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2017年4月28日(金)
緊急検証『日露会談』 安倍×プーチン何語る

ゲスト

コンスタンチン・サルキソフ
山梨学院大学名誉教授
袴田茂樹
新潟県立大学教授
石郷岡
ジャーナリスト

緊急検証『日露首脳会談』 北朝鮮対応に『温度差』
松村キャスター
「安倍総理は昨日、モスクワでプーチン大統領と会談を行い、北方四島での共同経済活動や北朝鮮への対応について協議しました。ロシア情勢に詳しい専門家を迎えて、日露首脳会談の内容を徹底検証します。今回の日露首脳会談ですが、北朝鮮への対応、北方四島における共同経済活動、訪問、これに関することが主な内容でした。順番に見ていきますが、まずは北朝鮮への対応については、国連安保理決議の履行で合意し、さらなる挑発行為の自制を要求することでも一致しました。一方、プーチン大統領は6か国協議の再開を提唱し、牽制を強めるアメリカなどとは一線を画しています。サルキソフさん、ロシアの6か国協議の再開、これを提唱したことに関してどのように見ていますか?」
サルキソフ名誉教授
「北朝鮮問題はロシアにとっても頭の痛い問題だと思います。なぜかと言うと、かなりロシアも影響を与えることがない、テコ入れできない、やりようがないという国で、どうすればいいか。1つの考えが、北朝鮮の問題については常識で考えると2つのテーマが必要で、1つは、北朝鮮は核兵器を持ってはいけない、絶対。それはなぜかと言うと、核保有国になれば、どうなるかと言うとすごく悪循環になってロシアも非常に困るし、周辺の国もそうです。2つ目は、北朝鮮の問題は長引いていますからかなり複雑で、軟着陸という言葉がキーワードであります。政権を潰すとか、政権を倒し、政権を代えて、その政権の代わりに新しい政権ができることは理想的であるかもしれないですけれども、ただ、それはすごく危ないです。危ないので、だから、軟着陸、デリケートなやり方で、プーチン氏は冷静にこの問題に取り組むとことが1番大事であると、そういうことだと思います」
反町キャスター
「袴田さんから見た時、プーチン大統領は6か国協議、6者協議をやろうではないか、これをもう1回アクティブにしようと言ったその狙いは?」
袴田教授
「だから、今度のシリアに対してのアメリカの軍事攻撃、これはロシアにとってはすごく打撃でした。ロシアの権威が地に落ちたと言ってもいいくらい大きな打撃でした。北朝鮮に対しても同様な形で、軍事力を中心に対応することを認めてしまうと、ロシアは結局、米国に屈服したのだというイメージになってしまう」
反町キャスター
「シリアには59発の巡航ミサイルを撃ち込んで、ドカンと1回やったとは言いながらも、そのあと続きもありませんし、結局は現在、アサド政権とロシア軍による合同の戦力があそこの地域においては最強で、結局、その意味においてはアメリカのあの59発の撃ち込みというのは何だったのかと、そういうことではないのですか?」
袴田教授
「ロシアのメディアも、ロシアにはいろいろなメディアがあって、結構、政権批判のメディアもあるのですが、中東、特にシリアは、ロシアは完全に支配していると言っていたけれども、何の手も打てなかったと。最新のS400、その他のミサイルも配備していて、そういうのがいかに虚構であったかという、そういう形でロシアのメディア…」
反町キャスター
「そういう見方を…。そうすると、たとえば、プーチン大統領が6か国協議を提唱するということは、アメリカが本当にやるかもしれないと、プーチン大統領はトランプ大統領に対してそういう見方をしている、それでいいのですか?」
袴田教授
「私はこう考えています。2002年、2003年頃が核開発、あるいはミサイル開発を放棄させる、その最も可能性の高い時期だったと。現在は核もある程度発展させているし、反撃力も持っていますし、実際の武力攻撃は極めて現在は難しいと思っていますよ。しかし、これ以前、2002年にブッシュ大統領が使ったのと同じ言葉、つまり、『北朝鮮、イラク、イランは悪の枢軸』という形で全ての選択肢はテーブルの上にあるという、これは外交用語ですが、武力行使もあり得ますよという。今回、同じ言葉を使っている。実は武力行使も現実にあり得るということを前提にして、初めて話し合いによって、交渉によって譲歩させることができるんです。従って、私は武力行使をすべきだと言っているのではなく、現実の可能性というものを常にきちんと持った上で、相手に譲歩をさせる、交渉によって、それが可能になると。最初からロシアのように武力行使はすべきではない、あるいはしませんと言ってしまったら、これまでの歴史が示している、北朝鮮をつけあがらせるだけです」
