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2017年6月26日(月)
日欧EPA交渉大詰め 米国を動かす通商戦略

ゲスト

西川公也
自由民主党日・EU等経済協定対策本部長 元農林水産大臣
伊藤元重
学習院大学国際社会科学部教授
菅原淳一
みずほ総合研究所政策調査部主席研究員

日本の通商戦略『転換点』 日EU・EPA交渉の焦点
秋元キャスター
「安倍総理は来月、ドイツで開かれるG20サミットに合わせ、EU(欧州連合)代表との首脳会談を行い、EPA(経済連携協定)の交渉で大枠合意を目指す考えを示しています。今日、自民党は、農林水産物の保護などを盛り込んだ要望書を政府に提出しました。自民党のとりまとめを行われた西川元農水大臣に日本とEUのEPA交渉の焦点と通商戦略の展望について聞いていきます。日・EU、EPA交渉の主な経緯を見ていきます。EUとEPAの交渉が始まったのは2013年4月からでした。それから、およそ4年の歳月をかけて交渉が行われ、今月19日から大枠合意に向けて首席交渉官による協議が行われています。来月、行われる見通しの日・EU首脳会談で大枠合意となるか、というところなのですが。ちなみに、TPPの場合はこの大枠合意から大筋合意まで4年かかっているんです。西川さん、まず今回の大枠合意というのは、交渉においてどの程度まで話し合いが進んだところだと見ればいいのでしょうか?」
西川議員
「総理が先月、イタリアのシチリア島で、結局、EUの大統領、首脳と会って、日・EUの経済連携協定は非常にいいところまで進んでいると、だから、今後、合意できるまでお互いに、日本は日本の官僚にしっかりやってもらうと、そちらもお願いしますねと、こういう意見交換をしているわけですね。そこで安倍総理はこの日・EUの大枠合意は手の届く範囲にあると言うんですよね。そういうことを含めていながら、その背景があります。実際には7月6日、ベルギーのブリュッセルで会うことが想定されています。これはEUのトゥスク欧州議会議長とユンカー欧州委員会委員長と、この2人は大統領みたいな立場ですから、6日に会う可能性が非常に高い。そのあと7日、8日がハンブルグ、ドイツでG20があると、こういうことですね」
反町キャスター
「日程のことで西川さん、6、7、8と3日間と言いました。つまり、全部詰め切って、きれいに仕上がったものを総理にお渡ししてヨーロッパに行ってもらう可能性ももちろん、あるのだけれども、どうしてもトップで決めなくてはいけない積み残しの部分というのは、これは、総理、ヨーロッパで直にやってくださいという部分がいくつか残って行ってもらう可能性もあって、6日の第1ラウンドでトゥスク氏とか、ユンカー氏と話をして、そこでもう1回あたため直しましょうと、続きはハンブルグでやりましょうと。2段構えの日・EU交渉があり得る、そういう意味でよろしいのですか?」
西川議員
「いや、ここがちょっとよくわかりませんが、おそらくわざわざブリュッセルに行くわけですよね。行くということになると、まだ、総理と話していませんから、周りの皆さんとはよく詰めていますけれども、最終ご判断は総理がすると。そういうことで、私は7月6日が1番の山場かなと思っているんです」
秋元キャスター
「ちなみに、この大枠合意と大筋合意というのはどう違うのですか?」
西川議員
「どちらも同じですよ」
反町キャスター
「だけど、使い分けているように見えるから、そうすると、これは何か意味が違うのでは…」
西川議員
「いえ、同じですよ。大枠の方が緩いように皆、思いますけれども、大枠でも合意をするからには詰め切ってないといけないことがたくさんあります、それをなんとか出発までに、できれば今度の金曜日の30日までに、私どもは党としての方針を決めたいと、こうやっているんです」

『大枠合意』実現への課題
秋元キャスター
「伊藤さん、この大枠合意、大筋合意。大枠は手に届くところという話だったのですけれども…」
伊藤教授
「私はこの使い分け、よくわからないですね。ただ、これは相手次第もあるのではないかと思うんですよ。TPP、見ていた時にかなりアメリカも最後まで粘ったし、いろいろなことがあって。ですから、日本の方は日本の方で現在、ご説明も合ったようにある種の状況にきているのでしょうけれども、あとはEUの方でどこまで早く詰めたいのかということにも、たぶん依存するのだろうと思うんですね。いずれにしても、何らかの合意が出てきて、これだけ話題が出てきているということはかなりいいところまできているのはないかと期待はしているのですけれども」
反町キャスター
「菅原さん、TPPに比べ、今回の日・EUのEPAというのは非常に時間をかけていますよね。ここまでの仕上がり具合、どう見ていますか?」
菅原氏
「今回の大枠合意というのは、これは明確な定義はないのですが、明確に、政府は、昨年の秋口までは大筋合意と言っていたわけですね。それが年末になると大枠合意と言い換えたという。これは明らかに意図があって、英語で外務省のホームページを見ると、大枠合意の時は、アグリーメント・インプリンシプル、原則的に合意をしますと。今回のところは基本的に、基本的な要素に合意しますということが大枠合意ですと書いてあるんですね。ですから、ここは違っていて、今回の大枠合意というのは、大筋合意の中から、いくつか基本的でない要素が抜け落ちている、先送りされていると、ただし、協定の基本的な要素については政治的に合意するよというのが大枠合意という、そういう意味はあるということだと思うんですね」

