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2017年6月22日(木)
『イスラム国』掃討へ バグダディ殺害の真偽

ゲスト

佐々木良昭
21世紀研究所アナリスト
板橋功
公共政策調査会研究センター長
黒井文太郎
軍事ジャーナリスト

『イスラム国』とテロ拡散 『首都』奪還作戦の行方
秋元キャスター
「過激派組織イスラム国の掃討作戦が正念場を迎える中で、イギリスやフランスでは、イスラム国に同調したと見られるテロが相次いでいます。一方で、サウジアラビアなど9か国がカタールとの国境を断絶するなど中東情勢は混沌としています。現在イスラム社会で何が起きているのか、今夜は中東情勢研究のスペシャリストと対テロリズムの専門家をゲストに迎えて、じっくりと検証します。イスラム社会で何が起こっているのか、その主なポイント、3つです。まずはイスラム国の窮地について、テロの拡散について、さらにサウジアラビアなど9か国がカタールと国交断絶したということについて。この背景とか、影響についてそれぞれ順番に聞いていきたいと思うのですが。まずはイスラム国をめぐる情勢について聞いていきます。一時期、イラクとシリアの国境をまたいで、広大な範囲を支配下に置いた過激派組織イスラム国ですけれども、この図の赤で示されているのが、2017年6月21日時点でのイスラム国の支配地域です。昨年10月から最大拠点としていたモスルで、イラク軍による奪還作戦が開始され、周辺地域は既に陥落し、残るモスル中心部の戦いも最終局面に入ったと伝えられています。また、今月の6日からは、イスラム国が首都と位置づけていますラッカで、アメリカなど有志連合が支援するシリア民主軍による奪還作戦が始まっています。まず黒井さん、ラッカとか、モスルの奪還作戦、どういう状況なのでしょうか?」
黒井氏
「こちらに新しいフリップをつくったのですけれども、左側がIS、イスラム国が急速に勢力を伸ばした2014年の12月段階ですね。その右側が現在ということですけれど。かつてイラクとシリアの両国のだいたい3分の1ずつ押さえていたのですが、それが一気に攻められていまして現在、モスルとラッカというのが2つ、両サイドの首都扱いだったのですが、特にモスルの側はその周辺地域も奪還されまして、モスルは大きな町ですから、その中に戦闘員が数百人、立て籠っているという状況で、現在最終的な奪還作戦が行われていると。もう少し難航する可能性がありますけれど、最終段階にきているということですね。シリアの方は特にその上の方ですけれども、民主軍、シリア民主軍と言いますが、要は、主力はクルド人部隊です、クルド人部隊がシリアの東北地方をかなり取り戻して、こちらの方もモスルの攻略戦が行われているという状況になっています」
反町キャスター
「バクダディ、ISの最高指導者ですね。ロシアの国防省は16日、『5月28日の空爆でイスラム国の最高指導者バクダディ容疑者を殺害した可能性がある』と。黒井さん、国防省の発表で殺害した可能性があるという表現でとどまっているのですけれど、これはどう見たらいいのですか?」
黒井氏
「要するに、未確認情報でロシアの発表ですから、僕自身は経験則からほとんど信用していないですね。特に、彼らはラッカで爆破、殺害したと言っていますけれども、ほとんどのIS、イスラム国の幹部はもうラッカを逃げ出して、本日、今日もナンバー2、3格の幹部が殺害されているのですけれども、ほとんど、地図で言うと、イスラム国支配、イラクとシリアの国境エリアのちょっとシリアサイド、もう少し下の方ですけれども、川沿いです、そのあたりに逃げている。そのあたりに集結し、主力もそちらに行っていますので、だいたい幹部はほとんどそちらに行っているということなので。いろいろ内部からの情報を見ていても、バクダディが死んだという話はあくまでも未確認情報、この人は何回もそういう情報流れているので、そのうちの1つだろうなと思いますね」
反町キャスター
「佐々木さん、いかがですか?バグダディ殺害情報について」
佐々木氏
「いや、ラブロフさんが最初、やったようだと言っていたのが、最近、確認がとれていないと言ったんですね。と言うことは、7割違うのではないかという気がしますね」

掃討作戦の『大義』と『思惑』
秋元キャスター
「過激派組織イスラム国に対する攻撃には、さまざまな国がさまざまな形で関わっているわけですが、イスラム国を攻撃する各国の思惑、どう見ていますか?」
佐々木氏
「イラクからいきましょう。イラクはイスラム国に支配されたから、当然やりますよね。シリアも同じです。シリアの民主軍というのはクルドですよ、はっきり言うと。クルドはイスラム国をぶっ飛ばしてやれば、シリアの北部が自治区になれるという。それから、シリアの政府軍は当然脅威ですからやるし、ロシアはタルトゥースという海軍基地があるから、当然、シリアの政府軍をサポートします。イランはと言うと、シリアを散々殺しているわけですよ、イスラム国家は。だから、当然、敵だし、同時にシリアのアサド体制とは一衣帯水の関係です、同じシリア同士であるということで。トルコはと言うと、イスラム国は敵であると、本当のところはそうではないのだけれども、表向きそうせざるを得ないという立場だと思います」
