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2017年7月18日(火)
アベノミクス徹底検証 日本経済襲う人口減少

ゲスト

藻谷浩介
日本総合研究所主席研究員
斎藤太郎
ニッセイ基礎研究所経済調査室長

徹底検証!アベノミクス 『異次元緩和』の効果
秋元キャスター
「加計学園問題への対応などで、安倍政権の支持率が急落する中、安倍総理が進めてきたアベノミクスの先行きも不透明感が増しています。アベノミクス景気の長さはバブル期を越えたと言われながらも、多くの人々が景気回復の実感を持てるような状況には至っていません。そこでアベノミクスの4 年半を検証し人口減少社会に突入した日本がとるべき経済政策について徹底議論します。まずはアベノミクスの4年半について検証していきたいと思います。2012年12月に発足しました第2 次安倍内閣が掲げた経済政策アベノミクスの3本の矢。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略です。このうちの第1の矢、金融政策ですけれど、こちらは異次元緩和と呼ばれ、為替相場と株価に好影響を及ぼしたと言われています。安倍政権発足時にですね1ドル80円台半ばだった円相場ですけれど、今日の7時時点で112円と大幅な円安になっています。およそ1万円台だった日経平均株価は安倍政権発足後、右肩上がりで上昇し、昨年は株安に振れていたのですけれども、現在持ち直しまして、2万円前後で推移をしています。まずは斎藤さん、日銀の黒田総裁が導入したこの異次元緩和の効果、どう評価されますか?」
斎藤氏
「為替を思い切り円安にした、これで企業部門を中心に業績が良くなって、株価が上がって、日本の経済全体として回復が続いたと。アベノミクス、いろいろ途中で3本の矢が変わったりして、何をもってアベノミクスか難しいのですけれど、ただ、1つ言えるのは失業率をこれだけ下げたというのは、これはもう間違いなく大きな功績だと思うので」
反町キャスター
「それはアベノミクスの成果?」
斎藤氏
「アベノミクスが何かというのは難しいのですけれど、とにかく結果責任ということで言えば、これは世界共通ですけれど、どの国でも経済政策で1番目標とすべきものは失業率を下げるということですね。逆に失業率が上がってしまえば政権がもたないとうのは、これどの国も共通で。そういう意味では、ここについては間違いなく成果が出たと。その中でもきっかけは、金融政策で円安にもっていったということで、いろいろなものがうまくまわったと。もちろん、うまくまわっていないところがあって、それはあとで指摘しようと思いますけれども。そういう意味では、企業部門を良くして、業績を良くして、株価を上げた、それで失業率を下げたと、ここまでは間違いなく効果が出たと言っていいと思います」
反町キャスター
「アベノミクスの成果、為替の話から株価が上がった。もう1つは失業率が低下した、この2点を斎藤さんが指摘されましたが、いかがですか?」
藻谷氏
「失業率が下がったことと株が上がったこととの間の因果関係の説明を、皆さんがどうされているのか、非常に難しい、的確に説明されている方が少ないですね。つまり、普通だと株が上がって、景気が良くなって消費が増える、たとえば、家計最終消費支出、個人消費ですね、これが増えるとか、雇用が増えるというようなことが間に挟まって、失業率が下がる、ということが起こるはずなのですが、実は雇用、就業者数はそんなに増えていません、むしろ昔よりちょっと少ない、20年前よりは少ないですし、個人消費は増えていない。だから、間をすっ飛ばして、いきなり失業率が下がったのはなぜか、私は人口が減ったのが原因ではないかということを言っているので…」
反町キャスター
「アベノミクスではなくて、人口減が失業率低下の最大のファクター?」
藻谷氏
「仮にここで非常に悪い経済政策をやっていると、人口が減ったにもかかわらず、失業率が今ほど下がらなかったことはあり得るのだけれども、簡単に言うと、現在の60、70歳以上の世代の方が400万人以上、お仕事をお辞めになりました、逆に現在の20歳代の人は新たに350万人ほど仕事を得たのだけれども、差し引きマイナス50。つまり、退職した分だけの9割ぐらい新しく若い人が採用されている、だけれど、全体の数としては増えていかない、というわけで、人口の方が原因ではないかと。別に揚げ足をとるつもりはないのだけれども」

円安・株高の経済効果
反町キャスター
「株価が上がったのはアベノミクスの成果であると、この指摘についてはいかがですか?」
藻谷氏
「ここに株式時価総額とマネタリーベースの差、評価、時系列というのを示しています。もう非常にざっくりしています。各年の平均だと思ってください。毎月ある数字を平均しています。株価は、東京証券取引所株式上場1部・2部の時価総額という、わかりやすい指標があるんです、日経平均よりもより長期的に見られます」
反町キャスター
「時価総額…」
藻谷氏
「そうです、時価総額。2015年、史上最高を一応つけました。まさに株価が300兆円値上がりしたんですね、すごく大きな成長をしました。マネタリーベース、いわゆる異次元の金融緩和、日銀が国債を買ったりして、銀行が使える現金を増やしていったと、このことに連動しているのでしょう、と皆は言うのですが、よく見ると、最新の2016年、マネタリーベースが、書いてないけれども、313兆円年間平均から470に、さらに150兆円以上増えたのだけれども…」
反町キャスター
「ここの間が150兆円ということですね?」
藻谷氏
「そうです。ちょっと株価は下がった」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「よく見てみると、過去もマネタリーベースが下がっているのに、株がドンドン上がっていたリーマンバブルもあれば、マネタリーベースを上げているのに全然、効果のなかった民主党時代もあれば、IT(情報技術)バブルのように一貫してマネタリーベースが増えているのに、株価が上がって、下がってしまったケースもある」
