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2017年6月9日(金)
高齢者と医療費と国家

ゲスト

田村憲久
前厚生労働大臣 自由民主党政務調査会長代理 衆議院議員
大塚耕平
元厚生労働副大臣 民進党政務調査会長代理 参議院議員
西沢和彦
日本総研調査部主席研究員
藤田孝典
NPO法人ほっとプラス代表理事

高齢者『医療費』削減への道
松村キャスター
「政府が今日、閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針です。この中には高齢化社会に伴う医療費の増大を抑制するための具体策が書かれています。社会保障費の中でも医療費に焦点を当て、与野党論客と専門家の皆さんと徹底検証します。閣議決定されました骨太の方針には社会保障政策において医療費をどう抑制するかの項目が並んでいます。医療費適正化、地域医療構想の実現、薬価制度の抜本改革、健康増進・予防の推進、とあります。高齢化が進むことで医療費が増え続けていることから、こちらの医療費適正化、これが必須の課題となっています。こちらは75歳以上、後期高齢者医療費の地域差を表したデータですけれども。1番高いのは、福岡県です。全国平均の91万7000円より、およそ25万円高い116万円でした。また、最も低い新潟県は、74万円。福岡県とはおよそ1.6倍もの開きがあったんですね。まず田村さんに聞きますが、この医療費の地域差というのはなぜ生じるものなのでしょうか?」
田村議員
「比較的、西が多いですね。いくつか理由はあるのですけれど、病床数が多い、それから、入院期間が長い。入院期間が長いというのはたぶん老人病院が比較的多いんだと思いますね。ですから、ベッドが多く、特に老人病院が多いとなれば、当然、医療費がそこにかさんでくると、致し方がない部分もあるんです。ただ、中身を見てみると、確かに疾病別に見ても高いです。と言うことは、それが適正な医療費なのかどうなのかということも含めて、いろいろとこれから見ていかなければなりませんから。先ほどの、どうやって医療費適正化するかという中に、1つ、見える化というものを進めていまして。どれぐらい医療費がかかっているのかというのを、ある程度、平均を出しながら、自分のところがどの位置にいるのかというのがわかれば、どうしていこうかということを、それぞれ計画を立てていただいて。ただ、無理しますと、これはまた医療が崩壊しちゃいますから。地域のいろんな課題を抽出しながら対応いただくというような話になってくると思いますね」
反町キャスター
「この適正化というのは何を目指しているのですか?要するに、県別のばらつきを均すのが目的なのですか?」
田村議員
「そうですね」
反町キャスター
「それとも皆、上の高い方に合わせるとか、低いところに合わせるとか?」
田村議員
「まず平均に、高いところには合わせていってもらうというところがありますし、良いところも良いところで努力をしていただくということが必要だと思いますけれども。ベッドを減らすというのが、一方で、このあとで出てくる地域医療構想というところで、133万1000床、現在あるんですね。8万7000床、休眠病棟で動いていないのですが、133万1000床から抜くと、124万4000床かな、それを119万1000床にまで。これは病床機能報告と言いまして、各病院から上がってきたそれぞれの機能の報告ですね。レセプトデータ、そういうものを見ると、こんなにスペック要らないよねみないなことと、合わせて2025年には高齢化がこれぐらい進むだろうというのを合わせて推定しているのですけれど。それぐらいまで減らす」
大塚議員
「この地域差にはそれなりの理由があるはずですから。だから、まず疾病ごとの医療費を分析してみる必要がありますね。たとえば、どんな疾病でもいいですけれども、代表的な疾病で、たとえば、1番医療費の少ない新潟県と福岡県でどうなっているのかと。これを見ていくと原因がわかってくると思います。それから、もう1個やらなければいけないのは国際比較ですね。同じような疾病でいったいフランスでは医療費でいくらぐらいかかっているか、日本ではいくらぐらいか。この国内の地域比較、あとは国際比較、これを両方やると、どういう医療で、過剰とは言いませんけれども、どの地域が、あるいは他の国に比べて、日本は医療費がかかり過ぎているかというのが見えてきますので。そうすると適正化のヒントが、これは出てくると思います。だから、そういう意味では、データに基づいたとおっしゃったのは、そういうことでもありますし。意外に、でも、国際比較はまだあまり見たことがないですね。地域差の比較は私も副大臣をやっていた時にちょっと調べてみたことがあるのですけれども。同じ疾病でよその国と比較して高いか低いかというのはもちろん、医療制度も違いますから、単純な比較はできませんけれど。そういう観点で分析していくと、これは適正化のヒントが出てきます。ただし、途中で反町さんがなかなか難しい指摘をしていただいたのですが、この適正化というのは下げることなのか、平均に合わせるのか、高い方に合わせるのか、これはなかなか悩ましい問題で…」
反町キャスター
「でも、適正化と言うと、普通上げるというよりも、予算に限界があるから下げるというニュアンスが強いですよね?」
大塚議員
「そうですね。だから、適正化と言いながら、実際は始めに削減ありきということだとすると、これは医療の質を下げるという方向にいってしまう可能性があるので。適正化とは何ぞやという議論もちゃんとしておく必要があると思います」

『下流老人』どう生きる?