反町キャスター
「それは各国がイスラム国を叩くことによって何らかの利益を得ているという見方でいいのですか?」
佐々木氏
「利益が当然あるからです。それで、イラクはやっつけてしまえば、これでISはがんばらなくていいわけで。シリアは当然のことながらそうだし。だから、イランも、ここでシリア政府を倒すわけにはいかないというのがあるから、皆、自分の国の利益のためですよ。ところが、トルコの場合は例外的に、これまでカタール、サウジからくる金だとか、武器だとか、あるいは外国から戦闘員を全部、要するに、黙認して、パスして送っていたんです」
反町キャスター
「イスラム国に?」
佐々木氏
「イスラム国に。トルコとイスラム国との関係は、非常に深いし、エルドアン大統領の息子のビラールというのはイスラム国がシリアとか、イラクで掘った、いわゆる盗掘石油を売払って金儲けして、という経緯があります」
反町キャスター
「この中で各国、トルコ以外の国々はそれぞれ…」
佐々木氏
「国家的…」
反町キャスター
「一時、軍事的に占領されていたし、軍事的に脅威もあるし、イランの場合に関しては宗教的な背景もあってとにかくイスラム国を叩くべしということなのですけれど。トルコだけはある意味、経済的な結びつきもあって、イスラム国の傷病兵のケアも含めて、兵隊の供給ルートも含めてね…」
佐々木氏
「そうです」
反町キャスター
「イスラム国を応援しながら、世間体のために攻撃しているみたいな?」
佐々木氏
「もう1つは、つまり、シリアの内部にクルドの自治区ができあがるとトルコの東、5分の1がクルドです。そうすると、このクルドをぶっ叩くためには、イスラム国家をサポートした方がいいと、敵の敵は味方みたいなね。だから、そういう実質的な利害もあるんです」
反町キャスター
「なるほど。黒井さん、ロシア、アメリカも含めて、これだけの国が、それぞれの思惑を持って、イスラム国という、いわば地域に対して軍事介入している時にね。この間あったことは、シリア政府軍の空軍機をアメリカ軍が撃墜したと言うんですよね、確か?」
黒井氏
「はい」
反町キャスター
「だから、この図で言うと、ロシアのバックアップを受けているシリア政府軍の空軍機を、シリア民主軍をバックアップしているアメリカ軍が撃墜した。これはどう見たらいいのですか?」
黒井氏
「結局、ロシアから政府軍に来ている矢印がありますけれども、そこから赤いのがイスラム国に行っていますが、非常に細い線で実際はシリアの反体制派、民主軍も含めてですけれども、そちらのもっと別の方向にしているんですね、ロシアと政府軍」
反町キャスター
「シリア政府軍と民主軍が内戦していると思った方がいい?」
黒井氏
「要は…」
反町キャスター
「矢印は横を向いているんだよと、イスラム国には向いてない?」
黒井氏
「そうですね。クルド人とシリア反体制派も、ちょっと微妙なところがあって、アメリカともちょっと複雑な関係なのですけれども。現在は、イスラム国を倒したあとに、アサド政権とシリア民主軍とどちらが入っていこうかという競争になっているんですよ、追い出したあとに。シリア民主軍の方に実際もうアメリカは特殊部隊、地上軍まで入れて、支援して入ってきているのですけれども、それに対して、アサド軍が攻撃をかけたということで、アメリカはシリア民主軍と同盟関係にありますから、そこに攻撃するものは許さんということで、何人たろうとも許さないということで今回の撃墜が起こった」
反町キャスター
「シリア政府軍機のアメリカによる撃墜というのをロシアはどう見る?」
黒井氏
「ですから、ロシアは言っていますけど、ユーフラテス川から西側で飛ぶ飛行機、有志連合も含めて、アメリカ軍も含めて、どんな飛行体でも撃墜するかもねと。するとは断言していないのですけれども、かもね、というようなことを言っています」
反町キャスター
「それは、そちらがその気だったら、こちらもやるぞと…」
黒井氏
「そうです、はい。実際はアメリカ軍とロシア軍が直接やり合うということは、おそらくないですけれども、かなり強い言葉では言っていますよね」
反町キャスター
「佐々木さん、シリアにおけるロシアとアメリカ、今のところ、まだ、代理同士のぶつかり合い、緊張感みたいな感じだと思うのですけれど。アメリカとロシアがシリアという場所において直接、緊張感を持って向き合う可能性というのはあると思いますか?」
佐々木氏
「常識的に考えればないでしょうね。ただ、突発が、小さな火が起こった場合に、それが大きくなる危険性というのはあるでしょうね。アメリカの研究者の相当部分は、これは第3次世界大戦を、アメリカのトランプ大統領は希望していて、一生懸命それを煽っているのだという言い方をしています。ヨーロッパの学者にも同じような意見を持っているのがいる。実際ロシアとアメリカがそこで戦争、第3次世界大戦を始めるかと言ったら、大きなクエスチョンマークですけれど。ただ、そういう懸念も忘れてはダメだと思います」

『負の連鎖』の正体は?