反町キャスター
「なるほどね」
藻谷氏
「経年でちゃんと見てみると株が実はあまり連動しないです。つまり、今回たまたま円安にしたことで外国の投機マネーがドンと流入して株価が上がったけれども、それというのは、マネタリーベースを増やしたから円安になった…、でも、それ以降これだけマネタリーベースを増やしても円安はもう止まりましたよね、要するに進行していない。つまり、きっかけではあったかもしれないけれど、継続的な要因になってないのではないかと思うんですね」
反町キャスター
「藻谷さん、1つ、この表で聞きたいのは株価とマネタリーベース、通貨供給量の連動を見るのではなく、間谷さんは株式時価総額でやられていますよね。これはどういう意味なのですか?要するに、2万円になりましたとか、割りました、それとの連動を見るのではなく、株式時価総額というのは。いわゆる株価の価値を足しあげたものですよね?」
藻谷氏
「全部足しあげたものです。たとえば、この間、日経平均から東芝が外れましたけれども、東芝が外れた瞬間にまた…、東芝が入っていたがために日経平均が下がると、では、外しましょうというのはちょっと変ですね。株式時価総額には当然、東芝の株価も入っているのだが、他の会社の株価も全部入っているので、たとえば、東芝株が下がれば、その分、他の会社の株がちょっとずつ上がっているかもしれませんね。だから、時価総額の方がより個別の変動を計算に入れずに全体を代表する数字であると、あるエコノミストから言われまして、それで使っています」
反町キャスター
「そうすると、説明を聞いた限りでは、マネタリーベース、通貨供給量がいくら増えても、それが必ずしも株式時価総額と連動しているわけではない。つまり、アベノミクスの金融緩和というのは株価に何ら貢献していないというのが結論になるわけですか?」
藻谷氏
「うーん、円安を最初につくって、株価が上がりだした時の最初にキックオフとして、ワークしたという議論は成り立つと思うのですが…」
反町キャスター
「それはこのへんのあたり…」
藻谷氏
「そうですね。まさに2013年、14年。ですが、同じことをずっと、マネタリーベースをドンドン1次元に増やしているので、途中から急速に効果がなくなってきたと」
反町キャスター
「そうすると、1番深刻なのは、2016年のあたり?」
藻谷氏
「そうですね」
反町キャスター
「通貨供給量が増えているにもかかわらず、株価総額は落ちている…」
藻谷氏
「ええ、そこもまたちょっと持ち直して、570ぐらいまで持ち直していると思うのですが、要するに、伸び止まりましたよね。過去の歴史を見てみると、本物の、いわゆる昔の本当のバブル、リーマンバブル、ITバブル、いずれも上がって下がるのを繰り返していますね。ですから、マネタリーベース、金融緩和にかかわらず、世界経済がクラッシュして下がる時はどうしても下がっちゃいますから。それを逆に金融緩和をさらに続けることで防ぐというのは難しいでしょうね」
反町キャスター
「斎藤さん、いかがですか?」
斎藤氏
「マネタリーベースが増えれば、理論上は円安の方向にいくのですが、ただ、2013年からの円安は金融政策がサプライズを起こしたということによって円安が一気に進んだんですね。だから、マネタリーベースそのものが為替を動かしたと言うより、むしろ黒田さんが2回マーケットを思いっきりビックリさせたんです。それで円安に急に進んだのです。株も上がったりして。つまり、マネタリーベースの量そのものではなくて、サプライズを起こしたことによって円安が進んだので、結果的にあまりマネタリーベースそのものと連動はしていないのかなと私は思います」
反町キャスター
「そうすると、斎藤さん、このへんのあたりの通貨供給量がボンボン増えている、つまり、日銀が国債をバンバン買いまくる状況というのは、それはマーケットに驚きと受け止められてもいないし…」
斎藤氏
「もう、そうですね」
反町キャスター
「結果、株価に対しても連動していないし、これはムダな買い物をしているのか日銀は、という、このへんのところはどう感じているのですか?つまり、そこはアベノミクスの失敗ではないか、ここの部分ですよ」
斎藤氏
「失敗というか、もう…」
反町キャスター
「抜けられなくなっている?」
斎藤氏
「抜けられない、やらない、これを止めると、つまり、引き締めと思われるので。だから、ここまでやる必要はなかったと私は思いますけれども、ここまでやっちゃったのを巻き戻しちゃうと、これは金融引き締めとマーケットが捉えるので、これはマーケットがクラッシュしちゃうんですね。ですので…」
反町キャスター
「そうすると、現在の話を聞いていると、2012年、2013年、2014年、このへんのところの部分である程度、引き際があったにもかかわらず…」
斎藤氏
「ええ」
反町キャスター
「今となっては供給量を増やしても株価が伸びない状況になっている。つまり、抜き差しならないところまできちゃって引くに引けない状況だと、こういう理解でいいですか?」
斎藤氏
「もちろん、金融政策は株価そのものを目的にはしてないので、アレですけれど、そうです。だから、黒田さんはあと半年くらいで基本的に終わりなのでこのままいくしかないとやっている」
藻谷氏
「そのあとはどうされるのかな?」
斎藤氏
「そのあとは次の人が考えるということだと…」
藻谷氏
「これを見て、リスクがドンドン増えていて危ないよねと思いませんか。つまり、起きたことは確かに良かったかもしれないけれど、何百兆円という金融緩和、ムチャクチャな、ちょっとでも金利が上がったら大変なことになるようなリスクをとってまで、この程度の効果だということについて、企業人であれば、パフォーマンス指標があっていないよねと、これを手放しで褒めていいはずがないよねと普通、気がつくと思うんです。逆にそういうふうに言う人がいないことを非常に不思議に思っているんです。だから、確かに株価が下がっても困るので、変な引き金は引けないので、ダメだったと、失敗だったとは言えないけれども、ここまでやる必要はなかったよねということは、もっとはっきり皆、言うべきではないですか?」
