プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年7月11日(火)
櫻井よしこVS朱建榮 『ICBM』北の脅威

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長
朱建榮
東洋学園大学教授

北『ICBM』の行方
秋元キャスター
「北朝鮮は今月4日、ICBM・大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表しました。これを受けてG20での米中首脳会談が注目されましたが、北朝鮮対策をめぐる米中間の溝は埋まりませんでした。東アジア情勢が緊迫する中、櫻井よしこさんと朱建榮さんを迎え、北朝鮮をめぐる米中それぞれの思惑や、日中韓に横たわる課題についてうかがいます。まずは北朝鮮が今月4日に弾道ミサイルを撃ち上げ、ICBM・大陸間弾道ミサイルの発射に成功したと発表しました。アメリカはICBMと認定する見方をしている一方で、中国は情報収集中だとしていて、ICBMとの認定は避けています。また、ロシアはICBMではなく中距離弾道ミサイルだと主張しています。櫻井さん、北朝鮮が発射したミサイルに対する見方が米中露で分かれているのですけれども、この件についてはどう見たらいいのでしょうか?」
櫻井氏
「これは中国とロシアにとっての、北朝鮮のICBMか、弾道ミサイルか、の脅威とアメリカのそれとはまったく違うということを考えると、それほど、北朝鮮のミサイルとか核を脅威と感じなくても済むのがこの判断に現れているのではないかなと思いますね。だって、北朝鮮が中国を、ICBMもしくはミサイルで、それに核を載せて攻撃するということは考えられないことですよね。ロシアに対しても同じですよね。もちろん、アメリカに対しても相当なことがないとそんなことはできないし、しないと思いますけれども。中国とロシアは、自分達は北朝鮮と同じ側に立っているのだという認識があると思いますよ。だから、そこのところの違いというのはあるだろうと思いますね」
秋元キャスター
「朱さん、どう見ていますか?」
朱教授
「今回はなぜ、まだ情報収集中かと。基本的に、北朝鮮は今回、ICBMの技術を開発する実験の一環としてやった、これはほぼ間違いないのですけれども。ただ韓国などもその後、いろいろ分析して、本当にICBMとしてのこれが成功したかどうかというのは疑問が残ると。そういう意味で、現時点でそういうのが、判断ができないですけれども。しかし、北朝鮮の今回のこの実験に対して、中国はいち早く国連安保理の決議違反だと、絶対反対だと、その姿勢は示しているので。私はそういう意味で、今回おっしゃるように米中、あるいは露の間に、微妙にいろいろ違いはあるとは言っても、北朝鮮に対して最も重要なのは各国が一緒に圧力を加え、そのような暴挙の道をそれ以上させないということですね」
櫻井氏
「朱さんがおっしゃったことは建て前論ですよ。中国はずっとこういう建て前論を言ってきているんですね。国連の決議に従いますと。だけども、アメリカが求めているのは中国にしかできないことがあるでしょうと。経済的に、もっと石油に手をつけなさいよと、石油も石炭も手をつけなさいよと言っている時に、石炭を積んだ船が、北朝鮮から中国の港に来たのを追い返しましたと言って、4月の段階で習近平さんがわざわざトランプさんに直接、電話で言いましたね。でも、その代わりに、鉄鉱輸入をうんとしていたとか。だから、トランプさんが結局、増えたではないかと怒っているわけですよ。それから6月に米中の米中戦略経済対話というのが行われて、ここで中国の本音というものをアメリカがある程度見たのだと思いますね。だから、この国は言葉ではやると言っているけれども、実際に行動が伴わないだけでなく、それに反するようなことも行われているのではないかという気持ちにアメリカはなったと思いますね」

文在寅政権の展望
秋元キャスター
「さて、国際社会における北朝鮮に対する連携について、日米韓の連携を見ていきます。G20開幕前に6日、中国の習金平国家主席と韓国の文在寅大統領が首脳会談を行って、中韓は北朝鮮と対話で一致をしました。その翌日に、日米韓首脳会談が行われ、3か国が連携して北朝鮮に対して、さらに圧力をかけていくことで一致をしました。櫻井さん、会談相手によってスタンスが異なるように見える、文在寅大統領ですけれども、3か国の足並みを乱す懸念はないのでしょうか?」
櫻井氏
