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2017年4月27日(木)
川島裕前侍従長に聞く 陛下に仕えた『12年』

ゲスト

川島裕
前侍従長
山内昌之
東京大学名誉教授
橋本寿史
フジテレビ社会部皇室担当編集委員

川島裕前侍従長に聞く 『象徴としての務め』
秋元キャスター
「今夜は天皇陛下に12年間お仕えした川島裕前侍従長を迎え、天皇退位と皇室の未来についてじっくりと聞いていきます。川島さんは、式部官長、侍従長として、天皇陛下に仕え、東日本大震災をはじめとした被災地の見舞いや、パラオのペリリュー島など慰霊の旅で両陛下とともに行動されて、陛下のお姿や思いを間近で見てこられました」
反町キャスター
「川島さん、昨夏、本を出版されました。この本にも綴られた、侍従長から見た陛下のお姿、象徴としてのお務めに向けた陛下のお気持ちを今日はじっくりと聞いていきたいと思います。また、有識者会議のメンバーを務めた山内さんも迎えています。天皇退位と皇室のこれからについても考えていきます」
秋元キャスター
「昨年8月に天皇陛下が退位の意向をにじませたお言葉から振り返っていきたいと思います。『即位以来、私は国事行事を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごしてきました』、中略があって『既に80を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています』と、こういったお言葉がありました。まずは川島さん、陛下のお言葉、どのように聞かれましたか?」
川島氏
「これは象徴としてのお務めということに関わるわけで、それがまさにお言葉でありますように、お年を召されて難しくなってきたら、それは象徴をもはや続けるべきではないというお気持ちになられたのだと思いますし、その意味で、あのお言葉が出発点となって現在、いろいろな方の尽力と、積み重ねで、ここまで至ったのは本当に良かったなという気がいたします」
反町キャスター
「全身全霊をもって象徴としての務め果たしていくことが難しくなるという、表現としては、こういうお言葉ですけれども、これは陛下のお気持ちとしては、悔しいということなのか、ここの部分はこれ以上、私はというお気持ちなのか、どういう?」
川島氏
「象徴の在り方から考えると、象徴としてなすべきことがフルにできなくなったならば、それは代理に頼むとか、そういうことではなくて、象徴の座を去るべきであるという、ご判断が背景だと思います」
反町キャスター
「川島さん、侍従長として在任中に、陛下からそういったお気持ちを感じる、ないしは肌触りというのか、そういうものを、うーん、感じるという言葉しかないですね、感じる、こういう陛下のお気持ちというのを感じた部分はありますか?」
川島氏
「そうですね。私は2年前に去りましたけれど、次第にそういうお感じ、気持ちかなと思うことはありましたけれども、本当に物事が動き出したのは私の去ったあとですので、ちょっとそこのところはわからないところもありますけれども。いずれにしても、象徴、つまり、憲法の1条から8条をいくら読んでも、象徴として何をなすべきかということはまったくわからないわけで、それは日々の積み重ねなわけです。たとえば、東日本大震災のあとで7週連続いらした時に、本当に心を込めて被災地で被災者と会われているお姿を見て、これもまさに象徴天皇制の具体的な定義づけが、オン・ゴーイングと言いますか、続いているのを目の当たりにしているのだなという実感でした。それは、お見舞いだけではなくて、いろいろなところで常に人に心を込めて接せられて、一方、国民の側もそういう両陛下とのやりとりというものを、非常に素晴らしいものだと思っているのを実感して。ですから、両方向だと思うんです。日々、それがずっと来ていて、現在に至って、しかし、そうは言ってもお齢というものがあって、それを半分に減らすというのは馴染まないわけですよ、そもそも象徴として、そうやっていろいろなことをなさっているのは。ですから、このへんでということのプロセスだと思います」
秋元キャスター
「象徴の務めという表現についてですけれども、橋本さん、具体的にはどういうことがあるのかということなのですが」
橋本編集委員
「陛下がお務めとしてなされていること、だいたい3つに分かれていまして。国事行為という、いわゆる憲法上もいろいろ規定がある、内閣総理大臣の任命や国会召集などといった、こういった仕事のほかに、公的行為と呼ばれている、被災地のお見舞いや外国御訪問、園遊会といった非常に公的な要素がある部分、そのほかの行為という形の中では、よりプライベートなものに近いと考えていただければいいのですが、宮中祭祀の部分、それと御研究など、こういったものがあって、だいたいこの3つに分類されるという見方をしています」
