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2017年5月15日(月)
『一帯一路サミット』 中国の野望と覇権戦略

ゲスト

凌星光
日中科学技術文化センター理事長
武貞秀士
拓殖大学海外事情研究所特任教授(前半)
林芳正
自由民主党参議院議員(後半)
津上俊哉
現代中国研究家 津上工作室代表取締役(後半)


前編

緊急検証!北朝鮮ミサイル 発射のタイミングと狙い
秋元キャスター
「中国が今年最大の外交イベントと位置づけている一帯一路国際会議が14日から2日間に渡って開催されました。現代のシルクロードとしてアジアとヨーロッパをつなぐ巨大経済圏構想を提唱する習近平国家主席ですが、一帯一路構想は新たな国際的経済枠組みとなり得るのか。習主席の狙いと中国経済が抱える実情について、専門家の皆さんに話を聞きます。その前に反町さん…」
反町キャスター
「昨日早朝、北朝鮮がミサイルを発射しました。最高到達高度2000km以上、飛翔時間30分以上というミサイルの性能から伺える、北朝鮮のミサイル開発の現状、具体的にどういう脅威に我々は直面しているのか。発射のタイミング、話にもありましたように一帯一路国際会議という中国にしてみたら一世一代の晴れ舞台の初日にぶち当てるように発射した北朝鮮の思惑、さらに言えば、親北政策をとろうとしている文在寅政権が発足した直後にミサイルを発射する北朝鮮の思惑、東アジア安定にどういう意識をもってミサイルを発射したのか、北朝鮮の思惑、軍事技術、徹底検証です」
秋元キャスター
「昨日早朝に発射されました北朝鮮のミサイルですけれども、発射地点は北朝鮮の西部・亀城です。最高到達高度が2000kmを超えるもので、30分程度飛翔した後、日本の排他的経済水域外の日本海上に落下したと分析されています。まずは武貞さん、今回のミサイル、これまでの発射されたものとの違い、どう見ていますか?」
武貞特任教授
「まずは2000kmという非常に高い高度を飛行したということで、これまで1000km少しの高さまで上がったムスダンありますけれども、この2000kmというのは初めてですね。SM-3のブロックでもまったく届かない2000kmの上空ですから、これは簡単には撃ち落とせませんよというのを見せつけたという感じがしますし、また、30分間飛行したというのは非常に長い時間ですね。北朝鮮から日本に向けてミサイル発射したら7分間で日本に着弾する。今回30分ですから、これは十分にアメリカを意識して30分間飛行できるものを、中長距離弾道ミサイルと彼らは呼んでいますけれども、それを発射したのだと。アメリカも標的になるのだよということを十分意識して見せつけたということで、これまでにない、異次元の脅威というものをアメリカに見せつける、そういう内容のミサイルであったと思います」
反町キャスター
「北朝鮮のミサイル発射の今回のタイミング。これは、たとえば、韓国の政治情勢とか、中国との関係というものがまったく入る、ないしは米朝がもしうまくいったとすれば、うまくいきかけた米朝協議もまったく関係なく、やるものなのですか?」
武貞特任教授
「いや、関係づけてやったんですよね。考えに考えてキチッとシナリオも考えてやったわけですね。1月1日の新年の辞で、金正恩委員長が大陸間弾道弾・ICBMが発射の最終段階に来ていると言って、いつ発射するかということを非常に考えて、考えてきたのが北朝鮮。4月15日の金日成生誕105年の軍事パレードで、実は今日発射したミサイルらしきものを行進させているんですね。まったく新型の、今日、火星12と発表をしていますけれども、それをいつ発射するか、まだ1回も発射していなかったものの機会を探ってきた。しかし、文在寅大統領の誕生の直前であれば北朝鮮の脅威が高まっていた4月は安哲秀候補、洪準杓候補という非常に保守派のガチガチの米韓同盟堅持、北朝鮮はけしからんと言っていた人達の票が伸びてきたんですね、4月の緊張が増大した時に。その時に、4月、あるいは5月8日までの間に核実験、あるいはミサイル実験をしたら、もしかしたら文在寅さんが落選するかもしれないということを十分に計算した北朝鮮は、大統領選挙が終わって、文在寅政権が始まってから4日後という、まさにこのタイミングを選んだと。文在寅さんは一応これを非難しています、北朝鮮のこのミサイル発射について。ところが、秘書室長とか、民生担当首席補佐官とか、国務総理、この人事を見ていますと、まだ閣僚はこれから国会の承認を得なければならないですけれども、北朝鮮が暴走すればするほど、温かく寄り添ってあげれば、同じ民族同士だからきっと北朝鮮は、ありがとう、同じ民族の南朝鮮の皆さん、核兵器、話し合いで捨ててもいいです、早く統一しましょうと応えるに違いないと考えている人達がごそっと、十何年かけて北朝鮮に対する太陽政策を編んできた人達が政権の中に入っているわけですね。これはチャンスです、ミサイル発射すればするほど、韓国は北朝鮮にやがて寄り添ってくるねという計算が北朝鮮にある。ですから、これは文在寅政権が誕生したということは、北朝鮮のこれからのより頻繁な核実験とか、ミサイル発射にすぐにつながるものですよ。これは意外な…」