秋元キャスター
「イスラム国が犯行声明を出した、最近のテロをまとめました。4月以降のもの、このようになっています。黒井さん、これらのテロ、イスラム国はどこまで関与しているというふうにご覧になりますか?」
黒井氏
「中東とか、アジア、それから、アフリカ、そういったところはイスラム国本体もしくはそれにシンパシーを持っている地元の過激派組織が関与しているケースが圧倒的に多いですね。それと、また、欧州とかのケースはちょっとまた違っていて。欧州、ヨーロッパで起こっていることは両方あるのですけれども、パリの同時テロとか、彼らの残党がブリュッセルをやりましたけれども、ああいったものはISの中枢部から送り込まれた工作員なのですが、多くはISと直接の関係がない人の方が多いです。ただ、本人達がそういうシンパシーを持ってやる。ただ、ちょっとグレーの部分というのも結構あって、たとえば、イギリスのコンサート会場での自爆というのは、これは、リビア系のISに近いグループのネットワークの末端メンバーですね。ファミリーで、ある種のファミリービジネスとして、テロをやったのですけれども。それから、その後、ロンドンでの暴走・刺殺に関しては、イギリスに古くからあるイスラム過激派の勧誘組織、イスラム4UKとか、ムハージルーンとか、いろいろ名前があるのですけれども、そこの連なるメンバーがやっているので、ISとはまったく関係がないわけではないですね。ですから、そういったこともありますし、そうかと言って、それよりちょっと前に、今年の1月でしたか、またロンドンの方で刺殺して、車で突っ込んだ事件がありましたけれども、それも完全に個人がやったものであり、あとフランスでも、ちょっと前にもニースの花火大会に突っ込んだとか、ああいうのですね、そういったある種の自殺志願者みたいな人達が急速にイスラム化して、本人達の信奉的な思い込みでやるというテロが非常に増えていますね。それに対して…」
反町キャスター
「自殺志願者とイスラム過激派のつなげるものというのは何ですか?」
黒井氏
「自殺志願者というのは1つの例であって、それに限らないですけれども、ある種の思い込みの人だったりとか、昔からよくあるカルト的な人だったりとか、いろいろとあるのですが。そういったある種の思い込みを持つ人達が、自分達のいろんな、自分が生きる意味みたいなものを探した時に、イスラム過激主義みたいなものに出会うということというのはあるんですね。ですから、もともと犯人がそういった過激的なISのシンパで、各国の当局の監視リストにあった人というケースももちろん、あります。そうかと言って、そういうのがまったくなくて、最近、急速にイスラム化した、過激化したという言い方をしますけれども、そういう人達は何かしらの闇の部分を持っていて、たまたまイスラム化しちゃったのだろうなというような感じの人。結構、そういった通り魔的な犯罪は昔からどこの国でもあって、かつてはちょっと極右的な人とかが多かったのですけれども、現在はそういった人達がイスラムの過激主義みたいなものに、自分の生きる、死ぬ意味みたいなものを見つけちゃったというような、としか思えない暴走みたいなタイプというのは、非常に増えていますね」
秋元キャスター
「イスラム国が犯行声明を出す時というのは、ちゃんと自分達で裏取りというか、確認がとれたうえで犯行声明を出しているのか?」
黒井氏
「いや、違います。ですから、たとえば、先月、フィリピンのカジノを襲撃した強盗事件があったのですけれど、それもイスラム国が、自分達のカリフ国の戦士がやったと発表して、あとから大恥をかいたのですけれども。とりあえず現在何かテロ的なものがあれば、自分達の戦士がやったのだという言い方をします。ただ、イランの国会議事堂を襲ったグループの場合はもともとそういったネットワークを持っていますので、イスラム国が発表をネットで出す時に、犯人の肉声であったり、映像であったりといったものを出しますので、これはつながりがあるということがわかりますね」
反町キャスター
「それと、先ほど、言われたイスラム勧誘組織、イギリスで2つあると」
黒井氏
「ではなくて、同じ組織が名前を変えているのですけれども」
反町キャスター
「イスラム勧誘組織なるものはISのイギリス支店みたいなのでなくて…」
黒井氏
「ではなくて、元から、アルカイダの頃からあるんですね」
