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2017年3月30日(木)
テロ等準備罪の明と暗 自民共法務担当が論戦

ゲスト

古川俊治
自由民主党法務部会長 参議院議員
小川敏夫
民進党参議院議員会長 元法務大臣 参議院議員
仁比聡平
日本共産党参議院国会対策副委員長 参議院議員
板橋功
公益財団法人公共政策調査会研究センター長

『テロ等準備罪』の必要性は
松村キャスター
「これまで自民党は共謀罪を盛り込んだ法案を国会に提出し、3回廃案となりました。今回は、いわゆるテロ等準備罪を新たに盛り込み、今国会に提出。共謀罪とテロ等準備罪を比較したものがこちらです。適用対象は共謀罪が『団体』としているのに対し、テロ等準備罪は『組織的犯罪集団』としています。対象となる行為ですが、共謀罪が『重大犯罪の共謀』、つまり、4年以上の懲役や禁固が科せられる罪の共謀としていたのに対して、テロ等準備罪では『重大犯罪の計画』、さらに下見や資金調達などに準備行動を行った場合としています。さらに対象となる犯罪は共謀罪が重大犯罪となる罪を全て対象としていたため600以上に及んでいましたが、テロ等準備罪ではテロの実行、薬物、人身に関する搾取、資金源、司法妨害など5つの分類、277の罪が対象となっています。テロ等準備罪ですが、これまで3回廃案となった共謀罪とは具体的にどこが違うのでしょうか?」
古川議員
「団体と組織犯罪集団、実は国会答弁の解釈では似たようなことを答えているんです。団体でも絞りこまれると。今回は法文上、組織的犯罪集団と明確にしたということと共に重大犯罪の共謀、これも解釈上は一応、具体的な計画行為がないとこれにあたらないのだと答弁では答えているのですけれど、今回それも法文上で明確にしたと。かつパレルモ条約、TOC条約(国際組織犯罪防止条約)に許されているオプションですね。組織的重大な犯罪と、もう1つが犯罪を容易にする行為、前進させる行為ですね。それを条件としてもいいということになっていますので、国民の皆さんからずっと共謀罪についていろいろな懸念が示されましたので、今回は明確に物品とか、資金の調達、そういった準備行為があった場合に、これを予備罪とする、そういうことになったわけですね」
反町キャスター
「もともと共謀罪が3回廃案になっていて、今回テロ等準備罪に看板を書き換えて、犯罪対象も600から270に半分ぐらい減らしたという、これはなぜ看板を書き換えて、中身を変えたのですか?」
古川議員
「これまでの解釈をしっかり明示して、できる限り限定的に対応していくという姿勢を示すというところになります」
反町キャスター
「公明党の対応はだいぶ荒れました。公明党は何が引か掛かって、共謀罪ではダメだ。この看板に変えて数を減らせと言ったのですか?」
古川議員
「捜査の権限が広く濫用をされるのではないか。そういう国民の皆さんからの不安というのを取り除きたい、そういう思惑があったのだと思っています」
反町キャスター
「板橋さん、改正すべきかどうかについてはどう感じていますか?」
板橋氏
「これまで反対している方々が言っている共謀罪は3回廃案になっている。でも、当時私も観察していたのですが、1回目は小泉郵政解散によって廃案になっているんですよね、実は。2回目はこれも小泉政権の時に出たわけですけれども、当時の民主党が対案を出して、それを自民党が丸飲みして、でも結局は民主党が委員会採決に参加しなかったということで、結局は両方の案も廃案になっていると。3回目は2009年7月21日の麻生内閣の衆議院解散によって廃案になっているんですね。これは安倍、福田、麻生と、3代の政権に渡っていたのですけれども、ねじれだったわけですよね、どちらかと言うと、当時の共謀罪というのは私が国民の視点から見ていると、政争の具にされてきてしっかりと議論したという記憶がほとんどない。国民の皆さんもおそらくこの共謀罪、既に議論をされ、3回廃案になった共謀罪というものがどういうものなのかをほとんど知らなかったはずですよね。と言うことは、議論が尽くされていないということだと私は思います。今度こそです」
反町キャスター
「でも、それは板橋さんが言われている、この法律の意義というのが、テロとかではなくて、違う意味ですよね?」
板橋氏
