プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年5月17日(水)
検証『文政権1週間』 『北脅威』韓国本音は

ゲスト

河村建夫
元内閣官房長官 自由民主党衆議院議員
平井久志
ジャーナリスト
浅羽祐樹
新潟県立大学教授

検証『韓国・文在寅政権』 新政権の外交政策
秋元キャスター
「韓国の文在寅政権が誕生して1週間が経ちました。北朝鮮がミサイル発射を繰り返す中、北朝鮮に融和的な政策をとるとみられていた新政権はどう向き合っていくのか。慰安婦問題をはじめとする日韓関係の行方など、韓国の新政権が直面する課題と外交政策を読み解いていきます。元内閣官房長官で日韓議員連盟幹事長の河村建夫さんはつい先ほどまで、文在寅大統領の特使として来日している、与党・共に民主党の重鎮・文喜相議員と会っていたということですが、どのような話をされたのですか?」
河村議員
「皆さんとちょっと懇談をしてきましたが、ニュースなんかで言われているほど厳しい状況かと言うと、そうではなくて両首脳はもっと頻繁に会うべきだとか、こういう状況になったので日米韓の同盟関係を強化したいのだ。そういうことで新政権の外交政策の方向づけを皆さんに説明に来たのだと、こういうことでしたから、我々も会う前に額賀会長と総理にもちょっと会いました。官邸に行きまして、この対応について協議をさせていただいたのですが、これは安倍総理の考え方とも一致していまして、それで北朝鮮問題があるので核、ミサイルの問題が最優先するということと、未来志向でいくべきだから、頻繁にシャトル外交と言いますか、これをしっかりとやりたいということでしたから、そのことは額賀会長へもお伝えした。基本的にはこのへんまではきっちりと合っているなと思いまして、そういう意味で、非常になごやかな雰囲気でしたですね」
反町キャスター
「日韓の議員交流ですと比較的に話がスムースにいくのだけれど、上にいっちゃうと政府レベルになると喧嘩が始まるみたいな話もよく聞いている中で、文喜相さんというのは議員交流として来たのではないですよね?今回は」
河村議員
「今回はね」
反町キャスター
「青瓦台を背負って来られていますよね?」
河村議員
「そうですね」
反町キャスター
「雰囲気はだいぶ変わるものですか?それとも今の話を聞いていると、議員交流の時と同じような感じだったのか、青瓦台を背負うということが固くなるのか?」
河村議員
「あの方は最初に来られたのが金大中政権の頃、時代から来ておられますのでね。今回の政権は金大中、廬武鉉と文在寅と続く、いわゆる韓国路線からすれば、民主化の政権だという思いが強く、だから、同じ路線で来ているのだという感じを受けたんです。と言うことは、かつて小渕・金大中大統領というのはまさに韓流ブームが起きた時代ですから、その再現をやろうではありませんかと、こういう話になっている。その通り、期待通りいくかは別として、そういう意識があるなという感じはしたんですよね」

検証『韓国・文在寅政権』 ミサイル発射と半島情勢
秋元キャスター
「文在寅政権の対北朝鮮政策について聞く前にまず今月14日に北朝鮮が発射に成功したとする新型の中距離弾道ミサイルがどんな意味を持つのかということから聞いていきたいのですけれど、まず平井さん、北朝鮮がこのタイミングでミサイルを発射した狙い、どう見ていますか?」
平井氏
「それは特にアメリカ、韓国、中国、それぞれにメッセージがあると思いますね。アメリカは最大限の圧力と関与という両方のことを言っているわけです。ですから、自分達の核・ミサイル水準を上げて、交渉にもし入った場合には有利な立場に立ちたいし、我々は核・ミサイルを放棄しないのだというメッセージだと思います。この日になったというのは実は大統領選挙を終わるのを待っていたと思いますね。ですから、大統領選挙の前に挑発をやると選挙に影響を与えて、自分達は進歩派の政権ができてほしいのに、そのことに障害になるので、それまで待って撃ったという側面。それと中国が非常に圧力を、アメリカと力を合わせて圧力を加えていますから、それには従いませんよというのをわざわざ一帯一路の会議が行われている、その前のタイミングから、偶然、日付が、おそらく前に撃とうとしたのではないかという感じがありますけれども、結果的にオープニングの日になったという、中国に対する対抗意識、そういういろいろなメッセージを込めてやったのではないのかなという気がします」
反町キャスター