反町キャスター
「何なのですか、それは一体?」
黒井氏
「それはそれぞれの…モスクみたいな、いわゆるモスクと言うか、中心的な導師と言うのですか、イスラム聖職者という人がいて、連なる信奉者みたいな若者がくるわけですね。アルカイダにも、そういったところからいっていましたし、そういったグループの何人か中心、コアになる人物がいて、そういう人達が実際、ですから、ネットワークはISのテロを見ても、もしくはISの方へ、シリアへ渡る義勇兵を見ても、あまりインターネットで感化されている人は少ないです。実際のところ、あとから見ると地元のそういったネットワークに、いわゆる肩をポンポンやられている人の方が圧倒的に多いですね。ですから、リアルワールドでもって勧誘されているというケースの方が、非常に多いということがありますね」
反町キャスター
「板橋さん、いかがですか?」
板橋氏
「実はほとんど、アルカイダの構造と同じなのですが、アルカイダも多重構造になっていて、ネットワーク構造になっているんですね。かつてはネットワーク、テロ組織のネットワークというのが各国に、いろいろな国にあるテロ組織、これがアルカイダ系のテロ組織なったわけですよ。なんとかのアルカイダ、なんとかのアルカイダと」
反町キャスター
「ありましたね、分家みたいなのが広がって」
板橋氏
「それが現在、なんとかのIS、なんとかIS支部と名乗っているんです、ほとんどが。衣替わりしているだけで…」
反町キャスター
「看板掛け替えただけですか?」
板橋氏
「そう。もともとあった組織ですよ、そもそもアルカイダの前から、組織として」
反町キャスター
「なるほど」
板橋氏
「実はISというのは、もともと聖戦イラクのアルカイダですね。ザルカーウィという人物がつくったわけですよ。たかだかIS、要するに、カリフ制イスラム国家になってから3年しか経っていないですよ、まだ。まったく同じ構造をつくっているわけですよ。バグダディがいて、中枢部、これだけはちょっとアルカイダと違うのだけれど、おそらくフセイン政権の残党でしょう。ここはほとんど何もやってない。外国から戦闘員を集めてきて内戦を展開している。それから、もともと地にあったテロ組織がアルカイダ系のテロ組織になり、現在はIS系のテロ組織として活動している、バグダディに忠誠を尽くす。3年前までは、なんとかのアルカイダと名乗っていたところが、バクダディに忠誠を尽くすと言っているわけですね。それから、アルカイダとちょっと違うのが帰還戦闘員、これが現在すごく多いわけですよ。アルカイダの時もいたのだけれど。これが特に先進諸国からもいっているんですよ。フランスやドイツ…、フランスやイギリスやアメリカなどからも参加しているわけですね。ここがちょっとアルカイダの時とは違うんです。それが戻っているわけです、現在。それと、もう1つはインターネット上などで、まったくISとは直接的には関係ないのだけれど、ISのいわゆる思想、あるいはISが発信するものに感化されて、自分でテロを考え、自分でテロをやってしまう。これがほとんど最近起こっているローンウルフ型ですよね。手口としては非常に単純です。ナイフやトラックや車を使う、決して入り組んだ作戦をしているわけではない、でも、彼らは彼らなりに1人で考え、1人で計画して実行するんですよ。それが現在…」
反町キャスター
「そうすると、板橋さん…」
板橋氏
「しかし、黒井さんが言われていた、私はパリの事件、ベルギーの事件、これもおそらく帰還戦闘員の仲間内だけでおそらくやっているものだと思うんですね。中枢部はほとんど関係してない…」
反町キャスター
「中央からの指示がない?」
板橋氏
「ない。それから、ほとんど起こっているテロ事件の多くはあとからの追認です、ほとんどが」
反町キャスター
「ISのホームページの映像とか、彼らは非常に高い技術を持ってホームページも強いメッセージ性を持って、人々の心に訴えかけるというような一般メディアはそう言うのだけれども。現在の話を聞いていると、決してそういうものではない?」
板橋氏
「それはイラク、シリアでつくる必要はないと、まったく。映像に長けた、あるいはネットに長けた人間が別にいる可能性がある。どこからでも発信できる」
反町キャスター
