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2017年6月2日(金)
米パリ協定離脱の衝撃 ▽ 解剖『新成長戦略』

ゲスト

山際大志郎
自由民主党副幹事長 元経済産業副大臣 衆議院議員
平口洋
自由民主党副幹事長 前環境副大臣 衆議院議員(前半)
竹内純子
国際環境経済研究所理事・筑波大学客員教授(前半)
北神圭朗
民進党衆議院議員 元経産大臣政務官
第4次産業革命小委員会座長(後半)
伊藤元重
学習院大学教授(後半)

前編

パリ協定『米離脱』の衝撃 トランプ決断と国際秩序
松村キャスター
「パリ協定は2015年に国連気候変動枠組条約契約会議・COP21で採択された新しい地球温暖化対策の国際ルールです。197の国と地域が締約していて、産業革命前からの気温上昇を2℃未満にし、1.5℃に抑えることが目標となっています。罰則はありません。トランプ大統領がパリ協定離脱を決断した背景をどのように見ていますか?」
平口議員
「いろいろあると思うのですけれど。選挙の前からこれは公約のように言っておられたのですけど。ラストベルトと呼ばれるミシガン州のデトロイト、ペンシルバニア州のピッツバーグ、そこらへんとちょうど同じくして、石炭の労働者、その労働者の仕事を奪っているという感覚があるのではないかと思いますね」
反町キャスター
「大統領のスピーチ、パリ協定にアメリカが調印したのを喜んでいるのは、それはアメリカの国益が削られるからと。アメリカが貧乏くじを引くのを皆、喜んでいるだけだよと。石炭産業だって他の国は皆できるのだと、我が国だけできないのだと。結局、世界全体として石炭産業を削ることになっていないのだ、ただ、アメリカにおける石炭雇用を海外に移すだけだよという。このロジックはどうですか?」
平口議員
「石炭産業がダメなら他の産業が出てくるわけだし、シェールオイルとかですね。そういう点では、ちょっと近視眼的な見方だと言わざると得ないと思いますね」
松村キャスター
「竹内さん、いかがですか?」
竹内氏
「京都議定書とパリ協定の違いがわかっておられるのかなという気がしまして。演説でノン・バインディングなパリ協定と言いながら、強いられる負担と言っていまして、ちょっと理屈が整合していないですね。なので、ニュース番組でも、アメリカで長く気候変動関連の特集をやっておられた方が、その番組に出て、大統領はパリ協定というものをちょっとわかっていないようだというように批判されていたので。わかってなくてやっておられるのか、わかっているけれども、公約を守るということで演出しているのか。はたまた、いろいろな意味で、現在あるニュースから目を逸らしたいという意味があるのか、ちょっとよくわかりませんけれども。雇用を守る姿勢というのを強くアピールした。演説の中で最初に数字が出てきたのは雇用ですね。2025年までに270万人の雇用がパリ協定のために失われる可能性があるというようなことで。雇用について強調しているというのは、国民に対しての1つのメッセージであろうなと思いました」
反町キャスター
「環境で、よく言いますよ。環境に反対する皆さんはそういうことやることによって職が失われるのだ。一方、反対側の人達は、いや、グリーンに関係する産業が生まれれば、いろいろな産業が生まれるのだ。ここの行って来い、関係をどう見ているのですか?」
平口議員
「そうは言っても…。環境もいろいろ問題がありますけれども、この場合、CO2(二酸化炭素)削減ということなのですが。1回増えるともう減らせませんから。それで20年、50年オーダーの目標になるわけでしょう。取り返しがつかない世界をつくったら、いけないと思うんですね。だから、いろいろと工夫して、そこのところはやり抜くということだと思います」
反町キャスター
「敢えて裏返した言い方で聞くと、環境に対して、重きを置いた政策をやるということは、産業に対するダメージはある程度、覚悟して、皆で歯を食いしばって我慢しなくてはいけないというのが大前提で、それがパリ協定の1つの理念でもあるはずなのだと。そういう理解でよろしいですか?」
平口議員
「ええまあ、そうだと思いますね。それで197か国も参加しているわけですから。京都議定書の時は先進国だけペナルティを科すということをやめて、今度はもう先進国も発展途上国も皆、同じような条件でやるということなので。取り返しがつかない事態を防ごうということですから。少々の経済的な負荷というようなものは、それは次の問題だと思いますね」
反町キャスター
「山際さん、政治家としてトランプ大統領は支持率低迷に非常に苦しんでいるわけですよ。この間ちょっとシリアに60発弱、クルーズミサイルを撃ち込んだら、ボンと支持率が上がったりして。何かで支持率復活の手がかりを求めている、迷走している大統領がこれでもしかしたら人気が少しでも戻るのではないかなと思うという、その期待がここに出ているかどうか、どう見ています?」
山際議員
「それは政治家ですから、ゼロとはしないと思いますが。僕は、それが今回のこのタイミングでの発表になったとはちょっと考えづらいと思うんですね。先ほどの平口先生からのお話でもあるように、マクロで言えば、それは凹む産業と膨れる産業とがありますから、全体として見ればプラスになるというのは言えるかもしれませんけれども」
反町キャスター
「プラスというのは雇用が増えるという意味ですか?」
