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2017年5月24日(水)
麻生・山東派が合流へ 自民派閥の利害と思惑

ゲスト

山東昭子
自由民主党 山東派会長 元参議院副議長
今津寬
自由民主党 額賀派事務総長 安全保障調査会長
山田惠資
時事通信社解説委員長
山崎拓
元自由民主党副総裁(後半)


前編

麻生派 山東派などが合流へ なぜ都議選後なのか?
秋元キャスター
「今日は自民党の派閥の役割と今後の政局を考えます。7月の東京都議会選挙後に2つの派閥などが合流し、新しい派閥が誕生することになりました。新しい派閥は今後の政局にどのような影響を与えることになるのか、新派閥結成の背景や今後の派閥の役割など、さまざまな視点から話を聞きます。7月の都議会選挙後に自民党に誕生する新しい派閥について話を聞いていきます。自民党の派閥の勢力図があるのですけれど、現在自民党には、安倍総理出身派閥であります細田派をはじめまして、岸田外務大臣が会長を務める岸田派、二階幹事長が事実上率いている二階派など大小さまざまな派閥やグループがあります。その中の副総理兼財務大臣であります麻生さんが会長を務める麻生派、今日のゲストの山東さんが会長を務められています山東派、谷垣グループから離脱した議員で構成され、佐藤勉衆議院議員運営委員長が会長を務める天元会のメンバーが合流することに合意をしました。およそ60人規模になる予定で、第1派閥細田派に次ぐ第2派閥が誕生することになるのですが。山東さん、都議会議員選挙後の合流になるのですけれど、まずなぜこのタイミングで合流決定ということになったのでしょうか?」
山東議員
「2大政党が望ましいと言われていたわけですけれども、国民が選んだ民主党が国家に対して損失と混乱を与えたということで、やはり自民党でなければ、という形で、国民の皆さん方が現在、支持してくださっているわけですけれども。ただ、こう見ていますと、安倍内閣、一生懸命がんばっていますけれど、なんとなく外から見ると色が1つに見えるような気がするんですね。昔ご承知のように、5つの派閥があった時には左から右まで非常に幅広い論議がなされ、それがいざという時には一致団結して大きな固まりになっていたということだったと思うんです。そういう点で、それぞれ保守でもいろいろな色があると。ですから、私達は本当に少数であったけれども、保守清流ということで」
反町キャスター
「清流?」
山東議員
「はい、清いです。それが保守本流、吉田さん、池田勇人、そういう時代から入ってきた本流の中に、また流れを、別の意味で変えるということ。政策だと思うんですね。きちんと安倍内閣にない、いろいろ欠けているところとか、もう少し充実したところ、そういう提言を、政策をきちんとやっていきたいと思っています」
反町キャスター
「今回のこのタイミングでの発表。しかも、合流は都議選のあと。この発表のタイミングと合流のタイミングを分けているところにはどういう経緯が?」
山東議員
「5年前から交流をしてきたわけですよ、勉強会やなんかで。麻生グループとは」
反町キャスター
「それは2派ですか?天元会の3人も入れて?」
山東議員
「天元会の方は割合最近ですね。それは麻生さんに言わせると、だいぶ前から谷垣さんとお話をされて一緒になろうよというような話をされていたと。ところが、谷垣さんがあんな形で事故を起こされて、残念ながら、現在リハビリ中ということなので。私どもも3派が1つになるということは非常に素晴らしいことだと思って、やりましょうということで盛り上がったのですけれども、現在そういうことなので。谷垣さんのご意向というものはどうなのかということを伺いたいと。ですから、できるだけいい形でリハビリが進んだから何か話をしたいというようなご意向のようなので。それで6月16日の有隣会のパーティーを終えて。それから、国会中は北朝鮮がこんな状況ですし、さまざまな重要法案もありますし、そういうことから考えると、そんな時に派閥をアレして、さあ、設立だとやっている時ではないだろうと。そういうことで話し合って、都議選が終わったあとに合流をしようと、こういう形になっています」
反町キャスター
「山田さん、今回のこの新派閥結成、どんなふうに見ていますか?」
山田氏
「タイミングの話がありました。国会が終わったあととか、都議会選挙のあとというのはですね、これは1つなんですけれども。もう1つ政治記者的に言うと、7月、8月は人事になるだろうと…」