反町キャスター
「斎藤さん、いかがですか?」
斎藤氏
「たぶん言っている人は私の周りにはそこそこいますけれども」
反町キャスター
「いますよね。でも、あまり大きな声には聞こえない」
斎藤氏
「藻谷さんにはあまりおっしゃらないのかもしれない。私の周りにはむしろそういう方が多いと思いますよ。ここまでやる必要はなかったし、だから、これからどうするかというのは大変だというのは…」
反町キャスター
「皆、不安を抱えながら、日銀がバンバン国債を買うのを固唾を飲んで見守っているという、そういう状況ですか?」
斎藤氏
「そういう状況だと思いますね、はい」
反町キャスター
「まずいですよね?」
斎藤氏
「そうですね。どうしたらいいのですかね」
藻谷氏
「大変、日本人も大胆だなと世界的には思われていると思います」

個人消費改善への方策
秋元キャスター
「日本のGDP(国内総生産)ですけれども、およそ532兆円あるのですが、そのうちの56.3%を個人消費が占めています。この個人消費が伸びないことが日本の経済成長が成長しない大きな要因の1つと言われているのですけれども。斎藤さん、個人消費が伸びない理由、なぜだと見ていますか?」
斎藤氏
「一言で言うと、所得・収入が伸びないから消費ができないと、それに尽きると思っているんですね。よくあるのは将来不安とか、節約志向でなかなか消費しないというのも、もちろん、一部にはあるのですけれども、私はそれ以前に、消費するためには当然、収入が必要でそれが足りないと、なので、消費できないと」
反町キャスター
「所得が上がっていないのですか?」
斎藤氏
「上がっていないですね。それは何と比較するかですけれども、アベノミクスの前に比べれば少し上がりました、少し。少し上がりましたけれども、実は物価はそこそこ上がっているんですね」
反町キャスター
「表で説明いただいた方がいいですか?どういう表ですか、これは?」
斎藤氏
「これはアベノミクスが始まった2012年の末がここですね」
反町キャスター
「1204というのは、12年の第4四半期…」
斎藤氏
「第4クォ―ターですね。これが全部ここからスタートします、100から。1人当たりの賃金がどれだけ伸びているかと言うと、この赤い線で、これは4年半ぐらいですか、経って、1番ここでこれが1.5%ぐらいですね。だから、4年ちょっとかかって1.5%しか伸びていないので、年率で言うと0.3%とか、そのぐらい」
反町キャスター
「なるほど」
斎藤氏
「そのくらいしか伸びていないと。一方で物価は…」
反町キャスター
「5年間でね、いや、3年半?」
斎藤氏
「4年です。消費者物価は消費税が上がったので、ここでボンとちょっと上がっていますけれども、通算すると5.5%伸びているんです、物価、消費者物価。だから、デフレ、デフレと言っていましたけれども、実は消費税引き上げの影響もあって、4年ちょっとで5.5%伸びていると。そうすると、結局1人当たりの実質賃金、物価の上昇分を割り引いた実質賃金がどれかと言うと、これは緑色のもので、これ96なんですね。と言うことはこの4年間で4%落ちているんです。だから、年率で1%、4年間で4%。つまり、物価が上がっている割には1人1人の賃金が上がっていないので実質ベースで見た賃金はむしろ下がったままだということになっています。ですから、消費というのを実質で、実質というのは数と考えてもいいもしれませんけれど、それで考えると結局4年前と同じだけ量が買えないですね」
反町キャスター
「よく賃金の話をする時に、敢えて政府側の聞いた話をそのまま伝えると、定年退職した人がいっぱい出て、60歳、辞め際の人達はたくさんもらっているので、その人達が辞めて、非正規になって給与が落ちると。新規雇用される人達は若い人達で、当然のことながら新規の人達は給料が安いから、だから、実質賃金も名目賃金も伸びないという、この説明は当たり、外れどちらですか?」
斎藤氏
「当たりですね」
反町キャスター
「当たり。そうすると、賃金が伸びてなくてもしょうがないということになりますか?」
斎藤氏
「しょうがないと言ってしまうと、それまでで、たとえば、新しく入った人とか、退職して賃金下がるのはしょうがないですよ。でも、その間に(在職)何十年という労働者がいるわけですよ、その人達は賃上げのチャンスはいくらでもあるわけで、その人達が上がっていないです。なので、もちろん、新入社員の賃金水準はある程度低いということと、高齢者の賃金水準が低いと、これはあっても30年くらい、30年か、40年くらいあるわけですね、その人達の賃金が上がっていないというのがこの結果になる」

『賃上げ』と個人消費
反町キャスター
「アベノミクスの成果が賃金に出ていないと言っていいのですか?」
斎藤氏
「そうですね。だから、アベノミクスの成果は、企業の収益を思い切り増やすというところまではいっているんです。現在、過去最高益ですから。そこまでは間違いなくいっているのですが、賃金を払うのは企業ですけれども、最高益のものが残念ながら労働者には、多少は増えていますけれども、多少でしかないと」
反町キャスター
「利益を給料で吐き出さないのはどうしてですか?」
斎藤氏
「そこはなかなか難しい問題でして、いろいろな理由があると思うのですけれど。まず1つは先行きの成長の見込みがなかなか企業が持てなくて、つまり、自分達の売上げがドンドン増えると思えば、ドンドン人も積極的に雇って賃上げもすると、そこの見通しになかなか明るいところが持てないというのが1つあると思いますが。私は、より根本的には、企業というのはもともと賃上げをしたくない。賃上げをしないで、いっぱい働いてもらうのが1番望ましいです、企業は。それは別に企業が悪いわけはなくて、企業は当然、利益を最大化するというのが王道ですから、賃上げしないで働いてもらうのが1番いい。残念ながら景気が良くなってくるとなかなか賃金を上げないと働いてくれない人が増えるというのが理屈ですけれども、日本の場合、やや特殊なのは、パートタイムのところとか、非正規のところはそうなのですけれど、正社員は賃金が上がらなくてもなかなか辞めないという問題があるんですね。ちょっとカッコよく言うと労働市場の流動性が低い。それは言い換えると、賃金を上げなくても辞めない。そうすると、企業は賃上げしないで、また働いてもらう。もう1つは…」
