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2017年5月5日(金)
『米朝衝突』シナリオ トランプ×金正恩の腹

ゲスト

中谷元
前防衛大臣 自由民主党衆議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
平井久志
ジャーナリスト 立命館大学客員教授

アメリカの『最新見解』
秋元キャスター
「アメリカと北朝鮮の衝突が現実味を帯びてきました。北朝鮮の核開発やミサイル発射などに対し、アメリカは空母の派遣や演習で圧力を強めましたが、今度は北朝鮮で韓国系アメリカ人が拘束という報道まで飛び込んできました。両国の思惑と今後のシナリオを探っていきます。中谷さんは先ほど、ワシントンから帰国さればかりということなのですが。今回どういった方達と会ってきたのですか?」
中谷議員
「アーミテージさんとか、CSIS(戦略国際問題研究所)といったシンクタンク、今度のNSC(アメリカ合衆国国家安全保障会議)の中で日本を担当する方とか、いろいろな方から意見を聞いてきました」
秋元キャスター
「最近の北朝鮮とアメリカの動きまとめました。中谷さん、ワシントンでアーミテージ元国務副長官と会ったということですけれど、北朝鮮に対してどういう見方をされていましたか?」
中谷議員
「トランプ政権ができて100日が過ぎて、ようやく始動したのですが、実際、実務幹部が4000人政治指名を受けるのが1000人しか決まってないし、ホワイトハウスのピラミッドも完全にできていないのですけれども、そういう中でも、ティラーソンさんとマティスさんとマクマスターさんですね。この3人は非常に皆さん、信頼がおけて、良い評価を受けています。こういうことで外交動き始めたのですけれども、現在は北朝鮮に対してはまず制裁、外交、非軍事のオプションが優先されているということで、中国に動きが出てきた、また、東南アジア、これも協力しているということでありますので、すぐに攻撃というようなことを言う人はいなかったですね。当面は制裁を徹底することによって北朝鮮に断念させるという動き。もう1つ、アメリカの新しいアプローチとして大統領が北朝鮮問題をファーストオーダーということで、国家の最大の危機に位置づけをしているということでありまして、それに合わせて政策がきていますが、これは直接制裁を加えるというよりも、他の国にアプローチをして、圧力を高めても非交渉なところに対しては、テーブルにつくようなですねことを、第三国から包囲網を通じてやっていこうとしているのかなということ。まさに現在、中国に対して米国はたくさんのことを要求していますので、中国は試されていると、様子を見ているという段階だというような感じであります」
秋元キャスター
「古森さん、現在、アメリカというのはどのように北朝鮮を見ていると見ていますか?」
古森氏
「軍事というオプションが厳然とあると思うんですよ。だから、制裁、外交関係、軍事とこの3つの柱で、順番は制裁ということで当面は中国がカードを握っている、石油の輸出をやめていく、それから、高麗航空という国営のいろんなところに行っているけど、これを全部止めちゃうであるとか、そんなアイデアも出ているわけですよ。だから、まだまだ経済制裁だけれど、ただ、これまでと違うのは軍事オプションというのもあるんですよと、これはいかに危険であるということが十分わかりながら、現実性がもしないとしても、軍事オプションということを口にしていくということは、トランプ政権の北朝鮮政策の非常に大きな特色だと思うんですね」
反町キャスター
「ファーストオーダーという、ホワイトハウスの発言は、これは変化と見た方がいいのか、もともとファーストオーダーは当たり前だよと見たらいいのか、どう見ていますか?」
古森氏
「これは最近起きてきた現象だと思いますよ。それは、反町さんがワシントンにおられた頃は、アメリカ本土に直接、北朝鮮のミサイルが飛んでくるということは誰も言わなかったし、北朝鮮の当局者自身もそんなこと言わないわけで、ソウルを火の海にするとか、東京も時々、火の海にしてやるぞと言っていたけれども、ワシントンが火の海なんてなかったわけです。だから、ご存知のように、金正恩さんが今年の元旦に、ICBM(大陸間弾道ミサイル)でアメリカ本土に届くようにするぞ、その開発の最終段階に入ったということを言って、それから、金正恩さんになってから核兵器の実験もアクセルを加速されてきているという、だから、新しい状況が生まれたわけで、中谷さんが言われた現在のアメリカにとって国家安全保障で最重要なことは北朝鮮問題だというのは、これは割合、官民、議会の議員なんかも含めて言っていますよね」