「浅羽さん、この番組で別のゲストでかつてこういうことを言った方がいるんですよ。進歩派の政権ができると、北朝鮮が核やミサイルの実験をすればするほど、進歩派の政権だったら太陽政策で、じゃあこれ食べませんか、これ要りませんか、という譲歩をしてくる。北はそこを見越してさらに核実験やミサイル実験をよりやりやすくなっているのではないかという見立て、これはどうですか?」
浅羽教授
「これは日本で北朝鮮の脅威が高まると、大統領選挙で保守政権が有利になるのではないか、有利になるべきではないかという議論があるわけですけれども、韓国人の安全保障に対する感覚というのは、我々と少し違っていて、そもそもソウル首都圏は38度線から50kmなので、普通に砲撃で届くわけですよね。ですので、ことアメリカに対するICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発でアメリカがいよいよ本腰になって、中国にも同調するように強い圧力をかけているわけですけれども、韓国人はそうなってしまうと、先制攻撃の可能性で、我々の頭越しにされてしまうのではないかというので、むしろ戦争の危機が高まると理解をして、融和路線をもう1度再評価という部分にいくんですね。これは我々からすると、安全保障で不感症にかかっているのではないかと言いがちなのですけれども、彼らは彼らで別のそのリアリティ、リアルな認識があって、そこに食い違いがあるということを我々は知っておく必要がある」
反町キャスター
「経済制裁を締めれば締めるほど、制裁破りを韓国がやるという意味になりますよ」
浅羽教授
「直ちにはできないとは思います。開城工業団地を、韓国の進歩派の内在的なロジックから言うと元に戻すと彼らは国内では理解するんです。ただ、それはもう既に閉じていますし、もともとあそこだけ開いていて、ジャブジャブ現ナマが流れていたということなので、中国が制裁をもうちょっと強めるという以前に、韓国から流れていたでしょうという部分を米日の側は疑いの目で見ていて、ようやくそれが揃っていたというのが、国際的には国際協調路線で、韓国の進歩派からすると朝鮮半島問題は民族問題であって民族問題の主導権は我々が解決、主導権、イニシアチブを担うべきだ。ようやくその進歩派政権になったので、という部分にズレがあるわけですね」

対北朝鮮政策の行方
秋元キャスター
「ミサイルや核開発に強気の姿勢を示す北朝鮮に対して、韓国の文在寅政権は融和的な政策をとると言われていたのですけれども。人事や文大統領の発言から、どういった方向になるのかを見ていきます。文大統領は、日本の官房長官にあたる大統領秘書室長に、学生時代に民主化運動に取り組んでいた任鍾晳氏を起用しています。また、情報機関であります国家情報院の院長に、2000年と2007年の2度に行われています南北首脳会談の実務を取り仕切った徐薫氏を起用しています。10日に行われました大統領就任演説で『条件が整えば平壌にも行く』と文在寅大統領が発言しているのですが。平井さん、この人事から見て、文政権、北朝鮮に対して融和的な政策をとると見ていますか?」
平井氏
「お二人とも非常に南北関係に熱心な人です。任鍾晳さんは、大学時代、チョンデヨップという、日本で言えば、全学連のような組織のトップで、林秀卿さんを派遣した人ですね。それで…」
反町キャスター
「林秀卿さんとはどんな人ですか?」
平井氏
「林さんは女学生を、平壌へ、平壌の平和祭典があるというのを秘密訪朝させる指令を下した人ですね。それで全学連の委員長ですね。それの特使として林秀卿さんという女子学生が行ったわけですね。それで僕が実はソウル特派員をしている時、指令した人と林秀卿さんと2人の裁判の取材をずっとやっていましたけれども。お母さん方は激怒して、将来の国を背負うウチの息子や娘達をこんなふうに捕まえてどうするのだと、将来の指導者になるのにと、指導者にはなりました、確かに。実は林秀卿さんはそのあと国会議員にもなったんですね、それを引っ張ってきたのも彼です。徐薫さんという人は金大中政権、廬武鉉政権で南北首脳会談があった時の実務をやった方で、非常に事務的にもそういうことに精通されている方で。ですから、最初は米韓同盟の確認に動くと思いますけれども」
反町キャスター
「この2人がですか?」
平井氏
「いや、大統領自身が、ですけれど、少しずつ南北との関係改善に向かっていく。韓国で現在、面白いこと言われていまして、文さんというのはお月さんのムーン、だから、太陽政策ではなくて、今度は月光政策だと」
反町キャスター
「どう違うんですか?