反町キャスター
「それは、たとえば、リストラとかが怖くて、労働組合が闘う戦術を賃上げから雇用確保の方に転換したというのとは関係があるのですか?」
斎藤氏
「それはまさに10年くらい前に、それが春闘のメインテーマだったわけですね。ところが、現在、時代が変わって、なかなかそんなにリストラはされなくなっている」
反町キャスター
「現在、だって、人不足?」
斎藤氏
「それで、本来であれば現在の環境というのは賃上げをドンドン要求してもいいはずの環境です。ところが、賃上げを10年以上やってこなかったんです、アベノミクスの前は。まさに雇用確保というのがメインテーマだったので、結構それが染みついちゃっているのではないかなと、私なんかは思います」
反町キャスター
「労働組合にも、ということですか?」
斎藤氏
「ええ、そうですね」
反町キャスター
「個人消費が伸びない理由、藻谷さんは何だと思いますか?」
藻谷氏
「高齢者が退職して、高い給料をもらっていた人が辞めて、新しい新卒者の給料が安い。もう1つは、辞めた高齢者が安い嘱託の賃金で非正規労働者として働いている。雇用が増えたという話、こちらに内訳があります。これは一応、総務省の労働力調査なのですけれども、経年で昔からずっと、単位万人で見るのですが、ゆっくりした変化なので、敢えて左をゼロにしています、誇張するの嫌いなので、ゆっくりした変化を見てください。ピークだったのが1995年の8730万、違いました、ピークだったのが1997年、1回ピークに達します。そのあと横ばい、減少で、アベノミクスでちょっと持ち直しているんですね。素晴らしいということなのですけれども、働いている人の中のうち、赤くしてあるところ、薄いですけれども、わかりますか、これは65歳以上の人です。実はこの青いところが64歳以下、青いのをご覧いただくとわかりますけれども、横ばい、ないしは微減です。65歳以上で働いている人が増えているんです」
反町キャスター
「増えています」
藻谷氏
「これは実数で言うと、最近アベノミクスになってからの4年間で、180万人、65歳以上の人が、働いている人が増えました、180万人。総数190万人増、190万人雇用が増えたうち、180万人、ほぼ全員が65歳以上ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「良いことですよ、65歳を過ぎても嘱託で働いていて、その分、消費もしているので、良いことなのだけれども、当然、平均賃金は増えないし、企業にしてみると彼らが辞める前、退職する前に払っていた賃金より安くしか払ってない。おっしゃったように、ミドルの人だとか、若い人の賃金上げにまわせばいいのに、ひたすら内部留保でリザーブしているわけです。その結果として当然、総賃金が上がらないので消費は増えない。すると誰が困る?企業が困る。ところが、企業は国内の需要が増えなくても外国で食いつなぐという態勢を円安でやりやすい…」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「そうすると、真面目に内需を大事にしようとする企業が相対的に少なくなるので、皆で賃上げをしないと消費が増えないという理由がわからない。違いとしてその背景に人口問題がありまして、これからドンドン退職する人の方が、新卒採用される人よりもずっと多いのが40年以上続くので、企業がこの行動を続けていると、際限なく日本国内の内需は下がっていくことになります。自爆ですよ、ということを申し上げたい」
反町キャスター
「それは、そのスパイラルを、どこで悪循環を断ち切らないといけない?」
藻谷氏
「1つは、だから、経済理論上は皆さん言わないのだけれども、一般企業人は、これは悪いのだけれども、人口問題で起きているのであって、景気が回復しても良くなりませんよということを理解してほしいです」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「景気が回復しても、この通り、臨時採用の高齢者が今後ともずっと働き続けるだけなので」
反町キャスター
「その場合の景気回復というのは、所得が増えるという意味ではないのですか?」
藻谷氏
「株が上がるとか」
反町キャスター
「それです」
藻谷氏
「株が上がるとか、あるいは企業の収益が上がる、このことをもってして消費が増えると思っても、あなた達が人件費にまわさない限り消費は増えないので。自分ところで切断しちゃっている。それを、景気回復を待ってから、売上げが上がったら賃金上げるのを検討しますと言っている人が最初からやっている限り、この状況は改善されないです」

『人口減少』と経済成長
反町キャスター
「斎藤さん、日本企業の内部留保が400兆円になろうとしている状況というのは、これはどう見たらいいのですか?」
斎藤氏
「本来、企業はお金を借りてでも投資をして、そこからリターンを得るというのが企業の本来の行動なわけですけども、もう20年ぐらいそうではなくなっている。お金を借りるのにコストがかからない代わりに、投資をしてもリターンが得られないと。なので、貯めておくのが1番良いと。もう1つあるのは、お金を持っておかないと、いつ倒産するかわからない。だから、現在の企業の、非常にわかりやすく言うと、最大の目標は倒産しないこと」
反町キャスター
「利益を上げるとか、チャレンジではなくて?」
斎藤氏
「お金を持っておくことによって、倒産のリスクを極力下げると、ということであれば、どこかに投資をするよりは、自分のところに貯めておくのが1番合理的と。非常に極端な話ですけれども」
