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2017年8月1日(火)
深夜の衝撃!ICBM 本土射程化に米国は?

ゲスト

林芳正
元防衛大臣 自由民主党安全保障調査会顧問 参議院議員
香田洋二
元自衛艦隊司令官
川上高司
拓殖大学海外事情研究所所長 教授
小原凡司
笹川平和財団特任研究員

検証!北朝鮮ICBM 注目点と脅威の実相
秋元キャスター
「先週金曜の深夜、北朝鮮が発射しましたICBM、大陸間弾道ミサイルの衝撃と波紋が世界に広がっています。北朝鮮のICBMの脅威に、アメリカ、中国、日本はどう対応するべきでしょうか。北朝鮮問題の行方と国際社会の今後の戦略を検証します。さて、北朝鮮は先週金曜日深夜にICBMを発射したわけですけれども、その前の先月4日にもICBMを発射しています。まずこの2つのミサイルについてデータを比較してみますと、このようになります。先月4日に発射したもの、午前9時39分頃、北朝鮮西部の亀城から発射されて、最大高度が2802km、39分間飛びました、933km飛翔し、日本の排他的経済水域、EEZ内に落下をしています。先週金曜日、午後11時42分に発射されたもの、こちらは北朝鮮北部の舞坪里から発射されて、最大高度が3824km、47分12秒間飛翔し、998km飛翔、北海道奥尻島の北西およそ150kmの、日本のEEZ内に落下をしています。最大高度、飛翔時間、距離、全て1回目のICBM発射を今回上まわっているわけですが、香田さん、北朝鮮が2回目のICBMを発射した目的には、どういった技術的発展・進展があったのか、どう見ていますか?」
香田氏
「7月4日の最初に撃った時に、私も含め、多くの者は、初めてのICBMということで、積めるものは全部積んで、いわゆる最大の性能をテストする発射だと思っていたんですね。実は2回目、28日に撃った時は、当初の見積もりは、非常に高く飛んで、長く飛んだものですから、さらに進んだICBMを撃ったのではないかという、そこまで考える必要があったのですけれど、実は同じミサイルというのを北朝鮮が翌日すぐ発表したわけです。そこでわかったことは、これは同じミサイルだということは間違いないと思います。と言うことは、実は7月4日の発射というのはアメリカとの緊張状況も高まっていますし、おそらく北としては、中国がアメリカの圧力、あるいは国際社会の圧力によって、この先さらに北朝鮮に働きかけてきた時に動きがとれなくなるということから早く成功させたいという、おそらく思惑もあったのだろうと思うのですけれど。それは成功を重視して、1回目は、体重も減らして、100m走る時で言えば10秒切るぐらいで走るのではなくて、12秒ぐらいで、いわゆるウォームアップみたいに流したと、ただし、きっちり走り切るということが重要だったんですよね、途中で倒れたりしないとか、足が攣らないというですね。それで、おそらくその時の結果というのは非常に良かったのだと思います。それで2回目については、自信を持って、いわゆる戦闘状態と言いますか、燃料も全部積んで、模擬の核弾頭も積んで、重さも同じようにして、それでICBMとして機能するかどうかというのをいきなりアメリカに向かって撃つわけにもいきませんので、ロフテッド軌道で同じように日本海で撃ったと」
反町キャスター
「中に本物同様のものを積んだかどうかというのは、それは、たとえば、炎の大きさとかでわかるものなのですか?」
香田氏
「いえ、それはわかりません。ただし、これは武器システムですから、最終的には1トン近くの核弾頭を積んでアメリカまで届かないと武器システムにならないわけですね。かたや仮にプラスアルファが試作型であるとしても、仮に6発としてもその中で全てのテストを完了させて、実践までもっていかないかんですね。と言うことは、1発目の成績が良ければ、2発目はとにかく全部積んでみて、この近場で落ちるロフテッド軌道で北朝鮮がしっかりと情報を収集できる態勢の中で計算通り飛んでいるかどうかと。それを3発目、4発目でやればいいではないかという案もあるのですけれども、それはそこまでの北朝鮮も資源的な余裕はない。仮に4発としたら、あと2発しか残らないわけですから、もし失敗したら、さらに直す必要もありますので。2回目というのは、弾頭から、弾頭は核ではないのですけれども、重さ、燃料もとにかく全部満タンにして実際に戦闘の時に撃つのとほぼ同じ格好で撃ったというのが、28日の試験発射だと見ています」