山際議員
「新しい産業ができて雇用が増えるということがあるかもしれませんが。問題は現在、従事している雇用者達が新しい産業に移れるかというと、違うプレーヤーになるということですよね。ですから、傷つく人達はいて、その人達は現にいる人達ですね。新しい産業が生まれたら、どういう方が雇用を得るかはわかりませんけれど、新しい産業の雇用者達はまだいないわけですね。そうすると、現在雇用を持っていて苦しんでいる人達の方を向くというのは、政治家ならば誰もがどうしてもそちらの方に引っ張られる現実はあるのではないでしょうか」
松村キャスター
「日本でもさまざまな反応がありました。その発言をまとめてあります。『もともと国際連盟をつくったのはどこだったのか、アメリカがつくった。それでどこが入らなかったのか、アメリカですよ。その程度の国だと思っている』と。山際さん、政府のこの受け止め、どう見ていますか?」
山際議員
「政府全体として言えば、その前のお二人の大臣がお話をされていたのが、言ってみれば模範的回答ということなのだろうと思いますし、その域を出た考え方というのは政府としてはないと思います。それは我々議員の側でも一致した見解です。しかし、皆、失望しているのも事実で。大きく失望したことが、こういう少し強い表現になったということなのかなと思います」
反町キャスター
「敢えて聞きますけれども。麻生さんというのは日米経済対話の日本側の代表ですよ。向こうはペンス、こちらは麻生ですよ。そういう形でこれからアメリカと経済問題、農業やら、その他諸々の2国間の、バイの協議を向き合ってやっていかなくてはいけない時に、この発言がアメリカにキャリーされるどうか僕は知りません、けれども『その程度の国だと思っている』というこの発言。竹内さんに聞いた方がいいかな。竹内さん、これはちょっとわさびが効き過ぎだと思いません?」
竹内氏
「かなりツーンとくる感じはあるかなと思います。ただ、まさにトランプ大統領が演説の中で、他の国がアメリカのことを嘲笑するのをこれでやめさせるのだというようなことを言っているのに、たぶん突っかかっていった形にはなっているかなとは思います」
反町キャスター
「麻生さん、ちょっと言葉がすべったのではないかなという気もするのですけれども。ここはモヤッと静かに終わらせることになるのかどうか、危惧はあまり持っていませんか?」
山際議員
「私はそんなに心配しなくていいと思います。目前に控えている経済のもっと交渉しなくてはいけない問題というのはもっとたくさんありますし。こんな一言で、そういうことを先に進めないなんて話になれば、それこそ日本もアメリカもどういう国なのよと言われてしまう話ですよね。ですから、それほど大きくなる話ではないのかなという気がします」
反町キャスター
「平口さん、この麻生さんの発言、どう感じていますか?取りまとめた当時の環境副大臣としてみたら、このくらい、お腹の中で思っているのではないですか?」
平口議員
「いや…。麻生さんの発言は今ひとつわからないところもあるのですけれども。環境問題というのは加害者と被害者とあるんですね。被害者はどちらかと言うと発展途上国。だから、まだ開発はしていないのに、海面は上がるとか、そういう国々があるのですけれども。加害と言うと表現が悪いのですけれども、加害をしたその張本人のアメリカが、勝手に抜けたと。いったい俺らはどうなるのだという声は、190いくつあるかわかりませんけれども、かなり大きいと思いますね」
反町キャスター
「トランプ大統領のスピーチは明らかに自国は被害者になるのだという。パリ協定においてアメリカは被害者なのだと。平口さんが言われたような、先進国がある程度、地球温暖化を進め、それが発展途上の国の、たとえば、環境とか、水面に影響しているというロジックに立った場合に、トランプさんの発言というのは明らかにずれているのだというのを誰かが言わなければいけないのではないのですか?」
平口議員
「そうですね。そう思いますよ」
反町キャスター
「日本がアメリカにズケズケ言っても…どうなのですか?環境問題で日米間の話し合いは具体的にこういうこと言える関係にあるのですか?」
平口議員
「言えると思いますけれども、やんわり。政府がやることですから、やんわりとそれを伝えると思いますね」
反町キャスター
「竹内さん、日本はアメリカに対して言えることがあると思います?」
竹内氏
「いや、言っていただかないと困るというか。私、先ほど、突っかかっていったと申し上げましたけれども、それぐらい言っていただいて、良かった部分もきっとあるのだろうなと思います。アメリカに対しては粘り強く、もちろん、働きかけていくのは当然として、日本としての立ち位置というものも本当によく考えなければいけなくて。対アメリカを考えるだけではなく、国際的にこれからたぶんEU(欧州連合)と中国が非常に近くなって、我々はやるのだと、我々は良い子ですよね、という中で、アメリカに対して常に手を差し伸べるではないですけれども、常にインバイトするような形で。これからルール策定についての具体的な議論が加速していく中で4年後なり、何なりを考えると、彼ら、アメリカが戻ってこられないような決定的なルールにしてしまってはいけないわけで。非常に難しい舵取りを迫られると言いますか、ルール策定の中で、声が大きいアメリカが出ていってしまった中で、アメリカが帰って来ることを想定し、来られるような土壌づくりのルールづくりをしなければいけない。それはひいては日本なり何なりのためでもありますし、パリ協定の成熟というためでもあるのですけれども。そういうことをしなければいけないので、交渉戦略自体も非常に難しくなってくるとは思います」