反町キャスター
「ディフェンシブな企業マインドというものは、デフレの時の感覚だと言う人もいる。これはイコールなのですか?要するに、よくデフレマインドからの脱却、脱却と言われる…」
斎藤氏
「デフレという言い方が正しいのか、もしくはバブルの後遺症で、かつて企業がお金を貯めていたというのは、貯めていたと言うよりも、余ったもので借金を返していたんですね、バブル崩壊のあと。その時代が結構長くて、現在もお金を貯めるというのは同じですけれども、借金はもう基本的に返し終わったんですよ。それでも結局投資先がない、ないと言うとちょっと実は海外には投資しているんですよ」
反町キャスター
「していますね」
斎藤氏
「だから、この内部留保というのも、実は海外投資、入っているんです。海外は投資するとリターンがあるので、投資のし甲斐があると。国内はまだ投資してもそれに見合うリターンがないと企業はまだ判断していると」
反町キャスター
「だって、人口が減少することが見えている国で、新たに国内に工場をつくります、販売店網、営業網をつくります、これは30年後、40年後にペイする投資ですかと言ったら、二の足を踏むのがわかるような気がするのですけれども、そういうことでいいのですか?」
斎藤氏
「そういうことで、現在、企業は…」
反町キャスター
「そうすると、人口減少というものが、ありとあらゆるところで日本の手足を縛っていると、こういう理解でよろしいのですか?」
斎藤氏
「そこは私、藻谷さんと若干違うのですけれども、人口減少が一部、マイナスの影響を及ぼしていることは確かですけれど、人口減少をあまり過度に悲観すべきではないと思っているのですが、人口減少云々は別として、企業が投資したものは戻ってこないと思っているのは間違いないと思いますね」
反町キャスター
「藻谷さん、この400兆円の企業内部留保、どのように見ていますか?」
藻谷氏
「1つ企業の方に申し上げておきたいのは最近、海外への投資案件も減っていると思うんです。たとえば、中国、非常によく成長したので、このグラフの左側の方では大変、投資しやすかったと思うのだけれども、ご存知の通り、成長しているけれども、失速していきましたね。中国も足元、生産年齢人口、15歳から65歳人口が遂に減少に転じていますので。それを言ったらアメリカはまだちょっとだけ増えているけれども、主に年寄りしか増えてないし、1番深刻なのはアメリカ、子供が減りだしているんです、あまりに格差社会で産めなくなってきて。近くの韓国・台湾を見ると、日本より子供の減少ペースがはるかに速い。つまり、世界的にだんだん本当に日本化してきていると。だから、本当にお金を貯めておいてどうするつもりですか、アフリカ・インドへ行くのですか。あまりそこまでの勇気のない企業もあります。とすると、持っているだけで持ち腐れになります。これをむしろ国内の内需拡大に投資しした方がいいのではないかと。そのやり方は、たとえば、いろいろな理屈をつけながら賃金水準を御社だけでも上げることではないのですか。それがイコール消費増加への投資ではないのと僕は感じますけれど」
反町キャスター
「藻谷さん、もちろん、自民党からこんな話は出てこないのだけれども、内部留保課税とか、内部留保の何パーセントかを強制的に賃金にまわすことが国内の景気対策に効果があるという、この議論。これはどう感じますか?」
藻谷氏
「こういうお金に効率的に課税をし、あるいは個人でも、個人金融資産がすごく増えているわけで、先ほど、株価が300兆円ばかり上がったのに、個人消費がほとんど増えていないと、数兆円しか増えていないですね。300兆円もお金を持っている人に、効率的に金利以外のところで元本に対し、固定資産税と同じように元本に対して課税して、その分を有効な福祉だとか、教育に公共でまわせば、実は内需がちょっと拡大するのではないかと私は思いますね。ただ、その課税が非常に難しいために技術的に逃れられやすいよねということで、皆、やっていない。でも、ここ数年を見ていますと、ケイマン諸島とか、ルクセンブルクから日本が数兆円の黒字を稼ぐようになっていまして、つまり、そちらにそれだけたくさんお金を預けている人がいると、何十兆円かを預けていないとそんなに儲からない。だから、いよいよマネーゲームをやっている人ばかりがお金を持って、という状態を放置しておくと、健全な経済成長にならずに、結局どこかでインフレになった時に、ガンと元も子もなくなって終わってしまうというリスクがあるのではないかと思います」
反町キャスター
「藻谷さん、昔に比べると株主がだんだんモノを言うようになってきていると。株主に対する配当とか、株式に対する説明責任を企業側が果たすことをすごく気にしているが故に賃金とか、そういうところにお金をまわせないという見方はありますか?」
藻谷氏
「会社は誰のものか、株主のものですという議論が非常に盛んにありましたよね。これは、私は間違っていると思っているのですけれど」
反町キャスター
「でも、安倍政権の中でも、コーポレートガバナンス、現在、厚労大臣やっている塩崎さんがずっと一生懸命やられていたことですよ。コーポレートガバナンス、日本の中において、株主の発言権を増していこうという、このロジックというのは、日本の経済活性化には役立つものではないのですか?」
藻谷氏
