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2017年7月14日(金)
トランプ政権『命運』 ロシアゲート炎上の先

ゲスト

武見敬三
自由民主党参議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
モーリー・ロバートソン
ジャーナリスト
渡部恒雄
笹川平和財団特任研究員

トランプ大統領の命運 『ロシアゲート』の行方
松村キャスター
「3夜連続でお送りしている、首脳達の命運。一昨日は安倍総理、昨日は韓国の文在寅大統領、最終日の今日はトランプ大統領を取り上げます。大統領就任から間もなく半年ですが、ロシア政府が大統領選挙期間中、トランプ陣営に有利な働きかけを行ったとされるロシアゲート疑惑に、新たにトランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が関与した疑惑が浮上しています。アメリカ上院司法委員会のグラスリー委員長がジュニア氏に議会証言を要請したとアメリカのメディアが報じました。ロシアゲート疑惑が未だくすぶり続けるアメリカで、トランプ大統領の命運はどうなるのでしょうか。アメリカの事情にお詳しい政治家と専門家と共にトランプ大統領を徹底分析します。まず昨年のアメリカ大統領選の最中に、ロシア政府がトランプ陣営に有利な働きかけを行ったとされる、いわゆるロシアゲート疑惑に関して、今月に入って、トランプ大統領の長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏の関与が浮上しました。その経緯を見てみますと9日、ニューヨーク・タイムズ紙がトランプ大統領長男のトランプ・ジュニア氏が大統領選中にロシア政府と関わりのあるロシア人弁護士と面会したと報じました。11日にはトランプ・ジュニア氏が弁護士との面会を仲介した人とのメールを公開したのですが、ロシア政府のトランプ陣営への支援という文言が含まれていまして、疑惑を深めることになりました。13日にはアメリカの上院司法委員会のグラスリー委員長が、ジュニア氏に議会証言を要請したとアメリカのメディアが報じました。まずは古森さん、トランプ・ジュニア氏が議会証言を応じたとしたら、ポイントはどこになりそうなのでしょうか?」
古森氏
「ポイントはこの会合がアメリカの法律に違反したのかどうか。このロシア疑惑と言われていることの核心部分というのはロシア政府機関とトランプ陣営が共謀して有権者の票を実際に動かしたと、ここから疑惑が始まって、ここが核心部分ですね。現在その核心がボケちゃって、ただ接触したことが悪いのだとか、ロシア政府が勧誘してきたことが悪なのだとかどうかということに、あるいはプロセスの司法妨害的なこととかという方に今、注意が移っちゃっているわけですけれども、その核心部分の疑惑という点から考えると今度のことは非常にトランプ陣営にとって打撃ということはあるけれど、核心部分の疑惑が黒だと証明する材料には全然なっていないと思うんですよ。ただ、会合はして、悪い情報があったら教えてくれという、悪いというのはヒラリーさんにとって、教えてくれよと言っていったら、それがなかったので。クシュナーさんがいたけれども、途中で帰ったという情報もあるし、結局、何にも教えてもらえなかったと。それから、ロシア側は全て否定していますよね。だから、ワーッと燃え上がって、いろいろいくけれども、トランプ陣営にとって致命的なことが今回の出来事から起きてくるという見通しというのは非常に少ないと思いますね」
松村キャスター
「モーリーさんは議会証言のポイントとトランプ大統領への影響、どのように見ていますか?」
モーリー氏
「ジュニアのメールのやり取りは非常に迂闊な、素人っぽい、基礎的なミスで、大人としてのマナーをわかっていないと最後は理解されてしまうかもしれません。気になるのは、トランプさんが、いわゆる司法妨害のようなことを行ってきたことですね。コミーFBI(連邦捜査局)長官をいきなり解任したとか、その前はイエレンという長官代理でしたか。司法長官代理を解任したりとか、そういうふうに自分に少し捜査が近づきそうになると、捜査当局者を攻撃したり、解任したりしている。これは司法妨害に当たるわけですよね、考え方によっては。ニクソンのウォーターゲートの時は、司法妨害から足元をすくわれて最終的に辞任に至ったわけですから。そこは注目されていると思います」
松村キャスター
「渡部さんは?」
渡部氏
「核心に迫る話ではないと思うのですけども、でも、疑惑を深める目的で言うと、家族・身内、しかも、ジュニアというのは、トランプさんのビジネスをずっとやってきている人ですから、実は疑惑の仮説ですけれども、言われているのは、なぜトランプ大統領がこんなにロシアと近いのだという話の中で、そこからきているんですよね、一連のものが。その中でトランプさんのビジネスが、実はロシアと関係しているのではないかという、これは疑惑ですよね。そういう仮説的な疑惑です、証拠があるわけでもない。ただ、よく出ています。お金を借りていて、お金を貸しているのが、ロシアが担保している。ドイツ銀行から借りているという話は出ていて、ロシアと近いからドイツ銀行は、というような話も出ています。というものに何となく状況証拠的に出ているけれど、ただ、核心のものではおそらくないのだろうなというのは皆、薄々思っているのではないでしょうか」