反町キャスター
「改造?」
山田氏
「改造。改造の前にという、これが私はもう1つの本質じゃないかと思っています。別にそれは悪い意味で言っているわけじゃなくて、人事というのは数を示すことによって、少しでも有利にするっていうことは当然のことですから、それまでに終えると」
反町キャスター
「山東さん、話しづらいかもしれないけれど。谷垣さんの意向、ここの部分ですよ。谷垣さんの意向をお聞きしたいと山東さんは言われる、麻生さんは谷垣さんの意向を聞きたいと言っているのにまだ聞き取れていないという話もありますよね、手紙を出しているとか、なんかいろいろある中で。この場合、谷垣グループとしての合流にはなっていません。明らかにこの3人の皆さんというのは、谷垣派から代表としてキミ達、先遣部隊として行って道をつけてくれといってくれと言われているようにも見えないですよ。谷垣グループの意向というのはどうなっているのか?谷垣さん自身の意向というのはどういうものなのか?どう見ていますか?」
山田氏
「現在まったく谷垣さんは何のメッセージも出していらっしゃらないので。ですから、出してらっしゃらないところで、こういう動きがあるということはいろんな憶測を呼ぶ可能性があるんです。それはかなりリスクを負う可能性があります。言葉が悪いですけれども、鬼の居ぬ間に…ということになります。しかし、それでもやろうということは、それだけ、これから数を増やしていこうというモチベーションになっていると思うのですけれど。谷垣さんが何か言葉を発せられた時に、これに対して好意的なことをおっしゃるのか、それともおっしゃらないのかというのが、今後60人前後の数が増えていくかどうか非常に重要なポイントになると思っていまして。それはちょっと予測がつかないですね」
反町キャスター
「6月の何日に有隣会のパーティーがありますね、谷垣グループの。そこに本人が来るのか、来ないにしてもメッセージを寄せるのかというところですよね。その場において谷垣さんがどのようなメッセージを発するのか、託すのか、言うのか、別ですけれども。これは今回の新派閥に対する世間の目?言葉が悪いですけれども、大きく影響すると思いませんか?」
山田氏
「いや、思いますし、それから、政治家の方々の言葉というのは大変リテラシーというか、読み込むのが難しい場合があります。誉め言葉が逆にそうでなかったり、皮肉が実は愛情だったりもするので。ですから、本当に予測がつかないですね。それは我々の仕事にもなるのですけれども。私は、かなりニュートラルな言葉になる可能性があるのではないかと。つまり、どちらにもまだ将来の選択肢が残るような言葉。と言うことは現在、それを歓迎するということに、いや、1つの予想ですが。たとえば、非常にニュートラルな言葉を出した場合、我々はどう読めばいいかということですけれど、それに関してはまだ少なくとも反対はしてないけれども、賛成もしていないととるのかという…」

派閥再編と『保守本流』
秋元キャスター
「この新派閥の設立趣意書というのがあります。そのポイントがこちらです。『自民党内に新たな保守本流の受け皿を用意』『2大政党制に替わる体制の構築を実現』とあるのですが」
反町キャスター
「保守本流という言葉というのは、基本的に自民党で言えば、宏池会の流れを汲む人達が使う言葉かなと思って。先ほど、山東さんが保守清流、清い流れという言葉を使われたのが、保守本流という言葉に対する多少配慮が出た言葉かなと思うのですけれども。保守本流という言葉に対しては、何か特別な意味がここには入っているのですか?もう少しわかりやすく言っちゃうと、宏池会の流れ、吉田茂、池田勇人の流れを…」
山東議員
「いわゆるプライドがあると思うんですよね。そこで社会がドンドン変化してきますから、新しい血を入れるという意味で、清流というようなことを、そういうことだと思うんです。麻生グループは、ベテランと、若い人達と中間がちょっといないですよね。私どもの、それぞれきちんとした政策を持った専門性を持った人達が行くということは、私共のいろいろな世代のいろいろな人達がいるということで。ちょうど良い意味で、いろんな色が混ざっていいのではないかと、私どもは自負しています」
反町キャスター
「人口ピラミッド的に言うと、ちょうどへこんでいるところに山東派がポコッと入るみたいな、こんな感じですか?」
山東議員
「ええ、そうですね」
反町キャスター