反町キャスター
「川島さん、国事行為、公的行為、その他の行為と非常に粗っぽい分け方を、3つしたのですけれども、陛下のお気持ちとして、象徴天皇としてのお務めと言うと、この中で特に陛下が重きを置き、思いが深まる部分というのはどこになる?」
川島氏
「国事行為というのはまさに憲法で書いてあることであって、でも、それも心を込めてなされるんですよ。それは大使の認証、信任状奉呈式ですと、本当に心温まるやりとりがあって、それから、特に最近、ここ数年はそれぞれの国から新しい大使が着任すると、必ずその国から東日本大震災においてどんな支援があったかということを前もって調べられて、それに対して懇篤にお礼を伝えられるとか。一方、大使の方も、東日本大震災の時は本当に世界中から日本を支援しなければという雰囲気が盛り上がったわけですけれども、非常に多くの大使が、日本にこれまで大変に支援していただいたので、震災にあたって少しでもお手伝いできればと思うのは当然のことですという大変心温まるやり取りで、単なる儀礼的な行事ではまったくないですね。ですから、政令、条約の交付とか、それは御名、御璽のアレですけれども、こと人と会われるということについては、本当に心を込めてという点では、国事行為においても、公的行為においてもまったく同じだし、それから、その中で憲法に定められている国事行為だけをやれば、象徴天皇制はいいのであるということではまったくなくて、本当に公的行為と括られているいろいろなもの、だから、そこにはないけれども、いろいろな地方に赴かれてということだと思います」
反町キャスター
「山内さん、いかがですか?どう感じていますか?」
山内名誉教授
「今の問題はまさに今回の天皇の公務軽減等に関する有識者会議の1番大きなテーマにつながるんです。結局、公務の負担軽減といった場合に、それは何を意味するかということですね。国事行為というのは憲法に定められている行為でありまして、これは法によって定められている営みです。公的行為とは何かと言いますと、憲法や皇室典範そのものに根拠があるのではなく、むしろ憲法的に言われるところの国民統合の象徴、日本国の象徴であられる天皇が象徴天皇であるということの意味や、それは何かということを日々、ご自分が、制度によってではなくて、ご自分の憲法に抵触しない形での営みで、日々、手入れをされる。そこでご努力をされるという中で、いろいろな、特に災害のお見舞い、恵まれない環境やひょっとして弱い立場に自然災害などでなったような国民に対する慰謝、あるいは慰労という、そう言うとお見舞いなのですが、こういうことを営んでいく、営まれるということ自体が、いわば大事な、天皇を天皇たらしめていく、象徴を象徴たらしめていく、行為なのだというようなお考えが、おそらくおありなのだと思います。従って、それは単純な私的行為、その他の行為というのは時によって私的行為、私の行為と言いますが、私的行為とも違い、かつまた憲法で定められている国事行為でもないのですが、このご努力ということを抜きにして、憲法で定められた新しい天皇の在り方というものは証明されない、あるいはそれを豊かなものにできない、ひいては将来に向けた天皇の制度、あるいは皇室の在り方というものを永続的に保障していくものにはならない。つまり、そこでご自分、あるいは皇后様を含めまして、両陛下が新しい環境と、ご自分達自身が初めて切り拓かなければいけなかった、純粋に、最初から昭和天皇とは違いまして、平成の御代の今上天皇は、ご自分達は象徴天皇としてなられた方々です、また、象徴天皇としての良き御伴侶としての皇后陛下になられた方ですから、その在り方が何かということは法律にもなければ、典範にもありませんし、どこかで、ある決まった手続き、あるいは慣習的なものがあるわけではなかったですね。そこを追求されたというところに、天皇陛下あるいは皇后様の大変なご苦労と同時に、私達が今から拝見して本当につくづく偉大な方だったという念が、そこに関係してくるのだと思うんです。川島さんは先ほど、そこをおっしゃりたかったのだと思います」
川島氏