反町キャスター
「武見さん、支持率…、今日、時事通信の支持率が出て29.9%と、安倍政権が出ました。トランプ大統領はこれだけ大騒ぎしながらも、一部大手メディアです、全部ではない、一部大手メディアのあれだけの逆風を受けながらも、いまだに支持率40%をもっていますよね。安倍政権はこの間まで60%、加計・森友の話がいろいろある中で、結果的に30%を切る社まで出てきたと。トランプ政権の方が、要するに、支持基盤が強固だという見方になりますかね?」
武見議員
「トランプ政権の1番の支持基盤というのは、よく言われているように中西部の、非大学卒の労働者の人達というようなことが言われていますよね。そういう地域性と、それから低所得者層というところが主要な支持者になっているという状態は大統領選挙が行われた、あの当時と現在はそれほど変わっていないだろうと。従って、選挙の時にトランプさんを支持した人は、いまだ9割近くは大統領を支持しているというのが現状だと、最近のエコノミストの世論調査で書いてありますけれど。おそらくその通りだろうなと思います」
モーリー氏
「アメリカの方は1回決めたイデオロギーや世界観がなかなか覆らないですね。トランプさんの支持基盤にある人達というのは、グローバリズムの負け組と重なると言われていて、たとえば、アメリカの雇用が新興国に流出したとか、あと格差が広がっている、格差の下側にいる人達ですね。もう1つはアメリカが多様化していくことに戸惑いを感じている人達ですね。非白人の人達が、移民で圧倒的に、現在割合が多いです。ですから、アメリカの本質が変わっていくのではないかということを心配している人達もいて、その中のさらにあるハードコアなグループはキリスト教右派と呼ばれていて、極めて信仰が強い人達、政治と宗教は分離すべきではない、むしろ合致させるべきだというエヴァンジェリカの人達がいて、この層は強固にトランプさんを支持し続けています。他の候補が、たとえ他の共和党の大統領が出てきても、ここまで自分達に歩み寄る人達は今後、出ないだろうと信じているのではないでしょうか」
反町キャスター
「固い支持層が離れるかどうかのカギを握るのが、今日のロシアゲートというテーマからすれば、司法妨害が本当に行われたかどうかという、この部分ですか?」
渡部氏
「でしょうけれども、でも、司法妨害なんて、トランプさんを支持している人は、あまりそんなテクニカルな話ではないと思うんですよ」
反町キャスター
「気にしないということですか?」
渡部氏
「気にしないというか…」
反町キャスター
「トランプサポーターは、司法妨害しようが、しまいが関係ないんだよ、ウチの大統領は、と思っている?」
渡部氏
「…ではなくて、もっと決定的なマイナス要因が出てくるということでしょう。本当に明白な嘘を言っているとか、明確に、たとえば、ロシアからの操作、操作というか、ロシアに動かされているとか、そういうものは違うと思います。だから、ただ、現在見ているのは、むしろ世論調査に影響を与えるのは、実はアメリカの新聞でもトップなのは、オバマケア撤回法案が通るかどうかですよ、上院で。オバマケア撤回というのはトランプさんを支持している人達の1番期待していることの1つですね。国内政策ですよ。そこがカギになってくると思いますね」
反町キャスター
「オバマケアの話はたぶん観ている人はよくわかっていない、私も理解度は低いのですけれども、あれは撤回なのですか?それとも、オバマケアを修理と言うか、一部改革みたいな…。完全にポシャることを考えているのですか?それとも、補強というか、改修というか、修正をするみたいな…」
渡部氏
「まさに、そこが現在、共和党の中で腰が定まらないので、共和党の右側と左側でどちらも離反が出ているわけです。共和党の右側は徹底的に壊してほしいわけですよ」
古森氏
「公約は破棄ですよね」
反町キャスター
「公約は破棄だったですよね、はい」
武見議員
「この医療保険改革についての主な目的は、連邦政府の資金的な関与をかなり大幅に縮減させるということですよ」
反町キャスター
「なるほど」
武見議員
「そこを実際にやろうとすると、結果として2000万人ぐらいの人が新たに保険のカバーを失ってしまうかもしれない」
反町キャスター
「無保険になる…」
武見議員
「そういったことを通じて選挙区に帰った議会の人達が、共和党といえども、そう簡単にこの改革案に乗れない人達が出てきているという話はおそらくあるのだろうと思います。だから、この問題は、5月に…、3月と5月に私はワシントンD.C.に行って、20人ぐらいの上院議員、下院議員と会った時にまさにこの問題をやっていまして、その時にも、この本質的問題、ここにありましたね」

加熱するメディア戦
松村キャスター
「大手メディアはロシアゲート疑惑に対する追及の姿勢を崩さず、トランプ政権への批判を強めていますが、トランプ大統領も負けてはいません。トランプ大統領自身がツイッターに投稿した動画です。擬人化されたCNNを、トランプ大統領本人が叩きのめしているのがわかります。さらに、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が自身のインスタグラムなどで投稿した動画です。トランプ大統領が、CNNのロゴマークが入った戦闘機を撃ち落とすなどより過激なつくりとなっています。このように、親子でインスタグラムやツイッターに投稿しているということですけれど。モーリーさん、このような動画などが投稿されている現状をアメリカ国民はどう見ているのですか?」
