プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年5月8日(月)
『伊吹文明×古賀誠』 安倍政権の緩みと慢心

ゲスト

伊吹文明
元衆議院議長 自由民主党衆議院議員
古賀誠
元自由民主党幹事長

安倍首相『改憲発言』の波紋
秋元キャスター
「国会では今日から集中審議がスタートしました。野党からは安倍政権の一強体制について驕りや緩みを批判する声も高まっています。若手議員の不祥事や閣僚辞任の背景で自民党政治に現在、何が起きているのか。安倍政権と自民党の課題についてじっくりと聞いていきます。先週、安倍総理が、自民党総裁として憲法改正へ踏み込んだ発言を重ねたことから波紋が広がっています。ポイントあらためて見てみますと憲法9条の1項、2項を残しつつ自衛隊を明文として書き込む考え方は国民的な議論に値すると、合わせて高等教育の無償化にも言及しまして、2020年を新憲法施行の年にしたいと、目指す年限まで明らかにしました。さらに自民党の改正草案にはこだわらないとし『今後は圧倒的な第一党として現実的かつ具体的な議論を主導していく』ということを話されました。まずは伊吹さん、総理の改憲への強い意欲を示したこの一連の発言ですけれど、どう受け止められましたか?」
伊吹議員
「自民党の立党の精神は憲法改正です。綱領にもそのことは明記されています。ただ、内容をどうするのかということは別ですよ。時代に合わなくなったものを変えるということ、これはもうやらなくてはいけない。そして3分の2、自民党だけではないけれども、志を同じにする政党も含めて3分の2があるのに、しかも、衆議院の選挙はあと1年、任期はあと1年と7、8か月かな、ですから、その間に道筋をつけたいのにいったい何しているのだというイライラ、モヤモヤした安倍さんの気持ちはまずよくわかりますね。もちろん、国会で、天皇の立場と同じく、憲法というのはできるだけ全会一致でやらなければ、発議しなければならないわけですね。だけど、反対もあるから3分の2ということにはなっているのだけれども、そうすると、この次の選挙終わった時に3分の2が持てるかどうかということも安倍さんは考えていると思いますね。だから、しっかり早くやってくれよという気持ちが出たと思いますね。国会のことを内閣が云々するということは、これは憲法上、三権分立ですから、できませんから、自民党総裁としてということは利用しておられるのだけれども、私は、内閣総理大臣であり自民党総裁である安倍晋三個人としての、憂国の言葉として出されるのが良かったと思います。と言うのは、自民党は既に憲法改正草案を出しているわけですね。自民党総裁であってもと言うか、あればこそ自民党が党内手続きをとって出したものについて、そうでないものを公にする時は一応、党内の話を組織政党としてやっておくべきだったと思います」
古賀氏
「私の率直な印象は、やはり唐突だなという、感じは持ちましたね、正直言いまして。ただ、平和主義というこの大事な9条の1項、2項というのは今日の平和な国家をつくった支柱ですよね、戦争の放棄、それから専守防衛という、この支柱のもとで今日の精神を活かしながら平和国家というものが構築されたというのは間違いない。1項、2項はちゃんと残しますよと、自衛隊というものをどう考えるかというのは、いろいろと憲法学者の中でもこれまで議論されてきたことだけれども、私自身もここまで自衛隊の行動というを見ていますと、憲法上疑義があるというままでいいのかという疑問はあります。私は憲法改正には慎重であるべきだということをずっと貫いてきた1人だと自負していますけれども、こと自衛隊の問題については真剣に考える時が来ているなと。そういう意味では1つの考え方として、これから項目とか自衛隊の制限とか、いろいろな内容というものが当然必要になってきます、議論するためには。そういうものを見たうえですけれども、1つの考え方として提示されているということは評価とまではいきませんけれど、政治テーマは憲法改正ですから、安倍さん。そういった中で1つの道しるべを議論してくださいよと、その評価には値するかなと私は率直にそう思いますね」