反町キャスター
「藤田さん、貧困世帯の高齢者の医療事情にお詳しいというお立場からすると、こういう高齢者の医療費について、制度として何か手当てする方法あるかどうか。どう感じています?」
藤田氏
「まず先ほど、お二方のご指摘の中で、1つないのが所得ですね。所得の高い人と低い人でどれくらいの差が出るのかという」
反町キャスター
「県ごととかではなくて?」
藤田氏
「ええ。私が見る限りは少なくとも低所得の人達で、重篤化する人達の数が多いという状況がありますし。これは他にも健康格差という形で、各論者がもう指摘していることですので、かなり実証データも積み上がってきているんです。なので、今回のように医療費をどう削減するかということを考えるのであれば、低所得の人達の支援、あるいは早期発見・早期治療というのですか、これは忘れちゃいけない課題かなと思います。実際、その人達が、どれくらい医療アクセスが困難なのかと言うと、それこそ短期資格証に切り替えられているとか、これは健康保険、それこそ保険料を滞納するとか、払えないケースとかがありますので。なので、そこで結局、生活保護に結びついて適切な医療に結びつく。その時にはもう重症化して、ガンも重たい状態で、ステージが発見される」
反町キャスター
「生活保護になれば、医療費は全部カバーされるので、そこに至った時にもう既に…。いわゆる低所得の時に適切な医療サービスを受けられないがために重症化した時点でフルカバーになっても手遅れであると、こういう意味で言っている?」
藤田氏
「フルカバーして手遅れか、あるいは重たい負担が税等を圧迫するというのですか。実際には生活保護の予算の半分、約4兆円のうちの半数が医療補助費ですよ。だから、これはかなり低所得の人達に医療ニーズが集中していると言うんですかね、早めに手当てしていけば…これはもう田村さんは大臣経験ですから、当然、いかに医療を抑制するかというところで低所得の人達の医療が重要かということの議論は進んでいるとは思います」
反町キャスター
「それは、県ごと、そうではなくて、もっと横切りの所得階層別の医療費みたいなものを出して、そのうえでの手当みたいなものがあった方がより医療の適正化というものを目指すにはその方が良い方法ではないかという意味で言っている?」
藤田氏
「うん、いろいろなデータがあればいいと思いますけれども、県別もそうですし、年齢別、あるいは所得階層別…」
松村キャスター
「ここからは地域医療構想の実現について見ていきたいと思います。地域医療構想とは、団塊の世代が全て75歳以上となり、高齢化がピークを迎える2025年に向けて、病院のベッド数がどのくらい必要なのかを推計し、目指すべき医療提供体制を実現するための施策です。病院ベッドは、患者の疾患の状態に合わせて、4つの機能に分類されています。急性期の患者に対して手厚い医療を提供するという高度急性期と急性期、急性期ではなくなった患者に医療やリハビリを提供する回復期と、長期療養の患者を入院させる機能を持つという慢性期となっています。こちらが、400床以上ある病院のベッドの機能を表したグラフですが、高度急性期と急性期が大半を占めているのがよくわかります。田村さん、このような状況なのですが、この回復期と慢性期、ベッドが少ないのはなぜでしょうか?」
田村議員
「400床というのは大きい病院ですから、特に、たとえば、特定機能病院、大学病院みたいなところは、これはもっと高度急性期が多いです。圧倒的に高度急性期が多く、急性期、それで他のところなので。大きい病院というのは、手術してというところが多いですから、特に非常に大きい大学病院は集中治療室を持っていたりだとか、そもそも救命救急棟があるでしょう、ある意味、高度な医療を提供するところですから。だけれども、だんだん小っちゃくなってくるに従って急性期が減っていくとか、特化して慢性期、慢性期ではなくて回復期、回復期リハみたいなものを病棟ごとやっているところだとか、いろいろな形はあるのですが。ただ、それにしても7対1なんていう看護の体制で診療報酬をワッとつけちゃったものですから、皆、看護師を取り合いして、7対1だと入院基本料が取れるものですから。