モーリー氏
「面白いと思っている人は、実は言葉にしない人達も含めると、面白いと思っている人は多いと思います。トランプさんのエンターテイナーとしての白星をどうしても感じざるを得ません」
松村キャスター
「エンターテイナーとして…」
モーリー氏
「政治をエンタテインメントとして見るには、恰好の素材はトランプさんが提供してくださっているので、彼が嫌いで生理的に受けつけない人であってもここは1本とられたなと思っている人は多いのではないでしょうか」
反町キャスター
「だから、大統領支持率が上がるとか、下がるとか、まったく別?」
モーリー氏
「彼を品がない人だと思っていた人はますます確信を持って、下品な人だなと思うけれども、ただ、それでも妙な無意識の愛着が生まれるんですよ。次に何をやってくれるのだろうという」
反町キャスター
「えっ!?アメリカ国民は次のネタを待っているの?」
モーリー氏
「ある意味、アメリカ国民が誘惑されている最中かもしれないです。それに対して冷徹に、やっている実績だけを見続けられる人達がいれば、こういうトリックも使えなくなるけれども、現在のところ、皆ちょっと乗ってしまっているかもしれないですね」
反町キャスター
「こういう面白おかしい動画に?」
モーリー氏
「ミームと言われているらしいです」
反町キャスター
「ミームと言うんですか?」
モーリー氏
「ミーム、動画を遊んでつくったヤツ」
反町キャスター
「こういうものができるということは…、大統領選挙中だったら、たとえば、ネガティブキャンペーンとか、相手を批判する、相手のイメージをダウンするためのものというのが、いまだに選挙が終わったあとも続いているかのような印象ですけれど」
モーリー氏
「そうですね。もともと選挙でネガティブキャンペーンを大量のお金を双方の陣営が投じてやってしまえる、テレビコマーシャルとかをやってしまえるのはそういう最高裁の判決があったんですね。無制限にそういうお金を集めてよいという、シチズンズ・ユナイテッドという判例だったのですけれども。そこが後遺症のようにインターネットの時代に入ってきて、両方の陣営の個々人が、有志が結構、ヒラリーさんであったり、トランプさんであったりを小バカにする動画や静止画コラージュというのをいっぱいつくっていたんです。それが一種の国民の遊びになってしまっていた。だから、そこで1回、火をつけて、エンタテインメントのサイクルの中で、トランプさんがそこに便乗して、自分にとってある種、客観的な報道も含めて、好ましくないものをフェイクニュースだと。ですから、あそこでCNNのあのコラージュの中で、実はFNN、フェイク・ニュース・ネットワークで、こちらのFNNと関係ないのですけれども、たまたまなのですけれども、だから、CNNをそうやってFNNとシャレで書き換えること自体が、ウィットですね。ですから、ある意味、下品なのだけれども、そこにある種、知的なセンスがあると、諧謔のセンスがある。つまり、その諧謔は敵対している人も認めなくてはならないわけですよ。だから、うまいこと言われたという、1本とられたというのがちょっと一服の清涼剤にもなるんですよね。ただ、危険性は、報道そのものを相対的に好きか嫌いかで真実が決まってしまうという前例をつくってしまうことにもなりますので報道そのものの地位が下がること。ゆくゆくはアメリカの国威が下がってしまうというリスクをはらむと思います」
反町キャスター
「モーリーさん、都議会選挙の最終盤で、総理が秋葉原に行きましたが、『こんな人達に負けるわけにはいかない』と言ったことが逆風を呼びましたよ。それと、トランプ大統領が今回やっていること。僕は質的に言ったらアメリカ大統領がやっていることの方がはるかにレベルが高いとか、低いとか言うよりも…」
モーリー氏
「乱暴さで言うと、トランプさんがやっていることの方がはるかに過激です」
反町キャスター
「ですよね?」
モーリー氏
「それから、こんな人達に負けるわけにはいかないというのは切り取られて報道されている部分がありまして」
反町キャスター
「そうそう。その前の部分が重要」
モーリー氏
「前の部分で、相当に品のない攻撃や罵声を浴びていて、自分の演説を妨害されているわけですよね。ですから、いわば安倍さんがおっしゃったことというのは静粛にというものの延長だと思うんです。そこを切り取って、それに日本の視聴者、有権者が敏感に反応したというのは逆に日本人のお上品さ、潔癖さがすごく高いのだと。アメリカはもっとカウボーイ同士の殴り合いが好きなのだなという、文化の違いを感じました」

演説に見る『資質』と『思想』
松村キャスター
「日本ではあまり報道されていませんが、トランプ大統領は先週、外遊中にポーランドのワルシャワで演説を行いました。その中身ですけれども『我々はロシアにウクライナなどを不安定にする行動をやめ、シリアやイランを含む敵対的政権への支援を止めるよう要請する。責任ある国々と共に共通の敵と文明を守るための戦いに参加してほしい』とこのように話していますが、米露首脳会談でプーチン大統領と会う前日ということで、古森さん、ロシアの話で批判していますけれども、この件については」