「はい、その通りです。組織犯罪防止条約を批准するために国内法の担保法として、共謀罪の罪、もしくは犯罪組織への参加罪のどちらかが必要だということで、私はどちらでもいいと思うのですが、どちらかを早く整備して、早く批准すると。これは後ほど議論になると思いますが、そこが賛成している最大の理由ですね」

『テロ等準備罪』効果と運用
松村キャスター
「テロ等準備罪を新設するという、組織犯罪処罰法改正案ですけれども、様々な懸念について聞いていきます。まずこの対象組織を組織的犯罪集団としていますが、一般の組織、団体が対象になることは、これは小川さん、避けられるのでしょうか?」
小川議員
「たとえば、日本で言えば、いわゆる暴力団みたいなのがすぐ浮かびますけど、だけど、実際の法律を要件的に解釈すればそういうわけではないので、ごく普通の団体、宗教団体でも、労働組合でも、サークルでもいい、そういう団体が犯罪を行うことを目的にするとあたるんですよね」
反町キャスター
「組織的犯罪集団になってしまう?」
小川議員
「ええ」
反町キャスター
「それはテロにあたるもの、ないしはテロ計画、ないしはテロの謀議、準備行動、ないしは準備に関する相談などをしているということが明らかになった時点で、それが例え、巷のお母さん同士のお茶飲み会であっても、そこでそういう話が行われていると認定された時点で組織的犯罪集団に認定されるということになるのですか?」
小川議員
「テロに限らないですけれどもね。いわゆる重たい罪をやることを目的として団体になるとあたってしまうわけです。だから、具体的に言えば、業務妨害。労働組合がピケッティングと言って、事業場を封鎖すると形の上では威力業務妨害になるわけです。それを何回もやるぞと言えば、威力業務妨害をやることを目的としたと。あるいは条文を見ますと脱税が入っている。会社というのは組織ですから、会社組織が毎回、毎回脱税をしようとやっていれば、ここにあたってしまうんですよね」
反町キャスター
「そうすると組織犯罪と認定されてしまうということなのですか?」
小川議員
「そういう定義なものですから。つまり、暴力団、テロ集団という定義でないですよね。犯罪集団だから、犯罪を行うことを目的としたら、入っちゃう」
反町キャスター
「古川さん、ちょっと間口が広いのではないかという指摘だと思います」
古川議員
「今の要件は、その目的、継続的な結合関係があって団体と言うのですけれど、もともとの結ばれている基礎となるところが組織的な犯罪を行うことをもちろん、目的としているんです。たとえば、お婆ちゃんの集まりだとか。それはもともと考えずにやっているわけでありまして、会社も専らそんなことを目的に集まっているわけではないですよ。だから、そういうように条文の定義となっていますから、組織犯罪をやるために集まっている、そういう集団ではない限り組織的な集団にはあたらないということですね。組織というのはちゃんと役割が全部決まっていて、指示命令系統があって犯罪のために。そういうのを組織的犯罪集団と認定するわけですから。小川先生が言われたような、労働組合ですとか、会社ですとか、そういうものは該当しないわけですね」
反町キャスター
「認定範囲の広さ狭さというのは、どう感じていますか?」
仁比議員
「法案で限定したと言われるのだけれども、組織的犯罪集団にせよ、あるいは計画という合意にせよ、それから実行準備行為にせよ、極めて曖昧ですよね。なぜそうなるかと言うと、複数の人が話し合って合意をすること、あるいは実行準備行為と言われる、ATMでの出金だとか、ホームセンターで買い物をするだとか、そういうことと言うのは、それ自体どれもこれもありふれた日常行為的な行為なわけで、法律的に言うと、人の命だったり、安全だったり、財産だったり、侵害する客観的な危険性がそれぞれはないわけですよね。だから、どうして処罰するかと言った時に、その行為の目的だとか、考え方だとか、内心を故に処罰をするということになってしまう。だから、条文そのものも、あるいは解釈も極めて曖昧なものにならざるを得ないし、結局、それぞれの事案ごとに警察の判断になるということですよね。そうすると、濫用のおそれがあるということですね」
反町キャスター
「仁比さんは歯止めはないと思っているのですね?」
仁比議員
「ないし、あり得ない」
古川議員