反町キャスター
「誰が言うべきなのかはわからないのだけれど、総理、総理ではなくて、総裁です、この場合は。安倍さん、総裁、ちょっと待ってくださいと、我々に1回も相談もなしにこれを言うのはちょっと困りますという人、誰かいてもいいのではないかという、ここの部分はどう感じますか?」
古賀氏
「それは誠に現在、政党政治が劣化して、一党多弱というのは野党の中でだけではなく、党内にもそういうことが言えると、両方言える、一党、官邸と言った方がいいのかは別ですけれども、そのことが現在、非常に我々が心配する、不安に思うことですね」

政界重鎮『安倍一強』を斬る
反町キャスター
「それは憲法の、今回の改正の中身というよりも、強過ぎる安倍さんと言っていいのですかね?強過ぎる官邸なのか、僕はよくわからないのですけれども」
古賀氏
「強過ぎるということよりも、もっと謙虚さ、特に憲法というのは国民の理解と合意がなくてはできないのですから。卑しくも、衆参でこれだけの議席を持っているからといって、議席の数で押し切るようなものではないですよ。最高法規であり、日本人が最も大事にする案件ですから。だから、そういうものを数で押し切る、そういうことをよもやお考えにはなってはいないでしょうけれども、そういう不安を煽るようなことがあってはいけませんね。党内手続きとか、以前の問題ですよ、それは」

どうなる?『憲法9条』
反町キャスター
「現行憲法、平和主義が謳ってあり、その中に戦力の不保持、交戦権の否認、これが1項、2項という形になっています。それに今回、安倍さんがくっつけたのは、第3項としてこの1項、2項を残したままで自衛隊の明文化というのがあってもいいのではないかというのが安倍さんのご提案です。一方、自民党の憲法改正草案。憲法改正草案は平和主義があって、自衛権の明記があって、国防軍の保持があって、領土の保全等々ということで、2項のここ(戦力の不保持)の部分を多少消したうえで、新たなものを加えていると、これが改正草案ですけれども。伊吹さん、この安倍提案の建てつけはどう評価をされますか?」
伊吹議員
「これは、安倍さんの心の中は、私はわからないけれども、できるだけ早く、先ほど、古賀先生もおっしゃったように、自衛隊の現在の存在を考えると、これを何か9割の憲法学者が自衛隊は憲法違反だと言っているという説もあるんですね。しかし、一方で、この現行憲法がGHQから示された時に芦田均元総理が芦田修正というものを行って、ここの1つ、2つのところに、前項の目的を達成するために陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないと。つまり、国際紛争を解決する手段とか、国権の発動たる戦争とか、こういうのではなくて、自衛という主権のある国にとっては自然権的にあるものは例外だよという意味を込めて、芦田さんはそれを『前項の目的を達成するために』と。だから、法制局は憲法学者がどう言おうと、その前項の目的を達成するためではない純粋の自衛権としての自衛隊の存在はこれを認めるのだという、憲法違反ではないのだということでずっときたわけですね。だけど、学者は現実ではなく、法理だけで物事を判断されますから、これは条文通り読めば憲法違反だよということ。それを払拭するためには自民党改正案であると議論が拡散して与野党の合意が取りにくいだろうと。だから、こういうことであれば、国会や自民党内ではやりやすいのではないのかという、非常に他党を説得するためにはこういう提案もしてみたらどうだねという気持ちがあったのではないのかなと思いますよね」
反町キャスター
「そもそも9条を改正すべきという論に立つ皆さんから見た時に、ここまでは求めるのはちょっとトゥー・マッチだとしますよ、これをもともと9条の1項、2項を残したうえで、これを足すだけ、だけと敢えて申しますけれども。それは、要するに、9条を改正したいという、するべきという論の皆さんから見た時に、これは形だけを優先しているもの、便宜的に憲法を改正したいだけではないかという、その批判には耐え得るものなのですか?」