松村キャスター
「日本の経済界の反応を見ておきますと。日本商工会議所の三村会頭は『アメリカなしの協定は、発展途上国に対する資金援助・やる気を含めて効果を減殺するものにならざるをえないわけで非常に残念』、経済同友会の小林代表幹事は『パリ協定採択時に共有した危機感を再確認し、協定の枠組みの順守に向けて約束を固めていくべきだ』と述べています。竹内さん、今後の日本経済への影響はどう考えられますか?」
竹内氏
「日本の経済界に直接的な影響が、このパリ協定離脱のこの宣言によってあるというのはなかなか考えづらいかなと思います。ただ、もし影響があるとすると、アメリカ国内の対策の見直しという方が、むしろ何らかの影響があるのかなと思いますけれども。このことでダイレクトにということは確かにないのかなとは思います」
松村キャスター
「山際さんは日本経済への影響はどのように見ていますか?」
山際議員
「完全に市場は織り込み済みですよね。ですから、驚きがないわけです。市場というのは期待で動くわけですね、良い意味でも、悪い意味でも。ですから、驚きがないということは期待もしてないので、変化がないということなのだろうと思います。ただし、エネルギーの分野に関しては、これは少なからず、少なからずというか、大きな影響を与える可能性は秘めていますよね」
反町キャスター
「それは、要するに、シェールとか、諸々、たとえば、環境にダメージを与えるかもしれないと言われている掘削技術も全部それにもうブレーキがかからないと、そういう意味で言っている?」
山際議員
「そういうことです。かからないという明確なメッセージをアメリカの大統領が発するということになれば、先ほどのお話のように、アメリカはエネルギーの輸出国にもなっていますから、世界のエネルギーマーケットに対する影響力というのはあります」
反町キャスター
「そうすると、原油価格が下がる可能性がありますよね?」
山際議員
「いや、ただ下がるのかどうかというのはわからなくて。それはOPEC(石油輸出国機構)というのもありますから。そこでどういうドラマが起きるかは別にして、少なからず影響を与える可能性はあると、そこは考えておいた方がいいと思います」
松村キャスター
「ここでアメリカのパリ協定離脱に向けたスケジュールを見ます。すぐに離脱というわけではありません。2016年11月にパリ協定が発効したため、3年後の2019年1月から脱退を通告することが可能となります。さらに離脱できるのはその1年後です。2020年11月ということで、現在からですと、実際の離脱は3年半後の見通しとなるわけですね。平口さん、その間にアメリカの動きとしてはどのようなことが考えられますか?」
平口議員
「この問題は、州ですか、カリフォルニア州とか、あるいはティラーソン国務長官の出身母体のエクソンモービルとか、GMとか、諸々の分野に及んでいますから。この流れは変えられないと思うんです。だとすると、トランプさんが、1人イキがっているような感じが見えますね」
反町キャスター
「そう見えます?」
平口議員
「見えますね」
反町キャスター
「パンと言ってみたものの、周りからジワジワ絡みつくような感じでだんだん大統領のトーンが落ちていくみたいな、そんな感じで見ていますか?」
平口議員
「地球温暖化の防止というのは大きなテーマだということにならざるを得ないかと思います」
反町キャスター
「竹内さん、どうですか?どう見ていますか?今後のスケジュール…」
竹内氏
「今後のスケジュール、2020年11月に最速でいうと離脱するということになるわけですけれども。その前日…11月4日が最速の通告で、離脱で、アメリカの大統領選挙がその前日ですよね、11月の3日なので。非常に次の政権次第ということで、本当に選挙次第だなというところもあります。先ほどの日本への影響なのですけれど、ちょっと一言加えさせていただくとすると山際先生がおっしゃっていただいた通り、これからアメリカというのが最強のエネルギー大国になっていくというところがありまして。石炭も出る、天然ガスも出るというようなところで、非常にエネルギーでは強者になるわけですよね。日本の産業界がアメリカの産業界と競争していくという点で考えるとすると彼らが圧倒的な優位に立つというようなことに加えて、日本の政府はちょっと炭素税とか、いろいろ検討していますけれども、そういったところで、炭素にコストを乗っけて、その使用量を抑えていこうということも検討しているわけですけれど、アメリカの方は、それは決してやらないというようなことの姿勢を示していますので。そういったところで競争力という点でちょっと影響が出てくる可能性というのはあるかなと」
反町キャスター
「アメリカが強くなりますか?」
竹内氏
「強くなると思います」
反町キャスター
「何度も言うけれども、もともと非常に緩いパリ協定ではありながら、そのタガを外すことによって、さらに元気になるものなのですか?」
竹内氏
「なので、先ほど、影響ないと申し上げたのですけれども、離脱で影響がというよりも、これはトレンドだからと私は思ったのですけれども。一応、エネルギーについてなので申し上げておくと、そこのタガが緩んだことで、さらに市場に対するメッセージとして、ここから化石燃料市場、化石燃料関連産業がそういった方向に振れていくとすると、強くはなるかなという可能性は一応、考えておかないといけないかなと思います」
