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2017年4月17日(月)
検証『介護保険法案』 税か保険か20兆円財源

ゲスト

田村憲久
自由民主党政務調査会長代理 前厚生労働大臣
宮本太郎
中央大学教授
西沢和彦
日本総合研究所調査部主席研究員

『介護保険』改正の背景 介護現場が抱える課題
秋元キャスター
「政府が今国会に提出しました介護保険関連法改正案が、明日、衆議院本会議で採決される見通しです。自治体の権限強化や現役世代並みの所得がある利用者の自己負担割合を2割から3割に引き上げることなどが盛り込まれていますが、なぜ改正が必要なのか。法案の中身とその狙いについて検証していきます。改正案の中身、具体的に聞く前に、介護保険制度の現状について見ておきたいと思います。介護が必要になった時にサービスを受けることができる介護保険制度、認定には大きく2つに分けられているんですね。介護の必要はないけれども、買い物や掃除など生活の一部に支援が必要な状態であるというのが要支援です。日常生活を1人で送ることが困難で、食事や入浴、排せつ等の介護を必要とするのが要介護です。要支援については2段階、要介護については5段階で、どの程度の支援や介護が必要かというのが判定されます。特別養護老人ホームに入所できるのは要介護3以上となりまして、それ以下の場合は基本的には在宅のサービスを受けることができます。費用負担については、利用者の自己負担が原則1割で、残りを国や自治体の公費、40歳以上の人が支払う保険料によって賄われていまして、2016年度の介護費は全体で10.4兆円でした。まず田村さん、今国会で介護保険関連法の改正について議論されていますけれども、今なぜ改正が必要なのでしょうか?」
田村議員
「1つは結構、状況が自治体でばらつきがあるんですね。たとえば、要介護認定率というものが、全国平均、現在18ぐらいですけれども、低い自治体では9.3ぐらいですね。高いところは20を大きく越えていくと、つまり、その地域の取り組みでちゃんと重症化予防だとか、介護予防ができているところとできていないところがあるんです。今回は、それぞれを見える化しまして、たとえば、人口だとか、面積だとか、あと高齢化率とか、独居のお年寄りの世帯がどれくらいあるかとか、そういうものをずっとこう数値化して、見える化しまして、その中においてそれぞれのサービスがどのような量でどのような種類のものが出ているのかというのを比較しながら、各自治体が自分のところで介護事業計画をつくっていけるというような、そういう形にしながら、それによって成果が出たところには財政的な支援、インセンティブをしっかりとつけていこうというのが大きな柱であります」
秋元キャスター
「宮本さん、現状どういう問題があるというふうに考えますか?」
宮本教授
「皆さん、これから財政が厳しくなってくるというのは十分承知をしていると思うんですね。現在、社会保障給付の総額というのは110兆円くらいですけれども、これが2025年には150兆円に近づくわけですよね。まず年金はある程度キャップがしかれているので、そう膨らまないのですが、介護と医療、医療が1.5~1.6倍で、介護は現在から7年間くらいの間に、10兆円増えるということになっているわけで、これ大変なことです。で、おそらく皆、それは承知のうえなので、皆さんキチッと負担する覚悟はあるのでないかなと思うのですが、要は、納得感ですよね。これはやむを得ないなという、そういう説明がキチッとなされていくのかどうなのかということです。現在、皆、ご存知の通りなのは、社会保障がやや高齢者に偏っていたので、支える側をキチッとサポートするような、保育だとか、それから、職業訓練だとか、教育というところに、ちゃんとお金をまわしていこうという納得感もあるでしょうし、また、負担をする側も、これからの10年間くらいを見通して、負担してもそれに見合う給付ですよね、これがキチッと保証されるのかなと見ているわけですけれど、先ほど、田村さんもおっしゃったように、これから自治体単位で。きちっと要介護度を下げてくような支援をちゃんとやっていきましょうとなっていて、自治体によってはすごく一生懸命やっているところがあるんです。埼玉県の和光市というところは、介護保険から卒業するというところを目標にして…」
反町キャスター
「介護保険から卒業と言うと、要支援に戻るという意味ですか?」
宮本教授