平井氏
「ですから、太陽政策のように強く日は差さないけれど、次第にムーンライトで北朝鮮へのアプローチをやっていくのではないのかなと」
反町キャスター
「いずれにしても北に対しては融和的な政策をとるのは、遅かれ早かれ、濃かれ薄かれ、やるだろうと皆、見ているわけですね?」
平井氏
「ただし、米韓同盟を破壊してまでというのはちょっと難しいのではないかと。たとえば、問題になっているTHAAD(最新鋭ミサイル防衛システム)のシステムは、僕は実際には認めるのではないかなと思いますから。そういう形をとったうえで、最初にアメリカに行ってトランプさんとの関係を仕立てたうえで、少し南北関係改善の方に向かうのではないのかなという気がしますね」
秋元キャスター
「浅羽さん、文在寅大統領の条件が整えば平壌にも行くと言っている、この条件とは何だと見ていますか?」
浅羽教授
「この発言は前段があって、必要があればワシントンに飛んでいくと。北京、東京の順に行くと言って、条件が整えば平壌に行くと。選挙キャンペーン中はワシントンよりも平壌に先に行くと言っていたので、随分、修正しているんですね。この間、6か月間、昨年10月に朴槿恵大統領のスキャンダルが発覚して、新大統領が誕生するまで、司令塔、外交、政治、安保の司令塔が不在だったので、頭ごなしに隣を見ると安倍総理はトランプさんと頻繁に会って、頻繁に相談を受けているのに、我が方は、という不満があるので、一定の発言権を確保したいという部分で、韓国ファーストと言っていいような、そういう要求があるんですね。もう1つ、進歩政権なので、進歩派は先ほど申し上げた通り、朝鮮半島問題の解決は我々が主導したい、それは韓民族として主導したいという意味でコリアファースト。コリアというのは韓国と北朝鮮、韓民族と」
反町キャスター
「それはちょっと意味が違ってきますよね?」
浅羽教授
「違ってくるのですが、そういう路線があるのが一方で、他方は国際協調路線に韓国も立ってきていて、情勢がこんなに厳しくなっているので、発言は大統領就任して修正がされていて、現実的なところに随分落ちてきていて、条件が整えばということは、現在、整っていないので行けませんと。これはっきりとは言っていないのですけれど、少なくとも核実験しない、ミサイルの発射を繰り返さないが最低限ですね。直ちに今すぐ行くとか、開城工業団地、閉じたやつも再開するというのはできない、しないということは言っています」
反町キャスター
「南北問題というか、朝鮮半島の問題に対し、韓国が主役として、そこに存在していたいという、韓国の人達の気持ちを文在寅さんが背負ってくるとした場合、たとえば、経済制裁とか、軍事的な圧力を高めることというのは、アメリカや中国や他の国々で既に形としてガッチリできていて、そこにあとから乗るとどうしても存在感がアピールできないではないですか。変な話ですけれども、目立ちたいと思っているのならば、私達、韓国国民は南北問題にこれだけ主体的にかかわっているのだ、私達、我が国が主役なのだということを文大統領が韓国国民に訴えたいのだとすれば、これまでやっていないやり方をやって、目立って、それで国際世論に対してアピールすると、そういうやり方、つまり、それが融和政策なのかどうかという、ここの見方はいかがですか?」
浅羽教授
「そこのジレンマですね。国内でそういうコリアファーストという、とりわけコアな支持層による要求があるのは、これは間違いないです。6か月間の不満は保守派も含めて、溜まっていますので。国際協調路線というのが他方にあると、両方を見ているわけですよね。左派だからコリアファーストでいくのだと断言してしまうと、文さんまだ両方の可能性があって、国際協調路線の部分を相対的にだけれど、選挙キャンペーンの時よりは随分重視する発言が出てきているので、両方を現在ちゃんと見て、国際協調路線に韓国も立ってくださいねと、皆そういうことを期待していますということを伝えていくことが大事だと思います」
反町キャスター
「今日、文喜相特使と会った時、すぐに平壌に行きそうな感じは…」
河村議員
「そういうことは一切…」
反町キャスター
「聞いたりもするのですか?平壌に最初に行くと言っていたけれども、行ったりしませんよね、みたいな…」
河村議員
「そういうやりとりまではいきませんでしたから。しかし、日米韓で同盟強化をしたいのだということをかなり強調していましたので。そういうことを考えると、これまでの政権とは違うと言っても、そんなに急にはやれないなという感じを強く持っているなという感じがしましたね」
反町キャスター
「平井さん、南北首脳会談、実際にやる可能性、やるとしたらいつだとどう見ています?」
平井氏
