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2017年4月7日(金)
シリアにミサイル攻撃 トランプの覚悟と戦略

ゲスト

小野寺五典
元防衛大臣 自由民主党政務調査会長代理 衆議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
呉軍華
日本総研理事
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹(前半)


前編

緊急検証『米シリア攻撃』 トランプ大統領の『戦略』は
松村キャスター
「今回アメリカ軍がミサイル攻撃を行ったのはシリア西部にあるシリア軍のアルシャイラート空軍基地です。今月4日、反政府軍が支配するイドリブで化学兵器を使ったとみられる空爆がありましたが、このアルシャイラート基地はシリア政府が空爆を行った軍用機の拠点と見られています。古森さん、今回の攻撃をどのように見ていますか?」
古森氏
「トランプ政権としては論理の帰結というか、オバマ政権がシリアでの化学兵器の使用に対してどういう態度をとってきたかというと、非常に軟弱で、すると言ったことをしなかったわけですね。これは大統領選のキャンペーン中の間から、この点は非常に非難をしていて、アメリカの世論も、どちらかと言えば、もし大量破壊兵器である化学兵器を使った場合はレッドラインという赤い線があって、それを超えたことになるから軍事行動をとりますよとほぼ明言していたのに、実際にそうなった時にやらないで、結局、ロシアに委ねて、国際管理で化学兵器を曖昧にして。本来、化学兵器は持っていないはずですよ。この間のアレンジで終わっていたわけだから。それがまずあったということ。それから、このオバマ政権に対する反対と彼が言っている力による平和という基本的な考え方というか姿勢ですよね。国際情勢には力の行使というのが時には必要だと。それよりもおそらく大きいのは人道主義からの観点。これだけ酷い化学兵器を使って、これだけのことをするという。もちろん、人道主義で、大変だな、かわいそうだなということだけで対外政策をとってはいけないのだよという考え方もあるけれども、目に見えて、目の前に起きている悲劇に対して、明らかに国際法違反をしているし、二重三重の国際合意というものを踏み躙っているわけだから、これをやらなければトランプがトランプたる所以ではないぐらいの大きな問題だと思うんですよ。だから、火曜日に起きたことに対して、木曜日に決断をしていくという、米中首脳会談とぶつかったのは結果としての偶然であって、当面アサド政権に対して制裁行為をとるということの方が重要だという観点。だから、考えようによっては当然のことだったと思いますね」
松村キャスター
「宮家さんはこの攻撃、タイミングも含めて、どう見ていますか?」
宮家氏
「レッドラインを超えるということを大統領が言うということ、それは武力行使です、最終的に。しかし、それを、先ほどおっしゃったように、オバマ氏はやらなかった。それに対して面白いことに非ワシントン的なはずのトランプ政権が実は非常にワシントン的な、このレッドラインで何かしなければいけないというのは、ワシントンの外交政策の、エスタブリッシュメントの基本的な考え方ですよ。これをはからずもやっているのは非常に興味深いなと」
小野寺議員
「私はなるほど思ったのは、手順があって、4日の日にアサド側がどうも化学兵器を使ったなと。すぐあとに今度は国連の安保理で、このシリアに対しての非難決議をしようと出した時に、これに反対したのはP5(国際連合安全保障理事会)の1つのロシアということになります。そうすると、ロシアが反対してこれができなかったということは、アメリカが自分の判断でやるのだというメッセージをきれいに出したわけですね。と言うことは、今度、北朝鮮の問題についても、たとえば、中国にこれをしっかりやってくれというメッセージをアメリカが出して、それがダメだったらアメリカ単独でもやると。どのオプションにするのかが本当に見えない。もしかしたら、最も強いオプションを出すかもしれない。いろんなことが実は今回、想定されるので、たまたまだと思います。4日の化学兵器使用。安保理で、ロシアの反対でそれがうまくいかなくなった。タイミングとすれば、6日の今回の攻撃。その日がちょうど習近平さんとの会談に当たったのですけれども、強いメッセージは、むしろ行動として示したあとに今後の会談の中でさらに打ち出していくのだと思います」
反町キャスター
「呉さん、皆さん、たまたまと言うのですけれども、たまたまお客さんとして迎えられたタイミングで、習主席にしてみたら、これはどういう訪問と感じられるのですか?」
呉氏