「ガバナンス上、株主がまさに意欲的に経営に参画し、やってくれる人であれば、もちろん、もっときちんと発言を増やした方がいい、それはその通りなのだけれど。実際には非上場で有効な投資をやっている会社の方が、パフォーマンスが高い会社がありますよ。つまり、自分でちゃんとガバナンスができればね」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「ガバナンスがあるためだけのためにそんなにお金を配る必要はない。なにより株主に配られている配当や株価が上がった分の儲けがここまで消費にまわらない。だから、先ほどみたいに300兆円株価が上がっているのに、本当にほとんど消費が増えないということで考えると、私はよく行くのですが、バイキングレストランで、お金を稼いでいる人がいっぱいいるのに、その人達の前から皿をとってきてまったく飯を食おうとしないお年寄りの金持ちの前に積み上げる人みたいな、これはムダですよ」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「だから、過度に株主を優遇して、お金を使おうとしない人のところにお金を集める、人件費を削ってその分を配当する。ますます消費はされません。これは経済の自殺行為、バランスを失していると思います」
反町キャスター
「グローバルスタンダードみたいなことをよく言っていたではないですか。アメリカではどうのこうの、ヨーロッパではどうのこうのという、株主に対する配慮というのが日本企業は薄いのではないかと、そこは違うのですか?」
藻谷氏
「そのアメリカでも、だから、消費がだんだん伸びなくなってきました。それは、お金を使う人からとりあげて、使わない人に配っていれば必ずそうなります。だから、これは何か極端なことをすると全体のバランスがとれるという考えは間違いで、ちゃんと三方よしになるように、制度上、バランスをとり直すべきだと思います」

日本経済再生への道のり 必要な経済政策は…
秋元キャスター
「藻谷さんは、2010年に出版されました『デフレの正体』という著書の中で、日本経済の再生策について、このような提案をされています。高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進、女性就労の促進と女性経営者の増加、外国人観光客・短期定住客の増加ということなのですが、この2つ目と3つ目については安倍政権も進めているのですけれども、この1つ目の高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進は、藻谷さん、これがなぜ日本経済再生のために必要だと考えているのですか?」
藻谷氏
「これについてはいろいろな議論があり得ると、高齢富裕層とは誰とか、あると思うのですが。イメージとして、先ほどのバイキングレストランの、目の前に食事を積み上げおきながら、食べないおじいちゃんというイメージ、意図はそうです。大変たくさんお金を持っているごく1部の人、高齢者の多くは持っていないのですけれど、持っていて、貯金をずっとしている人達のお金をいろいろな方法で若い人の賃金にまわす。増税、資産課税をして公共支出で増やすという手もあれば、より直接的に民間活力で言うと、彼らにもっともっとお金を使ってもらいたくなるような商品・サービスを企業がとにかく徹底的に工夫して、その分で働いている人の雇用の給料を上げる、いろいろなやり方をしながら、1部に貯まっている、資産になって、貯まっているお金を、民間の努力で個人の若い人に流さないと消費は増えないよねと。これ以外で、この1、2、3を書いたのは7年前なのですが、やっても効かないよということで書いたのが1つ、金融緩和、これは当時、7年前、効きませんと。それから、生産性上昇と、先ほど言ったような理由で若い雇用を減らす方法で生産性を上げるよ、はもう効かないですと。それから、技術革新というのも、言うのはいいのだけれども、中身がわからないと、そういう抽象的なことを言わずに、具体的にはこれであると。こういうことをしながら、1人当たり、1時間当たりの消費額が増えていくような社会をつくらない限り、少なくとも経済の維持・成長は無理ですと。その先にもう成長しなくてもいいと言う人もいるのかもしれないけれども、そこまで言い切るつもりはないと。とりあえずは、これを年に1%ずつ賃金が上げていければ、年に1%ずつゆっくり減っていく生産年齢人口をちょうどオフセットして、総GDP横ばい、1人当たりで言うとゆっくり増加、の社会がつくれるでしょうと、そういう考え方ですね」
反町キャスター
「藻谷さん、現在、自民党の政策とか見ていて、もっと言えば、どこが与党でもそうですよ、どこが与党でもそれがやれる政治腕力というものを、日本の政治に期待できますか?」
藻谷氏
「いや、安倍政権の最初の頃、現在でもそうかもしれないけれども、非常に力があった時に、難しいでしょうけれども、トライしてほしかったのは、持ち主のわからない資産を国庫に入れるというやり方ができれば良かったのですけれども」
反町キャスター
「それは休眠口座みたいなやつ?」
藻谷氏
「休眠口座…」
反町キャスター
「空き家とか、そういうやつ?」
藻谷氏
「休眠不動産…。休眠土地建物、休眠口座ですね。一定期間ずっと公告しても持ち主が現れなかった相続人がはっきりしないものについて、それを結果的にファンドでもいいのだけれども、国が使えるようにしていただくという。そうすると今後、少子化社会の中で、今の45歳の人に比べて、赤ちゃんは半分しかいないわけで、長い間に相続人がいない財産が大量発生することはもうわかっているので。誰の痛みも発生しない、相続人のいない財産については皆でとりあって国の借金を消し、新しい雇用創出に使えるようなお金にまわすような仕組みをつくれなかったのか。民主党時代に休眠口座の活用については1部、研究が始まっていたのだけれども、例によって、財務省の陰謀だろう、みたいなことを言いだす人がいて、止まるわけですけれども。財務省の陰謀とか、そういう小さい話をしているのではなくて、日本全体としてどうするのかを考えてほしかったですね」
反町キャスター
「斎藤さん、いかがですか?高齢富裕層からの所得移転について、どう感じていますか?やるべきですか、こういうものに手をつけるのはちょっといかがなものかと感じますか?」
斎藤氏
「そうですね、うーん、やり方は難しいと思うんですよね。ただ、高齢者ということで優遇されている高所得者というのはたくさんとは言いませんけれども、いますので、そういうところを切り込んでいくというのは現実的にも十分できることだと思いますね。たとえば、医療の話だとか、年金の話だとか、もうちょっと切り込むことというのは十分可能だと思います」