アメリカの『レッドライン』
秋元キャスター
「ここからはアメリカが北朝鮮に軍事攻撃をする基準、いわゆるレッドラインについて聞いていきます。レッドラインとして想定される北朝鮮の行動ですけれど、6回目の核実験を行って核の小型化を進めること、また大陸間弾道ミサイル、ICBMの開発を進めてアメリカまでこれが届くようにすることなどが挙げられますけれども。中谷さん、アメリカが北朝鮮に対して引くレッドライン、どこに引いていると見ていますか?」
中谷議員
「明言していないですね。実際にいろいろな手段で制裁を実行している段階でありますので、あらゆる手段を駆使して、これで対応するということで、衝突は限定的なものがあるかもしれませんが、全面戦争になると全ての国を巻き込んでしまうことになりますので、現在は出方を見ると。特に現在、中国に対して経済圧力をアメリカかけています、それを受けて中国が動いていますが、なかなか北朝鮮が言うことを聞かないということで、これからやるべきことは中国の圧力が自ら国内の違反企業に制裁を加えると、それから、核兵器開発企業、部品をつくったり、燃料を運んだり、これは許さないということで、この徹底的な調査をやってもらうと。それから、北朝鮮からの輸入を止める、現金を止める、輸入だけではなくてリソースを止める、これは石油です。そういったことで北朝鮮はそんなに備蓄を持っていないと思いますので、こういうことをやって、様子を見ながら、次のステップに上がっていくのではないかなと思います」
秋元キャスター
「古森さん、アメリカがレッドラインを明確に引かない背景というのをどう見ていますか?」
古森氏
「簡単に言うと、トランプ政権というものは、レッドラインというものはないと思う。ないのは、敢えてつくらないようにしている、これは表面的に。たとえば、政策、もちろん、政権の政策だから、これを越えたら、こうだというようなことはあるでしょうけれども、むしろ何を考えているのか、わからない、何をするかわからないというような印象でね。レッドラインという言葉自体が、これはオバマ政権です。だから、トランプ政権というのはオバマ政権を全否定するところから出てきているから、彼ら、現在の政権の人がレッドラインという言葉を口にしてこうこうこうだと政策の説明を前向きにしたということは1度もないですよ。ただ、こういうことがあっちゃいけないという時のその悪い例として、レッドラインという言葉は言うけれども。レッドラインということは事前に自分がやる行動を相手に、世界中に向かって知らせるということではないですか、ある部分、特に。だから、レッドラインをやらないのがトランプさんであって、現在、トランプさんの戦略はマッドマンセオリーと言って、何をやるかわからない、マッドマンは訳すと精神状態も含めて普通ではない人といういう意味、これがマッドマンですね。マッドマン戦略とか、マッドマンセオリーというのがあって、何をするのかわからないのだという言動をとって、だから、いろんなことを言っているではないですか、会いたいと言ったり、軍事オプションだって言ったり、そういうメッセージを北朝鮮に投げる。これはニューヨーク・タイムズのデビッド・サンガーさんという非常にトランプ政権に対して批判的な人物が、どうもいろいろ考えるとトランプ政権の北朝鮮政策はマッドマン戦略ではないかと言っていて。だから、これからわかると思うんです、あまり手の内を言わなくていいのではないですか、言わない方がいいという部分があると思うんです」
反町キャスター
「平井さん、平壌から見た時に、トランプ大統領が、古森さんが言うところのマッドマンセオリーというものをもしやっているとした時に、平壌から見た時にトランプ大統領のその戦略というのは恐怖に見えるのか、確実に今ある古いとは言え、通常兵器によって韓国を壊滅させるだけの軍事力を我々は持っているのだ、だから、やれないのだとアメリカの足元を見ているのか、どちらだと思いますか?」
平井氏
「両方あると思いますよ。この間の海岸線に並べたやつは、面白いのは、北朝鮮メディアはあれを砲撃訓練とは言っていないです、砲撃示威と言っているんです、デモンストレーションだと。デモンストレーションだというタイトルをわざわざつけて報道しているわけで、ということは有事の際にはこの大砲によってソウルは火の海になるんですよということをわざわざ見せるためにやっているわけです。だから、そういう側面と、このゲームはある意味では、トランプさんはマッドマンかもしれないけれど、北朝鮮の金正恩さんも我々から見ればかなり特異な人なわけですよ、だから、国際社会は北朝鮮の金正恩さんがどういうアクションをとるかということが非常に読めないと。だから、読めない者同士のゲームになり始めているというから、逆に周辺国は通常の指導者の場合よりも不安が高まっていると思うんですね。それで北朝鮮の側はもちろん、トランプさんが何かするかもしれないという、ある種の恐怖心はあると思いますよ。ただ、それがひょっとするといいように出た場合には、新しい展開があるかもしれないという、非常に根拠のない期待感も一方ではあるのではないかなという気がしますね」