伊吹議員
「いや、だけど、それは、自衛隊というのは現に存在して、安全保障上、安保法案その他いろいろ議論がありますけれど、国の安全保障にキチッとした役割を果たしているのだから、その人達に、あなた、憲法上違反と言っている学者が9割いるけれども、がんばれよと言う政府はやはり良くないでしょう、それは」
反町キャスター
「なるほど。その部分は明文化することによって救われるという言い方は変かもしれませんけれども、よくなると。ただし、1項、2項の部分において、自衛隊は戦力なの?交戦権の否認ってどうなのと…」
伊吹議員
「いや、『前項の目的を達成するために』と書いてあるわけだから、芦田修正は」
反町キャスター
「なるほど。そこの問題はここまでやらなくても十分これを足すだけで、9条改正のもともとのスピリットはね…」
伊吹議員
「9条改正というか、自衛隊の存在を明確にするという意味で、全て100%自分の言うことが通らないという謙虚さは持っていなければならない…というのでは安倍さんは非常に謙虚だったかっていうかね…」
反町キャスター
「では、安倍さんとしてはかなり現実的な球を投げてきたという印象?」
伊吹議員
「そうでしょうね、うん」
反町キャスター
「古賀さん、いかがですか?この建てつけ、どう評価されますか?」
古賀氏
「9条を変えるという人は憲法改正議論する中で、そんなに多くの方々がいると思いませんよ。憲法改正というのは、当然、改正議論があって変えなければいけないところ、加えなければいけないところが出てくるのは当たり前のことで時代に合うものをつくっていくわけですから。だけれども、この9条は絶対ダメだと私はそうずっと申し上げてきているのは、先の大戦で深い反省のうえに立ってつくったのが、この9条、特に1項。2項についてはいろいろな議論があるでしょうということは僕も申し上げてきました。しかし、これが最もわかりやすいなと」
反町キャスター
「なるほど」
古賀氏
「先ほども言ったように、これで今日の平和国家をつくった支柱、失ってはいけない精神が、この2つを残すということであれば、つなぐことができるんです。そのうえに立って、自衛隊というのは先ほども言ったように、憲法学者の、伊吹先生の説によると、9割以上の人が疑義あると、それはおかしいよねと思う」
反町キャスター
「こういうこう加えるという言葉、公明党が憲法改正に向けたスタンスである加憲というものに非常に似ていると思うのですけれども。古賀さんから見て、9条に関して改正ではなく、加憲の形でどうですかという安倍提案。これは公明党にとっても乗りやすい、受け入れやすいものであるかどうか、ここはどう見ていますか?」
古賀氏
「慎重論を言っている私からもその方が非常にわかりやすい」
反町キャスター
「なるほど。伊吹さん、いかがですか?党内論議ではなく、公明、ないしは他の野党との接触、今後の折衝を考えた時にこの乗っけ方は」
伊吹議員
「加憲であろうと、改正であろうと、法律的には改正なんです。だから、まったく違わないので、現実をある程度乗り越えていくために、このへんまでは少し引かなければいけないのかなという判断が、党としてできるかどうかということでしょうね」
反町キャスター
「なるほど」

相次ぐ不祥事『弛み』の背景
秋元キャスター
「高い支持率を維持している安倍政権ですけれど、このところ党内議員の不祥事も続いているんですね。その中で、2012年の衆議院選で初当選し、2014年に再選されたいわゆる2回生議員について見てみますと、このように失言や週刊誌報道から発覚する不祥事なども相次ぎまして離党・謝罪・議員辞職と不名誉な会見も続きました。伊吹さんが最高顧問を務められています二階派からも問題議員が出ていますけれども…」
伊吹議員
「申し訳ありません…」
秋元キャスター
「この不祥事が続く原因についてどのように見ていますか?」
伊吹議員
