越した政治家であることと、そのあと誰かやらなくてはいけない、当然、自身のことも被ってくるのでしょうけれども。その部分において、安倍さんから見た時に、信頼関係の背景にあるものというのはどういうものなのか。伊藤さんに聞いた方がいいのかな、どうですか?言葉は悪いけれども、寝首を掻く相手を信頼するかというと僕はしないと思うんですよ」
伊藤氏
「ただ、今の安倍総理の置かれた環境というのはかなり厳しいですよね、いろいろな意味で。そういう厳しい状況の中で、安倍さんから見たらですよ、各派がありますけれども、信頼できる派閥は実はそんなに多くないと思っているんですよ。3選を支持すると言った派閥ですら、果たして信用できるかどうかわからない。安倍総理はたぶんそうだと思いますよ、政治の世界とはそういうものですから。逆にそれを明確にしないけれども、これまで支えてきた部分、それから、今回もおそらく安倍総理も岸田さんもお互いに納得したうえでこのポジションをたぶん引き受けられたのだと思いますから、そういう納得のうえで引き受けてもらうことによって、少なくとも当面は、安倍さんからすれば、当面は間違いなく、岸田さん及び岸田派、宏池会は支えてくれるという確信があったから、こういう人事をやったのではないかなという気がします」
岸田政調会長
「…はい。今は大事な時です」
伊藤氏
「だって、来年9月なんて…」
反町キャスター
「えっ、何?」
岸田政調会長
「今は大事な時だからしっかり我々としても、宏池会も総理を支えますと申し上げています」
伊藤氏
「岸田さんのおっしゃっている通り、来年の9月にはまだ1年以上あるんですよ。その間、政治はどう動くかわからないのだから、それを今から決め打ちして、3選を支持します、という派閥の方がどちらかと言うとおかしいと思います、それは」
反町キャスター
「その通り、そうですよね。それは岸田さんが先ほど言った、そういう意味ですよね?」
岸田政調会長
「はい」
反町キャスター
「一寸先は闇だというのはそういう意味で…、一寸先は闇だと言ったのは、伊藤さんですか?」
伊藤氏
「いえいえ、違います」
岸田政調会長
「こっちが言った…」
反町キャスター
「そうですよね。そう考えると現在の時点で来年の総裁選で総理の3選を支持しますよというのは本当に真面目に考えたら切れない手形だなと思うわけですよ」
岸田政調会長
「ほう…」
反町キャスター
「そういう理解でいいですか?」
岸田政調会長
「いずれにせよ、他の派閥が、他の政治家がどう思って、どう発言をしているかは、私はわかりませんが、私自身は今言った以上のことは申し上げていない。要は、随分先の話まで今から何か明言することはできないと、しないということを申し上げています」

『憲法改正』への本音
秋元キャスター
「岸田さんですけれど、憲法改正について安倍総理と考え方が違う部分があります。安倍総理は5月に、憲法9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込むという憲法改正に関する提案を発表しました。一方、岸田さんはおよそ1週間後、岸田派の会合で『憲法9条を今すぐに改正することは考えない。まずは平和安全法制がどのような成果をもたらすのかをしっかり見極めようではないか』と話されています。これから自民党内で憲法改正の議論が本格化するわけですが、岸田さん、今もこの考えは変わりないですか?」
岸田政調会長
「うん、まず変わりはありません。ちょっと説明をつけ加えさせてもらいますと、そこに出してもらった発言は一昨年秋の宏池会の研修会で私が発言したことです。その発言が今年の5月の段階でも変わらないということを言ったということです。一昨年の秋の、宏池会の研修会というのは、どういうタイミングだったかと言うと、まさに平和安全法制、私も担当大臣として216時間、防衛大臣と共に1国会で216時間、野党の質問に耐え続けた、あの直後だったわけです。あの審議というのは、北朝鮮をはじめとする厳しい安全保障環境の中で、わが国としてどこまで備えなければいけないか。一方で、平和憲法との関係でどこまで対応が許されるか。この2つの課題を議論して、その両方を両立させる答えを出したというのが平和安全法制だったわけです。その1つの基準である憲法、今言ったような議論が終わった直後に、1つの基準である憲法をすぐ変えるというのであったならば、216時間の議論は何だったのだということになりかねませんよねと。だから、今は9条の改正については考えない、それを一昨年の秋に私は発言したわけです。その発言は現在でも変わっていないということを、今年5月にあらためて申し上げた、これが私の考え方です。総理のこの発言も、9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込むということであるならば、この具体的に現状とどう違うのか、これをよく考えてみないと。私の今言ったような9条の改正は、現在は考えないという考え方と、総理の改正しようとするこの中身と一緒なのか、違うのか、これをよく考えてみる必要があるのではないか、こんなことを申し上げたわけです」
反町キャスター
「実態においてあまり違わないよとおっしゃっているように聞こえます」
岸田政調会長
