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2017年6月15日(木)
『加計』再調査結果 ▽ 自衛隊『進化論』考察

ゲスト

丸山和也
自由民主党参議院議員 弁護士(前半)
小川敏夫
民進党参議院議員 元法務大臣(前半)
山田惠資
時事通信解説委員長(前半)
森本敏
元防衛大臣 拓殖大学総長(後半)
岩﨑茂
前統合幕僚長(後半)
手嶋龍一
外交ジャーナリスト(後半)


前編

緊急検証『加計』再調査 『文書の存在』で新事実は
秋元キャスター
「今日午後、文部科学省が、加計学園問題の再調査結果を発表しました。いったんは存在しないとされた『総理のご意向』『官邸の最高レベルが言っている』などと記載された文書が発見されたことはどのような意味を持つのか、今度の展開はどうなっていくのか、緊急検証します。番組後半は我が国周辺の軍事的脅威に対応する自衛隊のあるべき姿について議論します。文部科学大臣が加計学園問題の再調査結果を発表しました。こちらがその概要ですけれども。民進党などから提示された19の文書のうち、まず存在が確認できたものが11、同じ趣旨の記述の文書が確認できたものが3ということで、確認ができたものは合わせて14ということになります。存在が確認できなかったのが2、法人の利益に関わるため文書の存否も含めて明らかにできないというものが3ということでした。こういった結果になったのですが。まずは小川さんに聞きたいのですけれども、当初存在しないとされていた文書がこうしてある程度、発見されたということについてどう受け止められますか?」
小川議員
「官房長官は行政の総元締めですから外にあるところの文書がわからないから怪文書ぐらいならまだそれでも不適切だけれども、自分の手掌内の文科省の中にある文書についてろくろく調査もしないで怪文書と言っていた。しかし、あったということは、菅さん、責任問題になると思いますが」
秋元キャスター
「丸山さん、小川さんの指摘いかがですか?」
丸山議員
「善意に解釈すれば大したことはないと、そんな法を曲げたような違法なことは何もないのだからね、そんな文書なんて大した意味がないのだからということで、そういうこともあって。そんなことを大袈裟に言うのは意図があってやっているのだ、怪文書だとか、出さなくていいと言ったのだと思いますけれど、危機管理の手法として、あまり良くないと思うんですね。むしろ積極的に出した方が疑惑も晴れるし。実際、今日、文書を見て、こう言っちゃあれですけれど『総理のご意向』とか、『官邸の最高レベルが言っている』という、文書の形式とか、これは第3者というのか、別の人が書いているわけですから中身としては大したことない文書だと。こんなものだったらさっさと出せば良かったのではないかというのが、私の正直な感想ですね」
秋元キャスター
「山田さん、このタイミングでの発表、どう見ていますか?」
山田氏
「国会を閉じられるということがだいたいメドがついたので。このタイミングで出しても野党の追及はかわせるということがまず今日のタイミングかと思うのですけれど。その怪文書については確かに怪文書という言葉は使っていませんけれど、今日の官房長官の記者会見で『出所・入手経路が不明瞭なものである』とか、『信憑性がよくわからない』とか、あるいは大臣・副大臣・政務官も見たことがない文書と言っていて、怪文書という言葉は使いませんでしたけれども、相変わらず怪文書に近いものであるということを官房長官がおっしゃっているということです。ちょっと皮肉な言い方をすると、怪文書という言葉を使ってくださったお陰で話がここまできたという面もあるので。ある意味で、もしもうちょっとうまく穏便な形で会見が終わっていれば、ここまでこなかったという面も感じないではないです」
反町キャスター
「存在が確認された文書の中で、いくつかポイントになりそうな部分を抜粋しました。キーワードがそれぞれ入っていて『総理のご意向』『官邸の最高レベルが言っていること』、これらの2つの文書は、まず『設置の時期については今治市の区域指定時より最短距離で規制改革を前提としてプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている』との内閣府の回答がありましたというこの紙、存在が確認されたと。もう1つは、藤原内閣府審議官との打ち合わせ報告文書で『平成30年4月開学を大前提に逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど…これは医学部の方、医学に関する規制緩和が行われたところですけど…、成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと激しいことを言っている)山本大臣もきちんとやりたいと言っている』と。この文書をつくった担当課長補佐は、自分がつくった個人メモだろうと認めたうえで、この人はメモをつくる担当の人であるがゆえの発言かもしれませんが、趣旨の発言があったのだと思うのですけれど、真意はわからないという話になっています。山田さん、事実として『総理のご意向だと聞いている』、これは事実で、どういう意向で、どういうプロセスを経て、『総理のご意向』だと書き込まれたかどうかが今後のポイントになっていく?」