反町キャスター
「中国はどうですか?一帯一路国際会議の初日、よく中国は、凌さんにあとで聞きますけれども、中国というのは北朝鮮にとったら、後ろから支えている後見人みたいなことをよく言われていたのですが、全然、現在はそういう関係がないのですか?」
武貞特任教授
「すごくいい質問ですよね。まさにこの一帯一路の会議の初日にミサイルを発射したということで、非常に中国を意識しています。中国にある北朝鮮の大使館の大使が、これかも自分達はやっていくのだということを述べていますよね。中国を非常に意識したミサイル発射であった。我々の常識から言えば、また中国に嫌われるではないかと、国連制裁で中国はより厳しいものに賛成するのではないかと思うのですけれど、北朝鮮の発想はそうではない、非常に安心していますよね。対外経済大臣が今回、一帯一路の会議に呼ばれて、いろんな映像も北京で撮られているわけですけれども、経済問題、海と陸、東西を結びつけるルートをいろいろと発展させていく時に、北朝鮮、蚊帳の外ではないですよというメッセージを中国は送っている。だから、少々これまで通りのことをやっても中国に見放されることはないねと、北朝鮮的な発想であれば、考えますよ」

国際社会の対応と制裁のあり方
反町キャスター
「中国が、たとえば、ここのところ、アメリカとか、日本とある程度、共同歩調を見せながら北朝鮮に対する制裁のドアを徐々に徐々に狭めているのが見ていてわかる中で今回、一帯一路国際会議に北朝鮮の閣僚を呼んだことが武貞さんの話によれば、閣僚を呼んだことが北朝鮮からしてみれば、これだけ実験して、これだけ打ち上げても呼んでくれるのだったら、やってもいいのだろうというシグナルと思ったとすれば、中国の対北朝鮮政策は失敗ではないのですか?」
凌氏
「失敗ではない」
反町キャスター
「なぜ失敗ではないのですか?」
凌氏
「中国の基本的な政策は北朝鮮を話し合いに持っていくと。テーブルに乗せることですよ。それに全然影響ないでしょう、こんな打ち上げたって。もちろん、制裁について、たぶんアメリカと話し合うでしょう。現在、米中が連係プレーをとっていますね。これは話し合ってどう対応するかを考えるんですよ。中国にとって1番危ないのは核実験、中国にとってね」
反町キャスター
「ミサイルは怖くない?」
凌氏
「ミサイルについては、私が思うには、中国はもちろん、よくないと思うけれども、どちらかと言うとまだ許容範囲がある」
反町キャスター
「もう十分、北京まで届くのをいっぱい持っていますからね」
凌氏
「ですから、中国としては核実験をやらない。アメリカにとっては脅威ですよね」
反町キャスター
「届いちゃったら困るから」
凌氏
「ですから、そういう点でアメリカとの話し合いをどうするのか。中国の基本的な政策、核は最後的には全部放棄させる。2つ目に朝鮮半島の平和と安定、3つ目に話し合いで解決、この基本はずっと変わっていません」
武貞特任教授
「現在の話は全て公に出るいろいろな発言、公に近いところで、ニュースで報道してほしいねという、リークするような世界の話で、ずばり非常に少数派の意見ではあるのですけれども、核を持っていてももういい、ミサイルを持っていてもいい北朝鮮はというぐらいの政策に中国は、私は何年か前に転換していると思います。だって、パキスタンだって核兵器を持っている。でも、要は、理想的なのは核兵器を放棄することですよ、でも、核兵器を放棄してよね、あるいは弾道ミサイルだって開発したら嫌だよと言ったって、主体的に自分の技術でやりましたと労働新聞の1面にボーンと出す相手に対して、やめなさい、やめなさいと言ってやめないのなら、既に非常に中国はそういう意味では頭がスマートですから、持ったままでもいいやと、その代わりあなたのところの地下資源を安く売ってね、また、中国のものをたくさん買ってねと。アメリカとか、韓国とか、日本とくっついたりしないで、中国の言うことを聞いて、党と軍の関係しっかりと持っていてね、今度はそれを使わないでね、ミサイル発射をしたりする時は北京に向けて撃ったりしないで、ということを守ってくれれば、これはかわいい核です、中国にとって。それは理想的には核を放棄してくださいと、これは政策だけれども、ダメならしょうがない、だって…。それが非常に現実感覚に優れた中国指導者、歴代中国の指導者は全部そうです」
反町キャスター
