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2017年4月20日(木)
韓国大統領選のリスク 親北・親中の危険度は

ゲスト

岸信夫
外務副大臣 自由民主党衆議院議員
白眞勲
民進党参議院議員
木村幹
神戸大学大学院国際協力研究科教授

『緊迫』朝鮮半島情勢と韓国大統領選の『リスク』
秋元キャスター
「アメリカと北朝鮮の緊張が続く中、来月9 日に投開票が行われる韓国大統領選。次の韓国大統領は北朝鮮とどう向き合い、日韓関係にどんな影響をもたらすのか。専門家の皆さんと徹底議論します。韓国大統領選の展開にも大きな影響を与えそうな、アメリカと北朝鮮の動きをまとめました。今月7日、トランプ大統領と習近平国家主席が首脳会談を行っている、まさにその最中に、アメリカがシリアへのミサイル攻撃を行い、ティラーソン国務長官が北朝鮮への警告でもあると明言しました。核、ミサイル開発を進める北朝鮮の問題についてトランプ大統領は中国が有効な手を打たなければ、アメリカは単独で行動すると述べました。また14日、アメリカは過激派組織イスラム国掃討作戦で、これまで使用したことがない大型爆弾を使用し、トランプ大統領は北朝鮮へのメッセージでもあることを示唆しました。こうしてアメリカが圧力を高める中、北朝鮮は15日に、金日成主席生誕105周年を祝う式典・軍事パレードを実施して、新型の大陸間弾道ミサイルなどを誇示しました。16日には失敗に終わったものの、弾道ミサイル1発を発射し、今日、アメリカのスパイサー報道官が原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島沖に派遣していることを明らかにするなど、今なお睨み合いが続いているわけです。どう見ていますか?」
木村教授
「今回違うのは、これまでアメリカなり日本が、北朝鮮に圧力をかける時には、主に経済的な圧力をかけることで変えていこうと。今回は軍事の話を始めていますよね。注意しないといけないのは、軍事力そのものを本当に戦争の形で使うということと、軍事的圧力を加えるというのは、まったく違うことですけれども、今回、少なくとも明白に、軍事的圧力をかけて北朝鮮を変えようとするところまでアメリカがコミットしようとしている。ただ、どこまでいくかわからないので、ここから先、アメリカの本気度が問われるということになってくるわけですし、逆に言えば、軍事的圧力をチラつかせればひょっとするとあと戻りできなくなるかもしれない。私も韓国、北朝鮮関係を研究し始めて、30年近いですけれども、30年間の中で、すぐに戦争が起こるとは思いませんが、1番近づいたと言えば、この時期でしょうねというくらいの危機感はありますよね」
反町キャスター
「木村さんが言われた経済的な圧力ではなく、軍事的な圧力をかけようとしているように見えるという、そこの部分ですけれども。ペンス副大統領が日本に来た時に安倍総理との会談の中で『平和は力によってのみ初めて達成される』というこの発言、これは要するに、軍事力というものをツールとして見ているのか、ツールではなかったら、圧力をかける道具ではなかったら、本当に使っちゃうことになっちゃうのですけれども。このペンス副大統領の言葉の本気度、我々どういうふうに理解したらよろしいのですか?」
岸議員
「米国の抑止力というのは地域の安定のために欠くことのできないことだと思います。特に北朝鮮のようにミサイルを繰り返し、あるいは核実験、こういう国際秩序に反する行動、実際の行動に出ているわけですから、そういったところに対して経済的な圧力、これはそのボディーブローのように効いてくる部分はあるかもしれませんけれども、とにかく現在そういう活動をとにかく止めなければいけない、すぐにでも。そういう場合は、力、軍事力の誇示ということによる抑止力、これは有効なものであると思います。使うということではなくてね」
反町キャスター
「北朝鮮との会話の仕方が経済をやっていても会話ができないと思ったから、力でもって、力を見せることによる会話というか、ある意味、実際に対話しているわけではないので、コミュニケーションですよね。わからせようとする、こちらの意思を相手に伝えるために、経済的な圧力ではもうダメだと。力による圧力、軍事力の行使というものを見せないと相手に我々の気持を伝えられないというところにまでいっているという、この理解でよろしいのですか?」