松村キャスター
「石郷岡さん、プーチン大統領が6か国協議の再開を提唱したことに関してはいかがですか?」
石郷岡氏
「私は、米露中の3国の間でもっと話し合いが進んでいるという感じを持っています」
反町キャスター
「なるほどね。握り合いですよね」
石郷岡氏
「ティラーソン氏が行きました、外相、外相というか、国務長官が。あの時、攻撃があった1週間後ですよね。普通ならそんなの拒否する話なのにわざわざ行きましたよね。それでシリアに関しては大きな話があまり出なくて、ロシアの新聞では北朝鮮問題が話し合われたと書いてあるわけです。何が書いてあるかということはわからないけれど、私の感じではそのことについて話し合いがあって、中国を見るとどうもそういうことで3国がいろいろ動いていて、そこに安倍さんも入って聞いたかどうかは知りませんけれども、そういう状況で。私の感じではなるべく軍事的な解決はやめようではないかという雰囲気はあると。だけど、それに北朝鮮のリーダーがどのような反応をするかというのは、まだわからないという状況だけれども、なるべく避けようではないかという雰囲気があって、その意味で、6者協議というのはある種の落としどころだと思うし、誰も朝鮮半島で核戦争が始まることを望んでいないと思います」

露朝国境に部隊派遣?
松村キャスター
「ロシアは北朝鮮との間に定期航路を開設し、来月から日本への入港が禁止されている貨客船・万景峰号が就航するということで月6回程度往復するのではないかと言われていますが、サルキソフさん、このタイミングでロシアが北朝鮮に手を差し伸べるという形になった背景、狙いというのをどのように見ていますか?」
サルキソフ名誉教授
「最近の動きですけど、アメリカの核、空母が近づいてきて、中国は積極的にアメリカの対朝政策に協力しているという、私はその真相はわからないのですけれども、ちょっと疑いがあるのですけれども、本当に中国は100%トランプの対朝政策に協力しているかというと、それは問題が残っているのですけれども。ただ、ロシアとしては北朝鮮をなんとか首を絞め、絞首みたいな、これを殺してしまうということにはあまり関心がないので、だから、少しだけ隙間を開いて、ここに。ただ、あまり大したことではないでしょう、大したことではない」
反町キャスター
「シンボリックな行動ではあるけれども、経済的な規模は非常に小さい。
サルキソフ名誉教授
「そう、簡単に、象徴的ですよ。だから、こういうことをやっても、全然何もないと」
松村キャスター
「ロシアメディアの報道によりますと、ロシア軍が北朝鮮との国境付近に部隊を展開しているとの情報がありますけれども、これに関して、ロシアの狙いは?」
サルキソフ名誉教授
「それは念のためです。念のためと言うのは、もし攻撃があったら、空爆がありましたら、最悪の場合はアメリカの戦闘機が空母から飛んできて、爆撃をするでしょう。そうすると念のために…」
反町キャスター
「難民が大量に発生します」
サルキソフ名誉教授
「そう、そのこともあるし、いわゆる破片ですよ。国が爆発すれば、破片がどこに飛んでくるかと言うと、ロシアと中国、韓国、日本ですよ。アメリカではないですよ」
反町キャスター
「袴田さん、いかがですか?」
袴田教授