反町キャスター
「たとえば、北朝鮮が核実験を行った時、ないしは北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを開発した時、その時、アメリカはどういう対応をするのですか?」
中谷議員
「これは言うこと聞かないというと軍事行動になりますが、その時に1番大事なのはお隣の韓国、日本と中国もこれに巻き込まれるということですから、その点のことについてはしっかりと米国と戦略、戦術を協議しながらやっていかなければいけません。アメリカの国務省の体制などもいよいよこれからになってくるので、私が行った時に、秋にはアメリカの戦略もできるのではないかと、それは予算が伴うものであるということを言いましたので、そういった本格的な戦略は秋まで待たないとできないのではないかなという気がします」
反町キャスター
「我々はアメリカの武力行使の可能性をどう見たらいいのですか?」
中谷議員
「アメリカはやる時はやるという国で、そういったことで世界の秩序、正義、シリアをやったというのも子供達が化学兵器で悲惨な思いをしているという人道的な面と、アメリカの自国の安全保障という点、特に、テロリストに生物兵器が渡ると大変なことになりますから、そういった大義名分も必要だと思うんです。ですから、ミサイルを撃ったぐらいで、攻撃するということで、国連などでは制裁決議はしていますけれど、武力行使決議までしていないので、そのへんはじっと何が起こるかということを考えつつ、しかし、そういった選択肢を持ちながら、北朝鮮にプレッシャーかけていくと思います」
反町キャスター
「この間、ニューヨークから中継でキッシンジャーさんのインタビューを撮らせていただいて、聞いた時に、キッシンジャーさんはレッドラインというのは、北朝鮮がアメリカ本土まで届くICBMをつくった時、それがレッドラインを越えた時だと、その時は武力行使の可能性が出てくると彼は言いました。そういう雰囲気というのは今回、ワシントンではあまり感じなかったのですか?それともそれより前に、線を引く、線は引いていないのですけれども、その前にやることがあるのだというのが、ワシントンの主な雰囲気だったのかどうか、ここはどうですか?」
中谷議員
「これは具体的に中国が動きを見せ始めて、現に北朝鮮が強く中国に反発して、それこそレッドラインを越えたと中国に言っています。それだけ動きがあるので、現在はそれを見つつやっているのですが、果たして本当にできるかどうか、これは懐疑的です。ですから、再び歴史が戻って、また実験やって飛ぶということは認識しつつも、なんとかやめさせないといかんという意識は持っていますから、本当にレッドラインという意味の対応も、実際に大統領も国防長官も言っているわけですから、そういう意味の軍事的行動というのは選択肢の中の1つには入っているということです」
反町キャスター
「古森さん、いかがですか?武力行使の可能性?」
古森氏
「武力行使の可能性がないということは言えないと思うんですね。政権の人達は、当事者は慎重だし、まだ人数も少ないけれど、政権をサポートしている議会の有力な共和党の議員、あるいはついこの間まで統合参謀本部議長をやっていた軍人、在韓米軍司令官をやっていた軍人、こういう人達の間で、武力行使でこの問題を解決するという、かなり具体的な案がいくつも出てきているわけです。コーエン氏という上院の外交委員長は武力行使をしてもいいのだよということの法案を出そうということまで言っているわけ。で、今言ったような人達が言うのは、この武力行使には2つ種類があって、目標は核兵器と長距離ミサイル、だから、それを壊すためにボーンとアメリカが行くというやり方と、それから、もう1つは、いよいよICBMができたみたいだと、それをICBMというのは、現在はモービルと言って移動するやつが出てきたからちょっとやっかいなのだけれども、大体は固定のところから撃つわけですよね、だから、重いものだから時間をかけて積む、搭載、発射準備と、この段階でやるべきだという、これはかなり複数の人が言っている。だから、ウォルター・シャープ氏という在韓米軍司令官だった人が言っているのは、ICBMらしきものが、確実にできて装着、発射台に据え付けられて、ただし、弾頭の中身はわからないと、この時はやるべきだということをはっきり提案、攻撃するべきだと言っているんですよ。だから、そうすると、どこの段階でICBMができたかと見るかといういろいろなハードルがありますよね。だから、いよいよ北朝鮮が何かやるんだという時に武力攻撃をせよという声というのは、これはまともな人で、経験を積んできた人達が堂々と言っています」