「その2回の選挙が割に楽な選挙だったから、自民党というゼッケンをつけて当選できてきているというので。現在、3回の諸君も若干いるんです。これは若い人達も、小泉進次郎君などもそうだし。彼なんかも、そういうことを考えているのだけれども、伊吹先生、ちょっと話に行っていいですかとか、そういう訓練ができているんですね。2回の諸君は、何かものを頼みに来る時はよく来るけれども、政策について意見を聞きに来るということはあまりないんだよね」
反町キャスター
「なるほど。古賀さん、いかがですか?」
古賀氏
「何のために政治を志すのかという、それがないですよ、志が。この若い人達に。全部とは言いませんけれど、ほとんどないですね。何のためにあなたは政治を志しているのと、何をやりたいのと、何ができるのと、答えは出てきませんね。志のないまま、世襲を批判するわけではないけれども、親の地盤だからという人もいるでしょう。公募でたまたま受かった、学歴がすばらしかったと、しかし、その後の政治家としての学問をしようとする人がいない。自ら自分で政策の勉強に伊吹先生のところに先輩として、また、いろいろな意味で経験も豊富で、学力もあってと、そういう人のドアを叩かない。それは本当にその通りだと思いますね。挫折感がないから挫折感が。選挙も、今おっしゃるように全部、党のゼッケンを背負ったら当選してんだもの。政策も全部、党の政策だもの。自らの志を有権者に訴えている人は皆無ですよ、誰もいない」
秋元キャスター
「公募の段階では志があるか、ないかというのは、見極めるのは難しいのですか?」
古賀氏
「それは論文を書いて、あんなもので志がわかるわけがないではないの」
反町キャスター
「これはというような地方議員とか、国会議員とか、目をかけるというのか、育てるというのか、意識している人も何人かいると思うのですけれども。それは何を物差しでこう選別するのですか?どういったところに目を?」
古賀氏
「僕は、志のない権力闘争なんていうのはあり得ないし、やはり志を持っているか、持ってないかということが1番大事なことだと思っているね、うん」

政治家が持つべき矜持は今…
反町キャスター
「古賀さん、うちの番組に何回も出演いただいて、たとえば、お父様のレイテの話とか、戦後非常にお母様が育てる時に苦労されたこととか、平和に対する思いとか、何回も聞いたつもりですよ。そういう原体験というか、戦争に対する思いみたいなものを現在の若い30代、20代の人達に求めても、これは難しくないですか?平和な時代に育った人達に」
古賀氏
「でも、必ずしもそうではないと思う。それは挫折感を味わった人は若い人達にもいっぱいいますよ。それはなにも戦争で父親を亡くすことだけではないのだから。父親のいない人もいるだろうし、また大学をなかなか通過しなかったと言ったらおかしいけど、受験で失敗したとか、いろいろな挫折感というのがあると思うよ。僕はだから、挫折感のある方の方が政治家として私は立派に成長するのだと。私はむしろ挫折をうんとしなさいと、失敗もいいと、うん」

安倍内閣『閣僚の資質』は…
秋元キャスター
「ここからは野党から批判の声が上がっています安倍政権の閣僚の資質について聞いていきたいのですが。今日の予算委員会でも、野党から質問が集中しましたテロ等準備罪法案を所管する金田法務大臣ですけれども、これまで不明瞭な答弁がある度に審議が中断をしまして、そんな中、官僚も質疑に参加できる法務委員会まで審議の先延ばしを求める文書が報道各社に配られて、大臣が撤回・謝罪するという騒ぎもありました。委員会の質疑の中では『私の頭脳というんでしょうか…ちょっと対応できなくて申し訳ありません』という答えまで飛び出しました。その後実質審議入りしても官僚が代わりに答弁する場面が連続しまして、反発を強めた野党が委員長の解任決議案を提出し、ゴールデンウィーク前に国会審議がストップ、今日再開をしました。今村前復興大臣ですけれども、記者会見で東日本大震災の自主避難者について『厳しい条件の中で帰還している方もいる。帰還については本人の責任、本人の判断だ』と発言し、問題になりました。この時は撤回・謝罪をしたのですけれども、その後、今度は二階派のパーティーで『まだあっち東北の方だったからよかった。首都圏なら被害はもっと甚大になった』と失言をされまして、責任をとって、復興大臣を辞任という形になりました。伊吹さん、この金田法務大臣について聞きますけれども、今国会の質疑の様子をどう見ていましたか?」