反町キャスター
「香田さん、今回の発射はいろいろと条件がこれまでと違いました。見えないところ、深夜で、森の中から撃ちました。ああいうものはどう見たらいいのですか?」
香田氏
「まず実践能力を試すために深夜に撃ったということについては、そう考えない方がいいと思います。と言うのは、ICBMというのはアメリカに届きますので、北朝鮮で夜に撃っても、まさにワシントンとか、ロサンゼルスは真っ昼間の1番迎撃しやすい条件ですね。ですから、ICBMについて言う時、短距離の日本を撃つのは別ですよ、北朝鮮が夜なら日本も夜ですから、迎撃が難しい、技術的には関係ないのですけれども、人の面で夜は難しいですよね。ところが、ICBMは地球の半分飛んでアメリカまで行きますので、こちらが夜ということはかえってアメリカには良い条件です。ですから、これを軍事的に示したと見るべきではなくて、データを取られないということですね。どういうことかと言いますと、実は北朝鮮で予期しないことがこの前、起きたんです。これは先月、現在で言うと、先々月ですか、アメリカが対抗策の一環として、太平洋の島からICBMを撃ってロサンゼルスの沖で迎撃したグラウンド・ベースド・インターセプターと言う、日本のBMDは中距離弾道弾ですけど、いわゆるICBMを対象とした邀撃訓練をデモンストレーションでやって成功させているんです。だから、北は、ICBMはアメリカに対する最後のカードですから、しかも、数的にはそんなにたくさん生産できない、と言うことは、撃ったものは確実にアメリカに着いてもらわなければ困るんですね、撃墜されてもらったら、困るんですよ。何発かは撃墜されても。ただ、グラウンド・ベースド・インターセプターというのは、1つ難しいところは飛んで来るミサイルの速さ、要するに、ICBMの速さが秒速7kmとか、6kmで、日本に飛んで来るノドンの5kmよりも2km程度速いですね。これは理論上、相当、難しい。と言うことは、アメリカから言えば、できるだけこの北朝鮮の火星14のデータというのはほしいですね。些細な単なる写真の違いでも、集めるとすごいデータになる、邀撃精度を上げるということにつながりますので。1回目は、ちょっと大げさに言えば、北朝鮮もはしゃぎ過ぎて、成功に気を良くし過ぎて、データを公表し過ぎたところもある。2回目については以後、これは取らさないぞ、あるいは取られるではあろうけれど、簡単に取らさないぞと。少し長くなりますけれども、これは未確認の情報ですけれども、実は非常に飛行機のお好きな方が日本におられまして、沖縄の米軍の偵察機がいつ飛んでいたかというのをずっと見ているウォッチャーがいるんですね、それは反米ではなくて、飛行機が好きな方です。その方からの非公式な情報だと、アメリカも夜は撃たないということで、まさに偵察機が飛んでいなかったんですね」
反町キャスター
「戻って…」
香田氏
「戻って、そこにいたと。ちょっとこれ以上は詳しくは言えないのですが、その方もありますので。ただし、と言うことは、北朝鮮の思惑というのはある程度当たって、撃った時の少なくともそういう航空機によるデータ収集についてはある程度、深夜に撃ったということで成功しているんですね。そういうこともありますので、北朝鮮は相当このICBMは最後の切り札であるが故に、データ管理、情報管理というのに相当気を使って、厳格にこれからはやっていくだろうと」

米・中の対応と行方
秋元キャスター
「北朝鮮のミサイル問題に対して、中国とアメリカはどう対応していくのか?トランプ大統領は、北朝鮮の2回目のICBM発射を受けて29日、ツイッターに書き込みをしています。『中国には本当にガッカリだ。アメリカとの貿易で儲けてきたのに、北朝鮮の問題では何もしていない』と批判しているわけです。川上さん、アメリカは中国の北朝鮮への対応をどう見ているのでしょうか?」
川上氏