反町キャスター
「ただ、山際さん、敢えて聞きますけれど、たとえば、石炭産業がアメリカの中で潰れずにすみます、長持ちしますと言ったところで、結局、それは、たとえば、高度に洗練された産業に比べたら生産性も当然低いわけです。それが残ることによって、アメリカ全体の国力が、GDP(国内総生産)が元気になるのかと言えば…。もしかしたら、要するに、日本でよく言われた、ゾンビとは言いませんけれども、ゾンビですわ、ゾンビ産業が生き長らえることによって、アメリカの経済はかえって疲弊するのではないかと、こういう感じにはならないのですか?」
山際議員
「長い目で見ればそういう面はあるのだと思います。ですから、言ってみれば心あるアメリカ市民は、これではいけない、という意見を言っている方がいらっしゃるのだろうと思いますが。しかし、エネルギーだけは、エネルギーを持っている者と、持っていない者というのは、これは決定的な差なわけですね。ですから、それは自分の国に安く使えるエネルギーがあるならば、そこに関しては掘れば出てくるわけですから。ですから、非常に古い産業のように見えても、コストを非常に抑えて、安くエネルギーを調達できるという仕組みがもうできあがっているわけですよね。それを復活させるというのは結構、長持ちするのではないでしょうか」
反町キャスター
「そういう意味で言うと、アメリカの経済だけを考えた場合に、もしかしたらトランプ大統領のやったこと『Make America Great Again』になる可能性がある?」
山際議員
「むしろオバマ政権の時にかなり虐められていたという感じだと思うんですよ」
反町キャスター
「そのへんの産業が?」
山際議員
「ええ。環境、環境と、舵を思い切り切っていましたから。そうすると、いろいろな規制をかけ、開発もできない、ビジネスもできないという状況になっていたところに、タガを外しますというメッセージと考えた時には、それは元気になりますよね」
反町キャスター
「平口さん、いかがですか?タガが外れると元気になる産業?」
平口議員
「そうですね、短期的にはそうかもしれません」
反町キャスター
「そうなりますか。今後のアメリカ経済というのはもしかしたら元気になっていく可能性がある?」
平口議員
「中長期的には、どうなるかはわからないですよ、でも」
反町キャスター
「と言うことは、つまり、中間選挙、次の大統領選挙だけ、2年、3年のスパンだけで考えているとすれば、トランプさんが自分の身の振り方を。それを考えれば、今回の選択というのは、もしかしたらアタリかもしれない、そう思いますか?」
平口議員
「いや、いや…」
反町キャスター
「どうですか?」
竹内氏
「ごめんなさい、先ほども申し上げたのは石炭がそこまでリバイバルするというところまでは申し上げていないです。どんな予測を見ても、シェール価格が下がっていくとすると、価格競争で石炭は負けていくだろうというように言われているわけですけれど。ただ、シェールの開発規制が、山際先生がおっしゃっていただいた通りに、撤廃されるとすると、全体的には雇用が短期的には増えるという可能性もあると思います」

後編

『技術革新』と日本の未来
松村キャスター
「政府は先月30日、新たな成長戦略の素案を提示し、これから集中的に投資を行う5分野を位置づけました。それがこちらです。『移動革命の実現』『健康寿命の延伸』『サプライチェーンの次世代化』『快適なインフラ・まちづくり』、金融と情報技術が融合したサービス『FinTech』ということなのですが。まず山際さん、政府がこの5分野を打ち出した意図・狙い、どこにあるのでしょうか?」
山際議員
「この成長戦略というものは安倍政権になってからつくってきた成長戦略が、これまでの成長戦略と1番違うのはどこかと言うと、民間では当たり前なのですが、PDCAをしっかりと回していくということ。そのことによって成長戦略そのものを成長させるということですね。そういう意味で言いますと、中長期的な目標も掲げますけれど、現実に実現できるものを並べていくというのが大前提になります。そうしますと、今言った5つの分野というのは日本が現在抱えている非常に大きな課題そのものであり、かつ日本が持っている強みのある分野でもあり、日本が開発をしている新しい技術もここで活かせると。その3つをかけ合わせるとこの分野において実際に我々国民が目に見える成果を味わえる、そういう分野だということで、この5つになっていると理解しています」
松村キャスター
「今回の成長戦略なのですが、伊藤さんが部会長を務められた経済産業省の新産業構造部会が出した新産業ビジョン、これが土台となっているということですが、現在の時代における成長をどのように捉えて、新産業ビジョンを立ち上げたのでしょう?」
伊藤教授