「計画するというのは、具体的に本当に誰が何をやりますということを決めて、今にも危険性が高いという状況で初めて計画と言えますから。それで具体的にその計画に基づいて、準備行為というのはもともとの犯罪自体とは全然違う行為ですね。別個の行為とは違う、計画とは違った行為であって、それを進めるための行為。その犯罪の計画をして、やろうかと言って行った時に、その準備があった時にそこで犯罪が成立するので捜査ができるわけですよ。現在のままですと、たとえば、水道に毒を入れるという毒物混入罪というのがありますけれども、あれは入れないと犯罪にならないです。だから、もともとの準備があっても犯罪にならないので」
反町キャスター
「劇薬を持って、水道の傍にいるだけでは罪にならない?」
古川議員
「ならないですね」
反町キャスター
「それは話を聞いていると、犯罪要件の中でテロの実行というもの以外に、たとえば、反社会組織の資金源の調達とか、薬物とか、人身に関する搾取というのは、これはたぶん最初から、端からそういうものだと見てわかりますよね。ただ、テロに関してはここのところの、たとえば、宗教的なイスラム過激派の行動を見ていても、普通の宗教サークルかと思っていたら、様々な勧誘活動が行われて、そこで選ばれた人達がテロ活動に入るとか、膨大なる見えない部分というのが特にテロの実行ということに関しては著しいので、この案件が入ってきたことによって、なおさら歯止めの部分が見えにくくなっているということはないですか?」
古川議員
「たとえば、ISIL(イスラム国)があって、あれを目的に共鳴して入るということ自体については何もしていないわけですよ。それは危険性がないと。それではなくて、その中であっても具体的にこういうテロリズムを起こそうということを決めて、具体的に計画して、何時何分にどうすると、それは内心の保護ということからも逸脱していますね。完全に犯罪の実行を計画しているわけですから。それについてはいけませんよという、それは処罰しますよと、犯罪になりますと」
板橋氏
「テロ等準備罪という、略称なのか、名称なのかはよくわかりませんが、そこがちょっとわかりにくくしているところがあると思うんです。政府はテロという言葉を使うとわかりやすいと思ったのかもしれませんが、逆にわかりにくくなっている。ここはテロ対策というのと、TOC条約を批准するための国内法というのを分けて考えないといけないですよ。今回の法案というのは、まさに組織犯罪処罰法改正案ですよね。ですから、目的はTOC条約を批准するための法律の整備という位置づけでこの法律を出されているわけですよね。TOC条約は、そもそもテロを防ぐためのものではないわけです。これは組織犯罪によるマネーロンダリング等を規制する条約ですね。ただし、これは2000年にできているんですよ。2000年にできて、その時はまだ9.11の前です。2001年に9.11が起こるわけですね。テロの資金源対策というのが大きなテーマになってきたんですね。それには資金源対策には非常にこれは有効ですね。抜け穴になると言うのは、テロがこの条約を批准しないとテロが起こるというわけではなくて、日本の金融機関がマネーロンダリングに使われたりしますよと。そうすると日本の金融機関の信頼性が落ちますよという話ですね。テロとの関わりから言えば、最近のテロ組織は様々な資金源活動をしています。犯罪組織と同じような活動をしているんですね。たとえば、冷戦構造が崩壊したことで、つい先日政府と和平合意をしましたけれども、コロンビアのファルクというコロンビア革命軍。実は麻薬で収入を得ていたわけですよ。まさにメデジンカルテルと一緒になって、麻薬の収入で組織を維持していたわけですね。それから営利誘拐ですね、身代金目的の。アルカイダは、アフガニスタンは麻薬の栽培地ですから、その取引にまさに関わって収入を得ていたわけです。それから、最近のISですね。ISは石油の密売ですよね。これは組織犯罪です、完全に。文化財を破壊して盗品を売る、売買。これもまた密売ですよね。それからアフリカのボコハラムとか、これは象牙の密売だとか、あるいは宝石の密売、ダイヤモンドとかに関わっているんです。こういうものに対しては、実はこれが非常に有効ですね。」
反町キャスター
「でも、直接防げないんじゃ…」
板橋氏
「それを私はずっと言っていた。それでテロを防げるわけではない。今回のこのテロ等準備罪、共謀罪でもいいのですけれど、それはあくまでもこの条約を批准するためのものであって、それが第一前提です。なおかつテロも防げたらいいなという話でできている法律ですね」
反町キャスター