「環境が整う必要があるので、たとえば、来年2月には平昌オリンピックがあります。それにはおそらく北朝鮮の代表団が来るでしょう。ひょっとしたら女性方の応援団も来るかもしれない。そうすると、韓国内の雰囲気かなり変わりますから、だから、そういうスポーツとか、人道支援の分野の問題で南北関係を、誰も文句は言わない、そういうテーマで南北関係を少し和解的なムードにつくって、そのあとの段階ぐらいで、しかし、政権の前半期ぐらいにやろうというようなことを考えているのではないかと思うんです」

対米・対中姿勢は
秋元キャスター
「文在寅大統領は、10日の大統領就任演説で米韓関係について発言しています。『韓米同盟は一層強化する。一方でTHAAD(最新鋭ミサイル防衛システム)問題解決のため米国や中国と真摯に交渉する』と話しています。文在寅大統領はもともと最新鋭ミサイル迎撃システム・THAADについては見直しを主張していたのですが、大統領就任演説には見直しという言葉はありませんでした。THAADは既に韓国に配備されていますが、この問題、今後どうなっていくと見ていますか?」
平井氏
「中国に対して、文在寅さんは中国にもちゃんと説明すればわかるというようなことを言っているんですね。と言うことはTHAADを置くということですよ、THAADを撤去する気があるならそんな発言をするわけがないので。1度配備したTHAADを現状の中で撤去することは非常に難しいと思いますし、それで中国を説得するという意味だと思うので。それで米韓同盟が強いのだという。もしも撤去なんてことになったら、米韓同盟自身が揺らぎますから。THAADというのはある意味では、韓国がアメリカをとるのか、中国をとるのかという選択の要素もあったわけですから。そういう意味では、THAADはおそらく党内に反対意見はあるでしょうけれども、配備については認めざるを得ないだろうと思います」
反町キャスター
「浅羽さん、いかがですか?文在寅大統領、どういう姿勢をとると見ていますか?」
浅羽教授
「朴政権の、朴外交の失敗から、どんな教訓を得ているかだと思うのですけど。朴政権は外交空間が広がったと、裁量が韓国にあるのだと。これはまだアメリカに連なっているだけではなく、米中新時代でアメリカも最初、南シナ海の問題が現実化するまでは、中国に対して一定の責任を担うのであればと期待した部分も当初はあったと。ですので、中国側に寄ってもアメリカからも怒られることはないと思っていたところ、アメリカとの関係もこじれ、日本とも慰安婦問題等でこじれ、中国とも最後、THAAD導入を決めたので経済制裁を事実上されたと、韓国企業が、ということで失敗してしまったと。ですので、あまり韓国外交、動ける幅というのがないのだなと。国際協調路線がもう決まっている時は、政権が変わろうが、国民世論で反対が強かろうが、国政を担うものとしてはその路線をとるしかないのだということを学んでいれば、THAADに関しては選挙キャンペーン中も徐々にその発言を修正していて、次期政権、自分の政権で再検討すると。ただ、手続きの不透明性、朴政権が押し切った部分がどうしてもあるので、国会批准はしますということですね」
秋元キャスター
「選挙中言っていたことと、実際することが違うというのを、韓国国民は受け入れているものなのですか?」
浅羽教授
「そこは厳しくて、選挙の時に言うことと、トップになったあとにやること、やるべきことは違うのだと、そういうものであると割り切っているといいですけれども…」
反町キャスター
「割り切っている、いない、どちらなのですか、韓国国民は?」
浅羽教授
「韓国国民は政治とか、政治家に対する要求の水準が非常に高いんです。なので、立場が変われば、当然変えていいと、国益の判断は別途あっていい、選挙キャンペーンで言ったことは、公約は裏切るかもしれないけれども、より高い国益を守るためであれば、そうするのが政治指導者だというような観点がやや鈍いですね。とりわけ今回はこういう一連の過程で大統領誕生したので、そこの国民の、とりわけコアな支持層の期待が非常に高くて、現実にできることが現状はあって、ギャップをいかにリーダーとして埋められるのかと、現実的なところに期待値を落とせられるのかどうかというのが問われていますね」
河村議員
「今日、今に関することを文喜相さんと話した時、これからの外交のあり方について触れられたのですが。この政権がああいう状況の中で生まれた、国民の力によって生まれた特別な政権であるという想いが強いと。しかし、外交の方向は国益最優先、実用主義であるという言い方をしました。と言うことは、国益最優先ということで国益のためにこうやっているのだということで、国民にキチッと理解を求めていこうということと、そのバランスのとり方はまさに実用主義という言い方をしていましたので。現実的な政策をとるのだろうなという思いを今日、特使の話では感じましたね」
反町キャスター
「そうすると、選挙期間中や選挙の前に言っていたことより、多少マイルドというか、現実的な対応という意味ですよね?」
河村議員
「浅羽さんが言われたことと一致すると思うんですよ」
反町キャスター
