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2017年6月19日(月)
『ポピュリズム』の波 日本の政治が向かう先

ゲスト

田﨑史郎
時事通信社 特別解説委員(冒頭)
竹中治堅
政策研究大学院大学教授
渡邊啓貴
東京外国語大学大学院教授
松原隆一郎
東京大学大学院総合文化研究科教授

安倍首相『国会閉幕』会見 残された課題&今後の展望
秋元キャスター
「フランスで下院の総選挙が行われ、EU(欧州連合)推進派のマクロン大統領率いる新党・共和国前進が577議席のうち308議席と、単独で過半数を超える躍進を見せました。この結果がヨーロッパをはじめ世界の政治情勢にどのような影響を与えるのか。移民・難民に対する排外的な風潮など混迷する国際政治と民意の関係を、多角的に検証していきます。日本の政治の今後も展望していきたいと思うのですが、その前に反町さん…」
反町キャスター
「はい、内政です。国会の閉幕を受けて先ほど午後6時から安倍総理が記者会見を行いました。加計学園、その前に、森友もありました。森友問題、加計学園の問題、いろいろ国会が荒れる中、テロ等準備法案に関しては、最終的には中間報告という、奇策という声が多かったです、その手段を使っての、成立という形に持っていきました。そうした状況の中での世論調査、この週末、各社いろいろ出ましたけれども、フジテレビの世論調査によるとマイナス8.5ポイント。大きく凹んだ世論調査の結果が諸々出てくる中での今日の記者会見。どのような説明をしたのか、どのような今後の方針を出したのか、今後の政治の方向性どのように示してくれたのかを検証します」
秋元キャスター
「会見の中で安倍総理はこのようなことを話しました。国会では建設的な議論にならず、印象操作に対する私の答えなどから時間を浪費したと。森友学園の件は会計検査院が検査に着手した。加計学園の件は調査をめぐり二転三転し、国民の不信を招いた、率直にお詫びしたい。特区の規制改革は行政をゆがめるのではなく、ゆがんだ行政をただすことが目的である。国会閉幕後も何かあれば丁寧に説明していく。こういった内容だったのですが、田﨑さん、安倍総理の会見どう見ていますか?」
田﨑氏
「森友学園の問題で森友学園があれほど大きな問題になってしまったのは、安倍総理が取引や認可の問題で、私や、私の妻が絡んでいたら政治家を辞める、総理大臣を辞めるだけではなくて政治家を辞めると、あれですよ。ああいう強い口調で抑えてしまうと、それを、自分で非常にまずかったと思っている、その反省ですよね。文科省の問題では、二転三転したというのは、要するに、再調査に取りかかるのが遅かったということですよ、その部分。だから、その部分ではしっかり詫びていらっしゃるのですけれども、一方で、規制改革をどうしても進めるのだと、その中で民進党が制度停止法案を出していることをちょっとなじっているということですね」
反町キャスター
「いかがですか?竹中さん、どう感じましたか?」
竹中教授
「加計学園に関しては政府が全部と言うか、全部とは言わないですけれども、相当の部分、政府の初動がまずかったので、ここまで時間を費やすことになってしまったんですね。そこは印象操作のような議論ではなく、初動を誤ったと率直にお認めになったらいいのではないかなと思いますね。政治資本をこれだけ費やすのだったら…」
反町キャスター
「政治資本、はい」
竹中教授
「他のことにいくらでも、使う政策があるのに、本当にもったいなかったなと。あの文書の内容自体は、私はそれほど、要は話を聞いた官僚の人がそういう印象を持ったというだけの話で、実際に首相がそういう指示を下したかどうかという証拠にはならないわけですよね。ですから、最初からそういう文書あるかもしれないけれども、内容自体は、解釈はいくらでもあるから、私としてはそういう指示はくだしてないと、ただ、規制改革はしっかりやってくださいぐらいのことは、言ったかもしれないぐらいに抑えておけば、そんなに問題にならなかったかもしれないのに。最初から文書の全否定とか、あと怪文書とかいう、要らぬ発言があって、ちょっと雑でしたよね。なので、他に使うべき政策対象としては受動喫煙の問題とか、いくらでも、あと民泊の規制緩和をもうちょっとしてもいいと思いますし、Uberの規制緩和とか、あるわけです。そういうことはまったく議論せずに、これだけドリルとか言われても、首相、Uberも是非よろしくお願いしますと言いたいですね。現在、先進国の人でUber使えないの日本ぐらいではないですか?」
反町キャスター
「田﨑さん、この指摘はいかがですか?」
田﨑氏
「その通りですけれども、これは与党だけ、あるいは安倍総理だけが悪いのではなくて、一方、追及する側の野党の側にも一定の責任はあると思うんです。責任の大きさで言えば、政権側は7割、野党が3割ぐらいだと思うのですけれども、もうちょっと両方が話し合って進めるということをしないと。と言うか、野党の方はテロ準備罪法案を廃案にするのだって、それ1点張りで張っていくわけですね、そうすると軸には成り立たないですよ、これは」

支持率低下に説明責任は…
秋元キャスター
「週末に行ったFNNの世論調査、見てみますと内閣支持率47.6%、8.5ポイントダウンとなりました。これまで最も支持率が下がったのは、安保関連法が衆議院を通過した直後であります2015年7月で支持が39.3%、不支持が52.6%、この時だったわけですけども。田﨑さん、この安倍政権の危機感をどう見ていますか?」