「アメリカは今回の問題、どうだったのか。アメリカは今回のミサイルの発射に関して、知らなかったのかと言えばたぶんそうではないですよね。今回アメリカはこの実験に対してどういう姿勢で臨んだと見ていますか?」
武貞特任教授
「2日、3日前から発射の、今回の、火星12の発射の前から、どうも亀城という滑走路のあるところで移動式発射台が上を向いたらしい、発射しそうだとインターネットでワーッとまわっていて、これをアメリカが見ていないはずがないです、情報機関、国防機関がですね。知っていた。でも、何にもしなかった、警告もしなかった、試験発射したらアメリカは黙っておかないよと、たとえば、政府高官がCNNにポロッと喋ったっていいではないですか、一切なかった。アメリカは撃ちそうだけれども、まあいいかと思っていた。それは先ほども紹介がありましたけれども、ノルウェーのオスロで北朝鮮外務省の崔善姫という北米局長、この人は6か国協議の前から次席代表、現在は北米局長でトップですよ、北米アメリカ担当の。その人と会って、これからは対話、条件次第で対話もやっていくのだということを記者にオスロでポロッと述べていますが、その時の崔善姫北米局長の言葉、状況次第では米朝首脳会談だってやってもいいよ、とトランプさんが言った、あの文言とすごく似ているので、私はのけぞったのですけれどね。何のことない、相当、核兵器問題を解決するためには、結局は話し合いで、アメリカと北朝鮮はいろいろなお互いの考え方、意見を交わしながら、戦争につながることがないように、ソフトランディングの方向で核の問題をやっていかなければならないねということで、この数週間でほとんど一致したと思いますよ」
反町キャスター
「話し合いが進んでいる?」
武貞特任教授
「話し合いが進んでいます」
反町キャスター
「話し合いが進んでいるから、アメリカも今回の発射に関しては事前にいろいろと警告をするなり、そういうことはとらなかった?」
武貞特任教授
「まったくなかった」
反町キャスター
「今回のミサイル発射で、僕らがえいやと騒いでも、なんだかちょっとバカらしいとは言いませんけれども…」
武貞特任教授
「いや、そんなことないです。アメリカは世界のリーダーだし、私達が頼りにしている日米同盟の片方ですから国連の制裁を強化しなければならないと考えます」
反町キャスター
「それは表芸の話ですね?」
武貞特任教授
「表芸、いい言葉ですね、裏芸があるんです。この番組は裏芸の話をする番組だったのに…。実際は国連安保理を招集して厳しい決議を一応やることを考えるけど、これからむしろ頻繁に米朝の協議を進めていく方向にトランプ政権は流れるだろうと思いますし、そこまで全部足元を見ているんです。中国も熱心に手伝ってくれていないということも北朝鮮は言い始めています。ロケットが一昨日発射された時、ロシアの近いところに落ちたねと」
反町キャスター
「アメリカが言いましたね」
武貞特任教授
「あれには深い意味があるんですよ、トランプ大統領の言葉はね。中国が手伝ってくれるべきだと言っていたのに、あまり中国は北朝鮮をストップすることを手伝ってくれないと。今度ロシアに頼んで、この数年の間、北朝鮮の経済にテコ入れしてきたのはロシアですよ。110億ドルの北朝鮮の対ロシア債務を、100億ドルをチャラにして、10億ドルの分は、今度はお金を払って地下資源、レアメタルをロシアが北から買いますと。ほとんどだから、110億ドルを無料にしたわけですよ。年間の輸出輸入総額が80億ドルの国に対して、110億ドル棒引きにするぐらいに面倒見てきたロシア、なぜ責任をとらないの、あんたのすぐ近くにミサイルが落ちたではないの、中国だけが北朝鮮を説得できる責任者ではなくて、ロシア、あなた方もだという言葉を込めて、トランプさんは言った。だから、トランプさんは、1つ言えることは、ちょっと失礼かもしれませんけれども、中国の役割、期待していたのにそれほどでもないねと、むしろアメリカとは一線を引きながら一帯一路会議で主役を演じて、自分中心で北朝鮮のことちゃんと考えていないと思い始めた、アメリカは。次、頼りになるのはロシア、でも、ロシアもあまり頼りにならないと。一帯一路会議で習近平さんとプーチンさんが会って、緊張が増大しているけれども、衝突をしたりしないような形で、お互い緊張を緩和するように協力しなければならないと話し合った。これは、トランプさんはなすすべなく、ただ、ロケット発射を傍観していた、その足元をしっかりと見ていたのが金正恩委員長だという展開で今日に至っているんですよ」


後編

巨龍が描く『一帯一路』 中国が狙う『経済覇権』
秋元キャスター
「北京で開催されていました一帯一路国際会議ですけれども、一帯一路とは2013年に習近平国家主席が提唱したものですけれども、その構想に描かれる経済圏の範囲について、このようになっています。アジア、中東、欧州をカバーする巨大なもので、海上でも東南アジアからアフリカ、ヨーロッパをつないで、いくつもの物流ルートを整備するというものです。今回の国際会議には沿線上の国はもちろん、130か国以上の首脳や代表団が参加したということです。凌さん、今回のこの一帯一路国際会議の開催についてどのように評価されますか?」