「それはわかりませんけれども、あくまでも推測で、もちろん、客観的にはたぶん非常に面白くなかったでしょう。ただし、長期的に考えると必ずしも中国にとっても悪いことでもない。むしろシリアというよりもロシアとの関係ですね。たとえば、なぜ今回の首脳会談が予想よりも早く開催されたかの背景の中には、場合によっては中国がロシア、トランプ政権とプーチン氏の関係が良くなる前に一応、米中関係の流れをつくってしまうというのは、トランプ大統領は選挙中からずっとプーチン氏に対して非常に良いムードでやってきて、実際、政権が発足して、スキャンダルが出てきた。現在ちょっと手間取っていたんですね」
反町キャスター
「そうすると、呉さん、習主席がアメリカに、フロリダに行ったというのは米露が親しくなる前に楔を打っておきたいという意味で現在そう言っているわけですよね?」
呉氏
「1つの背景になっているかもしれない」
反町キャスター
「結果的に行って何が起きているかと言えば、シリアにミサイルを撃ち込んで、現在、米露関係はおそらくこれまでにない最悪の状況になる可能性もある?」
呉氏
「そうですよ、逆に」
反町キャスター
「だったら、行かなくてもよかったのではないの。そこは計算不足と言いたいわけ?行って米露の間に楔を打ち込むと思って行ったら、トランプさんがミサイルを撃ち込んだから、結局行かなくても悪くなっているじゃんという、そこはどうですか?古森さん」
古森氏
「米中両国は、割合早い時期にどこかで話し合わなければいけないのだという、それは両国のリーダーだけではなくて、国民のレベルだって1回も首脳会談がないというわけにはいかないから、日本も含めて、他の首脳にだいたい会ったのだからそろそろ中国だと。ちょっと早過ぎるかなと、トランプ政権の準備ができていないけれども」
宮家氏
「今年は党大会の年で、10月には再選があるわけですよ。今から10月までアメリカと何も話をしないというのだったら、それは塩梅が悪いでしょう」
反町キャスター
「中国ももたない?」
宮家氏
「ですから、ある程度の段階で話し合いをしておかなければいけない。アメリカに対して言うべきことを言ったという成果を残さなければいけないと」

シリア・中東情勢の行方
松村キャスター
「今回の攻撃についてシリア政府は『アメリカによる侵略だ』と反発しています。シリア国営メディアによりますと『子供4人を含む、民間人9人が死亡した』と伝えています。巡航ミサイル59発を発射したということですが、シリアにはどのぐらいのダメージがありましたか?」
宮家氏
「具体的に、軍事的には非常に微々たるものですよね。飛行場、空港がある程度、一定期間使えなくなった。トマホークというのは核兵器ではないですから。通常の爆発物であれば、それは50発撃ったって、それは壊滅的なというダメージではないですよね。しかも、そこに民間人がいた、子供がいたはずがないですよ」
反町キャスター
「空軍基地の中に子供がいたということですよね?」
宮家氏
「いったいどういう空軍だということですよね。そこは嘘つきだとは思うのですけれども、このトランプさんが言ったことの方が大事で、これはあくまでもターゲットした標的であって、攻撃であって、それは化学兵器を落とした飛行機が出撃した場所だと、こういう言い方をしました。と言うことは、何を言っているかというと、これ以上はやらないよということですよ。つまり、これ以上やるのかと言われたら、これはあくまでも化学兵器の使用に対する報復ないし、対応であって、これは次にシリアにおいて、アメリカがさらにトランプさんがシリア政権を打倒するかどうかはしらないけれど、地上軍を出すかどうか、そういう本格的な介入をするとは一切言っていないでしょう。これは、これで撃ち止めだと思うんです。なぜかと言うとそんなことをやったら大変なことになります。イラクと同じになります。出口がなくなります。ですから、そこはうまくメッセージとして完結していて、それ以上はいかないよということになっているのではないかなと直感しました」
反町キャスター
「そうすると、アメリカの外交的な、面子とは言わないですけれども、言ったことはやるぞというようなこと。世界に知らしめる意味はあるにせよ、シリア問題の解決、ないしはシリアの内戦の収拾に向けたステップとか、それとはまったくならないという意味で言っています?」
宮家氏
「まったくならないですね。それどころかロシアが怒った分だけさらに遠のいたと思います。だって本当はトランプさん、ロシアと組んでIS(イスラム国)をやっつけたかったわけでしょう。そんな状況なわけですよね。アメリカの国内ではロシアとの関係がいろいろ言われて、とてもロシアとの関係を改善できる状況ではない。そのうえにロシアは、私に言わせれば、シリアの問題を解決する気なんかないですよ」