それで自分のところは、高度とは言わないけれど、急性期がメインだと、こうやっているのですが。実際問題はやっている内容は手術がそんなに多くなかったりしますから、今回そういう医療資源の投入量を見ながら、それはレセプト見ればわかりますから。だいたいこのエリアはこの状況なら、2025年にはこのぐらいの高度急性期かな、一般急性期はこれぐらいかな、回復期をもっと増やしてくださいな、慢性期はもうこんなに要らないよねというのが、先ほど、私が申し上げた、現在の状況、133万1000床から、これを119万1000床まで減らす中で、それぞれ現在のカテゴリーを増減させるという」
反町キャスター
「病床のバランスを都道府県の知事がとるようにというのが今回の骨太の方針にもなっているのですけれども。都道府県の知事がそれぞれの個々の病院に対して、お宅はちょっと高度急性期が多いよねとか、お宅はちょっと慢性期を増やしたらと言えるものなのですか?」
大塚議員
「いや、これが難しいですね。つまり、まずそれぞれの病床というのは、病院にとっては医療資源、医療リソースですから、これを簡単に手放せるかと言ったら、なかなか手放せない。だから、これまでなかなか再編が行われなかったんです。本当はそれを地域の人口とか、年齢構造とか考えると、たとえば、ウチの地域は少し高度急性期がもうちょっとあった方がいいから、隣の地域から病床、少し分けてもらったらいいのではないかということが自主的にできればいいですけれども。各県に1次医療圏、2次医療圏、3次医療圏というのがありまして、1次医療圏は小さい身近な医療圏、市町村単位ぐらいだと思ってください。2次医療圏、たとえば、私の愛知県だと愛知県全体で12あるんです。3次医療圏は県全体ですよね。そうすると、2次医療圏の間で、たとえば、こちらが人口増えてきたから、移してくださいとか、あるいは2次医療圏の中に1次医療圏がありますので、そうすると、この隣同士で…」
反町キャスター
「高度急性期のベッド数の取り合いというか、やり取りあるということですか?」
大塚議員
「本来は、自主的にやり取りしていただければベストだけれども、これまではそういうことはほぼなかなか難しかった」
反町キャスター
「では、それを知事がやれるのですか?」
大塚議員
「これまでもたぶんできたはずだけれど、それがなかなかできないので、地域医療構想の中で地域医療の調整会議でやってもらおうとしていたのだけれど、さらにそれがうまくいかない時にはもっと都道府県知事にしっかりやんなさいというのが今回」
田村議員
「いや、法律的には、私が大臣の時につくったもので、怒られながらつくったわけですが…。公立病院に関しては、知事の方から削減命令がかけられるんです。だけど、一般の病院に関しては、民間病院にはかけられないので、ちょっとしたペナルティに近いものはあるのですけれども、補助金をつけられるとかがあるのですが、だけど、基本的にはやりません、そんなことは。今回、その骨太の中にも都道府県の機能の強化みたいなのがあるのですが、1番なのは何かと言うと、先ほど、お話があった通り、2次医療圏ごとに地域医療構想で、お宅は高度急性期、ICU(集中治療室)みたいなベッドはこれぐらいですよ、一般の急性期はこれぐらいですよ、回復期をもっと増やして手術が終わったあとにはそこでリハビリやって、それで早く家に帰ってもらえるようにしましょうみたいな、そういうようなものがある程度わかってくるわけですよね、病床機能報告に出すと。すると、俺のところ、高度急性期をこんなに持っているけれども、共倒れするなとお互いに気づくでしょう。そこで話し合うと、そこでやり取りをするんですよ」
反町キャスター
「都道府県知事が入る余地がないではないですか?」
田村議員
「いや、それは示すから」
反町キャスター
「示すの?」
田村議員