「そういうことです。つまり、たとえば、お風呂に入るのも皆でなんやかんやただ手厚くすると、廃用症候群なんて言葉があって、廃用症候群と言って、だんだん体が弱ってきちゃう。つまり、老化というのは病気ではありませんから持っている力をいかに引き出すかというのが大事になってくるわけですよね。そのためにキチッと丁寧な支援をしていくと皆、元気にしていくことができるわけですよ」
秋元キャスター
「西沢さん、いかがですか?現状の問題点」
西沢氏
「日本の介護は、高齢者介護ですけれども、本来は高齢であるか、障害であるか、介護という機能が必要であれば、介護サービス一緒なので、本来であれば、そういう介護発生要因に関わらず、サービス提供していこうという趣旨が今回入っているんですね。もう1つは、介護と言いましても、体を拭いてあげたり、食事をやってあげたり、健康に関する介護と、あとは外出に付きあってあげたり、一緒に話をしてあげたり、社会的介護と両方あるんですね。ですから、それらをトータルで提供しよう、あるいは身体的な介護が必要になる以前に、予防的に話し相手になってあげたり、一緒に買い物してあげるだけで、結構、体の運動にもなりますし、予防になる。それをトータルで提供して、より低コストにしていこうという趣旨の中で、今回のものがつくられている」
反町キャスター
「現状の介護保険制度においては、身体的介護と社会的介護のバランスというのは、僕は何が適当なバランスなのかわかりません。いわゆる介護保険制度、デイケアやらデイサービスやらなんやらかんやらトータルで含めて見た時に、そのバランスというのはどうだと感じますか?」
西沢氏
「たぶん現在10兆円まで膨らんできて、それが税金、赤字国債、保険料で賄っている中においては社会的介護も介護保険の中に入っているんですね。それが極力、市町村とか、地域にある資源を使いながら、たとえば、空スペースがあれば、そこに皆集まってお話をし、健康に関する情報をやりとりすればいいので、極力資源を使いましょうということを考えれば、介護保険という、税と赤字国債と保険料で賄っていたものの中で、全部賄うのはちょっと行き過ぎではないかなと。介護保険は国の保険、国が制度設計して、国が地方自治体にがんばってくださいよと言っているわけですね。本当は、地方自治は住民から持ち上がってくるもののはずですよね。本当は、地方自治体は国に言われるのではなくて、自らこう良い例がありますと、それを住民に説明して、住民から保険料をとる、住民税をもらうというのが本来の自治の姿であって、本当は、介護保険は民主主義を活かす保険としてできたんですね、2000年に。ですから、そこがたぶんあまりしっかり根づききってないところが問題と言えば、問題だと思うんですよね」

『自己負担増』の真意は?
秋元キャスター
「今国会で議論されています介護保険関連法改正案ですけれど、具体的にどこがどう変わるのかというのをここから見ていきたいと思います。まず、1つ目の柱となっていますのが、財源確保についてですね。ポイントは2つあります。まず1つ目は、一部の利用者の自己負担割合が2割から3割に引き上げられます。どのような人が対象かと言いますと年金を含む、年収が単身で340万円以上、夫婦で463万円以上の収入がある世帯で、およそ12万人、全体の3%程度が対象になるということです。もう1つが40歳から64歳が支払う介護保険料についてですけれども、これまでは各医療保険者が加入者の数に応じて算定していたものを、賃金総額で算定する総報酬割に変更します。これによって、負担が増える人というのが、およそ1300万人、負担が減る人がおよそ1700万人となっているんですね」
反町キャスター
「自己負担2割から3割に関して、西沢さん聞きますけれども、この線引きの数字については、我々はどう見たらいいですか?340万円とか、463万円という…」
西沢氏
「これも1つ疑問なのは、よく社会保険は130万円の壁があって、年収が130万円を超えるとガクンと可処分所得が減る、これも似たところがあって340万円とか、463万円を超えると急に負担割合が変わってしまうので、本当は徐々に2割、2割1分となっていいはずですけれども、ガクンと増えるのが社会保険で、結構こういうの多いですよね。そこはどうかなという感じはあります」
反町キャスター
「宮本さん、この2割から3割についてはどう感じますか?」
宮本教授