岸議員
「もちろん、国と国で理解を深めるために対話は基本ですよね。ただ、なかなかそれが進まない。そうした中で我々があらゆる方策をとりながら、北朝鮮を国際秩序に合致する行動をさせようと、こういう努力をしているわけですね。これは経済だけとか、軍事力だけとか、そういうことではないと思います。対話の部分は気をつけないといけないのは、これまで我々は何度も過去において、北朝鮮との間で対話を試みてきて、何度も裏切られてきたという経験があるわけです。ですから、その部分は対話するにしても、そこは注意深くやっていかないといけないのだと思います」
反町キャスター
「白さん、いかがですか?アメリカの北朝鮮に対する話しかけ方、圧力のかけ方、明らかに変わってきていると見ていますか?」
白議員
「それはもちろん、この言葉というのは、トランプ氏とオバマ氏の違いだと思います。アメリカはこれまで直接対話をしていたわけですよ、北朝鮮といろいろな角度で。ところが、今回は一切そういったことはないわけですね。つまり、これまでのやり方は間違っていたと、結果的に騙されちゃったのではないかと。であるなら、そこは私達としては、彼らに目には目をではないけれど、我々も軍事的なオプションも加えながら、加えるぞということを言いながら実際問題、経済的な依存度の高い中国にそのあたりをちゃんとやらせていこうという部分による、ペンス副大統領の発言だと私は思いましたね」

北朝鮮とロシアの接近
反町キャスター
「北朝鮮を巡る情勢で、1つ気になるニュースが昨日、今日ずっと入ってきています。ロシアの日本海に面している非常に重要な拠点のウラジオストク、そこに、北朝鮮側の大きな港・羅津というのがあるのですけれども、来月ロシアのウラジオストクと北朝鮮の羅津の間で、現在のところの日本が経済制裁の一環として入港を拒否している万景峰号、その定期航路を開設するという情報が出てきています。要するに、万景峰号というのは貨客船で、人も貨物もたくさん運べる船ですけれども、日本への入港を拒否している中で、では、羅津とウラジオストクの間を月6回往復するという情報もあるのですが、それによってさまざまな最先端の技術やら、物資やらが、北朝鮮になかなか入りづらい中、ロシアからどういうものが入るのか。ロシアと北朝鮮の間でどういう交流が始まるのか、非常に気になるのですけれども、岸さん、ロシアと北朝鮮との間での万景峰号の行き来、どう見ていますか?」
岸議員
「ロシアと北朝鮮との関係、当然国境を接していますからこれまでもさまざまな交流というのがあるわけで、また、経済的な関係もこれまでもなかったわけではないわけですね。ただ、国と国との全体としての交流で考えますと2011年8月に金正日国防委員長、当時、が訪露して以来、金正恩体制になってからは首脳レベルの往来はまったく途切れているわけです。ただ、ロシアは安保理の常任理事国でもありますし、6者協議の当事者でもあります。経済的な影響力で言えば、中国よりもはるかに小さいわけですけれども、そうは言っても北朝鮮の問題に対しては、当事者としての意識を持っていただかなければいけないですし、その中で我々もロシアに対してのさまざまな働きかけ、こういうものもしていかなければいけない、連携もとっていかなければいけない、こう思っています」
反町キャスター
「白さん、どう見えますか、これは?」
白氏
「外務省はもっとしっかりと、報道ベースですけれど、キチッとすぐに確認の作業に入るべきだと私は思いますよね。と同時に、ミサイル発射、16日だったかな、ミサイル発射についてはロシアが棄権するというか、反対をする。ですから、そういう形で、非常にこのロシアの動きというのはある意味、こうやって国際社会が非常に圧力を加えることによって、核の放棄に向かわせようという時に、いったい何だろうかという部分は、しっかりと達は注視していかないといけないですね。その中で、岸さん、しっかりと外務省にどういうことなのだと、パイプを通じて聞くべきだなと思うんですね。同時に、北朝鮮はロシアに相当、労働者も出している。それは外貨獲得の手段にもなっているという部分もありますから、そういったことも含めて、せっかく安倍さんがロシアに行くのだから、そのあたりはしっかりとやっていかなければいけないと思います。