「それも、でも、影響力…、黒井さんは先ほど、そうではなくて、肩を叩くことによって、リアルな世界において、そういうことを言われることによって、たとえば、勧誘があったり、過激なモスクによって、人々がそういうテロに対して引っ張られていくのではないかという話があったのですが、そこはどう見ていますか?」
板橋氏
「そこはたとえば、イギリスとか、フランスで、現在たくさんテロが起こっていますね。これはイスラム系諸国からの移民がたくさんいるわけですよね。もう2世代、3世代になっているわけです。そこの不満というのが鬱積しているわけですよね。そこを刺激しているわけですよ」
反町キャスター
「ISがね?」
板橋氏
「ISが。アルカイダもそうだったのですけれども。確かに、黒井さんが言われた通り、アブハムザという有名な、現在、投獄されていますけれども、彼のモスクのもとに集まっていた連中が過激な行動をとっていた。ここはかなりマークされているわけですね。で、それだけではなくて、1番問題なのは現在、ネット上で感化される人間ですね。これは追っかけようがないですよ、実は。勝手にネットを見て、勝手に感化され、勝手に過激化していくわけです。ですから、いかに、たとえば、インテリジェンス機関が発達していても通信傍受も発生しない、だって1人でやるのだから」
反町キャスター
「一方的ですからね」
板橋氏
「はい。そうすると、発見もできない。たとえば、爆発物も入手しないわけですよ。自分でつくったり、あるいは車を使ったりするわけですね。そうすると、その過程で当局が発見することができないですね。ですから…」
反町キャスター
「全然、捕まえようがない?」
板橋氏
「ところが、ただ、全部見逃しているかというとそうではない。当局もかなりのテロ事件を阻止してきているんですよ、フランスも、イギリスも。でも、どうしても1人でやっていたり、ネット上で感化された人間の行動というのが見つけられないので起こってしまうということが現在、世界中で起こっているわけですね」
秋元キャスター
「日本でも今後、起きる可能性というのは?」
板橋氏
「私は起きる可能性はあると思っているんですよ。なぜかと言うと、ネット上で感化されるとなると、日本でもたった1人だけ、ネット上で感化された人間が出れば、起こる可能性があるわけですよ。既に北海道大学の学生が一昨年、ISに参加しようとしたことがありましたよね」
反町キャスター
「あった」
板橋氏
「素地はあるのだと思うんですね。それから、警察庁も数人の人間がネット上でISとやり取りしているのではないかということも言っているわけです。これから、オリンピックに向けて十分、可能性としては考えなければいけないことだと思いますけれども、こうやってネットで感化される。先ほど、もう1つ、黒井さんが言った、急速な過激化、これはこの間、フランスに行った時に当局と情報交換してきたのですが、報道されている通りニースの事件の犯人というのは1週間で過激化したそうです、たった1週間で。それから、ドイツの列車内の爆破未遂…、テロ未遂事件、これも1週間で過激化した」
反町キャスター
「ベースとしては、たとえば、生活に対する不満というのがあったうえでの過激化ということですよね?」
板橋氏
「そういうことですね」
反町キャスター
「テロを防ぐにはどうしたらいいのかと言ったら、情報とか、予防とか、ということより社会政策で防ぐしかないという結論になりますよね?貧富の格差の話…」
板橋氏
「そういうことですね。イギリスとフランスというのは、移民政策、まったく違ったわけですよ。イギリスの方は、どちらかと言うと、寛容政策をとったわけです、いろいろな国から受け入れて、それぞれの文化を尊重しなさいと。一方、フランスの方は同化政策をとってきた、フランス人になりなさい、フランス語を話しなさいと。でも、どちらもテロ起こっているんですよね。どちらも今となっては正しい政策ではなかったのかなと。当時としてはおそらくそれぞれの国情があって、それぞれの政策をとったのでしょうけれども、そのあとイギリスは、テロの温床になっていると言われたこともあるんですね。これは広報宣伝の基地になったり、資金源活動の基地になったりしていると、それは寛容政策のせいだと言われていたわけですけれども。現在となっては、どちらのアプローチもなかなか難しいな…」

カタールと9か国『断交』 イスラム社会に何が?