「そう。調整は、会議を開くのは都道府県が開かせますからね。それはやってくださいという。そこでいろいろな話をする中で、実は現在この病床の機能の転換をするのに、この医療介護総合確保基金というヤツがありまして、それが県にいっているんです。県の基金から、病床転換するのにもお金がくるのですが。その時に、たとえば、私の地元でしたら松坂市というところですけれども、そこでここの病院とここの病院をくっつけてベッドをこうしようだとか、ちょっと減らそうだとかというようなことをすると、これは再編計画ができますから。そういう計画を立てたところには、この基金を優先的に国から下ろして、県から下ろしていただく、みたいなことをやろうと」
反町キャスター
「ごめんなさい。話を聞いていると病院間のさまざまなものとか、全体の予算を有効に執行のためというのはよくわかるのですけれど。患者のニーズというのは、利便性とかが入ってくるのですか?」
田村議員
「入ってくる。それは、要するに、現在病床機能の報告を出していますから、現状こういうような状況ですとわかっているんですよね。だから、ここは高度急性期だよ、ここは急性期だと言いながら実はやっていることは急性期ではないねというのはわかってくるわけです。それに人口構成、2025年に向けて推計していくとだいたいわかりますよね」
反町キャスター
「西沢さん、どう見ていますか?この適正化のプロセス…」
西沢氏
「私、仮説があって、今日も聞きたかったのですけれども。133万のベッドを全国ベースで119万に減らす。現在、西高東低なので西の方でベッドが多いですね。西の方ではベッドを減らさなくてはいけないと。医療費は価格×量ですよね。診療報酬単価×医療資源、ベッドの数とか。では、ベッドの話は量を減らせ、量を減らすのは、都道府県知事とか、地元の皆さん、将来の末行きを見ながらがんばってくださいという話の中で。今年の暮れに診療報酬の改定があって、わが国全体で医療はなかなか増やせないよねと、P×Qですよねと。都道府県の方では今後Qの方についてがんばってください、年末の診療報酬でPの方を、診療報酬の方を上げてしまう、仮に上げてしまうと、え?霞が関や永田町は、単価は上げて、量の方でもっとがんばってくださいというメッセージになりはしないかという、仮説ですけれども」
反町キャスター
「矛盾しているということですね?」
田村議員
「それは、133万1000床から119万1000床と言いましたが、実際は先ほど、言った通り、8万7000床も寝ているので、病院、病床が機能していないですよ、ベッドが。それを引くと124万4000床ですから。119万1000床ですから、5万4000床か3000床でしょう。で、先ほど言いました、療養病床ですよね、慢性期の病床を、35万4000床を28万4000床まで減らすんです。これだけでも7万床ですから、これを合わせるといっちゃうんです。しかも、それ減らすのではなくて、介護医療院という介護施設に移しますから、事実上たいした…。要するに、機能の転換はありますけれども、ベッドを生で減らすわけではないので、そんな難しい話ではないです」
反町キャスター
「いかがですか?」
西沢氏
「だから、トータルでは、医療費と介護費を足すと減らない?」
反町キャスター
「減るんですよね?」
田村議員
「それは介護医療院というのは現在の療養病棟と同じスペックもありますけど、もっと下がったスペックもあります」
大塚議員
「それは大事な指摘なのですが。今回、介護医療院という新しいカテゴリーをつくるので、おっしゃるように、そういう意味では、患者さんにとっての病床数はそうは減らないんです。それで実は日本の医療費というのは、GDP(国内総生産)対比で、結構、あまりかかってないという説があったのですが、OECD(経済協力開発機構)の統計で、介護のところも合算して比較したらどうだということをやったらいきなり世界3位に躍り出たんですよ」
反町キャスター
「他の国は、医療費というのは介護費も入れているのですか?」
大塚議員
「いや、入れて比較をしたわけです」
反町キャスター
「なるほど。日本の介護費が異様に高いということですね」
田村議員
「だって高齢者人口が比率が27%という先進国でも飛び抜けて高いですから。介護費がかかるのは当たり前ですよ。そう簡単に比較するものではないと思いますよね」