伊吹議員
「先ほど、2回生の人達の話がありましたけど、彼らの中でも議員になってからよく勉強している人も結構いるんです。1番議員になって最初に勉強しなければならないのは日本国の憲法、それから、現在の憲法ができるまでの帝国憲法、国会法、こういうものをよく自分で学んで勉強しておけば、少なくとも内閣の一員がですよ、国会に対して質問をするのを、こうしろとか、ああしろとか言うことは言えないということが当然わかるんですよ。だから、勉強の方向が少し違うのではないかなという感じがする、2回生も含めてね。現在、国会議員の中で日本国憲法を読みこなして、主権者が国民であるから、国会というものがどういうものであって、国会と内閣との関係はどういう感じになっているのだと、だから、俺達は国会議員だから、内閣の閣僚に、たとえば、なった時にですよ、党に対しては一党員に過ぎないから、総裁以外は。これは内閣の一員で閣僚ではあるけれども、党には一党員でしかありません。そうすると、部会を開けとか、言った大臣もいるけれど、そんなことが言えるわけはないんですよ。そういう基礎的な修練とかがちょっと全体として欠けているのではないかなと思いますね。その中で出てきたことであって、皆、たるんでいるとか、一強だからどうだとか、それほど余裕のある大臣というのはいないのではないかな、見ていると。野党の質問に対して、いかにうまく切り抜けられるのかということにキュウキュウとしておられて、少しこういう発言をしてどんなことを言ってくるのか、瀬踏みでもしてやれというような余裕があるのは麻生さんくらいではないか、見ていると」
反町キャスター
「それは、勉強の仕方が違うというのは、どういう意味ですか?」
伊吹議員
「それは、目先の小さな政策の勉強をチマチマするのではなくて、古賀先生がおっしゃった志というのにもつながるのですけれども、国会議員になった限りはまず国会議員というのはどういうものだと。閣僚というのは国会に対してどういう立場にあるのだというような、もっと大きな全体のフレームみたいなものをよく理解したうえで、目先の自分のこの所管している法案がなぜ今出てくるのか、それは歴史の流れの中でなぜ今必要なのか、そういうことを理解しておけば、条文、法律のチマチマしたような質問は、している方も恥ずかしいですよというぐらいの気概でやったらいいと思いますよ」
反町キャスター
「古賀さん、いかがですか?閣僚答弁の足腰の弱さ、こうやって我々が気にしている部分ですけれども、どう感じていますか?」
古賀氏
「伊吹先生なんか大臣何回もやられたけれども、キチッとした官僚としても、立派な実績を残しておられると。だから、予算委員会であれ、何であれ、答弁っちゅうのは、恐怖感はお持ちにならなかったと思うんですね。私なんかというのは、そういう勉強を全然できていなくて、閣僚になって、1番緊張するっちゅうのは、委員会ぐらいはまだしも、予算委員会ぐらいになるとどういう質問が出てくるのだろうと、答えられるのだろうかという正直言って不安感と緊張感というのはすごいものがありましたね。そういう時、1番頼りになるというか、信頼するのは役所ですよ、官僚の方々ですよ。彼らがどれだけサポートしてくれるのか、どれだけ自分の意を汲みとってくれて教えてくれるのかと。今そこが欠けているのではないかなと思う」
反町キャスター
「官僚のサポートが欠けているのですか?」
古賀氏