「まず全体として言うなら、田村さんが厚労大臣やられた時に、社会保障制度改革国民会議、私も西沢さんも委員をさせていただいたのですけれども、そこで社会保障を少し変えていこうという議論があって、年齢別の負担から、負担能力別の負担に。余裕がある人が、世代の中でも少し分担し合おうよという形になってきたので、そういう意味では、この3割負担、340万円という基準自体についてはいろいろあるのですけれども、こういう流れそのものはやむを得ないのかと。ただ、340万円、先ほど、西沢さんおっしゃったように、厚労省の説明はだいたい12万人くらいの人がこれだけ負担していただくことになるということですけれども、別に法律に書いてあるわけではないですから、これがどうなるかがわからないのが1つと、もう1つ、高齢者の余裕をどうやって見るのかというところがありますね。高齢者というのはアセットリッチ、キャッシュプア、つまり、資産はリッチだけれど、所得はプアだということが一般的に言われていて、それで340万円の年金所得とその他所得というのが、本当に余裕がある人達かと言うと、これはよくわからないわけです。つまり、60歳以上の高齢者の就労率は現在30%ぐらいになってきている。皆生活が苦しいから働き続ける、働き始める、それが年金に加え、このくらいの所得を得ている人達はいるわけですよね。ところが、がんばったのにバーンとその3割(負担)が来ちゃうというのは、生涯現役社会などと言われて、一生懸命やっているのだけれども、ちょっと理屈に合わないなと思う人達が出てくる可能性はありますよね」
田村議員
「2割、3割の話ですけれども、働いている方はたぶん要介護で重くなっちゃうと働けなくなっちゃうので、収入がなくなりますから、年金収入だけになっちゃうので、外れていくのだと思いますが。2割に上げたのが、私が大臣の時に決めたんですね。年収が280万円、年金が中心で。この時に厚生年金だけで年金が個人で280万円、年間もらっている人はどんな人だろうと調べるとサラリーマンで平均所得が七百数十万の方。平均ですから、入ってから辞めるまで七百数十万円は結構、かなりのクラスで、上は重役クラスになっちゃって、かなりの年収もらった方なので蓄えもあるだろうと、そういう方はという話で、これを導入したんです。今回はさらにその上の340万円、だから、3%、だいたい12万人ぐらいの方ですね。ですから、そういう意味からすると、さらに蓄えのある可能性もあるし、収入も多い方でありますから、一定のお願いをと言いますのは、なぜかと言うと、これは負担能力に応じた負担ということを、お二方、先生方はおっしゃられました。先生方から私がご意見いただいてから、法律を、プログラム法をつくって、そのあとこの法律を成立させたわけですから。それともちろん、高齢者自体も負担能力に応じた負担なのですが、一方、先ほど、言われました総報酬割の制度。現役の方々も負担能力に応じた負担というものをお願いせざるを得ないだろうと、高齢者だけではないということで、そう考えると、給料の多いグループの方々にそれなりにご負担いただくのは、これは保険者の方々には大変申し訳ないのですけれど、ただし、同じ、たとえば、健保組合などでも非常に財政状況の悪いと言いますか、所得の低い方々が多い、そういう健保組合もあるんですね、健康保険組合も。そういうところの方々は逆に負担が下がるわけですので、そういう意味からすると、こういうものを入れさせていただくというのは、いろんなご意見がありますけれど、なんとかお願いをしたいということで、今回入れさせていただいたわけです」
反町キャスター
「今回、2割から3割に負担が増える、全体の3%という話ですけれども、これによってどのくらいの財源が新たに確保されるとか、何か出ているのですか?」
田村議員
「20億円から30億円ですね」
反町キャスター
「そんなものですか?100億円の単位にならない?でも、これをやることを考えて、番組で取り上げるかどうかは別にしても、社会的なコストを考えたら、やったやったって言う割に20億円から30億円というのだったら、政治のコストを考えたらどうなのですか?」
田村議員
「しかし、負担能力に応じた負担という1つの哲学から言うと、若い方々にも高齢者にも、というのがあって、初めて皆が理解と言いますか、納得していただけるお話なので、今回は現役世代にも、高齢者にも、そういうものをまた導入させていただいたというのが根底にはあるとご理解いただければ、ありがたい」

自己負担最大3割へ… 『介護保険』改正の狙いと実情
反町キャスター
「総報酬割というものについて、これをどう評価されるのか?西沢さん、どう感じていますか?」
西沢氏