大塚議員
「患者さんの視点でどうなのかという点、あと1点だけ申し上げると。先ほど、病床のシフトの話をしましたけれど、実は1次医療圏、2次医療圏、3次医療圏も、市町村も、実は国民の皆さん、住民の皆さんにとっては、これは行政が勝手に引いた線ですよね。だから、医療圏と生活圏が一致しているかどうかというのが、実はこれから医療行政関係者ないしは政治の課題で。県境を考えると1番わかりやすいですよね。県境に住んでいる人にとっては、県内のここに行ってくださいという中核病院よりも、そこに行くのに山があったりするので、県境を越えて隣に行った方がいい。そうすると、地域医療構想の調整会議で、本当に住民の皆さんの生活圏に合った医療圏を構築できるかという、また、別の問題もあるんです」
田村議員
「これは東京が1番大変です。東京は電車で行きますから、面積ではないです、電車のアレで行っちゃうので。2次医療圏と言っても、俺ところはあそこ、というのがあるので、東京は結構大変ですよ」
松村キャスター
「ここからは薬価制度の抜本改革について、年代別内訳を見てみますと、高齢者が圧倒的に占めています。今回の骨太の方針では薬代を下げることで医療費を抑制しようと薬価制度の抜本改革を掲げています。2年に1度だった薬の値段の改定が毎年に変わる薬価改定、新薬開発などを促すための新薬創出促進加算等のゼロベースでの見直しがあります。私達が各医療機関でもらう薬というのはどのように流通しているかの仕組みは」
西沢氏
「薬は国民医療費40兆円のうち、だいたい10兆円と考えていただくと、1回、市場に出ますと、製薬会社、卸と、医療機関、病院・診療所、薬局とは自由価格ですよね。だんだん価格が下がったわけです。購入者側の購買力が強かったりしてだんだん下がっていく。患者さんに渡る時は公定価格です。診療報酬の公定価格、薬価です。ですから、市場価格が下がっていくと、公定価格とそれより低い市場価格に差益が発生するんです。ですから、価格は頻繁に変えてもらわない方が、いい人がいるんです」
田村議員
「結局、大きい病院だとバーゲニングパワーが働きますから、お前のところはちょっと抑えろよと。それが薬価差益として医療機関に入るわけです。これが毎年、薬価改定を言っていますけれど、これが本当に病院が儲けているかと言うと、だいたい病院で、急性期中心でやっているところの収益率は2%か3%ですよ。零細企業程度ですかね。ですから、2年で必ずと言っていいほど、1400億、1500億円の薬価差益が出てくるんですよ。それがなかったら、病院がまわらないのではないかというお金でもあるんです。だから、どれだけ下げてもまた1400億円ぐらい出るんです。これがなかったら大変です。もちろん、1部で大儲けしているような調剤のところがあるのかもわかりません。ほとんど調剤薬局が大儲けしているわけではありませんから、そう考えると、このお金を切ってしまったら、病院が倒れちゃいますね」
大塚議員
「それはその通りの面があるのと、市場価格の前にコストがある、製造コストですね。製造コストがあって、市場に出される市場価格があって、そのあとに公定価格との差益があるわけです。そうすると、コストと市場価格の間でも儲けが発生しているわけですね。結局、病院と製薬会社が、彼らだって収益を出さなければいけないので、分け合えるのはこの差益だけではなくて、市場価格とコストの間の利益があるわけです。だから、製薬会社にしてみたら、この利益プラス差益の部分を、大きな病院であれば、田村さんがおっしゃるように、バーゲニングパワーでグッと収める時の市場価格は下げるというやり方をするし、その代わり別の薬ではちょっと高めに市場価格が決まって、買ってもうらうとか、だから、一概に言えないのですけれど、ただ、差益の部分だけを見ると、数字的には、先ほど田村さんがおっしゃったように、千数百億円を病院の数と収益率で割ってみるとそんなにびっくりするものではない。ただし、コストと市場価格の差の部分がどうなのかというのも一緒に考えなければいけない」
西沢氏
