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2017年3月27日(月)
検証『東芝経営危機』 巨額損失と原子力事業

ゲスト

山際大志郎
自由民主党副幹事長衆議院議員 元経済産業副大臣
後藤政志
元東芝・原子力技術者 NPO法人「APAST」理事長
町田徹
経済ジャーナリスト

米・原発建設『つまずきの始まり』は…
松村キャスター
「東芝の経営を大きく揺るがしたアメリカでの原発建設。この経緯から見ていきます。まず2006年、世界的に知られるアメリカの原発事業者ウエスチングハウスを東芝が6400億円で買収。2008年には、アメリカの国内電力会社サザン電力、スキャナ電力から原発4基、2兆円規模の建設を受注します。ウエスチングハウスが原子炉の設計等を行って、建設工事は、ストーン&ウェブスター社が請け負うという共同プロジェクトとしてスタートすることになっていました。このスタート段階で、後藤さん、そもそもこの6400億円をかけた買収そのものをどのように評価をされますか?」
後藤氏
「もともと相場はだいたい3000億円台と言われたものを買い取っていますから、非常に無理をしているのは明らかです。ただし、あの当時、東芝が原子力に打って出ると、特に輸出ということを考えると、BWRという型式が違うんですね。沸騰水型をBRWと言いまして、東芝は沸騰水型ですけれども、ウエスチングは加圧水型、PWRを持っているんですね。国際市場では7割がだいたいPWRです。国際市場に打って出るには加圧水型を手に入れたいんです。そのためだったら六千何百億円も惜しくないという考え方です。そうすればバラ色に入ってくるはずだと、たぶん打って出たのだと、そう考えられます」
反町キャスター
「7割を占めている加圧水型を持っていない、技術がないと国際的な原子炉市場に打って出られない、その判断からという、そういう意味でよろしいですね?」
後藤氏
「その通りです」
反町キャスター
「それは、要するに、国際的な原子炉市場というものがこれから、将来バラ色だよというのが大前提ですよね?」
後藤氏
「そうです。原子力の政策として日本に1番の影響が大きいのがアメリカですね。アメリカはスリーマイル島事故、1979年の事故以降、1基も原発をつくっていなかった。そのあとにもう1度やってみようかという話になって、日本も含めて、原子力ルネサンスと称して、バラ色の成長戦略をつくったわけですよ。それに乗っかるならばウエスチングを買収するお金も決して無駄にはならないという考え方ですね」
反町キャスター
「倍、払ってもいい?」
後藤氏
「そうです。十分計算が合うのですから。そこで何十基もつくれるわけですから。そうすると、むしろバラ色に見えたかもしれない」
反町キャスター
「町田さん、どうですか?適正価格3000億円と言われるものに6000億円を払った東芝の判断は?」
町田徹氏
「適正でなかったら何が起こっていたかということを考えてみればいいと思うのだけれども、後藤さんが、相場3000億円とおっしゃいました。実は三菱重工が3000億円というオファーをしていたんですね。それを倍以上出して、横からかっさらっていったというのが東芝で、それはおっしゃられたように夢があるのだと。成長戦略があるのだということを言っているのですが、それが言えなかったら即座に、現在、問題になっている減損処理を2006年にやっていないといけないです。企業価値を超えて3400億円も高く買っているわけですから、その時に損失が発生したはずです。それを発生させないためには、ずっと原子力は成長産業だと言わざるを得なくなるわけですね。最初に買い方を間違えておいて、その間違いを直した瞬間に減損処理になるわけですから。10年以上に渡って成長産業だと言い続けるしかなかったんです。それを直すチャンスは少なくとも私が外形的にカウントをしても7回ぐらいあります」
反町キャスター
「後藤さん、技術者の目から見た時に当時、買収した頃のウエスチングハウスの技術。1979年のスリーマイル島の事件から20年以上経って、新規の原発はゼロですよね。要するに、原発の会社と言いながらも、20年近くつくっていないウエスチングハウスという会社に対して、それを評価するか、しないか。そこはどう見ていますか?」
後藤氏
「原子力というのは、特殊な面がありまして、最初につくった、たとえば、沸騰水型、型式がありますね。加圧型もそうですけれども、型式、基本の原発の型式は米国が持っているんです。日本は持っていないです。だから、それをつくる技術は持っていますけれども、基本は向こうが持っている。基本的なところ。特許を超えているのですけれど、たとえば…」