「副次的な効果をもって、あたかもそれが表看板に出ていることが…」
板橋氏
「私はわかりにくくしたと思いますね」
仁比議員
「板橋先生流に言うとわかりにくくしていると。私流に言うと共謀罪を通さんがために国民を欺くやり方だと。だから、もともと政府の原案にはテロなんて一言も入っていなかったものが、『与党審査の中でテロリズム集団その他の』という文言が書き加えられた。安倍首相にこれが入ったことで犯罪の成立範囲が変わりますかと。あってもなくても変わらないと首相自身が答えるわけですから。だから、付け足しだと、テロというのは」
小川議員
「テロは許さない。全力を挙げて取り組むのにはまったく賛成です。だから、テロ対策をやるというのは賛成です。ただ、テロ対策以外のまさに幅広い犯罪に投網を打つようなものをつくる必要はないので、テロ対策ならテロ対策にもっと有効なものをつくりましょうということ。それから条約は、私どもは賛成するのは賛成です。当然、加盟すべきです。ただこの政府の出している共謀罪を成立しなければ条約に加盟できないということではなくて、私は条約の34条、各国の基本原則の範囲で努力をすればいいわけですから、現行法制のまま入れるという考えです。条約に加盟するということは、私は賛成です」
板橋氏
「だとしたら、なぜ、民主党政権の時にやらなかったのか?これは行政不作為を問われますよ、民主党は」
小川議員
「それは官僚が動かなかったからです。これは条約のことですから、法務大臣だけではなく、これは外務省の所管ですから。こう言っているうちに特に1番熱心だったのは平岡大臣の時に現行法制のまま加盟しようと言っても、動かなかったんです。これは事実です。だらしないと言われれば、だらしないかもしれない」
反町キャスター
「法務省ではなくて、外務省ですよね?メインは」
小川議員
「もっと広く言えば官僚ですよ」
古川議員
「テロとテロ集団その他の組織的犯罪集団と、テロ集団その他というのを挿入するか、あるいはそれを入れないか。自民党でもかなりの議論になりました。我々法律のプロだと、そんなの入れるとわかりにくくなると。パレルモ条約の主旨が。それは我々もプロですし、板橋先生もこの議論に慣れているから、それはその部分をずっと話し合って、何じゃいというのが、国民の皆さんがすごく不安になるわけです。一般の皆さんに資金とか、密売がどうだとか、よくわからないわけですね。そういう一般の立場の国会議員からはテロ等、組織等というのがあった方がわかりやすいのだと。そういう組織的な犯罪であるから、テロも含まれているわけですよ。そういうのを入れた方がわかりやすくなるという意見もあったのでそちらになったというのが事実です。それはどちらがわかりやすいか、わかりにくいかという話ですから。先ほどのことで申し上げれば、民主党政権の時には小川先生が大臣をやられていたのですけれども、その前の江田先生の時には、現行法のままでは入れないからちゃんと法案整備をしましょうと言っているんです、国会答弁でも。先ほど、平岡大臣の話がありましたけれども、彼は勝手に言っただけですね。勝手に省庁と連絡をとって現在のままで入れると思ったんですよ、彼は。省庁は現在のままでは無理だという認識ですよ。だから、法律を改正しないと入れない」

『テロ等準備罪』意義とリスク
松村キャスター
「そもそもTOC条約とは2000年に採択され、現在187か国が締約しています。主な目的は『国際的な犯罪組織防止への協力』で、犯罪人引き渡しや、捜査共助が出来ます。日本は2003年に署名し審議入りしたものの、国内法の整備が不十分だったとして締結には至らず。」
反町キャスター
「TOC条約に参加するために必要なもの。参加要件として、共謀罪、参加罪というものを国内法で整備することが参加するための前提条件であるのだと僕らは理解しています。そのうえで今回は共謀罪を国内法で整備したうえで、TOC条約を締結したいのだけれども、3回廃案になってきたというのが、これまでの歴史的経緯ということでよろしいですよね。共謀罪と参加罪を整備しなくてもTOC条約に参加できるのかどうか?」
仁比議員
「条約そのものに国内原則に沿ってこの条約の目的を達成してくださいという条項があるわけですね。国内法の基本原則というのは、わかりやすく言えば、憲法に沿って。共謀罪との関係で言うと、思想・良心の自由を保障する19条だとか、言論・表現の21条だとか、刑事法制での罪刑法定主義やデュープロセスというのを保障した31条、こういったものにちゃんと沿って必要な措置をとってくださいと」