「私は6か国協議を復活しようということと、そういう提案と、万景峰号の、この就航、月6回というと、積み下ろしの期間を入れるとピストン輸送です。現在は国際的に北朝鮮に圧力をかけなければダメという時に、例え、象徴的であれ、つまり、大して大きなアレがないにしても、世界の協調を乱す行為だから、極めてこのアプローチ、ロシアのアプローチに不信感を持っている。なぜロシアがそういうやるかということですが、私はロシアの最大の弱点は、ロシアはヨーロッパの国であると同時にアジアの国でもあるとしきりに言っているのですが、アジアにおけるプレゼンス、存在感があまりにも小さい。北朝鮮に対しても圧倒的にこれまで中国の方が強い影響力を持っていた。こういう状況の中でアジアにおけるプレゼンスをもう少し強くしたいということで、ある程度公式的な中国との関係も繕っていますし、それからASEAN(東南アジア諸国連合)との関係の構築というようなことで、ソチにASEANの代表を呼んだりとか。それから、北朝鮮は現在、中国との関係が実は非常に難しい。金正恩氏の時代になって、中国と1番関係が深い伯父さんを処刑したりとか、中国との関係が非常に厳しくなっている時にこれはロシアにとってある意味チャンス」
反町キャスター
「中国が、北朝鮮から買おうとしている石炭の船を、全部入国拒否して帰したとか、現在、石油の輸入も非常に制限しています。さらに、今度核実験をやったら、全部止めるぞと脅しをしているという話も、ティラーソンさんの話などを含めて出てきていると。もしそうなった時、本当にロシアがアジアにおいて北朝鮮の代弁者として、保護者として羽振りをきかせたいのであれば北朝鮮から石炭を買いますよ、もし中国が止めたら、我々がサハリンから石油や天然ガスを提供しましょう、そういう制裁破りをしてまでも、北朝鮮の保護国になる気持ちはロシアにありますか?」
袴田教授
「だから、ロシアの万景峰号をこういう形で運航させたというのは、ロシアに聞きたいことです。あなた達は本当に現在、あれだけ北朝鮮の保護者と言われていた中国でさえも、締めつけようと…」
反町キャスター
「袴田さん、現在のロシアはそれをやるところまで腹を固める可能性があるかどうか、ここはどう?」
袴田教授
「いや、私はそこまでは」
反町キャスター
「せめてそんなに量は大したことないけれども、シンボリックな船の行き来にとどまっている?」
袴田教授
「ただ、シンボリックということ自体、そういう協力を乱す行為でなぜ現在…、米露関係がウクライナ問題、シリア問題、最悪になったが故に、こういう行動に出たと」
石郷岡氏
「この件に関しては、ロシアが今どうなっているのかはわかりませんけれど、北朝鮮が代わったあとの朝鮮半島のことを考えていると。なぜならばウラジオストクから羅津を通って釜山までという鉄道計画があって、その話はいろいろ出たり、入ったりしているわけです。それに関して、中国側は反対側、西側の鉄道をつくろうという話があって、それがごちゃごちゃして現在、止まっている段階だけれども、ロシア側はウラジオストクから羅津まではもう鉄道をつくったわけですよね。羅津の港をコンテナ港にしようとしている計画があって、その計画を出したら、中国が出てきて、その波止場の半分を獲ったという話があるわけですよ。そういうことで、今回出ていることは、このことに関する、要するに、羅津発展計画に関することであって、今回の北朝鮮問題とは全然関係ないと思うんです。と言うのは、万景峰号というのは客船なのだか、貨客船なのだか、貨物船なのだかよく知りませんけれども、感じとしては貨物船ではないですよね。貨客船ですね。と言うことは、羅津にロシア人の労働者を運ぶのではないかという気が私はします」
反町キャスター
「では、あくまで通商マターでやって、地域の安全保障も視野に入れた大きな話ではないということですか?」
石郷岡氏
「通商マターであると同時に、私はあなたのことを脅していませんということを示すポーズでもあるということですよね」
松村キャスター
「トランプ大統領は、北朝鮮問題について27日、ロイター通信のインタビューで『外交的に解決したいが、非常に困難だ』と発言。プーチン大統領は先ほども触れましたが、6か国協議の再開を提唱しています。いわゆる対立の構図となっていますが、石郷岡さん、いかがですか?現在の米露をどう見ていますか?」
石郷岡氏
「私は、欧米のマスコミを中心に米露関係の緊張が高まっているという理解は間違っていると思っています。シリアへの巡航ミサイル59発を撃ったことによって、劇的に状況が変わったと、それはプーチン大統領にとって非常に良好な関係になると考えます」
反町キャスター
「巡航ミサイルを撃ち込んで、米露関係が良くなるのですか?」
石郷岡氏