「山田さんは、今度の新しい派閥が
「保守本流の新しい受け皿を用意」
というこの言葉…」
山田氏
「既に始まっていることを言い替えたように見えるんです。と言うのは、保守本流というのはもともと麻生さんのお爺様の吉田茂さん、これは軽武装・経済重視だったんですね。これがずっと戦後を引っ張ってきたわけですけれども。安倍さんになってから、経済は重視するけれども、必ずしも軽武装ではないと言うか、中武装ぐらいを狙ってらっしゃる。これは安倍さんの使った言葉で言うと戦後レジームからの脱却ですね。ですから、私に言わせれば、戦後レジームからの脱却の言い換えのように聞こえますね。ですから、新しい保守本流というのはまさに今始まっている、つまり、安倍政権になってから始まっている政治の流れを、麻生さんなりに、新しいグループなりに言い換えたと」
山東議員
「アレンジしている」
山田氏
「私はそう理解しています」
反町キャスター
「山東さん、山田さんの説明いかがですか?要するに、安倍さんが言う、戦後政治レジームからの脱却とよりも、軽武装・経済重視の政策というものをもう1回見直そう…」
山東議員
「経済が1番重視するということは言っていますけれども、果たして日本全国まわってみるとパーフェクトではないわけですね。ですから、いろいろな考え方、また別の考え方を注入していくというようなことで、経済政策というものもいろいろあるのではないかと思いますね」
反町キャスター
「政策という誰が総理になってもやるべき政策はあまり変わらない中で、プライオリティが違ってくると思うんですよ。憲法が1番で、経済が2番で、社会保障が3番とか、社会保障が1番で憲法が2番で…その順番が明らかに今度の新しい派閥においては、安倍さんの順番とは違う順番で我々はアピールしますよ、こんなイメージで考えてもいいですか?」
山東議員
「それぞれ皆議論しながらやっていきたいと思いますけれど。私はこれからは日本は観光でやっていく、日本の伝統文化というものを重視しなければいけない。経済はもちろん、ですけれども、文化がリードして、経済がついていくというような環境。そのためのいろいろな材料は財産、宝は日本にはたくさんあると思います。それを大切にしていかなければいけないけれども、憲法はもちろん、党是ですから大事ですけれども、何かいろいろな忘れられたものがいっぱいあるわけで、それを掘り起こしていくというようなことを、私達は。それは、私がこれまでやってきた女性の考え方もあるかもしれませんし。そういう形で本当に日本は、特に食文化というのをこれまでやってきましたけれど、世界に向かって発信できる、世界中の人が関心を持っているということで特にこれからも大切にしていきたいなと思っています」
反町キャスター
「今津さん、保守本流という言葉を掲げる、古賀さんがよくウチの番組に来られても保守本流の宏池会はと、岸田さんがと言いますけれども。保守本流を掲げる派閥がこういうふうに出てくるというのは…。でも、額賀さんのところも、要するに、流れから言えば保守本流の片方を担いでいるところだと思うのですけれど。保守本流という言葉がいろいろなところで出てくるということに、何か感じる部分はありますか?」
今津議員
「保守本流と言うよりは、ウチのグループは、常に政権の真ん中にいた、原動力になっていたと。佐藤栄作先生以来50年ですよ。竹下登先生が経世会をつくられてから30年。小渕先生と、それから、橋本龍太郎先生と続きますから、総理をたくさん輩出していますし、常に政権の真ん中でしっかりとがんばってきた。特に平成研究会の特色は先輩の方々の政治姿勢に現れているように大都市だけでないぞと、地方もしっかり強くなってもらうのだ、大企業だけでないぞ、中小企業だ、恵まれた人だけでないぞと、恵まれない政治の力を必要な人には、誰にでもどこにでも一生懸命に汗をかくというのが我々の伝統ですから。それを我々は誇りを持って、ここが大切ですよ、誇りを持って引き継いでいる。だから、我々は、平成研究会はそういう真ん中にいるのだというのが我々にとっては大切なことですね」
反町キャスター
「たとえば、山東さんの言われたようなことが新しい政策になって文化観光政策というものに対して、いわゆる大きなマンパワーだとか、予算を切るようになるとか、ないしは今津さんの言われたことというのは平成研究会の伝統である弱者に対する配慮みたいな、そこですよね。そういうものが、たとえば、安倍さんの、清和会の伝統の政策にはちょっと欠けている部分だとすれば、もしかしたらこういうところで出てくる方がいいみたいな。そういう色合いというのが現在あまり見えないですよね?」