反町キャスター
「ロシアのコメントはいろいろ出ているのですけれども、一言で言うと、『でっち上げた口実に基づく、主権国家への侵略という国際法違反だ』と。これは大統領報道官でありますけれども、ラブロフさんも本当に同じフレーズを、皆さん、それぞれの立場で繰り返されているのですが」
宮家氏
「と言うことは、相当広がっちゃいましたよね。ロシアは、私はもともとシリアになぜ介入をしたか。いろんな理由はあるけれども、最大の問題はロシアのOKなしに、このシリアの問題解決できませんよと。ロシアが本当にやりたいのはシリアの問題の解決ではなくて、アメリカを中心とする主要国のロシアに対する経済制裁の解除です。経済制裁を解除するための、いろいろなテコの中にシリア問題がある。そのような位置づけをしているから、シリア問題がそんなに簡単に解決するわけがない。と言うことは、それはアメリカがどんなに地上軍を派遣しようが、今のように、ぐちゃぐちゃに壊れちゃったシリアでアメリカができることには限界がある。だからこそ化学兵器の使用というものに限定をして軍事行動をとる。言うべきことは言うのだけれど、必要以上のことは言わない。これは非常に正しいやり方だと私は思います」
古森氏
「巡航ミサイルを使っているということで、私もアフガニスタンに、アメリカがタリバンをやっつけた直後に行って、3階建の建物があって、そこにアルカイダとか、タリバンだとか、いろいろいたけれども、あとで聞いてみたらアルカイダの1番悪いというか、親玉のリーダーがいた1室だけを、そこに窓から巡航ミサイルが入ってきて、爆発して、爆破量はたいしたものではないから、破壊されるという、そのぐらいの正確度があって、非常に政治性の強い武器なんですよ。コントロールできて、狙っているわけだから、その対象となった空軍基地も人里からかなり離れたところらしく、街などはないわけだから。非常に限定されているし、それから、ロシアの兵隊が殺されたりすると、国際問題になるから、それがないようにということを知らせていますよね。軍同士のISとともに戦うということで、米露がやっていたホットラインがあって、それを通して事前に通告していると。だから、もしロシア兵がいれば逃げているわけだし、宮家さんが言われたようにこれをやったからアメリカがシリアの内政に介入していくということはまったくなくて、単発の、これだけのことだけだということは割合はっきりと鮮明にしているわけです。ところが、もう1つ大きなことはこれによってアメリカとロシアの基本的な関係が変わり得る、変わっているということで。ワシントンの動きを見ても国家安全保障会議で、ロシア、ヨーロッパ部長というのが出てきて、これはフィオナ・フェルトさんと言ってかなり有名なプロですよ。あまりプロというのは、トランプ政権は採っていなかったのだけれど、女性ですよね。プーチン氏のかなり悪いことばかり書いた本を出した人で、この人が出てきたということと、それから、ニッキー・ヘイリーという国連大使がいますね。これがこの数日間、非常にロシアに対して厳しいことを言い始めているということで、ロシアに対するトランプ政権の基本的な政策が固い方に変わってきているという。それと今度の爆撃が、相関関係があって、これから変わっていく。米露関係の大きな変化の始まりではないか。そのつもりでやったのかどうかは別にして結果としてそうなっていくのではないかという気がしますね」
反町キャスター
「宮家さん、これで米露関係が悪くなるという前提で聞いていいですよね?そうすると、今月末、総理がロシアに行くことになっていますよね?」
宮家氏
「それはそれ、あれはあれ。だって、日露関係というのは日露の2国間関係ですから。この問題についてアメリカにもちゃんと説明を、これまでしてきて、トランプさんも何も言っていないでしょう。これはこれで進めるべきですよ」
反町キャスター
「いや、『べき』はわかりますけれど、では、プーチン大統領はこれまでアメリカに文句を言い、その同盟国である日本の総理に、これまでと同じような姿勢で、よく来た、晋三、とこういう感じになりますか?」
宮家氏
「そうでしょう。だって、アメリカの同盟国であることは、日本はずっと前からそうですからね。プーチンさんがそれを知らないわけではないですよね」
反町キャスター
「総理の訪露、影響はないですか?」
小野寺議員