「文在寅さんは、廬武鉉さんの片腕だった人ですよね。廬武鉉さんという人は、徹底的な北朝鮮派だった人です。彼は、できたら本当に韓国を金正日さんに差し上げたいというような、そこまでのオファーをした人ですよ、南北首脳会談で。その議事録、30年間秘密にしておきなさいということをやったのですが、国家情報院が暴露してしまった。その中で、いかに韓国が北朝鮮の前で、あなたの僕みたいな感じの、米韓合同の指揮権を韓国がアメリカから取り戻すというようなことまで金正日に言っていた。その人の、いわゆる秘書官というか、官房長官だった人で。この日は、廬武鉉さんがなぜ失敗したのかというのをよく見たと思うんですよ。だから、非常に当たりが柔らかいと皆、言いますよね。廬武鉉さんは、日本には非常に厳しいことを言ったりしたわけですけれども、彼は、たとえば、米韓首脳の電話のやりとりでも、非常に当たりが柔らかい。で、トランプさんとも、表面的にはですよ、うまくやりましたね。だから、彼の表面的な言葉であるとか、笑顔であるとか、そういったものにあまり依拠しない方が私達はいいと思うの。彼の目指しているものは何かということをきちんと見なければいけないわけで。それは南北統一、1つの朝鮮にするということで。その1つの朝鮮にする時に、キーポイントは韓国の主流派、つまり、保守勢力、つまり、日本と親しい人々、これを一掃するということ。それから、韓国をもっと別の国にする。たとえば、原発をやめますと。火力発電もやめますと。自然エネルギーに戻りますと。いろいろな川がありますけど、それは自然の元の川に戻します、コンクリートの堤防をなくしますという。何かすごく自然派で美しい韓国。だけれども、そのようなことをしたら本当に貧しい韓国になります。北朝鮮みたいな国になるのだけど。理屈ではとても合理的だとは到底思えないような政策を打ちだしていますよね。国家情報院の国内における活動を禁止する。つまり、自分に対する監視の目を全部、解かせる。北朝鮮派をドンドン閣僚などに登用すると。彼のところの秘書官を見ても、これは北朝鮮の代表だというような人を就けていますよね。だから、そう思うと、北朝鮮に有利なことをすることはあっても不利なことはしないと思います」
反町キャスター
「なるほど」
櫻井氏
「だから、アメリカとの会話の中で、圧力ということに同意をしたけれども、じゃあTHAADをどうするのですかと。THAADについて、米韓の首脳会談では言及されていないでしょう、表に出ていないでしょう。これは、アメリカは絶対、THAADをもっとやりたい。でも、文在寅さんはやらせたくないということですよね。中韓との間では対話がいいですね、これは思惑が一致しますね。中国も対話をやりましょう。対話というのは、別に何も、北朝鮮に対しての行動を起こさないということですから。だから、私は、彼の言葉というよりも、これまでずっと言ってきたこと、今、大統領になっていくつか具体的な施策をとっていますけれども、その具体策を見ることによって、彼の、自分の政治の行方というのを見た方がいいと思いますね」
反町キャスター
「北朝鮮に対する圧力をかけるうえで連携のパートナー足り得る国ですか?」
櫻井氏
「足り得ないと思いますね。いや、足り得たらいいのですけれど。それこそ日米韓が協力しなければ、朝鮮半島、北朝鮮をうまくコントロールすることは不可能ですよ。後ろに中国がいて、その向こうにまたロシアがいて、このような状況の中で、朝鮮半島というのは歴史的に見ても、争いの場になってきたわけでしょう。日清、日露、皆そうですよ。だから、そう考えると、日米韓が協力しなければいけないというのは、私達が考える戦略論ですが、彼にはその気がないと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、櫻井さんから見て、文在寅大統領はアメリカも見ながら、中国も見ながら、場合によってはロシアも見ながら、半島国家で地政学的に非常に際どいポジションの国なので、いろいろな地域の強国の表情を見ながら、いいポジションをとり続けるためにグルグルし続けるだろうと。ずっと定まらないポジションをとり続けるのか、そんな国と見ているのですか?」
櫻井氏
「先ほど、コマーシャルの間に朱さんと話していたら、彼は小さい国という言葉をおっしゃった。小さい国は、東南アジアも含めて、そういうところは生き残るためには周りを見なければいけないですよ」
反町キャスター
「なるほど。しょうがないと思って、許すしかないのですか、ふらつき具合を?ふらつき具合と敢えて言えば」