山田氏
「そうですね。安倍さんの特徴は、戦後の総理の中では珍しくと言うか、理念を重視する方でしたので。経済を大事ではないとは言わないけれど、理念をより前に出そうとされていた。それで現在、山東さんがおっしゃったことで、私が非常に新鮮だったのは、つまり、項目は同じでも、優先順位の問題が違ってくるという。ここは1つ議論が起きるかもしれないので。新たな保守本流という新たなというところに、そこに1つ、安倍さんのやってきたことにチャレンジするという議論が起きる可能性はあると思います。と言うことは、あまりにも現在、安倍さんは理念が前に見えている、出ていると。それがいいという方はいいのですけれども、もう1つ対立軸を出すとすれば、それも十分あり得るし。それから、あとは地方と東京の格差の問題ですね。これを党内の議論の中で、受け皿的にやっていらっしゃる方があまりいない。石破さんもそれに関しては熱心ではあったけれど、正直言って盛り上がっていないということになると、そこらへんの議論になっていくなら、また新しいものができるとは思いますけれども」

派閥再編と『2大政党制』
秋元キャスター
「この設立趣意書の、もう1つのポイントが『2大政党制に替わる体制の構築を実現』とあるのですが」
反町キャスター
「2大政党制という、つまり、小選挙区制度において、2009年の選挙で民主党に政権がいきました、3年3か月で自民党が政権に復帰して。そのあとなかなか野党が政権を獲るチャンスというのが、その後の選挙でも自民党が勝ちましたし、現状の支持率を見ても自民党が非常に強いですよね。小選挙区制度を導入した時の2大政党制というものが事実上、現在、日本の政治風土の中でできないと思っていると。だから、自民党の中でそれに替わる擬似政権交代が起きてもいいような党内における疑似2大政党制をやりたい。そういう意味でいいのですか?」
山東議員
「そうです。そうだと思います。別にたらい回しという意味ではなしに、良い意味で、国民にとって本当に成果のあると言いましょうか。求めている何かというのをね。安倍総理の素晴らしいところと、それから、また足りない部分というのを、またいろいろな形で補い合いながら色をそれぞれのグループが政策面に出していくようなこと。その中でどれを選ぶか、誰が選ばれるか」
山田氏
「私、この2大政党制に替わるという言葉が、設立趣意書に入ったのは、非常に面白いですね。つまり、非常にジャーナリスティックな言葉ですよ。つまり、現在の政治の現状を少し引いたところから見ていて、実に的確な言葉だと思うのですけれど。つまり、55年体制時代は自民党と社会党があって、自民党の派閥の中で、疑似政権交代が行われていた。反町さんがおっしゃったように、それが小選挙区制になって2大政党制になると思いきや、それが現在うまくいっていないと。しかし、国民はどうすればいいかという1つの、票をどこへ持っていけばいいのかという行きどころ。そうすると、自民党に入れるか、選挙に行かないかと、こういう選択になってしまっているのが、民主党、民進党の現在の危機感になっているわけですけれども。そこを党の方で、もう1回実現しましょうというメッセージは、国民は1つ動かされる面があると思うんです。ですから、この言葉は現在の政治状況、逆に言えば、野党がいかに情けないか」
反町キャスター
「野党不在の言葉ですよね」
山田氏
「ですから、野党がもし、これがまた小選挙区制ですから、状況が変われば本当に、民進党かどうかは別として現在の野党の方々が政権側につく可能性というのは、私は実は十分あると思うんです、いずれ。するとその時になると、自民党は、野党が強い野党が出現しそうだという時には、私はむしろ党内の派閥の動きは収まると。野党が弱い時はこうやって疑似政権交代を体現して、票を受け止めるという。これはパラレルの関係と言いますか、行ったり来たりの関係になると思います」
反町キャスター
「今津さん、いかがですか?2大政党制に替わる体制の構築を実現ということを、新しい新派閥が言い出した時に…」
今津議員
「いや、僕自身はあまりピンとこないですね。派閥の力が切磋琢磨した時は、中選挙区だったです。その時に数を獲れば、総理大臣になれるわけですから、すごい戦いでしたね。現在は小選挙区になりましたら、派閥同士の戦いはなくて、総理を中心として団結していく。しかも、各派閥よりも党の力が強くなっていますから、現在の安倍さん見たらわかる通り、それが薄れてくというのは当然のことだと思いますね」