「アメリカは、最初からおそらく、中国といわゆる取引をして、いろいろな米中間に横たわっている問題、貿易摩擦とか、そういうのを解決したい。ですから、おそらく北朝鮮の問題というのは従属であって、その分は中国をずっと見ている。それが1回目の、米中首脳会談のあとの100日間、これがずっと、それで中国をとにかくお前がやれ、やれということを言ってきたわけですね、バッシングして。本当だったら中国が言うように、北朝鮮をやるべきなのが、中国がやってきたというような状況がずっと出て。それで100日経ったあと、米中包括協議をやり、その結果、何もしてないということで、かなり本当にフェーズが変わったのが、これだと思うんですね。本当にガッカリしたと。これから先は、さらに中国に圧力をかけて、もしかすると本当に先制攻撃もするかもしれない。秋の中国の党大会までは、お前、嫌だろうと。それまで、お前、やりたいのかということでやっているのだと思うんですね。基本的にアメリカは結構、余裕で、余裕という意味は、つまり、アメリカが主導権を持って先制攻撃もできるし、北朝鮮に対する予防攻撃もできる。時間もアメリカが主導権を持ってやれるところで、ゆとりを持って中国に圧力をかけながら、北に対するいわゆる脅しもかけつつ、そういう状況だったと思うんですね。ところが、北朝鮮の方が、それまで、つまり、中国の共産党大会までの駆け込みで、とにかくアメリカに対して核つきのICBMを確保したいと、そういうようなところの状況だと思うんです。ですから、見方としては全てトランプさんが主導権を持っているようであって、実はトランプ政権というのはかなり軍事的にはマティス国防長官がしっかり仕切って、この間、ケリーが首席補佐官になって、しかも、マクマスターさんが国家安全保障担当補佐官と、3人軍人が揃っているわけですね。しかも、補佐官がドンドン代わっているわけですし、不安定な状況、しかしながら、実質的には軍がしっかり握っているところで、しっかり統率ができて、大統領のイエスがあれば、ウイ・アー・レディといつでも攻撃できると、そういう時間的な軸の中、それで、おそらくトランプ大統領というのはジリジリといかにディールをするかというところをやってきているような状況だと思うんですね。だから、フェーズが変わりましたから、これがまさにそれで、今後どういう具合に中国が出てくるのかというところがポイントになると思います」
反町キャスター
「アメリカのヘイリー国連大使が30日にこんな発言をしています。『北朝鮮への国際的圧力を大幅に強化しない安保理の追加決議は価値がない。中国は最終的に重大な措置を取りたいのかどうか決めなければならない。話し合いの時間は終わった』と、ヘイリーさん、こういうことを言っているのですけれど、ここにおける重大な措置、中国に何を求めているのですか?」
川上氏
「ヘイリーさんにとりましたら、もし北朝鮮に対して、ミサイルテストとか、核実験をやるのなら、アメリカとしては最終的な措置、つまり、軍事的な措置を取らざるを得ないというようなことを言いながら、たぶん段階があると思うんです。同時に国際社会に対してもっと中国が北朝鮮に対する、いろいろな輸出入をしている、そういう企業、それから、人、これに対しておそらくまずは制裁をするのだと。中国のみならず、その他の国々もやっている会社・企業がありますから、それに制裁を加えながら、国際的に中国を孤立させる、たぶんそれが最初の段階だと思うんですね。おそらく時期的に見ると、おそらく秋の党大会まで尊重してやりながら、その間、米韓等々で軍事演習をやりますから、敷居を上げながら、おそらく党大会まではいき、そこから先、もし事が進まなかったら、アメリカとしては予防攻撃をする可能性があるという具合に見えると思いますし。それから、その間、いろいろアメリカはかなり爆撃機を飛ばしたりして、北朝鮮を煽っていますから、北朝鮮からもし何かの反撃があるのだったら、待っていましたとばかりに、これはやれると。それから、2番目というのは、中国はそういう状況にさせたいのかというようなところを重々警告していると思うんですね。いろいろな読み方があると思います」
反町キャスター
「小原さん、一方で中国の国連大使はこういうことを言っています。『中国にいくら能力があっても中国の努力は実際的な結果を生まない。アメリカと北朝鮮が物事を進め、正しい方向に向かわせる一義的責任を負っている。中国ではない』ということを言っています。この中国の国連大使の発言、アメリカのヘイリー国連大使が、やるのか、やらないのかをはっきりしてくれよと言うのに対して、こういう発言を返している。どう見たらいいのですか?」
小原氏
「まずアメリカと中国は北朝鮮に対する認識は共有していないですね。ですから、中国にとってみれば、アメリカほど北朝鮮のミサイルを怖がっているわけではないということですよね。本来、その2か国が完全に一致して対処すること自体、難しい。ですから、中国にとってみれば、北朝鮮の核問題はアメリカの安全保障の問題であってウチの問題ではないという、他人事だと。しかも、北朝鮮は対話の相手はアメリカだけだと言っている。ですから、中国は本来、当事者ではないですよということを言いたい。そこは不満があると思うんですね」