「これは国の社会保障関係費の1500億円を抑制するために40歳から64歳の介護保険料に、特に大企業の介護保険料に付け替えていると、私は見ていますね」
反町キャスター
「そのメカニズムがよくわからないのですけれども、総報酬割と言うと、普通、収入とか、所得に応じて負担、介護保険料が上がったり、下がったり皆、たとえばこれまでだったら地域にいる人達は自治体ごとに決めていて、皆5000円とかになっていたのが、たとえば、1000万円の所得がある人は8000円だけれども、200万円の人は3000円になるとか、そのようなイメージでよろしいのですか?」
西沢氏
「いや、現在は大企業に勤めている人も、中小企業に勤めている人も、人数に応じて介護納付金というのを払っているんですね、企業として、保険者が。そうすると、大企業で、たとえば、年収1000万円の人も、たとえば、5万円だったり、中小企業で、たとえば300万円の人も5万円だったり、そうすると、1000万円分の5万円、300万円分の5万円ですから、率としたらこちらが高いですねと。そうではなく、今度定率にしましょうと。すると、たとえば、定率3%にすれば、300万円だったら9万円、1000万円だったら30万円になりますので、率とすれば額がこちらが大きくなるので、その方が公平だろうと。これがたぶん公平だと思うんですね」
反町キャスター
「僕はこれまで総報酬割というコンセプトだけを聞くと公平かなと思うのだけれども、西沢さんの視点はそこではないですよね?」
西沢氏
「これはネーミングがおかしくて、総報酬割&国庫負担の削減ですね、協会健保に対する。中小企業に対する現在出ている国庫負担を、協会健保の保険料がその分下がるのだったら、公費を入れているのだから、返してくださいと、国に。セットになっているので。ですから、総報酬割だけで終われば、めでたしめでたしですけれど、その裏で国庫負担を国に返してもらっているので結局、と言うのは、どういうことかと言うと、大企業の保険料に国庫負担を付け替えているという、お金の操作ですね」
反町キャスター
「たとえば、総報酬割+国庫負担軽減という西沢流のネーミングでやった時には、保険料全体の全体というか、変わらないのですか?」
西沢氏
「だから、保険料と税の負担を、トータルでは国民負担では変わらないですね。ただ、一般会計が少しきれいになる。一般会計がきれいになることによって、赤字国債が減るのであれば将来の負担が減りますから、初めから正直に言ってくれれば、わからないでもない」
反町キャスター
「なるほど。持続可能性のための総報酬割(国庫負担軽減策)であって、別に現行の制度におけるサービスの向上であるとか、そういうのではない、こういう趣旨で言っている?」
西沢氏
「公平性というふうに、総報酬割というネーミングは半面しか語っていないネーミングで、本当はその背景には公費負担を減らすと。後期高齢者医療制度で行われてきたことであって、最近こういうのが増えているんですね。そういう公費負担を引き上げて、それを保険料にもっていくという、ですから、それは財政…」
反町キャスター
「税金の代わりにそちらで持ってこようという、そういう技術論はよくありますよね」
西沢氏
「そう、保険料の方が抵抗も少ないし、税と言うと、政治的コストが高いので。保険料という名前にしておけば、なんとなく負担と受益がリンクしているかのような幻想がありますから、この幻想をうまく利用して、政治的コストを下げながら費用調達して、税制健全化に結びつけていこうという、良く言えば知恵、悪く言えば幻想の利用だと私は思うんです」
田村議員
「制度論としてそうなっちゃうんですね。無理やり削減したわけでもなくて、当然負担が減るわけですから、国が一定率出している国庫補助金が削減されて、結果的に今年度440億円かな、全体、満額でいくと千数百億円くらい、国の負担が減るということなので、言われてみればその通りと思います。一方、負担能力に応じた負担という部分もこの中には入っていますし、そのお金を、たとえば、公共事業に使っているわけではなく、6400億円かな、5000億円、自然増を抑えるという中において、そういうものを、伸びを抑えるために使わせていただいていると。それ自体がたぶん社会保障の持続性みたいな話をもってくれば、皆さんが恩恵は受けているのだと思いますので、それを善しとするのか、悪しきとするかという根本的な問題と言いますか、どちらかと言うと、感覚的な問題ですかね。悪い方向の話ではないと思うんですよ。ただ、もうちょっと説明をした方がいいのではないかというのがたぶん西沢先生のお話だと思うのですけれども」