後編

憲法改正論議と派閥
秋元キャスター
「ここからは自民党で議論が始まります憲法改正について、派閥がどういう役割を果たしていくのか話を聞いていきたいと思います。今月3日の憲法記念日に、安倍総理がビデオメッセージで憲法改正に向けた考えを表明しました。その内容が『憲法9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込む』『高等教育の無償化』『2020年を新しい憲法が施行される年にしたい』といった内容だったのですけれども。山崎さん、憲法改正が持論で、防衛庁長官も務められましたけれど、安倍総理が9条改正にいきなり踏み込んだということ、どう受け止められていますか?」
山崎氏
「私も憲法改正というのは9条を改正しなければ意味がないという持論を持っていまして。そういう意味では、この提案は、意味があると私は思うのですけれども。問題はこの中身が1項、2項を残して、3項でという話は過去にあったように思いますけれども、結局、採用されないで自民党案としては2項を変えると。いわゆる自らの国を自らで守る自衛力に関しては、実力ある組織を持つことができるとあらためると、2項を。という案で、我が党の案はまとまっていたと思うんですね」
反町キャスター
「それは自民党の憲法改正草案ですよね?」
山崎氏
「そうです。でありますから、自民党改正案も散々議論して出てきたやつのはずだから、それにもかかわらず、総裁がポンと、それをまさか無視したわけではないと思うけれど、飛び越えた形で提案したということは、最後の2020年に施行という日程というか、スケジュールと関係していると思うんですよね。スケジュールをこの通りにやるためには、公明党、それから、維新の同調がなければ3分の2、多数にならないから発議ができないと。発議をするためには両党が、表現は悪いけれども、食いついてくる内容でないと提案しても意味がないという慮りが、この2つの提案ですね」
反町キャスター
「総理が自分の在任中に憲法改正をやりたいと、ここまで露わにするということを、山崎さんはどう評価されるのですか?」
山崎氏
「いや、衣の下の鎧が出てきたという感じだと思いますが。安倍総理が憲法改正という鎧を着ているということは皆わかっていたかどうかは別として、そういう認識を持っている人が多かったと思いますね。私はちょっとそうかなという疑問を持つこともあったのだが、大勢として、たとえば、日本会議は憲法改正をすごく主張していますから、改正案の核心部分は9条ですから。それは安倍さんとしてはそれについて無視できないというか、同調しているというか、本来、自分の考えというか、いずれかだと思いますけれども。持っているだろうと思っていたのだけど、安保法制で集団的自衛権の行使を容認しましたよね、あれで9条改正の非常に大事な部分が一応解消されたという認識を、安倍総理は持っておられるということをおっしゃっている人もいるので」
反町キャスター
「そうすると、今回の手続きの話や中身の話で言うと、9条の1項、2項を残して自衛隊を明文化するのを加えるというのは、山崎さんはもともと憲法改正論者だと僕らは見ているのですけれども、本筋から見た時の9条改正の中身から見た時に、1項、2項を残して3項を加えるというのは、中身としては評価できるものなのですか?」
山崎氏
「いや、中身は立法技術論だからそんなことが可能であればやったって構わないと思う」
反町キャスター
「可能であればとはどういう意味ですか?」
山崎氏
「陸海空軍その他の戦力、これを保持しない、交戦権はこれを認めないと書いてあるから、それをそのまま残して3項で自衛隊ということを書くと自衛隊は陸海空軍その他の戦力ではないのだと、普通に読めばそうなるから。ますます憲法がわかりにくくなると思う。安倍総理が説明している中に、義務教育を終えた人が憲法を読んで自衛隊は憲法違反でないと思えるようにしなければならないというような意味のことを言っておられるので、私もまったくそれは同感ですけれども、そうなるかということです。このやり方でね。陸海空軍その他の戦力、これを保持しないと書いてあるのをそのまま残し、3条で前項の規定にかかわらず自衛隊を置くことができる、と書いた場合です。自衛隊は、自衛隊という言葉を使うのかどうかはわからないが、自衛隊は陸海空軍その他の戦力であると、事実上あると説明すれば、2項と3項は明らかに矛盾していますから、非常にこの説明は難しいと思います」