秋元キャスター
「ここからは中東アラブ諸国とカタールの国交断絶について聞いていきます。今月5日、サウジアラビアがカタールとの国交断絶を発表しました。アラブ首長国連邦、バーレーン、イエメン、エジプト、モルディブ、リビア、モーリタニア、コモロと、同様にカタールとの国交断絶しまして、現在断絶している国は9か国となりました。その他にも、大使を本国に召還した国や、カタールとの外交関係を格下げした国もあるなど、イスラム社会の分断が進んでいるんです。一方で、イラン、トルコは孤立するカタールを支持していて、経済的な支援を行っているということです。佐々木さん、中東アラブ諸国などがカタールとの国交断絶に至った背景、何があるのでしょうか?」
佐々木氏
「これはどこまで信用していいかわからない。サウジアラビアが1100億ドルの兵器の購入を決めた、もちろん、1年間ではないのだけれども。それで、よしよしと、トランプさんは丸をつけてやったと。そうしたら、そのあとで、おい、カタールのアミールという王様、お前も来いよと言ったら、俺、行きたくねと、行かなかったんですよ。それで、ああ、そうかわかったと言って、このあとにこれが起こるんですよ。それでサウジが、冗談じゃねえ、お前、俺らの仲間の話を裏切って、イランとツーカーでやっているではないか、どういうことなのだ。お前らのところのアルジャジーラテレビはアラブの春の、革命の時にボロクソやったじゃねえかと。あれでカダフィもずっこけりゃ、チュニジアもいけば、エジフトだって吹っ飛んじゃったとどうしてくれるのだって、お前らは敵だと。なおかつイスラム国家に向かって資金をバンバン流してやったではねえかと、やったわけ。そうすると、エジプトというのは、サウジから金をもらいたいわけだから、もちろん、自分らがカタールの被害者でもあるけど。アラブ諸国連邦もサウジとベッタリだから、それはそうだと言って、結局はこういう色分けになったんですね」
反町キャスター
「黒岩さん、どう見ていますか?カタールを封じ込める…」
黒井氏
「イランとの関係があるのではないかという情報が流れたのがきっかけだと思うのですけれども。もちろん、湾岸協力会議の中でもともとサウジアラビアとカタールはいろいろな利害があって、長年のちょっとした軋轢はあったんですね。時々そういったことが起こるのですけれども。今回、急にこういったことが出てきたというのは、イランとの関係というのはおそらく誇張されています。それほど、イランとカタールがベッタリになるということはないので、口実だと思うんですね、今回は。ただ、そういったテロの支援みたいなことを口実にして動いた背景には、昨日、これにおそらく関連した動きで、サウジアラビアの皇太子がこれまでの皇太子が更迭されて、ナエフさんという人が。今度はサルマンの息子、国王の息子が皇太子になったと。この新しい皇太子の方が、いわゆる対イラン強硬派ですね。アメリカとも、特にトランプ系と仲いいのではないかと見られていますので、その動きがあるのかなと。前のナエフさんという人は、長いことテロ対策を担当していましたので、ある意味、そういった、カタールも含めて、いろんなところとの交渉に長けていた人物だったのですけれども。その人を排除して、イランが嫌いだというところで、今度の皇太子とトランプさんが波長が合っちゃったということで。何らかのハレーションのような出来事ではないかなと思うのですけれども、ちょっとこの先、どうなるかわからないですよね。現在いろんな国が、クウェートとか、乗り出して、仲介していますので、カタールがこのまま、敵対のままいくとはちょっと思えないですけれど」
反町キャスター
「これはよく言われる、サウジアラビアとイランの中東におけるアラブ国の覇権争いの1つだと思っていいのですか?」
黒井氏
「そういう側面もありますけれども、それだけではないですね。なにもカタールを血祭りにあげる必要はないです、そこまでいくと、おそらく何かしらの情報の捜査とか、確かに、カタールがイランとくっついたみたいなフェイクニュースも流れていますので、そういったちょっと誰が流したかはわからないですけれども、そういったものをおそらくサウジアラビアの新政権と言いますか、皇太子のグループが、それに乗っかっちゃったのだろうなと思うんですね」
反町キャスター
「テロ支援国家としてけしからんみたいなことを言うニュースもあるではないですか。ただ、たとえば、テロリストに対する資金提供と言うと、カタールの名前も出ているけれども、サウジの富豪の名前が必ず出てきますよね。その筋でお互い文句を言えた義理かという、そういうことでもないのですか?」
黒井氏
「ただ、サウジとか、カタールは国家としてテロ対策に動いていますので、それぞれ強力な情報機関がありますし、ISに対しては空爆もしていますので、サウジアラビアとカタールがテロの裏にいるということはないですね。ただ、イスラム運動に対しての、資金提供がありますので、流したあとに、そういった過激な人達の手に渡ってからということはあるので、そこはカタールであっても、サウジアラビアであっても似たような状況にあると言えると思いますね」