「自分が大臣になってまず役所の方々との接触が始まると。1番大事なのは、信頼関係だと思いますよ、何も答弁だけではなくて。それが今ほとんどなっていないのではないかと。功名心や上昇志向だけが先行していて、大臣になった途端にもうそれで大満足で、SPがついて、歩くのにも便利だとか、余談は言いませんけれども、そちらの方が大臣の価値みたいな。本来、役所の持っている、これまでの歴史とか、伝統とか、そういったものをしっかりと学んで、なぜ今この法律が必要なのか、なぜこの国会で出さざるを得ないか、出しているのか、そういうのは役所の方々とのコミュニケーションの中でしっかり教えていただけるものだと」

『安倍一強政治』の功罪
反町キャスター
「改造の度に8人とか、10人とか、初入閣の人達がたくさん出てきます。待望組の方もいらっしゃるので、これもしょうがない部分も当然あると思うし、そういう形でローテーションを組まないといけないだろうとも思うのですけれど。たとえば古賀さんが言われたような話を聞いていると、国会議員の誰を閣僚に吸い上げるかは任命権者の話になります。自民党の国会議員290人もいる中で、その中で誰を閣僚に吸い上げるのかという時に、任命権者の責任。野党の質問みたいになっちゃうので、ちょっとここもいかがかなと思いながらですけれども、任命権者の識見というか、この人を閣僚にするかどうかというここの部分。以前と変わってきているのかどうか、過去の総理・総裁はこうやってきたのだけれども、最近の安倍さんだけとは申し上げません、閣僚への登用の物差しみたいなものが変わってきたから、閣僚の答弁が以前と比べて脆くなってきたのかどうか、このへんはどう感じますか?」
古賀氏
「それはどういうふうに変わってきたかということは正直言ってわかりません。適材適所でということで現在も考えてあると思うけれど、1人で何百人という自民党の先生方1人1人を、ここに適材適所だという、それだけの、神様ではあるまいし、そんなことはなかなか、私は求める方が無理だと思いますね。大臣に任命されたら使命をどうやったら果たせるかということ、それは大臣に任命されたことの誇りと同時に責任というものをしっかり持つこと以外にない」
反町キャスター
「たとえば、かつては派閥から、この人を入閣してほしい、という適齢者リストみたいなものが、現在もあるのでしょうけれども、ガチッと行って官邸はその中から選ぶような時代もあったかのように僕は聞いています。その意味で言うと、派閥からの推薦という意味がもしかしたら、かつてのそういう間違いがない、この人は人格・識見ともに閣僚にしてもいいですよと、派閥からの推薦というものが軽視されているところ、それと閣僚による発言の失敗の連続というのは関係があると思いますか?」
古賀氏
「いや、軽視されているとは思えないし、派閥の推薦とか。しかし、昔だって、派閥がちゃんと推薦していた中選挙区の時だって問題発言する人はたくさんいたのだから。大臣の任命を受けた以上の覚悟だろうと思うね」
反町キャスター
「なるほど。伊吹さん、いかがですか?」
伊吹議員
「派閥が推薦をしていた時は率直に言って、これは完全な年功序列ですよね。それは皆、総理大臣になる人に自分の預かっている主権を背中に背負って1票入れて総理大臣にしているわけだから。当然、総理もそれに報いるというので当選の回数別に順送りに1度は。2度目は別ですよ、1度はということだから、その時の方が、不祥事がなかったなんてことはまったくありません、これは現在もまったく同じです。だから、古賀先生がおっしゃったことは、要するに、人と人との接触、官僚も人間ですからね、官僚との間のつながり。特に彼らが、1番嫌なのが国会ですよね、国会、国会議員なんですよ。だから、国会議員のことは俺が責任を持ってやってあげるという大臣がいればいいんですよ。そういう人には向こうも一生懸命、先生がおっしゃったように手伝いますよと。だから、古賀先生が緊張していたなんて言って、そのまま堂々たるものだったわけだから。辞めたあとも自分がやった大臣の役所が、常に5年経っても、10年経っても、申し継ぎがあって、古賀先生、実はこういうことがあるのですがと言って相談に来る、そういう関係をつくらないと。今は大臣なって1年経ったら、ほとんど付き合いがないというのが多いでしょう。