「これは、田村先生がおっしゃった医療機関にも差益があると。それは必要悪というか、歪なのか、本当は、医療機関は技術料として経営が成り立つ方が良くて、それを一緒にやらなくてはいけない」
田村議員
「おっしゃる通り毎回、年ごとに千数百億円、それは卸だとか、製薬会社のお金が医療機関等に補填されているような話ですよね。もし、卸や製薬会社が出せなくなった瞬間に、これ以上はウチも赤字になってしまうから安く入れられないよ、と言った瞬間に薬価差益を医療機関は取れなくなってしまう。破綻する時代がきちゃうかもわからない。と言うことは、それでも成り立つような診療報酬にするか、つまり、薬価ではなく…」
反町キャスター
「診療報酬を上げるという意味ですね?」
田村議員
「そういうこと。もしくは医療機関の効率化、運営の効率化でそういうところはある程度削減していくか。何かをやらないと、私はこの5年、10年の間に大変なことが起こるのではないかと思っているんです」
反町キャスター
「海外の他の医療機関と比べると日本の医療機関の収益構造というのは異常なのですか?」
田村議員
「取れませんからね。日本の医療費は高くないですよ。アメリカと盲腸1つを見ても金額が違うし、ヨーロッパと比べても日本の診療報酬単価はそんなに高くないです」
反町キャスター
「本来あるべき収益構造ではないという話というのは、ずっと議論にはなっているのですか?」
西沢氏
「なっていると思います。薬価差益というのは。だからこそ、薬局を分けるとか、成功していないですけれども、やっても実態はわかりにくい差益という。議論は論争的で、当局からは毎年改定をやれよと、そうすれば国民に還元されるからと、それもわかるし、やるならば病院が技術料として成り立つ報酬体系をセットでやって。製薬会社は、世界のメガファーマーの中で、20に入っているのは2つぐらいしかない中で、イノベーションを起こして創薬してもらわなくてはいけない中で、製薬企業が全部悪かと言うとわからない。もっと大企業に集約してもいいかもしれないし。ところが、儲け過ぎだろうと、わからない、だんだんジリ貧になっていった時に、ドラッグラグが発生したり、新薬が出なかったり、あるいは海外で売れないから国内で儲けなくてはいけないと国内の薬価だけが高くなってしまったら、ですから、確かに単年度予算で見ると、オプシーボの時にもありましたけど、少し切れば単年度予算は200億円が出るかもしれないけれども、単年度予算で200億円の投資を削ったばかりに、長期的な新薬開発ができなかったり、どこかに歪が出てくるかもしれないので、そこがうまく今年度内に議論されないと」
田村議員
「おっしゃる通りで、医療経済全体をこれから10年に渡って、どうまわすのかということを考えないと、ここだけ切って将来製薬メーカーが倒れるのか、それとも病院が倒れるのか、どれが倒れたって日本国民にとって幸せな話ではないので、そういう本質論を我々はしていきたいですね」
大塚議員
「基本的には薬価が高いという、いろいろとご指摘もある中で、我々の時でも、長期収載品を減らしていこうとか、こういうものの見直し、ジェネリック、後発医薬品を増やしていこうと。その流れは引き継がれ、課題は変わりませんから。やっていただいていると。これまで出ていなかった話で言うと、田村さんがおっしゃるように、日本の製薬メーカーとかが脆弱になってしまうと、新しい薬はほとんど海外からということになると、日本の医療費の支出、財政支出を含めて、最終的には海外の製薬メーカーに流れるという構造になってしまいますよね」
田村議員
「現在もそうなっていますよ、医薬品と医療機器」
大塚議員
「新薬もむしろ日本発で海外に出るようなものを生み出していかないと、結局、国富が海外の製薬メーカーにいくだけですから、そこの留意はちゃんとしていかなければならないですね」
松村キャスター
「ここからは健康増進、予防の推進を見ていきます。骨太の方針によりますと、健康・医療・介護のビッグデータを連結し、医療機関・民間等が活用できる保健医療データプラットフォームの実現ということなのですけれども、これはどのように予防につながるのでしょうか?」