それともう1つは万景峰号を動かす、要するに、普通の貨物船でも良かったわけだ。なぜ万景峰号を動かすのか。それは単なる貨物船の一種です、1つです、ワン・オブ・貨客船ではないですよ。それは日本との関係の船をそういったところに利用するというのは北朝鮮が何らかのメッセージを、最近立て続けに出していますから、その一環とも見てもいいのではないかなと私思います。1つは宋日昊氏が最近、拉致問題を言ったわけですし、それから、外交委員会というのを新たに北朝鮮がまたつくったということも含め、こういう国際社会のさまざまな圧力の中で北朝鮮も何か動きが出てきているというところをしっかりと私達はここ捉えていくっていうことも、重要ではないかなと思いますよね」
反町キャスター
「木村さん、北朝鮮から見た時に、万景峰号がウラジオストクに月6回行けるようになった。北にしてみたら、中国にこれまで依存していたものを今度はロシアに舵を切った、こういう見方でいいですか?」
木村教授
「それは経済的には無理だと思います。ロシアの現在の貿易、北朝鮮に対する貿易率というのはせいぜい5%ぐらいなので、80をはるかに超えてくる中国とはまったく比べものにならないので、これが北朝鮮経済に対して、たとえば、大きなプラスになるということはちょっと考えにくいですね。そういう意味で、あくまで政治的な行動であって、ロシアにとっては非常にお安い、しかも、1番皆が知っている船を出してくるという、非常によく考えられた戦略だと思うんです。ですから、北朝鮮にとってみればロシアもいるのだぞということを見せるということで、両方の間でゲームが成立しているというのが朝露の間の関係だと思うんです。ただ、もう1つ忘れていけないのは、トランプ政権になってからアメリカが軍事も使うようになったという話をしたわけですね。これは北朝鮮だけでなくて、シリアでも、他の地域でも同時に展開していることで、トランプ政権が積極的な政策に出ると、それによって北朝鮮だけ見ていると、日本側からすると歓迎かもしれないのだけれども、安倍政権がもってきた、たとえば、アメリカとの関係ももちつつ、ロシアとも良い関係にもっていくというような戦略というのはだんだん日本側にとっても難しくなってきているんですよね。そういう意味では、大きな視点で、また、そういうゲームの中に、要するに、米露のパワーゲームの中に巻き込まれつつあると。これは北朝鮮を巡る問題や、米中の問題とまた違う問題が北東アジアにまで波及してきているという意味では、ちょっと政権の工夫というのは問われるのでしょうね」
反町キャスター
「月6回、万景峰号を動かすということが北にとって、ロシアにとっても非常に安上がりな国際的なアピールのツールだとした場合、あまり経済的な、軍事的な効果がないものとして見た場合に、ほったらかして無視するという手もあるのか、これはけしからんと言って、総理がロシアに行った時に、モスクワに行った時、これは我々憂慮すべき問題であるとプーチン大統領に総理が言うべき案件なのか、どう感じますか?」
岸議員
「すごく難しいことかもしれません。当然ながら北朝鮮にしても、ロシアにしても現在おっしゃったような、いろいろな思惑があって、こうしたことを発表し、動かそうとしている。現実問題としては先ほどもお話があったように、中国との貿易量を考えれば、ロシアは僅かなものですから、この1隻の船がどんなにピストン輸送をしようとも大きな、本当の意味での経済効果があるかと言ったら、そこは限られているわけですね。彼らが、これに何をメッセージとして伝えようとしているかという部分だと思います。ですから、無視をするべきか、敢えて文句を言うべきか、というところはこれから考えていかないといけない部分でもあると思うんです。現実に首脳会談がロシアとの間では予定されているわけですね。その中で当然ながら北朝鮮問題、これは大きなイシューになってくる可能性もありますから、きっちり話をすべきだと。ロシアが北朝鮮との関係をどのように考えているか、そうしたことについてはロシアの意図をしっかり捉えていかなければいけないと思います」

韓国大統領選の『リスク』
秋元キャスター
「朝鮮半島情勢が緊迫する中、朴槿恵大統領の失職に伴って行われる、注目の韓国大統領選ですけれども、木村さん、今回、日韓関係という視点から見た場合、この大統領選というのはどう見たらいいのでしょうか?」
木村教授