「そこはある程度、安心感を感じたということでよろしいのですか?」
河村議員
「そうですね、そういう意味ではね」
反町キャスター
「跳ねたことはやらないような感じがしましたか?」
河村議員
「そういう感じがしました、今日の感じでは」

知日派首相で日韓関係は
秋元キャスター
「ここからは安倍政権と文在寅政権が今後、どんな日韓関係を構築していくべきなのかの話を聞いていきます。今後の日韓関係のキーパーソンの1人と見られているのが、文在寅大統領が首相候補に指名した李洛淵氏ですけれども。韓国南西部の全羅南道の知事を務めていたという人物で、東亜日報の東京特派員として日本に勤務していた経験もありということで日本語が堪能です。韓日議員連盟の幹事長も務めていた人物で、知日派として知られる人物ですが、日韓議員連盟幹事長の河村さんもこの方を知っているということですよね?」
河村議員
「当時、私は運営委員長だったものですから、しょっちゅう三役会議等やれば、いつもこの人が中心でやってきましたので。幹事長、向こうは政権交代すると会長に与党が出ると、幹事長は野党がくるということで、野党時代だったのですけれども。しかし、先鋭的というのではなく、非常に融和を重んじて、まず日本語が達者だから私ども助かりましたね、日本人と間違うぐらい達者な方でした」
反町キャスター
「いかがですか?雰囲気的に言うと、たとえば、強硬な対日路線を歩むようなそんな方ではないのですか?」
河村議員
「彼の場合は当然、理由をキチッと言ったうえで、こうだとくると思いますよ、もし日本とやらなければいけないようなことが起きれば、くると思うのだけれど、強硬策をとるような方ではないと思っています」
秋元キャスター
「平井さんも長いお付き合いがあるということですが…」
平井氏
「実は1992年に最初の特派員が終わって、ソウルから日本に帰ってきたのですが、その時、彼は東京特派員だったので、その頃からの付き合いがあって。僕はちょっと遅く結婚したのですけれども、僕の結婚祝いだとか言って、それをこちらにいる韓国人特派員達がお祝いをしてくれたりして、その頃からずっと付き合っていて。非常にそういう関係ですけれども、日本のことについて非常に詳しいですよ。今度のことも、どうも大統領が全羅道の方に遊説に行った時に、内々にちょっと助けてくれという話をしていたみたいで。本来、彼は共に民主党の中の文在寅派ではないんですよね。抜けていった孫鶴圭さんという人がいるので、そちらの派閥だった人ですけれども、そういうことを言われていて、1か月ぐらい前に日本に来て、日韓関係をやっている学者に会ったりして…」
反町キャスター
「もう準備をしていたのですね?」
平井氏
「そうみたいですね。それで、あなた、全羅南道の知事なのになぜそんななのと言ったら、いや、自分は知日派と思われているので、いろいろ聞かれるからと、とぼけていたみたいですけれども。だから、直接の交渉は外相がやることになると思いますけれど、自分がこの政権で対日関係については、ある程度の役割を果たさなければいけないという意識は既に持っていると思います」
反町キャスター
「平井さん、首相というのは日本の場合には議院内閣制なので最高権力者になるのですけれども。大統領制下における首相というのはどんな?この李洛淵さんはどんな権限を持っているのですか?」
平井氏
「実は憲法上に規定された内容と実態とはかなりかけ離れているんですね。憲法上は結構、首相の役割というのは大きいのですけれども、実際、これまではすごく首相は軽視されてきて、青瓦台中心で動いてきたのですけれど。彼になって、前回の朴槿恵政権の弊害というものが、あまりに権力が大統領に集中し過ぎているということ、が批判の元でしたから、大統領も首相に対する権限、任せることを増やすということを言っていますので。ですから、内閣と青瓦台の橋渡しの役割、あるいは省庁間の利益の衝突問題とか、政策のスピードをアップするとか、ゆっくりやるとか、そういう全体的なおそらく内閣の調整役をやるのでは…」
反町キャスター
「官房長官みたいな感じ?大統領が総理だとしたら官房長官みたいな…」
平井氏
「そうですかね」
反町キャスター
「そんなイメージですか?そうすると、外交の表舞台に立つということではなくて、調整局面の役割を果たす人?」
平井氏
「だから、おそらく日韓関係が非常に困難な局面になった時、彼が出てきて調整役を担うとか、あるいはおそらく外相というものがいますから、それを無視して彼がすぐに前面に出てくるというのは難しいので、水面下で河村さんみたいな方と、人脈を通じて、これはこうしようではないかとか。それでおそらく外相も彼はそういう役割の人だということを、誰がなるかはわかりませんけれども、わかっているわけですから、そういうことのサポートをたぶん期待するでしょうから。そういう意味で、日韓関係に関しては、彼はかなりの役割をやるだろうと思いますよ」