『関税』めぐる日欧の『攻防』
秋元キャスター
「さて、来月の大枠合意に向けて交渉が行われている、日本とEUのEPAですけれど、西川さんが本部長を務められています、自民党、日・EU等経済協定対策本部は今日、政府に申し入れを行いました。その中で関税と農産品に関する部分ですけれども、EUから日本への輸出の7割が無税なのに対して、日本からEUへの輸出は7割が有税と、この不均衡な関税の状況の一掃と。日本の国益が損なわれないよう、豚肉・牛肉・乳製品・麦・甘味資源作物・海藻・木材などに対して国境措置を確保。さらに、EUへの輸出促進ということで豚肉・鶏肉・鶏卵・乳製品の関税撤廃と輸出解禁を求めているのですが。まず菅原さんに聞きますけれど、なぜEUから日本への7割が無税、日本からEUへの7割が有税という、この不均衡がなぜ起きているのでしょうか?」
菅原氏
「たぶん2つぐらい理由があるかなと思うのですけれど。1つは、歴史的な問題で、日本はGATT(関税および貿易に関する一般協定)にもあとから入っているという状況の中で、いろいろな自由化を進めてきたということで、EUに比べて、かなり自由化をしたということが1つ。もう1つは、日本は、鉱工業品については基本的に繊維とか、履物とか、一部を除くともう一切、関税はありませんから、それに比べてEUは日本の主要輸出品目である自動車とか、電子機器とか、電気機器とか、一般機械というところに関税が残っていますので。これは貿易額で見ていますから、タリフライン(関税率表)で見たものではなくて、貿易額で見ていますので、そうすると、日本が主に輸出しているものについては、EUはまだ関税を残しているということになるので、この比率がまったく正反対と…」
反町キャスター
「つまり、市場閉鎖性、そういう言葉が良いのか、悪いのかわからないですけれども、向こうの方が閉じているという意味でいいのですか?」
菅原氏
「そうですね」
反町キャスター
「少なくとも壁が高いような印象はありますよね?ただ、品目ですよね?おそらく。金額ではなくて…」
菅原氏
「そうですね、ええ」
反町キャスター
「そうですよね?」
菅原氏
「ええ、関税がかかっている金額で見ていると思います…」
反町キャスター
「あっ、金額ですか?そうすると、どう考えてもどちらの方がより市場として閉じている、この議論になりますか?」
菅原氏
「そうですね、これは…」
反町キャスター
「スタートラインですよ、スタートラインとして…」
菅原氏
「たぶんEUとだけではなくて、日本の場合、他のどの国と比べても、日本の方が身ぎれいなわけですね。要するに、鉱工業品について、先ほど申し上げたように、ほとんど関税がないわけですから、むしろ農林生産品に関税がかかっているだけという状況と言ってもいいぐらいですから。そうすると、どこの国との貿易で見ても、相手国は日本の鉱工業品に関税をかけていますから、こういった比率になるかどうかは別として日本の方がむしろ身ぎれいになっていると。だから、日本が通商交渉を何やっても苦労するのは、日本は身ぎれいだからカードがないというところにあるわけで。要するに、鉱工業品にも関税が残っていれば、相手国に自動車関税撤廃しなさい、日本も自動車関税撤廃するからというカードが切れるわけですけれど。日本はもう鉱工業品に関税がないわけですから、そうすると、切れるカードというのは、農林水産品とかになってしまうと。そこが交渉の難しさにつながっているということですよね」
反町キャスター
「菅原さんのお話、日本は身ぎれいだというこの話、どう感じますか?」
西川議員
「これは、ヨーロッパはルールづくりがうまかったと、私はこう思うんですよ。たとえば、農産物で肉、牛肉、それから豚肉、鶏肉、卵、チーズ等の乳製品、これは全部止まっていたわけですね、もう入れないと。牛肉だけはミラノの万博で、おかしいよと、入れてくれ、ということで、入れたんですよ、入れるようになった。だけど、残っている豚肉、鶏肉、鶏卵、乳製品は現在でも一切、売れないです」
反町キャスター
「ヨーロッパでは?」
西川議員
「ヨーロッパでは。それはおかしいだろうと。農水省はなぜ解禁を申し出ないのだ?それでやっと5月31日付で、日本の農水省はEUよ、解禁しろよと、こういうことを言ったんですよ。その時のルールづくりがいかにうまいかというのはカステラ…」
反町キャスター
「はあ?」
西川議員
「カステラには卵が入っているんですね」
反町キャスター
「入っています…」
西川議員
「だけど、卵は、向こうは解禁していませんから、だから、日本のカステラは売れない」
秋元キャスター
「加工していてもダメなのですか?」
西川議員
「ダメです。卵は、ヨーロッパは、日本の卵を入れないと決めていますから。今度、5月31日現在で、それを開けろと言いましたから、開けてくれると思います、私は。開ける時は厚生労働省に返事が返ってくるんです、行く時は農水省ですけれども。食品の安全とか…」
反町キャスター
「ヨーロッパが日本の鶏卵を入れない理由というのは、日本の卵は安全ではないからという建前で弾いているのですか?弾いていたのですか?」
西川議員
「いや、そうは言っていますが、日本の卵が1番安全です。生卵を食べるのは日本だけです。それはサルモネラ菌がないのが日本の卵だけですよ。だから、日本の和食を売る時は、日本の卵を一緒に持っていかなければダメです、ところが、入れないという仕組みでこれまで甘んじていたと我々も反省しています、そんなのがあると知らなかった。それで解禁を申し入れましたから、5月31日に終わっていますから、あとは向こうの返事待ち…」