「非常に単純ですけれど、とにかく現在韓国は大統領がいない、船長のいない船ですから、とりあえず安定した椅子に座ってもらうための選挙という感じですよね。誰がなるかというよりも、相手がいることがまず大事という。もっと言えば、相手側がどれほど安定した状態になってくれるかというのをまず見計る選挙だと思いますね」
秋元キャスター
「白さん、どう見ていますか?」
白議員
「本当に今回の大統領選挙というのは、過去に、私がいろいろ見てきた感じでも、非常に混迷の度合いが深いなと思っています。これだけ予想のできない状況、展開というのはなかなか我々もなかったのではないのかなと。逆に言うと、非常に支持率が皆、40%以上いかないですよね。これまでは結構そうでもなかった。ですから、誰がなっても大変なのではないかなみたいな。つまり、誰かがなったとしても5割以上はその人に投票していないという中で仕事していかなければいけないと」
木村教授
「問題は固定票がない、安定した支持基盤がないですよね。特に対抗者の1人に安哲秀さんという方がいるわけですが、彼に関しては、たとえば、初めから20%とか、30%とか、支持基盤があるわけではなくて、もう10%ぐらいから伸びたり、縮んだりしているという意味では、こんなに劇的に選挙の直前まで、票が何十パーセント単位で動くという、こんな不安定な選挙はないという意味では、過去になかった選挙なので」
秋元キャスター
「韓国国内の盛り上がりみたいなものというのはどうなのですか?」
白議員
「盛り上がりはそこそこあると思います。メディアもそれはもう大統領が代わると、自分の生活自身が変わっていくとうイメージがありますから、これまでは。実際そうだったわけで。ですから、そういった面での盛り上がりはあるのですけれども、ただ、朴槿恵さんを辞めさせる時のすさまじいデモに比べると、少しそのへんはデモ疲れみたいな部分も私は感じます」
岸議員
「今回は朴槿恵前大統領が弾劾されたあとの大統領選挙であって、もともと日程的に予定されていたわけではないですね。それが繰り上がった形で行われるということで、そういう意味では、各政党、あるいは候補者も選挙に向けて十分な戦略を立てて、それを組み立てながら臨んだというところまで、余裕がなかったところがおそらくあるのだと思いますね。私も韓国大統領選、細かいところまではよくわかりませんが、ああいう熱狂的な弾劾の時の熱というのが、あまり現在の大統領選を傍で見ている限りはアレ?という感じもしないではない。ただ、その中でいずれにしてもどなたかが大統領に選ばれるわけですから、そういう意味では、きちんと関心を払って見ていかなければいけないと思っています」

候補者の『人物像』
秋元キャスター
「文在寅氏と安哲秀氏が一騎打ちとなっている背景をどう見ていますか?」
木村教授
「文在寅さんというのは盧武鉉政権時からの大物であって、さらに盧武鉉さんの派閥の、旧盧武鉉派の主流中の主流なわけですね。だからこそ当初から30%以上の支持率を受けて独走していたわけですね。韓国の人達からすると盧武鉉政権の記憶もあるし、前回の選挙でも朴槿恵さんとギリギリまで競った候補者ですから、知っているわけです。伸びしろはないかもしれないけれど、圧倒的なファンもいると。それに対して安哲秀さんはもともとの支持率が高くなかった、前回の選挙の時、下馬評で候補者に上がった時にはブームがあったのですけれども、今回は明らかに安哲秀ブームはないですね。彼の基盤になってくる政党というのは非常に小さな政党で、国会の過半数から程遠い政党ですね」
反町キャスター
「安哲秀さんの国民党は、300議席のうち39議席、こんな脆弱な基盤で大統領選挙を戦っているのですか?」
木村教授
「そういうことになりますね。彼単体の支持、前回彼を党首に掲げて国会議員選挙をやりましたけれども、その結果、得られた議席はこのぐらいであると。ある程度、得票はあったのですけれども、基盤はこれぐらいであると。にもかかわらず、大躍進しているのは、理由は簡単です。文在寅さんの存在感があるので、文在寅さんに反対する人もいるわけですよね。要するに、盧武鉉のイメージがありますから、イメージしやすいわけです。盧武鉉政権時の側近中の側近。彼の経歴の特徴は弁護士事務所を盧武鉉さんと共同経営していたわけですね。ある意味では、盧武鉉さんの側近と言うよりはパートナー的な存在です、文在寅さんというのは。