古森氏
「これは、だから、トランプ大統領を支えてきた共和党の保守系の人達というのは、ロシアに対して、ウクライナへの侵略などを理由にしてすごく強い反発があったわけですよ。それがトランプ自身は、プーチンさんと特別親しいのではないかとか、ロシアに対して極めて、いろいろな経済の利権もあって、特別な絆があるのではないかという疑惑とか、推測が広まったわけですね。その推測の中には、実態があるかもしれないけれども、だから、それを一掃するような意味も込めていますよね。これまでトランプ政権としては、えっ?と思うような、ロシアに対する強い反発の、反対の意見を述べているということ。それから、もう1つは、イスラムテロリズムに対する強烈な反発。これはIS、イスラム国というのは一応、本部が、本拠が壊滅させられましたね。これはトランプ政権、トランプ大統領自身が公約のトップの部分に掲げてきた、やるぞ、という方針だからね。これも、ちょっと世界的に意味が大きいと思うのだけれども、アメリカの主要メディアはあまり大きく報じないという」
反町キャスター
「なぜ主要メディアは報じないのですか?」
古森氏
「トランプさんを倒したいからではないですか、それは」
反町キャスター
「敢えて言えば、たとえ立派な演説をし、立派なことを言ったとしても、トランプさんが嫌いだからアメリカの主要メディア、反トランプメディアは流さない。そこは、ノリを超えて…」
古森氏
「いや、ノリはとっくに超えてきていると思いますよ。いわゆるアドボカシー・ジャーナリズムという、主張していく、報じるのではなくて、主張するのだという方向になっちゃっているんだよね」
反町キャスター
「たとえ、何か良いことしようとも、とにかく彼のやることは全部否定することしか言わないという、そうなっていると見ていいのですか?」
古森氏
「ほぼ、そういう状況だと思います」
モーリー氏
「ニュアンスを加えますと、全否定をするCNNやニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストがいたとして、懸念を示しつつ少し冷静に報道しようとするブルームバーグみたいなところが、そういう報道をして。ですから、たとえば、この演説に関して、the West、西洋文明という言い方、その意味が大統領によって書き換えられたということを細かく検証する記事も出ていました。つまり、かつてウエストというのは主に民主主義や人権、多様性…」
反町キャスター
「東西対立のウエストの意味…」
モーリー氏
「…ですよね。国境を越えた皆で仲良く国際社会を調和させましょうというのが、the Westの基本的・普遍的価値観。普遍性を排除して、実はウエストというのは、ナショナル、国家、自国優先主義が先に立った新たなウエスト、伝統という言葉も、クリスチャンという主流宗教を基にしたアメリカを建て直すという概念が見え隠れする。そういうニュアンスを検証する記事も出ているんですね。これは有用だと思います。だから、ちょっとずつ警戒しつつもトランプさんはどうやってアメリカを進めていこうとしているのか、これを解析する記事も一応は出ているんです。ところが、感情にかられた左右陣営の人はFOXを観るか、CNNを観るか、するので、ブルームバーグに行き着く人はあまりいないのかもしれないですね」
渡部氏
「リベラルメディアはかなり批判していますよ」
反町キャスター
「この演説を?」
渡部氏
「この演説を。それは、スティーブン・バノンという主席戦略官の世界観に合致しているからです。つまり、文明の戦いというのを非常に彼は思っていて、つまり、現在、西洋文明というか、白人は実はイスラム教徒にやられつつあると思っていて、それと戦うためには、むしろロシアとかとは組むべきだと思っていて、そのメッセージでしょう。つまり、ロシアを批判しているというよりは、むしろロシア、俺達の味方になって一緒にイスラムと戦おうよみたいなメッセージに聞こえるんですよね。これに対して、非常にそれは白人至上主義だったり、ちょっといかがなものかという批判が、つまり、リベラル側からの批判というのは、そこですよ」
反町キャスター
「リベラル側としては、そこを弱点というか、欠点と見たと?」
渡部氏
「見たということですね」
反町キャスター
「一方、この日の翌日に行われた米露首脳会談では、渡部さん、シリアの問題とウクライナの問題というのをトランプ・プーチンの間で基本的に大きな枠で合意したように見えるのですけれど。そうすると、これだけロシアに注文をつけておきながら、実際プーチンさんと会ってみると、いつもありがとう、こういうところでもがんばろうねと…」
渡部氏
「だから、ロシアにウクライナなどを不安定にする行動をやめて、シリア、イランを含む、敵対的政権へ支援をやめるよう要請すると、一緒に共通の敵と戦おうと。共通の敵が何かと言うと、イスラムです」
反町キャスター
「なるほど」
モーリー氏
「あるいは国際主義、国を弱める多様性、EU(欧州連合)、そういうものを多少トランプさんは敵対視して。ポーランドは現在EUと悶着がありますからポーランドのナショナリスト政権の肩をちょっとヨイショしたようなところもあったし」
渡部氏