佐々木氏
「サウジアラビアに、ペルシャ湾岸サイドにアルカティーフという地域があるんですよ。そこの住民のほとんどがシーア派です。そこの連中は、ずっと差別されてきているから、当然、俺らにも同等の権利をくれみたいなことでデモをやったり、ごく少数のテロが起こったりする。そうすると、そのニュースをことさらに大きく発表するのはアルジャジーラであり、なおかつイランの放送局。そうすると、あの野郎となるわけですよ」
反町キャスター
「おもしろくないと?」
佐々木氏
「だけど、もっと大きなのはカタールを叩かなければダメだというわけですよ」
反町キャスター
「カタールはサウジから見たら、邪魔なのですか?」
佐々木氏
「だって、あんなところはもともと部族のところでしょう。国家なんてレベルではないわけですよ」
反町キャスター
「なるほどね」
佐々木氏
「それが、ガスが出ちゃって、えらい金持ちになって、サウジよりも金持ちなわけでしょう、現在は。だから、おもしろくない。かつサウジが面倒見ているバーレーンという国があるよね。これは本当にいつ水没するか、わからないような国なのだけれども、1930年代、油を掘っちゃって、もう油が出ない。サウジは自分ところの油、バーレーンにやって、あたかもバーレーンが現在でも石油産出国であるようにしているわけ。そのバーレーンとカタールの関係は悪いです。なぜかと言うと、バーレーンとカタールの間にある海のところに海底エネルギー資源があるわけですよ。そうすると、俺がかわいがっているヤツ、何で意地悪すんだというのが、サウジの感覚でもあるわけです。だから、先ほど、言ったように、テロに対する支援とか、あるいはアルジャジーラを使った反アラブ諸国的な報道、勝手なイランとツーカーになる、いろいろなことがモヤモヤになって、頭にきて冗談じゃねえとなる。ところが、問題はイランとの関係は、結構、大臣クラスがしょっちゅう行っていたのですよ」
反町キャスター
「サウジと?」
佐々木氏
「カタールから。それで、だから、その関係はないなんて言えないです。今度はイランの後ろにはロシアがいるわけですよ。それで、先ほど、ちょっと申し上げましたけども、カタールと仲のいいと言われているトルコが現在、軍隊を送ろうと言って、5000人まで送ってもいいと500人から600人、入っているみたいです」
反町キャスター
「カタールにですか?」
佐々木氏
「カタールに。カタールに、トルコが。それで現在、カタールにキュウリとか、トマトとか、菜っ葉を送っているのはイランとトルコからの支援物資ですよ。でも、支援物資と言って金を払うのだけれど、飛行機で送っているわけだから、船も陸もエンバーゴだから。そうすると、トルコがやるのだったら俺らも革命防衛隊を送っちゃうよと、一般人という名前で、イランが革命防衛隊の隊員をカタールに入れた場合、何になるかと言うと、あそこにはアメリカ軍がいる」
反町キャスター
「そうか」
佐々木氏
「アメリカとイランがぶつかる危険性があるわけですよ。だから、そうすると、サウジとカタールの、要するに、親戚同士の喧嘩が、国際的なコンフレクトの要因になり得ると」

アメリカの本音と波紋
秋元キャスター
「トランプ大統領の『カタールは歴史的にテロ組織への資金提供国だ。資金提供をやめさせなければならない』という発言、佐々木さん、どう見ていますか?」
反町キャスター
「どうなのですか?現在の説明の、3枚ぐらい皮の上の話みたいな…」
佐々木氏
「おっしゃる通りでトランプ大統領は立派な方で、おっしゃる通りカタールはいろいろなところに金をくれる。これはクウェートもやったしサウジもやったし、湾岸の産油国で金持ちの連中はこうやって構えて、懐からこれを持って帰れと、貰った方は、ありがとうございますと帰るわけ。だから、あちらこちらで僕が留学した時、ジブーチーの、ジブーチーだったか、それから、エリテリア、それから、フィリピンの連中が行ってカダフィにゴマするわけ。皆、これを持って帰ったわけ。だから、それは一般論として、金持ちの湾岸の国はこれをやると、だから、カタールに限ったことではない。ただ、それがそのうちに今度は国家として、いわゆる国際戦略上にそれをやるようになるのだけれど、誰がそれをやれと言ったの?それをはっきり言わないよ」
反町キャスター
「なるほど」
佐々木氏
「要するに、お前、出してやれよと言ったヤツがいたわけで」
反町キャスター
「最初にね?」
佐々木氏
「最初に。それでサウジとか、カタールが出したのだけれど、サウジは、いや、俺、1100億ドル買うからさと言ったら、では、お前の分、黙っていてやる…」
反町キャスター
「板橋さん、このトランプ発言、どう見ていますか?」
板橋氏
「正しいことを言っているのではないですかね…」
反町キャスター
「それじゃ終わっていないでしょう、話が…」
板橋氏
「だって、歴史的にテロ組織に資金を提供していたということはたぶん正しい…」
反町キャスター
「ただ、トランプ大統領…、はい、どうぞ」
板橋氏
「カタールだけではないということですよね」