反町キャスター
「ジャーナリストで、日本に滞在した経験があって、日本語が堪能で、日本にたくさん友達がいるということが韓国において政治家として国民ウケするかどうか。そういう人が、いかにも私は日本の気持ちを代弁していると、韓国の政治の舞台において言うことが政権にとってプラスになるか、国民の反発を買うのか、買わないのかと考えると、あまり表立って日本との間に仲立ちする立場には、この人は立てない人ではないかと、そんなことはないですか?」
平井氏
「不思議とそうではないです。1つは彼のキャラクターが割と保守の人達とも仲良くやってきたということもありまして、もう1つは、彼が全羅道出身だということですよ」
反町キャスター
「それはどういう意味ですか?」
平井氏
「だから、大統領が釜山出身ですから、そういう国民の統合ということで考えると彼が全羅道出身の人をナンバー2につけたという、そういう国民の和合という点でもそうですし、現在の政権の共に民主党というのは、300議席あるうちの120議席しかない少数与党ですから、国民の党というのがもともと自分達の党から出ていった人達です。それの中央にくる議員は全員、全羅道出身ですよ。だから、特に国民の党との連携ということを、国民の党が入れば過半数は超えますから、そういうことで考えれば彼の存在は大きいです。同じ地域の出身の方達ですから、もともと同じゾーンにいた方だし。そういう意味で、2つの面で、彼は国民から理解を得ているというか、日本に非常に詳しい人だということと、全羅道の人だという、そういう特徴は国民もよく知っていますから。だから、それはそれなりに役割を演じることができる人だと思います」
反町キャスター
「河村さん、日韓議連として大統領に表敬というのはあるかもしれないのですけれども、この人に会いにいくという、そのプロジェクトというか、プランというのはどうなのですか?」
河村議員
「これは増えると思いますね。この前、私も電話でやり取りして、訪韓したら寄りますからねと言っているのですけれど。早速、自民党も早く行こうと言っていますよ」
反町キャスター
「文在寅大統領に会いに行くのではなく、こちらの方がいいなと、そういう…」
河村議員
「彼を中継ぎにして会いに行くということ、言いやすいではないかということはあると思います」

日韓合意は再交渉?
秋元キャスター
「文在寅大統領は就任した翌日の11日に、安倍総理と電話会談を行っています。その中で慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した日韓合意に関してやり取りがありました。安倍総理は『両国間で約束したもの。国際社会から評価されており、責任をもって実施していくことが重要』と述べました。一方、文在寅大統領ですけれども『国民の大多数が情緒的に受け入れられないのが現実。民間の領域で起きた問題を韓国政府が解決するには限界があり時間が必要』と述べ、両国すれ違いがみられたわけですが。河村さん、文在寅大統領の特使として来日している文喜相議員と会われて、文喜相議員はこの慰安婦問題についてはどんな話が?」
河村議員
「直接、慰安婦という言葉について言明されませんでしたが、歴史問題であるとか、過去を直視しなければいかんと、しかし、一方では過去に引きずられて未来志向ができないのも困ると、そこは賢い政治をお互いにやるべきではないかと。第3の道ということを表明されたと言われましたが、構想を具体的に今日の段階で、私は聞くまでの時間がありませんでしたが、新しい道を見いだすためにどうしたらいいかということは考えてもいいことですね。ただ、当面、現在のこの合意がどういうものであったかを検証したいという話もきていますので、少し時間をかけて道を探りたいという想いはあるのだろうと思う。ところが、現在の日本政府の考え方は、まさに安倍総理、言われた通りで、しかも、基金を出して、それが具体的に動いているわけですね。あれを運営するのは、予算は韓国が出すことになっているのだけれども、現在は予算が通らなかったようで、前政権は予算を通し切らなかったのだと思う。だから、基金をくい込んでいるという話も聞いていますから、現実にもう動いているわけですよ、この合意は。その中で何をどうするのかということが全然、見えてきませんから、それを我々も見極めるしかありませんが。政府の姿勢は両国で約束したと、国と国がこれほどの約束をして時間をかけてやってきたものだと。これはもうこれしかないのだから、次の未来志向でいこうではないかということで、一歩も引き下がる、見直す思いはまったく現政権にはありませんから、日本側としては」
反町キャスター
「浅羽さん、第3の道。韓国におけるインタビューでも文さんはこれと同じことを言っているんですね。『破棄や再交渉ではない第3の道が必要だ』と、何のことですか、第3の道とは?」
浅羽教授