どうなる?『TPP』への余波
反町キャスター
「具体的な品目でちょっと聞いていきたいのですけれど、いきなり本丸の話になっちゃうのかなと思いつつ、チーズ、こういうのがあります。日本市場の輸入品シェア、日本のチーズというのは85%が輸入に頼っています。その85%の輸入のうち、TPPの交渉参加国からの輸入が68%、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ等々。EU加盟国からの輸入が合計で30%。2つ足すとほぼ100%になってしまうのですけれども。この状況が、たとえば、日EUの今回行われている交渉の結果、どうなるのか?TPP交渉においては西川さん、チーズの関税の税率というのはそのまま維持になったのですよね?」
西川議員
「いや、譲っています。これは…」
反町キャスター
「多少は譲っているのですか?」
西川議員
「これはソフトとハードの両方がありまして、ハードは大幅に譲ったんです。ソフトチーズは譲らない」
反町キャスター
「譲らない、はい」
西川議員
「だから、ヨーロッパがハードチーズで攻めてくるのでしたら、どうぞということですが、ハードチーズで攻めてこないんですよ。ソフトチーズを攻めてきているんです」
反町キャスター
「それはどういうことなのですか?」
西川議員
「ヨーロッパには長い伝統でチーズづくりが非常に地域、地域に、私のところが世界一だというのがたくさんあるんですね」
反町キャスター
「自慢のチーズがね…」
西川議員
「それを日本に、どうぞ食べてくださいね、ときているんです。ハードチーズはだいたい均一です、均質ですから、そこはTPPでも我々は譲るものは譲ったんです」
反町キャスター
「なるほど」
西川議員
「うん、それでこれはアメリカにも、ニュージーランドにも、オーストラリアにも合意を得ているんですね。ところが、ヨーロッパはそちらではなくて、ソフトだよと言ってきているから、こちらも困っているんです」
反町キャスター
「それはヨーロッパ、EUからの求めに応じて…、ハードか、ソフトかというのは硬いチーズか、柔らかいチーズか、本当にそんな意味でいいのですか?」
西川議員
「そうです」
反町キャスター
「そうすると、ソフトチーズの方でEUに対して譲歩したりすると今度はTPP締結国の方から、なんだ、俺らのソフトチーズどうしてくれるのだよと…そういう玉突きでいろいろなことが発生する、そういう意味ですか?」
西川議員
「それもあります。1番は消費と生産なのですが、北海道でつくると2割が飲用です、いいですね、8割は加工にまわるんですよ。それで北海道以外はだいたい9割近くが飲用です、加工は1割しかやらない。なぜかと言いますと、加工にまわる時の価格というのはキログラム10円56銭、乗せていますけれども、結局それでもキログラムあたり30円の差があるんです」
反町キャスター
「安いということですか?」
西川議員
「そういうことです」
反町キャスター
「加工用の牛乳の方がお金にならない?」
西川議員
「そういうことです」
反町キャスター
「なるほど、はい」
西川議員
「だから、バターをつくる、チーズをつくる、そちらにいかずに、できれば、飲用で売りたいと、これが酪農家の心理ですね。しかし、北海道がつくっているヤツが攻めてこられたら、北海道以外でも飲用を売りたいという気持ちが出ないとも限りません、出るかもしれません」
反町キャスター
「それは、たとえば、EUからソフトチーズが大量に入ってくる、TPP締結国からハードチーズが安くなってドンドン入ってくるとなると北海道の酪農家はますます俺達は加工乳で勝負できないのだと、生乳で、飲んでもらう飲用乳で勝負しなくてはいけないということになると…」
西川議員
「本州にくるんです、本州に」
反町キャスター
「なるほど。飲用牛乳戦争が起きる、北海道対関東近郊…」
西川議員
「どうしてもそれは起こさせたくない。その中で加工にまわっても同じような所得が得られると、そういうことが我々の政策の大前提です。だから、今回も、守る、EUはチーズいらないと、我々は交渉させているんです」
反町キャスター
「どういうことですか?EUのチーズは拒否すべしという意味ですね?」
西川議員
「そうです」
反町キャスター
「それでまとまるのですか?」
西川議員
「いえ、わかりません」
反町キャスター
「西川さん、そういうふうに言うということは譲歩しなくてはいけないかもしれないから、ここはがんばりところだと聞こえます」
西川議員
「ああ、そうですか」
反町キャスター
「そうでもない?」
西川議員
「解釈はご自由に…」
反町キャスター
「なるほど」
西川議員
「私はどうしても、それは要らないと、しっかりがんばれと」
反町キャスター
「政府に対して?今日、岸田さんに対しても申し入れた部分ですか?」
西川議員
「同じです」
反町キャスター
「でも、ソフトとハードというチーズを2つのカテゴリーに分けての話だったのですけれど。たとえば、僕らの会議でもカマンベールとか種類がたくさんあるので、僕は知らないのだけれども…」
西川議員
「うん、そうですよ」
反町キャスター
「そうすると、たくさんの種類がある中、この種類、あの種類と細かく区分けして、ここはちょっと譲ってやるけれども、こちらはダメだよという、その細かい出し入れというのは可能なのですか?」
西川議員
「それは不可能ではないけれども、今は考えていません」
反町キャスター
「それは党として、要するに、政府にそれをやれとは絶対言えないですよね?やめろ、がんばれと言っている以上は…」
西川議員