反町キャスター
「共謀罪が参加条件とするのと自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとればいいという、どちらを優先されているのですか?矛盾しているように見える」
仁比議員
「私は(TOC条約)34条にいう国内法の基本原則と」
反町キャスター
「なぜそちらが上位概念に規定できるのですか?」
仁比議員
「それぞれの国の歴史で、大陸法系、英米法系と言われるような国々があり、日本をはじめとしたアジアの国々というのは多くは大陸法でも英米法でもない別の法体系の国です。条約によって、憲法や刑法の基本的な法体系そのものを変えてしまう。条約に調印したことで変えてしまうというのはないですよね。憲法が優先するということだと」
古川議員
「憲法に違反する法律は皆、無効ですから。これは両立で矛盾していないですよ。だから、国内法の基本原則に沿ってここをつくりないさいと言っていると。矛盾していないです。いくら今回の合意罪、計画罪をつくったって…」
反町キャスター
「自民党は矛盾しないと言いますよね」
古川議員
「そこで具体的な犯罪を計画してというところまでいけば、内心の自由とはまったく違う段階ですよ。そこまで憲法は包含しませんよ、内心で思っていることと違うではないですか、具体的なのだから」
小川議員
「矛盾していないですね。共謀罪と参加罪が義務だと書いてある。それは原則です。だけれど、その義務を履行するためには国内法の基本原則でいいよと言っているんです。だから、日本は日本の基本原則で必要な措置をとればいいだけ。憲法の基本原則は何かと言うと、仁比さんは思想・良心の自由を言いましたけれども、もっとわかりやすく言えば、客観的な犯罪行為がないのに処罰はしないよと。処罰は、客観的な犯罪という外形行為があって初めて処罰するのだというのが基本原則です」
反町キャスター
「共謀罪という理念自体が日本国憲法と矛盾するということではない?」
小川議員
「刑法の基本原則には許されないことですね、共謀罪も、参加罪も」
反町キャスター
「そうすると、共謀罪も参加罪も日本の法律としては成立できないという立場ですね?」
小川議員
「立法してしまえば、憲法に違反するかどうか微妙なものがあるけれども少なくともずっとこの近代憲法をつくって以来守ってきた刑法の基本原則にないものですね」
古川議員
「それはこれまで刑法にも既遂が原則にはありますね。未遂罪もたくさんあるし、予備罪もちゃんとあるではないですか。だから、日本の刑事の体系というのも既遂をやっているわけではないですよ。広く重大犯罪については、必要があるから予備罪があるわけですから、その体系で今回のテロ等準備罪はそういうものに限って、計画があって、かつ実行準備行為があるところをやっているわけですから、なんら現在の憲法の基本原則と対比しないですよ」
仁比議員
「共謀罪というのは600以上の罪、今回は277だと言うけれども、それは一挙に合意を処罰対象にするという罪ですよね。たとえば、殺人、あるいは内乱、こういう重大な法益の侵害が目的になっているということであるから殺人は未遂を罰するけれども、予備も罰すると。内乱も陰謀を罰するというものとは、提案されている共謀罪というのは意味が全然違うわけですね。これまで現行法で未遂も予備も罰せられていない行為を全部処罰するということになっている。未遂や予備が処罰されないものも合意だけは処罰されると今度はなっています。そのことをこれまで政府は長期4年以上の法定刑を定めている罪は全部、合意か参加を罰することが義務づけられていると。その罪というのはかつて615でしたし、今回は676となるのですけれど、その罪を犯罪の性質によって選択してはならないということもずっと言ってきたんですよね。今回は277と選ばれたのですけれど、そうなると、これまでの条約が義務づけているものは何かという政府の説明というのは全部ごまかしだったのではないのかと思います」
反町キャスター
「TOC条約に、最終的に参加するために日本は共謀罪を新たに設けないけれど、こういう法律があるので、これをもって共謀罪に代わるものであるということで、TOC側を納得してもらうものはないのですか?」
小川議員