櫻井氏
「…敢えて言えばね。許すしかないという言い方もおかしいわけですけれども、これが朝鮮半島の現実だということを私達は認識して、日本としてそれに対してどう対応できるかということをむしろ考えなければいけない」
朱教授
「ちょっと櫻井さんと話をした中で。私は韓国というのは、周りの、日本、中国、アメリカなどの国の間で自分は常に周りの大国というところにどう対応するか、そこが苦労させられていると。ですから、小国と言うより、韓国は大国にどう対応するかというところが苦労している。それが現在、ここに出ているんですね、中国との首脳会談の中で対話、アメリカ、日本との首脳会談では圧力という表現を言ったのですが。私は基本的にこの両者が現時点で真っ向から対立するものではなく、両者を取り入れて、対話しながら、しかし、圧力は絶対緩めないというようなところが当然必要なので。韓国のこの表現というのは、ただの日和見主義ではないと思うんですね。もう1点言えば、私の観察では、韓国は簡単に中国に頭を下げて、何でもついていくものではなくて、韓国は、朝鮮民族は昔からプライドが高く、儒教を中国から取り入れたのですけれども、そのうちに清朝で、中国が満州族の国家になると、儒教の本場は我々、朝鮮半島だと、ですから、中国も本場ではないと、そのような自尊心が強い国なので、常に大国のいろいろなところ、内心では圧力を感じながらも、それぞれのところをちょっと取り入れて、同時に、自分がイニシアチブをどこかで出したいと。この10年、20年の韓国の指導者もどこかに、我々はこの朝鮮半島問題の要だとか、いろいろ主張してきたわけですね。ですから、その中で、現在、文大統領というのは、1つは、大国のいろいろな対立のところで、どのようにうまく対応しながら、しかし、北朝鮮の核の問題、もはや韓国大統領は譲れる余地はもうない。もう国連の安保理の圧力、米中も、あるいはロシアも、このような姿勢をとっているので。具体的なアプローチの方法としては対話か、圧力かどこかに、もっと重点を置くか、違いがあってでも。北朝鮮に許していいよというようなことは韓国の大統領、絶対にないと」
反町キャスター
「話を聞いていると韓国は米中の間での行ったり来たりみたいなことは、やる余地がないと聞こえます。でも、実際やるのではないか。なぜならば中国は対話をやったらいいと言っているし、アメリカ、日本は圧力だと言っているわけではないですか。そこはどうですか?」
櫻井氏
「国連の方向に従わざるを得ないとおっしゃったけれど、従っていないではないですか。だって、オリンピックを一緒にやりましょうとか言っているわけでしょう?」
反町キャスター
「合同選手団とか」
櫻井氏
「そう、合同選手団とかね。それから、具体的に、また経済的な面で、北朝鮮に幾ばくかのお金が流れるような仕組みをやりましょうということを、実際に始めていますよね。だから、そういったことを考えると言葉だけではこのグシャグシャした問題、中国の態度も含めて、言葉だけでは、トランプさんもこれは含めてですよ、各国が何をするかということを見ないといけない」

習近平政権『権力集中』
秋元キャスター
「中国の国内事情についてもう聞いていきたいと思います。この秋に、中国では、中国の政治の最大の山場であります中国共産党大会が予定されているのですが。朱さん、この中国の政治において、党大会、どういう意味があると?たとえば、外交戦略が変わっていくとか、そういう影響もあるのでしょうか?」
朱教授
「今回の19回党大会というのは中国にとって本当に内政・外交上、1つの重要な、1つの転換点だと思うんですね。まず内政上、習近平さんは5年間、既にやってきた。反腐敗闘争で成果は一応、上げてきたのですけれども、民衆から見れば、これは言ってみれば、外堀を埋めたもの。その次に何をするのか、まさに中国の社会、経済、教育、いろいろなところで次にどこにいくのか、国民は次にこれを待っているので、そういう意味では、習近平さんは今回の党大会で、ただの人事だけでなく、次の、中国の発展の方向について、それは50年先ではなくて、これから5年間、国民に見えるような形で出さないといけない。そういう意味では、今回の党大会は内政が中心、1つは新しい人事で、習近平さんの核心、リーダーとしての地位はほぼ確立した、これは間違いないと思います。しかし、他の人事とともに、習近平さん、次の5年間、何をするのかというところを現在の中国国民は見ているんです。