西沢氏
「ですので、たとえば、財政健全化をしなくてはいけない、抑えていかなくてはいけない、その通りですよね。その時に6500億円を5000億円に抑制する時に…」
反町キャスター
「それは財務省からの指示でということですよね?」
西沢氏
「財務省の指示か、まあ…」
反町キャスター
「政府内における合意事項でも結構です」
西沢氏
「私の感じとしては、それを保険料の引き上げで行うのか、あるいは消費税でもいいのか。税でやった方が。保険料は結局、現役の賃金課税ですよね、言い換えると。現役の賃金に課税している、あるいは事業者負担もある。現在、雇用情勢は比較的良いですが、賃金に税、保険料をかけるというのは、雇用に抑制的に働きかねないですから、であればもっと広い世代で負担する消費税の方がいいのかもしれない」
田村議員
「これはちょっと言葉をお返しさせていただくと、消費税を10%に上げてても、これはやらざるを得ない。つまり、プライマリーバランスを均衡化させるためには、2020年に。これはもうマストのプロセスです。ですから、消費税が上がる、上がらないは関係なし。ただし、2019年の10月には上げていないと、これをやったとしてもプライマリーバランスは均衡しない。ですから、これをやらなければならない、消費税も上げなければならないというのが、私の答えですけれども」
西沢氏
「そういう議論です。結局、今回テーマは介護保険だけ取り出していますけれど、本当にやりたいのは、現役のサービスも含めた社会保障のあり方、税と保険料を同じテーブルに乗せて、トータルで財政健全化にどう向かっていくかという議論が現在ないですね、と言うか少ないですね。納得感という意味では、現役の給付も含めた社会保障のあり方、税と保険料を同じテーブルに乗せて、税も使うけれども、保険料も使いながら、税制健全化に向かっていくという議論が欠けている、パーツ、パーツになってしまっている」

誰が負う? 膨張する介護費用
秋元キャスター
「今回の改正案で持続可能性というのはどこまで担保できるのですか?」
宮本教授
「1番大事なのは、納得感だと思うんですよね。国民の多くは、いろいろな世論調査を見ても、きちんとした社会保障をやってくれるのであれば、税であろうが、保険料であろうが、負担をしますよと言っているわけですよね。ところが、きちんと還元されているという実感がないまま進んでいって、今度の改革も総報酬割で、2号保険者の拠出は増えたなと。保険料も自分は3割に増えたなと。給付は、介護からの卒業だという建前だけれど、きちんと自分がやってほしいサポートをしてくれないなという想いばかりが募っていくと。負担したいのだけれども、これではできないよ、やる気になれないよということになってしまうわけですよね。そういう帳尻を合わせる話ばかりではなくて、国民の側が深く頷いてくれるような改革でないといけないと。日本の税金は、国際比較で言えば、租税負担率は国民所得に対する割合が低いですよね。上げたあとも27%、26%ぐらいですね。1990年代の方が高かったんですよ。これだけの高齢化が進んでいる中で下がっていると。ただ、社会保険料は皆、還ってくると思うので保険料負担というのは17%ぐらいですか。1990年代は10%ぐらいだったんですよ。ドンドン上がっているわけで、そこを突いて総報酬割みたいな形で負担を願いましょう、税金が1%上がったら内閣は倒れるけれども、保険料が1%上がってもスルーできるわけですよ。協会健保への補助金が減るならばということで、そういう対症療法的なことをやっていることがいいのかどうなのか。いろいろな抵抗感がないお金をちょこちょこ集めて、なんとか凌いでいく方法でこれから10年先もつのかというのが1番大切なことだと思います。税論議でもいいですし、現在話題になっている子ども保険のように、社会保険にシフトしていくというのだったら、それはそれで仕切り直しの議論をしなければいけないし、トータルなシステムの話として、していかなければいけないのかなと。そうでないとこの先が見通せないよと」
西沢氏