反町キャスター
「ただ、フロリダの米中首脳会談、トランプ・習近平の時というのは、あの時は、トランプ大統領が習金平主席に対してやってくれよ、わかった、ある程度検討するよ、とはっきり言ったかどうかはわかりませんよ、そういう趣旨の雰囲気だったのではないかという報道がずっと続いています」
小原氏
「そうですね」
反町キャスター
「あの時は、トランプさんと習近平さんの間でどういう合意があって、それが今になってどうしてこういう発言になるのか?そこはどう見たらいいですか?」
小原氏
「中国はアメリカとずっと協調姿勢を見せてきていますし、協調するということも言っているんです。実際にやってきていますが、必ずしもトランプ大統領になってからではないです。昨年の9月には、遼寧省丹東市で企業ですけれど、企業の、トップの女性の会長を逮捕しました。これは北朝鮮に軍事技術を密輸したからという罪で逮捕し、丹東市のトップもすげ替えました。そのような北朝鮮に対する経済制裁といったことも、実はオバマ大統領の時代からやっているんです。でも、それは中国の国内の政治ゲームにも関わっていて、遼寧省の北朝鮮利権というのは実は習永康グループが握っていると言われていまして、このグループとの権力闘争がまだあるのではないかと。最近、遼寧省は全人代、日本でいう国会の、議員の代表の資格を大量に剥奪したりしています。今、遼寧省、締め上げているのですけれども。中国は自分の国益にかなう範囲でしか、それは経済制裁にしろ、その他の所作にしても取らない。しかし、アメリカにそれを超えてやれと言われているということに対する反発なのだと思います」
反町キャスター
「アメリカが中国に1番求める、最終的に北朝鮮の息の根を止める方法というのは、原油の輸出停止ですか?」
小原氏
「はい。原油と、あとは資金の流れもあると思います。民間企業から表に出ない部分でたくさんいっていると思います。これを全て取り締まれと。本当に北朝鮮の政権を倒すところまで追い詰めろということなのだと思うんですね」
反町キャスター
「中国から見たら、原油を止めるということ、つまり、北朝鮮を徹底的に追い込むというところは、選択肢としてないんですね?」
小原氏
「はい。それは北朝鮮…、中国にとっては安全保障上のリスクになりますから、下手に…」
反町キャスター
「ミサイルが自分の方を向くかもしれないと、そういうことですか?」
小原氏
「今のミサイルが中国に向くことはないと思いますが、北朝鮮の社会が不安定化して暴発すること自体、非常に中国は嫌な状況になります。避けたいのは、アメリカの軍事力行使ですから、なんとかそれを抑えようとはしますけれども。だからと言って中国が先頭を切って北朝鮮のレジュームチェンジをするのかと言われると、それは自分の問題ではないという反発につながるとは思います」
秋元キャスター
「林さん、どう見ていますか?」
林議員
「この番組でトランプさんの特集をやった時に、本当にコントロールがないのか、わざと球を散らしているのか、という話をしたことがあって。どちらにしても球は荒れているので、それをうまく使うしかないのではないですかねと、私、言ったことあるんです。たぶん現在のMMラインはしょうがないと、こういう大統領だから。だから、球が荒れているのを使うしかないだろうと思っていてくれたらいいなと私は思っているのですけれど。大統領はいろいろなことを言います、習近平さんもびっくりしたと思いますね、フロリダで。だから、びっくりしたところで、答えを引き出したのだけれども、あまりにびっくりして言っちゃったけれども、よく考えてみたら、それはできることではないし。中国はもうずっとダブルトラック、ダブルフリーズと言っているわけですから、こういう現在の報道、この国連大使がおっしゃっていらしていることをずっと言ってきているわけで。それ以外に踏み込んで、いったい何ができるのですかというのは、結局そんなにないと思うんですよ。従ってある程度、話ができているとすれば、トランプさんとは習近平さんはやるけど、MMラインともう少し中国の実務者のレベルがいったいどういう話をしているのかなということで。私はワシントンのあと、この間、北京にも行ってきましたので、武大偉さんを含め、いろいろな方とお会いしました。武大偉さんは6者協議の議長ということで、責任者ですから。かなり情報はシェアされているという印象は受けました。