反町キャスター
「ブラックボックスになって公開されていない?だから、持っていないのですか?」
後藤氏
「あるところは握っているんです、向こうが。それと、たとえば、海外に日本が、自分達で勝手にできるかと言うと、それがなかなか難しいところがある。アメリカと一体にならないと難しい」
反町キャスター
「たとえば、ちょっと話が飛ぶかもしれないけれども、日本が原発輸出を国策としてやろうとしているとは言いながら、そこには必ずアメリカの、日本が知らないブラックボックスが噛んでくる、そういう話ですか?」
後藤氏
「関係すると思います。日本側としては日本の技術的な意味で言うと、アメリカから吸収し切ったから、これから自分でできることがあります。でも、米国側から見ると、ちょっと違ってこれは米国の原産技術であると。つくり方は日本でやってきた。そうなると、かつて貿易摩擦があった時に東芝機械事件というのがあったんですね。ココム事件という」
反町キャスター
「スクリューの音を下げるみたいな?」
後藤氏
「あの機械自身は外為法で規制がかかっている。米国管理法でも規制がかかっている。それを無許可で出したでしょう。原子力も同じです。原子力も半導体も同じです。それももし米国側の了解なしに勝手にやった場合には、米国側から見ると米国輸出管理法違反を問うことが可能なものがあるんです」
反町キャスター
「アメリカ国内法にそれが整備されているんですね?」
後藤氏
「そうすると、域外適用される。域外適用というのは日本に対して…」
反町キャスター
「日本は、それまで沸騰水型の技術しかない東芝が加圧水型で世界市場に打って出ようと思ったら、ウエスチングハウスを買収するというのは、それがアメリカからの訴訟も防ぐ保険の意味もあると、絶対に押さえておきたかった」
後藤氏
「そうです。そういう意味があると思います、私は」
反町キャスター
「そうすると、3000億円が6400億円になっても高くはないと。東芝のちょっと気持ちもわかる?」
後藤氏
「そういう意味がある」
松村キャスター
「東芝のアメリカでの原発建設計画を再びパネルで見ていきます。2011年の東日本大震災を契機としまして、アメリカでも安全基準の見直しがあって、原発計画も大きく見直されます。工期延期など増加する建設コストの分担を巡って電力会社と現場2社の間で訴訟が相次ぐ事態に陥りました。計画は、暗礁に乗り上げてしまいます。事態を打開するため、東芝とウエスチングハウスは、建設会社のストーン&ウェブスター社を2015年に買収します。ここからはウエスチングハウスのプロジェクト契約となって電力会社との間で費用の上乗せなど交渉するということですね。建設再開にまでこぎ着けるという経緯がありますけれども、後藤さん、訴訟で争っていた相手を買収するというのは日本の感覚ではちょっと不思議な気もしますけれども、アメリカではあることなのですか?」
後藤氏
「やはりちょっと焦ったのではないかと思うんですよ。東芝としては損失が大きくなってきたでしょう。だから、何とか早く決着をつけないと会計の締めもずっと遅れているわけですから。すると、切迫しているわけですよ。そうしたら、何をするかと言ったら、1番、その時に、多少はあるだろうけれども、問題を解決してしまった方がいいと、金を出してでも、という発想をとったのでないかと推測されるんですね。そうすると、買収しようと。買収する時にきちんと評価しているかと言うと、それができていなかったのが実際ですが。その背景には今言った焦りがあったのではないかと見える」

東芝経営陣『判断の誤り』は…
反町キャスター
「東芝は3.11を見ても…」
後藤氏
「決定的になったんです、あれが。その前からあったのですけれども、あの読み間違いがもっといくだろうと思って、イケイケドンドンしちゃったわけですから。あれで抑制をすれば良かったんですよ」
反町キャスター
「何でそうなっちゃったの?と変な質問ですけれども」
後藤氏
「それは、だから、自分達から売った原子力産業界全体が、経産省と、それから電力会社とメーカーと全部ですよ。原子力関係総体が夢を描いていたんですよ。その延長線上で、それが3.11以降も継続をするなんていうことを考えること自体おかしかったんですけど、それを誰も反省していないですよ。東芝が反省していないのもそうですけれども、原子力業界全体がそこを反省していないと見える」
山際議員