田﨑氏
「僕は危機感を持っていると思います。と言うのは、下がり幅としては安保法案の時よりも多少小さいですね。特定秘密保護法案の時ぐらいですよ。でも、特定秘密保護法案の時も、安保法案の時も、2、3か月後には回復したんです。ただ、今回の世論調査を詳しく分析しますと、これは社によって違うのですが、総理を信頼できないという設問を設けているところがあるんですよ、信頼できないという。そこが今年の初め時点に比べて倍になってるんですよ。20%台だったのが48%になっているんです、ある社の調査では。そうすると、総理に対する信頼が揺らいでいる可能性があるんです。それが一時的なものなのか、もっと根深いものなのか、もうちょっと調査を重ねていく以外にないですけれど。一方、設問で、支持する理由の中で前の内閣よりいいからという設問も設けているところがあるんですよ。そこは40%台の後半、これはずっと変わらないですよ」
反町キャスター
「それ、民主党政権のことですか?」
田﨑氏
「そう。民主党政権よりマシだからというので、下げ止まっているのですけれど、総理に対する信頼が揺らいでいるのかどうかというのはもうちょっと様子を見なければいけませんし、それは政権側も注意深く対処している。だから、反省を口にしたんですよ」
反町キャスター
「なるほど。田﨑さん、各社の世論調査、一応、ウチのだけではなくて、いろいろ並べてみるとだいたいの今回のデータ、今週、揃った内閣支持率ですけれども、どこもドンドン落ちていますよね。読売に至っては12ポイントも下がっている。この2桁台連発の支持率の低下、これはかなりのショックをもって…、それでもまだ40%台ある、これまでの内閣に比べれば高い方ですよね。高いとは言え10ポイント下がった。どちらを見ていけばいいのですか?」
田﨑氏
「これは、強気か弱気かというところもあって、強気な人は、いや、10ポイントぐらい下がっても、まだ支持の方が高いところもほとんどだしと言うのだけれど。先ほど申し上げたように総理に対する信頼がこの低下の引き金になっている可能性があるんですね。そこを重視する方も、総理の周辺の方でもいらっしゃるわけですよ。だから、そこは注意深く見ていた方がいいと思いますよ」
反町キャスター
「竹中さん、いかがですか?内閣支持率とか、物差しとして研究上で使ったりするのですか?あまり気にしないものですか?」
竹中教授
「いや、私どもは特に…、現在の政治を分析する時は内閣支持率を見ますよね。
反町キャスター
「見ますか?」
竹中教授
「はい」
反町キャスター
「これはでも、たとえば、8とか、12とか大きくドン、ドンと下がっていて、不支持がまた同じように2桁台に近くドンと上がっているというこの状況というのは、かなり政権は危機的状況にあるという評価になるのですか?」
竹中教授
「いや、でも、まだ40%ありますからね。これが30前半まで下がってくるとかなりマズいのですけれど、40%は、おっしゃったように歴代の内閣の中でまだ高いので、まだリカバリーは可能だと思いますけれども、そこで重要なのはどういう政策を出してくるかという話に戻ってくると思います」

『EU分裂危機』は回避? 仏マクロン新党躍進の背景
秋元キャスター
「ここからはヨーロッパの政治情勢、いわゆるポピュリズムの風潮など、政治と民意のあり方について考えていきます。昨日行われました、フランスの下院選挙の結果から見ていきたいと思うんですが、まず先月、大統領に就任したマクロン氏が率いる新党・共和国前進が308議席と、単独で過半数を超えました。選挙前の与党、社会党は255議席を減らし、最大野党の共和党も86議席の減少。マクロン氏と大統領選を争ったルペン氏が率いる極右政党・国民戦線は6議席の増加となりました。まずは渡邊さん、11日に行われました1回目の投票から、このマクロン新党の優勢というのは伝えられていましたが、決選投票でここまで差がついたということ、これをどのように受け止められていますか?」
渡邊氏
「フランスの大統領選挙は、大統領の選挙と国会議員選挙とほぼ同じ時期にあるんですね。だから、大統領選挙で人気のある、その支持率がそのまんま国会議員に活きるという形になります。だから、5月の大統領選挙で60%以上の票を獲って大統領になったわけですから、それがそのまま活きているというのが単純な見方です。」
反町キャスター
「マクロンブームっていうのは、これは大統領選挙で60%獲って、今回の獲得議席数を見てもこういう状況で、これはもうフランス全土を覆いつくした大ブーム、いまだに健在なりと、こういう見方でよろしいのですか?」
渡邊教授
「その点は言えると思います。ただ、注目していただきたいのは棄権率が大変高いということですね。大統領選挙でも大変高くて、今回の総選挙…」
反町キャスター
「43%…」
渡邊教授