「巡航ミサイルを撃ち込みましたよね。巡航ミサイルを撃ちましたけれども、巡航ミサイルを撃ちますよというのはちゃんとロシア側に言っているわけですね。言っていて、ロシア側はあそこにはミサイル防衛システムがあるから、全部を開いて、ずっと見ていて、落ちるまで見ているわけですよ。あれを落としてもいないわけですよ、撃てば落とすことはできたかもしれない。と言うことで、言っているような対立状況でないと、結構、裏でいろいろな話をしているというのがここで見えると。それでトランプ氏に関しては、あの巡航ミサイルについて、オバマ政権というのは非常にだらしなくて決断力がないヤツだけど、俺はすごいのだということを、つまり、民主党もしくはクリントン派の人達を潰すというのが1つですよね。2つ目は、議会及び国民達が、おっ、やるじゃねえか、という話でガラッと変わるというのを狙ったと。3つ目は、中国と北朝鮮に対する脅しですね。4つ目は、化学兵器という、化学兵器がアサド氏の命令で使われたかどうかについては、私は疑わしいと思っていますけれども、それは別にして、いわゆる子供達が出てきた写真を見た時に、それを写真のイメージによって、それをするということを使ったということ。5つ目は、実は巡航ミサイルがシリアのアサド政権に撃ち込まれたということは必ずしもロシアにとってマイナスではないと。なぜならば、アサド政権は現在、勝ち戦なので非常に傲慢になり始めていて、ロシアの言うことを聞かないと。その理由は、ロシアは軍事的勝利はやめよと、どこかで国民和解の政権をつくれという政治解決を求めているんですよね。にもかかわらず、そういうことではないようなことが出てきて、しかも、シリアとトルコとイランの3国会談が開かれているのですけれども、どうもそれが国民和解、要するに、スンニ派の穏健派を入れるという雰囲気がなくなるような感じが出たりしているので、ここで撃ち込まれたことについては、1つ目は、これで心置きなくトランプ氏と話し合いができると、アメリカの機嫌は収まるだろうと。2つ目は、シリアのアサド政権を抑えることができるかもしれないと。それで、ロシアもアメリカもシリアで戦争して、自国の兵士が死ぬなんていうことは求めていない。両方とも、どうにか話し合って、とにかくイスラム国をやろうではないかという話ですよね。そのあとはあいつらに任せて出ようという話ですよ。もともとプーチン氏は4か月でやめると言ったのが、1年も2年もかかるような状況になっちゃっているわけで、出たいに決まっているんですよ」
反町キャスター
「米露首脳会談に向けた環境というのはどうだと見ているのですか?」
石郷岡氏
「だから、巡航ミサイルを撃った1週間後にティラーソン氏が行ったわけです。本来ならば関係が悪ければ来るなと言うはずです。来たわけです。来て、ティラーソン氏が何を言ったかというと、アサド大統領を退任させたいけれど、ある程度の期間をもって、しかも、アサド政権のコミュニティの状況を見ながらということを言ったんです。つまり、すぐさまアサド氏を追放することはしないと。それから、いろんなことを言ったのだけれど、ロシア側は化学兵器を使ったと証明されてないでしょうと。2つ目は国際法の違反だと、要するに、国連決議もないでしょうと、そこは言ったと。そのあとは何も非難しないわけですよ。それでごちゃごちゃごちゃごちゃいろいろ話しているけれども、どう見ても、最後にティラーソン氏が言ったのは、イスラム国を攻撃するのは両国の目的である」
反町キャスター
「たとえば、現在の北朝鮮の情勢とシリアの情勢を見た時に、米露首脳会談をやるタイミングとしては悪くないと見ていますか?でも、ウクライナの問題があるわけですよ」
北郷岡氏
「昨日の新聞では5月のG8の前か直後に、米露が会うという話し合いが進んでいるという」
反町キャスター
「G8、プーチンさんは呼ばれないではないですか?」
石郷岡氏
「プーチン氏はそこには行かないのですけれども、その前後で会うと。トランプ氏と、という記事が出ていましたけれども、本当かどうかはわからない。でも、私の感じではトランプ氏というのは我慢できない人だから、話を始めたら『おう!会おう』となるのではないかなという気はしています」
反町キャスター
「それはヨーロッパの各国から見た時に、アメリカの裏切りに見えないのですか?」
石郷岡氏
「そのあとにシリアで合意して、もし6か国協議まで話が出てきたら誰も文句言えないと思いますよ」
反町キャスター