反町キャスター
「かえって憲法の空洞化が進むと思います?」
山崎氏
「日本は法治国家であって、全ての法律の大法が憲法だからね。だから、憲法はわかりやすいものでなければならないし。国民の皆さんが、国民投票でできてないけれど、現在の憲法が、そこは問題だけれども、憲法を最高法規として素直に受け止めているという状況が必要だから、そうなるかということです。この改正の仕方でね」
秋元キャスター
「安倍総理の改憲に向けた発言を巡って、自民党内で反応がありました。今津さんと同じ額賀派で党の憲法改正推進本部長代行の船田元さんは自身のブログでこのような発言をされているんですね『自民党の憲法改正推進本部や衆議院憲法審査会の与党幹部の間では、従来から国論を二分しかねない9条改正は後まわしし、まずは野党第1党の民進党まで合意可能と思われる緊急事態における議員任期の特例や教育の無償化を優先項目としてきており、今回の安倍総理の発言とはズレが生じている』と発言をしています。今津さん、派閥として今後、憲法改正議論の中でどういった主張をされていくのですか?」
今津議員
「船田先生の主張は現在、山崎先生もご説明いただいたことでよくわかるし、その通りだと思うんですね。しかし、我が党はもう党ができた時に、つくった時に、自主憲法制定、これは我々の党是ですから、なんとしてもこれを実現したいというのが永遠の目的です。何よりも第1の永遠の目的です。安倍総理がもし来年再選されるとすれば、3回目のですよ、任期が20年ということで、やりたいという気持ちもわかるんですね。私は何よりも総理が優先されたのは、自衛隊をしっかりと憲法に書き込む、明記するということを最優先されたと思うんです。そうした時にそれがどうしたらそれができるかということを考えた場合に、3分の2というものが必要ですし、国民投票で勝利するということも必要ですし、そのことを現実的にお考えになったのではないかと思いますが。党内でいろいろと議論は当然出てくるわけです。船田先生は憲法がライフワークなんですよ。しかし、今も、今日も会合に出て来ましたが、憲法改正推進本部の本部長代行でがんばられると思います。それは自民党というところはいろいろな議論をして、決まったらそれを一致団結して推進するということですから、大いに議論がされるということを期待しているところです」
秋元キャスター
「山東さんの派閥ではどう対応されるのですか?」
山東議員
「私の派閥というよりも、9条というもの、この憲法改正というもの、特に女性に対して、あまりにも防衛問題というものを日本はタブー視して語らなかったことに非常に問題があると思うんですね。自分の国を守るとか、自分の身を守るということで自衛隊の存在とか、こうした防衛というものは非常に大切なことなのですけれども。何か9条をいじること、あるいは9条を語ることが、戦争を起こすのではないかと、安倍さんは戦争をやる総理大臣だなんて誤解をしている女性が、特にヤングママが多いということは非常に残念です。私達はそれをできるだけ払拭して、本当に大切なものなのだと。なおかつ、だから、9条の1項なんてもっと早く論議する問題だったと今頃こういうことをやっているというのはちょっと残念な気がします。それと同時に2項、自衛隊の存在というものは、自衛隊の隊員というのは、特に女性達は感情論で、皆、自衛隊員のお母さんやいろいろな人達がそういう危険な地域に赴かされて大変だ、大変だというような形で、お気の毒にというようなことを言われているけれども、それは逆に自衛隊、自衛隊員にとって失礼だと思います。隊員というのは、自衛隊に入る時には本当に国家国民のために命がけでやるのだという使命感を持って皆入っているわけですよね。ですから、使命感というものが本当にそれが伝わるためにキチッとした自衛隊員の使命というもの、あるいはその存在というものを明記することは、私は今こそ必要ではないかと思っています」
反町キャスター
「普通、たとえば、これまで古いというか、かつての自民党であれば、河野洋平さんがいた時とか、加藤紘一さんがいた時とか、こんなことを言ったら大変な騒ぎでしたよね、山田さん。何だ、という党内護憲派、リベラル派というものがブワーッとやったのではないかなと思うのですけれども。現在の自民党内の状況はどうなっているのですか?」