「うーん、かも…、ことも含め、よくこの検討してみなければならないと思っていますが。いずれにせよ、憲法改正の議論は現在、党におきまして憲法改正推進本部で議論が行われています。この議論を丁寧にやることがひいては国民の理解につながると思います。憲法というのは国民のものですので国民の理解につながるような丁寧な議論を党でやることが大事だと思っています」
反町キャスター
「だから、今すぐ改正することは考えないという気持ちは変わっていない、これは5月で、現在は8月ですけれども…」
岸田政調会長
「誤解がないように申し上げると、私も憲法は時代の変化と共にしっかりと検討し、あるべき姿を追求していかなくてはならないと、その時代の変化の中で改正というものも当然、考えていかなければいけない、この立場です。問題はどう改正するかという…」
反町キャスター
「どこを?」
岸田政調会長
「そう、どこをどう改正するかということです。9条については今、申し上げた考え方でありますが、いずれにせよ、党内議論を尊重したいと思っていますし、それ以外も含めて、憲法の改正を議論するのであるならば中身が大事だと思っています」
伊藤氏
「そうすると、安倍総理が当初、総裁がスケジュール的なことをおっしゃって、秋の臨時国会には自民党が草案を出す方向で動いてほしいというようなことをおっしゃっていましたけれども。そのスケジュール的なものというのはとりあえず横に置くということになるのですか?」
岸田政調会長
「総理自身もその後、スケジュールありきではないと発言をされたと承知をしています。この丁寧な議論を行うことが国民の理解にもつながって、結果として憲法の改正の議論を前に進めることにもなる、こういったことではないかと思っていますので。そういった意味で、丁寧な議論を心がけていきたい、このように思っています」

『ポスト安倍』とリーダー論
秋元キャスター
「宏池会はこれまでに池田総理、それから、大平総理、鈴木総理、宮澤総理と4人の総理大臣を輩出してきました。保守本流の派閥です。今回の内閣改造で4人(川上法相、林文科相、小野寺防衛相、松山1億総活躍相)が入閣しまして、派閥単位で見れば最も多く起用されています。岸田さん、宏池会ですけれども、宮澤元総理以降、総理大臣が出ていないのですけれども、次は総理大臣をという想いは持っていますか?」
岸田政調会長
「うん、宏池会としてしっかり政治を担う、こうした役割を果たしていきたい、この想いは強く思っています。そのためにどうあるべきかということですが。宏池会の歴史を見ますと、この池田内閣の寛容と忍耐とか、大平内閣の信頼と合意ですとか、権力の使い方とか権力とのつきあい方、これについては謙虚であるべきだというのが…」
反町キャスター
「抑制的ですよね?」
岸田政調会長
「抑制的であるというのが宏池会の伝統だったと思います。是非そういう伝統を大事にしながら、宏池会としてどういったポジションで日本の政治を支えていくのか、動かしていくか、これを考えていきたいと思います。総理を目指すべきだという意見もいろいろなところから出てはいますが、それが目的ではなくして政治の中でどんな役割を果たしていくべきなのか、それを考えたうえで、具体的なポストとか、ポジションが決まっていくのだと思います」
反町キャスター
「どうなのですか?周りから総理を目指せ、総理を目指せと、いよいよ宏池会政権が近いなと言われるではないですか?」
岸田政調会長
「うん、あの…」
反町キャスター
「どんな気分なのですか?言われる本人としては?」
岸田政調会長
「うん、まず…」
反町キャスター
「プレッシャーになるものなのですか?それともやってやるぞと?」
岸田政調会長
「まず総理の責任というのは誠に大きいものでありますし、これは大変な激務だと思います。そう簡単に口に出せる話ではないと思いますし。また、目指すとしても、これは世の中そんな甘いものではありません。…言うほど思い通りに、得られるものではない。そういった動きがあれば、逆の動きも必ず出てくるわけですし、その中で自らはどうあるべきなのか、これを毎日、毎日、考えていくということだと思っています」
反町キャスター
「岸田さん、こういう日本をつくっていきたいという、お腹の中にあるものは何ですか?」
岸田政調会長
「うん、現在の政治状況、あるいは国際状況の中での私自身の問題意識として、いろいろなところで最近申し上げているのは、持続可能性というのがキーワードであると思っています。要は、日本の国内においても現在、日本は歴史上初めて人口が減少するという時代を迎えています。日本の経済、あるいは社会保障制度、人口が増加する、経済が拡大する、こういったことを前提に制度がつくられて、その大前提が変わろうとしている時に、制度も現在のままでいいのかなど、この日本の社会を、これからも持続していくために考えなければならないことはたくさんあるのではないか。さらには格差の問題、所得の格差が教育の格差につながり、教育の格差がまた所得の格差の再生産となる、この負の連鎖が始まっている。こういったことは社会の持続可能性ということから考えた場合にこのままでいいのだろうかとか。財政においても持続可能性というのは大変大きな問題になります。国内でもこういうことですし、国際的にも現在国連において最も大きな議論になるのは、SDGs、持続可能な開発のための目標2030。2030年まで世界が持続していくことが可能であるためにやらなければいけない17の課題というのを選定して、教育だとか、貧困だとか、あるいは医療だとか、こういった課題を掲げ、これは開発途上国だけではなくて先進国も自ら努力しなければならない、こういった取り組みを進めています。これはまさに国際社会の持続可能性に関わる議論です。今、国内外のさまざまな課題を見る時の1つのキーワードは持続可能性だと思っています」