「袴田さん、米露首脳会談は現在、いいタイミングだと思いますか?」
袴田教授
「もちろん、首脳会談が、ティラーソン氏のああいう形で、非常にスムーズな形でいけたので首脳会談をする土壌がないとは言えないと思うんです。ただ、私は石郷岡さんの意見とは違って、米露の関係が現在、非常に悪いし、また悪いのを演出していると。だから、ロシアのメディアで、シリアの空爆に関して、こういう面白い記事が出ているんです。2時間前に、例の米露の飛行機同士が衝突しないようにチャンネルを設けて、そのチャンネルを通じて2時間前にロシア側に通告していると。ロシアは36発は行方不明になって、23発しか当たらなかったと言っているけれど。しかも、ロシア人が使っている空軍基地でありながらロシア人を1人も殺していない。これはアメリカがどれだけゆとりがあるかという、その証拠であると。つまり、2時間前にこれを知らせるというのは、ある意味で、侮辱的だと言うんです、攻撃するというのを相手のアサド氏を1番支持しているロシアに2時間前に知らせて、しかも、アメリカは59発が全部当たったと、命中したと言っている。もし命中していないなら36発はどこにいったのか。ロシアはそれをレーダーで捕捉もしていないということになってしまう。言いましたように結局、ロシア軍がシリアの全てを事実上コントロールしていると見られていたのに、まったくそうではないということを露呈してしまったというので、プーチン大統領の権威が相当、落ちたという見方がロシアの国内で出ているんですよ。ただし、プーチン大統領の支持が1番高く、89.9%になったのは一昨年9月30日ですか、シリア攻撃をした時です。だから、プーチン氏は強い大統領だ、それを世界に見せつけたというのでクリミア併合の時以上に支持率が上がった。それが全然そうでなかったではないかと、そういう見方がロシアにあるということです」

北方四島での共同経済活動
松村キャスター
「日露首脳会談では北方四島についての話の進展具合をどう見ていますか?」
サルキソフ名誉教授
「昨年12月の話でできたのですけれども、共同経済活動というのは、なかなか難しいということを聞いていたんです。ロシアの外務省を含めて、官僚はかなり難色を示している。どうすればいいのかという、なかなかこれまでの外交では、例がないので。ただ、結果を見ると一歩一歩、安倍さんの言葉を使うと、一歩一歩前進しているということは、かなり評価をしている。プロセスが始まったということは、その勢いがまだ残っている。北海道にサハリンの当局の代表が20人ぐらい来て、地元の人達と具体的な話をしていたんですよ。かなり保守的だったサハリンの当局、サハリンのエリートがかなりやる気になっているわけであります。まず調査団を出すのが一番いいのではないのか。国後、択捉はすごいですよ、森林だけではなくて、山もあって。共同で開発、経済活動のための余裕がたっぷりあります。これによって領土問題を解決するとか、主権問題を解決するために、どういう価値があるかが明らかに出てくるわけですよ。そうすると、この方法しかないのだということを、現在の結果を見ると痛感しました」
松村キャスター
「今回の共同会見で特別な制度の進捗については触れられませんでしたが、双方の立場に、考えに食い違いがあるように見えますが、具体的に話を進めていけるのでしょうか?」
袴田教授
「山口にプーチン大統領が来た時に、安倍首相自身が特別な制度でやるという、そういうことで話がついたということを言い、日本政府の公式的な表現になっていますが、外務省もそう言っています。しかし、ロシア側は、プーチン大統領も含め、私はプーチン大統領とロシア外務省の立場を分けるのはあまり賛成ではないんですよ。プーチン大統領の補佐官も含めて、日本での首脳会談も含めて、ロシア側は特別の制度をロシアの法の下でもなく、日本の法の下でもなくて、第3の制度というのは認めていません。プレス向けの共同声明でも日本側はその言葉を入れることに相当こだわったのですが、ロシア側は頑として受けつけずに玉虫色の表現になりました。ロシアはあくまでもロシアの法の下で共同経済活動を四島で行うという立場を崩していない、となると、先ほど、サルキソフさんが言われたように、実際には極めて難しいですよ。ある程度、グレーゾンをつくって、カムフラージュする余地がないとは言いませんが、本格的な意味で、共同経済活動という法的な両国の立場を害さないということを前提にする限り、極めて難しいと思います」