「推進する行為を処罰するという解釈があるのだけれども、わが国は重要な犯罪については予備罪というものがありますから。もう1つは刑法の理論ですけれども共謀共同正犯というのがあって、共謀したら共謀した誰かが犯罪の実行に入れば実行しなかった者も処罰されるというものが判例上、わが国の刑法で確立しています。その範囲で十分(TOC条約に)入れると」
古川議員
「共謀共同正犯は、犯罪が成立してからでなければ成りませんから。先ほど、申し上げたように、水道に毒物を入れるというのは入れていないとダメなわけですよ」
小川議員
「その水道の罪について未遂予備罪を設ければ済むことです」
反町キャスター
「それは1つ1つ埋めていくということですか?」
小川議員
「埋めていけばいいですね」
板橋氏
「FATF(金融活動作業部会)というマネーロンダリング、テロ資金規制の国際的な枠組みがOECDを中心につくられているわけですけれど、これは先進国が35か国ぐらい加盟しています。ここから早く国内担保法を整備して、条約を批准しろと何度も言われているわけですよ、日本は。2008年の10月に1回言われて、今度2014年の6月にFATFから異例の声明が出されているんです。日本の国内法の現状ではできないということ」
小川議員
「第34条第1項の国内法の基本原則、なぜこの条約にこれが入ったかと言うと5条だけではわが国は難しい。ですから、わが国がこれを提案して入った、原則なんです」
古川議員
「現に予備罪があるわけです。我々も今回は共謀罪にしたのは、組織犯罪集団、明確に犯罪をやるための組織に限っているわけです。一般の人達でもないし、それによって国民に対して影響が大きい、そういう犯罪だけを計画プラス実行準備行為で罰すると言っているから、大きい犯罪について特別に規制原則を広げているという法体系にまったく整合性がないわけではないと思う」

『テロ等準備罪』の安全装置は
松村キャスター
「人権が侵害されるのではないかという声があがっていますが、捜査権濫用のリスクというのは?」
古川議員
「捜査の手法については、現行法と変わりませんから。刑事訴訟法も正式な手続きがなければできませんから。そういう中でやるわけであって実態の方として新たに組織的犯罪集団という犯罪をやるような集団だけに限定して、それが具体的な犯罪の計画をして実行準備を始めると、危険性がそこで出てくるわけで、それで処罰ができるわけですから、内心の自由なんて何も関係がないですよ」
小川議員
「私は警察を基本的には信頼していますし、だけど、100%絶対に信頼しているか、間違いを犯さないかというとそこまでは思っていない。これまでも問題になった捜査があるわけですから。共謀罪というのは外形行為がなくて相談だけですから、誰か適当な供述書をつくれば、それで不正な差し押さえ、あるいはでっちあげができるということになってしまう。そうすると、警察がそういうことをやれないような体制はしっかりと構築しておかなくてはいけないのではないかなと思う。法的な意味で、そういう濫用、不当なことがないような仕組みをつくるということが大事だと思うんです」
仁比議員
「先ほど濫用リスクに歯止めをかけるのは無理でしょうと申し上げたのは、危険のない、ありふれた日常的な行為が処罰の対象になるということですよね。先だって、金田法務大臣が実行準備行為がなければ処罰しないというから、その例として関係場所の下見と法案にも出ているものだから、下見と花見や散歩はどう違うのですかと国会でお尋ねしたわけですね。金田大臣の答弁は『犯罪のために散歩しているのか、花見をしているのか、そうではなくて、下見のために歩いて散歩をしているのか。そういうところの違い』と考えていますとおっしゃって、もちろん議場は爆笑で、速記中止ですよね。その間に、黒子の官僚が一生懸命にして、結局、お答えになったのは目的が違うのだと。しっかりと素行を調べるのだとおっしゃったんです。目的、散歩と下見では外形は全然変わらないわけですから、内心、何を考えてやっているかということですよね、目的というのは。素行を調べるというのは、つまり警察が調べるということです。ですから、一般市民か、それとも計画の実行準備行為をやっているのかというのは結局、警察が決める、判断する、まずは、ということになってしまう。それが結局、実行準備行為などという話になって、こういうありふれた日常生活との境界線がどこにあるのかが全然わからない。あとは人の考え方次第ということだと、これは濫用に歯止めのかけようがない」
板橋氏