だから、人と人との付き合い方とか、絆の結び方というのが、高度成長の中で、金で処理できたり、インターネットで処理できたりする中で希薄になってきている。気の毒な被害者でもあるわけだよね。いや、メディアもそうですよ、メディアも。たとえば、私が幹事長番の時は悪平等の原則というのがあって、絶対に特ダネは出さないと、その代わりに特オチはさせないというので、今も各社皆、集まって年に何回か仲良く話をします、7、8年経っているけれど。だから、そういう志というものを役人がどう理解するか、また理解してもらうような、一緒に酒も酌み交わし、話もして、それで彼らの辛いところはカバーしてやると、自分の辛いところはカバーしてもらうというのがないのではないかな」

自民『一強』に対する野党は…
秋元キャスター
「さて、4月半ばにこんなやり取りがありました。民進党から『世論調査で森友学園の問題について8割の国民が納得していないと回答している。安倍昭恵夫人の証人喚問などは指示されないのか』と質問されたのに対し、安倍総理は『同じ世論調査で内閣支持率は53%だ』と『自民党・民進党の支持率は御承知の通り』と発言したうえで、この問題は『何度も説明してきた通り』だと追加の証人喚問には応じないという姿勢を示しました。国民の5割以上が支持していると答えて、野党の攻勢を退けたわけですけれど、古賀さん、この安倍総理の姿勢をどう見ていますか?」
古賀氏
「一連のこの問題で2つ教訓があると思うのね。1つは、政治家、特に大臣だとか、とりわけ総理大臣というのは、言葉というのがいかに重いものでなければならないかと。これは1つ教訓として、あらためて学ばせていただいたような気がしますね。最初の総理答弁の中で、絶対にそういうことがない、と自信の表れだろうけれど、総理をやめて国会議員のバッジまで外すということをおっしゃった。野党はそれ以来、そのことを実現するために、ありとあらゆることで時間を費やしているわけ。極めて国民の生活にとって大損ですよ。肝心の予算もやらない、北朝鮮の有事も議論されない、こんなバカな国会がありますか。にもかかわらずそれ一辺倒でやっている。しかし、その原因は、総理はあそこまでいかに自信があったかということであっても、踏み込んだ発言というのは大変なことを起こすのだなという。これは我々全ての人達が政治家として学ぶべきことだろうなと、とりわけ総理として学ばなければならないことだなと思いますね、あの発言の重要さ。もう1つは、公人としてどう多くの方々とのお付き合いをやっていくかと。お友達という言い方がいいか、どうかは別だけれども、総理大臣になったら、それこそ我々の考えられないような多くの方々とのお付き合いがあるのだろうと思うのね。我々だって少なくとも普通の方々よりもたくさんの方々、近寄ってくる方もある、近寄っていく人もある、と交流を持つわけですね。その中でどういうケジメをつけとくのか。常に緊張と間を持つ必要があるということを重ねて学んだような気がします。この2点だけは公人である方々が気をつけていただかなければいけないことではないかと」
伊吹議員
「今回の森友の話は、古賀先生がおっしゃったように、(安倍総理が)『私と私の妻が』とおっしゃったでしょう。この妻ということは、昭恵さんは公人でもないのだし、職務権限も何もないのだから、よしんば、名誉校長ですか、になっていろいろな相談を受けたとしても何が問題なのですかと、法律的には。だから、これは一般の有権者だとか、他人様のちょっと困った人だなということになるのか、いや内助の功を果たして一生懸命やっておられるということになるのか、これは人それぞれの判断に委ねるべきことなので。法的な問題は何もないわけですよ。だけど、総理が、古賀先生おっしゃったように、自分は職務権限がありますからね。だけど、奥さんということを言われたためにそのことばかりで国会は他の審議を何もしないわけでしょう。こんな国費の乱費みたいなことが、野党にも責任があるけれども、古賀先生がおっしゃったこともそうかなと僕は聞いていたのですよ。だから、これは私の地元の京都で言えば、世間様が見てはるのになとか、お天道様はどう思うてはるかなという判断に委ねるべき問題ですよ、奥さんの問題は。だから、こんなことで国会をごちゃごちゃごちゃごちゃさせるということはどうかと思いますよ。だから、それは古賀先生流に言えば、言葉の重みを考えておかなかったという、若干、安倍さんにも責任があるというご指摘は当たっていると思いますけどね」