「そこまで言うと私は言い過ぎだと思います。世界の潮流として原子力発電をもう1回見直すべきだと言ってきた、その背景には、いわゆる気候変動というのがあったわけですね。これ以上、CO2(二酸化炭素)を排出してはいけないという大きなそういうムーブメントみたいなものがあったというのもあるわけですから、一元的なものの見方はいけないと思うんです。確かに国としてはエネルギー基本計画をつくり直しても、原発に対する依存度は減らしていくと言いながらも2030年の姿で20%から22%、電気をつくる中の、そこは原子力にもってもらわざるを得ないという判断でやっているわけです。ですから、原子力そのものはバラ色かどうか別かもしれませんけれど、少なくとも継続できる、持続性の見込める産業であると見るのは自然だと思います」
反町キャスター
「2011年以降もね」
山際議員
「実際にそれは、確かに頓挫しているプロジェクトはたくさんありますけれど、本当に原子力発電そのものがこれでなくなるかと言ったら、現在ある原子力を保守、管理する仕事だって残るわけだし、新しいものをいけいけどんどんで建てるかどうかという話は別にして、原子力発電そのものがいきなりなくなる産業と考えない方がいいのではないでしょうか」
後藤氏
「事故の規模のリスクと経営リスクが一体となっていることが、今回わかった。原子力と事故はこれだけリスクがでかいということがわかって、でも、何とかやろうと思って、経営の方も一緒にがんばったと。原子力の持っている巨額な変動の大きなリスクがあるわけです。それから、経営リスクもあるんです。経営リスクというのは、たとえば、ベトナムに我々は何十年も突っ込んできた、やろうとして。ですけど、ベトナムは引いたでしょう。社会的なリスクですけれども、結局はやめたでしょう。それは経済性と安全性の両方ですけれども。そうすると現在、台湾も引いているし、世界中、原子力でいけいけどんどんというのは中国、インドぐらい。インドはまだちょっとですけれども、中国ですよね。ですから、そういうところですけれども、他はそこにいけない状態になっているということが、何かと言うと、原子力のリスクの大きさというのがずっしりきているというのが私の考え。それを即、止める、止めないという議論はナンセンスです。そうではなく、原子力というのを撤退して、やめて、こういう努力をするかどうかという1点に尽きるんですよ。それを曖昧にするから問題が起こる」
反町キャスター
「それ政府の話ですか?民間は?」
後藤氏
「民間も私は一緒だと思います」
松村キャスター
「東芝とウエスチングハウスが、アメリカで進めた4基の原発建設ですけれども、その計画の中で買収した建設会社ストーン&ウェブスター社、この財務状況について買収したあとに詳しく調べてみますと、想定した以上に悪いということが判明してしまいます。東芝は2016年にその穴埋めとして原子力事業全体でおよそ2500億円の減損を計上することになります。さらに昨年末、工事が30%ほど進んだ時点で、工期遅れですとか、設計の変更などから予定より7000億円以上経費がかさんでいることが判明し、東芝本体が債務超過に陥る可能性まで出てきてしまったというのが現状です。3月17日に日米経済閣僚会談で、ウエスチングハウスに関しては、東芝の財政的安定性はアメリカにとっても非常に重要だと話をしました。この発言の背景とされるのが債務保証の問題で、進行中の原発建設が仮に頓挫をした場合、東芝が負う債務保証は7934億円。アメリカ政府は9400億円、この債務保証を負うことになっているということです」
町田氏
「ボーグルの2基、2008年に発注とあります。実際の契約は2012年です。4年も何をやっていたのかと言うと、NRCの基準づくりとか、本当に強度は大丈夫か。大丈夫なのかテロ対策は、耐震対策は、竜巻対策はと延々とやっていますので、これは、NRCはそれでいいのですけれど。一方、早くやれと言っていたエネルギー省にするとたまらない話ですね。だから、エネルギー省の方からは、そのコストはお金を出してあげないけれど、何かがあって借金をするのだったら保証人ぐらいにはなってあげますよ、というぐらいの債務保証です。だから、これもお金を出すつもりなかったのだけれど、もしこれでサザン電力グループが破綻するということになれば、アメリカ政府が出さなければいけなくなりますので、ただ、これもすごく変なのは東芝がウエスチングハウスのチャプターイレブンを申請するのは、別に民民の問題です。アメリカ政府が保証しているのは発注元のサザン電力グループですから、東芝は関係ないですよ。東芝は、だから、ウエスチングハウスの破綻処理をしようと何をしようと自由です」
反町キャスター
「でも、サザン電力グループは工事がのびる、ないしはコストがかさむことに関しては、もともとつくり手の東芝との契約で損失が出たら、お前が負担しろと?」