「大事なことは技術がこれだけ大きく変わってきているということで、単なる直線的な成長ではなくて、我々の働き方だとか、あるいは組織の関係だとか、いろいろなものが現在、変わってきているのだと思うんですね。そういう意味での変化みたいなことを実感できるということが重要で、いろいろな変化があるのですけれど、1つ、たとえば、典型的な例で、働くということを考えた時に、これは前からいろいろな人が言っている話ですけれども、働くということを英語に敢えて直すとすると3つあると思うんです。産業革命の前は皆、レイバー(labor)だった、力仕事だったわけです。ところが、産業革命で、レイバーが、機械がやってくれるようになった時に、皆、ワーカー(worker)に変わっていったのだろうと思うんです。機械の操作で仕事したり、あるいは事務仕事だったりと。現在、起きていることというのは、ワーカーの仕事が、AI(人工知能)とか、IoT(モノのインターネット)に取られようとしている。それが非常にマイナスに捉えれば、仕事が奪われるということなのですけれども。でも、考えてみたら、レイバーの人達が昔、仕事が奪われると機械を壊したのですけれども、それはあとで考えたら滑稽な話であったわけで。次の働き方を考えると、これはプレーヤー(player)というのがある意味、うまく当たっているのではないか。確かに、たとえば、小澤征爾さんとか、指揮者の、あるいはスポーツ選手のイチローさんのことをプレーヤーと言っているし、遊んでいるわけではないから。でも、そういう非常にある意味では、非常に花形な人だけではなくて、要するに、人間にできること、人間らしさみたいなものは何かということを考えてくると、おそらく働く方もそうやって変わってくると、我々のライフ、生活そのものが変わってくるのだと思うんですね。こういうことをいろいろな、これは働くということなのですけれども、次元で考えられるかどうかということだろうと思います」
反町キャスター
「たとえば、我々の現代社会にレイバーがいないかと言えば、ありますよね。昔は全部がレイバーだったのが、次の時代ではレイバーとワーカーになって、現在はレイバーとワーカーとたぶんこれからプレーヤーと、3種の働き手が混在するような社会になってくるような、イメージですよね?」
伊藤教授
「それぞれ人によって得意、不得意がありますからね。私はたぶんレイバーをやってもダメだろうと思っています。反町さんはどうかはわかりませんけれど…。だから、それぞれの働き方が広がってくるということで。しかも、それを機械とか、システムが少し助けてくれることによって全体としてこれまでできなかったことがいっぱいできるようになるということだと思います」
反町キャスター
「つまり、働き方というか、社会構造というものが、どうしても技術の発展とか、機械の進歩みたいなものと相関しながら人間の立ち位置が決まっていくみたいに理解した方がいいのですか?」
伊藤教授
「ただ、現在の技術は非常に特殊な技術で、たとえば、ロケットを飛ばすとか、あるいはバイオで新しい開発をすると言ったら研究者が研究室でずっとやっているんですよ。それで成果が出たら、それが外へ出ていくんですね。ところが、AIとか、IoTの世界というのは、医療だとか、あるいはeコマースだとか、実際に実験したら、人間が感じながら、そこでこんなことができないだろうかという生活のレベルと、その技術のレベルがかなり連動しているところがあるんです。だから、ある意味で言うと、これは技術革新であると同時に、社会の革新でもあるわけで。それは革新というのは良いものであるということでは必ずしもないかもしれませんけれども。ただ、それがすごいスピードで起きている。それを我々の社会の中にどうプラスの形で取り込むかというのが現在の成長戦略の中で非常に重要だろうと思う」
松村キャスター
「ここで具体的に新たな成長戦略の中身を見ていきます。まずは1人の運転手が運転するトラックを後続の無人車両が追いかけているという、成長戦略の素案によりますと2022年の商業化を目指しているということです。政府は都市部でドローンによる無人配送も2020年代での本格化を目指しています。山際さん、これらの可能性というのをどのように見ていますか?」
山際議員
「可能性は、100%です。あとは時間軸だけです。政府が掲げている2020年まで本当に待たなくてはいけないのかどうかというのも、前倒しをされる可能性の方が強いと思います。と言うのは、技術的にはもう十分できる技術というのがあるのですが、技術が進むだけではダメですね。それにプラスして、社会がその技術を受容するかどうかということがすごく重要で。それは自動運転で車を動かした方が、事故は必ず少なくなると思いますよ。一般の人間が運転している車で事故を起こしてもニュースになりませんが、自動運転で無人の車が事故を起こした瞬間にすごくニュースになるではないですか。社会でそれが当たり前のことではない、受容されていないからですね。ですから、我々の社会全体が、もちろん、リスクはゼロではありませんので、そういうリスクも受容していくというところまで含めて、政府としては固目に、2022年だとか、2020年代にはという表現で目標を掲げているということなので。技術的にクリアされていると思っていいと思います」
反町キャスター
「無人運転でトラックが4台連なって行く場合と、それぞれドライバーがいて行く場合と、どちらが事故の発生率が高いかとか。ドローンにしても配送業者の方がそれぞれ個別に1軒1軒まわっていく場合と、ドローンで飛ばしていく場合…、誤配の可能性とか、事故の可能性というのは、数値化するほどのデータはまだないですよね?」
山際議員