山田氏
「そうですね。内閣府が明日発表すると言っていますけれども、1つ想定されるのは内閣府も一言一句ではないにしてもそのようなことを実際に言ったというケースが1つと。それから、文科省の文書とはかなり違う、勝手に文科省がつくったと言わんばかりの報告になるのかという、この2つがあると思うのですが。ただおそらくそれなりにいくらなんでも文科省に全部押しつけるのはちょっと考えにくいので何らかのやり取りがあったことがわかるような結果にはなると思うんです。ただ、問題はそこから先、つまり、意向というのが存在したかどうか、ここは現在の状況で推測するにたぶん曖昧なまま終わってしまう。あとは国民が判断するということになると思いますが。ただ、1つ申し上げたいのは、これを第3者委員会でちゃんとやっていればもう少しそのあたりはクレディビリティがはっきりしたと思うのですけれども」
反町キャスター
「なるほど。文科省の内部調査だからという意味ですか、それは?」
山田氏
「文科省であり、内閣府である、当事者同士の調査であるということになりますのでね。ただ、ここは都議会選挙が近いので、とにかく結果を出すことを優先したということもあると思いますけれども」
反町キャスター
「丸山さん、違法性というところでちょっと聞きたいのですけれども。この手の話で僕らの番組でも扱う言葉で斡旋収賄罪とか、斡旋利得罪という言葉があって。斡旋収賄罪というのは、公務員に対して不正な行為をさせるように何らかの請託を受けて頼んで、結果その報酬を得ること。斡旋利得罪というのは、請託を受けて、政治家の権限に基づく影響力を行使して、公務員に対して職務上の行為をさせて、ないしはさせないで、その結果、報酬を得ること。今回の加計の問題というのは誰か政治家、1番噂にされている総理にしても、他の政治家であるにしても、斡旋収賄や斡旋利得、ないしはその他、違法性があるものが出てきているのかどうか?」
丸山議員
「まったく出てきていないと思う」
反町キャスター
「小川さん、違法性はどこにあると見ているのですか?」
小川議員
「私は、その報酬の点はちょっと別にしますと、これは両方とも当たる可能性はありますね」
反町キャスター
「えっ、当たる可能性がある?」
小川議員
「ええ。報酬の点は別にしてですね」
反町キャスター
「でも、報酬がポイントではないですか、これは」
小川議員
「ですから、報酬をもらっているかどうかは現在、事実がありませんので、明らかになっていませんので。その報酬の点を除いた部分ですね、斡旋をしたか、斡旋利得の斡旋をしたかという面では、これは、総理は当たり得ますね」
反町キャスター
「と言うことは、つまり、十分形成していないことではないの?僕には丸山さんが言っていることと小川さんが言っていることが同じことに聞こえる」
小川議員
「いや、つまりですね…」
丸山議員
「それがあれば、ということでしょう?」
反町キャスター
「あればということですね。報酬を得ていることが明らかになっていたらアウトだという意味で言っている?」
小川議員
「上の要件は、つまり、当たり得ると。ただ、報酬をもらってなければ、両方とも罪にはならないなと、こういうことです」
丸山議員
「国家戦略特区構想はもともと政治主導で岩盤規制をやるという役人主導から政治主導に切り替えると言ってはおかしいけれど、政治主導を特区において最大限、総理の意向で発揮するというのが目的なのですから。その目的のために、総理の意向だとか、官邸の最高レベルの発言がなければおかしいですよ、なければ、制度自身意味がないわけですよ」
小川議員
「これは一言で言えば、総理が恣意的な行政を行ったということですね。恣意的なことを行ったと」
反町キャスター
「でも、先ほどの丸山さんの話を聞いていると戦略特区なるものはある意味、政治主導で総理が表裏の話みたいな…」
小川議員