町田氏
「その通りですけれども、契約を結んでいた会社が潰れてしまえば、それは文句の言いようがないでしょう。そういうことですから」
反町キャスター
「これは、僕の理解が違っていたのかな。東芝の7900億円の債務保証と、アメリカ政府の9400億円の債務保証というのは重なっているわけではなく、合わせて1兆6000億円の債務保証があるわけではなくて、要するに、東芝がどうにもならなくなった時にアメリカ政府が9400億円まで出しますよと」
町田氏
「もっと正確に言うと、東芝の7934億円というのはウエスチングハウスへの債務保証です。ウエスチングハウスからストーン&ウェブスターへの債務保証の実態はわかりません。差額分だと言われているだけです。ストーン&ウェブスターのサザングループへの債務保証は高騰分を見ることだと言われています。そこも正確には出ていないんです。一方、そういうことをやっていって、破綻の危機に瀕して、借り入れをするのだったら、サザン電力に対して、アメリカ政府は借金できる保証をしてあげると言っているだけです。だから、ここでなぜ世耕さんがしゃしゃり出てくるのですかと。人の、借金の肩代わりの話を、なぜ頼まれもしていないのに日本政府が行くのですか?すごく変な介入をしているんです」
山際議員
「これはまさに誤解を解かなければいけないので、この話が出てこれで終わりです。すなわちこれはおっしゃるように基本的には民民の話ですから。民民の話に、両国政府が出ていくことはないよねと。それはアメリカの政府も、日本の政府もコンセンサスです。なので、これはこういう発言があってこのあと続けて細かい話があるわけでも何でもない」
反町キャスター
「そのウエスチングハウスの親会社の東芝が転ぶとウエスチングハウスとストーン&ウェブスターにも影響が及ぶと。それが、要するに、トランプ政権のジョブだ、仕事だ、雇用だ、というのに影響が出るから、それはダメだよと言うので、そういう意味なのですか?これは」
山際議員
「アメリカの方の意図がどうかというところまでは、この発言だけで読み切ることは、僕はできないと思います。しかし、先ほど、私が発言させていただいたように、あくまでもこれは民民の話ですね。実際に民民の話です。それは債務保証を米政府がしているということはあるにせよ、基本的には民民の話です。ですから、民民でやってもらうことだよねということを確認したと捉えるべきではないか」
反町キャスター
「民民という割に、アメリカ政府としての債務保証はやっていて、日本が入っていない。日米政府のその立場の、スタンスの違いについて?」
後藤氏
「東芝はこの11条申請をウエスチングにするでしょう。と言うことで、そういう意味では、損失をチャラにしてもらうわけではないですか。と言うことは、それは日本国内ではなく、アメリカでやることですよ。他方、アメリカで国が、政府が直接ではないのだけれども、関連でこれだけの金を出すという、損失を出すということは国民の立場から見ると、日本の方から出してこれがダメだからと言って、向こうでアメリカ側が出すとそういうことになるんです、論理的には。そうすると、日本に請求が来ないのと」
反町キャスター
「日本企業の失敗で焦げついた分を、なぜアメリカ政府が国民の税金を使うのか?」
後藤氏
「なるのではないかと。ここを心配している」
山際議員
「ですから、ここから先の具体的な話が出なかったということは現在アメリカ政府としてもそこは検討事項に乗っていないと。そう判断するのが妥当ではないですかと。これから先というのはこれから先のことですから、あるかもしれませんけれども、少なくともここでの会談の時にはそこまで突っ込んだ、後ろ側に何か深いものがあって、この発言が出てきたと考えるのはちょっと穿ち過ぎだと思います」
反町キャスター
「町田さん、穿ち過ぎですか?現在の後藤さんの話。日本の企業の失敗に最終的にアメリカの税金を投入することに対する、要するに、トランプ政権がどのように説明するのか?」
山際議員
「実際にはもし破産法11条が適用された時に、東芝は1兆円を超えるぐらいのお金は突っ込んでいかないといけないことになっていくと思います。ですから、その補填の原資がどこになるかというのは、これからのまさに裁判所が入った中での、ステークスホルダーの中でのネゴシエーションの中で決まっていることであって、米政府がいきなり9400億円を出さなければいけないと言う話ではありませんから」

東芝経営について言いたい事、聞きたい事
松村キャスター