「そうですね。総選挙で棄権率が57%ですかね。これを単純に計算しますと、その中で3割となると十数パーセントです。もっと言えば10人に1人ぐらいしかマクロン氏を支持しなかったという言い方も別にできる、別な言い方をすれば。これは1つ、数字のマジックですけどもね。どういうことかと言いますと、要するに、既成の政党に対して投票に行きたくない、既成政党の、2大政党の対立関係の中で右にいったり、左にいったりしている政治にもう飽きちゃった、もう解決がないではないか、それで棄権した人の多くが投票してもあまり変わらないというようなアンケート調査も出ています。そういう意味では、マクロン氏は、奇しくも中道派と言っていますけれども、この30年近く、右に揺れ、左に揺れ、ご案内のように、ミッテランの社会党の時、国有化したりとか、民営化したりとか、そういう流れの中で真ん中というところにとりあえず落ち着いたのではないかなというのが、私は30年以上、大統領選挙とか、主な選挙を現場で見ていますけれど、そんな感じがちょっとしましたね」
反町キャスター
「これは、ただ、新党ブームが日本にもあるのですが、あったのですが、だいたい問題になるのは党首のイメージで人は集まるのだけれども、蓋を開けて、当選、選挙が終わって見てみたら政治素人の皆さんがたくさんいて、何かの学校みたいになって大変だなと、こういう話があったりもするのですが。マクロン新党、プロフェッショナルな政治家はたくさんいるのですか?」
渡邊教授
「これは現在の段階ですけれども、よくつくられていると思います。インターネットや何かで候補者を集めるとか、そういうのは日本でもそういう傾向に次第になっていくと思いますし、なっていると思いますけれども、個人が政治に参加をする、政党とか、グループで参加をするという形ではなくて、従来の政党の形で政治に参加するというものとはちょっと変化してきているように思います。そうした中でマクロンさんの場合には、実は若い人がたくさん支持したり、それから、女性も半数ぐらい候補者に立っていたりと、非常に新しいところはあるのですけれども。それから、母体はオランドさんを中心とする社会党の保守派の人が中心ですね」
反町キャスター
「ヘッ?では、オランドさんは反党行為を働いたのですか?」
渡邊教授
「たとえば、この社会党の議席、これだけ減っていますよね」
反町キャスター
「255減ですよね。その立役者がオランドさんなのですか?」
渡邊教授
「オランド派ですね。オランドさんというのは、社会党の保守派の中道寄りの政策を持っている人です。だから、255、29に減りましたけども、この多くの部分が中道派の方にいったと考えることもできます」
反町キャスター
「これは、要するに、マクロンさんは新人を発掘したのではなく、社会党の現職の国会議員や前議員とか立候補予定者を、いわばヘッドハンティングして…」
渡邊教授
「そこは、もう1つのポイントになると思います。社会党の中道派、中道寄りの保守、オランド政権のそういう支持者の人達が支持していったのですけども、実は選挙制度の問題があって、今回の選挙から兼任制というのがなくなったんですよね。フランスの代議士というのは、国会議員というのは多くは地元の市長になったり、州議会の議長になったりしているんですよ。だから、ダブって持っているわけです、兼職、これをダメにしたんですよ。そのために200人ぐらいの人が引退したんです、だから…」
反町キャスター
「どちらをやるの、皆さんは?」
渡邊教授
「地方。577のうち200人近くの人が、地方の自分のポストをとったのです。と言うことは…」
反町キャスター
「地方自治体の首長の方が国会議員より楽しい?楽しいと言ってはアレだけれど…」
渡邊教授
「勝てるかどうかとか」
反町キャスター
「ああ、そういう意味ですか」
渡邊教授
「そういうこともありますからね。政治の流れ、ありますから。そういう中で、そういう意味では、入れ替えが起こったんです。世代交代と言っていいかもしれない」
反町キャスター
「ああ、なるほど」
渡邊教授
「マクロンさんというのはそういう新しい流れを受けながらやっているのですが、同時にこの人を早い時期から支えたのが、社会党の閣僚経験のあるような重鎮が支えているんです、何人かが」
反町キャスター
「それは反党行為ではないのですか?」
渡邊教授
「反党行為ですが…」
反町キャスター
「社会党にしてみたら、255も議席が減って、その連中が自分のところのベテラン議員がマクロンさんの…。マクロンさんは別に勝ったあと、社会党と連立政権を組むわけでもないでしょう?」
渡邊教授
「オランドさんは大変人気がなかったでしょう。オランド社会党は10%を切る支持率の大統領だったわけ、昨年12月にもう1回再選したいから立候補したいと言うけど、誰も支持しない。これに尽きますから、離れたんですよ。次に誰を求めるかという話ですよね。自分が立つ可能性もそれぞれあったと思いますけれども。そうした中で、その当時、人気投票で、人気支持率で、世論調査でいけば4位ぐらいにつけたのがマクロンさんですよ。大統領になるというのは昨年12月とか、今年の1月、2月の段階では考えられない。ところが、そこに保守党のフィヨンという人が保守本命だったのですけれども、この人が例の架空雇用事件という、家族の…、滑っちゃったんですね。そうしたところで、バッと上がってきた」
反町キャスター
「そうすると、マクロン新党は社会党の看板の掛け替えだという批判にはなっていないのですか?」
渡邊教授
「それはフィヨンという保守派の候補が盛んに言っていました」
反町キャスター
「ですよね。それは実態においてはいかがですか?どう見ていますか?」
渡邊教授