「現在のポーランドのドゥダ政権は、右派政権だし、反移民で、ナショナリズムだから、非常にトランプさんを支持している、アメリカ国内で支持している人と波長が合っているんですよね」
武見議員
「でも、この演説、理念だとか、価値観を初めておっしゃったとは言うけれど、冒頭にトランプさんが述べた言葉というのはこの間の選挙の時にポーリッシュアメリカンの人達が自分を支持してくれたと、あらためて母国ポーランドの人達にも感謝を述べたいというのが最初ですよ。だから、この人、国際的なコンテキストと選挙のコンテキストが一緒になっちゃう人なのかなと思いましたけれども。ただ、同時に、確かに理念についても初めてこれだけ語ったんですよね。それで、トランプさんが法の支配とか、それから、デモクラティック・ユーロップを守るためのコミットメントを自分は明確にするとか、北大西洋条約機構の第5条についてもきちんと言及するとか。とにかくフリーダムなんて、このスピーチの中で何十回出てきているだろうかというぐらい出てくるわけですよ。だから、そういう意味では、ある種の価値観は述べた。それは彼のおそらく頭の中にあるアメリカのファンダメンタルな、建国の理念というのはどこか彼の頭の中にちゃんとあるんですよ」
反町キャスター
「あるのですか?」
武見議員
「あるんですよ」
反町キャスター
「いや、でも、現在やろうとしてるのは…」
武見議員
「だけど、彼は基本的に全て外交は2国間で考えているんですよ」
反町キャスター
「そうか」
武見議員
「だから、ポーランドに行けば、ポーランドの人達が1番喜んでくれることを言うと。ロシアに行けば、ロシアの人が1番喜んでくれることを言うんですよ」
反町キャスター
「それはマズいでしょう」
武見議員
「だけど、その中で彼はさまざまにおそらく駆け引きをしている、しながら、自国の、アメリカンファーストの国益をちゃんと守っていこうと。TPPをやめただけではなくて、あらゆる面で彼は常に外交を2国間で考えているのではないですか」
松村キャスター
「『西洋文明のための戦いは戦場で始まるのではない。それは心、意志、そして魂から始まるのだ。今日、我々の文明を結びつける絆は、かつてポーランドの希望だったワルシャワ蜂起と同様に決定的に重要で、全力で守るべきだ。我々の自由、我々の文明、そして生き残れるかどうかは、これまでの歴史・文化と記憶でできた絆にかかっている』。ここに出てくるワルシャワ蜂起は、1944年に、ソ連がポーランドのレジスタンスにナチス・ドイツへの蜂起を呼びかけ起きた反乱です。しかし、蜂起後ソ連軍は力を貸さず、ドイツ軍にレジスタンスが鎮圧されたあとに進撃を開始してワルシャワを占領しました。ワルシャワの市民の死者数は18万人から25万人程度と推定されています。古森さん、敢えてトランプ大統領がこのワルシャワ蜂起を取り上げた意図をどう読み解きますか?」
古森氏
「1つは、ポーランドの国民にとって最も重要な、歴史的な出来事であって、自分達が非常に辛い思いをしてきたというこの心情、心の底にあるような部分、そこに対するアピールということは当然あったと思うんですよね。それから、ナチス・ドイツとの戦いであると。それから、共産主義のソ連軍にも裏切られたという。だから、そこにちょっと現代性、ナチス・ドイツはもうないけれど、ロシアの共産主義、共産主義でもないけれど、ロシアがいて、現在のポーランドといろんなギクシャクをしているから、ロシアに対する牽制、そんなところではないでしょうか。もっと大きな文脈だと、アメリカとヨーロッパというのはそういう絆があって、アメリカはヨーロッパの中の自由陣営を助けてきたのだということを、これはアメリカ大統領としてこれまであまりそういうことを言わなかった人がたまには言ってみようということで、言ったという、そんな感じがしますね」
反町キャスター
「モーリーさん、ワルシャワに行って、ワルシャワ蜂起のことを触れる。ポーランドの人達にとっては民族としての最も苦しい部分ですよね。それを言って、ワッとナショナリズムを煽って、ポーランドの詰めかけた人達から、すごい拍手喝采を受けるわけですよ。これは盛り上げるという1点からすれば素晴らしいかもしれない。先ほどのミーム、それと同じですよ。ただし、これが政治的なメッセージ性とか、政治的な本当の効果とかの意味を考えた時に果たしてどうなのだと。そこはどうなのですか?」
モーリー氏
「意味は実は一貫した戦略を感じます。先ほど、スティーブン・バノン主席戦略官のイデオロギーが色濃く演説にあったというお話がありましたが、スティーブン・バノンの考え方というのは欧米の国々、キリスト教文明の国々は、これからイスラム世界と文明の衝突をするという、終末論的な世界観ですね。そこは、文明は脅威に瀕していて、それぞれの伝統的キリスト教の文明が、西洋文明が、自らを防御しなくてはならないと。しかも、これまでにない戦場で、みたいなことを言って脅威を煽っています。ポーランド人のナショナリズムをピークまでに煽るということは、EUである以前に、ポーランド国民はポーランドの伝統と価値観と信仰を持っているのだという、そういう魂を、スイッチを入れているわけですよね。そうすると、EUの力が弱くなる。演説の後半では、巨大過ぎる超国家的な官僚機構を攻撃しています。つまり、ブリュッセルのEU本部を攻撃しているんですね。右寄りの政権は皆、EUを弱める方向に進んでいます。つまり、ここで通底するのは、トランプさんの思想、スティーブン・バノンさんの思想、プーチンさんの思想と、ポーランドの現政権の思想、これ全部、通底しています。さらに西ヨーロッパのEU懐疑派、国民戦線、フランスとか、ユーキップとか、西ヨーロッパの極右政党は皆、同じ世界観を持っていて、そこで彼は実は見事に横断して連結しているわけです」