「自由と安全のバランスということをよく言っているのですけれども、テロ対策とか、こういった法律の場合は人の自由とか権利を制限する側面を持っているわけですよ。立法する時と運用する時は常にバランスを考えながらやっていかなければいけない。過度な法律は必要ないし、立法する際も日本にとって安全と自由のバランスを考えながら、日本においてどのへんのところが妥当かというのを考えながら、これもまさに国会の責任ですよね。運用についても常に安全と自由のバランスを考えながらやっていかないと、国民の理解を得られなければテロ対策はできないですよ。だから、確かに濫用に関する懸念があるのかもしれない、あるのだったらそれに歯止めをかけるような法律なり、あるいは条件なりをつけていけばいい話。よく戦前の治安維持法と比較されますが、警察制度がまったく違いますよね、少なくとも捜査に置いては令状主義ですし、公安委員会の管理のもとに行われるわけですよね。これは戦前の教訓をもとに公安委員会制度、政治の影響力をなるべく少なくすると言ってつくって、現在でもこれを運用しているわけですよね。制度がまったく違うということも考慮に入れなければいけない。立法する際によく議論をして、たとえば、通信傍受法だと令状発布も3つの厳しい要件がある、あるいは付帯決議には、市民団体、労働組合の正当な活動を阻害することのないようにという付帯決議が入っているんですね。ある国家議員の先生に付帯決議も重要ではないですかと、そういう歯止めも必要ではないですかと言ったら、そんなもの何も意味がないと。先生、それは自分の仕事を否定することになりますと。これは意味があるんですよ、運用する行政側からすると、国会は三権のうちの1つで、そういう条件を課せられたということは非常に意味のあることですね。ですから、今後も知恵を絞って、まさに国会議員の仕事ではないですか。濫用の懸念があるのだったらそれはちゃんと歯止めをかける必要があると思います」

古川俊治 自由民主党法務部会長の提言 『今国会での成立 日本の安全 笑顔の2020夏』
古川議員
「今国会でこの法案をしっかり成立させて、早く条約に入ると。日本の安全と書きましたけれど、世界の安全ですよね。組織犯罪がない、なるべく防止していくという体制をしっかりとっていくと。それが現在いろいろな意味で危険にさらされている日本を守ることになると。オリンピック、2020年夏は皆で、笑顔で迎えましょうと」

小川敏夫 民進党参議院議員会長の提言 『権力暴走の歯止め』
小川議員
「まずテロは許せるものではありませんので、こういう不完全なものではなく、しっかりとした議論で完全なテロ対策に取り組みたいと思います。この法律はテロ対策に名を借りた共謀罪です。相談しただけで外形的な行為がないのに犯罪とするということは、人権が侵されると言いますか、権力が暴走するという危険がありますので日本の民主主義を守るために、この共謀罪は控えていただかなければならないと思います」

仁比聡平 日本共産党参議院国会対策副委員長の提言 『本質は歯止めなき共謀罪』
仁比議員
「条約は現行制度で締結できると申し上げてきた通りですけれども。テロとか、あるいはオリンピックということを首相を先頭に政府は強弁するわけですけれど、本質は歯止めのない共謀罪ということがはっきりしてきたと思うんですね。私は憲法違反の共謀罪と強く申し上げたいと思うんです。先ほど、令状主義が戦後とられているというお話はもちろん、制度としてそうなのですけれども、戦後の捜査機関はその令状主義を先達して数々の濫用をやってきたし、この間もGPS(全地球測位システム)の判決などをはじめとして、あるいは昨年の別府署の盗聴、隠し撮り事件、こんなことが繰り返されてきたと。そこに反省もないし、これからもやると言っている。そういう捜査機関を信用するわけには絶対にいかない。この濫用を絶対にさせないという、憲法違反の共謀罪を葬り去るために力を合わせたいと思います」

板橋功 公共政策調査会研究センター長の提言 『丁寧な説明 しっかり議論 自由と安全』
板橋氏
「政府は丁寧な説明をしてください。また、国会はしっかり議論をしてください。常に自由と安全のバランスを考えながら、立法し、運用する必要がある。オリンピックがあろうがなかろうがこれはやらなければいけないし、また、政局、あるいは政治の駆け引きにしてはいけない、対決法案にしてはいけないと。しっかり議論をしていただきたいと思います」