石郷岡氏
「共同経済活動が領土問題を解決するという観点で見るなら、それはなかったと。ただし、四島において日露間のある種の交流や友情関係をつくるというような状況を出したことはあるかもしれないけれども、それはまったく領土問題と関係ないと」
反町キャスター
「石郷岡さんは共同経済活動をいくら進めても島の返還にも、平和条約の締結にもつながらないと見ているのですか?」
石郷岡氏
「本日のロシアの新聞が日露関係について書いてあるのを読みたいと思いますが、アンドレイ・クリスニコフ氏という大統領の同行記者で有名な記者です。プーチン大統領と安倍首相のモスクワ会談は、クリル諸島の周囲で漂流した。プーチン大統領と安倍首相は、お互いに敬称なしで呼び合っているが、このことがお互いの関係を良いものにしたのだろうか、そうではない。2人の関係は、この状況は安倍首相をクリル諸島に近づけたわけではない。プーチン大統領を同諸島から引き離したわけでもない。安倍首相はこれまでのようなテンポでいくと歴史に取り残されると。安倍首相はどうも長期包囲戦を採択することを決定したのだ。つまり、長い交渉をするということで、その前段階として共同経済活動があるのかもしれないけれども、それが1万5000人ぐらいしかいないところですから、いくらやってもそんな大きな経済になることはあり得ないわけで、あるのは漁業活動とツーリズムと墓参しかないわけで、それが大きなものに発展して、領土問題が解決するというのはまた別の話だと」
松村キャスター
「北方四島の訪問の自由度が増すことによって、これが領土問題の解決につながるということは考えられるのでしょうか?」
サルキソフ名誉教授
「領土問題解決側面がいろいろあるわけですけれども、1つは明らかにプーチン大統領にアピールするのは人道ですよ。人道的な意味で、安倍さんは記者会見でその話をしていたのですけれども、プーチンさんの顔を見ると、彼がかなり感動していたと。山口で、島民の手紙を渡した時に、かなり感激していたのですが。それが大事だと思います。どうしてその問題を解決しなければならないか、単に政治とか、経済とか、お金とか、そのためではなくて、人間のためだという。その問題は別の側面をはっきりさせて、これは非常にいい方法ではないかと思います」
袴田教授
「確かに元島民、島に愛着を持っている島民の平均年齢が80歳台と、そういうことを考えると、サルキソフさんが言われることもわかるのですが、しかし、これは北方領土だけの問題ではなくて、北朝鮮による拉致問題ももちろん、人道問題である事を否定するつもりはありませんが、あくまで主権侵害の問題にどう対応するかということが問われているわけで、そこに住んでいた人の問題が1番重要ということになれば、尖閣なんてどうなってもいいのではないのということになりかねないと。つまり、尖閣があれだけ問題に、日中韓でなるのは、これは主権というものが譲れない1つの国家の最重要事という認識があるから。しかし、飛行機で行くと言っても、実は現在3つのルートがあるんです、ビザなし交流というのと、墓参と、自由渡航という、それをオーガナイズしている人から聞いたのですが、元島民は何回も行っているので参加を募るのが大変なのだと、そういう側面もあるんです、行けなくて困っているわけではないですよ。そのような中でその側面を、情の面を中心に、主権侵害の問題を考えるというのは、私はちょっと筋が違うのではないかという感じがします」
松村キャスター
「平和条約の問題について、温度差があると感じますか?」
サルキソフ名誉教授