反町キャスター
「なるほど」
古森氏
「EU的なものは、彼は自分の考えとして、嫌いだと、冷たいのだという、これははっきりしていて、それに代わるものは何かと言ったら対外的な絆としては2国間の関係になるわけだから、2国間の関係を重点に置いて固めておくと。だから、ゼロサムゲーム的なところがありますよね。EUと2国間関係というのは。だから、そのへんは結構うまいのではないですかね、総合して…」
反町キャスター
「渡部さんはどう感じますか?」
渡部氏
「今、パリに行ってるんですよ。つまり、2国関係でいきたいわけですね。あと好き嫌い、これも結構重要で、たぶんメルケルさんのところにはあまり行きたくないと、ドイツには行きたくない」
反町キャスター
「何か悪口を言われましたからね」
渡部氏
「ええ、だから、これは相性で、すごく基本的にワガママな人なので別にそんなに戦略性よりは相性という部分があるのでしょうけれども。あと振りつけもあってたぶんバノン主席戦略官がなぜ現在も力があるかというと、一時力が弱まったと言ったのだけど、でも、知っている人は皆、いや、彼は戻るよと。なぜならば、次の選挙を、再選の戦略を、選挙で考えられる人は彼しかいないからと言われていて。もともと彼が、中西部でトランプさんが勝った選挙の責任者だったんです。ポーランド系のアメリカ人は中西部にいっぱい住んでいるんですよ。特にウィスコンシン州は今回すごく勝ったんです、トランプ大統領。事前の世論調査ではヒラリーさんが勝っていたのに、ひっくり返した州の1つですよね。だから、そういうことまで含めて考えていますし、実は別にトランプさんが最初ではなく、クリントン政権時にNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大と言ってNATOをポーランドとか、チェコスロバキア、当時はハンガリー、こういうところに拡大した中に、選挙戦略があると言われていて。中西部のああいうところを結構、しかも、ポーランド系は塊で、結構、団結して投票してくれるので、あそこを狙っていたというのがあるんです。だから、別に新しい話ではないのですけれども、そこは着実に考えているのだと思います」

『アメリカの理念』
松村キャスター
「ワルシャワでの演説で、トランプ大統領は西洋文明の大切さ、危機について言及しています。西洋文明、すなわち西側の文明は民主主義や個人の自由、基本的人権など、いわゆるアメリカの理念につながっていくと思いますが。モーリーさん、トランプ大統領にとってアメリカの理念、これはどのような位置づけだと考えますか?」
モーリー氏
「トランプ大統領が選挙期間中から支持層にずっと言い続けてきたことは、アメリカは自分の首を絞めてきたと。あまりにも政治的な正しさや人権・人道への配慮をし過ぎていて過剰にアメリカを多様化している。よくトランプさんが例に出していたのが、メリークリスマスと言えない国になったということですね。私が大統領になったら、皆でメリークリスマスと言おうと言うと、支持者が割れんばかりの拍手をするわけです。ですから、キリスト教マジョリティのこのアイデンティティを回復しないと強いアメリカに戻れない。たとえば、ドンドン入ってくるさまざまな非白人、非キリスト教圏の人達の移民を皆、それぞれの固有性や多様性を認めてあげ過ぎると、アメリカの国力そのものが弱くなるのだ、それがアメリカの経済の凋落というものとトランプさんの物語の中では一体化しているわけですよね。なので、そこを全部、元に戻したい。いわばアメリカを40、50年ぐらいリセットしたいという願望を支持者と共有しているのではないかと思います」
反町キャスター
「それは、たとえば、現在のNAFTA(北米自由貿易協定)の話とか、壁をつくるとかという、あのへんの話とは同じなのですか?」
モーリー氏
「そうですね。NAFTAというのは多国間で、3か国ですけれども、国境を越えた、それぞれの国の政府を超えた、多国間の合意であるとか、枠組み、国連もそうですし、TPPもそうです。そういうことにアメリカが気前よく拠出し過ぎた。アメリカが世界の主軸で、西側世界の主軸であらんとするがためにあまりにも多くの金銭的犠牲を払った、それをこれから回収しよう。つまり、トランズアクショナルという言葉があるのですが、取引、トランズアクション、全ては取引である。だから、これはディールとして悪い、1回リセットして、元のディールに戻そう。NAFTAも反故にするぞ、壁をつくるぞと言って、メキシコ政府やカナダがひるめば、もう1回、NAFTAの交渉し直せる。こういう理念の中で、アメリカを再構築しようとしているのだと思います」
古森氏