「言わせてください。そこはちょっと先ほど、丸山さんがたくさん喋ったから。つまり、戦略特区という、そういう理念の制度があると。だけど、そのうえにそれを実際、実行する場面において本来、適切でない、自分のお友達がそこに乗ってきて、その制度の趣旨に反した形で、それがそういう形で認められると。岩盤に穴開けると言ったって、穴を通るのは総理のお友達だけだというのであれば、これは制度の趣旨に反しているわけでありますから。ええ、そうすると、これは政治責任はあると。さらに違法の問題があれば、この違法性の問題になってくる」

安倍首相出席『集中審議』の焦点
反町キャスター
「山本地方創生担当大臣、明日午前にも内閣府の調査結果、この場合で言うのだったら、文科省に対して、そういう最高意思だとか言った人側の意見、事情聴取だと思うのですけれども、それを発表するとしています。さらに明日、参議院予算委員会では総理出席で加計問題の集中審議を行うことで与野党が合意しました。山田さん、明日のこの集中審議、どういう点に我々は注意して見ていったらいいのか?」
山田氏
「これはっきりしていまして、結局、官邸の関与というか、忖度らしきものが、あったということであれば、これまで忖度がなかったということと違ってきますし。それから、まったく何も言ってないのにということであれば、官僚の暴走になるのですけれど。特に今治ということに早い段階で絞られているように見える部分について官邸はおそらく我々は関与していないという形を取ると思うのですけれども。それにしてはちょっとやや不自然な面がこれ残っていますし、藤原さんの文書の中にも残っていますから、まず集中審議の前にくる内閣府の文書の中で、そこがどう表現されているか。もし、仮に文科省に押しつけるような話になってしまうと、文科省が1人悪者のようになってしまいますから、また、ちょっと議論はそちらの方にいく可能性があると思いますけれども。おそらく両方はそれぞれやり取りがあった中でくると、官邸とのつながりになりますから。そうしますと、たとえば、内閣官房副長官の萩生田さんがこの『広域的な』ということを入れることによって加計と言いますか、京都産業大学が立候補、エントリーできなかったという経緯につながってくるので、そこもちょっと野党からすれば追及してほしいと思うところです」
反町キャスター
「小川さん、明日の集中審議、どこを責めどころにしていくのですか?」
小川議員
「文科省の文書から、先ほども言いましたけれども、内閣府がそういう圧力を加えた、トップの意向だということで、どうもそれが、間違いがないようだとすると内閣府がそれをどう説明するか。我々としてはさまざまな状況からすると総理の関与があったのではないかという観点から追及することになると思いますが」
反町キャスター
「丸山さん、この話というのは会期末のギリギリ、たぶん最後の委員会ですよね。自民党としては全部きれいにした形のイメージにして終わらせたいのか、最後まで対応しきったという姿勢で終わらせたいのか、リスクコントロールとしてどこまで…」
丸山議員
「少し文書を出すのも、押されて出したというイメージがありますし、中身のあるなしは別にしてもっと早くやっといた方が良かったということがあって会期末に1回全部出そうということで。おそらく余裕の対応だと思いますよ、明日は。私は総理でないけれど、私が総理だったら余裕の対応ですよ、これは。むしろ戦略特区とか、戦略特区の性質とか、これからもっとこうやりたいのだということをむしろ総理の方から説明すればいいのではないかと思います」
反町キャスター
「そういう、特区そのものの持つ戦略的な政治的な意味を…」
丸山議員
「そう、そこが理解できてないから1番の問題は。そして違法性はないのだと。それから、こういう改正をすることに合理性があるのだと、加計であろうと何であろうと合理性があるのだと。たまたま友達だったというだけではないかという」
山田氏
「ですから、まさに明日の追及として見たいのは、つまり、政府がこれからこの特区は広げていくのだという、自由競争の世界に入るのだという。その場合は、この加計学園もまた当然その自由競争の波にのまれるわけですから、ひょっとしてダメになるかもしれないと。そこまでいってはじめて、そこがはっきりすると。つまり、政府の恣意的な運営はなかったということですね。しかし、そこが曖昧だと、そこがちょっと選挙民からするとなにかと、それを直近で判断するのは、私は都議会選挙がまず1つあると思いますね。ですから、都議会のテーマではないと言っても、私は隠れた争点だと思います」


後編

森本敏×前統合幕僚長 日本防衛『進化論』
秋元キャスター