田村議員
「ビッグデータですから、匿名化してしまいますから個人のデータとして使うよりかは、たとえば、こういう健康診断のデータがあります。その人がその後このような形で疾病が生じました。放って置くと、これが悪化して、結果こういう介護サービスを受けますというのがわかるんですね。これをどう使うかというのはこれからです。こういうものがわかってくると、たぶんこの時点で、早期に受診勧奨して、悪化させていなければ、そうしたらそのあとの医療費も発生しないし、介護の費用も抑えられるだろう、みたいなことを、ビッグデータを使っていろいろと解析しながら、いろいろな介護サービスだとか、特定健診みたいな、健康づくり、こういうものに使っていこうという話になるのですが、その前にやらなければいけないのは、保険者機能の強化、つまり、医療費を抑えて、健康管理と重症化予防するためには保険者がしっかりと機能を果たさなければいけない。これまでは、保険者はその人の資格管理だとか、保険料の値決めだとか、徴収だとか、審査だとか、支払いをやっていたわけですよ。だけど、そうではなくて、保険者は本来、自分のところの被保険者、会員の方の健康管理をしていくという大きな役割があるんです。そのためには特定健康診断は非常に受診率が低いところもあるんですよ。そこは、たとえば、協会健保なら事業主と保険者が連携しながら、労働安全衛生法で定期健診をやりますよね、健康診断。あれと特定健診の互換性みたいなものをしっかりと情報交換して、特定健診に準用できるようになれば、特定健診を受けてもらわなくてもそれを使えるわけですよね。そういうことをやりながら、一方で、保険者自体が、いろいろなこれまで特定健診の受診率が必要だったのですが。肥満がどれくらい減ったのだとか、喫煙率がどれくらい減ったとか、血圧がどれくらい適正化されたのだとか、そういうようなアウトカムを見ながら、良くなったところにインセンティブを保険者につけてあげようというので、1つは後期高齢者医療制度への負担金というのがあるので、それを10%ぐらい増減して、良いところにはちゃんとインセンティブをつけてあげて、悪いところにディスインセンティブをつけるというようなことをやるとか。それだけではなくて、各都道府県に保険者の努力というのをしっかり評価しようと、そういう制度をつくって、お金を交付金で入れてあげるだとか、そういうことをしながら、保険者の機能をしっかりと果たしてもらおうと」
大塚議員
「方向感はいいのですけれど、保険者は相当差がでますよね。これをちゃんとやれないところにペナルティを課すとか、そういう制度にできるのかどうかというところが最大の問題」
田村議員
「これまで1番脆弱だったのは国保だった。市町村単位だったんですよ。今度は、財政主体は都道府県にしますから、県にするからそれができるようになる」
大塚議員
「確かにね。でも、都道府県でもかなり差が出ますよね、おそらく」
反町キャスター
「藤田さん、医療改革について望むことにどんなことがあるのですか?」
藤田氏
「まずは低所得の人が医療アクセスからはじき出されることがないようにずっと願っているんです。社会参画の機会だとか、栄養状態が、誰が見ても悪いと、そんな状態が特に低所得の高齢者に相当広がっていますので、その人達がはじかれることがないように引き続き配慮いただきたいと思いますね。無料低額診療事業は、これは視聴者に知ってもおうということで、病院にお金がないとかかれないと思っている方が非常に多いのですけれども、各都道府県にこの無料低額診療事業を届出がされている病院があるんですね。特に低所得で窓口負担ができないよとか、あるいは保険証を持っていないよという方とか、そういった方が医療を抑制しちゃうというか、医療アクセスを自分からしないようにしてしまおうと思ってしまいますので、そうではないのだよという仕組みが実は取り組みがありますから、これもかなり増えているんですよ。