「もう1つ、気の毒な状況にある人達というのは、本当に見て、いてもたってもいられないという感じになられるんです。ですから、東日本の時もそうですけれど、案外皆が気づかなかったのは、リーマンショックの年の暮れが明けて、新年に『現下の経済困難において、国民の英知を結集し、人々の絆を大切にして、お互いを助け合うことによって、困難を乗り越えることを願っています』と、こう言われたわけですね。これは、言ってみれば、政治の最重要のステートメントで、政治に関わらないということとはどういうことかということなのですけれども、そのためには大型財政支出が必要ですとか言ってしまうと、政治のアレですけれども。だけども、現下の経済困難において国民の英知をという、まったく誰が聞いてもそれはそうだよねということについて、政治に関わらないという矩を超えない範囲でご自身の危機感というか、ご心配を表明されたというのも、これも1つの象徴としての新年のお言葉だし、実はこれはその年の夏にカナダを訪問した時に、カナダの総督が『あの新年のお言葉というのは素晴らしい』と全部そのままひいて、『実はカナダにとっても大変基本的な命題です』ということを言って、なるほどねえ、ということですね。ですから、1番ニュース的に、ビジブルというか、アレだったのは東日本の時のアレですけれども、それだけではなくて、本当に日々いろいろなことを心配され、国民の幸せを祈られるというのは、それが365日ということですから、それが象徴の定義づけが毎日毎日進んでいるという表現ができると思いますけれども」
反町キャスター
「天皇、皇后両陛下ご結婚満50年、2009年の時の陛下のお言葉を、ここに1部用意しました。『大日本帝国憲法下の天皇の在り方と日本国憲法下の天皇の在り方を比べれば、日本国憲法下の天皇の在り方の方が天皇の長い歴史で見た場合、伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います』。川島さん、この陛下のお言葉、我々どのように理解したらよろしいのですか?」
川島氏
「いや、まさにその通りなのだと思いますですね。それから、陛下は、先の戦争に至るプロセスで、父親の昭和天皇がいかに苦労されたかということ、それはまさに明治憲法のもとでの天皇の在り方と関連するわけですけれど。そういう明治維新以来、日本の近代化をもたらしたあの時代で、その意味で、意味のある制度だったとは思いますけれど、そういうその頃の明治天皇の在り方からスタートした日本の在り方も1つですけれども、あの戦争が終わって、象徴天皇制がスタートして、それ以前の長きにわたる天皇の歴史に戻ったということで、その歴史観というのはなかなか素晴らしいという気が。本当に天皇125代でいろいろな局面があったわけですけれど。そういう中で、ただ、国民のことを思うというのはずっと天皇制を貫く1つの基本だったと思いますし、その中で、権力の中枢になってしまうということではなく、まさに象徴として務めると、そちらの方が日本の長い歴史の中でも天皇が権力の中枢というのは、それ以前というのはあまりなかったわけですし、それは飛鳥時代とか、そこまで戻れば、いざ知らずで。だから、そういう歴史観から見ての感じを述べられたのだと思います」
反町キャスター
「それは明治維新以降の大日本帝国憲法下における天皇制というのは、その時代の要請のもとあった、この伝統的なという言葉も逆で言うのだったら、非伝統的とか、特殊なケースであったという、そういう歴史観をお持ちだと我々としては感じるのですが、そういう理解でよろしいのですか?」
川島氏
「長い天皇制の中では割にむしろ珍しい時期だったということは言えるのだろうと思いますし、当時としては、ヨーロッパにおいては、プローシャ、プロイセン、ドイツがカイザー・ヴィルヘルムのもとで、つまり、遅れてきた大国として国づくりをしている時期だし、あのモデルだよなと当時の明治の元勲の人達は思ったでしょう。明治時代がスタートした時点では本当に今あるような民主制というのがちゃんとある国というのはそんなになかったわけで、それで君主制の中でどのような姿か、それによってそれを中核として近代化をしようという選択としての明治憲法だと思いますし、それはそうだろうと思いますけれども。ただ、先ほどのまさにお言葉にあるように、しかし、長い伝統の中では、それまでの天皇制の方が現在の象徴の天皇制と、要するに、似ているという、非常に長い歴史を眺めての感じということは、なるほどねと思った次第です」
反町キャスター
「山内さん、いかがですか?」
山内名誉教授
「これはまさに後ほど、本当は議論することに関わるのですけれど、今回、有識者会議で、私が議論する時、常に念頭に置いていたのは、戦前の、帝国憲法下の天皇の在り方よりも、むしろこれも陛下がおっしゃっていましたけれども、象徴天皇というのは、それ以前の天皇の在り方、特に意識されたのは江戸時代の天皇なのだと思われるんですね。江戸時代における天皇というのは、簡単に申しますと、体制、政治、それの責任は幕府、将軍に委ねている、自らは権威というもので、その体制を委任する。これは古い言葉で『みおさし』と言うんですね。御恩の御という字を書いて、御礼の御を書いて、任命の任を書くと。これを『みおさし』と言うのですが、それは体制委任のことですよ。体制委任している、従って、日常の統治というのは、将軍に任せ、国民や、あるいは土地というもの、ひいてはそれは将軍が預かっているものだと。