「ないと思いますね。しかし、ないのですが、前回出させていただいた時にも言いましたけれども、とにかくセンサーというのは、要するに、知覚ですね。人間の能力をはるかに超えるわけ、機械は。あとは計算能力も、人間の計算能力をはるかに超える。反応してアクションを起こすというのも、人間の能力をはるかに超えるわけですね。ですから、機械の方はドンドン進化していきますから、現在の段階ですら、1つ1つの要素は、人間の能力を超えていますから。それがさらに進化をしていけば当然、人間よりも優れた形になるというのは、この分野においては至極当然と思った方がいいと思いますね」
反町キャスター
「これは移動革命ということで2つの例、トラックの話とドローンの話をしましたけれども、現在ほぼ同時に2020年にはと、こんなイメージですか?」
山際議員
「この成長戦略は見える近未来というものを示さなければいけないので。10年後の姿、20年後の姿と書いていないわけではありませんけれども、KPIをつくって、目標をつくって…」
反町キャスター
「KPIとは何ですか?」
山際議員
「数値目標も含めた、いついつまでに、こういうものをやりますという目標、それを定めて、そこに向かって進んでいきますということをコミットしているわけです。それで2020年だとか、2022年だという、目の前で見えるところをそこまでにできるものというのを並べてあるものですから。それはできると思います」
松村キャスター
「北神さんは、この移動革命の実現、可能性どのように感じていますか?」
北神議員
「技術的にはおっしゃるようにできると思いますね。ちょっと敢えて言いますと、いろいろな規制を変えないといけないところが重要なところで。国民の受容する心、意識改革も必要ですけれども。行政の方では、たとえば、ドローンでも、操縦者の名前を、飛行機の経験、操縦をした経験のある人が一応申請する時に書かないといけないんですよ、国土交通省の申請書に。先ほど、おっしゃったように、自立運転の方が全然、安全なのに、いまだにそういう古い発想で国土交通省はいますので。そういったところが、別に操縦者の名前を書かんでいいということを決めたりですね。あとドローンの空の道路と言うか、どこを通っていくのかというものもいろんな天候・気候条件とか、地形とか、そういったものを含め、決めていかないといけないと。だから、こういったことを行政がやるということをたぶん盛り込んであるのだと思いますけど」
反町キャスター
「区域規制も視野に入るのですか?」
北神議員
「区域規制もたぶん出てくると思います」
反町キャスター
「大変ではないですか?」
山際議員
「大変ですが…」
反町キャスター
「1機、2機、飛んでいるのだったら別にいいけれども、皆、ブンブン飛ばしたら…。どうなっちゃうのですか?」
山際議員
「いや、だから、それがちゃんとコントロールできるようにルールをつくっていかなくてはいけないということももちろん、成長戦略の中に盛り込んであるわけです」
松村キャスター
「ここから健康寿命の延伸とデータの利活用についてです。政府が健康寿命の延伸を目指すために1番の力を入れようとしているのがデータの利活用基盤の構築です。現在、バラバラになっています、健康・医療・介護のデータを一元的に把握できる仕組みを整備するもので、データをニーズに合わせて公開していくことも考えられているということです。一元的に把握できることによってどんな変化が起きるのですか?」
伊藤教授
「いろいろなレベルがあるのですけれど、既に動いているのが1つありまして、レセプトと言って、要するに、病院にかかると後の診療代、あのデータを一元的に集めていて。何がわかるかと言うと、たとえば、胃に穴を開け、食べ物をやる胃ろうがありますよね、日本はちょっと過多だと言われていますけれども、それがどの地域が多いかとか、どの地域では、MRIと言うのですか、この機械がやたら多いとか。いろいろな他の変数を取るにしたがって、そうやってまず実態が、何が起こっているのかというのがわかると、たとえば、医療改革をやりやすい。最初のレベルですね。もっと個人レベルまでいけば、さらに治療と健康状態を見ることによって、治療をもっといいものを標準化していくとか。いろいろなレベルがあるのですが、日本が非常に強いのは国民皆保険、国民総アクセスで、データをこれまで必ずしも十分使えていなかったのですけれども、これをまとめることができるとたぶんいろんな可能性がここから出てくるだろうと思いますよね」
反町キャスター
「それはプラスマイナスの、過剰診療とか、二重診療とかダブっている過剰なものを削るという意味なのか、ないしは足りないところにはめていくのか?」
伊藤教授
「技術とは関係ないのですけれど、スウェーデンで非常に有名な研究があって、50年ぐらい前は小児白血病で死ぬ方が85%ぐらい、1年以内に死んだのですよ。ところが、よく調べてみると、正しい治療、いい方法をやっている人はそんなことがないわけです。ただ、ほとんどのお医者さんがそれをやっていないわけです。だから、それを広げるだけですね、死亡率を20%ぐらいまで下げたというので、これはIT(情報技術)とは関係ないのですけれども。こういう技術を、情報技術が出ると、そういうことがいろいろなことで細かいことでできるということで。情報を一元化していくというのは重要で。アメリカは圧倒的に、たとえば、グーグルとか、アップルと言っているわけですよね。ただ、大事なことは、比較優位ですから、我々は同じところと追っかけてもなかなか厳しいと、だから、そういうのは、我々は利用すればいいのだけれども。日本は何が強いかと聞いてみると、たとえば、データの世界で言うと、リアルデータ、つまり、インターネットのデータではなくて、病院のデータだとか、工場の中のデータだとか、そういうものをどう活用するかと。そうすると、医療の分野、健康の分野というのは、非常に日本にとって見ると可能性が高い分野だと。これは日本のためだけにやるのではなくて、将来はもちろん、そういうことを海外にも、いろいろな形で発信できると思います」