「むしろ、たとえば、アメリカとロシアが、関係がすごく良くなってしまうと、日本の存在価値が減ってしまう。逆にアメリカとロシアの関係が厳しくなってくると、逆に日本はその中で存在価値が高いとおそらくロシアが見ると思うんです。いずれにしてもロシアは経済制裁を解除して現在の包囲網から抜け出したいとすればいくらぶつかったとしても、どこかで接点を見出すと思うのですが、その時に日本がいい役割を果たせるのではないか思います。1つ心配なのは、これで中国とロシアがまた近づくのではないかと。実は5月の中旬ですが、中国が一帯一路フォーラムということで、世界の20か国ぐらいの首脳を集めた大きなフォーラムをやるのですが、この時のメインゲストはプーチン大統領におそらくなるんです。そうすると、ここで今度は中露の蜜月関係がまた出てくると、実は日本の安全保障にとっては決していい話ではないので、いろんな局面で日露の関係が、日本の価値が高くなることもありますが、逆に言いますと、安全保障面で見ると中露が近づくというのは決して日本にとってはいい雰囲気ではない。こういう多面的な見方をするべきだと思います」
反町キャスター
「呉さん、いかがですか?中国とロシアの関係は、それぞれが悪くなると、中国とロシアが仲良くなっていくものなのですか?」
呉氏
「流れとしてはそうなると。もともとトランプ政権に対して、不安な、大きな1つはまさにトランプ政権とロシアの関係が良くなっていって、ある意味では、現在1番目として、3番目で一緒になって、2番目の国をやっつけるという構造が1番困るんですね」
古森氏
「私も2日ぐらい前までワシントンにいたのだけれども、中国とロシアの接近というのはアメリカにとって非常に現在、懸念が高まってきていますよ。それは議会の調査委員会でも中露の接近で兵器、ミサイル防衛を一緒にやるとか、それから、いろんな高度兵器の何か技術の交換が始まっていて、これはまったく新しい非常に重大な事態が起きているのではないかなということを。それから、ジョージ・ワシントン大学で、ずっと中国問題を研究しているところが中露の関係を現在どうするかという、大きなシンポジウムをやっていて、提言を出していますよ」
反町キャスター
「宮家さん、中露の接近をどう見ていますか?」
宮家氏
「中露は戦略的なパートナーではない。戦術的なパートナーとして敵の敵は味方です。ですから、その意味で、関係が近づくことはあり得るでしょう。これまでも何度もありました。しかしながら土壇場になった時には、彼らはアメリカとの関係を、まず大事にするんです。ですから、そんなに簡単に中国もロシアも両方とも…。ですから、ロシアだったら中国を仮に犠牲にしてもアメリカとの関係を良くしようとする。そういう冷たい仲ですよ。ですから、タクティカルな、戦術的なパートナーと言ったのは、そういう趣旨です。大変な意味を持つことは事実ですけれども、それには限界がある」
古森氏
「それがこれまでの伝統的な考え方だったけれども、今回起きていることはどうも違うのではないか、そういう声があるんですよ」
反町キャスター
「軍事的な意味で言われた?もしかしたらTHAADミサイルの配備とかが影響しているのですか?韓国の」
古森氏
「結果ではないですか。THAADミサイルがくるから、中国とロシアがくっつくというよりも中国とロシアが仲良くついているから、THAADミサイルが両方にとってよくないから、反対をしていこうと、一緒に、という、そういう順番だと思いますけれど」
宮家氏
「確かに軍事的にロシアと中国は、中国はあまり技術がまだ進んでいないから、ロシアの武器を買っているわけですよね。ただ、ロシアもちゃんとわかっていて、レベルを落としたものを売っていたわけです。それが若干、変わりつつあるというのはあります。だから、そういう懸念がないとは言いません。ただ、戦略的なレベルで考えた時には、彼らはタクティカルな関係だと」


後編

『暴走』北朝鮮への影響は
松村キャスター
「アメリカ軍のシリア攻撃について自民党の高村副総裁が記者団の質問に答えました。『シリアがやられたのは、核ミサイルを持っていなかったから、と間違った計算を、北朝鮮がすることがないように願いたい』と、このように発言をしました」
小野寺議員
「私が1番心配しているのは、高村先生もそうなのですが、化学兵器と核兵器は格段に危険性が違うわけです。その破壊力とその後の影響力が格段に違います。ですから、これを北朝鮮が確実にできるようになるということの国際社会での脅威というのはアサド政権の、あってはならないことですが、化学兵器の使用より、はるかに危険ですよ。それに対してトランプ政権がどう向き合うか。これは正直、真剣に私達は考えなければいけないと思うんですね」
反町キャスター
「核ミサイルを持っていなかったから、シリアはやられたのだという。正しい計算を北朝鮮がするかどうか。ここはどう見ていますか?」
小野寺議員