山崎氏
「いや、これは今津さんが1番詳しいと思うけど、現場にいないからわからないが、昔のようなリベラルはいないと思いますよ」
反町キャスター
「自民党にリベラル派というのはもういなくなったのですか?」
山崎氏
「いや、私が外から見ていると、加藤紘一さんや、河野洋平さんのような存在はいないですな。それに代わるべき存在も。これは外野からの話でわからないけれど、見当たらないように思いますね」
反町キャスター
「岸田さんはその流れを汲む人にはなり得ないのですか?」
山崎氏
「岸田さんはその流れの系譜にいる人だけれども、外務大臣であって、そちらに専念していますから、憲法改正にはタッチしないと思いますね」
反町キャスター
「ポストによってやむを得ない事情があるにせよ、かつて自民党に一大勢力として確実にあった、護憲リベラルという人達というのは、グループ、派閥でもいいですよね、それは現在の自民党には山崎さんの目から見るともういない?」
山崎氏
「前は、いわゆる宏池会が中核にいたと思うのですが。現在、宏池会はそういう議論はしていないように思いますね」
反町キャスター
「それは時代の趨勢なのですか?それとも、たとえば、小選挙区制度になった結果なのか、ないしは安倍総理という総裁があまりにも強過ぎて、そういう党内の議論をある意味、させないぐらいに強い総裁がいるからなのか。何が理由で護憲リベラルグループが消滅しちゃったのですか?」
山崎氏
「いや、それは反町さんがおっしゃったこと全て当たっていると思うけれども。それ以前に、リベラルな考え方を持った政治家がいないということです。いなくなったということです」
反町キャスター
「たとえば、この番組で北朝鮮の議論をすると、北朝鮮の軍事的な脅威だ、怖いと言いながらも、話し合いで解決しようという方々は、だいたい護憲のグループと重なる部分が多いのですけれど、そういう人達の説得力というのが次第にこういう言論の場においても存在感が薄くなっている印象を持っている人もいますよ。そういう世間の流れというものが、護憲リベラルの居場所を小さくしているのですか?それとも自民党の中の言論空間の問題なのですか?」
山崎氏
「人材の問題だと思いますけれども。それは北朝鮮の問題を引き合いに出すのは適当ではないと。つまり、対話がリベラルで、圧力が保守だという考えでしょうけれども、これは外交の手法に過ぎないですね。対話でやるか、圧力でやるかと。これまでは対話と圧力という言葉を1セットで使ってきました、対で対話と圧力。繰り返し言っていましたよ。最近は、対話はダメだから圧力一辺倒でいこうという人もいるけれども、実際、圧力をいくらかけても何にも解決しないです、前進もしないです。ぼんぼんミサイルを打ち上げて、いくら圧力かけても。だから、対話が必要なのかなと。圧力のかけ方も、いわゆるレッドラインを越えたと称して本当に武力行使をやっちゃうと。武力行使ができるのは、北朝鮮に対して、そういう能力があるのはアメリカ、意思があるのはアメリカだけれども。中国もその能力はあるけれども、意思はないと思いますね。そういうことがあるので、北朝鮮の問題をリベラルか、そうでないかという基準として考えることは適当ではないと思います」
反町キャスター
「今津さん、いかがですか?安倍さんの今回の9条提案」
今津議員
「若い時に自民党の文書に集団的自衛権をどうしても書きたいと。その時に、山崎先生のところにご相談に行ったら、キミ何を言っているのだ、とお叱りをいただいたことが何回もあるんですよ」
反町キャスター
「それはどういう関係の時?政調会長の時ですか、拓さんが?」
今津議員
「大幹部の、防衛族の大幹部の時。それで、我々もなかなか悔しいと言うか、山崎先生こそリベラルだったんですよね。今思い出しました、意外とそうですよ。それで、安倍総理は現実的に選択したと。どうやったら自衛隊というものを明記できるのかということを考えた結果が現実的におそらく私は公明党とも維新の会とも内々お話を進められて、公言されたと思いますよ。それをなしに、まさかご自身のご意見を言うはずがありませんから。それは、私は既にされているのではないかと思います」
反町キャスター
「そうすると、自民党内の議論というのは比較的、今後スムースにスッと進んでいくのではないか?石破さん、船田さんがいても、それは大きな反動エネルギーになるものではない?」
今津議員