「政策を見ていると似ていると思います、酷似しています。そういう意味では、フランス国民はそれをわかっているのだけれども、考えによってはオランドさんの掲げた政策、必ずしも彼がうまく自分でできたわけではないから、もう1度、その政策に賭けてみようかなということだと思います。ただ、政策論争は今回、非常に低調でした」
反町キャスター
「そうすると、どちらかと言うと、フランス国民が大統領選挙でも国会議員選挙でも、選んだのは、要するに既存か既存でないか、新しいか古いか、それだけ?言っては悪いけれども、そういう感じですか?」
渡邊教授
「ええ、それを支えている人達も見えたから、ベテラン議員とか。何とかなるのではないか。ただ、不安を持っている人も大変多いと思います。それが棄権率の高さと、先ほど言いました、数字のマジックですけれども、実際にはそんなに議席ほど投票率は、あ、支持者の率は高くなかったということにはなります」
反町キャスター
「そうすると、マクロンさんにしても、選挙戦を戦う上で、オランド隠しと言うか、僕の後ろには社会党の保守派がくっついているのだよということ言ったら今度、票が減るではないですか?」
渡邊教授
「オランドさんは表面に出ませんでした」
反町キャスター
「ああ、なるほど」
渡邊教授
「マクロンさんだけではなく、他の人も皆、オランドさんの支持を得るということがマイナスなると踏んでいたから、オランドさん、結構、外遊をしていました、当時。最後の卒業旅行みたいな…」
反町キャスター
「それは結果的に今回この新しい政権において、オランドさんが何らかの影響力を残す、ないしはポストに入るとか…」
渡邊教授
「それはないと思いますね。もう大統領をした人ですから。ただ、ある程度の、これからはわかりませんけれども、これは私の取材と印象からですけれども、影響力は持っていたのではないかと思いますね」
反町キャスター
「なるほど。松村さん、フランス大統領選挙は現在、国政選挙のことをずっと聞いてきたのですが、どう感じますか?」
松原教授
「EUというのがこのあとどうなるのかと。今日、ポピュリズムの話が全体に出てくるという話ですけれども、アメリカでは、製造業があまりにも輸入が多いということでまいってしまっていると、それが大きな問題になったわけですよね、実際、製造業はほとんどお金を稼げていないわけですけれども。と考えると、EU圏の中で1人勝ち状態、貿易について、であるのはドイツで、それに対して相当、経常収支、赤字になっているのが、製造業は皆それ気にするわけなので、それがフランスとか、イタリアなわけですね。ですから、今後はEU、お金でいくとユーロですが、これを担っていくというのはどうしても真ん中に入っているのがフランスなので、フランスの動向がどうなるのかとすごく気になるわけです。そういった時にここで踏みとどまったというのはかなり大きいのかなと私は思いました。ここでちょっと渡邊先生にお伺いしたいと思うのですが、ドイツはユーロという通貨に替わった途端に、それまで貿易収支がだいたいトントンだったのが、一気に黒字になって、ずっと1人勝ちみたいな状態なわけです、製造業は皆、喜んでいる。それに対してフランスはどちらかと言うと赤字にずっと転じてきているということなのですが、この件とか、あとテロも、移民政策かどうかはわかりませんが、移民に絡めて起きていると。こういうことに耐えてでも、自分達が支えるのだという気持ちが強くフランス国民は持っていると、それがこれで表明されたと考えてよろしいのですかね?」
渡邊教授
「私もそう思いますね。まずポピュリズムとか、分裂の動きを止める、これはタイミングもあったと思うんですね。ブレクジットから暫く落ち着いて、それから、オランダの選挙もありましたし、フランス国民としては是か非か出しやすいところだったと思いますね。そういう意味では、EU統合に対してマルを出したということがあると思います。ただ、おっしゃるように、フランスがそれによってどのくらい得をするのかどうかという話でありますけれども、そこの面についてはフランスの得と、それからEU全体で問題を解消していこう。私は、欧州統合というのは、たとえば、銀行が傾きますと倒産しかかると皆で一緒になりますよね、そのように合従連衡、合従、合弁会社、企業が合同するように、国境を越えたリストラクチャ、国境を越えた再編だと思うんです、国同士の。それをフランスは強く感じていると思います。そういう意味からしますと、こういったEU統合について積極的に引っ張ることがフランスの国益になり、それが合わせてヨーロッパ全体の得にもなる。特にフランスは南側の、たとえば、ギリシャとか、スペインとかそういう、マインド的には明日どうにかなるさみたいな…、それに比べてドイツというのは真面目で我々からは理解しやすいのですけれど、そういう両方をフランス人は持っているものですから、おっしゃるように間に入ってという意識はマクロンさんも持っていると思いますね」
反町キャスター
「竹中さん、いかがですか?今回の国会議員選挙、どう感じますか?」
竹中教授
「今の解説で、兼職が認められなかったから、だから、国会議員を辞めたというので、ちょっと腑に落ちたのですが。既成政党への不信感というのは強いのかなと受け止めましたね。ただ、イギリスとアメリカとは…、フランスは安定しているなというか、それはもうピケティさんの受け売りなのですけれども、結局、格差が1番、1980年以降、広がったのが、アングロサクソンのアメリカとイギリスで、そこまでフランスとか、日本は広がっていないですよね、だから、マクロ的には、そういうようなのがこの安定に反映されているのかなと。あと社会保障制度も渡邊先生を前にして言うのもなんですが、フランスの方がはるかに充実しているので、セーフティネットも充実しているので、あとEU統合は国是と言うか、多くの国民は私達がEUを盛り立ててきたと思っている国民が多いので、ルペンさんみたいな主張は、そうウケないのではないかなと思っていたのですが、そういうことが反映されていると」