反町キャスター
「古森さん、在韓米軍の司令官まで務めた人が、北に対する武力行使、軍事行使オプションというものを真面目に、真剣に言うということはですよ、自分が司令官として赴任した韓国が、いわばソウルが、北朝鮮から飛んでくるロケットやミサイルによって火の海になるリスクをとってでもやる、そういう意味ですよね?」
古森氏
「だから、人命のことがあるから、非常にこういう場所では言いにくいけれども、もし北朝鮮が核兵器を、核弾頭を持っていますよね、核弾頭を完全にICBMの突端に装着できると、サンフランシスコなり、ロサンゼルスに確実に届くという事態になった時には、これはもうグローバルな危機だと、これは絶対に阻止しなければいけないという、ここの部分はトランプさんではなくても、アメリカの大統領ならば誰でもすごく強くあると思うんですよ。だから、その場合には非常に気をつけなければいけないけれど、戦争になったとしてもこの事態は止めなければいけないという、そのへんは語らないけれど、リーダーシップの中でコンセンサスはあると思いますよ」
反町キャスター
「たとえば、限定攻撃か、全面戦争かという選択肢がよく言われるではないですか、たとえば、言われたのは核ミサイルの運搬施設や各施設、これはサージカルストライクみたいな部分、外科手術的な攻撃みたいな意味だと思うのですけれど、そこで止められるかどうかについては、どう皆さん、考えているのですか?」
古森氏
「だから、マジョリティーと言うのか、多数派のこれまでの意見、見方は、限定攻撃というのは成り立ち得ないと、必ず北朝鮮は全面攻撃で。ところが、これがトランプ政権になって、たとえば、ランド研究所でずっとこの問題を研究している人の間で、アメリカは絶対に全面戦争になったら、核兵器を使ってまでも、あなたの国を滅ぼしますよということで、そういう能力がありますよと、能力と意思、それと戦略をとにかくもう明示しておくと」
反町キャスター
「それはこの間のミニットマンの発射、試射試験、そういう意味ですか?アメリカから飛ばして6400km飛ばして太平洋に落っことしているではないですか」
古森氏
「どの兵器ということもないだろうけれども、いろいろな兵器が、潜水艦がすぐ傍までいるわけだから、それは5分間で撃ち込めるわけだから。だから、そういうことをはっきり伝えて、もしこれ以上限定でなくて、全面であなた方が出てくれば、あなたの国は終わりですよ、ということを言う、伝えているということ。たとえば、ヘリテージ財団のCIA(中央情報局)の人がはっきり言っていますよ、それは明確に伝えているのだと。それでも全面攻撃しますとおそらく北朝鮮は言うでしょうね、それは存続がかかっていますし、チキンゲームという言葉をこういう時に使うのは、私自身は嫌なのだけれども、ブラフというか、生存をかけたハッタリというか、だから、限定攻撃というのはまったくあり得ないというのがこれまでのコンセンサスの見方だったのだけど、それはそうでもない、もしかして限定の戦い、武力行使というのがあり得るのではないかという。だから、とにかく軍事衝突を絶対に起こしてはいけないという見地からすれば、より危険な状態というのが生まれていると」
秋元キャスター
「平井さん、どう見ていますか?」
平井氏
「攻撃にもよく軍事分野が専門の方達は、予防攻撃と先制攻撃があるのだという違いを説明されますけれども、先ほどおっしゃったのは、先制攻撃、まさに発射の準備という、そういうところでの可能性というのはなかなか排除し難いと思うのですけれども。私は朝鮮半島というのは、他の地域とは違って、先ほど言った部分攻撃というものが全面戦に発展する危険性が、1番可能性が高い地域だと思うんですね。すぐにソウルという、韓国というものを抱えていますし、もしアメリカとのということになれば、それは世界戦争のレベルですから。そうではない地域的な攻撃をかけられた場合は、むしろ現在の北朝鮮の能力で言うならば、アメリカにまだ届かないと思うので、韓国が標的になるわけですね。残念ながらこの間、海岸で並べた古いものでもソウルは火の海になってしまうと。ですが、北朝鮮というのは現在、長期戦をやる能力はないですよ、GNP(国民総生産)でも3兆円ぐらいしかないわけですから、そんな国が長期戦の戦争をやれる能力はないわけで、あるのは自分の体制が崩壊するということを覚悟したうえでのある種の自爆テロみたいな戦争しか実際には選択の幅はあまりないと思うんですね。そうすると、韓国というものが犠牲になれば、それで大変な犠牲者が出た場合には韓国は大変な反米国家になってしまいます」