アメリカがどういうスタンスでいるかというのも全部ご存知で、我々も中国側からブリーフィングを受けるような感じでしたから。そういう意味で、意思の疎通はできているのだけれども、その中でどういうオプションがあり得るのかというのはまだ五里霧中の感じはしましたけれども。そういう意味で、荒れ球をうまく使いながら、向こうはやるし、そこをしっかり実務レベルでつなぎながら、北朝鮮をある意味でじわりじわり包囲をしていくということで、米韓とプラス中ぐらいまではなんとなくできているとしたら、今度はロシアですよね、実際は。ロシアが抜け穴にならないのかなというのを見ながら、いったいどういう着地点があるのかというのを探っていくということしか、現実的にはないのではないかと思います」

日・米・韓の『牽制』効果
秋元キャスター
「日米韓は北朝鮮のICBM発射を受けて、北朝鮮への軍事的な牽制を行っています。7月4日の1回目の発射に対して、米韓合同で弾道ミサイル発射訓練を行い、米軍と航空自衛隊、米軍と韓国空軍が共同訓練を行いました。地上配備型迎撃システムTHAADによる迎撃実験も行っています。そして今回の発射ということになるのですが、今回の対してもまったく同様の牽制を行っています。香田さん、日米韓の軍事的な牽制の効果をどう見ていますか?」
香田氏
「効果と言われますと、非常に難しいと言いますか、これは一言で言うと、日米同盟が磐石である。米韓同盟に揺るぎがないというのを、あまり刺激的ではない方法で、世界に示し、北朝鮮に示したということなのではないか。ですから、ここのところを取り上げてどうだと言うと極めて戦術的なもの、あるいは写真を撮ることに意義のあるような、B1爆撃機という、空自の共同訓練と言いましても実際に他のこともやっているのですけど、しかし、結果的に、北が意図しているディカップリングというのですけれど、いわゆる米韓同盟を弱める、日米同盟を弱める、そういうことは効かないよということを明確に日米韓で、それぞれのやり方で示したことが1番大きいことだと思います。さらに一言だけ追加させていただきますと北朝鮮がICBMを撃ってもアメリカは何もしないではないかということで、アメリカは諦めているという見方をすることは非常に危険ですね。と言うのは、アメリカからしますと北朝鮮個々の動作に対応する時期ではないですね。アメリカは極端な話をすると、ICBMと核弾頭についてはそこまできている。極端に言いますと、富士山で言いますと、頂上まで登って浅間神社の鳥居の下まできているんです。ですから、いつでもできるんですね。今後我々が考えておかなければいけないのは、北朝鮮のアクションに対してアメリカがリアクションであることをするというよりも、アメリカは世界の情勢を判断して、シリアから南シナ海から、ロシアとか、中国とか、ややこしい軍事問題が起きなくて、北朝鮮に集中できる環境をつくって、よし、となった時は突然やることがあるということです。ですから、ICBMを撃っても、何もしない、アメリカが軍事オプションをとらないという見方をすれば、それは極めて短絡的ということで、そこは戒める必要があると思うんですね」
川上氏
「この演習の私の印象は、アメリカというのは、オペレーションプランニング、作戦計画がありますから、北に対する攻撃のための演習を着実にしていると。それを日本と韓国への締めつけですね。韓国に対して抜け駆けするなというメッセージを送っていると思いますし、それから、これをやりながら確実に集積をし、そういう準備をしていると言えると思います。アメリカに主導権があるということが非常に重要ですね。もう1つ、忘れてはいけないのは、アメリカに国内事情があって最高司令官は大統領でありますから、大統領が、たとえば、ワシントンで、ロシアゲートでいろいろ追い詰められたり、人事がドンドン変わっていくと、クリントン大統領の時にありましたようにクリントン氏が弾劾裁判にかけられたのですが、その時に、海外に目を向けるために空爆をしました。それと同じような論理でトランプさんも国内的に追い詰められた場合は、それを外に向けるために、もしかすると北朝鮮を使って、先制攻撃をして、ロシアゲートを外に向けるかもしれない。そういう要因もあると思います。それから、アメリカの姿勢としては攻撃をすれば、大統領の支持率は伸びますので、それをやるかもしれない。シリアでもそうでした。来年の11月にはアメリカの中間選挙が控えていますから、その時にもしアメリカの共和党議員が、トランプさんが属している共和党が反駁をした場合にはロシアゲートに何か加担するかもしれない。それを避けるためにまさに先制攻撃という手をとるかもしれない。いろいろな要因が絡んでいるわけですね。最終決定者としての大統領の決断、それとは別個に、MMラインでやっているマティスさん以下の確実な太平洋、在日米軍司令官、それからNSCと一体化して動いていますから、それを日本としては冷静に見極めながら、何ができるのか、何をしなくてはいけないのかということを重々やっておかないとこれは大変なことになると思いますね」