将軍はそれを大名に委ね、大名が土地、土地を支配するという、こういう構図で、言ってしまいますと、これは新憲法下において、国民主権下において主権者が選んだ国会議員、国会議員の中で議院内閣制では首相が選ばれてくる、この首相、すなわち政府と、それから、天皇との関係、天皇自身は憲法において政治的権能を有しない、そうした存在として象徴ということになっている、この象徴の在り方と、江戸時代の時期におけるある種の天皇の在り方というのが非常に比較がある面、可能なところがあるということですね。大事なことは江戸時代の天皇は誤解されている面があるのですけれど、何もしなかったとか、無力であったとか、そういうことではないです、最近の学説、研究では。むしろそうではなくて、幕藩体制、幕府や藩の全体的な政治体制下で、不可分の一部として、そういう体制をつくり、支え、担っている部分として考えるという見方が強い。ですから、新憲法の下においても、象徴天皇というのは国事行為という形を介して国民主権下における政治の在り方、統治の責任者として、直接的な責任者としての首相ですけれども、こうしたものとの関わりを、実に、ある意味では上手に規定されつつ、しかも、象徴としての在り方を常に公的行為によって、日々それによって確認されておられるということになって。江戸時代の天皇というのも、そういう意味で、非常に多くの努力をして天皇であるという地位をこれまでつないできたということなのですね」

『天皇退位』と皇室の未来
秋元キャスター
「山内さんは政府・有識者会議のメンバーでもありますが、最終報告書に至るまで苦労された点はどのあたりだったのでしょう?」
山内名誉教授
「まずは何よりも天皇陛下のご真意、お立場やご境遇、このことについて議論するというのは歴史的に例のないことです。これは大変緊張感と私達自身のモノの考え方が試されるという意味で、緊張と同時に身震いがする思いがしたということです、全体として」
反町キャスター
「特例法か恒久法かというのがテーマとして付きまとったと思うのですが、今、振り返るとどういう気持ちですか?」
山内名誉教授
「結局、今回、天皇陛下のお言葉によって、国民の世論、気持ちが大きく動いていて、その結果として政府が動くという、こういう手続きになったんですね。論理構成的に言えば。その時に陛下のご高齢化、あるいは全身全霊で公務を果たせないという、その在り方をどのように解決するかということを短期間で、できるだけスピードを持って解決していくのか。それともその問題を含め、もっとたくさんの問題点が実は付随してある。皇室制度全般に渡るようなことにいくような形で議論して、問題を解決していくのかと言いますと、前者はどうしてもスピード感ということを考えた時に特例法的感覚になります。後者は確かに皇室典範の本法本則の改正ということによって可能になるかもしれません。たとえば、女性宮家の問題といったことが含まれるのですが、そうした場合は、かなり議論が長期に渡る。この問題を広げていきますと本来の出発点である陛下のご真意の問題ということについてさらに付随して、あるいは関連して大きな問題が出てくると。このことを限られた短い時間でできるのかという、我々の比較衡量の問題だったんです。従って、何もそういうふうに予定されていたとか、そのような我々の希望があったと、そういうことは一切ないですね。そもそも国民的な心配事ということから出発をして、陛下がご公務を果たせないとおっしゃられている、それを代わってしていただくにはどうしたらいいのかと。この点を中心に議論しようということになって、その最適解が特例法につながったということです」
反町キャスター
「川島さん、この議論の進め方、どう感じますか?」
川島氏
「そのへんのやり取りになると、私は当事者ではなかったものですから、あまり確たることは申せないのですけれど、しかし、時間という観点からすれば、昨年のお言葉があって、いろんなことがスタートし、このタイミングでここまできたというのは、それはそれで良かったなという気がします」
反町キャスター
「特例法ということでやったことが、今後に向けての先例になるのだという説明もあります」
川島氏
「こういうことが立法でなされたということは当然のことながら将来いろいろなことを考えなければならない。当然前例になる話だし、将来、その時にどうするかということを今から全部決めるわけにはいかないよねということはわかるわけで、こういうことがあったと、そういう背景に、こういう考え方でこうなったということを皆がきちんと分かち合うということは、それはそれで意味があるプロセスだったと思います」
山内名誉教授