「それは判断をどうとるかですが、もしかしたら急がなければいけない、急いで完成させ、持ったということを確実にし、核保有国として認めさせなければいけないという、その焦りで急ぐかもしれません。でないとやられてしまうかもしれないと。逆に言うと、その開発が明確で、もう間もなく核爆弾が開発される段階でもしかしたら予防攻撃という形で、アメリカがその場所に関しては何らかの打撃力を見せるかもしれない。その両方の動きを見ながらなのですけれども、少なくとも今回のアサド政権に対する攻撃に関してトランプさんは躊躇していないとすれば、私は黙って開発したからと言って黙って見ててくれるかというとそんなに甘くはないのだと思います」
反町キャスター
「アメリカの、カッコ付きになるのですけれども、予防攻撃というのは、日本政府にしてみたら、事前通告とかはあるのですか。たとえば、日本、在日米軍の基地を使うとかだったら、それは当然それなりの連絡、義務があるにしても、そうではない形でやる場合の事前通告の義務、アメリカにはないですよね?日本に対しては」
小野寺議員
「ただ、現実問題、3月の6日だと思いますが、4発の弾道ミサイルを北朝鮮が撃ちました。ほぼ正確に日本海に落ちたのですが、あれは在日米軍基地を攻撃する訓練だと言っています。と言うことは、もし何らかのストライクパワーが米軍によって限定的に行われた場合、北朝鮮はどういう反撃をしてくるのか。私どもは予測不能です。最悪のことを考えればもしかしたらいくつか残っている弾道ミサイルを撃ってくるかもしれない。それは先端に何が入っているかはわかりませんが、少なくともそれを撃ち落とすための構えをしておかなければいけない。とすれば、日本にはこういうことがあるかもしれないということで、しっかりとした備えをしてくれと。当然、在日米軍で展開しているような、横須賀に展開しているような、アメリカのイージス鑑もしっかり展開するのだと思います。ですから、北朝鮮の場合には、今回のアサド政権のような、撃って終わりではなくて、必ずその後のリアクションがありますから、それを考えたら、しっかりと日本も備える立場をとるとすれば、一定の事前通告なり、協議があるのだと思います」
反町キャスター
「シリアと北朝鮮を似たような形でシミュレートすると、シリアの場合はシリアの空軍基地に対して地中海のアメリカ軍の駆逐艦から59発を撃ち込んで、それで、シリア軍が、たとえば、トルコにあるアメリカ軍の基地を攻撃するとか、そういうことには現在なっていないわけです。たとえば、北朝鮮にそのような武力、予防攻撃という名目かもしれません、アメリカ軍が何らかの武力行使を行った場合、シリアと同じで、そこで何も言わずに北朝鮮は黙るのか、ないしは反撃をしてくるのか?反撃があるとすれば、どこに向かっていくのか?どう考えますか?」
小野寺議員
「まず攻撃をする場合。これはアメリカも国防長官は軍に長けた方ですから、おそらく相当の圧力をもって反撃をされないぐらいの多重的な攻撃をするのだと思います。ただ、それでもおそらく何らかの反撃がある。その時に当然、米本土へは撃てませんから、あるとすれば、まず韓国、もしかしたら日本。それを現実問題として考えた方がいいと思います」
反町キャスター
「そういう情勢の中で先ほどの高村さんの発言ですよね。シリアがやられたのは核ミサイルを持っていなかったからと北朝鮮が思うかどうか。そう思うとは、感じますね。リビアや、そういう例を見た時に、今回のシリアもそうかもしれない、核開発を諦めて、国を開放することによって結局、どこの国もやられているではないかと。だから、我々はと。今回のシリアに対する空爆が北に対してかえって確信をより強めることになるかどうか。ここはどう見ていますか?」
小野寺議員
「これは、たとえば、こういうことをやらない。また、戦略的な忍耐のトランプ政権となれば、これは自由にやっていくわけです。必要以上に核をしっかり持つと思います。ただ、今回こういうことを、攻撃されたということで、急いで開発して持てるのであれば、急いで持ちたいと思いますが、それが実験段階でそう近くなければここはなんらかの、一歩踏みとどまって考えるかもしれません。実は従前、北朝鮮は、核開発は交渉に使ったんですよね。核開発をして、やめるから何か支援をくださいねと。金正恩さんのお父さんの代まではそういう形で使っていたのですが、金正恩さんはまったく無視をしてまっしぐらなわけですよ。本当に動きがわからないので、私達は困っています」
反町キャスター
「そうすると、北朝鮮に対する武力行使は、シリアにやったようなやり方がいいかどうか、ここもわからないわけですよね?」
小野寺議員