反町キャスター
「韓国にはアメリカ人が30万人いるんですよね。やれないだろう、でも、先制攻撃と言ったということは、やるかもしれないという意味で言っていますよね?」
川上氏
「アメリカは湾岸戦争の時もゆっくり空母を寄せて、米国人の民間人は退避させてやったわけですから、米国、おそらく何十万人となるのですか、VIPを入れると。ゆっくりと退避させる。毎年1回やっていますけれども、演習の時にはアメリカ人の軍属をとにかく引くというような演習もやっています。そういうことで、徐々に引きながら、ゆっくりと引き揚げ、ドンとやるという、この可能性も十分あると思いますし、そのへんのことはかなり織り込み済みで動いているのではないかと思われます」
香田氏
「オプションはいくつかあると思います。ここで細部は言いませんけれども、20万人のアメリカ人は避難せずとも、アメリカ人が攻撃にさらされない攻撃の仕方があるんですよ。徹底的にアメリカのショック&フォーという徹底攻撃をするのですが、ここが今日の主題ではないですけれども、我々が気をつけなければいけないのは、アメリカ人が撤退しないから攻撃がないというのは非常に古典的な考えですよ」
反町キャスター
「引き始めたら危ないぞというのが…」
香田氏
「それも1つです。しかし、戦争というのは、国益の全てを賭けてやるわけですから、まさに相手が想像しないことをやるということも1つのオプションです。私は日本の場合をやっていたわけですから、要するに、オプションが10ぐらいあるんですよ。その中で1番優しいオプションが川上オプションですから。しかし、あるしっかりとしたメドが立つとなれば、これは決して自国民を危険にさらすという意味ではなくて、攻撃の仕方によっては自国民を危険にさらすことなく、北朝鮮の核ミサイル、ソウルを砲撃する能力を無力化する。相手が想像もしないことをすることが戦争です。先制攻撃のやり方によっては韓国を砲撃する部隊も、日本・韓国を撃つミサイル部隊も、最初の数時間で潰せると。それが成功するとなれば、アメリカ人は退避する必要はないです。リスクは大きいですよ。そこをトランプ大統領はリスクが高いならGOと言わないだけです。しかし、ミリタリー部門の責任としては、トランプ大統領がGOと言った時に、1番いいオプションというのが1から10ぐらいまで提示するんですよ。ハリス司令官は自分なりの優先順位を、マティスさんは文官として評価するわけですよね。ダンフォード統参議長は軍のトップとして、彼の考えで進言するわけですね。そこをケリー元海兵隊隊長の首席補佐官とマクマスターさんが最終的に大統領の傍で、私は、これです、大統領と、これは常人では世界で1人しかできないです。この決心は。トランプさんは先ほどみたいに荒れ球かもしれませんが、ここでストライクを放り投げてもらわなきゃ困ります。ただし、言いたいことは、アメリカ人の撤退、避難がないから、アメリカは攻撃しないと決めてかかると北朝鮮の思う壺です。砲撃されないとわかりますから。それは軍事を使った外交駆け引きではない。何が起こるかわからないということを北に理解をさせながら、金正恩に、彼も最後にストライクを投げてきてもらわないかんですから」
林議員
「香田さんが言っているのは昔キューバ危機の『13デイズ』という映画があったんですね。それを観ていただくとイメージが沸くと思いますね。皆、集まってギリギリの場面で最後にケネディはストライクを投げたわけですよね。あの時は向こうもストライクだったと思いますよ。キューバ危機を回避できた。まさにそういうことを常にやっているということですよね」
反町キャスター
「どうやったらアメリカ人を避難させないで北朝鮮を沈黙させることができるのか。そういう軍事選択肢はあるのですか?」
林議員
「いや、それは知りませんし、知っていたって、大臣経験者としては軽々に言うべきではない事柄だと思います。この番組を北朝鮮の人も観ているかもしれませんから」

日米『さらなる行動』とは?