「岩﨑さんが務められた統合幕僚長がどういったものなのか、こちらでちょっと簡単に整理したいと思います。陸海空の自衛隊、それぞれのトップとして幕僚長がいるのですけれども、指揮命令系統を一元化して大臣の補佐として権限を強化したのが統合幕僚長です。岩﨑さんは航空幕僚長を経て、2012年から2014年まで第4代統合幕僚長を務められたわけです。岩﨑さんはベトナム戦争が終結した年に防衛大学を卒業されて、航空自衛隊の戦闘機パイロットや、さまざまな部隊の隊長や司令官として、東西冷戦期のソ連や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮、急速かつ強硬な海洋進出を進める中国など、各時代の日本の脅威と向き合ってこられました。岩﨑さん、まさに大きく変わる国際情勢を最前線で見てきたというわけですけれども。岩﨑さんから見て日本を取り巻く安全保障の変化、環境の変化、どのように見ていますか?」
岩﨑氏
「なかなかそれは一言では言い表せないような変化があると思っています。私は、防大に入ったのが1971年、昭和46年、卒業したのが昭和50年、1975年だったわけですけれども。最初の赴任地は、私は沖縄だったんですね。戦闘機のパイロットとして勤務をしていましたけれども、当時は当時なりのある種の緊張感はあったと思います。たとえば、私達が勤務に就いている時には、ロシア、まだソ連だったのですけれど、ソ連がベトナムのカムラン湾というところに基地をつくっていましたので、ソ連の航空機、基本的に1番多かったのは爆撃機ですけれども、Tu-95というのが度々、沿海州からカムラン湾まで往復しましたので私達はそれに対応するためのスクランブル、上がっていました。主に当時のスクランブルの回数というのはほとんど九十数パーセントは対ソ連の航空機だったわけで、なかなか他の国は出てこられないような状態だったわけですけれども。現在は、私は2年半前に統幕長を退官しましたけれども、ここ5年をずっと見てみますと当時の緊張感よりもはるかに高い緊張感が出てきている。それは最近のほぼ毎日のようにニュースになっている中国の海洋進出、または航空機の西太平洋への進出、それから、北朝鮮がここ毎週、なんらかのミサイルを撃っていますし、それから、ロシアも最近はかなり軍の行動、海洋であろうが、航空機であろうが非常に活発になってきていますので。現場で勤務している自衛官達は陸海空とも非常に緊張感を持った形で勤務していると思っています」

北朝鮮・中国・ロシアの脅威
秋元キャスター
「日本を取り巻く環境、北朝鮮・中国・ロシアの話が出ましたけれども、具体的に見ていきますとどう変化していくのか。北朝鮮に関しては、まず弾道ミサイルの高高度化、固体燃料化、制度の向上などがあります。中国に関しては、海軍力の近代化、空母建造など外洋海軍化、巡航ミサイルの増強とか、日本周辺での活動の活発化、さらに南シナ海での軍事拠点構築というのがあります。さらにロシアを見てみますと極東地域の軍備近代化・増強、北方領土の陸上兵力や対艦ミサイルの配備、さらに日本のEEZ(排他的経済水域)内での海洋調査ということが挙げられるのですけれども。岩﨑さん、先ほど、高い緊張感があると言っていましたけれど、こうした大きな変化の中で自衛隊はどういう状況に置かれていると見たらいいのでしょうか?」
岩﨑氏
「緊張感はありますけれど、これまでのところは非常によく冷静に対応していると思います。たとえば、東シナ海の、ここ数年の中国海軍、それから、中国空軍、日本の海保にあたるような海警というふうなものがありますけれども、こういうものに対して、それぞれの部隊が非常に冷静な形で対応している。ただ、非常に向こうが出てくるケースが非常に頻繁になっていますので、海上自衛官も、航空自衛官も、それから、海保の隊員達も毎日、毎日の勤務が非常に大変になってきていると感じています」
反町キャスター
「北朝鮮の話をまず具体的に聞いていきたいのですが、先日、マティス国防長官がこういう発言をしました、5月19日の記者会見ですけれども。マティスさんは『我々の取り組みは、国連、中国、日本、韓国と協働して、この状況から抜け出す道を見つけようとすることだ』というこの発言。たとえば、北朝鮮を念頭に置いた発言だと見た時に、この頃、5月19日、空母、2つの部隊がいるのだか、いないのだか、ないしは実力行使をアメリカが単独で北朝鮮にするかどうか、どこまで本気なのと僕ら本気で議論しているような時に、こういうことを国防長官が言うということはやる気ないよと見ていいのですか?」
手嶋氏