「社会保障と税の一体改革のスキームは2015年に消費税率が上がったぐらいまでがたぶん視野に入っていたと思うんですね。本当は2020年のプライマリーバランスの黒字化に向けてもう一段の社会保障と税の一体改革をする必要があるんです。ですから、役所の文書にも一里塚という言葉が入っていて、これは一里塚と。プライマリーバランス自体も利払い費とかは入っていないですから、本当は財政収支の均衡に向けて、2020年にPB黒字化、さらに2025年に財政収支黒字化みたいなシナリオを描いていかなければいけないですよね。本当はもう一段、二段やらないといけない。消費税率も10%ではなくて、消費税率で考えれば、欧州並みの20%も視野に入ってくるはず。税だけでは苦しいので給付の抑制とか、保険料とかを合わせて、そこまでいって初めてこれで大丈夫だなというのが視野に入ってくるはずだったのですけれども、こうやってやっていく中で、強い制約の中で法改正しているので、見通しにくいし。自治体の話がありました、本当は自治体における好事例を全国展開してほしいですけれど、それは国が言うことではなく、自治体自らがやってくることなので、それがごく一部の自治体ではなく、全国展開を見るまではなかなか…。これは医療も一緒なのですけれども、本当に安心だなというのはまだ言えないかなと思うんですよね」
田村議員
「確かに2020年以降、消費税をさらに上げなければならないという、そういう判断をせざるを得ない時がくるかもわかりません。もちろん、経済の状況ですから税収がワーッと伸びることが起きれば別ですけれど、現在の状況を見ればもう1回消費税という議論が始まるのだろうと思うのですが、いずれにしても先生方からいただいたご提言で我々この制度をつくっていますので、まずはこれをお進めさせていただきたい。もちろん、財政的に持続可能かどうか。2025年、介護保険の保険料は1号が8100円ぐらいになってしまうんですよね。現在5500円でしょう。本当にそれでもつのかと。8100円は2か月いっぺんに年金から天引きされると1万6200円ですから。そうなると、この制度のまま持続できるか、いろいろな審議会でご議論いただく時に、もうちょっと被保険者の年齢を引き下げた方がいいのではないかという議論もよく出てくるんですよ。なぜならば若い方々が介護をする社会になってきているんですね。ですから、そういう意味からすると、20代、30代の方々がおじいちゃんの介護をとよく言われているので、そこにお願いしてくるようなところもくるのかなということも。まだ決まっていないし、私が勝手に言っているだけの話で、私がそれをやるべきだと言っているわけではないですよ。そういう議論も出てきていると。今回は時期尚早ということで、そういう議論は消えましたけれども。いろいろなことを考えて、もちろん、伸びをどうやって抑えていくかと、いろいろなこと、ありとあらゆることを考えて、介護保険というものを持続可能なものにしていかなければならないだろうと思います」

現行制度の『ムダと不備』
秋元キャスター
「介護医療院の創設も打ち出されているのですが、これはどういう施設なのでしょうか?」
田村議員
「現在、療養病床と言いますか、ベッドがある、病床ですね。普通は20対1という看護体制でやっているんですけれども、それが保険上の医療ベッドなのですけれども、25対1でやりますと、これは医療ベッド。介護型の療養病床は30対1ぐらいでまわしているんです。これはベッドに置いておいていいかという議論が1つあるのと。増やせないです、病床規制があって。つまり、地域医療計画の中で病床の規制がありまして、ベッド数を増やせなくなっていますので、これから療養病床を増やそうと思っても、増やせないですね。もしかしたら療養病床だと過剰サービスになっている場合がある。それを介護医療院という介護施設に変えて、本当に必要な方は現在の療養病床に同じスペックでそのまま提供してもいいと。お医者様1人だけで看護師と介護職員がいて、それで対応できるようなスペックのものをつくりましょうという形、2つのスペック。もう1つは入居施設だけのものもあるのですが、そういう意味では移っていただくと。介護型は現在6万1000床がありますか。移っていただく。20対1の療養病床も医療型に入っていますので、25対1は7万6000床ぐらいだと思います。そういうものを介護医療院の方に移していく。介護施設ですから、本当に必要ならば、介護保険事業計画の中で新しくつくれるようになるんです」
反町キャスター
「今度新しくできる介護医療院は病院ではない?」
田村議員
「介護施設です。医者のいる介護施設と考えていただければ」
反町キャスター
「特別養護老人ホームとも違う?」
田村議員
「違います。医療サービスが充実しているんです」
宮本教授
「病院とか、診療所という看板をかけ続けることもあるので、ちょっとそこは」
反町キャスター