安倍『長期政権』の課題
秋元キャスター
「さて、長期安定政権と言われる安倍内閣ですけれど、戦後の歴代内閣と比べても、このように第一次安倍内閣から通算の在職日数、今日の時点で歴代4位です。今月中には小泉政権を抜いて歴代3位になるということですけれど。古賀さん、長期安定政権と言われている今だからこそ取り組むべき、安倍政権の課題は何だと見ていますか?」
古賀氏
「僕は私事で恐縮ですけれども、常に申し上げるように、戦後処理の最大の靖国問題だけは是非安倍政権で目鼻を立てていただきたい。天皇陛下にご参拝いただける靖国神社の施設であるべきだと。特に天皇陛下が、御英霊に寄せられた鎮魂のお気持ち、戦没者遺族に対しての思いやり、寄り添っていただく姿、これを無駄にしてはいけないと、早く天皇陛下が靖国神社にご参拝できるような環境をつくり上げていくということを憲法改正と合わせて並行してお考えいただきたい、これだけはお願い申し上げたい。もう1つ、これだけの長期政権だから、ご苦労も多かっただろうし、また、これからもご苦労が多いだろう、これには本当に甚深なる敬意を表したい。だからこそ未来に対して禍根を残さない、今やるべきことをしっかり実現しておいてもらいたい、これは財政問題もあるだろうし、いくつかあると思う。だから、敢えて未来に対するということを書かせていただきました、そんな思いですね」
反町キャスター
「靖国の問題というのは、つまり、A級戦犯の合祀問題?」
古賀氏
「そうですね。それしかないと思いますね、どう考えても」
秋元キャスター
「伊吹さん、いかがですか?」
伊吹議員
「よほど大きな失敗が起こらない限りは、安倍さんに健康でがんばってやってもらった方が、今の与野党の状況を見ると僕はいいと思うので。そういうしっかりした基盤がある時こそ国民には必ずしも受けないけれども、必要なこと、これをやってもらいたいと。具体的に言うと、財政というものを根本的に立て直さないと、これ以上、国債に頼るということをやっていると、この前、小泉進次郎さんが来て話をしていたのだけれど、国債というのは次の世代が納めた税金の使い道を国債の利払いと国債の償還に現在の世代が決めてしまっているということになるので、世代間の対立がさらに先鋭化してくると、だから、彼らは子ども保険のようなことを考えているということでしょう。だから、もちろん、景気を良くして税収を増やすということは大切なのだけれど、長寿社会というのは景気の波だけで乗り切れない構造的な変化ですから。景気の状況を見ながら税制を思い切って、消費税の問題に積極的に取り組んでいくという姿勢を是非国民に示してもらいたいと思います」

伊吹文明 自由民主党衆議院議員の提言 『学びと修練で矜持を規範意識を持つ。』
伊吹議員
「自分で学び、修練をして、矜持と規範意識を身に着けるということ」
反町キャスター
「それは『自民党政治がかくあるべし』というテーマで言うと、個々の議員に対しての話ですね?」
伊吹議員
「個々の議員がそうなれば、自民党もそういう政党になります」

古賀誠 元自由民主党幹事長の提言 『未来への深い愛情』
古賀氏
「未来への深い愛情。これが現在、自民党に必要なことだと。生きとし生ける現在の時代をどう政治家は使命を果たしていくかということも大事ですけれども、先ほどから話題になっているように2020年ではありませんが、また、伊吹先生からもご指摘いただいた財政再建の問題もそうです。未来の人達への深い愛情を持つ政治が求められている、その期待に応えていくという覚悟が必要ということでちょっとロマンチックでした」