「だから、現在の状況と、トランプさんの理念なるものだけど、ロバートさん言われたように、アメリカは現在のままだとアメリカがアメリカでなくなってしまうというような、クリスマスと言っちゃいけない、キリスト教だからというところから始まって、これは、オバマ政権の8年間での結果というのがすごく大きいわけですよ、8年間、実際にやってきたわけだから。だから、自由に競争をして1等、2等、3等、優劣がついちゃいけないみたいな、昔の日本の日教組的な、ゴールインする時は皆、平等だっていうような、それは乱暴に言うとオバマさんの考え方で。その後、いろいろな人が、いろいろな国から入ってくるけれども、シリアから来た人はシリアの文化とか、言葉とか、そのまま持っていてもいいみたいな。だから、アメリカは本来、民族のルツボであるべきなのに、民族のモザイクになっちゃう。モザイクでいいのだ、オバマは民族のモザイクが残っていていいんですよ、アメリカ人であるけれども、シリアの文化をそのまま持っていくという。そうすると、一貫性というのは、統一、団結する必要がなくなっちゃうではないですか。そういうことに危機感を覚えたアメリカン人がトランプさんの方へ流れて行ったというね。それから、もう1つは、国外的・国際的にトランプ政権を支えているような人達の、非常にこれはレベルの高い戦略問題をやっている人達の間に、現在、アメリカにとっての国際危機というのがかつてなく深まったと。これはアメリカが主導してつくってきた、国連とか、IMF(国際通貨基金)とか、世界銀行とか、NATOとかに象徴される国際秩序が、かつてない脅威を受けていると。その脅威を投射してきているのは中国であり、ロシアであると。アメリカが先頭になって広めてきた普遍的な概念、自由民主主義、法の統治、人権という、そういうものを必ずしも受け入れない価値観の国家がこう出てきて、すごく危ないのだという。だから、このままではよくないのだよということ、部分が、トランプ政権、だから、強いアメリカと言うではないですか、Make America Great Again。だから、最初は1国主義、孤立主義と見られていたけれども、シリアに対する巡航ミサイルの攻撃に象徴されるように、個別的にはボンと介入していくわけです。だから、アメリカの強さ、アメリカのあり方、アメリカの価値観を投射していくと、ただ、投射の仕方がいろいろとあるけれどね。だから、そのへん国際情勢の危機なるものの認識が現在のアメリカのトランプ政権のあり方にも反映されているという。その面というのは非常に定義づけが難しいですけれども、潮流としてかなり大きいものがあると思う」
反町キャスター
「古森さん、それは安全保障とか、そういう部分ではなくて、経済的にアメリカが、ラストベルトの人達が、生活が苦しいという前提に立った場合に、それは、たとえば、グローバリゼーションのせいとか、中国のせいとか、そういう風に責任を転嫁しているという議論にはならないのですか?要するに、アメリカは中の構造改革なり、痛みを伴うものを率先してやる国だと僕は少なくとも昔は思っていましたよ、それができなくなった時に、責任を外に被せているという議論にはならないのですか?」
古森氏
「それは、ポピュリズムという言葉で集約されるような、現在アメリカで起きている現象は、その部分というのは大きいと思いますよ。ただ、それはまったく根拠のない主張ではないわけですよ。現に中国から貿易収支の、アメリカの対中貿易赤字を見ても、ガーッと入ってきて、中国製品が。その時、私も随分取材してワシントンを見たけれども、中国から入ってくるモノによって、打撃を受ける一般のアメリカの人はいっぱいいるわけですよ。利益ももちろん、あります、それはインフレが抑えられる。たとえば、ニンニクをアメリカ、カリフォルニアで栽培している農家の、おじさんが出てきて、議会で喋って、どうにも中国からくるニンニクには敵わないのだと言うわけですよ。政府にアピールして、関税を400%かけてもらったと、それでもダメなのだと言うわけです。それから、中西部の自転車をつくっている若い女性なのだけれども、おじいさんの代からやっていて、中国の自転車にはどうやっても敵わないと言う。だから、それは経済の原理で当然のことだと言ってしまえばそれまでだけれど、アメリカという国、アメリカ国民の利益ということから見ると、それはドアを開けっ放しにしておくことによるプラスよりもマイナスの方が大きいという…」
反町キャスター
「それは、国内の利益の再分配のシステムの話ではないのですか?バカ儲けしている人達がいるわけではないですか、グローバリゼーションによって…」
古森氏
「それはそれでまた別で、外とのやりとり…。だって、日本だって自動車をドンドン売って、日本全体が浮上してきたという歴史があるわけだから、アメリカが受け入れ、超大国だったから受け入れて、こちらも利益を得るけれども、向こうにより多くの利益を結果として与える、貿易のパターンというのがあったこと、これは否定できないと思うんですよね。だから、私も1980年代の貿易摩擦、武見先生も随分書かれたと思うけれども、ドンドン日本の良い自動車、燃費の安い、いろいろな製品はそんなのいっぱいありますよ、そんなの。テレビをつくる企業なんてアメリカになくなっちゃったから。だから、それで皆もうやられていったという、ずっと。自動車企業はまだ全部やられてはいないけれども、日本にとって、アメリカ人の魂と言われたような自動車を、遠い国の人がドンドン来て、アメリカ市場を席捲してっちゃうというような、そういう歴史があるから。外国との取引において、アメリカがベネフィット、アメリカにとってのベネフィットよりも、相手にとってのベネフィットの方が大きいのだという、このへんのモヤモヤとしたコンセンサスに近い認識はあると思いますよ。それはかなりの部分、事実にもとづいていると思う」