「文さんの外交ブレーンの人は後続措置とか言うのですけれども、事実上…」
反町キャスター
「後続措置とは何ですか?」
浅羽教授
「再交渉という言葉は非常に日本側で受け入れ難いので違う言葉を使うのですけれど、日本側からすると実態は一緒なわけです。それで韓国側が求めるのはいくつか案があって、総理のお手紙をもう1度出してほしいと、文言は日韓合意の文言でいいので、安倍総理の名前で岸田外相の代読ではなくとか、あとはシンボリックなジェスチャーですね、心にジーンとくるという。おばあさんの手をとってとか、そういう1枚絵が…」
反町キャスター
「それは駐韓大使がという意味ですか?まさか総理がやるという意味ではないですよね?」
浅羽教授
「駐韓大使が…、総理がということはなくても、そういう部分はあの日韓合意の中に実質入っているのでやれるでしょうというのが韓国側で、日本側からするとそれはあと出しジャンケンで、もしそういうのが必要であれば、パッケージなので、盛り込んでおかなければならない、最初にそうなっていない以上おしまいですという部分なので、そこの食い違いがあるんですね」
反町キャスター
「それは新たな演出を求めているだけに聞こえます」
浅羽教授
「そうなんですけれどね」
秋元キャスター
「その演出で韓国国内はおさめられるのですか?」
反町キャスター
「その演出をすれば慰安婦少女像がいなくなるのですか?」
浅羽教授
「日韓合意については中身もそうですけれど、朴政権がやったことは全てダメだという空気になっているんですね。ですので、残念ながらもう1度やり直しという要求があるのは事実ですね。他方、日本側からすると最終的かつ不可逆的な解決で、アメリカ政府も和解のモデルとまで高く評価したものですので、国際的にはこれでおしまいですと。癒し金、何と呼ぶのかはいろいろありますが、34名、本当の当事者は受け取っているわけです。国民が反対しようが、支援団体が反対しようが、当事者は7割以上受け取っているので、これをもう1度再交渉とか、破棄ということはあり得ないですよということですね」
反町キャスター
「平井さん、この第3の道とは何ですか?」
平井氏
「僕もちょっとわかりませんけど、韓国側はどうも河野談話や村山談話のようなものを日本がちゃんと守れば、時間をかけて何か道があるのではないかくらいの感じは持っているみたいですね」
反町キャスター
「それは当面、何もしないよと言っているのとイコールに聞こえます」
平井氏
「僕はそうなると思います、結果的に。両方の意見が対立したまま状況が過ぎ去っていくというか、結果的にそういう状況が当分の間は続くのではないのかという感じはしますね」
反町キャスター
「河野談話的なものをもう1回出したらどうかという話も、このインタビューで文さんが言及している部分もあるという話もあるのですけれど。まさか河野談話、村山談話、安倍談話みたいな…」
平井氏
「そこまではないのではないですか。それを確認してほしいというレベルだと思います」
反町キャスター
「とは言いながら、それをしたからと言って少女像が1ミリ動くわけでもないわけですよね、おそらく」
平井氏
「難しいと思いますね、現在の世論では。問題は浅羽さんもおっしゃいましたが、当事者のおばあさん達の受け取め方と国民世論がかなり違うわけですよね。ですから、むしろ時間をかけて、おばあさん達に受け取っていただいて、この事業をちゃんとやるということができれば、時間が経ったら随分、韓国の方達の意見が少し変わってくる可能性があると思うんですね。これだけ当事者の方達が納得してくれたではないかという、そういう実績を積むことが非常に重要なことではないのかなという気がしますね」
反町キャスター
「でも、お見舞金を受け取った34名の人達、私達が受け取ったのだからこの問題は韓国の他の皆さん、どうか荒立てないでくださいと言うわけではないですよね?」
平井氏
「だから、日韓合意というのは政府間の合意であって民間まで拘束しているものではないので、そこは難しいところですよね。民間の方達が慰安婦問題をずっと提起するということをストップさせることは、あの合意ではできないことですから。だから、その部分は日本側も、少し政府のやることと民間の世論というのは区別する必要があるのではないかなという気がしますね」
反町キャスター
「いかがですか?」
河村議員
「朴槿恵政権が続いていれば、あの合意によってお金が渡っていけば、自然にそういう流れができますからという感じだったんですよね。しかし、ああいう政権交代になっちゃったものですから、言われるように、朴槿恵さんがやったことは全部ノーだと、あの合意も見直せとこういう話になっていったんです。昨年の日韓議連の総会でも野党はそういったことを言った人がいましたけど、これだけの合意なのだということで、それは我々としては受け付けないで、この合意に基づいて未来志向でいきましょうということで総会の決議は終わっているんですね。ですが、例の慰安婦問題、さらに総領事館にやったというところで、これまでやったことは何だったのだというのは、反応もちょっと政府も刺激的だったと思うのだけれども、ああいう形をとったということですからね。しかし、現実にこれ…」