反町キャスター
「北朝鮮が仮に崩壊してもそのあとに残る韓国は反米国家になると」
平井氏
「膨大な被害者が出た場合に。だから、そういう選択を私はアメリカがとれるかなという気がするんですね。ましておそらく来週の大統領選挙で、現在のところですと、文在寅さんが当選する可能性が非常に高いわけですけれども、前回1994年の場合も金泳三大統領は反対したわけですね。より北の軍事力が大きくなっているわけですから、韓国の大統領、同盟国にOKをとらないでその選択をするということは非常に難しいので、韓国の大統領はそれに対して強く反対するのではないかなというので、現実的にはアメリカのとれる選択の幅というのは非常に狭いのではないのかなと」

北朝鮮の『レッドライン』
秋元キャスター
「ここからは北朝鮮側のレッドラインについて探っていきます。中朝におけるレッドラインについてですが、朝鮮中央通信は3日、中国共産党の機関紙などが、北朝鮮の核開発を批判し、制裁の必要性を説いたことについて朝中関係のレッドラインを中国が乱暴に踏みつけ、ためらいもなく越えていると強く非難しました。平井さん、このレッドラインというのはどういう状況を北朝鮮は指していると見ていますか?」
平井氏
「この論評が言っているのは、我々はアメリカ帝国主義と戦うためにずっと共に戦ってきたのにお前はそのアメリカと手を結ぶのかと、金日成さん以来、続いてきたこの中朝友好というものを破壊しているのはあなた達だと、そういう反論ですので。今回急に出たのではなくて、つい最近でも3回目ですね。石炭の輸入を止めた時にも、個人名のペンネームでKCNAの朝鮮中央通信の批判論評が2回ぐらい出ているんです。ただ、その場合は隣国であるとか、隣の大国とか、そういう曖昧な言い方だったのを、今回、中国というのをはっきり名指しをしてやったということと、前回2回は中央通信だけで国内の人はわからなかったんです。今度は党機関紙・労働新聞の6面の上、全部埋めて党の機関紙に出しましたから、これは北朝鮮の内部の人も読んでいますから、完全に対中批判というものをある種、公にしたという意味で、これまでの批判とは少しレベルが違うと思います」
秋元キャスター
「こういう状況もあるんです。先月27日、アメリカのティラーソン国務長官がFOXニュースのインタビューに対して、中国が北朝鮮に対し、再び核実験を行えば独自制裁を科すと警告したと、中国がこの話を公にする前にアメリカのティラーソン国務長官が語ったということなのですが。平井さん、なぜ中国が公にするより前にアメリカがこういう形で発表したと見ていますか?」
平井氏
「でも、しかし、たとえば、人民日報系の環球時報は、もし核実験をやった場合には原油の供給を大幅に減らすべきだということを1度だけではなく何度も警告のような論評が出ているんです。だから、そういう通告をしたということはほぼ共通認識のような状況になっていたというのは言えると思うんですね」
反町キャスター
「中国が北朝鮮に対して原油供給を止めることあり得ると思いますか?」
平井氏
「私は止めることはないと思いますね。よく読むと減らすと言っているんですよ」
反町キャスター
「減らす?」
平井氏
「ですから、最低限の、完全にゼロにしてしまうと、それは北朝鮮の人民の生活に深刻な影響を与えるので…」
反町キャスター
「民生用の石炭を許すということと変わらないではないですか?
平井氏
「石炭の場合と非常によく似ている可能性があって、完全に、たとえば、原油のパイプラインが50万トンぐらいいっていると見られていますが、それをゼロにするというようなことではないと思いますね。だから、50万トン行っているものを20万トンぐらいにするとか、そういう大幅な削減というのがむしろ正しい表現ではないかと思います。もし独自制裁をやってもですね」
反町キャスター
「たとえば、50万トンが20万トンに減って、それで北朝鮮はギブアップする国なのですか?」
平井氏
「いや、どうですかね。相当打撃になるのは事実だと思いますね。相当打撃を受けるでしょう。ただ、たとえば、中国の周辺の地方政府から、密輸のような形で精製したドラム缶でガソリンをそのまま入れるとか、逆に言えば、公の貿易ではなくて闇の取引であるとか、市場化が進むかもしれないですね。北朝鮮の最近…」
反町キャスター
「中東で起きていることと同じようなことが起きる可能性がある?」
平井氏
「市場経済の比率が増えていますから闇経済の比率で石油を入れてこようとする。昔はかなりロシアから入っていたんですね。旧ソ連からは相当な量が入っていましたので」