反町キャスター
「そこまではっきり言ってしまっていいのですか?ルペンさんの大統領選挙時の強熱ぶり、すごい盛り上がりを見ていると、フランスの中でも先ほどまさに松原さんが言われたように、損得で、これは損だから止めようぜという意見が強いのかなと思っていたのですけれども、そうでもないのですか?」
渡邊教授
「ルペンさんは最後に投票率、支持率を下げるんですね。最後、決戦投票に残った2人のあのディベートに象徴的だったのですけれども、この人達は政策がないのだ、かなり象徴的な感情的な政党なのだなということを現したんですね。マクロンさんもそれほど新規の政策を言ったわけでもないのですけれど、常識論的な範囲だったのですけれど、こちらだなというので、ガクッと逆に減らしたんです。だから、そういう意味で、ルペンさんには政権は任せたくない、ただし、フランス人というのは自由をとても愛しますので、一歩間違えればグチャグチャになるのではないかというところも含んで行動します。ある意味で、政治はゲームですから、右にいったり、左にいったりしながらダメだったら反省して右にいけ、左にいけ、そういう自由がありますので。そういうところが1つあって、ある意味で、外から見ていると不安定に見えますけれども、最後のところはしっかりしていたということではないかと思います」

政治と民意のあるべき姿は?
反町キャスター
「小池知事の発言、マクロンさんに関して。議会で政策をスピーディーに進めるため改革の仲間が半数を超えるよう目指しているマクロン大統領に共感を覚える、ここはいいです。インターネットを通じて募集し、応募してきた2万人の中から候補者を選んで577の選挙区にポンポン置いていく…政党政治と大きく変わった流れができている、この後半の部分ですけれども、地方組織はないのですか、フランスの政党で?日本はすぐ自民党を思い浮かべちゃうので…」
渡邊教授
「ありますよ」
反町キャスター
「県連があって、そこで候補者を決めるのに公募をやって面接をやってとか、そういうのではなく、ネットで?」
渡邊教授
「だから、マクロンの場合は新党を立ち上げたのが1年足らずですから、そういう組織というものを、いわゆる今回の国会議員選挙のようにそれぞれの地盤でというのは、そういうものはあまりないですね。むしろそれを否定していた。そういう意味で、ポスト政党と言いますか、新しいタイプの政党。これまでのように農村的な価値観とか、起業家のマインドとか、そういうことで、あるいはイデオロギーで、できている政党が全ての政策を牛耳って、まとめて出していくという政党のあり方ではなく、むしろ自分の関心とか、自分の利害関心の中で、政党を支持していく」
反町キャスター
「インターネットを使ったリクルートの話で言うと、インターネットによる組織論というのは、たとえば、党本部があって、地方組織があって、さらに総支部があって、党員がみたいな、こういう組織ではなくて、非常にフラットな、IT(情報技術)企業とはそんな感じではないですか?社員がビャーッとたくさんいて、トップが1人いて、それを全部、ITで、インターネットでつながっていて、指示がビョーッと広がる代わりに、個別のそれぞれからの意見も本人に上がる、みたいなね。こんなフラットな…」
渡邊教授
「本当、おっしゃる通りですね」
反町キャスター
「これまで日本にないですよ、そういう政党は」
渡邊教授
「個人でいろいろアクセスしますから、私も無料会員になっている者ですから」
反町キャスター
「えっ?マクロン党の?」
渡邊教授
「マクロン党の、それから、ルペンさんの方も、無料会員になっていますから。きますよ、投票に動員しましょうとか、カンパくださいとか。個人で参加して、政治参加の意識を持てるなんて、素晴らしいことですよね。地方のボスに従って、自分がその下の一員として参加しているのではなくて、直接、マクロンさんと、実際は別でしょうけれど、マクロンさんと交流している。これは新しいと言いますか、素晴らしいことですね。その代わり、そういう自由の代償として、おっしゃるように、安定がどのくらい担保されるかという問題は出てきますよね。そこは、私ども日本人は安定の方をまずとっちゃう。彼らは、政治というのはある種の冒険だと考えているのではないでしょうかね」
反町キャスター
「フランス人は?」
渡邊教授
「うん。もっと言えば、冒険しても、国有化しても、民有化しても国が倒れるわけではないという、逆に言えば、根っこのところでしっかりとした部分を皆、確信していると言うこともできるかもしれません」
反町キャスター
「それはフランスというのは非常にエリート層がはっきりしていて…」
渡邊教授
「おっしゃる通り…」
反町キャスター
「政治大学院、エコールですよね、そこを出た人達の中で民主も、保守も、社会も、共和党もいて、それがいろいろ立場は違うけれども、その中におけるリボルビングをやっているだけという、これは当たっているのですか?」
渡邊教授
「当たっていると思います」