秋元キャスター
「安倍総理は日米首脳電話会談後、『さらなる行動を取っていかなければならないとの認識で完全に一致した』と話しています。この『さらなる行動』とは具体的にどういうことだと思いますか?」
林議員
「これとこれですと言ってしまうとこういうことを言う意味がなくなってしまうので、さらなる行動と、そういうことですけれども。米韓の首脳会談というのをG20 の時にヨーロッパでやっておられまして、その時にその共同声明の中にも、中国にさらなる対話を呼びかける、一致してということが、他にもいっぱいあるのですけれども、大変なことだと認識していることがあるのですけれども、その中で、そういうことがありましたので、引き続き中国が石油カードを持っているのは皆わかっていますから、そういうことに対して一致して圧をかけるということは当然含まれていると思います」
川上氏
「いろいろな見方があると思うのですけれど、まず日米にとってはそれこそあらゆるものがテーブルに乗っているわけですから、そういうふうなところで準備しなくてはいけないのが1番目。2番目というのはミサイルディフェンスを含め、充実させていくことから、もう1つは、対地攻撃能力もとっていかなければいけない。発射前の北朝鮮の基地を、ですから、空対地もしくは地対地、巡航ミサイルなどいろいろありますが、そういうのも考えなくてはいけない。さらには国民に向かって防衛しなくてはいけない。いろいろな意味があります。ただ、アメリカにとって我々は日米同盟をさらに強化するのだというような意味合いがあると思うんです。1つだけ言いたいのは、北朝鮮がもし核を持った場合には日本はアメリカに核で守ってもらっているのですが、それに対する拡大抑止の信憑性が問われることになりますね。そうしますと、日本はさらなる行動をアメリカにとってもらわなくてはいけない、そういう具合にも読めると思います」
反町キャスター
「中国からすると、日米が電話首脳会談をやって、さらなる行動をと、連携ぶりをアピールする、そういうのは中国、北京はどう見るのですか?
小原氏
「さらなる行動というのはたぶん安倍首相とトランプ大統領の間で具体的に何をという話ではなかったのではないかと思います。1番大切なのは日米間で認識を共有したということですし、その認識というのはここでやめないのだということです。アメリカ国内では軍の方からはもちろん、作戦計画をリニューアルしたというニュースもありますし、しかし、一方で、政府当局者が北朝鮮の弾道ミサイル、ICBMはアメリカの同盟国を攻撃する目的ではないのだといったことも言ったというニュースも出ている。これはそのあとに、だから、アメリカの安全保障に直接は関係ないのだ、攻撃しなくてもいいのだということが見えるのですが、こういったいろいろな意見があるわけですけれども、アメリカが自国の安全保障だけではなくて、同盟国や国際社会に対する挑戦だということを認識して、まだこれからも行動を取り続けるのだということを言ったわけです。ですから、その意味では、中国としては、アメリカはまだ中国に対しても強く圧力をかけるということを理解したでしょうし、その先にはひょっとすると軍事力の行使もあり得るということは、中国は考えていると思います」

北朝鮮・今後の動きと戦略
秋元キャスター
「今後、北朝鮮問題が大きく動くとしたら、どのタイミングだと?」
香田氏
「私はほとんど出るものは出尽くしたと思っているのですが、北朝鮮からしますと1万kmのミサイルではまだ不十分ですね。と言うのは、アメリカ全土は射程に押えていないですね。今年4月15日の太陽節の、金日成さんの150周年ですね、あの時に実はもう1種類、ICBMがパレードしているんです。これはトレーラーに引かれて、これも4台出ています。これは長さが長いと判定されますので、これが3段式で、これをもってアメリカに完全にモノを言える体制になると思いますので。ただ、これまでの技術進歩、火星12、14型の技術を応用すれば、想像以上に早くくる可能性がありますね。今年の暮れ、来年の初めから来年の夏まで、その頃というのは常識的に言うと、核も頭に搭載できるぐらいの技術ができるだろうと、再突入技術はいろいろあるのですけれども。これがくるとアメリカはロシアと同じくらい、もっと怖い脅威。使うか、使わないかという意味でロシアは抑止できていますけれど、ここが1つのポイントかと。日本からしますと、暫くやっていなかった、いずれにしても火星14も日本の頭を超えて最大射程の発射をやっていません。この次を1万4000kmと仮にしても、それも撃たなければいかんので、いずれにしても日本としてもここ1年、1年半以内に日本の上空を北朝鮮のミサイルがテストか何かわかりませんけれど、飛んでいくということで、その時の対応をどうするのかというのが問題として1つ出てくると思います」