この貧困低所得高齢者に対する手当てとか、早期発見早期治療を進めようということで民間が尽力していますので、このあたり助成をするなり、補助を手厚くしていくなり、していかないと医療アクセスがとれないという方が出てくるだろうなと。あともう1点、これは自治体に委譲するとなると、財源もちゃんと手当てしていただきたいなと思っていて、低所得の人達に対しては、特に先ほど、田村さんがおっしゃった国民健康保険の枠組の中で44条という法律があるんですね。低所得の人はまず保険者が窓口負担できない、手術代を払えないよという場合には、特別に減免するという措置がありますので、これも実は各自治体がお金がなく、財政的な余裕がなくて、この44条の特例措置を認めていないんですよ」
反町キャスター
「それは、国保を都道府県単位でやるという限りにおいては都道府県がこれの保険者になるという、そういう意味で言っているのですか?」
藤田氏
「現在は市町村で保険者としてこの保険を運用するという限りにおいては、地域格差が相当あって財源にゆとりがある自治体は特例を認めますし、ない自治体はまったく認めないと」
大塚議員
「先ほどの田村さんの話と、その44条を合わせると、無料低額診療事業を都道府県単位で法的にはできるということですか?」
田村議員
「そこまでは定かにアレしていませんが、今回、都道府県に権利を移すのに、自治体国保は一般会計から持ち出しているんですよ、かなり。そういうのがあるので、都道府県に財政主体を渡した時に、俺のところはそこまで面倒みれないぜという話があったので、消費税の財源とか、医療保険を総報酬割と言って、これまでは頭数で後期高齢者の負担金を分担していたのですが、それを所得に合わせという形にしましたので、そういうお金を使って、3400億円ぐらい全体でつくって現在入れている最中なので、ある程度、都道府県は、これは困っちゃったよ、という話ではなくなると思いますよね。財源を渡してしまうので、その中において対応できる分は対応いただく話になる」

田村憲久 前厚生労働大臣の提言 『健康管理と重症化予防』
田村議員
「医療費の適正化で、たとえば、先ほどから出ています、ベッドの数を減らすだとか、薬(価代)を下げるとか、ありますが、その必要な分はやりますけれど、それで医療が壊れてしまうと大変なことになってしまうので、まずは個人個人が健康をしっかり守っていただくことによって、ご本人も幸せですし、医療費も伸びを抑えられるということですから、これが1番だと思います」

大塚耕平 元厚生労働副大臣の提言 『D R M データ・適正・モラル』
大塚議員
「田村さんの補足する意味で、データに基づいて医療の分析をする必要がある。適正というのは適正価格、コストではないですよ、適正医療、的確で適切な治療行為や薬を使ってもらうという、つまり、過剰にならないようにした方がいいというところがあります。最後にモラル、お医者さんのモラルもあるし、患者さんのモラルもある。メーカーのモラルもありますし、皆が気をつけないとなかなか医療費のリーズナブルな価格という意味での適正化ができないと思いますね」

西沢和彦 日本総研調査部主席研究員の提言 『労働・薬・資本』
西沢氏
「この労働というのはお医者さんや看護師さんの人件費ですね。40兆円のうち、いくらかという、薬は10兆円ぐらい。資本というのは医療機器とか、建物とか。現時点では最適に配分されていないと思うんです。どこかが多かったりして、今後、予算が限られてくる中で、どこにきちんと出すかということをきちんと議論していく必要があり、現状を確認する必要があると思います」

藤田孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事の提言 『医療アクセスの保障』
藤田氏
「医療アクセスの保障を是非お願いしたいなと思いますし、そうしていくべきだなと思っています。所得の多い少ないにかかわらず、まず必要な人に医療をちゃんと提供する。これは保険を滞納したら、保険証を取り上げるとか、一部の自治体ではかなり酷い実例があがっていますので、全ての人が必要な医療が必要な分だけ受けられるようにと、当たり前の医療行政にしてほしいなと思いますね」