反町キャスター
「そうすると、今回の政権交代を僕らが横から見ていて…、政権交代と言っても、実はフランスの支配制度や政治システムは変わらない?」
渡邊教授
「はい、ただ、今回、ルペンさんが出て、メランションという極左の、左側の、未だに100年前の国際金融資本と労働者の闘いだと言って、インターナショナルを唄っているような政党が、20%ぐらい、大統領選挙の1回目は支持を得ましたでしょう。そこに、エリートと、まさにおっしゃったエコールを出た人達と、それから、一般庶民との闘いがあるんですよね。これはすごく意義のあることだと思います。わかっているから長いものに巻かれろでいっていいのか、さりながら、自分達は抵抗するのだ、あるいは救いの政治に意識を強く持っているのだということを示した、これは大きな成果だったと思います。そのうえでマクロンさんですから皆、考えたうえでのマクロンさんということになると思います」

ポピュリズム政治の台頭とリスク
秋元キャスター
「いわゆるポピュリズム政治について考えていきたいと思います。このポピュリズムという言葉、あらためて辞書を引いてみますと、一般大衆の考え方・感情・要求を代弁しているという政治上の主張・運動、もう1つが労働者を基礎とする改良的な民族主義的政治運動ということですけれども」
竹中教授
「既成政党の不信というのは、たぶんこの3つ目の定義ぐらいで入れてもいいのではないかと思うんですよね。ですから、グローバリゼーションとか、あとは技術革新で取り残された人々にうまく既成政党が対応できていないので、それに対する不満、その不満を吸収しようとしてそういう人達に直接、訴えかける政治手法が広がっているという意味においては広がっているのではないですか」
反町キャスター
「それは、竹中さん、ポピュリズムというのは、たとえば、ヨーロッパの話で言うのだったら、反グローバリゼーションみたいな、ものがあるとすれば、それはそこから先の将来を見越したものか?現状に対する不満、皆さんお持ちですよね、さあ、その不満を私が共有しますよと…」
竹中教授
「そうそう」
反町キャスター
「そこで終わり?」
竹中教授
「そこで、だから、安易に、トランプさんみたいにNAFTA(北米自由貿易協定)がいけないと言う、現在の苦境は外国に要因があると言う、そういうポピュリズムの定義に排外主義は入らないと思うのですが、現在はそれと組み合わせる形で国民に直接訴えて…、だって、トランプさんだって共和党でも民主党でもないわけですよね、完全なアウトサイダーで、それで俺は違うのだと言ってきて。マクロンさん、今のお話を聞いて社会党の保守派の支持を受けていると言って、既成、もちろん、エスタブリッシュメントの方ではありますが、敢えて共和派でもなく、社会党でもない装いで出てきたというところに、そういう既成政党を否定して、他の人達はこれまで左も右もやってきたけれども、信用できませんよねと言って出てきているという」
反町キャスター
「そうするとあたかも既成政党のリクルート、内部選考のプロセスから漏れた人、ないしは内部選考に応募できない人、だって、トランプさんは内部選考からまたちょっとズレたようなところから入ってきた。そういう伝統的な内部におけるリクルートから外れちゃうような人達が既成政党を否定して、それを否定することによって、国民の不満、それはだって皆、不満ありますよ…」
竹中教授
「そう。皆、不満あります」
反町キャスター
「皆、不満あります。持っている不満を、あたかも既成政党はできない、俺ならできると…」
竹中教授
「そうそう」
反町キャスター
「これですか?」
竹中教授
「いや、既成政党から選考に落ちたというのは、トランプさんはそうなのかもしれないけれども。いや、既成政党の中にいた人でも、アウトサイダー的に、いや、俺はちょっと違うんだよと、それは小泉純一郎さんですよね。あと細川さんもそうですよね、田中派にいらした方ですが、俺は違うのだと、日本新党だよと。小泉さんの方は自民党をぶっ潰すと言って。だから、そういう既成政党のメインストリームではないよということをアピールする。だから、マクロンさんは体制派だけれども、いや、私、ちょっとお話をうかがっていた印象ですけれども、閣僚までやっているのに俺はちょっと違うよと言って出てくるというところでは、そういう既成政党に対する不信感、あと現状への不満を背景に出てくる政治手法を使っているなと思いますよね」
反町キャスター
「渡邊さん、いかがですか?その通りですか、マクロンさんの手法?」
渡邊教授
「普通フランスでポピュリズムって言うと、むしろルペンさんの方。マクロンさんも私個人的にはポピュリズムだと思いますけれども、ポピュリズムに対するイメージと言いますか、言葉を使う時にちょっと負のイメージがありまして。負のイメージというのは本人達にとっては権力に対する反発、だから、庶民の見方だとか、それがポピュリズムの淵源、語源だということともなるのですけれど。ただ、その時に現在のような時代、先ほど、フラットとおっしゃいましたけれども、直接、国民と政治家が交流する…」
反町キャスター
「交流しているかのような、ですよね?」
渡邊教授
「…かのような、そうです」
反町キャスター
「トランプさんのツイッターと同じ…」
渡邊教授
「そうそう」
竹中教授
「確かに」
渡邊教授