反町キャスター
「渡部さん、どう思います?」
渡部氏
「ええ、不満を持っている人達が国内的に、先ほど、もうちょっと国内の貧富の差を解消したり、たとえば、競争力が弱いセクターだったら、それは労働力にちゃんと教育をして、より動けるような教育をしなさいというのが民主党の主張です。それに納得する人は民主党を支持しているんです。共和党の人は、そんなこと言ったって、今さら新しいことやれと言ったって無理だし、そもそもその前に守れよ関税で、と言う人達もいるわけで。それは民主党の中にももちろん、労働組合の人達は割とそういう人達なのだから、だから、それは常にね」
反町キャスター
「それは昔の共和党と民主党のイメージと逆になっていません?」
渡部氏
「今、比較的面白くて、世論調査で言うと、TPPとか、自由貿易に関して実は共和党と民主党、今回のケースで、大統領選のケースで言えば、ヒラリー支持者の方がTPP賛成の人が多いです。これはひっくり返ったりしているんです。これは、たぶん支持者の主張にもよるし。でも、民主党の方は、たとえば、自由貿易は必要なのだと、ただ、自由貿易で被害を食らう人達をちゃんとした教育でというような主張をしているので、それでよしとしている人達はいるわけですよ。でも、1番、たとえば、中西部とかで、大変な思いをしている人達はそんな余裕ないし、待てないし、だから、そもそもこれまでやってきて、コミュニティで暮らしているわけです、田舎の非常に皆が和気あいあいと、それを壊されているわけですね。現にそういうところのコミュニティの中に、ドラッグとか、アルコール中毒とか、そういう苦しい悲惨な状況があって。それを救ってくれるかと言えば、民主党の主張で救ってくれるとは思わないから、誰もそこには投票しなかったわけで。トランプさんだと一気に変えてくれるかもしれないと妙な期待があるわけです」
武見議員
「今のアメリカを見ていると、私は失われた20年と言われた日本のあの状況を思い出しますよね。国内で、明確にこの国の将来どういう形にしていこうかという点についての多くの迷いが感じられて、合意がきちんと形成されていない。しかも、私はトランプ大統領の最大の功績は、実はアメリカの社会の亀裂がここまですさまじい深刻なものであったということを明らかにしたこと。だって、我々それまでアメリカの社会の亀裂がここまで激しく、大統領選挙の投票行動にこんな形で表れるなんていうことは我々、アメリカを見ていて、まったくわからなかったわけですよ。だけど、いざ、トランプ大統領が誕生したら、今日もお話にあったように、とんでもない複雑かつ深刻な亀裂があるということがわかった。しかし、その現状はわかったけれども、どういう処方箋でこれからアメリカの将来像を描くかという点に関しては誰に聞いても明確な答えは現在、返ってこないですよ。そういうまさに混迷期の中にアメリカがいるし、そういう中で、トランプ政権のさまざまな行動だとか、大統領の演説を本当にこちらは真面目にきちんと分析して、理解しようとすると、誠にもって理解できなくて、それでどこかで何とか自分の知的な頭で理解しようとすると、逆に現実を見誤るという、そういう状況に我々は直面しているなという気分になっていますよ」

武見敬三 自由民主党参議院議員の提言 『先手必勝』
武見議員
「先手必勝。この政権と上手に付き合う時には、首脳同士の個人的な信頼関係を踏まえて、しっかりと次の時点を考えた、先手必勝の手法が最も効果的に、日本外交、日米関係を日本の立場から考えることになるだろうと思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言 『大同小異でしたたかに!』
古森氏
「トランプ政権の政策の安全保障に関する部分というのは、あまり心配がないという感じを持ってきているんです。結局、東西冷戦時のアメリカのように、アメリカ側の普遍的な価値観を中心とした国際秩序を守っていく、そのためには軍事力を使うということで、これはパックスアメリカーナの新しいビジョン。それは日米同盟に関しても同じように適用されるから、その同じ大きな部分は日本もアメリカも当面一致しているわけですから、利害関係が。そこだけをガッチリつかんで、小さなところで、いろいろな衝突があってもあまり気にしないということ、そんな感じです」

ジャーナリスト モーリー・ロバートソン氏の提言 『大人の対応』
モーリー氏
「大人の対応が大事だと思います。トランプさん、その日、その瞬間の国内事情、米国内事情に振り回されて、言うことを結構変えてしまいますので。トランプさんは今日もがんばっているのだなという一定の距離を持ちながら、大人が子供を諭すというのは失礼な言い方ですけれど、素人ではありますから、エキスパートとして日本は向き合うといいのではないかと思います」

渡部恒雄 笹川平和財団特任研究員の提言 『トランプはエンターテイナーだと自覚せよ』
渡部氏
「モーリーさんと同じことですけれども、エンターテイナーですよ、トランプは。そう自覚しなくては、普通の筋の政治家だと思わない方がいい。でも、だからと言って、だって、大統領ですから、アメリカの。それはきちんと対応する、それに尽きます」