反町キャスター
「そうすると、大使の一時帰国というのはやらなくてもよかったのではないかという思う部分もありますか?」
河村議員
「これは、政府としては当然あそこまでやったことだから、そういうことを政府が止められないわけないだろうと。政府が問題だという想いも強かったと思うんですよ。それから、また、日本側としては、これは国際的に認めたものだよということを強い意志を示しておかなければいかんという想いもあったと思うんですね。それをしっかり出しておくということで、どのタイミングで人をもとに戻すかということありましたけれども、一応ああいう形で北朝鮮の動きもあり、正常に戻していますので。これから韓国の出方を見ますけれども、第3の道と言われても、これからのフォローアップ的なものであるならまた別でしょうけれど。しかし、あれは基金で全部済んでいますし、安倍総理の気持ちを忖度すれば、70年談話に全ての形を自分はそこに込めてあるという想いだと思いますね」
反町キャスター
「そうなると、いわゆる不可逆的なということがすごく心に残るのですけれど、ここからあと戻りはしないよと、あとは前を向いていかないよという合意だったはずですよね。でも、韓国がやろうとしていること、求めていることは明らかにもう1回、振り返ろうよということではないのですか?」
河村議員
「それは朴槿恵さんがやったことは全部、失政だと言われるとね。ちょっと、しかし、政治の継続性…」
反町キャスター
「そこです。そんな基本的なことを日本政府が韓国政府に対して、いや、政権交代があったけれど、外交は継続だからと、そんなことを教えるものでもありませんよね、そんなことは当たり前のことではないですか。でも、そういうことを言わなくてはいけないのですか?韓国という国には?」
河村議員
「そういう言い方になっていると、そこまで突き詰めてくればですよ。突き詰められたら、これはどうなのですかという…」
平井氏
「韓国はおそらく普通の方達の感情で言うと、日韓合意に対しては、岸田さんが会見文で、日韓の共同会見で言っていたのですけれど、安倍さんは全然あの文句について言及をしていないんですよね。だから、本当に謝っているのだろうかと、悪いことをしたという気が本当にあるのだろうかと、韓国の普通の方にあるのは事実ですよ」
反町キャスター
「毎回なんかしなくてはいけないわけ?」
平井氏
「歴代の総理がなぜ償い金と同時に出していた手紙を、安倍総理はなぜ出してくれないのという、そういうところに転嫁していくわけですね。だから、少し日本政府もアプローチがちょっと下手だったようなところがあると思います」
反町キャスター
「でも、敢えて保守的な立場からの質問を代弁すると、ムービングゴールと言われてきました。何かをやると、これでは足りない、実はこうなのだと。今の話を聞いて、たとえば、それをやったところで、それで終わるという保証はどこにあるのですか?」
平井氏
「私は終わらないと思いますよ、この問題は。だから、政府は、政府が約束したから拘束することができますよ。民間、だから、韓国民の感情ということを、これで全部終わりましたというような、それはほとんど無理だと思いますね」

浅羽祐樹 新潟県立大学教授の提言 『予断を排す』
浅羽教授
「予断を排するということですね。革新左派政権なので、反日だとか、北朝鮮に対して融和路線にいくのではないかという心配はあるわけですけれども、決めつけず、現在コリアファースト的な部分と国際協調路線の両方の可能性があるので、国際協調路線が非常に重要であるということを訴えていって、スクラムを組んでいくということが重要だと思います」

ジャーナリスト 平井久志の提言 『慰安婦問題で日韓関係全体を犠牲にしない』
平井氏
「日韓関係というのは慰安婦問題だけではないですね。むしろ他のもっと大切な、北朝鮮の問題も含め、経済の問題とか、いろんな文化交流の問題とかがあるわけですから、慰安婦問題の対立だけで日韓関係全体を犠牲にするようなことはお互いのためによくないと思うので、その対立は対立として解決するのが難しい問題ですから、それは少し対立のままで認めながら、他の問題についても協力するという姿勢が必要ではないかと思います」

河村建夫 自由民主党衆議院議員の提言 『真の近くて近い関係 未来志向で!』
河村議員
「新政権、文在寅政権は、金大中大統領の流れをずっと汲んできていますから、近くて遠いと言われる日韓関係を、本当の意味で近くて近い関係にする。これは未来志向しかありませんから、過去を無視するわけではないけれども、過去も直視しながらまさに未来志向の政治をこれからやっていくということが1番大事だと思いますね」