「だから、バーチャルな感じで出ているわけですね。このことがどういうことかと言いますと、そのことによって自分が民意を反映している、民主主義だ。ところが、よく言われますけれども、善いポピュリズムとか、悪いポピュリズムとか言いますよね。たとえば、民意を反映しているから善いのだ、でも、いき過ぎちゃうと今度、逆の効果が出てくる。ポピュリズムだ、ポピュリズムだ、自分達は正義の方だ、人民の方だ、正義の方だ。返す刀で自分達は正義の方で、自分達を痛めているのは移民だ、職を奪っていると、返す刀で逆の効果を生む、方向に向かうわけですよね。こういう、ある種フラフラしている、いったいあなたはどちらの立場ですか?それがこのポピュリズムの危険性かなと私は思います」
反町キャスター
「さまざまな政策における、ポピュリズムのリスク、デメリット、いろいろあると思うのですけれども、感じるのはどんなところですか?」
松原教授
「ポピュリズムという言葉とセットになって出てきた言葉で反知性主義というのがあるんです。私が感じるのは、グローバリズムはどこか知性的であって、これに対応するというのはアメリカの政治だけで言うと、民主党も共和党もかなり近くなっていますよね、政策が。あまりイデオロギーの差がなく、両方とも知的であればグローバリズムを認めなければいけないような。特に経済学者はほとんどが、それを容認せざるを得ないという感じだったと思うのですけれど。でも、アメリカにおそらく住んでいれば、たとえば、名前を挙げていいか、グーグルという会社が本当にちゃんとアメリカで税金を納めているか。多国籍企業の多くがアイルランドで税金を納めていたり、別のところで非税をやっていたり、タックスヘイブンにいっちゃったり、かつ使っているのが移民の人達となれば、え?俺達はいったいアメリカで税金を納めて何だ?という気持ちはあるだろうし、しかも、これは単なる不満とは言えなくて、正当なところあると思うんです。こういうのをかなり奇妙、奇天烈な言葉でつかみあげてしまって。イギリスのブレグジットとはまたちょっと違うと思うのですが。そういうところと当たらずとも遠からずというので、何か不思議なことをやりながら出てきちゃったのがトランプさんという人だと思うんですね。これは、反知性主義と言うが本当にこれダメかと言ったら、そうも言えないと思うんですね」
反町キャスター
「うん?どういうことですか?」
松原教授
「本当に国というのが、企業なり、それぞれの個人に対して、本当に経済政策をちゃんと担わなくていいのか。税金を払った分だけは何かやってもらわなければ困るという国民の気持ちをかなり反映しているところがあって。世界政府に対してちゃんとそれを担うだけの税金をどこかに払っているというのでもない、そういう多国籍企業がたくさん出てくる現状をグローバリズムと言うのだとしたらですよ、それに対しての反対というのはもともとWTO(世界貿易機関)のいろいろな会議やる度にデモが起きたりしていたわけですから。こういうことから言っても若干、これについて立ち止まって自分達は単に知性的だとだけ言う大きな流れに対してクエスチョンマークをつけたという意味では、プラスの意味もあったのだと思うんですね」

日本の政党政治と民意集約
秋元キャスター
「ここから日本の政党政治が今後、どう変化していくのかを考えていきます。自民党をはじめ、日本の政党を支えてきたのは会社、業界、地域コミュニティなど、1人1人の有権者が所属する組織の多くは、それぞれ支持する政党があって、民意の多くを集約して伝えていくという流れがあったのですけれども。竹中さん、こういう構図というのは現在の日本でもまだ保たれていると見ていますか?」
竹中教授
「まだ保たれて、いや、これが崩れつつ、緩やかに崩れつつあると思いますが、まだ保たれてはいるのではないでしょうか。ただ、ここから取り除かれた、ここに入っていない人が増えていて、それは政治の現在のイデオロギー的成功に何らかの関係はあると思います」
反町キャスター
「イデオロギー的なのですか?」
竹中教授
「要は、右傾化したという、そういう。結局そういう説は一定の…」
反町キャスター
「組織化されていない人達が右傾化していくものですか?要するに、反グローバリズムとか、反移民というのと同じイメージでよろしいのですか?」
竹中教授
「結局どこかに皆さん、帰属意識を求めるので、そういう人達のかなりは国に帰属意識を求めるので、右に寄るのではないかということはあるのかなという気はします」
反町キャスター
「それは、健全か、不健全かという言い方も変ですけれど、それは社会的な状況とか、環境としてはどういう方向に向かっていると見たらいいのですか?組織化されたものがだんだん崩れていって、未組織の人達が集団で右傾化していくというのは、どういう世の中なのですか?」
竹中教授
「だから、そこの人達を包摂することはできてないから、包摂することが大事ですよね、セーフティネットを用意するとか。ただ、自民党は結構、インターネットを使って、そういうところの人達をうまくキャッチしているのではないかという考え方もあるんですよね」
反町キャスター
「松原さん、こういう組織感覚で見ると、政党をどう見ますか?」
松原教授