「短期ではやる気がないと言っていいのだと思います。少し前に私、ワシントンにいたのですけれども、行って関係者とやり取りをして真っ先に言われたのですけれども、この番組で確かご紹介したと思うのですけれど。自分達はレッドライン、つまり、核兵器と長距離ミサイルの発射というのが一種の事実上のレッドラインでもしそれを踏みにじるようなことがあれば、越えてはならない一線として伝家の宝刀を抜くと、これまで水面下では言い続けてきたんですね。ところが、行った途端に、日本ではそれがレッドラインになっているけど、自分達は言っていないということだったので、ちょっと待ってくださいと。素人の人達には言っていいのだけれども、僕らには水面下でまさしくそれを示唆していた、つまり、情勢が変わったということなのでしょう。つまり、発言を後退させているということなのだと言ったら、反論しませんので。一般論としては前のオバマ政権の時代は事実上、ミリタリーオプションというのはなかったのですけれども、今回それがあるぞと言ってみせた。それは嘘ではないのだと思うんです、一般論では。しかし、すぐそれがまさに現実のものになるかと言うと、そこまでははるかに遠いということなので。一連のところをずっと後退させ、空母打撃群も2個機動部隊がいたのですけれど、それも日本はちょっと不本意だと思うのですけれども、ある時、ほな、さいなら、ということでいなくなってしまうということになっているので。明らかに、反町さん言っているようにトーンダウン。その代わり、国連の出番とか、中国のリーダーシップというようなことになっているので、もう少し真面目にやってもらいたいと思いますね」
反町キャスター
「森本さん、このマティス発言をどう見ているのですか?」
森本氏
「私は、マティスさんが、このところずっと、いろいろなところで発言しているのは、アメリカの安全保障政策、国防政策について大統領があまりはっきり言わないですから、国防長官が自分でいろいろな発言をしておられて。先週のシャングリラのスピーチ、それから、13日に上院下院の軍事委員会で行われた発言というのはこれとはトーンが違うのですけれども。何と言っているかというと、冷戦構造というものが完全に質が変わってしまって、今やロシアのように非常に攻撃的な対応をする国、それから、周辺に強圧的な影響力を行使する中国、この2つによって国際秩序が乱されていると言い、しかしながら、アメリカにとって最も喫緊の脅威は北朝鮮であるとプライオリティを、つまり、ロシアと中国が国際秩序を乱している。まさに周りの国に対して力を使って秩序が阻害されているというのは、グローバルに見た場合の非常に深刻な懸念なのだけれど、アメリカにとって最大の現在ある脅威というのは、北朝鮮の核と弾道ミサイルだということをキチッと区別して言っているんです。最初の中国とロシアについて言えば、つまり、国連安保理決議が通らない、その2つの常任理事国によって国連が機能しない、それがまさにここに書いてある、最初に国連を挙げてある理由なのではないかと思うんですよね」
反町キャスター
「なるほど。国連と協働してというのは、つまり、中国とロシア、協力してくれよと」
森本氏
「だから、中国とロシアが国連の安保理決議の採決にも与しないで国連に基づく国際秩序をそもそも損なっている、基本的な原因をつくっているのだということについて、非常に大きな懸念を持っていて。従って、我々の取り組みはということで、最初に国連を挙げているのは、つまり、中国とロシアの国連安保理に対する態度を念頭にこういう発言が行われているのだろうと私は思うんです」
反町キャスター
「岩﨑さん、実際の自衛隊が仕事としてやっている、日本の安全を守るという立場から見た時に、アメリカがこぶしを振り上げてやってくれるのかと思ったら、やらない雰囲気になって国連を舞台にと、要するに、軍事から政治の外交の方へもし舞台が移っているとする中、でも、北朝鮮はミサイルの実験は着々と毎週のようにやっているし、核実験はまだやってはいないものの、彼らの核・ミサイルの能力というのは向上していると、脅威であることは間違いないということは皆、認めているわけではないですか。日本の自衛隊はそれに対して十分な備えが現在あるのかどうか、足りないものは何なのか。そこはどう見ていますか?」
岩﨑氏
「まずアメリカの判断、私は非常に正しい判断をしていると思っています。一時期、すごく緊張が高まった時期もありますけれども、それは当然、そういった態度も必要なのでしょうし、それから、このように若干トーンダウンと言われましたけれど、それはもともと計画していたようなところもあると思われますので。非常にそれぞれの時に適切な判断がなされていると思います。不幸にも、トランプ大統領になってから、この北朝鮮が非常に強硬な態度をとっていますので、通常、大統領が代わった時に、安全保障戦略というものを通常は見直して、新しいやつをつくり直すわけですけれども、まだ若干できていないというところがありますので。少し不安定、考え方に不安定なところもありますが、現在まさにその作業を、アメリカがやっている段階だと私は思っています」