反町キャスター
「ロシアと北朝鮮はパイプラインがあるのですか?」
平井氏
「現在はないでしょう。現在ロシアから入れているのは非常に微々たるものですから。しかし、ソ連の時代というのは50万トンぐらい入っていた時代もありましたから、ロシア製の石油を精製する施設はおそらく北朝鮮にはまだあると思うんですね。だから、そういう努力を北朝鮮はたぶん一方ではするだろうと思いますね」
古森氏
「最近の報道で、平壌の中のガソリンスタンドに列ができ始めたと。原油、ガソリンがドンドン高くなっていると、ちょっと八百長報道かなと思ったのだけど、そういうことはあるのですか?」
平井氏
「起こっているみたいですね。APも伝えていますし、新華社も伝えているのですが、ただ、地方はあまり上がっていないと言うんですね、北朝鮮の」
反町キャスター
「もともと消費量が少ない?」
平井氏
「少ないと思いますね。それと、逆に北朝鮮の、たとえば、そういうものに敏感な人達、向こうではトンジュという言い方、若いお金の主という言い方ですけれども、新しい資本家達、そういう情勢に敏感な人達が買い占めにまわるとか、そういうことはあり得るので、そういうことがもう平壌で起き始めているということだと思いますね」

『トランプ×金』会談の可能性
秋元キャスター
「米朝衝突の可能性、依然として続いているわけですが、今月に入って対話の兆しも見えてきました。トランプ大統領は1日、ブルームバーグのインタビューで『適切な状況下であれば(金委員長と)会談する』と発言しました。一方で、スパイサー報道官は『現時点で、こうした要件が満たされていないことは明白。会談が近く行われることは想定できない』と否定しています。トランプ大統領が就任してから対話に言及してこなかったわけですけれど、心情の変化があったのか、どうなのか。古森さん、なぜこのタイミングでトランプ大統領はこのような発言をしたと見ていますか?」
古森氏
「この言葉自体にあまり大きな意味を感じないですね。いろいろなことを言っている中の1つであって、矛盾していることをいっぱい言っているわけだから、それ自体が戦術なのだと」
秋元キャスター
「これもマッドマンセオリーの1つ?」
古森氏
「その言葉も、適切な状況下ということがまさに問題であって、それを実現するために皆が必死になっているわけだから、そういうことが現状では起き得ないような状況が起きた時に会ってもいいよと言っているのだから、あまりその言葉の構造自体にも意味がないような気がしますね」
反町キャスター
「だったら、スパイサー報道官は打ち消さなくても、走らせいればいいのではないか。そうでもないのですか?慌てて火消しをしなくてはいけないという、妙にチグハグサさだけが見えてしまうのですが、どう見たらいいですか?」
古森氏
「それはトランプ政権全体の政策に近いことを言っているのが、このスパイサーさんの言葉であって、だから、現在の状況で首脳が会うということは考えられないですね」
中谷議員
「せっかく抑止で空母を出してプレッシャーをかけているのに、こういうこと言うと、本当に間違ったメッセージになっちゃいますからね。打ち消しはしたと思いますけれども。これに書かれていないもう1つは、米国は体制の転換まで求めてないみたいなことも言っていますよね。いろいろな球を投げながら、話し合いの場に引きずり出そうとしているとは思います」
平井氏
「この発言の中で出た、会うことができれば光栄だ、というフレーズもありますよね。アメリカですごく非難を受けていますけれど、北朝鮮の心理はくすぐると思います。光栄だという言葉を使ったということは、北朝鮮側の、この発言に対する反応は出てないです。だから、北朝鮮がどう受け止めるかの問題ですけれど、それは自分達の最高指導者に対する発言としてすごく北朝鮮の自尊心をくすぐる発言だと。むしろ習近平さんあたりの入れ知恵ではないのかなという気もしないではないですけれども」
反町キャスター
「ちょっとくすぐったら動くかもしれないという、そういう話ですか?」
平井氏
「ですから、アメリカの政策というのは最大限の圧力と関与という、関与というのが1つ付いているんですよね。圧力をかけて、非核化の対話に持ち込むということですから、そういう意味で、関与の部分という人参もぶら下げておこうと。もちろん、皆さん、おっしゃっているように、現時点でこういう状況が生まれるということではまったくないわけですけれども、そういうアメとムチということ言いますけれども、もっとそれを強烈にすると言いますか、ステーキとハンマーだと、そのステーキも提示しようという、そういう考えが少しトランプさんにあるのではないのかなという気が…」