凌氏
「まず経済圏、経済圏と言っていますけれども、中国は決して経済圏を意識していると言っているわけではありません。このシルクロードというのはシルクロードの精神を現代に活かそうということで、たとえば、今回、南米のチリも参加しましたよね。チリの大統領が太平洋をまたがる光ケーブルかな、それによって中国と南米との関係、これもシルクロードと言っているんですね。ですから、中国は経済圏とは言っていなくて、皆、外からつけている名前なので、これが1つ。それで中国がここで目指しているのは、現在の国際経済市場というのは合理的な面もあるけれども、しかし、発展途上国にとって必ずしも有利ではない。それは中国もこれまでいろいろ体験していることで、それを発展途上国にも、あるいは小国にも有利な、皆がメリットを受ける、大国ばかりでなくて小国も、強国ばかりでなくて弱国も、皆がメリット受ける、そういった仕組みに改革していこうというのが本音でしてね」

進む『構想』と中国の『リアル』
反町キャスター
「津上さん、経済のグローバル化を推進し国際的なバランスを取り戻すと。要するに、グローバリゼーションというのは当然貧富の格差というのはできますよね。だってコストの低いところにグッと移っていくというのが当たり前のことだという印象があるのですけれども。それをやりながら国際的なバランスを取り戻す、これは完全に矛盾しているものを並べているだけに思えるのですけれど、こういうきれいごとを並べていくことの先には何があるのですか?」
津上氏
「ある意味では、南北の貧富の格差というのが不均衡なので、それを直していくグローバリゼーションというのは、まさに均衡、格差是正ではないかと、途上国から見れば見えますよね」
反町キャスター
「中国はどちら側に立っているのですか?」
津上氏
「基本的にはそちら側だと思いますね」
反町キャスター
「途上国側ですか?」
津上氏
「そうすると、先進国の方は雇用が減っていって、貧しくなるという不満は出るのですけれども、そこのところについては、いや、世界全体が良くなるのだから、いいではないかと、基本的にはそちら側に立っていると思いますね」
反町キャスター
「中国の国内はそれでもつのですか?国内的には、たとえば、構造不況業種とか、いっぱいあるわけではないですか。それが、たとえば、3倍になるような、経済の構造改革を推進していく。これはたぶん国内の問題も、国際的な問題も両方含めてだとすれば、そういうことをやっていくことと国際間におけるバランスを取り戻すこと、これは同時に実現できるとは…。ある意味、トランプさんが国内の雇用を確保するために外に壁をつくるというのとは、そこは僕、正直な部分があると思うんです。これはあまりにもきれいごとを並べすぎて何をやりたいのだか、わからない部分というのはないですか?」
津上氏
「一帯一路の、最初の3年前の触れ込み時に、これでユーラシアに高速鉄道網を敷けば、中国の鉄が売れて、設備過剰業種が儲かるのだという、そういう触れ込みがありましたね。できないと、そんなことは。それはたぶん引っ込んでいるんですね。おそらく中国は、過剰業種についてはある程度、貿易で他の国に迷惑かけているところあるのかもしれないけれども、中国は中国でこれを全部活かすというのではなくて、これは設備廃棄しなければいけないということを考えてはいると思います」
凌氏
「実際にやりましたよ。昨年の削減は、予想というか、計画よりも多かったです」
反町キャスター
「なるほど」

中国が狙う『経済覇権』
秋元キャスター
「林さん、この国際会議、どういった印象で見ていましたか?」
林議員
「一帯一路そのものはそれほど具体的な計画がまだあるわけではなく、構想段階なので、この構想段階でこれだけの人が一応来てくれたというところかなと思いますが。先ほどのバランスを取り戻すというのは、私はすごく気になっていて、取り戻すということは、かつてはバランスがとれていたということですよね。かつてとはいつなのだろう。100年前なのだろうか、300年前なのだろうかとか、戦後から現在くらいまでかなとか、どこからのバランス、どこまでのバランスに戻すかによって見方は変わってきて。中国の時系列の考え方は我々よりもちょっと大きいところもありますので、そのへんか、もしくは南北問題をただ言っているのかというのはちょっと若干、これだけ読んでいただけでは、わからないというところがあります。それから、この2番目の、実はこのwin-winのあとに、とても大事なことを言っていて、恣意的にボーダーラインを引かずに、政治の立場を堅持せず、排他もしないと。