「介護医療院は、介護施設としてのベッド数の上限はないのですか?」
田村議員
「地域医療計画のように厳しくないので、必要ならば増やすことができるので、地域において必要ならば増やしていけるということで新しいものも入ってきますし、実は一般の病床からも介護医療院に移りたいという声が結構出てきていまして、医療機関側。要するに、一般の病床として置いておくよりもこちらの方が、患者さんが埋まりそうだと。こういうことですよね。ただし、今度の制度改革では、それはまだ許していませんから。これから見ていって必要ならばそういうことも含め、検討していこうということで。これから団塊の世代が75歳以上に、2025年になると全員がなりますから、そうなってきた時には当然の如く75歳になると身体機能が落ちるんですよね。すると、介護だけではなく、医療サービスも必要という方も出てきますから、そういう方々が安心して入所するための準備もできていけるかなと」
反町キャスター
「宮本さん、効果があるのかどうかをどう見ていますか?」
宮本教授
「要介護度5ぐらいの人をウチで見ようとしたら、ひと月50万円はかかるわけですよ。介護保険は36万円しか出ないのだから、あとの14万円は自己負担をしなければいけないわけですよね。居住の場というのはドンドンなくなってきて、介護部屋付の高齢者向け住宅というのは、東京ではとてもではないけれども、家賃が払えないから、地方に。デイサービスもお泊りデイという形で、本当は質的に見るとだいぶ首を傾げたくなるようなサービスのお泊りデイというのがドンドン増殖していると。つまり、ベッドがなくなってしまっているんですよ。そういう意味では、在宅幻想みたいなものからちょっと距離を置いて…」
田村議員
「最も在宅で対応するのが難しい方々が入る、それは間違いないです」

財源&人手不足の処方箋
秋元キャスター
「2025年度に約38万人の介護人材が不足すると指摘されているのですが、介護の担い手というのはどのように確保するのですか?」
田村議員
「この前に2020年に20万人をまずはという計画が昨年、一昨年ですか、必要だという話で、厚生労働省に計画を出してみろと言いました。たとえば、介護福祉士の養成等々、年間6000人ぐらいですが、この卒業率とか、就職率を引き上げることで、5年間で2万人に増やすとか。120万人ぐらいボランティアで働きたいという人がいるんですよね。 そういう人達を一定程度顕在化させれば8万人出てくるだとか、毎年復帰しておられる方が14万人いるのですけれど、ここをあと5年間であと10万人増やすとか、離職する方が年間で27万人おられるのですが、これを5年間で5万人減らすだとか、というので20万人を出してきています。たとえば、再就職するための準備金というので一時金が40万円ですよ。これは5年間働けば返さなくていい、こういうおいしいものだとか。学校に入って卒業をするのにお金がかかりますから、学費月々5万円、生活費、収入が少ない方に月々4万2000円、さらに入学式に20万円、卒業式に20万円とすごいでしょう。これも5年間働いたら返さなくていいだとか。保育も同じようなのがあるのですけれども。だけど、私は絵に描いた餅になると思います。そんなには出てこないと思います。なぜかと言うと、有効求人倍率2.7とかですよ、失業率2.8と言ったら、1980年代とか、1990年代初頭だと思いますよ。そう考えると、外国人の人材を一定程度確保していかざるを得ないと。そこで1つは技能実習制度にそれを取り入れていこうというのがあるのですが、私はそれよりも養成校に入って、卒業したら介護福祉士の資格をもらえるんですよね。養成学校に入って、出てこられた方々は、現在は在留資格がないんです、資格を持っていても。日本にいられるよう在留資格を持てるようにと法律が通りました。これから養成学校を出た方々がそのまま介護福祉士になって日本の介護の現場で働けると。その方々がずっと日本にいていただくわけにはいかないでしょうから、自国に帰っていただく。その時に今度はアジアの国々が日本を追って超高齢社会にきているんですよ。そこに日本の介護が進出し、いろいろなノウハウを提供させていただいて、そこに日本でノウハウを学んだ、資格を持った方々がエリートとして入っていただくという、いい循環をつくって日本の介護人材を海外から一定程度確保していく。ですから、もちろん、いろいろな努力をして、女性の方々、高齢者、男性も、とにかく介護の現場で働いてもらえるように環境改善もします、処遇改善もしますけれど、それプラス外国人の方々が一定程度入ってきていただいて、日本の介護の担い手になっていただくということまで考えないと2025年に向かって人材確保ができない。現在でも、地方でもいないですよ、全然。こういう状況ですから、そういうことを進めていきたいと考えています」