古森氏
「金正恩と会ってもいいとか、体制を崩壊させないと言うのはすべて大前提があって、核兵器の開発をやめるならば、ということがあるわけですよね。そのためにはティラーソンさんが、国連か何かの時に言っているけれども、そのためには核兵器をやめるための具体的行動をとって、コンクリート・ステップスという言葉を使って、それをとらなければダメだと言っているわけですよ。だから、それが何かと、どんなことがコンクリート・ステップスかと聞いたら、それには答えなかったのだけれども、だから、行動対行動みたいな、非核化のための行動をはっきりとるという大前提があれば、体制もいいし、他のことも全部いいですよぐらいのことだと思う。だから、大前提が問題なわけで、一方、北朝鮮の方は憲法に書き込んでいるわけだから、そう簡単に核開発はやめないし…」
反町キャスター
「そうすると、古森さん、コンクリート・ステップスと言ったけれども、イランとの核合意がありましたね。イランとの核合意はオバマ政権がイランとヨーロッパの国も含めてやって、トランプ大統領はくそ味噌ですよね。あれはイランの核開発というものを廃棄するものではなくて、中断かどうかと、この見方ですよ」
古森氏
「遅らせる、みたいなね」
反町キャスター
「そういうことです。遅らせるということをもってああいうことをやったアメリカが現在の北朝鮮に対して廃棄を求めるのか、中断を求めるのか、スローダウンでOKなのか、このスタンスはどう見ていますか?」
古森氏
「いや、中国が、ついこの間、凍結案を出したわけですよ」
反町キャスター
「凍結とは中断ですよね?」
古森氏
「中断、それはその瞬間にアメリカはそれ拒否したよね。だから、凍結して米韓合同演習なんかやめろと、それで交渉を始めようと。そうしたら北朝鮮は開発を凍結すると。北朝鮮も確か拒否しましたよね。とにかくトランプ政権はすぐに拒否したわけです。だから、二十何年のアメリカにとって非常に苦い苦い歴史があって、散々騙くらかせれてきたわけだから、信じられない。軽水炉とか、あったではないですか、懐かしい昔の。皆、それは、この政権は倒れるからいいのだなんて言って全然倒れないわけだよね、これが。言ったではないですか、ビル・クリントンもね。だから、そう簡単には凍結とか、中断ではダメだと思いますよ、トランプ政権では」
中谷議員
「問題は中身ですけれども。このトランプ発言で、適切な状況下であれば、の適切な状況というのはいったい何?スパイサーさんが、こうした要件が満たされていない、ということで何か中身がわからないですよね。ですから、適切な状況下というのは何かなと考えますと、私は意思疎通でこれから話し合いしましょうみたいな、そういうテーブルができれば、みたいなことで。目的は、核・ミサイルやめさせることですけれども、そのアプローチをしているのではないかなという気がします」
反町キャスター
「そこを、たとえば、中谷さん、先ほど、古森さんが言われたみたいに、スローダウンなのか、中断なのか、ないしは完全に廃棄なのか。これはそれぞれのレベルによって、その査察の仕方も違ってくるし、一方的にもう中断しました、一方的にスローダウンしましたということで認めるかどうかというのは、いろいろなやり方があるわけではないですか。アメリカは北朝鮮に対してどこまで認める雰囲気が、これはどうですか?」
中谷議員
「それは過去、6者協議で失敗していますよ。合意されたことを北朝鮮は破棄したわけですから。それを踏まえた、再開にするにあたってどういうことをやりますかという話し合い、まだそこまでいっていないと思いますけれども、そういう意味の含みがあって、適切な状況下とこうした要件がという言葉が出てきたのではないでしょうか」
反町キャスター
「最終的な落としどころですよ。最初交渉に臨むにあたってアメリカは全面廃棄で臨むのは、それはわかりますよ。ただし、たとえば、そこでどうにもならない、北朝鮮だってそんなに簡単に廃棄に応じるわけがないではないですか、そうすると、中断で止まるのか、スローダウンまで譲歩するのか、そのへんの塩梅の話」
中谷議員
「それは止まるとは私、思っていません。どういう約束してもやり続けるとは思っています」
古森氏
「だから、これは足して2で割る方式しかあり得ないと思いますよ。だから、核弾頭を10個持っていいと、ICBMを1個だけ持っていいとか、それであとは忘れよう。そういう解決策はこれまでの歴代のアメリカ政権が公に言ってきたこと、内側でも言ってきたこと、あるいは世論、議会、全部踏まえて。これは許容しないですよ、できない。では、どうするかと言うと、そこで皆、悩んでいるわけだけれども」

韓国大統領選でどう変わる?