これはアメリカに対する強烈な当てつけのように私は見えていて、人権だとか、民主主義だとかに、ブレトンウッズというのをずっとこだわってきて、特にアメリカは見方によってはおしつけがましいぐらい、政府にこうしろということを言ってきたわけですね。これが発展途上国にとって、IMF(国際通貨基金)で通貨危機がアジアで起こった時も問題になりましたけれども、いや、そんなこと言ったって、あんたが何百年もかけたということをそんなにすぐにできないよね、まずは経済成長が先ではないかというのはずっとあったわけですね。まさに中国は自分がそういう立場からここまで来たので、そこは俺達もよくわかっているから、あまり押しつけがましいことはしないで、インフラ整備とか、経済だけをまずやっていこうねというメッセージを、特に発展途上国向けに送っているのかなと。そう見えますので、世界の中心がアメリカ中心の体制から自分の中心にいくというようなことを匂わせながら、発展途上国をグッと引きつけていると。だから、ここにちょっと書いていないのですが、そこはとても大きな意味があるのではないかなと」
反町キャスター
「ものわかりのいいニューリーダーだよとアピールしているみたいな、イメージですか?」
林議員
「俺はもともとあなた方と同じところから、ここまできたので、君達の気持ちはよくわかると、アメリカとはちょっと違うのだよと言っているような気がしますね」
凌氏
「まずこの経済のグローバル化を推進し、国際的なバランスを取り戻す、これ訳に問題あるのではないですかね。国際的なバランスと取り戻すという言葉は、私はこれまで見たことない、均衡を、1つの重要な目標とすると言っています。それで経済のグローバル化ですけれども、これまでの経済グローバル化、グローバル化はもう客観的な法則性というか、これは必ずなる、問題はそのグローバル化のプロセス、やり方。これがこれまでの多国籍企業の主導型のグローバル化というのは、アメリカの内部の格差が拡大しました、それで国と国の間でも格差が拡大した。ですから、これは私の言葉ですけれども、現在、中国が主張しているのは国際協調主導型のグローバル化ですね。この国際協調というのは、今回の演説にも書いてあります、国際協調というか、つまり、各国の政府の間で協定を結んだり、あるいは多国間も結んで、それをまとめていきますよね、そういう中での市場原理を働かせるグローバル化です。そうすると当然、国際協調の中では格差の拡大を防ぐような措置もとられるわけだし、それから、遅れた国に対してはある程度、配慮をした、いわゆる中国はアーリーハーベストという、そういう配慮した。そういうことによって、皆が伸びる、皆が豊かになるという、そういうビジョンを出しているんです。だから、経済のグローバル化のこれまでのやり方を少し改善していきましょうよというのが、これです」
反町キャスター
「その意味で言うと、いわゆるイギリスとアメリカからバッと広がった新自由主義と呼ばれるような、そういうものであるとか、新しいグローバライゼーションでも結構ですよ、そういったものに対して、中国は明らかに我々はこれに対して修正するのだと、現在のままではダメだと。私達はこのシステムの不公平・不公正な部分というのを修正するんだよ、ということを今回一帯一路国際会議で各国にアピールしている」
凌氏
「そうそう。それで、これは中国ばかりではなくて、IMFも、世界銀行も、世界の有識者は皆、そういう意見が主流を占めているんですよ」
反町キャスター
「修正する必要はあると皆さん、言っていますよ」
凌氏
「今回、中国が確かに提唱者ですけれども、これは世界各国からいろいろな意見を聞いてやっているんですよ。このプロセスも中国では報道されていますけれど。ですから、中国だけの有識者のアレではなくて、世界の有識者の、いろんな意見を聞いて集大成したものですよ。だから、2年後にまた開かれると聞きました、2年後にまたもう1度、この2年間の実践を通じて、そこからまたいろんな教訓、あるいは総括して、またもっと充実させようという、だから、そういうプロセスなので。今回のこの4年間も自分の経験と同時にいろんな人の意見も聞いてやってきているんですね」

『海のシルクロード』真の狙い
秋元キャスター
「ここからは一帯一路構想の海のルートに注目して話を聞いていきたいと思うのですけれども、中国は現在、一帯一路構想の一環としてミャンマー、スリランカ、モルジブ、パキスタンと、これらの国の港の整備を進めているんですね。津上さん、中国はどういった狙いからこの海側の整備を行っているのでしょうか?」
津上氏