そういう意味でイメージしやすいわけです。ああいう政権になるのだと。それが嫌だという人は文在寅さんを支持しないと。文在寅さんを当選させない、そのためにはどうすればいいのか。政党で自由韓国党という、かつての与党、旧セヌリ党ですけれども、保守ですね、があるわけですが、本来は第2政党ですけれども、ほぼチャンスがない。理由は朴槿恵さんを支持した政党ですから。彼らの大統領候補者がいるのですけれども、伸びしろがない。10%以下のところで低迷していると。そうすると、保守の人達は自分達の政党の候補者に投票しても死に票になるだけですから、文在寅さんを落とすために…。さらに言えば、共に民主党という政党の中には反文在寅派がいるわけですよね。そこの人々も安哲秀さんのところに集まってくると。そういう意味では、保守から、ある意味では、進歩派の一部までの同床異夢、大連合軍というような…」
反町キャスター
「文在寅さんと安哲秀さんの政策はバチッと白黒分かれるものなのですか?」
木村教授
「分かれないですね。もともと進歩派同士なわけですから。文在寅さんの方が古い進歩派、イメージとして。安哲秀さんは新しい進歩派というイメージがあるわけですけれども。政策の違いは細かいところはたくさんあるのですが、はっきりと見えてこない」
反町キャスター
「争点は何ですか?この2人の戦いだと」
木村教授
「文在寅か、非文在寅ではないか」
反町キャスター
「それは単に好きか、嫌いかの話ではないですか?」
白議員
「結局、文在寅氏が(大統領に)なったら嫌だよね。だけど、ここで言うと自由韓国党の候補者とか、新しい政党の候補者に投票をしても結果的にそれは文在寅さんを勝たせてしまうことになるのではないかということになると、非文在寅で安哲秀さんということになっているわけです」
反町キャスター
「今回の大統領選の争点は何ですか?」
白議員
「今回ぐらい争点っぽい争点がないですよね。文在寅さんでは嫌だよねという。それは太陽政策という北朝鮮に対する政策…」
反町キャスター
「突き詰めていくと北朝鮮に近づく人は危ないから嫌だねという、それが政策論争にはならない?」
白議員
「それは政策ですよ、結局。北朝鮮に対する政策の1番大きい部分は、金大中、盧武鉉政権の時の太陽政策は失敗だったのではないかと。その時に金剛山観光とか、開城工業団地をつくったりして、結局、お金がいってしまったのが、現在それが核開発、ミサイルで戻ってきているのではないかと思っている人達が、嫌だよね文在寅さんは、という中で安哲秀さんの方に流れてきていると。本来は、朴槿恵さんとその人達が役割を果たすべきなのだけれども、朴槿恵さんはずっこけてしまったわけですよ。ですから、そういう中でなかなかそこまではいかないけれども、安哲秀さんでいくしかないのかねというところだと私は思っています」
反町キャスター
「憂慮すべき点はあるのですか?」
岸議員
「どちらの候補も大統領になったあとでどういう政権になっていくか、その方が大切なのだと思います。選挙戦までアンチだけできた方が、そのあと実際に政権をとって、政策の実行力として求心力を含め、保つことができるかどうかいうところが試されるわけですね。安哲秀さんがもし勝ったとしたら、そういうことになるのだと思います。日本にとってどちらが…、これはなかなか難しいところがあると思いますし、一概に申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、どちらも一般的に反日的と言われていますけれども、それは歴史問題についてはそうなのかもしれませんが、特に日韓合意の見直しということをおっしゃっていますから、そこはあるかもしれませんけれども、では、日韓関係はどうなのだろう。歴史問題だけではないですね。日本にとって韓国というのはどういう存在かと言うと、政府としては戦略的利益を共有する最も重要な隣国である、こういう位置づけなわけですよね。その中にもちろん、経済の交流もあるし、安全保障ですよね、これは北朝鮮問題、中国、そうしたこともある、文化交流の流れもある。近い国ですから人の流れもある。そうした中、全体で考えていかなければいけない話だと思います。はっきりした政策という意味ではまだ出てきてないだろうと思っています」

『対北朝鮮』政策の行方
秋元キャスター
「両候補の北朝鮮政策をどう見ていますか?」
木村教授