「自民党は結構いろいろ組織を組み替えたりして生き延びてきたと思うんですよ。現在おそらく1番うまくいっていないのは民進党ではないかという気がするのですけれど。蓮舫さんは、たとえば、反原発でいきたいわけですね、でも、連合を抱えているとかでなんとなくそれが言えなくなってしまったとか。本当は言いたいことがきっとあると思うのですけれども、全然、自分が言いたくないことばっかり言わされている感がきっと彼女、強いのではないでしょうかね。なので、どういう組織に支持されているのか、組み替えをうまくやらないと、かえってその組み替えに失敗することで政権がなくなってしまう、政策がなくなっちゃうという、そういう危険性があるのではないですか」
反町キャスター
「縛られている?」
松原教授
「ええ」
渡邊教授
「たとえば、反グローバリズムか、グローバリズムかというところから、いろいろな問題が派生してきますよね。個別の、とりあえず選挙区の問題とか、自分達の目先と言いますか、小期間、短期的な議論は、政策の議論はしますけれど、それが大きな世界的な流れの中でどこに依拠しているのかということが、我々はあまり関心がないものですから、あまり議論しないものですから、そうすると自分の立ち位置がわかりにくい。右か左かということも含めて…」
反町キャスター
「それは日本人の特有の状況なのですか?」
渡邊教授
「…の気がします」
反町キャスター
「それは根本的な憲法がどうだとか、安全保障をアメリカに頼っているからとか、こういう話になっていく話ですか?」
渡邊教授
「そういう意味で言えば、私はフランスをやっているものですから、ある意味、非常に理念的だと思いますけれども、あるいは悪く言えば空理空論みたいなところがあるのですけれど。でも、軸が右と左、上と下とはっきりして、極端な形はないわけですから、どこかで妥協しながらですけれども、どこで妥協をしながら現在の政策をやっているのか、立ち位置がどこにあるのかというのを、私達は非常に見えにくいですよね。そんな感じがします。従って、現実にあり得なくても、こういう理想というか、行き着くところがあるよね、このへんで3分止まりだよねというところが、とにかく現在うまくいっているから、ここからこういこうではないかと、うまくいかなくなったら、ちょっと変えようではないかと、こういうふうなことにいっているものですから。たとえば、民進党と自民党の話が出ていますけれども、世界的な軸の中で言うと、それぞれの政党がどういう勢力に入るのかというのが、これはヨーロッパの軸とか、アメリカの軸とか、違うとは思いますけれど、そのへんのカテゴリー、必ずしも米欧に習う必要もないのですが…」
反町キャスター
「そういう分け方でいくと、たとえば、自民党は政権与党のカテゴリーにちゃんと入るような、ヨーロッパで言えば、そういう存在のポジションなのですか?」
渡邊教授
「敢えて言えば、先ほどのフランスで言えば、フィヨンさんの共和党というか、伝統的な保守派に近いですよね。ただ、その保守派がワーッと膨らんでいるという状況というのはなかなか米欧では想像しにくいということがありますよね」
反町キャスター
「対立軸である、フランスで言えば、社会党なるものが、日本で言えば、民進党かどうかわからないですけれども、それがしっかりしているか、この違いがある?」
渡邊教授
「ええ。その政党がしっかりしていると同時に、政治家だけの問題ではないと思うんですよ。国民1人1人も含めて、私ども大学の人間、研究者も含めて、そういう軸をいかにつくっていくか、あるいは育てていくか、そういう発想がちょっと少ないのかなと思います。たとえば、マクロンさん、39歳ですから。誰がどう考えたって大統領というのは日本では考えにくいですよね。でも、それを皆で支えるのだという意欲が今回は勝った。そういうところが日本の政治にもう少しあると活性するかなと、私はヨーロッパを見ていると思います」

渡邊啓貴 東京外国語大学大学院教授の提言 『自由と説明責任』
渡邊教授
「私は、自由と説明責任という言葉を挙げてみました。インターネットを含め、かなり発言の自由が保障されてはいるのですけれど、一方で、その発言について説明責任が希薄に、逆にインターネットとか、フェイスブックになってきていると思います。そういった中で、両方をうまくミックスしてやるということが民主主義には必要だと、もっと必要だと感じています」

松原隆一郎 東京大学大学院総合文化研究科教授の提言 『印象操作政治をやめよう』
松原教授
「私は、安倍さんと同じような言葉ですけれども。たとえば、それこそ野党はずっと暴挙だっておっしゃるのだけれども、インターネットを見ていると、皆さん、結構、暴挙だっておっしゃっていて、ほとんど同じようなこと言っているわけです。でも、野党の支持率は上がらないという、これはいったいどういうことなのだろうと、安倍さんの側も結局はそんなことを言われてもしょうがないではないかということだけをおっしゃっていて、結局、なにも理解が深まった気がしない。渡邊さんがおっしゃった自由と説明責任というのは結局、印象操作の政治だけはやめましょうとことではないかなと私は思います」

竹中治堅 政策研究大学院大学教授の提言 『議会制民主主義』
竹中教授
「私は議会制民主主義。今日はポピュリズムの話だったので、ポピュリズムは、ともすれば直接、国民の判断を仰ぐのがいいのだということを強調する印象があるのですが、ある程度の妥協が必要だと思うんですよね、政治は異なる意見の間で、それを可能にしているのが議会制民主主義なので、ともすれば国民に直接判断を仰げばいいという風潮が強くなっていると思うのですけれども、議会制民主主義しかないのではないかと思っています」