「わかりませんが、いずれにしても大量破壊兵器を着々と持つということは、国際社会の大きなこれは脅威ですから、そこは皆で止めなければいけない。アメリカが本気でいくぞとなった時に、もう1つ困る国は中国ですよ。そうすると、中国が、たとえば、明日トランプさんと習近平さんの会談の中で、かなりトランプさんが本気度として注意して臨めば、中国側が最初はダメだ、ダメだと言うかもしれない。でも、本国に帰って本気かもしれないと。もしそこで大きな影響が出れば、中国自身にも大きな影響が出る。万が一あそこにアメリカが駐留をすれば、直接、中国と国境を接するところに米軍が駐留する。それが1番、中国にとっては最悪のシナリオですから。そうすれば、ちょっと待てと。そこまでは限界だということで、中国が北朝鮮に本当の意味でブレーキをかけるかもしれない。実は明日の会談というのは今回のシリアのストライクパワーを、シリアに対しての打撃力を行使したということで、明日の交渉が実はどういう方向にいくのかというのを注視するタイミングだと思います」

中国の思惑と今後
松村キャスター
「ここから挑発行為を続ける北朝鮮に中国がどう対応するのかを聞いていきたいと思います。まず呉さん、中国の北朝鮮への対応は今後どうなると思いますか?」
呉氏
「私がたぶんちょっと楽観的かもしれないけれども、むしろ北朝鮮に対してはアメリカと中国の間でなんらかの共通の利益があるのではないかなと思うんです。元を言えば、北朝鮮をここまでにしてしまったのはアメリカと中国の責任が大きいですね。ある意味で、無策をずっと続けてきたから。しかし、ここにきて北朝鮮が核を持って、場合によってはアメリカに届くかもしれない。しかし、その前に陸続きは中国です。ある意味では、中国もアメリカと同じ、あるいはもっと切羽詰ったような脅威下にもあるんですね。ただ、大きなジレンマにも直面していまして、どうやればいいかと。現在たぶん2つのシナリオがあるのではないかと思うので。1つは現状維持、この現状の維持の中でさらにサブシナリオとして2つある。1つは制裁を強化してプレッシャーでやると。もう1つは飴と鞭を使い分けて、従来の、これは基本的にこれまでと同じですね、むしろ結果が皆わかっているので、ますます手に負えなくなる。もう1つ、レジュームチェンジ。レジュームチェンジもおそらく2つの可能性があるので、1つは現体制をそのままにしてヘッドだけを変えてしまう。これが金正男氏の死亡でおそらくなくなってきたと。そうすると、もう1つのシナリオ。徹底的にレジュームチェンジ。ただ、このレジュームチェンジに向けて、先ほど、お話もありましたけれど、たとえば、アメリカが攻撃する場合、中国がどう動くか。アメリカは2つのことを考えなければいけない。1つは中国がどう対応してくるか。もう1つはリスクです、韓国と日本へのリスク。中国について。韓国と日本のリスクは、中国ととりあえず関係なく、中国として考えれば、たとえば、現在の体制が中国にとっていいものかどうか中国の1部でも反省があると思うんです。北朝鮮をここまでにしてしまった結果、中国にとって1つは核の脅威に置かれた。もう1つは日米韓、アジアのNATO(北大西洋条約機構)みたいになってきた。まさに北朝鮮というものがあるから、こうなった。このままではどうするかということになる。しかも、中国にとって、たとえば、現状のまま、あるいはもっと制裁を強化すると、その体制が持たないかもしれない。そこでもちろん、向こうの選択肢としては条件を飲んでやめるという選択肢もあれば、最後までやる。そうすると、制裁の結果、同じく体制の崩壊につながりかねないですね。そうすると、中国が1番懸念しているのは難民の問題。東北地域の安定ですね、中国は。あとこの核の問題もあるし、そうすると、明日どういう話をされるかはわかりませんけれども、本当にこのタイミングで会うから、じっくりとどう対応していくかという話し合いができるかもしれないですよね。究極的なシナリオとしても、あくまでも、たとえばですけれども、韓国主導で北朝鮮問題を解決して、その代わりにアメリカも解決した日から、アメリカが朝鮮半島から撤退をするという話をお互いに飲めるかとか」
反町キャスター
「古森さん、先ほど、呉さんが言われたみたいに、韓国主導の南北統一が行われて、その統一朝鮮ができた時には、要するに、在韓米軍は全て撤退するという、このシナリオ、小野寺さんにも聞きたいのですけれども、日本にとって良い話ですか?」
古森氏
「その前提が、アメリカは受けませんよ。現在は受けないですよ」
反町キャスター
「在韓米軍の撤退を条件とした朝鮮統一は、アメリカは認めない?」
古森氏
「受け入れないですよ、絶対これから認めないかどうかはわからないけれども、これまでの段階で認める気配はまったくないですよ。だから、米韓同盟は永遠ですという、それは韓国の願いに対応しているような形で、米韓同盟はいつどこかで終わりますよと、朝鮮半島を統一したら終わりますよという、そういう言質というのはまったくアメリカにはありませんよ」