格差は先進国に比べれば大きいですけれども、ここ数年明らかに、格差是正せざるを得ないところに動いている。先進国までの道はまだ遠い。ただ、中国は明らかに前に進まないと、ネットの社会で国民のいろいろな声が…。もちろん、もしかすると中国はネットもブロックされているのではないかと、ブロックされていても、6億人、7億人が使っているネットを簡単にブロックもうできない時代。基本的にネット時代というのは閉鎖ができない時代。そういう中で、中国の国民の権利意識、台頭し得ることについて声を出す、あるいは情報はこれまで封鎖していても、どこかで事故や、いろいろなことが、警察が変なことやったら、すぐに携帯で、スマホで撮影してサッと流すと、1億人、2億人が見る、そのような時代に入ったということを、それを大きな流れとしても合わせて見ないといけないと思います」
櫻井氏
「そういう流れは確かにあるんです。どうしても変わらざるを得ないという現実はあると思うのですけれども。でも、それに必死に抗っているのが習近平体制ではないかと思うんですよ。だって、たとえば、劉暁波さんの扱い…」
反町キャスター
「そう、その話…」
櫻井氏
「私は、劉暁波さんと、あと北朝鮮がアメリカの方を…」
反町キャスター
「学生ですね」
櫻井氏
「学生を…」
反町キャスター
「解放したけれども、帰国してから亡くなられましたね」
櫻井氏
「解放して亡くなりましたね。あれとちょっと似ていると思うんです。死なせてから、死にました、亡くなりましたと発表するよりはまだ収監している時に、病状が悪いので、ちょっと病院に移しましたと言って、ある程度、外国にオープンにしていく。それで、ドイツとアメリカのドクターを入れましたね。ドイツとアメリカのドクターは現在の段階だったら、注意深く移送すれば本人が希望しているドイツに行くことができると言うけど、中国側は出しませんよね。6月にこのことを発表した時には、既に末期ガンで大変な状況になっていたわけでしょう。だから、このような、劉暁波さんをなぜ刑務所に入れるのか、国家分裂罪とか、いろいろ言っていますけれども。このようなことを、たとえば、劉暁波さんとか、もう1人、薄熙来さんという政敵がいて、この人も肝臓ガンにかかって奇しくも2人が…」
反町キャスター
「そうなのですか、薄熙来さんも肝臓ガンなのですか…」
櫻井氏
「…と言っています、新聞に出ましたね。ですから、何か嫌なものを感じるわけですよ。このような形で、国民を苦しませて、発言の機会を奪う。劉暁波さんがアメリカなり、ドイツなりに行ったら、いろいろなことをたぶん本当に自分の息のある限り語ると思います。そういったことを絶対にさせたくないわけです。させたら、自分の足元から崩れていくと思っているわけですね。中国の歴代の政権というのは皆、人民の反感を買って、革命的な形で政権が倒されているわけですから、それと同じようなことが起きないとも限らない。習近平さんの1番の恐れというのは国内にあると思いますよ」

習近平政権と『人権問題』
櫻井氏
「中国は隣国で、私達はできたら良い関係を持つべきですよ、持ちたいなと皆、日本人は思っているけれども。現在の共産党独裁政権ではかなり難しいと思うのは、たとえば、民主化を言っている人達がどういう運命をたどっているのかというのを見てみると、恐ろしいですよね。劉暁波さんがなぜあそこまで悪くなるまできちんとした治療をさせてもらえなかったのかということが、まずありますよね。2年前でしたか、血の金曜日というのがありました。2年前の7月に突然、金曜日に人権派の弁護士を中心に続々と逮捕されてしまったわけですよね。そのあとも逮捕は続いて、数字は200人が逮捕されたと言う人もいれば、300人と言う人もいるから、2~300人というかなりの数ですね、人権派の弁護士。その中の1人に李和平さんという方がいらっしゃるんです。この人、非常にガッチリした人で、すごく頭が良くて明朗な人だったのですが、この方が今年の6月でしたかね。先月でしたか、つい最近、釈放されたんです。捕まって刑務所に入れられて、そうしたら予告もなく自宅に帰らせられたんです。その人を見て、この李弁護士が戸口に立っているのを見て奥様も、子供も、自分の夫であり、お父さんであるということがわからなかった。すっかり変わっちゃった。髪は真っ白、頑丈な人だったのがほっそり、本当に痩せこけていて、言葉もはっきりしない、精神的におかしくなっている。明らかに拷問されているんですよね。どんな拷問かというのはいろいろな人がいろいろなことを言いますね。