反町キャスター
「持続可能性という言葉の1つのポイントになるのは、たとえば、財政問題の持続可能性、社会保障の持続可能性を考えた時に、消費税というのは逃げられないテーマだと思いますよ。どう考えますか?」
岸田政調会長
「うん、消費税、大変重要な要素だと思います。政治において消費税を議論する、とり扱う、これは大変重たい課題であるということ、これはもう過去の歴史を見ても強く感じます。ですから、だからこそこの消費税の重要性をしっかり念頭に、どうあるべきかを決定しなければいけませんが。要は、国民に対してどう説明するかということだと思います。説明する1つの材料として、将来の見通しもあるでしょうし、今現在のこの横のこのさまざまな制度、社会保障であったり、教育であったり、こうした制度との関係においてどういった意味があるのかとか、そういった丁寧な説明をすることが大事になってくるのではないかと思います」
伊藤氏
「総理になることが目的ではないとおっしゃいました。ただ一方で、持続可能性ということをおっしゃいました。それを目指すのであれば総理にならなければ実現できない大きなビジョンですよね、それはある意味で、トータルビジョンですから。だとすれば、総理になることが目的ではないけれども、持続可能性という、全体像の中にいろいろなさまざまな政策がその中に散りばめられているわけですけれども、それをトータルでこれから提示していくということであれば、同時に、それを2030年、2040年に向けて地ならしをするということであれば、当然、総理にならなければできないのではないですか?」
岸田政調会長
「私が目指す政治というのは、先ほど説明した通りです。それを実現するためには、どうしたらいいか、ですし、それを実現できるのは誰か、ということなのだと思います。そういった議論の中で、総理を目指すのかどうか、それが決まってくるのだと思います。まずは何をやりたいのか、これが大事だと思っています」
反町キャスター
「総理になりたいというのが先にあると思われたくないということが、すごくブワーッと伝わってくるのですけれど、そういう理解でよろしいのですか?ポストを目指しているのではないのだと、やりたいことが先にあるのだ、その手段としての総理なのだよというところ、きちんと順序立てて有権者に説明したいと聞こえます」
岸田政調会長
「うん、それも宏池会の1つの伝統なのだと思います。権力に対する抑制的な、謙虚な姿勢、これも1つの伝統ではないかと思いますし、そういった姿勢を大事にしてきた結果として4人の総理を出すこともできた、そう思っています」

岸田文雄 自由民主党政務調査会長の抱負 『持続可能性の追求』
岸田政調会長
「先ほども話題に上げてしまいましたが、持続可能性の追求、これを1つ大事にしていきたいと思います。もちろん、政調会長ですからさまざまな議論をしっかり整理して、党としての結論を出す、これが大きな役割ですけれども、その中にあっても、この点は絶えず念頭に置いておきたいなと思います」
秋元キャスター
「伊藤さん、どう見ますか?」
伊藤氏
「前からこの番組でも、現在の政治に欠けているのはトータルビジョンだということをずっと申し上げてきたんです。これは与党、野党問わず。特に野党にも言いたいのですけれども、野党が与党に勝負できるのはビジョンだけです、実は。それが提示できていないから、ああいう状況になっていると思うのですが。これは1つ、トータルビジョンのヒントになるものだと思っています。持続可能国家でもなんでもいいです。その代わり、あまり細かいことをたくさんつける必要はないけど、これが1つのビジョンのネーミングになるとすれば、その下にわかりやすいものがいくつかくっついて、これからの世界は、こうなるのだよ、ということを肉づけする中で、アピールし続けていくということが大事なことではないかなという気がします」
反町キャスター
「いかがですか?」
岸田政調会長
「そうですね。ですから、こういった考え方を大事にしていくためにも、多くの国民の皆さんに理解してもらわないといけない。その理解を得るために今の伊藤さんのアドバイスというのは大事なことなのではないかと思って聞いていました」
反町キャスター
「痛みをキチッと説明する、税にしても、社会保障や医療改革にしても。痛みがないですよという言葉には国民は眉唾ではないかと思っているのではないか?」
岸田政調会長
「そうですね」
反町キャスター
「こういう痛みから逃げられないですよという説明を政調会長として、されますか?」
岸田政調会長
「もちろん、痛みも説明しなければなりません。でも、痛みに見合うだけの、希望とか、この明るい部分もしっかり示さないと、痛みばかりを説明していたのでは、これもまた理解されないと、このバランスは大事だと思います」