反町キャスター
「アメリカ側がその姿勢を保っている限りにおいては、韓国主導の統一朝鮮になった時には、現在の中朝国境にまで米軍基地ができる可能性があるということが残っちゃうわけではないですか。中国側は絶対に賛成できない。どう解決するのですか?」
古森氏
「それでずっときたけれど、たとえば、米軍基地は北につくらないとか、鴨緑江江ぐらいまで米軍が来ないとか、そういう柔軟な措置をとるという準備がアメリカ側にはありますよということも、アメリカ側が言っているわけですよ。だから、中国に同意してもらうためにはできる範囲のことは全部やる。ただ、米韓同盟をやめてしまうということは言わない。そのぐらいアメリカの認識としては中国側の北朝鮮に対する態度というのはかなり柔軟になってきていると。レジュームチェンジの方向に向かっての動きの柔軟性が出てきているという、そういう認識だと思いますよ」
小野寺議員
「まず金正恩氏が就任してから1度も中国に行っていないではないですか。ですから、首脳がまったく会ってもいない中で、おそらく中国と北朝鮮の同盟というのは、ある面では現在、空洞化しているのだと思います。それから、アメリカが韓半島にいるというのは北朝鮮も見ていますが、中国だって、ロシアだって見ていますから。そこは簡単にそれはうまくいかないのだと思います。日本と中国の共通の利害が北朝鮮にありまして、もし北朝鮮で紛争が起きてしまったら、日本も、中国もそうですけれども、アジアが経済的に、決定的にマイナスになります。ですから、結局、北朝鮮で何か起これば、損をするのは日本も中国、韓国もそうです。もちろん、北朝鮮もそうですが、そうすると、これは意味がないではないですか。その立場になって見ると中国はやるべき行動というのは、北朝鮮をなんとか軟着陸させる。そのためにはレジュームを変えてもいいし、そのためには北朝鮮のどういうところを変えればいいのかというところを逆に中国がしっかり締めてやる。これが結局は中国のためにもなるし、日本のためにもなるんですよ。結局がアジアで紛争が起きて誰が喜ぶかと言うと、経済主体はアジアがこんなんだったらとても無理だなということで北米に行くかもしれない。ヨーロッパに行くかもしれない。むかし同じ道を繰り返したではないですか、中国は。ですから、私どもはこの地域というのは、お互いのwin-winのためには、安定のためには共に北朝鮮をなんとか軟着陸させて、核の開発はやめさせる。このために手を取り合う、共通の素地はあるのだと思います」
反町キャスター
「その雰囲気は高まっているのですか?」
小野寺議員
「これまで中国はある面で、北の問題をあまり考えたくなかったのだと思います。でも、そろそろ直面して、考えなければならない脅威になってきましたので、これから共通の土俵でこの問題を考えていくのは戦略的互恵関係、東シナ海の問題があったとしても、北朝鮮問題は戦略的互恵関係で協力しようと。是非その素地をつくっていきたいと思います」

新しい『国際秩序』と日本
松村キャスター
「本日、習近平主席が『年内の中国公式訪問を』と呼びかけたところ、トランプ大統領は『喜んで受け入れる。早期実現を期待する』と、新華社通信の報道ですが、あります。これは現実味のある話ですか?」
古森氏
「超重要な2つの国のトップが初めて会うと。片方の政権は始まったばかりだし、これまでの政権とは全然違うやり方できている時には、よろしくお願いしますよ、というところから始まるのが自然だと思うわけですよね。だから、あまり細かいところに入っていって、明らかに対立する部分がいっぱいあるわけだから、それを細かく突っ込んでいくことは本来…。今回の首脳会談は特にそういうものではないのだということですね。ただ、北朝鮮の問題が影を広げてきて、アメリカの安全保障にとっても脅威だという認識が生まれたということで、長い長い米中関係で初めて、1番重要な問題は北朝鮮問題なのだと、アメリカ側が言ったわけですよ。だから、これは飛び入りであって、この問題は具体的なことを話しながら突き詰めていかなければいけないということになったけれども、それ以外は貿易の問題でトランプさんが公約でいろいろ言ってしまっていることもあって、これも具体的な言及とか、議論は必要な部分だけだけども、その他、米中関係の広い領域に渡って、主要分野に関しても討論していくというような、そういうことをやるための首脳会談ではないというのは、今回は。アメリカ側に認識があって、特にアメリカ側というのはまだトランプ政権の重要ポジションが埋まっていないとか、特に中国関係をやる人達は国務省の東アジア太平洋担当の国務次官補なんて、ラッセルという人もいたけれど、その後任はいないわけですよ。国防総省も同じく東アジアの人がいない。