たとえば、ビニール袋をすっぽり頭に被せて、窒息死直前までそうやっていて、パッと、死ぬ直前に袋を解くわけです。すると、空気を吸って死なないで済むのですが、それを何回も繰り返すと脳細胞にかなりのダメージが出て、優秀な弁護士だった人が機能しなくなる。そういったことをやって懲らしめているんですね。何の理由で懲らしめるのか。反体制派とか、劉暁波さんと同じですよ、国家分裂とか、騒動罪とか、どういう理由もつくわけですね。つまり、現在の中国共産党を批判する人、中国の体制に楯突く人は許さない。香港に行って習近平さんはどういうスピーチをしましたか、絶対に許さないと言ったでしょう。絶対にということですよ。今時こういうことを国際社会の目を気にしながらもするんです。このような中国が隣国にいて、このような中国が世界にいて、現在、アメリカとせめぎ合いながら、いろいろな形で中国の夢を実現して、偉大なる中華民族の復興を実現しようとしている。私達は中国が本当に私達が受け入れることのできる価値観を掲げてくれるのであるならば、これは大国の興亡というのはあることですから、これは受け入れますけれど。いや、現在の中国が本当に現在のような価値観を維持したままわが国のすぐ隣にいて。この頃、尖閣諸島にはいつもいつも4隻の公船が領海侵犯していますよね、そのようなことをやられている私達としてはすごい警戒心を持ちますし。アメリカともここのところで中国の実態を見誤らないようにしましょうねということを安倍さんは言うべきだし、言っていると思いますし。と同時に、アメリカが現在いろいろと変わっているわけですから、中国とうまく日本もやらなければいけないと、すごく四方八方に戦略的な目配りをしなければいけない」
反町キャスター
「櫻井さんが言われたような視線・スタンス、トランプ大統領、中国に見ていると思います?」
櫻井氏
「いや、まだ見ていないと思います。マティスさんとか、ティラーソンさんとか、マクマスターさんあたりはかなりそのへんの戦略的な骨格というのを頭の中にしっかりと持っていらっしゃると思いますけれども。トランプさんにはまだ全然見てとれませんね」

習近平政権『世界戦略』
反町キャスター
「朱さんから見た時に中国はトランプ大統領をどう見ていると思いますか?4月のフロリダの時には、ご飯を食べている途中に、シリアに59発撃ち込んで、あたかも米中の連携の雰囲気を、無理やりとは言いません、つくったような雰囲気があったと僕は思っています。現在、中国はあれから3か月ぐらい経ちますよね、現在、中国はトランプ大統領をどう見ているのですか?さらにキレが増していると見るのか、たとえば、米中首脳会談にしても米露首脳会談にしても、ホワイトハウスはプーチン大統領との会話の内容すら発表できない状況ですよ。現在、トランプ大統領、ないしはアメリカ政府の機能を中国はどう評価しているのですか?」
朱教授
「まず中国は現在、トランプ政権であろうと、誰がアメリカの大統領であろうと、アメリカと安定した協力関係をもっていきたいと。それは19回党大会だけでなく、中国の経済発展や対外戦略、そのためにも必要なので、そういう意味では、トランプさんとフロリダで会談して、これからいろいろな関係をつくっていくと、基本方針は変わらないと思います。ただ、おっしゃるように、その後もいろいろな変化がある中で、中国はいったいトランプさんをどう見ているのか。そこは私、中国のちょうどいろいろな研究者とも実は同じような話題で聞いてまわっているのですけれど、中国から見れば、多くの学者が言うには、トランプさんはどこか1人の商人、ビジネスマンで、駆け引きで自分の目的、もちろん、アメリカ・ファースト、すなわちアメリカの利益、特に経済利益、そのために相手と取引をする、こういうようなところが1つの基本的な姿勢。アメリカのためにがんばるということはわからなくはないのですけれども、問題は手法。手法というのは、彼のこれまで不動産業をずっとやってきて、相手との交渉やいろいろやっている中で、まずダメよと、これだったら絶対それはもう乗らないよと圧力を加えながら、しかし、最後にどうもダメだという時にちょっと変わって、では、次のところを求めようと。それが最近、4月の時には米中があたかもすごく蜜月のような感じがしていて、しかし、5月以降、トランプ大統領は最近、ツイッターで中国を批判したり、いろいろな行動で中国を、揺さぶりをしたり。ところが、G20で7月8日に米中首脳会談となると、それはどんなことがあっても北朝鮮の問題、時間がかかるかもしれませんけれども、中国といつまでも協力していくのだと。