「退位ありきの議論ではなかったですね、今回の議論は。いろいろと議論していく中で退位も1つの選択肢だったかもしれませんが、さしあたって摂政という制度はどうなのか、臨時代行に関する法律、それはできないか。あるいは退位、譲位ですね、然るべし、といろいろある。これを議論していく中で1度、国会の方でも議論してもらうという中で、その中で退位という方向が出てきたと、こういう形式をとっているわけです。大事なことは、この法律の特例として天皇の退位について定める特例法、天皇陛下と政府側の案では今回、陛下をつけていたんです。そうすると、今上天皇に限ってというニュアンスが強くなる。しかし、両院議長の取りまとめに沿ってまとめると天皇の退位についてという、いわば一般法的な…。私達はそういうことを判断したり、申せる立場ではないのですが、そういうような形で今の国会では一致を見たわけです。これは政治の方に入っていくわけですから、それは今後考えるべきであるということ。2つ目はこれからの天皇の在り方や皇室の在り方というものを典範の本則改正によって私達が短時間で解決するという、そういうようなことに馴染まないです。大変大きな問題です。将来、日本という民主主義社会ではいろいろなことがあり得る。今のような典範の在り方では安定的な皇室の継承・維持というものがどうなるかということに対するある種の疑問や不安があることも事実です。しかし、そのことについては今の段階で、短時間で私達の仕事の中では果たせないことですね。我々の権限や委託されたことの範囲外のことだと考える、それこそ畏れ、私達も謙虚さというものを持たないと、今回のような仕事はできないのではないかという、これは一種の畏れですね。畏れというのは物事に対して謙虚でありたい、物事に対して慎重でありたいと。そういう中で、実際にはこのことが最後の私達の報告で触れていますように宮家の問題に触れている、しかし、その問題はこの機会を逸すると、せっかくこのように高まった機運がということもある程度、事実だと思います。ですから、私達の希望、あるいは含意としてはできるだけ早い時に別な新しい形でこういう問題を議論していくような、そういう場をつくってほしいというのが願いだということです」
秋元キャスター
「象徴の務めが安定的に続くためにこれから何を議論していくべきだと考えますか?」
川島氏
「時間をかければ、今度の作業だって答えが次々に出たのかというと、そういうものでもないのではないかという気がして。そこはどう熟してくるかだと思います。そういう中で、こういうことがここまできて、という意味合いで良かったということ以上…、だから、こうやって、ああやって、という気にもあまりならないのですけれども」

『慰霊の旅』の『胸の内』
反町キャスター
「サイパンとか、ペリリュー島に訪れた時の陛下のお気持ちとか、その時の…」
川島氏
「まさに陛下は戦争の記憶が風化していくのではないかということに対して強い危機感をお持ちであって、それを象徴としてお持ちになっている1つのお気持ちであるということと、本当に戦争による多くの犠牲者とその遺族のことが少しでも念頭から離れたことはありませんと言われていて、そういう中でのサイパンの慰霊の旅であり、また、パラオであり、そのあともフィリピンもそうでしたし、そういうことで、あの戦争ということへの想いというものは、これもまたこの御世の両陛下のお気持ちの非常に重要な部分だし。そこのところは公的行為と呼ぶかどうかの定義づけはどうでもいいのですけれども、非常に重要な柱だったということ。そういうお仕事にお仕えできたということは私としては非常にありがたいことだったという気がしています」
反町キャスター
「次の天皇にどうやって引き継がれていくのか?戦地を訪問することを次の陛下も行われるのかどうか、ここはどう見ていればいいのですか?」
川島氏
「それはまさに戦争、物心ついた時の最初の記憶は盧溝橋の日に、葉山に、昭和天皇とたまたまいらして、急遽、昭和天皇が東京に帰られたのが最初の記憶。戦争の記憶で始まっている陛下と、その次にというのは、人生におけるアレは異なるのでしょうから。 引き続き、同じことをやらなければならないという話ではないと思いますけれども、ただ、風化しないようにするとか、平和を願うというのは、それは継承されていくのではないかという気はお見受けしてて、していますけれども」

川島裕 前侍従長の提言 『国民の幸せを願うのが象徴の役割ということ分かって下さい』
川島氏
「国民の幸せを願うのが象徴の役割ということを分かって下さいと」

山内昌之 東京大学名誉教授の提言 『未来を見つめて』
山内名誉教授
「未来を見つめてということは天皇ご自身もそうですし、私達もそうですが、私が考えてきた問題は、過去という伝統を踏まえ、歴史を踏まえながらですが、現在のことについてどう考えていくかということについて考えたわけですが、国民もこれからは未来の天皇、皇室の在り方、それから、国民の未来がどう結びつくのかということについて、私達自身が前を向いてこれからは考えよう、こういうことです」