「今日、憲法改正推進本部の総会があったのですけれども、私の目の前に石破先生がおられました。非常に熱心にお聞きになっていてご質問もされたり、ご自身の意見も言われたりしていました。それは、私は非常にいいことだと思いますね。そういう議論を重ねながら、一定の結論がちゃんと出ると、それが大事だと思いますね」
反町キャスター
「山東さん、今後の党内論議、どうなるだろうと見ていますか?」
山東議員
「いや、大いに議論してもらいたいですね、それは。しなければおかしいですよ。いろいろな議論があることが自民党のいいところですから」

総裁選と憲法改正論議
反町キャスター
「山崎さん、来年9月の総裁選挙に向けて派閥間の動きというのはどこに注目していったらいいと見ていますか?」
山崎氏
「それは、ポスト安倍に手を挙げている人がいるか、いないか、いた場合にその人がどういう総裁戦略を立てて戦っていくかということでしょう。だから、手を挙げている人が現在のところはっきりしないですよね。巷間、噂になる人はいますけれど、本人の明確な意思表示というのはまだ早いかもしれないけれども、ないと。明確に意思表示をして、多数派工作しないと総裁になりませんわね。だから、そういうことができるかどうかですよ」
反町キャスター
「要するに、次の総裁選、来年9月の総裁選挙というのは、ポスト安倍を狙っている人からすれば、9月の総裁選挙、安倍さんに対してチャレンジャーとして挑戦状を叩きつけて、負けてもいいから、その次の総裁選挙に向けて出馬の意向を示す、そういう総裁選挙だと言っている?」
山崎氏
「そういうことでしょう。要するに、来年、総裁選挙があるか、ないかというご質問だから、あるとすれば候補者がいないとないから。候補者というのは今おっしゃったように、政治生命をかけた戦いになると思いますね」
反町キャスター
「山東さんのところ、新しい派閥の会長になるのは麻生さんです。麻生さんは総理経験者であるけれども、見た目から見てもまだまだバリバリ元気で、麻生さんはもう1回、総理をやっても十分できるのではないかという人もたくさんいますよ。来年の総裁選挙に向けて、麻生さんが派閥から手を挙げるという可能性。なかなか難しいとは思いますよ。ただ、そういう新しい派閥として総裁候補を立てるのかどうかということについては、どう感じていますか?」
山東議員
「麻生さんご自身は、若い人を育成しようと思っているのではないかなと思います。お腹の中ぶち当たって覗いたわけではないからわかりませんけれど、そう思います。ただ、国際社会に、総理というのは船出していくわけですから、そういう点では誰とは申しませんけれども、ただ待っているということではなしに、戦いとるというファイトのある人でなければ、世界に向かって通用しないのではないでしょうかと思います」
反町キャスター
「禅譲を待つ形での総理というのは現在の日本には相応しくない?」
山東議員
「と私は思います。それは国民がそういうファイトのある人を、安倍さんが、だってファイトがあったわけですから。そういう点でファイトのある人を求めているのではないでしょうか」
反町キャスター
「今津さんの派閥はどういう総裁選に来年臨むことになりそうですか?」
今津議員
「額賀先生が2回、20名集めましたよ、私達若手が。当日になって出馬を断念されるということが2回ありましたから、非常に残念な、そういう雰囲気まだあるんですよね。しかし、派閥というのは総裁選挙、総理を出すというのが1番大きな目的ですから、必ずや我々もそういう候補を出していこうと。若手もいっぱいいます、うちの派閥。将来有望な茂木先生を中心として、たくさん若手で有望な人いますから。そういう人達を育てていくと同時に、我が派が総裁選挙に対してどういう姿勢で臨んでいくのかと、どうやって団結していくのかというのは状況を見ながら、しっかりと考えていきたいと思います」

山東昭子 自由民主党 山東派会長の提言 『国益』
山東議員
「国益です。現在から150年ほど前に死去したイギリスの外交を仕切って9年間首相を務めたパーマストンの言葉が非常に印象的ですけれども。『永遠なる同盟国も永遠なる敵国も存在しない。永遠なるものは国益だけである』と。まさにさまざまな分野で、それをしっかりとやっていかなければいけない時だと思っています」

今津寬 自由民主党 額賀派事務総長の提言 『国民政党が原点』
今津議員
「アベノミクスが、私は地方に及んでない、そのように思います。非常に過疎化に悩んでいます。地方が元気になるように、そういう政策を実現してほしいと思います」