アメリカの財務長官ムニューチン氏が直後に発表した首脳会談、米中の首脳会談について、今回、両首脳は北朝鮮の問題をめぐって本質的な討論をしたと、それで次に重要なのが、実は両方が軍事的安全保障面での協力について突っ込んだ意見交換をしたと。ですから、現在の中国はトランプさんを相手に、一部ですぐに弾劾とか、辞めるとか言っているのですけれども、基本的におそらくトランプさんはこれからの3年、4年間は辞めないと思います。民主党側ももしかするとトランプさんがいろいろ自滅するようなことをすれば、次の中間選挙、さらに次の大統領選挙で有利に立つので。ですから、中国もトランプさんが少なくともこれから3年、4年間、大統領であることを前提に付き合っていくので、そういうやり方はある程度、気にくわないとしても、アメリカの代表ですから。最近は北朝鮮問題だけでなく、米中の経済協力というのがいろいろな貿易不均衡、いろいろなところを解決する100日計画というのが、実はこの7月中旬で100日になるので、これからの数日間で米中間が実は次の協力のプロジェクト、合意を発表する。そういう意味では、トランプさんも、中国を完全に敵にまわして決裂だというところには正直言って、踏み切れない。トランプさんもアメリカの経済の利益ということも必要ですし、北朝鮮問題も究極的には、中国に圧力を加えてでも米中協力をしないと、中国にやれ、やれと圧力を加えたら、中国だけで解決できるということができないこともわかっているので。4月までは、米中は北朝鮮のすぐやろうとした核実験を止めるというところに、中国は汗を流した。それをトランプさんが評価した。問題は次の段階では、核廃絶はどうなのかと。それを中国はちょっと待ってよ、それは我々だけではできないよと、北朝鮮はアメリカが脅威だと言っている、我々だけでこれをやめろ、やめろと言っても、北朝鮮が一定の安全の面で、そういうような条件交渉というのに入るべきだと。そこの部分が現在の時点では米中対立があるにしても…」
反町キャスター
「でも、石油は止めないのでしょう?」
朱教授
「現在の時点では、交渉、いろいろ駆け引きしても、私は基本的に北朝鮮の核をめぐって、どのようにするかというような交渉する、大国間の協力をする、第2ステージに入った。すぐ結論がまだ出ていないのですけれども、これから米中、日本、韓国を含め、歩調を合わせてやっていくべきであり、アメリカも、中国もその点は認識していると思います」
櫻井氏
「国際社会はこれまで、約20年間の北朝鮮の核をめぐる動きを見ていて、6か国協議のことも見ていて、中国がやってくれるということはないのだということを本当は知っているんですよ。トランプさんも、最初はオバマさんのことをすごく批判して、オバマさんがここまで北朝鮮を野放図にさせたのだと。中国に頼ることによって中国が北朝鮮をコントロールしてくれると思ったけれども、そんなことはないのだって、言葉では言っていたのですけれども、いざ、4月にフロリダで会った時には、あなた、やってということになって。このままだと、たとえば、ウォール・ストリート・ジャーナルでも、どこでも、第2のオバマになるのではないかと、もうなっているのではないかというようなことを言っていますよね。だから、私はこの米中が協力して、中国が協力して北朝鮮の核をとめるというのは極めて可能性としては少ないのではないかと思うんです。よくいろいろ考えてみると、今や世界ってすごく不安な世界ですよ。どこの国も決定的な指導力がない。大国と言われるアメリカも中国もどの国からもおよそ信頼されていない。だって、トランプさんはNATO(北大西洋条約機構)の会議に行って、この28の国のうちの23はちゃんと金を払っていないではないかと言って、そのあとツイッターで、ドイツはけしからんと言って、ドイツのメルケルさんが何日でしたか、5月の末に、我々はもはやどこか1国に頼ることはできない時代に入りつつあると、我々は自分のことは自分でやらなければいけない時代になっているというようなことを言いましたね。あれはすごく衝撃だったわけですよ、ヨーロッパ、それから、アメリカにとっては。アメリカとヨーロッパの間が少し距離が遠のいた。これはトランプさんに対する信頼がなくなっていると。では、中国はどうかと言ったら、中国だって全然、信頼されていないですよね。一帯一路の国々に対してだって、これは中国に力があると思うから皆が行くわけで、中国に力があると思うから多くの国々が集まって、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の会も、それから、一帯一路の会も、多くの人々が集まりましたけれど、それは信頼という意味ではないと思う。現在の時代はどういう時代かと言うと、誰が秩序をつくるのか。その秩序はどのような価値観に基づくのかということについて誰も確信が持てない」