「温度差はあるのですけれども、当たり前のことではないですか。両首脳は自分の国民に向かっていろいろ話をしているのですけれども、1番肝心なポイントは公に言うことよりは、2人きりの話が大事です。それが1番大事です。その時はすごく率直な、ビジネスライクで、こういうことをやればできると、いや、ちょっと待ってくれ、それはできないのだと。それは順番にやりましょうと、その雰囲気でやっているわけですから、私はそれに1番大きな期待をかけているわけですよ。時間がないです。それは米露関係ではなくて、中国の存在も見てください、大変な存在になってきたわけですよ。GDPの購買力を見ると世界一ですよ、もう。アメリカを追い抜いているんです。もう1つは、貿易としては2.4兆ドルですよ、アメリカもウンとあとですよ。日本よりも3倍、4倍くらいですよ。大変な力になってくる、私は中国が悪いとか、危ないと言うより、物理的に大きいので、その空間に同じく、ロシアと日本もいるから、だから、どうすればいいのか。同じ地域にいる、お互いが協力をして、領土問題というのはある意味で、広い枠内に入れたら、あの領土問題は細かく見えてくるわけですよ」
反町キャスター
「2人きりで話をして実っていてもしょうがないわけ、表に出て、目に見える形で果実にならないとダメですよ。今年あと3回の日露首脳会談、来年3月には大統領選挙。何を我々は見ていればいいのか、来年3月以降に劇的な変化が期待できるのか?」
石郷岡氏
「期待できないと思います」
反町キャスター
「ずっと?」
石郷岡氏
「少なくとも共同経済開発の話は、ある意味では、地図と地図の間で話すような話ですよね。主権とか、パスポートとか、そういう話もありますけれども、共同経済開発に関しては、わざわざ首相が1年に3回も会うような話ではないと思います。これがもっと大きなプロジェクトが出てくるのならわかりますが、それを一生懸命にやってもあと2、3年はかかるのではないでしょうか。そうすると、大統領の選挙が来年ありますけれども、大統領にきちんとプーチン氏が収まるか疑問なところがあるのですけれども、もしそうなるようなことがあったらば、プーチン氏がいなくなってしまったら、どうするのですかという話ですよね。そういう意味で、長期包囲戦に変わったとなると、そういう話ではないという話でお互いにやっているのかなという気がします。だけど、いつかそれをやろうねみたいな感じかもしれないけれども。先ほどの記事に、安倍さんが、平和条約をお互いにやるという決意を言ったうんぬんかんぬんという話が出ましたけれども、そのことに関して、この記者は、この意味は安倍さんがボールはロシア側にあると、プーチン氏の側にあるのだと、プーチン氏が返すべきだと、という意味を込めたと。しかし、このボールはコートの枠を超えてアウトになったと」
反町キャスター
「もうアウトになっているのですか?」
石郷岡氏
「そうです」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
石郷岡氏
「共同経済活動で平和条約を結ぶということについて、日本側は思っているが、ロシア側はあまり思っていないということです。これを前提にすると政治協議がまったく進まなくなってしまうわけですからね。だから、それは政治協議と経済協議を平行して進めるべきだと思いますよ」

コンスタンチン・サルキソフ 山梨学院大学名誉教授の提言 『共存から共創へ』
サルキソフ名誉教授
「共創という、日本の辞書にはあまりない。意味は、お互いに隣国ですけれども、平和共存という言葉もあるのですけれども、これだけではなくて、一緒になって未来を創りましょうと。共同で創造的な活動、そういう意味で、両国民は得するのではないかと。これしかないと思うんですね、選択肢としては」

袴田茂樹 新潟県立大学教授の提言 『焦らず』
袴田教授
「安倍さんはこれまでのどの首相より領土問題の解決に熱意を持っておられると高く評価しているんですよ。ただ、私とあなたがトップでいる間に解決しましょうと、時間を区切ったら、区切った方が交渉では負けです。だから、焦らずと。つまり、以前、鄧小平は、次世代はもっと利口になるだろうから、次世代に任せましょうと、いつまでも待ちますよという形で、焦らずに、泰然と、しかも、言うべきことはきちんと言う、その態度を貫いてほしいと思います」

ジャーナリスト 石郷岡建氏の提言 『戦略的譲歩と国益』
石郷岡氏
「戦略的譲歩と国益、そのバランスを考えるべきという意味ですが、その意味は、領土問題の話し合いはもうほとんど話し合うことはなくなるところまできていて、どうしようもない感じになっているので、私は双方が何かを譲歩するということを考えるべきだと。それは島の数ではないかもしれない、だから、そこで戦略的と入れたわけですが、それと国益をどうするかという問題はどこかで考えなければいけない」