「海というのはむしろ、たとえば、インフラ投資の採算性とか、そういう経済性みたいなことから言うと、陸よりも海の方が成功するプロジェクトは多いのではないかという気もしますね。陸は基本的には中央アジアが砂漠なものですから、両端に需要がある貨物の鉄道というのは成り立つのですけれども、高速鉄道を中央アジアの砂漠の上に引くのは、それは無理だって話になっちゃうわけですね。それに比べて南の海の方というのは、港をいくつかこうやってアレしていくというのは、確かにこれまでその一帯の港はそんなに整備されていないですよね。それは、たとえば、中国の上海港とか、ああいうインフラ整備の感覚から言えば、ここをやればもっと良くなるという中国なりの、ビジョンは確かにあるだろうと思うし、そこはそれなりの採算は取れるだろうという気はするので、私は結構乗りではないかなと思うんですね。それから、もう1つ言うなら、こういうインフラ整備と同時に、南シナ海のややこしい問題についても、裏バージョンとして、と言うのか中国はこの1年間ぐらい相当なことを進めてきているんですね」
反町キャスター
「どういうことですか、それは?」
津上氏
「仲裁判決をくっちゃったではないですか。紙クズだってあの時は言ったけれど、実際には相当ショックを受けて、それ以来、彼らが一生懸命やっていることというのは、只今現在については、要するに、当事国だけで平和的に解決しますからどうぞご心配なくという方向へ一生懸命持っていこうとしているわけですね」
反町キャスター
「しかも、1対1で処理しようとしていますよね?」
津上氏
「そうです。もうフィリピンは、ドゥテルテさんは、すごくしたたかなオジさんなものだから、ということになれば、中国から、せしめるだけ、せしめようというので、すごいですよね、動きは。そういう形で南シナ海も平和的に解決をします、当事者間で。こういうふうな経済的なメリットも出します、これがたぶん2期目の、あらまほしき姿の方へ持ってこうと思っていると思います。ただ、心配なのは、南シナ海はもう手荒なことはしませんと、当事者間で解決しますと言うので、現在はなんとなくそうやっているように見えるけれども、党大会が終わったらまたガラッと変わるとかはしないのだろうなと、そこらへんの保証感がないです。このままずっと行ってくれるのだと、埋め立てだなんだとか、防衛識別圏とか、そういう話はもうご心配なくと保証してくれるのだったら、それは随分と中国のイメージも変わってくるのですけれども。そこがちょっとまだないし、2期目の政権でアジェンダが出てくるかね…」
林議員
「津上さんおっしゃるように現在だったら本当に文句あれば、裁判所行こうとか、そういうのが一応、ルール・オブ・ローの仕組みがあるわけですよ。だけど、このまま、まさに津上さんおっしゃるように、なんとなくそんなにハードでないし、付き合っていると経済的にいいことあるしと、ずっとそれをやって行って、最後には手荒にしないからと中国はおっしゃっているけれど、中国は主観的にはそう思っていても、こちらとしてはそうではない場合に、どこに行って、それは最終的な仲裁とかいうことが保証されているのですかというところに一抹の不安は残るわけです。いや、悪いようにしませんからと、そうなった時に、いや、これ悪くないでしょうと言うのだけれども、こちらにとってこれちょっとあまりではないですかということが将来出てきた時に中国と当事者国のうえに何かちゃんとあって、そこが裁いてくれるという仕組みが残るか、あり続けるのかというところが結局、中国の人治になってしまうリスクというのをどう見るか」
反町キャスター
「法治ではなくて、人治ということですね?」
津上氏
「いい子にしている間は悪いようにはしないなのだけれど、ちょっと態度が悪いとロッテみたいなしばきに遭うとかね…」
反町キャスター
「ロッテ?ああいきなり締め出されちゃうという意味ですね?」
津上氏
「そういう不安感があるんですよね」
凌氏
「津上さんの言われた懸念と言いますか、これも私、理解ができますが、しかし、この根本はアメリカの態度ですよ、米中関係。なぜ南シナ、あそこに人工島をつくったかと言うと、結局アメリカのヒラリー・クリントンがけしかけた、それがバックにあって、そしてこうなる。現在、東シナ海でだいたい領土問題というか、それは当事国で、東シナ海全体の平和、これはASEAN(東南アジア諸国連合)という全体と中国とのそういうアレでだいたい話はついていますね。これはアメリカが出てこない限り、これは問題ないです。問題はアメリカが、トランプさん、あるいは軍部が出てきて、やったら、そうしたらまた問題になる。しかし、トランプさんとの間ではだいたいもう話がついていて、だから、この前、また、自由の航行(の作戦)で、出そうとしましたよね、それで人工島の12海里の中に入ろうとしたら、トランプさんのところまでいかないで、ペンタゴンのところでもうダメということで。ですから、アメリカの自由の航行もだいたい、私から見たら今後あまり大きな問題にならないのではないかと、トランプさんの間で話がついた。こういうことが続けば、もう問題ないです。だけど、もしまた、そういう挑発的なこと、たぶんないと思うけれど、そうしたら中国とまた摩擦が出てくる可能性もある」