自衛隊と『憲法9条』
秋元キャスター
「ここから自衛隊を取り巻く法整備について聞いていきます。安倍総理は先月、憲法改正について、このように発言をしました。『憲法9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込むという考え、これは国民的な議論に値する』ということですが。岩﨑さん、この安倍総理の発言をどう受け止められましたか?」
岩﨑氏
「私は40年間、自衛官として勤務してきましたけれども、今日もたぶん前統幕長として呼ばれていますので、私の個人的な感情よりもまさに国民的な議論に値するということだと思いますので。是非、垣根なくいろいろな議論をしていただいて、私達は基本的には決められたことに対してきっちりと任務を遂行することが大切なことだと思います」
反町キャスター
「この河野統合幕僚長の発言を…、岩﨑さんに感想を聞くのはちょっと難しいのかもしれませんけれど、外国人特派員協会でこういう発言されています。『憲法という非常に高度な政治的問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではない。一自衛官として申し上げるなら自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるということであれば非常にありがたい』。この発言は我々このまま受けとっていいのか、非常に複雑な気持ちをそこに押し隠したものがあるのかどうか、岩﨑さん、どう感じますか?」
岩﨑氏
「まさしくそれは先ほど申し上げた通り一個人としてコメントしているわけですけれども、そのことというのはそれほど重要ではなく、もっと国民的な議論だとか、国会の議論をしっかりとやっていただきたいというのが私の考え方です」
反町キャスター
「そういうことであるならばという話なのですが、たとえば、1項、2項を残して自衛隊の規定を明文化するということには戦力の問題とか、交戦権の問題だとか、いろいろな矛盾を残したまま自衛隊を明文化するということというのは、いかがなものかという議論がもう既に出ています。やるのだったら本格的にやろうよという人もいます。その点に関しては現職の自衛官の方、ないしは前統幕長の立場からすると、これには言及すべきではないという気持ちが強いと我々、思った方がよろしいのですか?」
岩﨑氏
「いえ、それは立場がある人達があまりいろいろなことで国民を惑わしてはいけないと私は思いますので。それよりも大切なことは国民自体でしっかりと議論してもらうということだと思います。もし然るべきところで何かの意見を聞かれたらそういった影響がないようなところでは公的な立場にある人達も何らかの意見は申し上げると思います」
反町キャスター
「個人的な場とか、そういうことですね?」
岩﨑氏
「はい」
反町キャスター
「なるほど。あくまでも国民的な議論、政治的な決着をもって、それに従うのが自衛官の務め、矜持であるという理解でよろしいですか?」
岩﨑氏
「私達は西洋の考え方をそのまま取り入れ、シビリアンコントロールという中でやってきているわけですね。この考え方というのは当然、官僚もある程度あると思いますけれども、特に武装集団である、外国で言えば、軍隊、日本で言えば、自衛隊というのは、それにしっかりと対応していかないといけないと思っていますので。基本的には民主主義の中であれば国民が選んだ政治家、政治家の中から選ばれた総理、防衛大臣、こういった人達の判断にしっかりと従っていくことが我々の任務だと思います」
反町キャスター
「森本さん、この安倍総裁提案をどう見ていますか?」
森本氏
「9条1項、2項を残しつつということは現在の9条1項、2項というのは国民の中に理解され、浸透し、その中で国の自衛権というものが行使できるという合法であるという解釈を既に政府がとっているので。それを前提にしながらも、しかし、国民的な議論を起こすことによって自衛隊が憲法の中で必ずしも法的にキチッと識別されているというか、明記されているというわけではないので自衛隊の最高の指揮監督権を持っておられる総理としては憲法の、現在の憲法が国民の中に受け入れられているということを前提に、自衛隊が持っておる性格そのものを憲法の中に公的に定着させるためにこういうこの表現を使って皆さんに議論していただきたいという問題を提起されたので。問題提起のやり方は、私はこれで正しいと思うんです。ただ、いろいろな意見があることは確かですから、まさにそのことをご存知で、国民的な議論に値する。皆さんで十分議論してくださいという問題を提起されたので、私は違和感ないです」