反町キャスター
「アメリカはもうできないだろうと?」
櫻井氏
「アメリカはしないだろうと。本当にその気になればできないことはないと思います、なんと言ってもアメリカまだすごく力を持っていますから。だけども、そのような方向に心が向いていないということを感じるわけです。そうすると、アメリカがその役割を果たさない。中国がどういう役割を果たしているかと言うと、中国式のやり方でやってちょうだいねと言っているわけですよ。そうでしょう。その中国式のやり方は、私達あまり好きじゃないよねというのが皆の考え方ですから。この世界というのは現在、本当に混沌とし始めていて、大変な時代だと思いますよ」

日中首脳会談と『一帯一路』
秋元キャスター
「日中関係についても聞いていきたいと思います。先週行われましたG20で、安倍総理と習近平国家主席は日中首脳会談を行い、両国の関係改善に向けて首脳間の対話を強化することで一致しました。会談で安倍総理は、中国の巨大経済圏構想一帯一路に協力する方針を伝えました。東シナ海については、安倍総理が中国側に状況を改善するよう求めたのに対して、習主席は東シナ海の平和と安定を維持していく旨を述べたということですけれども。櫻井さん、今回の日中首脳会談、どこに注目されましたか?」
櫻井氏
「東シナ海の平和と安定を維持していくと、そこに書いてありますけれど、それなら尖閣諸島に4隻も公船を送り込んで、領海侵犯をするようなことはしないでくださいと。日中、中間線のところのガス田で勝手にガス掘らないでください。それから、北朝鮮の船が現在、大和海のところで漁をしていますが、中国がかなりチャーターし、実際には中国が獲っていることもあるわけですが、そういうこともやめてくださいとか。それから、日本人12人を人質にして、スパイ容疑でとっています。これはどう考えても冤罪ですよ。だって、そのうちの6人は千葉県船橋市の地質調査会社の社員で70代の方もいらっしゃる。この人達は中国から頼まれて温泉の地質調査に行った人達です、4人は。あとの2人は現地で日本人を雇ったわけですね。この人達、中国語も話せない人達になぜスパイができるのですか。これは本当に冤罪で、政治的なことですから。こういったことをきちんとやめてくださいと言うべきことは言わないといけないと思います」
朱教授
「今回、安倍首相がこの一帯一路というところで、これはもちろん、中国自身の経済発展につながる一面があるのですけれども、しかし、いろいろリスクが出ても、いろいろ問題があっても、世界に貢献すると、そのようなことを評価し、それを今後、それに参加する可能性があると表明したこと自体、私は中国について積極的な一面も併せて評価する必要があると思いますし、最近、AIIBは独自にインドに対して6億ドルちょっと…の援助で、支援を、それを決めたばかりです。ですから、そこの部分、中国は世界に出て、まだ日が浅い、そういうようなところでどうすればいいかわからない部分で、ただ批判というより、これがいいことだと評価し、協力する、しかし、これはダメだというところは批判する、そのような中でやっていくことが必要だと思いますね」
櫻井氏
「中国は、構えとしては立派なものなんですよ。一帯一路をつくり、それを支える金融機関としてのAIIBをつくり、宇宙に進出し、深い海にまで進出し、世界各地に中国の海軍が立ち寄ることができるような港とか、拠点を地球上ほとんど、網羅してつくっていますね。こういう意味で、あなたのお国の中国は本当に戦略的に見て賢い国だと思いますよ。賢い国なのだけれども、それでいったい何を成し遂げようとしているかということが問題なのであって。だから、私は、AIIBに安倍さんが前向きの姿勢を示したということは戦術・戦略論から言って正しいことだし、でも、そうしながらも中国の実態というものをきちんと見なければいけないですよ。見ないと、とっても怖いことになりますね。見て対応することが大事で、我々が対応することによって、中国を変えていくことができるんですよ。すごく大人しく何でも中国の言うことを聞くと思ったら、中国は好きなようにやりますよね。でも、そうではなく、我々にも日本の力があるんですよと、この力をもってこういう社会を提言しますと。だから、先ほどの劉暁波さんのことに戻ると、日本政府が、日本と中国はこんなにも近いのですから、劉暁波さんはドイツに行きたいと言っている、でも、中国からドイツに行くのに十何時間かかります、だから、日本こそが最高のレベルの医療を提供することができます、すぐ近くですから、医療チームを送って、最善を尽くしますから、ここで治療させてくださいと言うことによって、中国の民衆にも日本はそういう国なのだということを知ってもらう、世界にも知ってもらう。そのことによって世界のより良い形に日本が貢献していく、それが日本の果たすべき役割ですよね」