反町キャスター
「アメリカのせいにばっかりされてもねえ…」
凌氏
「だって、これが本質なのだから」
反町キャスター
「アメリカが強くなると中国も強くなってしまうからということ?」
凌氏
「強く出てきて強行的な、それはまさに国際的な1つの連携プレーですよ。どうやって国際協調に持っていくか、それともいわゆる冷戦思考で中国をコントロールしようとするか、あるいは牽制しようとするか」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、人権とか、民主主義とかの旗を振らないトランプさんはあまりそういうことを言わない人だとすれば、ディールだと、経済だと、貿易不均衡なのだという大統領がきてくれると、中国にしてみたらハイハイわかりましたよと、ボーイング500機買いますよみたいな話で…」
凌氏
「やりやすい」
反町キャスター
「どうですか?」
林議員
「そこは本当に凌先生がおっしゃる通りやりやすいと思いますよ。だから、思考が似ているわけですね。だから、オバマさんと比べてみれば一目瞭然で、原理原則というのがあって、そこからなかなか、そこにもとがあってそうやるんですということで、ノーベル平和賞まで受賞しているわけですが、結果として、では結果をいろいろ出しているのかというところになるので、正解はたぶんオバマさんとトランプさんの間ぐらいのバランスということに最後はなるのでしょうけれど。少なくとも中国から見れば、いろいろなまさに今、話があったようなディールができる人がきたと。ディールさえできれば、もう手荒なこと、安全保障的に、無理やり力による原状変更みたいなことをしなくて済むようになるのか、そうは言ってもこれだけ経済成長していますから、もう少し領域を広げないといけないとなる可能性がないとも言えないので。先ほどの話に戻るのですけれど、そうなった時に、今すぐでないにしても、そういう場合どうやって、我々の場合は国内で何かあれば最後は裁判所に行くとか、警察に行くという手段がありますけれども、国際的に現在そういうところが、米中が現在のままにいってくれればいいけれど、アメリカも4年後、8年後また変わるかもしれないし、影響力がさらにこのままで、中国に有利に、強くなるということもある、いろんなことがあるので。中国とアメリカの現在の首脳同士がうまくいっているということだけをもって、ああよかったと将来的にも安心だとはなかなかこのストンと落ちないところが残ると」
秋元キャスター
「今回の一帯一路国際会議、日本からは自民党の二階幹事長が出席しているんですね。二階さん、14日、このようなことを言っています。『一帯一路の成果は関係国や地域国際社会全体に享受され、国際社会の安定と繁栄の実現につなげていくべきだ。全ての国に開かれたものとして、また、国際スタンダードに適合した質の高いものとして推進されることを期待する』と言っています。林さん、日本のこの一帯一路構想への参加の可能性というのはどう見たらいいのでしょうか?」
林議員
「一帯一路というのは会員制のクラブで、会員権を出しているわけではないので、参加する、しないという定義ではあまりないのですけれども。まさに二階幹事長、国内におられた時には、もうそろそろAIIB(アジアインフラ投資銀行)もいいのではないのかというぐらいの発言もされておられたので、もう少し前向きなご発言が出るのかなと思っていましたけれど、非常に抑制の効いたですね、国際スタンダードに適合した質の高いものにまだなっていないとも読めるんですね。推進されることを期待するので、まだ構想だけなので、これからも我々はそういうスタンスで臨ませてもらいますよという、非常に抑制の効いた発言になっているのではないでしょうか」
反町キャスター
「林さんの個人的な見解を聞いてもいいですか?入るべきかということについて、どう考えていますか?AIIBについて」
林議員
「AIIBですか。アメリカと、どちらかが勝手に入っちゃうという事態はよくないので、両方抜け駆けしないようにしながら、これまではガバナンスもきちんと効いているので、あまりもう一顧だにしないということではなくて、検討はすべきだと思います。で、その検討をするのもアメリカとよく相通じながら、タイミングを見計らうということだと思いますし、私は二階幹事長が行かれたので、そのへんの話もいろいろなところでやってこられたのではないかなと見ています」
反町キャスター