秋元キャスター
「米中衝突の可能性について聞いてきましたけれども、一方で、北朝鮮と対峙する韓国では朴槿恵政権の退陣を受けて新しい大統領を決める大統領選が大詰めを迎えているんですね。大統領選の顔ぶれですけれども、共に民主党の文在寅氏が一歩リードしている状況です。文氏は北朝鮮に融和的な立場なわけですが」
反町キャスター
「大統領選挙のやり取り見ている中で、韓国大統領の候補者の皆さんが、韓国主導の、要するに、南北関係の関係改善、ないしは北朝鮮の核・ミサイル開発をどのように止めるのか、それは韓国が主導してやるのだということを言っている方が結構多いですよね」
平井氏
「それは保守・進歩問わずほとんどの方がそうですね」
反町キャスター
「ぶっちゃけた話ですよ、韓国の大統領がそれを言ったところで北朝鮮の核やミサイルの開発を止められる力があるのかどうか。アメリカや中国やロシアや日本、他の国を全部くるめても止められないものを、韓国の大統領が言ってできるのかどうかという冷静な議論は、大統領選挙において議論の対象にはならないですか?あの国では?」
平井氏
「ならないというか、そのことを問題にする人はそんなにいませんからね」
反町キャスター
「やってみせるという気合いを皆さんが評価するのですか、有権者が?」
平井氏
「ですから、当事者が現在、韓国について言われているのはコリア・パッシングという、コリアが外されているという、そのことが非常におかしい。たとえば、トランプさんが安倍さんとしきりに電話会談とかをしているのに、自分達のところは何もないと。ですから、北朝鮮情勢が非常に厳しい状況なのに、その議論の中に韓国がコミットできていない、そういうことに対する疎外感は随分、与野党問わず指摘されているんですよね。だから、新政権ができれば、保守であれ、進歩であれ、それを克服するというか、自分達がプレーの場に戻るのだという、そういう意識が強いですね」
反町キャスター
「古森さん、いかがですか?」
古森氏
「私、文候補の上役というか、上司だった廬武鉉大統領の時にワシントンにいて、米韓関係がいかに悪くなったかという時のことをよく覚えていますから。どうなっちゃうのだろうと。米韓みたいな同盟ではなく、韓国は中国、あるいはその他の世界とアメリカとの橋渡しで、バランサーという言葉が好きですよね、ちょっと鳩山由紀夫の世界みたいな感じもしてくるのだけれども、間に入って橋渡しだという。ものすごく反発がありましたよ、アメリカ側から。それから、ちょうどこの時期に、韓国との同盟はもう要らないのだって意見を言い始める人がいて、これはケイトー研究所という、リバタリアンという保守系の、うんと保守のダグ・バンドウさんという、かなり知られた人が論文書いたのですけども、こんなにいろんなことを朝鮮半島でアメリカが影響受けるのだったら、韓国と同盟やめてしまおうということを言っているんですよ、これは超少数ですけれども。1つの、これからたぶん起きるであろう韓国の政治の大きな変化、対米姿勢の変化ということを考えて、アメリカ側のこういう超少数の意見であるけれども、韓国はもういい、韓国疲れという言葉も、コリア・ファティーグというのもあります、言葉に。だから、もうお付き合いはちょっとどうなのという、それが悪い方に行かなければいいなと思っていますね。米韓関係が安定していた方が日本にとってもいいですから。だから、非常に懸念は深いですね」
中谷議員
「日本にとって大事なことはまず慰安婦問題、これは現在の政権で決着させているのにまた蒸し返すということは決して良くないと思います、現在のところ、何も言及していないようです。それから、2つ目はTHAADミサイル。これも安全保障上、配置が決定していますので、これを動かすことによってさらなる不安定要素ができるということ。それから、もう1つはGSOMIA(軍事情報包括保護協定)という情報協定。これも韓国は受け入れてくれていますが、日韓の防衛協力のためにはなくてはならないわけでありまして。次の政権に望むべきことは、安全保障でしっかりと日米韓が連携して、北朝鮮の政策には対抗をして、なるべく早く日韓首脳会合、トランプさんとやったようにゴルフ会合も…とにかく首脳会談をやってほしいなと思います」

中谷元 自由民主党衆議院議員の提言 『中国の圧力 交渉のテーブルの作り方(6者協議)』
中谷議員
「交渉の場に引き出すということで、まず中国の圧力、これは経済にしても、石油にしても、まだまだ圧力をかけることができる。それから、交渉のテーブルに乗せるということで、これのつくり方、特に6者協議、関係国が入っています。東アジアに安全保障のテーブルがないので、こういったテーブルを今こそつくれればいいと思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言 『目標は衝突回避ではなく北の非核化』
古森氏
「朝鮮半島での軍事衝突はあくまで避けなければいけないことなのだけれども、軍事衝突を避けること自体が、この問題の最終目標ではないということ、あらためてアメリカに対して要望する形になるかもしれませんけれども、北朝鮮が核兵器を開発しないということがあくまで目標だということをあらためて確認しておきたい、そんな感じです」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言 『非核化と平和体制構築の併進路線』
平井氏
「北朝鮮は経済発展と核の開発を併進路線と言っていますけれども、国際社会はむしろ非核化を要求することと、米朝平和協定という意味ではなく、韓国なんかもコミットした形での休戦協定というのは事実上状況に合わなくなっているので、新しい平和のシステムというものを構築する、この2つの議論を一緒にやる必要があるのではないのかなという私の考えです」