反町キャスター
「岩﨑さん、でも、たとえば、世論調査とかかけても、自衛隊が違憲か合憲かという議論は世論調査において決着がついていると思います。憲法学者の間で7割だか、6割だか、違憲と言うけれども、それは憲法を生業としている、プロフェッショナルからすれば。でも、それは全国1億2000万人の人口からすれば、数百人とか、数十人とか、そういうレベルの話です。その人達の間で議論のある違憲か、合憲かという議論に決着をつけたいということだけとは言いませんが、そのために自衛隊を明文化するということ、それで本当に皆さん納得されるのかどうか。僕はこういう機会なので、岩﨑さんに気持ちを今日、聞きたいんですよ。答えにくかったら、ダメなら、ダメでいいです」
岩﨑氏
「あまり責めないでほしいなと思うのですけれども…」
反町キャスター
「そういうつもりではありません」
岩﨑氏
「いやいや、私達は自衛隊ができてから、この63年間、いろんな環境の中で任務をやってきているわけですけれども。基本的には現在の憲法の中でもしっかりと自衛隊というのは認められていると思っています。ですので、先ほど、森本元大臣が言われたように、まさにいろいろな問題があるということを認識しながら総理がこの議論をしていこうという提案をしていると思っています」
反町キャスター
「いかがですか?手嶋さん」
手嶋氏
「具体的に、かつたまたま日本の自衛隊や憲法議論のあり方を、アメリカとか、少し外から見ていた立場で申し上げたいと思います。時々こういう議論に迷った時、思い立った時にアーリントン墓地に行くことがある。湾岸戦争の時もそうだし、イラク戦争も。そうすると、星条旗に包まれた遺体が粛々とという、家族の方々もということですよね。この方々は志して国家のために命を捧げた。このことについては戦争の正当性についてはさまざま議論があっても亡くなった人に対する尊敬の念というのは全アメリカ国民にあると、僕らも心から敬意を表するということだったのですけれども。そういう立場で現在、たまたま戦闘ではまだ亡くなった方は自衛隊にいませんけれども、そうやって危険な任務に就いていることなので。その方々に、十分な、つまり、国家のために有事の時に死地に赴くという方々に、そういう憲法という国の基本を定めるもので十分に報いているのか、十分に議論をしたのかということになると、決して十分ではない。従って、議論はもっと尽くすべきだと思います。僕は陸海空3軍の高級幕僚の方々と、アメリカで2年間、寝食を共にしましたけれども、その時にこの人達はどこか違う、いざという時に明日、要請があれば死地に赴くのだ、家族の方々をずっと見ていてその2年間で根本的なところで少し対応が変わりましたよね。これは避けて通れない問題。ですから、規定の問題とか、憲法学者に何か教えを乞うなどというような問題ではないのだと思います」
反町キャスター
「森本さん、どうぞ」
森本氏
「現在の、憲法の条文の中で、先ほど、申し上げたように、国としての自衛権というものが、いかなる主権国家でも認められているということなので。この憲法の条文の中で、自衛権というものが国の権利として正当なものであるという解釈は、多くの国民に理解をされ、かつ国民的な合意があると思うんです。しかし、一自衛官、私もかつて自衛官だったのですけれども、自衛官としてその任を与えられていろいろな活動をする時に、この憲法に基づいて、いろいろな法律がドンドンとできてくるわけです。平和安保法制もそうだし、いろいろな一連の俗に言う有事法制の中で、法律に基づいて活動する時に国民の多くが皆でこの困難な任務を果たしていただきたいという国民の負託を受けて、任務を果たしたいという気持ちは隊員個人、隊員を支える家族に非常に強いので。そういう意味を考えると、いくら現在の憲法の中で自衛権というものが認められていたとしても自衛隊はそもそも何なのかということがどこにも書いてないではないかと。本当の意味で、1つの法律に基づいて困難な任務に就く場合に国民の負託を受けて自分達は困難な仕事に就くのかということについて、はたと考えるときにですね、自分が親族や自分の奥さんや子供にどうやって説得できるのかということを、個々の隊員が考えた時に、これは国民が皆で行ってください、困難な任務に就いてくださいという、国民の負託を受けて仕事をしたいという気持ちが非常に強いので。それをスッキリとした形で整理をするためには、ここに書いてある、自衛隊を明文で書き込むという、この一言が非常に重いですね。