宮本教授
「田村さんが外国人への依拠という話にいってしまいましたので、ちょっと待ってほしいというところがあるんです。現在、介護離職ゼロを政府は掲げているわけですけれども、その前に介護職の離職をもっと減らせなければいけないですね。一般的な産業全分野では1年以内の離職は12%ぐらいですけれども、介護職については16、17%ぐらいまでにいっちゃっていまして、ともかく処遇がよろしくないというところがあるし、労働も厳しいし、責任も大きいというところがあるわけで、ここを放置して、外国人を入れていきましょうということになると、これは外国人にとっても、介護される側にとっても、決していいことではないのではないかなと。まず処遇改善というのをやるべきだと。2009年ぐらいから、処遇の改善をずっと言ってきて、なぜこれがキチッと賃金に反映されないかということをもう1回、検証しなければいけないのではないかなと思うんですね。前は交付金を出して、給料を上げたところに交付金を出すよと、外付けの支援をしていたので、それはそれなりに給料の改善に結びついていたのですけれど、現在、処遇改善加算というのは介護報酬に内付けする、つまり、処遇を良くしたところの介護報酬を少し上げていくということですけれども、これはよく見てみると事業者によっては、その介護報酬の加算を得るために、給料は見かけ上よくしているけれど、一時金を減らしているとか。あるいは競争が激しい地域では介護報酬が少し上がってくると、1割負担に、あるいは2割負担に跳ね返ってきて負担が重くなってしまう。だから、手控えて、敢えて加算をとらないで、つまり、介護職の給料を上げないで、サービスの競争をやっていくみたいなところも出てきているわけですよね。だから、そういうやり方で処遇改善加算と叫んでいるのだけれど、それが改善に結びついていない現実をもうちょっとなんとかしなければいけないのではないかなと。外国人の話をするのはその先に…」
田村議員
「上がってきていますよ。統計を取りますと4、5万円、上がってきていますよ」
宮本教授
「給料は、統計上は上がっているので…」
田村議員
「ただ、それでも他の職種と比べるとまだ低いです。だから、働く時にどちらを選ぶか。介護と他の産業との引き合いの中でどうやって確保していかなければいけないかと」
西沢氏
「合わせ技で保険外サービスがありますね。たとえば、高齢者に介護を提供するだけではなくて、施設との送り迎えで移動しますけれども、別のところに行くにはタクシーになってしまうからダメだと。そうではなくて、そういったものも認めながら、事業体としての収益性を高めて、従業員の賃金を上げていくのが重要で、規制改革の範疇に入るのですけれども。ですから、高齢者の不利益にならないような形で事業体の収益を高めて、あと意外とロボットがいい、介護ロボット。もともと眉唾だったのですけれども、たとえば、認知症を抱えている方がペット型ロボットを抱えていることによって、介護の方が食事に誘導しやすくなったり、それまで落ち着かなかったのが落ち着いたり。あるいは歩行補助をしてくれることによって歩く喜びを覚えたというのを聞くと、意外とロボットはいいのかもしれない。そういうところがありますね」

宮本太郎 中央大学教授の提言 『"支え合い"を支える』
宮本教授
「先ほど、田村さんもおっしゃったように、地域共生社会、あるいは地域包括ケアと言って、地域の支え合いの力を大いに活用しようと、これはいいのですけれども、介護保険の財政がドンドン厳しくなる中、見方によっては、場合によっては、地域によってはその地域の支え合いに慣れてしまって、お金を節約しようと。これは非常に困難なことだと思うんですね。皆、支え合いたいと思っているのですけれど、支え合う力を支えないといけない。そのための介護保険にしなければいけないと思います。支え合いを支える介護保険にしないといけない」

西沢和彦 日本総合研究所調査部主席研究員の提言 『消費税率 引き上げ』
西沢氏
「負担の話に、保険料、消費税も含めて、向き合っていこうということだと思います。介護保険の財源の半分も公費ですから、公費のところを埋めていかないと持続可能性が見えてこないと思うんですね。ここが重要かなと思います」