反町キャスター
「藻谷さん、でも、現在のような話、医療とか、いろいろな休眠口座、休眠不動産をやるにしても、そういうところに手をつけるというのは、魔女狩り的な社会の快感度は高くても、実際それによってもたらされる社会的な原資というものが何百兆にもなるのだろうかという、そこのイメージがあまりわからないのですけれども」
藻谷氏
「これはおそらくね…」
反町キャスター
「生活保護の不正受給があるあると言いながらも、実は1%、2%ですね。そこはどうなのですか?」
藻谷氏
「これは正確な数字を持っているのは当然、政府部門にあるはずですね。それで研究している人はいるのではないかと推測で思います、会ったことはないし。仮に政府がそれをやっているということが表に出れば、ほら、人のお金をとりにきたと。その時に、大多数の国民の方は、そうは言うけれども、自分が死んだあとに、たとえば、何百兆円のお金を、何兆円のお金を残したって使う人がいないよね、子孫に全部残すと言うけれども、いくらなんでも1兆円とか、1000億円とか、お金が残ったら、子孫バカになるでしょうと。それよりは特に、ましてや相続人がいない人のお金だったらなおのこと行き場がないわけだから、生きている間に寄付するとか、それならすればいいのだけれども、死ぬまで結局、何もせずに残っちゃった分くらいは皆で公正に使っても、日本政府の税金の使い方はそこまで歪んでいないというか、あなたが勝手に使うよりも良い使い方かもしれない、いいのではないの、というコンセンサスを本当はつくれるし。ついでに言いますと、金融資産がだから、前後するけど千何百兆円と言いますね、現在、2000兆円近くあると言われている、そのうちの、たとえば、1割でも100兆円から200兆円、膨大な額です。ですから、国債の発行額の残高に比してもそれなりにコンシェアラブルに意味のある額を相続人のいない方から回収することは、本当はできるはずだと思うのですけれども」

『人口減少』への対応策
秋元キャスター
「藻谷さん、人口減少に対する対応策として移民の受け入れというのが議論されていますけれども、この移民の受け入れの是非、どう考えますか?」
藻谷氏
「日本は現在、200万人ちょっとしか外国人の方がいらっしゃらないですね。これが、たとえば、400万人、500万人と増えるということは非常に重要なことだと思います。国をもっと多様化すべきです。二重国籍がどうのこうのという議論もありましたけれども、世界の常識からすると、アンタ達はまだ江戸時代の鎖国かという話です。ところで、日本に住んでいらっしゃる外国人が、仮に5倍の1000万人になったとします、日本の人口減少に対する防止効果はほとんどないです。現時点で子供が40年間で半分まで減っていますので、誰がどう計算してみても、現在の1億3000万人近くいたものが4000万人、5000万人減ることは避けられないです」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「それに対して200万人いらっしゃる外国人の方が1000万人になって、ちょっとはプラス、ちょっとだけの防止効果はあるけれども、ほぼ効果なしと考えた方がいいと。つまり、起きている人口減少のレベルが移民でどうにかなるレベルではないということをずっと私は申し上げています」
反町キャスター
「では、人口減少には抗えないと思った方がいいのですか?それとも、何か方法はあるのですか?」
藻谷氏
「自分で自分自身が子供を産める国につくり直さない限り、移民してきた外国人の方も産まない」
反町キャスター
「では、産みやすい国をつくることを真っ先に取り組むべき?」
藻谷氏
「時間がかかるのですけれども、それ以外に、実はこの問題を治す方法はないというのが私の結論です」
反町キャスター
「ちょっとこの表で具体的に話していただけますか?」
藻谷氏
「はい、これは変な言葉ですが、私がつくった次世代再生産性という言葉ですが、生産は、人間は生産ではないでしょうと言う人がいるかもしれませんが。若い親の世代になり得る人に対して子供が実際何人いるか、100だと親の数だけ子供が生まれているという。日本全国の平均が68、親の数の3分の2しか子供が生まれていません。いったいどこが足を引っ張っているのか。ナンバー1で足を引っ張っているのが55、東京都。若い人を全国から集めていて、平均2人に対して約1人しか子供が生まれない。1番まともなのが沖縄、93、ほぼ1対1で生まれている。100を超えてないではないかという意見もあるけれども、そんなに増え続けるのもどうかと。県によって大きな差があるのですけれども、現に日本にも93にいっている沖縄もあるわけで、この良いところだけを勉強して、55とか、60台の、非常に低い、特に東日本の首都圏ですね、このあたり、もっと子供を育てやすい社会に向けて、九州各県や島根県のような…」
反町キャスター
「何が違うのですか?九州や沖縄は?暖かいから子供がたくさんできるとか、そういうことではないですよね?」
藻谷氏
「そういうことではないです。大きく言うと子供に対する社会的な許容度が違うんです」
反町キャスター
「どういうことですか、それは?」
藻谷氏
「たとえば、赤ちゃんポストがありますね、コウノトリのゆりかご、これは熊本にしかありません。実はあそこに子どもを預けに行っている人、かなり関東の人が多い、半分ぐらいは東日本の人だと言われている。では、こちらにもつくればということですが、そんなのをつくるのは、親が子育てを放棄するのを促進するようなものだから許さないと関東の人は言う。九州の人は、それはそうかもしれないけれど、育てられない親のところにいるよりは、子供に罪はないのだから、辛いけれども、虐待されるよりはここに置いてもらって、ちゃんとした里親のところへ行った方がいいよねと九州の人は考える。だけど、いまだに九州にしかないということは、九州の人しかそう考えていない。親がどうこうではなくて、子供側の命を基準にして、子供には罪はないよねと、どうしたら生まれたこの子が、あるいは中絶されている子が中絶されずにするにはどうしたいいのという方向から、もうちょっと考えるようにすると日本全体の数字は上がると」