明文で書き込むことによって個々の自衛隊員が、困難な任務に国民の負託を受けて遂行できるという。はっきり言うと、わかりやすく言うと、より元気が出る。それが最高指揮官としての総理としての責任と総理は思っておられるのではないかと思うんです。それを国民の中で十分議論してくださいという問題提起をされたので。私は先ほど申し上げたように、この問題提起は正しいなと。ただ、個人としては、それをもっとスッキリするなら、9条の2項を・・・、自衛隊を明文で書き込むにしていただいた方がいいなというのは国民的な議論をした時に私は少数民族だと思うけれども、それでも良いと思いますけれど、それはあります。民主主義ですから、たとえば、憲法改正をやった時に3分の2の衆参両院議員で発議をして、国民投票をして過半の国民の方々が賛成を投じていただけるようなものになってないとダメです。だから、それが政治の役割だと思う」
反町キャスター
「岩﨑さん、森本さんの言われた、負託ということに対する隊員家族の想いと言うことに関して、この1点、いかがですか?」
岩﨑氏
「非常に大切なことだと思います。自衛官というのは機械でなくて人間ですので。我々を支えてくれる家族、国民からのいろんな声援で任務がやりやすくなると思います」
反町キャスター
「その意味で言うと、明文化されることによって、救われると言うか、元気になると、森本さんは言いました。そこの部分というのはあるのですか?」
岩﨑氏
「いずれにしても、憲法の議論というのはあまりされていないので。このような形でしっかりと議論をして、私達に対する声援を送ってもらった方がいいと思います」

森本敏 元防衛大臣の提言 『日米同盟、防衛力、国際協力のバランスを取ること』
森本氏
「私は、日本の自衛隊を進化させる時に大事なのは、ここで書いてあるように、日米同盟に日本の自衛力をどう組み込むか、それから、日本の独自の防衛力をどのようにして進めていくか、それから、この自衛力を使って国際安全保障協力をどうするか、これを全部このバランスと書いてあるのはどういうことかと言うと、平均して3分の1ということではないです。その時の状況に応じてどれを重視するかということについてのキチッとした防衛戦略があって、バランスが良くないと。どれかを無視するというようなことであってはならないし、どれかだけでもダメなのですよね。そのバランスのとり方がまさに日本の防衛戦略であって、それがキチッとされていないと、この地域での力のバランスが崩れてくるということなので。日本の防衛力が持っている意味というのは、我々個人が考えているよりはるかに大きな意味を持っているということだと思います」

岩﨑茂 前統合幕僚長の提言 『無事』
岩﨑氏
「必ずしも現在の問いに対しての答えではありませんけれども、常に考えているのは平穏無事ということであります。別に森本元大臣と相談をしているわけではありませんけれども、現在の大綱に書かれているのは独自の努力、つまり、自衛隊を装備するということで、次は日米同盟を強化する、最終的には国際協力を積極的に進めていくのだという、この3点が書かれていますけれども。こういったものをやっていくうえで先ほど来から、わが国を取り巻く環境というのは非常に厳しい中で隊員達は一生懸命やっていますけれど、日々の訓練をまたは任務をしっかりとやっていただき、平穏無事なことを願うというのが私の考え方です。もうちょっと喋っていいですか?私は岩手県の出身ですけれども、尊敬する1人に宮沢賢治という詩人、いますけれど。彼が残された言葉に『世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』という言葉がありますけれども。まさしく私は世界の平和がない限りは1国だけの平和はあり得ない。そのために我々はいろいろな努力をしていかないといけないというのが、現在の日本の置かれた立場だと思います」

外交ジャーナリスト 手嶋龍一氏の提言 『二十一世紀にふさわしい自衛力たれ!!』
手嶋氏
「21世紀というまったく前人未踏の新しい時代に、まさにふさわしい進化をした、新しい自衛力たれと申し上げたいと思います。言うまでもなく、新たな主戦場というのはサイバースペースや宇宙にも広がりつつあるということになりますから、それにも対応する。しかし、それは、あくまでも個人ということになりますから、特にこれからの国防政策を担うような方々、私は大学院でユニフォームの方々もずっと継続的にお預かりしていたという立場もありますので、そういう方々も視野の広い、国際世界に本当に通用するような、そういう骨太な人材に是非、育っていただきたいと思います」