「そうです」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
西川議員
「その通りです」
反町キャスター
「たとえば、北海道の酪農農家を守るために彼らが加工乳から撤退して、生乳を持って首都圏に攻め上ってくるようなことが起きないようにするために…、日本の加工乳、日本の酪農家がつくるチーズというのはある程度、決められた銘柄のチーズをつくることが多いとすれば、それ以外のところは入れていいよと…」
西川議員
「うん」
反町キャスター
「日本のチーズというのは主にこういうものがあるから、これは入れてはダメだよという、そこの押し引きはあるのではないですか?」
西川議員
「はあ」
反町キャスター
「あまり細かい話で申し訳ないですけれども…」
西川議員
「いや、細かくないです。それは非常にいい指摘ですから、考えます」
反町キャスター
「またー、そんなこと言いながら、考えてくれないではないですか?」
西川議員
「ハハハハ…」
反町キャスター
「作戦としては、要するに、全部ダメというのが現在の状況ですよね?」
西川議員
「はい」
反町キャスター
「1ミリたりともチーズは入れるなと」
西川議員
「はい」
反町キャスター
「そうすると、そこから先の部分というのはこれから30日までに党の話があって、お土産を総理に持たせて向こうに行かせるとしても大目標としてまとめることを考えた時に、さあ、どうしますか、というのはまだこれから話し合う余地が出てくる、こういう理解でよろしいですか?」
西川議員
「総理が向こうの首脳と会うまでは直前まで調整をしてもらおうと思います」

農業めぐる『守り』と『攻め』
菅原氏
「過去の話をさせていただきますと、たとえば、日本とスイスはEPAを結んでいるのですけれど、スイスと結んでいる時もソフト、ハードという区分けではないですけれど、1部チーズは自由化、TPPより前に自由化しているわけですね。その時には先ほど、反町さんがおっしゃったように、品目ごとにグリューエルチーズはいい、エメンタールチーズはいいとか…」
反町キャスター
「それは先ほど、僕が言ったみたいに、要するに、日本でつくるチーズとつくらないチーズ、そこの違いがあるわけですね?」
菅原氏
「そうです。あと向こうが輸出したいものということがあると思うのですけれど。そういうことで、いわゆる原産地統制呼称という、向こうで言う、先ほど言った、地場のチーズというもので、名前が明確に決まっているものがあるので、このチーズはいいと、このチーズはいいと、このチーズはいいと全部列挙されているんです、日・EU、EPAには。いわゆる状況表という、関税をどこまで下げます、という約束表の最後にチーズの一覧表がついているんです、スイスとのEPAは」
反町キャスター
「要するに、その国のその土地、その土地の、ウチの名産品、地ビールみたいなもので、要するに、EU全体として、中で優先順位を決めているのですか?」
菅原氏
「いや、ですから、それはスイスの例ですよね」
反町キャスター
「スイスの例ですか」
菅原氏
「ですから、日・EUがどうなるかわからないですけれども、過去には、先ほど、反町さんがおっしゃったように、品目ごとに特定し、これはいいと決めた例もあるということですね」
反町キャスター
「それが落としどころになるかもしれないと、菅原さんも思っている?」
菅原氏
「いや、だから、そう譲歩するのがいいのかどうかというところのご判断だと思いますね」
反町キャスター
「では、譲歩することによってどういうダメージが、日本の農業、特に酪農にあると見ていますか?」
菅原氏
「チーズつくられているところ、特に地場のチーズというところが。日本で見ますと大規模につくっていらっしゃるというより、いわゆる地場と言うか、現在、6次産業化の中で、地元で少しずつつくっていると、農家レストランの隣でつくっているとか、そういう小さなところが、付加価値を高めようとして努力されているところだと思いますので。そういうとろで29.6%というような関税差が徐々にとは言え、なくなっていくのは、そういう人達がせっかく始めた、政府も支援してやっていたというところについてはちょっと勢いを削ぐかもしれないところがあると思う。マクロで見ればどれだけ影響あるかというのはアレですけれども…」
反町キャスター
「そこです」
菅原氏
「ミクロ的に見ると、そういう人達が一生懸命やろうとして、始めた人達の、勢いを削いでしまうかもしれないということですかね」
反町キャスター
「伊藤さん、ミクロのチーズ農家、確かに僕らも旅行に行ったりすると、その土地でしかつくれないチーズとか、白いプニュプニュしたのをつくっていたら、ああ、うまそうだなと思ったりもするわけですよ。一方で、大量消費をする都市の人間からするとねという、この部分があると思うのですけれども、どう感じますか?」
伊藤教授
「ヨーロッパがやったことが参考になると思うんです。ウルグアイラウンドで、ヨーロッパも農業自由化を求められた時に、それまでは結構高い関税で多くを守っていたのですけれども、それを補助金にシフトしていったんですね。全部ではないですけれども。ですから、おそらくチーズの種類によると思いますけれど、相当の補助金が積まれている部分もあるはずですよ」
反町キャスター
「ヨーロッパで?」
伊藤教授