反町キャスター
「山際さん、ここにどんなビジネスチャンスがあるのですか?」
山際議員
「この成長戦略の中に書き込んであるのは、5000万件ぐらいの個人のデータを突合させるということ。要するに、健康データというのを医療機関にかかった時のデータ、介護のデータ、皆、バラバラですね、1人の人間でも。それを1つに集めていくということだけで、その人のトータルのデータというのが揃いますね」
反町キャスター
「それは歯科とか、耳鼻科とか…」
山際議員
「そういうのも全部です。そうすると、この人がデータを使うことによって、先ほどの言った、過剰診療のようなものはなくすことができるという部分がまずあります。それ以外にビッグデータとして匿名化することによって、ある病気の傾向を分析したり、あるいは疫学と言われるように、どういうことが起きると次にどんなことが起きて、感染症が広がるのかみたいなことも、全部そのデータを使うと見えるようになってくるわけです。ですから、データがあるだけでは世の中、何も変わりませんけれど、そのデータが利活用できる環境を整えますということですから。それが整った瞬間にいろいろな人がいろいろな知恵を持ち寄って、いろいろなサービス、これまでやれなかったようなことというのがドンドンできるようになるので。正直言って、我々としても揃えるところまではやりますが、そのあとどんな化学反応が起こるかということを、この場で、こんなことができます、あんなことができますという想像ははるかに超えると思うので、言い切ることはできないぐらいのレベルだと思います」
松村キャスター
「健康・医療・介護などの公共データオープン化とともに今回、課題として挙げられているのが、企業間のビッグデータの共有です」
反町キャスター
「ビッグデータの取引とか、やり取りと言うと、言葉として理解できても、別にマーケットがあってこれを売る、買う、そんなものでもないですよね?」
伊藤教授
「そういうものもあると思うんですけれど」
反町キャスター
「どんなイメージで理解したらいいのですか?」
伊藤教授
「まず大事なことは、ビッグデータから入らないといけないと思うんですよ。つまり、これまでは皆、現場の勘だとかでやったのだけれど、それをまずセンサーで情報を大量に集める。たとえば、動いている機械にセンサーがついていて、どういう稼働状況になっているかと。それがデジタルデータだから、他に共有できるわけですよ。たとえば、Aの工場で動いている機械の状況のビッグデータみたいなものが、たとえば、Bの工場で動いている他の機械の方にも出てくると。そういうような形で、データをたくさん集めて、それをつなげていくというところから入ると思うんですね。それで、たとえば、自動車を例に考えればわかると思うのですけれども。自動車工場がありますけれども、そこに何百、何千という部品メーカーが部品を提供していて、設備業界がいっぱい機械を提供していて、つくられた自動車はディーラーで売られていく、このデータをリアルタイムで共有できるということは生産や技術力の効率活用に非常にいいわけです。現在はそれをもうちょっとアナログな方法でやっているのだろうと思うのですけれど。さらにそれだけではなくて、過去の経験で、こういうところで機械が壊れやすいとか、こういうことをやるとマズいということが蓄積されてくると将来、良くなってくると。だから、共有とは基本はプラットフォームという大きな枠の中に皆が乗っかって、情報をお互いに利用しながら、より効率化していくと。その中で1部はもちろん、情報の売買ということもあるかもしれないですけれども」
反町キャスター
「なるほど。結果的にプレーヤーが少なくなっていく、市場の独占とか、寡占とか、そういうものに…。結局だって、皆、同じ情報を共有して同じものをつくっていくのならば、別に企業間で競争するのではなく、資本も全部一緒くたになった方がより生産性が高まるし、安くできるよねと、こういう話になっていくものですか?」
伊藤教授
「いや、それはたぶんそうならないのではないですかね」
山際議員
「ここは皆でやった方が、効率がいいですねと協業を1回決めるわけですよね」
反町キャスター
「僕は別に独占・寡占が悪いと言っているわけではないですよ。ただ、結果的に、たとえば、日本の家電業界なら多過ぎて、過当競争になって、国際市場に出ていく力を失っているという理屈がもしあるなら、国内にでっかいチャンピオンをつくって、それが海外に出ていった方がいいのではないかという話がよくあるではないですか。そういう意味で、日本のいくつかの産業において国際競争力を高めることにはなりませんか?」
山際議員
「なると思います。バーチャルの、インターネットの世界でのデータというのは、いわゆるガリバーと呼ばれる2社か3社でプラットフォームを押さえられてしまっているわけですね」
反町キャスター
「それは、ちなみに海外の企業?」
山際議員