「最初に押えておきたいのは共通性ですよね。現在の北朝鮮の情勢を見れば、日本から見れば対話という言葉はなかなか入りにくいと考えるわけですけれど、保守派の支持を期待している安哲秀さんの中にも対話という言葉が入ってくるというのが、現在の韓国の進歩派、安哲秀さんも進歩派で、北朝鮮に徹底的な強硬姿勢ではない。保守派の政権にはならないということを北朝鮮問題では示している。もう1つの問題、文在寅さん、たまたま彼の政策ブレーンと何回かお話する機会がありました。その時に対日外交、THAAD問題が大きいですから、ミサイル関係の問題、北朝鮮の問題と、どれを優先するののだと、いっぺんに3つはできませんから、どれを優先していくのかという質問を投げてみたんですね。そうすると、対米や対中、対日は難しいと。彼らの言葉をそのまま使えば、国民と議論して決めないといけないという言い方をするんですね。見方を変えれば、国民を説得するということなのかもしれないので、政権を獲ったあと、政権がこういう事情があるからということで、国民と対話をするということになってくると悪い話ではないかもしれない。だけど、進歩派としてという言い方をしていましたけれど、民族の問題が重要だという言い方をするわけです。ここが非常に重要なポイントで、韓国で左派とか、進歩派と言うとマルクス主義だとかがありますけれども、韓国の左派は同時に強い民族主義を持っているわけです。たとえば、保守派というのは、北朝鮮の問題や様々な外交の問題を解決するためにはアメリカの力が必要だと。朴槿恵さんであれば、それがさらに変わって、中国の力も必要だという形になるわけですから、ある意味で、韓国ひとりで全部解決しようとしているわけではないですね。それに対して進歩派の人達が北朝鮮に関して一貫して出てくるのは、これは民族の問題だから基本的に民族の間で決めるのだと。要するに、韓国の影響力があって然るべきで、韓国がリードすべきだということを、進歩派の人達が必ず言うことになっています。たとえば、北朝鮮問題が、北朝鮮と米中の間で決められるということは絶対にあってはならないというのが、進歩派の人の、1つの大きな主張。そうすると、何ができるかはともかくとして、開城工団というのがあって、長らく南北の公益のほとんど全てであったわけですよね。朴槿恵政権が閉めました。閉めた結果として現在、南北の貿易カードがほぼゼロになっているんですね。韓国の経済的影響力が北朝鮮に対してゼロになっていることで、韓国はカードがなくなっているわけです。彼らが考えていくのはとにかく自分達がゲームを主導できなくても、影響力があるぐらいのところまでにはいきたい。これは進歩派の人達の、特に文在寅さんの周辺にいる進歩派の人達には、かなりアメリカのことを知っている人でも、日本を知っている人でも、譲れない一線の1つですね」

日韓合意と慰安婦問題
秋元キャスター
「歴史問題をどう見ますか?」
白議員
「これは、たとえば、安哲秀さん(の支持率)が急に上がったグラフがあった、その中で私も向こうの記者に聞いた時に面白いことを言う。日韓関係に対して文在寅さんが厳しいことを言っている裏返しに安哲秀さんの方に、つまり、サイレントマジョリティの人達が、日韓関係はもっと良くなるべきではないかという人達が安哲秀さんに流れたのだということを言っている人がいるんですよ。確かに、日韓議員連盟で私も慰安婦問題を担当しているんです、社会文化委員長の立場で。向こうから今年に入って、2度も、3度も行ったり来たりしています。そういう中で韓国側の議員が話すことというのはマスコミに載っているような話し方では全然ない。つまり、ドアを閉めたところで話をしていると、非常に日韓関係のバランスの話をもっとしてくれるんですね。私達も話す前は緊張感を持って話そうとしていたのですけれども、非常にリラックスした雰囲気で、でしょ、でしょ、という感じになっているんです。ですから、大統領選挙だから極端なことを言っていても、現実政治という大統領になったあとの現実的な政治で日韓関係をどうするべきかという、そのトータルな、総合的な政策判断をしていくと落ち着くところに落ち着いていくのではないのだろうか。もう1つは中国と韓国との関係が今微妙です。中国から相当意地悪されています。それは観光客が来ないことによって韓国のお土産屋さんなんかが酷い目に遭っている。そういったことも含めて、やっぱり日本とうまくやらなければいけないよねというのがある。ですから、3月になって30%多く韓国から日本に旅行者が来ているんですね。昨年1年間で500万人も来ているんです。4000万人の人口で500万人も来ているんです。ただ、反日感情がすごく強い国なのだという一元的な見方では、韓国はないよねと言えると思います」