「ええ。経済的に言えば、それでも関税で輸入制限するよりも補助金で守った方がいいという見方もあるわけで。特にマクロ的に大きな影響はないのだけど、ミクロ的にそこを守らなければいけないと理由がある時は、それを交渉で言うわけにはいきませんけれども、最後の落としどころとして、それは十分あり得ると思っています。要するに、大事なことは消費者側にとってみてはいろいろなものが入ってくるというメリットもあるわけですから、そういう生産者を守るということが非常に政治的に大事であるとしたら、手段はいろいろ用意しておいて、やるということだと思います」
反町キャスター
「都市部の大量消費に対して、要するに、変な言い方になりますけれど、地チーズをつくっている人達が日本で何万人いるのですかという話です。その人達を守るのか、東京だったら1300万人、それだけでいて、その人達が地チーズをつくっているわけではない、彼らにとっては安い良いチーズが入ってくる方がいい、この比較の議論にならないものなのですか?」
伊藤教授
「貿易自由化というのは、そういうことだろうと思うのですけれども、ただ、そこに政治的リアリティがあるから、あとはそのバランスをどう考えるかということで。大きな流れは自由貿易協定でやるべきであるというのは全体のいろいろなチーズに限らず、いろいろなものが輸入で入ってくること自体が、日本にメリットがあると考えているからやっているわけですよね」
反町キャスター
「いかがですか?西川さん」
西川議員
「うん、その通りなのですが、私の立場は、党の農林食料戦略調査会長です。農業を守る、農村社会をいかに元気づけるか、これが私に与えられた使命ですから。それは消費者も大事だけれども、地域を守るのも大事だと、こう考えていますので、是非、我々もしっかりがんばりますから応援してもらいたい…」
秋元キャスター
「引き続き話を聞いていきますが、自民党からの申し入れの中に、地理的表示(GI)の保護というものもあります。これは生産地の気候、風土や特別な生産方法などから評価されている産品の地理的表示を保護する制度ということで、日本国内では、日本酒、それから、特産松阪牛、EU域内ではカマンベールチーズ、ボルドーワインなどがそれぞれ登録されているのですけど、これをお互いに認め合おうということが協議されています。西川さん、EUとのEPAにおいて地理的表示の保護を求められるのはなぜなのでしょうか?」
西川議員
「私が最初に切り出した時は、なぜシャンパーニュ地方でつくったヤツだけがシャンパンなのですかとやったことがあるんですよ。ああ、そうですか、それだったら、ヨーロッパでつくる牛は全部、松坂牛と神戸牛と言っていいですかと切り返しがきましたね。それでお互いに…」
反町キャスター
「そんな切り返しをヨーロッパもするのですか?」
西川議員
「すぐやります。それで地理的表示をしっかりとやろうと、お互いにやろうと。これは話がつくと見ています」
反町キャスター
「なるほどね」
西川議員
「ただ、私が言いたいのは、どこに行っても、和牛というのが世界中、共通語になってしまった。和牛とは日本の牛だと思っていない人の方が多い。そこでアンガス牛であるとか、純粋な和牛ではなくても和牛という名前を使われていますので、今回は和牛というのは日本のものだと、こういうことを大々的に世界に向かって主張をしていきたい、させたいと思っています」
反町キャスター
「菅原さん、こういう土地の名前がウリになるというのは、日本とEU、お互いそういうもの持っている同士、独特のビジネスだと思ってよろしいのですか?」
菅原氏
「そうですね。地理的表示というのは旧大陸対新大陸の問題という言われ方するのですけれども。要するに、欧州、旧大陸から、アメリカとかに移民しているわけです。そうすると、欧州の人達はそこでつくっているのを移民してアメリカに行くと、ニューヨークもそうですけれども、要するに、ヨーロッパの、昔の都市の名前でその土地の名前があるわけですから、そこでつくっているものは、同じ名前になる可能性があるわけですよね。ヨーロッパでつくっているものと土地の名前が同じものですから。ところが、EU側がそれを地理的表示として登録していると、その名前で売ってはいけませんということになりますので、アメリカで同じ都市、地域の名前があって、そこで同じ製品をつくっていたとしたら、アメリカ国内でその名前では売ってはいけませんということになっちゃう」
反町キャスター
「なるほど」
菅原氏
「ですから、アメリカとか、新大陸側は、この地理的表示というのを厳しくすることには大反対ですね」
反町キャスター
「おもしろい、なるほど」
菅原氏
「EUは古い伝統があるのでその地域ごとの伝統に基づいて付加価値がつけられる。だから、普通のものよりも高く売れるので、地理的表示というのを優先事項にしてあるんです、交渉の優先事項にしてあるわけです。それに倣って日本も地理的表示というもので、各地域、付加価値を高めていこう、農業者の所得を増やしていこうと言うことで、現在38品目ですか、登録してきたという、そういう状況なので、まだ日本は発展途上ですけれど、どちらかと言うとEUと同じように地理的表示を使って付加価値を高めていく考え方で、それに対して、アメリカとかは反対しているという、どちらかと言うと、そういう立場にあるわけです」
反町キャスター
「そうすると、菅原さん、今回のこの地理的表示、日本とEUの間で、現在、話し合っているということは、普通、話し合うということはどちらかが得してどちらかが損するかもしれないから、駆け引きしているのかと思ったら、そうではなくて、この件に関してのみとは言いませんけれども、この件に関しては日本とEUというのはwin-winで、これで日本とEUがちゃんと握れば、今度、そのルールをアメリカに持っていく時に、たとえば、TPPだか、日米のFTAだかは知りませんけれども。ないしはヨーロッパとアメリカのTTIPとか、そういうことやる時に、我々は日本とはGIでやっているのだよ、地理的表示でやっているのだよということがアメリカに対する、ないしは中国に対する、他の国に対するカードになる。そういう意味でいいのですか?」