内閣支持率『急落』の影響
秋元キャスター
「先週末に行われました世論調査によりますと安倍内閣の支持率、朝日新聞の調査では33%で、前回38%から5ポイントの低下となりました。読売新聞の調査で36%、こちらも前回49%よりも13ポイントの低下となっていて、いずれも支持率が続落していて、第2次安倍内閣発足以来、最低となったわけですけれども。櫻井さん、支持率の低下によって年内の自民党の憲法改正に向けた動きというのはペースダウンすると見ていますか?」
櫻井氏
「憲法改正は安倍さんのためにやるのではないですよ。国民のためにやるんですね。国家のためにやるのでしょう、日本国のために。だって、中国がお隣にいて、尖閣諸島の周り、ほぼ連日、領海侵犯したり、排他的経済水域に来たり、傍若無人ですよ。南シナ海で何が起きているか、同じことが必ず東シナ海でも起きますよ。そのあとは沖縄ですよ、そのあと長崎ですよ。九州、北海道、どれだけの土地を中国が戦略的に買い占めているか。こういったことを考える時に、日本は憲法改正して、まともな国になるということが必要なんですね。それはもう1回、言いますけれども、安倍さん1人のために私達は憲法改正やるわけでは全然ないでしょう。国民のために、日本国のためにするんですよ。だから、私達がきちんと良識を働かせて。確かに支持率は下がりました、都議選でも負けました、でも、都議選で小池さん勝った、大勝した小池さんのところは憲法改正反対の勢力ではないですよ」
反町キャスター
「違う」
櫻井氏
「そうでしょう。だから、そういう意味では、日本国の勢力としては、民進党はダメになりました、ダメになる理由がわかりますよ、加計学園なんかを見ているとね。だけども、私達、多くの人々の意見は、本当はもっと立派なきちんとした日本国をつくりたいというところにあるのだとするならば、憲法改正をこれで頓挫させてはならないという声を私達があげなければいけないと思いますよ」
反町キャスター
「はい」
櫻井氏
「だから、あなた達も、これが下がったから憲法改正はできないのではないかという言い方をするのではなく、この状態から、我々国民がどのようにこの事態を脱却して、きちんと事態を把握して、健全な日本国をつくる道を切り拓くのかという問題提起を、私はむしろ反町さんにしてほしいと思いますよ」
反町キャスター
「いや、でも、エネルギーが必要ではないですか、憲法改正は」
櫻井氏
「エネルギーは誰がつくるの?国民がつくるのでしょうが。安倍さん1人がつくるわけではないでしょうが。自民党1人ではないでしょうが。他の政党もつくるんですよ。国民全部が力を合わせないと憲法改正はできないですよ。憲法改正は私達1人1人の問題ですよ。そこを是非、私はこの番組を見ている方達に本当に実感してほしいと思います」

朱建榮 東洋学園大学教授の提言 『核を梃子に米日中協力強化を』
朱教授
「東アジアの安全保障で日中の協力が極めて重要だと思います。そういう中で、ただ、中国脅威論を煽って、それが日本の、だから、防衛力をもっと強化すべきだというようなところではなく、東シナ海の問題でも、日本の国有化、それをやって、中国の船が入って来たと。いかにこれからこの問題で、それが不測の事態にならないように、日中がコントロールし、棚上げにして、日中関係全体に悪い影響を与えないようにするのが私は大事だと。その意味で、北朝鮮の核というのは悪いことですけれど、しかし、これを梃子にして日中米が協力して対応するという方向が大事だと思います」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言 『経済 軍事 戦略の日本』
櫻井氏
「簡単なことで、経済 軍事 戦略の日本。ごく普通の自立した日本国になって、日本がそれによって貢献できるような国になった方がいいということですね」