岸議員
「現在、大統領選挙を戦っている中で、マスメディアの前で発言をするわけですから、そういう意味からしても日本に対して甘いようなことを言いたくないと、そういうことに対して厳しいメディアがたくさんあるわけですから、そう考えるのは当然だろうと思います。私も、韓国の国会議員とか、様々な方とお会いしても、1対1でお会いしますとわかり合えるんですよね。ですから、そこは非常に考えていかないといけないのだと思います。その中で2年前の日韓合意については日本と韓国との合意ではありますけれども、国際約束でもありますし、他の国も周知の中で決めたことですね。ですから、いろいろな国で慰安婦像を建てるとか、そういう動きが起こっている時もきちんと日本からこういう日韓合意があるんですよと、そのこと自体、たとえば、像を建てること自体が、その地域の韓国コミュニティと日本コミュニティの分断になるんですよというような話をしますとわかってもらえる。そういうようなことにつながっているわけですよね。日韓合意自体を政権が変わって一方的に変えられるかというと、そういうことではないと思います。ですから、国際社会の中での日韓合意という位置づけで我々はそういう形で考えていかなければいけないと思います」
反町キャスター
「韓国が再交渉とか、見直しを要求してきた時に、日本はそれを受けるのですか?」
岸議員
「基本的には、日本は応じる余地がないわけですね。日韓合意で示されたそれぞれの国の義務を日本はもう果たしています。国内でもいろいろな批判もあったけれども、あれは日本と韓国との間の合意であって義務を履行してきた。現在やらなければいけないのは韓国側ですよね。この問題で日韓関係がこじれる、全体に影響して、このことを誰も望んでいないわけですね。たとえば、アメリカも望んでいない。そうした中で韓国がこのことだけに矮小化するようなことはないと信じたいわけですけれども、その中で理解を得ていくということだと思いますね」

岸信夫 外務副大臣の提言 『未来志向の日韓関係』
岸議員
「大統領選自体をどう見るかというよりも、新しい大統領とどのように日本が付き合っていくかが1番の課題だと思いますし、そういう観点から今回の大統領選を見ていきたいと思っています。未来志向、よく言われる言葉ですけれども、なかなか実際は難しいことですよね。これまでもどうしても日韓の間では歴史問題に戻ってしまって、引っかかってしまう、この繰り返しだと思いますけれど。その意味でも2年前の日韓合意というものは変えられないものとして、そのうえに立って両国の未来を共に考えていくということが必要なのだと思います。隣の国で地理的には切っても切れない関係でありますし、経済もこれまで長い歴史があります。そうした中で、また、対北朝鮮という意味では安全保障の面でも緊密に連携をとっていかなければならない関係にあるわけですから、そうした中で地域の繁栄と安定というものに対してどのような政策をやっていくか。そういう観点から、新しい大統領と日韓関係を進めていきたい、こういうことであります」

白眞勲 民進党参議院議員の提言 『北風の強弱』
白議員
「韓国の大統領選挙では必ず北風という言葉が出てくる。北朝鮮からどういう影響があるのか、これは毎回毎回あります。今回も結果的に安哲秀さんという文在寅さんと違う候補者の動きというのは、北が影響を及ぼしているのではないか。5月9日の大統領選挙はまさに北風の強弱によって変わってくるような気がしています」

木村幹 神戸大学大学院国際協力研究科教授の提言 『政権の安定性』
木村教授
「どうしても日本では韓国の大統領選挙というのは、保守か、進歩派か、左か、右か、という形で見られがちなのですが、今回は進歩派同士の対決ですし、政策論争にはあまりなっていないわけです。そうすると1番のポイントは、そもそも混乱を続けてきた昨年からの韓国ですので、どの程度まで安定して、特に外交でも日本の、安倍政権の交渉の相手たる安定した韓国政府ができるかどうかということこそが焦点なのだと思います」