菅原氏
「そうですね。そこは、いわゆる総論賛成、各論反対というところで。要するに、地理的表示を守りましょう、お互いに守っていきましょうところについては日本とEUは利害が一致しているわけです。個別の何を守りましょうかという時になった時には…」
反町キャスター
「割れるの?」
菅原氏
「先ほどのシャンパンではないですけれど、昔の日本人はスパークリングワイン全部、シャンパンと呼んでいましたよね?」
反町キャスター
「呼んでいた…」
菅原氏
「だから、それと同じように、一般名称化しているEUの地理的表示というのがあるわけですよね。それを今さら守れと言われても、いや、これまで呼んでいたのにもう呼べないのという話になるので。結局どれを守りましょうかという時にEUはできるだけ多く、EUで使われているものは全部守ってくださいと、日本としては、それはもう日本では一般名称化しているようなものもあるから、1個1個、精査をしていきたいと。そういうところで、EU側からすると、日本がEUの地理的表示として受け入れてくれている品目数がまだまだ足りないということで現在、交渉しているという、そういうことです」
反町キャスター
「たとえば、カマンベールチーズなんてあるではないですか、コンビニに行くと。あれはフランスでつくられたカマンベールチーズなのですかと、こういう質問ですよね?」
菅原氏
「そう…、カマンベールは、カマンベール・ド・ノルマンディというのが商標、地理的表示なので、カマンベールだけだと問題になるかどうかはちょっと別ですけれども。要は、そういうような問題があるということです」
反町キャスター
「なるほど。伊藤さん、いかがですか?地理的表示は日本の農業の武器、日本の農業の攻めの1つのツールになるのですか?」
伊藤教授
「ええ、農業だけではなく、一般的に、このブランドの付加価値を上げていくというのは日本、ヨーロッパもそうなのでしょうけれど、いく方向だろうと思うんですよ。ですから、その手法としてこういう地理的表示を使うというのは非常に大事だと思いますよね。地理的表示ではないのですけれども、たとえば、ユニクロみたいな会社が、海外でジーンズ売る時に、これは日本製のデニムですよとか、日本のジッパーということが1つ付加価値を上げていけるわけですから、こういうことでできるのであれば、やると同時に、先ほどおっしゃったように、世界の中でヨーロッパと日本がこれで組めば、1つの方向性に対する影響力は出てくると思います。だから、あまりいちいち細かいところで揉めないで、是非これは進めていただきたいなと思いますよね」
反町キャスター
「では、伊藤さんの話だと、農業に限らずね…」
伊藤教授
「そうですね」
反町キャスター
「工業製品とか、衣類…」
伊藤教授
「伝統工芸とか…」
反町キャスター
「全部含めて、メイド・イン・ジャパンブランドと、広い意味で言うと」
伊藤教授
「そうですね」
反町キャスター
「要するに、ツールにすべきだと、こういう意味で言っている?」
伊藤教授
「そうですね。たとえば、伝統的な刃物だとか、あるいは布だとか、いっぱいありますよね。地域性があるような、藍染めだとか、そういうものは広げていくべきだと思います」

どう攻める? 日本の製造業
秋元キャスター
「ここからは日本からの輸出が期待されています、自動車、電子機器について聞いていきます。自民党からの申し入れでは、自動車や電子機器など日本企業がEU市場において韓国企業に劣後しているという日本経済界からの意見に留意が必要と書かれています。日本と韓国の自動車と電子機器の輸出額を比べてみますと、日本からEUへの車の輸出額はおよそ1.6兆円、韓国からはおよそ6457億円で、日本の輸出額の方が倍以上という状況ですけれども。一方、電子機器を見ますと日本からEUがおよそ1465億円、韓国からはおよそ2532億円で、こちらは韓国の方が、輸出額が大きくなっているんです。菅原さん、韓国は日本よりも先にEUとFTAを締結しているわけですけれども、このままだと自動車においても逆転される懸念があると見ていますか?」
菅原氏
「自動車関税、EUの関税、10%と非常に高い、先進国ではアメリカですら2.5%ということで散々揉めたわけですから、10%は非常に高いわけですよね。しかも、韓国の場合は、韓国EU、EPAで完全にゼロになっているということですので、実際に。為替の要因とか、いろいろあると思うのですけれども、韓国とEUのEPAが結ばれて以降、実態として見ると韓国車のEU域内におけるシェアというのは僅かですけれども伸びているんです、拡大しているんですよね。そういった意味で言っても、日本と韓国は相当熾烈な、世界各国の市場で競争しているわけですから、そういった意味で、このEUの10%というのはかなり大きな障壁と言っていいと思いますね」
反町キャスター
「西川さん、いかがですか?自動車」
西川議員
「これはアメリカ、今、出ましたように2.5%、25年でゼロにしようと約束したわけですね、2.5%ですよ。トラックは25%ですけれども、2.5%を25年かけるのかと横から言ったら、10%は100年間とこういう人もいるんです。しかし、そんなために交渉しているのではありませんから、できる限り短くしろと言っているんですね。それで結局、韓国がゼロを勝ちとる時に、ヨーロッパの車が入る時に関税がかかっていたんですよ」