「海外の企業ですね。ところが、工場の中の機械がどのように動いているのかというのは、まさにリアルに動いているわけですよね。そのデータはインターネットに乗っかっているかと言うと乗っていないわけです。ですから、モノづくりにせよ、何にせよ、現場が強い我が国だからこそ、その現場のリアルなデータというものは、リアルデータとして、それをビッグデータにすると、それは競争力の源泉になると。これまではデータを集めることができなかったから、データが飯のタネになるというのは、マーケティングの世界ぐらいしかなかったんです。ところが、これからは、データ駆動型の社会と呼ばれるように、あるいはデータは21世紀の石油なんて呼ばれるようにですね。データというものがあって、そこからビジネスが生まれてくる。そういう形に本当に違った概念に変わっていますので。そうなると、先ほど言ったように、リアルのデータに関しては、おっしゃるように、これは日本の強みとして、それを外国に持っていかれないようにビジネスとしてちゃんとやれるようにするというのは、強みになると思います」
反町キャスター
「よろしいのですか、その話で?」
伊藤教授
「そういうことですね」
反町キャスター
「製造現場におけるデータ、それをリアルデータとしてビッグテータ化して、日本の企業の間で、産業界で共有していくというのは、他の国ではあまり行われていないものなのですか?」
伊藤教授
「もちろん、ドイツもインダストリー4.0としてやろうとしているのですけれど。これは日本が得意だった分野ですね。たとえば、日本のトラクターが、建設機械が、中国やアメリカに売られた時に、そこにもうセンサー入っているわけですよ」
反町キャスター
「コマツさんがやっていますよね」
伊藤教授
「名前を言っていいんですね…。そういうことは少しずつやっていたのだけど、それをもうちょっとシステマティックにいろいろな企業が入ってやるということと、それから、IoTの重要なことはこれまでと次元が違うぐらいの情報を集められるということなんだよと思いますよね」
北神議員
「ここで政府が言っているのは、意識が、企業が、A社がこれは自分達のデータだと、だから、提供したくないと。だから、そこを促すためにも、意識改革するために、共通の契約のルールみたいなものをつくって。たとえば、子会社が自分の元請けのところにデータがほしいですというようになかなか言えないと。そういうところで、政府がこういうルールがあって、これは大袈裟に言えば、公共の利益になるからと、公共財だから、皆さん、協力してやりましょうという促進、ちょっと背中を押してあげるという意味合いも大事ですね。そうではないと皆、古い概念で、古い観念でいけば、これは俺達のデータだから、なぜあんな下請けの会社に渡さないといけないのだというような意識から変えて。これは皆でビッグデータにしたら、皆、競争力が高まりますよと、ここ重要なことだと」
反町キャスター
「でも、親会社にしてみたら、自分のパーツサプライヤーが、たとえば、4社あるとしても、コイツ、見込みがあるからコイツを育てたいと、ここにウチの企業からいっぱい天下りが行っていると思ったら、ここに集中的にデータを流したくなると、これは企業の理論としては当然ではないですか?」
山際議員
「だから、それはオープン・クローズ戦略ですから、どこのデータは出して、どこのデータは出さないというのは企業の側で選べばいいと思うんです。だけど、現在、北神さんがおっしゃったように、インセンティブがなければ、企業の側からしたらデータを出す意味がないですね。だから、これがビジネスになるのだよと、ビジネスをやろうとしてもルールがないのではビジネスになりませんよねと、だから、ビジネスをやるためのルールというのはある程度、公の方で。たとえば、契約をするならこういうガイドラインをつくるから、こういうので契約したらいいのではないですか、というのをつくりますということが書かれているわけですね」

山際大志郎 自由民主党衆議院議員の提言 『課題解決先進国』
山際議員
「日本は世界に先駆けて課題先進国と呼ばれているんですね。超少子高齢化であるとか、六重苦と言われるのもそうですが、世界に先駆けて課題があるわけですから。それを解決すれば、課題解決先進国になる。それがまさに第4次産業革命であり、それを成し遂げた姿がSociety5.0と言われるもので、それを成し遂げるための羅針盤というか、処方箋がこの成長戦略であると思います」

北神圭朗 民進党衆議院議員の提言 『伝統と革新』
北神議員
「成長というのは技術革新が1番大事で、願わくば自前のものがあればいいと。あと追いする必要はないですけれども、第5次技術革新ぐらい、目指すべきだと思います。それには伝統というのが大事で、人工知能も日本の匠の技というものが活きますし、伝統を踏まえて、技術革新をするということが重要だと思いますね」

伊藤元重 学習院大学教授の提言 『イノベーションの大衆化』
伊藤教授
「2か月ぐらい前にインドに行った時に、インドの若い技術者が言ったんですね。昔は大企業に入らないと技術革新ができなかったのだけれども、現在はやる気さえあれば、1人でも2人でもいくらでもできると。イノベーションが社会を大きく変える最大のポイントというのは、いかに多くの人がここに関わってくるかということ。そういう意味では、いろいろな実験が医療やドローンとか、いろいろな実験ができるようになってくると、それはイノベーションをさらに広げていくということだと思いますね」