国家安全保障会議も、中国専門家がまだ集まっていないから、政権の内外でこの会談に応じたのは早過ぎたのではないかという声がかなりあるんですよ。中国は、一貫性、一枚岩がウリの独裁体制ですから、準備してきているわけだから。中国は我々はアメリカと対等にうまくやっているのだよということを国内向けに言わなければ、国際的にもそうだけれども。アメリカの方は、こちらはいろいろ問題があって、中国側に文句を言わなければいけないのだよということを内外に言わなければいけないという、その基本的な違いがあるわけで、その基本的な違いを表面に出してしまうよりも、それはちょっと置いておいて、まずはよろしくお願いしますよ、と言いながらもそんなにピタッと仲良くなっているわけではないですということをしたいので、そこの思惑の違いはかなりギャップが大きいですよ」
反町キャスター
「成果がわからない間に、来てねというお誘いの言葉、ちょっと早い気もするのですが、今回の米中首脳会談、中国側もそんなに成果があるとは思っていなくて、次につながればいいぐらいの気持ちと見ていいのですか?」
呉氏
「最初はそうだったと思うんです。ただ、習近平さんの話の中で、新しい対話の枠組みをつくることに合意したらしいです。4つの枠組み、詳細はわからないけれども、1つは外交・安全対話。経済対話、サイバー安全、社会と人文関係、だから、こういう成果になるようなものは、おそらく最初から事前の調整で両方から発表できるようなものは既に用意されていると」
古森氏
「2プラス2という形はないですね。ただ、オバマ政権の、対中政策の最大特徴の1つは対話ですよ。戦略経済対話と言って、60とか70あるんですよ。いろんな分野に関して。トランプ氏は最初、排除するような形なのだけれど、残りがあるから、対話ということで、対話して悪いということは何もないわけで平和と同じように。だから、私はその情報を知らないけれども、対話の枠組みができたとしてもおかしくはないですね」
反町キャスター
「尖閣の話や南シナ海の話は、米中で話し合われるかどうか?」
小野寺議員
「今回、1番、中国側がしたいことというのは、オバマ大統領と習近平さんが一緒に散歩をしながら親しく会話した絵があったではないですか。あれを今回もとりたいのだと思うんですよ。ですから、明日どこかのタイミングでそれを入れて、散歩しながら 1対1で親しい人間関係ができるという関係がとれればいいなと。もう1つは、先ほど、呉さんがおっしゃったように、ハイレベルな対話の枠組みというのは事務的に既に合意していますので、その中で戦略分野とか、経済分野とか、サイバーとか、いろいろなところでの対話の枠組みができてくるのだと思います。これは事務方である程度FIXして上がってきたもので、問題は実際にお互いが言いたいことを言い合う中でテーマの1つに海洋問題があります。海洋問題のテーマの中で当然、南シナ海も触れて議論するのだと思うのですが、当初はこれがクローズアップされるはずだったのですが、北朝鮮のミサイルの問題が急に出てきて、アメリカもこれまであまり関心を持っていなかったのが今回初めて1番の関心事が北朝鮮のミサイル、核になりましたから。これが時間を占めるとすれば限られた時間の中で、圧縮される中で、海洋問題について、南シナ海、東シナ海の問題はもしかしたら、時間が少し短くなるかもしれません」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言 『日米同盟の堅持を』
古森氏
「トランプ政権になってから世界の激動というのがますます表面に出てきてね、その中で軍事というような日本にとって無力というか、苦手な分野・要素が大きな役割を果たすようなことになってきているから、日本が国家安全保障を守っていく、国民の利益、生命を守っていくためには当面はアメリカと歩調を共にすることが1番現実的だということで、あらためて日米同盟の効用を理解して、その堅持に努めようということです」

呉軍華 日本総研理事の提言 『歴史的転換点』
呉氏
「そもそもトランプ政権の誕生がポスト冷戦時代の終焉を象徴することであって、これが歴史的に大きく変わったんですね。どういう時代になるのかはまだわかりませんが。北朝鮮も核がこういう状況になっている中で歴史的に大きな変わり目でありまして、これに伴って米中関係も大きな変わり目に直面しています」

小野寺五典 自由民主党政務調査会長代理の提言 『同盟強化』
小野寺議員
「トランプ大統領の評価は様々あると思うのですが、私も古森さんと同じで、同盟の強化。日本の安全保障、経済も含め、生きる道というのは、トランプ大統領の評価が様々あったとしても、日本のスタンスは日米同盟の強化、これをしっかり進めるということなのだと思います」