反町キャスター
「韓国に?」
西川議員
「うん。韓国でかけていたんですね。だから、韓国でかけている関税もゼロにするから、あなた方もゼロにしてくださいね、とこういう交渉ができたんですね。日本は残念ながら、もうゼロですから、10%を何年でやるかと。だから、他とのバーターだとか、バランスとった連立方程式だとか、そういう話をしますけれども、私は自動車は自動車、農産物は農産物。これはこちらが譲ったから、こちらを譲れと、これはやりたくないですね。自動車は日本の自動車、横ばいですよ、微増です。日本はヨーロッパでつくりだしてしまっていますから、部品もドンドンつくっていますから、だから、あまり気にしなくてもいいと思うんですね。一方、この自動車部品、あるいは電気、電子機器、これは14%がかかっていますけれども、韓国はいち早くゼロ、昨年勝ちとった。そうすると、どういう現象が起きたかと言うと、ヨーロッパの空港にあるテレビはだいたいLGか、サムスンですね。日本は国策として弱電メーカーとあまりうまく連携がとれていなかったのですかね?ただ、日本はアメリカの弱電メーカーは日本が全部変わってとってしまったと、アメリカに弱電がなくなったのも事実ですから、歴史は繰り返していくと思うんですね」
反町キャスター
「なるほど、伊藤さん、いかがですか?」
伊藤教授
「そこは交渉、難しいですけれども。ただ、EU、例の、イギリスのEU離脱の問題があって、これまでは日本のメーカーは、特に自動車メーカーはイギリスに工場を置いて大陸に輸出していたわけですけれども、今後のEUとイギリスの関係にもよりますが、おそらく日本の企業は大陸に工場をつくっていく、増やしていくということを考えていると思うんですよね。それは、たとえば、フランスにトヨタの工場ができれば、フランスにとってメリットがあるもので。だから、部品の関税の引き下げと、現地に日本が出ていくことのメリット、どう向こうに感じてもらえるかというのは1つの大きなポイントだと思います」
反町キャスター
「それは、要するに、製品としての自動車の輸出という作戦ではなくて、ないしはパーツの輸出で、向こうで組み立てるとか…」
伊藤教授
「はい」
反町キャスター
「ないしはパーツを向こうで、現地調達率を上げるとか…」
伊藤教授
「はい」
反町キャスター
「そういう形で、相手に取り入る形が日本の、韓国とは違う日本の…」
伊藤教授
「いずれにしても、自動車は大きなものですから、全部輸出でというのはあり得ないですね。現地につくっていかなければいけないわけですけれども。これまで歴史上はイギリスが多かったわけですけれど、EUとイギリスの関係にもよりますけれど、積極的に投資していきますよというような姿勢を見せるということが重要だと思いますけれども」
秋元キャスター
「自民党の申し入れでは経済活動に関するルールをめぐる交渉についても触れられているんですね。まず医薬品・医療機器の知的財産権、データの流通に関するルールづくり、投資家と国との間の紛争解決手段ということですが。菅原さん、医薬品・医療機器の知的財産権というのがあるのですけれども、これは現在どういうことが課題になっているのでしょうか?」
菅原氏
「これはなかなか報道でも伝わってこないところなので、よくわからないですが。医療機器の知的財産というのが何を指すのかわからないのですけれど。医薬品の知的財産権というのは、おそらくTPPの時に議論になった、データ保護期間の問題、8年とか、12年とか、ここでもかなり議論した記憶がありますけれども、そういったことを指しているのかなと。医薬品に関してはEUの企業に非常に高い競争力がありますから、そことか。医療機器に関しては知的財産権のみならず、おそらく日本に輸入する時の、それこそ認証、基準規格の認証の問題とか、手続きの期間とか。日本の場合、医薬品や医療機器に関しては審査手続きが煩雑だとか、長過ぎるという批判はいつも受けていますから、そういったところも関わってきているのかなということですね。あとの2つについてはここは非常に日本とEUで揉めているところですので、冒頭の大枠か大筋かというところでありましたけれども、まったくわからないですけれど、報道を見ている限りなぜ大筋が大枠になったかという理由は、実はこの2つの意味が大きいのかと」
反町キャスター
「先ほど、言ったことですか?」
菅原氏
「はい、要するに、この2つについては、今回は合意できないのではないのかなと見ています。データの流通、これは個人情報保護についてEUが非常に厳しい規制を持っていますので、国境を越えて、そういったデータを自由に流出させるという問題。これは自由に流通できないと、企業にとっては非常に大きな影響がありますので、EUとの間で自由に流通させたいという思いはあるのですが、EU側は非常に厳しい個人情報保護の規制を持っていますので、これについてどうするかというところについてはなかなか、まだEU側と合意を見ることはできないのではないかと。それから、投資家と国との間の紛争解決はISDSということで、TPPでも相当、問題になりましたけれども。日本側は、このISDS、TPPと同じ制度ということなのですけれども、EU側は、このISDSに対する市民社会の反対も強いということで、最近は投資裁判所という制度を入れていまして、ISDSというのは問題が起こると問題が起きた時にパネリスト、いわゆる裁判官役の人を、その度に選んでやっていくという方式なのですけれども、EUが言っている投資裁判所方式というのは常設の裁判官がいて、しかも、2審制、上級審に判決に不服だと訴えることができると。そういった制度にしたいと言っていて、最近はEUのEPAですと、ベトナムとか、カナダとのEPA、FTAでは、この制度、ICSという投資裁判所制度を入れているんです。なので、日本としてもそれを入れたいということだと思うのですが、日本としてこれまでそういったことやったことがないということですので。これについてもちょっとまだ短期間では調整がつかないかなという気がしますので、この2つは先送りになるのではないのかと、どうなるかはわかりませんけれども、勝手に見ているということです」