小原氏
「アメリカが決断しなければいけない、判断しなければいけない期限というのは非常に近いと思うんですね。これを認めるか、認めないかですけれど、認めないとしたら軍事力の行使までオプションとして考えなければいけないということになると思います。一方の北朝鮮はまだやることが、香田さんがおっしゃったように、たくさんあるんですね。現在の火星14型だけではなくて、固体燃料と言われる3段式のミサイル。これは発射実験をやらないといけないと思いますし、さらには核実験が必要。これは弾頭部をつくるため、完成させるためですね。それと大気圏再突入実験のためにもミサイルの発射実験は必要になるということは、日本やアメリカにとっては、国際社会に対する挑発行為をこれからもますます繰り返すということになるということになります。神経戦を持ちかけてきているわけですから、アメリカがどういった判断をするのか。現在のように安倍首相とこれからも続けるのだと、許さないのだという態度を取り続けていってもらわないといけないと。そのために先ほどの演習も、日本も韓国もアメリカの軍事力行使を支持するということを示していることにもなるので、これが実は中国に対しても、さらに強い制裁をかける動機にもなると思います」
林議員
「先ほど、中国の話もありましたけれども、どこかで動くとすれば、何か間違いが起こって、何かが起こってしまうということを除くと、アメリカがどこで決断するかということと中国の党大会、この辺りが時間軸としてはとても大事になってくると思います」

林芳正 元防衛大臣の提言 『外交と防衛』
林議員
「妙手はないので、当たり前ですけれども、外交と防衛。防衛は何かあった時に守らなければいけませんので、盾と矛の関係でしっかり、矛が進化していれば、盾も進化させておく。そのことが外交にもつながるという話は先ほど来、出ていることで、中国も然りアメリカも然りですが、どうやって武力紛争に至らないところで止めることができるのかと。これは外交しかないので、トランプさんのように経済に絡めずにしっかりと外交をやっていくと、これに尽きると思います」

香田洋二 元自衛艦隊司令官の提言 『アンゲラ メルケル』
香田氏
「アンゲラ メルケル首相だと思います。これは、1994年の北の核問題以来、非軍事手段としてはここまで全て切りきった。少しは残っていますけれども、決定的なものは残っているかと言うと残っていないと。しかし、1つだけ挑戦していないのはヨーロッパの国ですよ。彼らは北朝鮮と国交を持っています。結構、信頼感がある。北朝鮮はロシアと中国を除いては大使級がいるだけで有効な外交をやっていないですね。ここでドイツの、世界で1番安定感のある女性で、トランプさんとどちらかと言うと仲が悪い、和解してももらわなければいかんのですけれども、気象問題でも。しかし、彼女が全体を理解して、北朝鮮の金正恩氏に、あなたのやっていることは世界に理解されていませんよと、北朝鮮がやっていることにアメリカは1つもびびってはいませんよと。効いてないですよと。ここで考えないとあなたの国は蒸発しますよということを直接、彼女が金正恩氏に言うということがひょっとしたら有効で、これまでやっていない分だけ期待が持てるということですね。そういう意味で、アンゲラ メルケル首相を挙げました。まさに仲を取り持つのが安倍さんの役目。これでまさに安倍外交の真価が問われるんですね。成功すれば大貢献です」

川上高司 拓殖大学海外事情研究所所長の提言 『天の時 地の勢 人の利』
川上氏
「香田さんがおっしゃったことと重なっているのですが、天の時、地の勢、人の利ですね。つまり、天、安倍総理が今だと思う時にメルケル首相に言うというところとか、もしくはアメリカが、天の声ですね、トランプ大統領が先制攻撃をするのかわかりませんが、その時を逃さないというのが、天の時はきます。それから、地の勢いがありますから、容易に手を寄せつけないというところで、日本はいろいろなことができるのではないか。人の利なのですが、君主、将軍が賢明であれば、かつ軍が軍律を守っていけば、十分に守れるというようなところで、人の利。これも、安倍総理がメルケルさんと一緒に北を説得すればできるし、もしくは全てこれは君主によりけりということを提言したいと思います」

小原凡司 笹川平和財団特任研究員の提言 『弾道ミサイル防衛能力と米国との認識共有』
小原氏
「まずは弾道ミサイルの防衛能力を確立して、アメリカにフリーハンドを与える。オプションを指示できる状態にすることと、アメリカと認識を共有して北朝鮮の挑発を許さない。このことによって、本気を見せることによって、北朝鮮あるいは中国を動かすということになると思います」