反町キャスター
「トランプ大統領がこれだけ中東に対するアメリカの覇権というのか、存在感を、オバマ大統領の時に減ったのをとり返そうとしているのならば、この言い分で中東の、アラブの国々の気持ちを引き寄せることができるのか?この言葉に立脚した中東政策で、あそこの地域におけるアメリカのプレゼンス、戻るような形になると思います?」
板橋氏
「でも、本当にアメリカのプレゼンスをもう1回、中東でとり返そうとしているのですかね」
反町キャスター
「なるほど」
佐々木氏
「これでカタールを相当、締め上げる。そうすると、それを見ている湾岸の国は皆ビビりますよ、やべーぞ。だから、言ってみれば、人身御供ですよ。運が悪ければ、国がなくなる。運が良ければ、首の皮1枚でつながる。そういう、僕は危険な状態だと思います」
反町キャスター
「カタールが?」
佐々木氏
「カタール」
板橋氏
「アメリカも現在、産油国、石油輸出国になっているんですよね。ロシアも石油輸出国ですよね。今度、イランも石油輸出、始めましたよね」
反町キャスター
「そうか、なるほどね」
板橋氏
「サウジの損益分岐点というのが50ドルだって言われているんですよね」
反町キャスター
「現在はるかに割っているではないですか?」
板橋氏
「なぜサウジが50ドルかと言うとサウジ国民の多くが依存しているわけではないですか。他の国はちゃんと別に仕事をしているので。だから、サウジの損益分岐点は高いですよね。要は、原油価格が下がっては困る国がたくさんありますね」
反町キャスター
「なるほどね。黒井さん、このトランプ発言、アメリカの中東政策との関連とかをどう…」
黒井氏
「トランプさんに関しては、おそらくこの間、訪問した時に、武器をたくさん買ってもらって上機嫌になって、今度の新しいグループ、サウジの中のグループから、こういう話を聞いて、そうだ、そうだと、それだけですね。今日、国務省は別個にコメントを出して、どうもカタールがテロ支援しているというのと、イランの仲というのは根拠がないのではないかということで、そういった根拠を出せというようなことを今度はサウジ側に言ったわけですね。どういうふうにしたらいいのか、要望リストみたいなものを出せというような声明を出して。国務省は非常に大人の対応をしているので、トランプさんもおそらく、これから側近から軌道修正を迫られ、彼が飲むかどうかは彼の性格次第だからわからないですけれども、よく物事を知らないで言ってしまったことに対して、あとから周りがなんとか軌道修正すると、いつものパターンに入っているのかなと思うんですね。ただ、歴史的なテロ資金の話で言うと、ただ、サウジが言っているのは、この話ではなく、どちらかと言うと、カタールの金持ちがテロ組織に誘拐されたら、バカみたいなお金を払ったから、けしからんみたいなことを言っているんです。ですから、どちらかと言うと、あまり本気ではないような気がします、この話に関しては」

佐々木良昭 21世紀研究所アナリストの提言 『イスラム教徒にスマイルを』
佐々木氏
「ヨーロッパで、イスラム教徒のテロが頻発しているということは、要するに、差別ですよ。生活苦もあるけれども、差別が、怨嗟の表情で見るわけです。だから、我々は少なくとも我々に被害を与えない人に対しては微笑みかけ、困っていることはサポートしてあげるという姿勢が必要だと思います。それができるのは、世界の中の先進国では、日本人だけだと思います」

板橋功 公共政策調査会研究センター長の提言 『日本はテロのターゲット 東京2020に向けてテロ対策をしっかりと』
板橋氏
「日本は既にテロのターゲットであると。東京2020に向けてテロ対策をしっかりとやらないといけないということですね。ISは、日本をターゲットだと名指しした声明をインターネット上で流しています。これから日本はオリンピックを控えて、ドンドン世界におけるプレゼンスが上がっていきます。現在、世界中の人達は、世界のアスリートは、東京を目指すと言っているわけですね。これからドンドン莫大な広報予算をかけて、日本、東京をPRすることになるわけです。そうすると、プレゼンスがドンドン上昇していくわけになります、いきます。すなわちテロのターゲットと言っていて、プレゼンスが上昇しているということは2020年までテロの脅威がドンドン上がり続けるということだと思います。それに対してしっかり対策をとるということが重要です」

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎の提言 『"テロ"と"ヘイト"を許さぬこと』
黒井氏
「常識ですけれど、テロとヘイトを許さぬことですね。テロは犯罪なので、テロリストは孤立化する。テロリストにも言い分があるみたいな話っていうのは背景としては理解が必要ですけれども、テロは犯罪なので必ず摘発、潰さなければいけないと。と同時に、ヘイトも犯罪であるという認識を持って、イスラム教徒に対しての、そういった差別的なことというのも絶対に許さないと。この両立をすることが1番重要かなと思うんですね」