反町キャスター
「医薬品と医療機器の知財の話なのですけれど、確かに日米で交渉している時も10年と5年、8年みたいな話だったような気もするのですけれど。だいたい8年という相場観というのは日本とアメリカとEUの間で、共通で話ができそうな話になっているのですか?」
西川議員
「これはデータ保護期間、それから、特許、この問題は日本とまったく、ほぼ同じですから問題ありません、これは合意できます。それから、医療機器の問題、これは日本は非常に進んでいますから、ここは世界で日本の機器を使ってもらえるように努力をしたい。それから、データのこれは流通になっていますね。1番、我々考えているのは、EUが協定をもし結んだとしたら、28か国に本当に指令が行き渡るのですかと心配しているのですよ。ウチは赤字だから、そう聞きませんよというのが出てくるかもしれません」
反町キャスター
「なるほど」
西川議員
「だから、それは無いようにしてくださいねと、これはうまくいけると見ています、私は。それから、ISDS、これはTPPの時、最後までTPPを決めるかどうかで我々、最後に揉んで、最後に落ち着いたのが生物製薬ですよ、これのデータ保護期間だったんですね。一方、ISDSは議員の中にはやらない方がいいという意見がいっぱいあったんです。しかし、私はフィリピンで日本の建設会社が工事をして、企業名も額も言えませんが、大きなものをつくった。つくった方が倒産した、国がそれを結局没収した。そうすると、日本の企業はどこを訴えればいいのですかと。こういうことが起きまして、ISDS、必要だと、ただ、濫訴はダメだと、ここだけは今回もいきたいと思います」
反町キャスター
「西川さん、今日、この日・EUのEPAの話、いろいろと聞いてきたのですが、たぶん日本とEUだけの話ではなくて、それぞれEUも日本とアメリカに向き合っていたり、日本の場合はTPP11だとか、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)だったり、いろんな通商政策がいっぱいあるうちの…、そもそも西川さんのところのアレでも、日・EUの経済協定等は等が入るという部分においては日・EUだけを専門に協議する舞台ではないのではないですか。そう考えると、今回の日本とEUの話がちゃんと進んだあと日本の通商政策というのはどちらに向いていくのか?もう1回、TPPの再構築に向かうのか?ないしはRCEPに向かうのか?次の一手はどちらに向いていくのですか?」
西川議員
「それはなかなか難しくて、私では答えられませんね」
反町キャスター
「うーん」
西川議員
「うん」
反町キャスター
「ただし、選択肢として、全部やるというわけにもいかないでしょう?全部やるのですか?」
西川議員
「いや、これは総理の判断ですから」
反町キャスター
「なるほど」
西川議員
「私どもが判断しても、総理がどう思うかですね。それと難しいですねと言うのは、現在その時期ではないと」
反町キャスター
「どういう意味ですか?それは」
西川議員
「いや、現在はもう…」
反町キャスター
「とりあえず日・EUを仕上げてから次の話ですか?」
西川議員
「大詰めの段階ですから、大詰めになるかどうかはわかりませんよ、それは、しかし、そういう状況の中で、次がどうこうとか、それは考えません。来月になったら考えたらいいと思います、今月は考えません」

西川公也 自由民主党日・EU等経済協定対策本部長の提言 『攻めと守り 経済連携』
西川議員
「攻めるところは攻める、守るところは守るということで、日本全体の経済の底上げができる、こういう経済連携にしたいと思っています」

伊藤元重 学習院大学国際社会科学部教授の提言 『前進あるのみ』
伊藤教授
「前進あるのみ、と答えたのですけれども。経済交渉の自転車理論というのがありまして、自転車は漕がないと倒れちゃうんですよ。だから、こういうものが、要するに、交渉がなくなってしまうとドンドン経済、腐っていっちゃうんです。ですから、もちろん、成果も大事ですけれども、大変だと思いますけれども、交渉を続けていただくこと自身が非常に重要だと思いますね。もちろん、日・EUのあとはいろいろな問題…」
反町キャスター
「そういうことですよね?」
伊藤教授
「ええ、…あると」
西川教授
「また、先生と相談しましょう…」

菅原淳一 みずほ総合研究所政策調査部主席研究員の提言 『森をみる(全体戦略)』
菅原氏
「私も伊藤先生とほぼ同じなのですけれども、森を見るという書き方をしました。以前も書いたような気がするのですけれども、要は、まさに最後の話で、この日・EU、EPAの合意を取っ掛かりとして年内にRCEPをまとめる、TPP11も進めるという方向に進めていかなければいけないと。なので、日・EUだけを見る、それから、日・EUの中でチーズとか、個別品目を見る、木を見るというのはこれが非常に重要なことなのですけれども、それと同時に、全体戦略、森も見て進めていかなければいけないということだと思います」