「TPPにはアメリカが入らないと。一方、日本はアメリカを除いたTPP11でやろうかという話もあります。そうすると、TPPというものがもともと中国に対して、知的財産でタガをかけようかという、政治的な意味もある集合体であることを考えると、いまだにTPPにこだわっている日本と、TPPはやらないよと、バイでいろいろなところとやりたいのだよとフリーハンドを得たアメリカだったら、アメリカの方が今やAIIBに入りやすくなっているのではないかと、そんなことはないですか?」
林議員
「それはあまりないと思いますし、TPP11の中には一帯一路で来ている国もたくさんあるわけですよね。ですから、TPPにもし入ったら、ヨーロッパとはできないとか、RCEP(東アジア地域包括的経済協定)ができないということはないので、TPPはTPPで11を追求するし、そこにアメリカが将来的に入ってくればいいし、それとは別にこの一帯一路、AIIB等についても、別に拒否する理由はないし、RCEPの交渉は既に入ってやっているわけですから。常に日本がいろいろなところとやっていて、日本が入らないと重みのあるものにならないな、ということに皆が思ってもらえるようにしておくということが、我が国にとっては1番大事なことだと思いますね」
反町キャスター
「別にそこは、どこかに1つにこう…」
林議員
「昔の冷戦みたいに、アメリカ陣営にも入って、ソ連にも入る、こういうのとはちょっと違うのだと思います。もう中国とこれだけ貿易もやっているわけですから、当然、経済関係はあるので、そこはもういろいろなところと、縦横無尽にやって差し支えないのではないかと思いますね」
反町キャスター
「津上さん、いかがですか?どういう姿勢で我々は臨んでいったらいいのですか?」
津上氏
「私は1月から3月ぐらいまでワシントンにいたのですけれど、その時に感じたことは、この3年間、最初に一帯一路が打ち出され、AIIBが打ち出されて3年が経つわけですが、その間に随分アメリカの中の空気も変わっているということを感じました。一言で言うとアレルギーが消えたという感じがあって、AIIBについても、出だし上々ではないですかという評価が結構、一般的です。中国に対してタカ派的な論客の人達も人によってはAIIBに加盟した方がいいと言う人がいると。私がある人から聞いたのは、誰でも知っている大電気メーカーが一帯一路については受注チャンスという観点から強い関心を持っているとかね」
反町キャスター
「その電機メーカーは現在、原子炉をやっている、ジェットエンジンをつくっている会社ですか?」
津上氏
「そこらへんはね…。ビジネス・インタレストと言っていましたけれども、あるということを言っていましたから。トランプさんみたいな人は、AIIB、いいではないかと、アメリカ企業の受注が伸びることを期待するみたいなことをいつ言ってもおかしくないし。そういう観点から見ると、ちょっと日本と比較してみると日本の中の雰囲気は3年前のままですよね。そのまま変わっていないのですけれども、だいぶ周りは景色が変わっているというのを、もういっぺんちゃんと捉えた方がいいのではないかなと思います」

林芳正 自由民主党参議院議員の提言 『近くに正座して』
林議員
「これだけアメリカよりも多くの貿易関係も持っていて、経済的にもう切っても切れない関係にありますので、番組の中で申し上げたように、我々はこういう価値観を持っていて、法治という原則も大事にしていますから、そういうところを崩さずに、近くで言うべきことは言うという意味で、正座してと書きましたが、そういうことだと思います」

凌星光 日中科学技術文化センター理事長の提言 『偏見を正し、積極的協力を!』
凌氏
「偏見を正して積極的に協力をと。まず偏見を正しというのは、先ほども覇権戦略という言葉が出てきましたけれど、どうも中国と言うと、すぐ覇権、対外膨張とか、そういう私から見ると古い思考方式に捉われちゃって…」
反町キャスター
「だって、保守派もいると先ほど、言っていた…」
凌氏
「それはいますけれど、しかし、中国の当局はそうではありませんから。ですから、そこをよく分析して、意識転換、偏見を正して、中国のAIIBにしても、あるいは一帯一路にしても、その他、私は日中間で長期的な経済協力計画をつくるべきだというのを前から主張しているのですけれども、そういう方向にいけば、日本が決して1%未満の経済成長率ではなくて、少なくとも2%、あるいは2%以上の成長率をやり遂げることができると思うんですよ。現在、日本だけが中国の成長を自分の方に利用することがうまくできてないと思いますね」

現代中国研究家 津上俊哉氏の提言 『正しく恐れる 賢く付き合う』
津上氏
「今回の会議を見ても世界の期待というのは非常に大きいというのがわかりますし、アメリカの姿勢というのも3年前と同じと思っているととんでもない大間違いをする可能性もあります。そういう意味で、中国はそれなりの実力はあるし、そういう点は正しく認識をする必要があると思います。それと同時に、あまり情緒にとらわれずに賢く付き合うということが必要かなと思っています」