反町キャスター
「政策的によく厚労省の人達からは、2子目、3子目に対するさまざまな教育費に対する補助がという話を聞きますけれども、それについてはどうなのですか?」
藻谷氏
「明らかにその通りで子供が減っているのは女が平均1人、2人、子供を産まないからだと思う人がこのカメラの前にもいるかと思うのですけれども、まったくの勘違いで、4人、5人産む人がいなくなったからです。沖縄とか、逆に言うと、そんなに育てられないのについついたくさん産んでいる人がいるために平均で2人になっている」
反町キャスター
「なるほど」
藻谷氏
「どんなにほしいのに産めない人が大量にいるわけです、そういう人にムチ打つようなやり方をしていると、ますます生まれません。そうではなく、別に育てる力もないのだけれども、ついまたできてしまったけれども、産んでしまいましょうという人が一定数いて、それをまた支える人、里子にもらう人、税金で支える仕組みと、そういうようなものがあって、平均2人になるんですね。ですから、特に3人、4人とたくさん産んだ人に対して負担が増えないということがとても重要。ちなみに、出生率が高い地方は、田舎にいっぱいあるのですが、どこも家賃が安くて食費がほぼタダ、採れたものがもらえるので。そういうところほど子供が増えて、問題は唯一、教育費、大学進学の時に困るんですね。と言うわけで、一部言っている人はどの党にもいるけれども、大学教育に関してはフィンランドみたいにですね」
反町キャスター
「無償化ですね?」
藻谷氏
「無償化するというのは大事だと思っています」
反町キャスター
「そうすると、住みやすい環境があって、食費もタダみたいなところで、教育も無償化されたら、もっと子供を産み、育てやすい環境が日本の都市部でもできるかもしれない?」
藻谷氏
「人の気持ちが変わったと言うのですけれども、DNAの問題なので、これは生物種としての、力なので、平均で2人になるようにできていて。くどいのですが、皆が2人産むのではないです、4人とか、5人産む人がいる結果、平均して2人になるようにできているので、それが下まわっているということは、何かDNAの本来の本能を仕方なく、我慢している人がいるということですね」
斎藤氏
「藻谷さんおっしゃったように、2人産むというのが基本なわけです、夫婦で2人。これで、2人の夫婦が働いて、2人の子供を育てられる、これが…、もちろん、選択があるのは、個人の選択で自由ですけれども、これができるような世の中にしなければいけない。藻谷さん専門なので、私はちょっと素人的なことを言いますと、私自身、何が1番ネックかなと思うと、この2人が、現在のフルタイムで長時間…、私はちょっと働き過ぎだと思っているのですけれども、この感じで2人とも働いて、2人子供を育てるのは無理だなと。これは役所も含めて、もうちょっと本当に働く時間を減らさないと、2人働いて2人の子供を育てるというのはできないのではないかなと思うんですね」
藻谷氏
「本当におっしゃる通りです。これも先ほどのグラフで見せますと、たとえば、この島根県ですとか、宮崎とか、子供が産まれているのですけれども、共働き率が非常に高いです。ちなみにこの中で最も共働き率が、若い女性の共働き率が低いのは東京です。逆だと思っている人が多いです。東京は共働きが非常にしにくい。長時間労働が多くて、通勤も長いので、両方やっちゃうと家庭が崩壊するので、仕方なくどちらかが辞めて、奥さんが辞めて家にいることが多い、ついでに言うと保育所も足りない」
反町キャスター
「経済的な環境を悪化させて、2人の子供をつくりにくくしている部分もあるのではないですか?」
藻谷氏
「そうですね。ついでに言うと、東京は大人の数6人に対して子供1人で、全国で1番、大人の数に比べて子供が少ないにもかかわらず、保育所が足りない。つまり、他の田舎に比べて怠慢していたんです。要するに、そのことにエネルギーをまったく振り向けずに、ひたすら通勤して働いていれば、家庭のこと考えなくても経済成長するという考えてきた。ところが、実際、自分がそのリベンジを受けている。実際、東京都も、東京都は人口が増えているようで、64歳以下は減っています、減り始めているんです。だから、アパートもドンドン空いてくる。そういうことに対して、自ら働きながら子育てしやすい体質改善に思い切り切り替えないとダメだと思うんですよね」

藻谷浩介 日本総合研究所主席研究員の提言 『若い世代の賃上げを民間主導で!!』
藻谷氏
「若い世代の賃上げを民間主導で、政策ではないのではないかと言われそうですが、特に経済団体の方ですね、政府はもう言っているわけだけれども、経済界の側が若い世代を賃上げして、内需を拡大して、自らのマーケットを拡大しないと、外国も含めて、ドンドン細らせて貯めているだけでは日本語しか喋れないあなたの仕事はなくなりますよということを申し上げたい。政府にだけ言わせず、むしろ企業と労組が率先して言うべきです」

斎藤太郎 ニッセイ基礎研究所経済調査室長の提言 『4%の賃上げ 目指せ』
斎藤氏
「私は4%の賃上げ目指せということで…」
反町キャスター
「すごいですね、4%」
斎藤氏
「すごいと思われます?思ってはいけないというのがメッセージで…。2%の賃上げを4年連続でやったという言葉、よく聞きますよね。あの2%というのはクセ者で、定期昇給分が1.8%ぐらい入っているんですよ。だから、実質的な賃上げは現在、0.3%から0.5%ぐらいしかないですね。一方、日銀は2%物価を上げようとしているんですよ。消えちゃいますよね。消えないために最低限必要な賃上げが4%です。なぜなら4%から2%引いても2%残って、ベア、定昇を引いてもギリギリ残ると。だから、4%の賃上げが現在の時代は必要だと、そういう提言です」