「山際さん、視聴者の方からですが、『東芝は今後も国内の原発事業は続けるべきでしょうか?原発事業は非常にコストのかかる事業なので、他の経営が安定した事業者に東芝の原発事業を売却した方が良いのではないでしょうか?』とのことですが」
山際議員
「1番大切なことは原発事業が継続していくということであることは間違いないですね。そういう観点から言ったら、東芝という名前の会社なのか、それを違う会社が、事業体を受け継いでやるのかというのは本質的にはないかもしれません。しかし、敢えて私は申し上げますが、その事業をやっているのは人ですよね。現場で汗をかいている方や技術者の、モチベーションをきちんと保って将来を見据えて、腰を据えてやってくれるかどうかということを考えた時に、私は東芝でやる方がモチベーションは維持できるような気がします」
反町キャスター
「集約してまとめて、政府の何らかの支援というものがあって、原子力専門の大きなオールジャパンの会社を作るとか、そういう話ではないのですか?」
山際議員
「そういう話が出てくるのでればそれはそれで検討に値するものだと思いますが、今現在そういう話は出ているわけではないので、現実的にはそうかなと思います」

稼ぎ頭『半導体事業』の今後
松村キャスター
「東芝の半導体事業、東芝メモリの入札は今週水曜に締め切られる予定ですけれども、町田さん、名乗りをあげる買い手の見通しなどは?」
町田氏
「10社ぐらいあると言われていまして、現時点で東芝メモリと提携しているアメリカのウエスタンデジタルというパソコンのハードディスクの会社が、サンディスクと組んでというのがあるのではないかと。それから、日米のファンド、韓国の電機メーカー、中国の電機メーカー、日本の産業再生機構あたりが出てくるのではないかと、全部で10社ぐらいと言われていますね。ウエスチングハウスを新たに処理することになってしまったので、それがなければ7000億、8000億円ぐらいで従来出ると思っていた部分だけで、債務超過に陥っている分をクリアできると思っていたと思うんです。だけど、もっと大胆にやるという話になってきましたので、より高く、たくさん売りたい。これも振り返っていただくと、12月に出てきた時は部分的に売却しますと言ったんですね。部分的に売却するのだと、投資する人の立場から見ると10年前の東芝のツケにお金を使われてしまうのに、現在から入れて、将来のために投資してくれて自分達が儲かることをやってくれるのならいいですけれども、使われてしまって、なくなってしまうのに、お金なんか入れたくないという話になりますよね。だから、マジョリティに売ります。その人の会社にしていただいて結構ですと言わざるを得なかったと。そこまで決めて売りますと言った途端、それまで救済してほしくて、政府が助けてくれるのかなと思っていた時には、1月に出てこなかった政府が直前になって、まず再生機構からの投資を検討すると言った。それから、政策投資銀行からの出資や融資も検討しているような記事が新聞に出るのだけれど、これはまったく進んでいませんから、いったい政府の誰がこんなことをリークしているのか、これも非常に奇妙なのだけれども、これはほとんど嘘だと思います。動いていないと思います。だから、あり得るとしたら産業再生機構、経済産業省直轄のファンドだけです。そういう意味では、経済産業省直轄の投資の話がチョロッと出たと思ったのだけれども、それではシャープの時に失敗したように、中国勢とやったら価格競争力や資金力で負けるんです。そんなの意味がないではないかと皆が思っていたら、今度は外為法で売ることに対して事前に規制をかけると言い出した。これほど東芝にとって迷惑な話はなくて、少しでも自由に高く売りたいと思っているのに、売っていいかどうか、相手も選ばせてもらう、審査すると言い出したわけですね、政府が。これまたなんという変な介入をするのだろうというのが、現在の金融関係者とか、電気関係者のまともな受け止め方だと思います」
後藤氏
「外為法の話だけれど、安全保障上、半導体も当然入るわけですけれども、そういう絡むところは法的な意味で規制対象になる。つまり、それをどういうところにどうやっていいのかをチェックしないと出せない。国の立場、経産省の立場はそうだと思うんです。まったく審査なしでそのままというのはおかしいというか、あり得ない。原子力もそうなのですけれど。ただ、それが現在の状況とマッチさせるとか、それをどう見るか、それはありますけれど。ただ、そういうことが入ってくることがおかしいとまでは思わない。一定程度入るだろうというのが私の認識です」
反町キャスター
「チラッとやるかもしれないと見せるだけで、中国の資本はもう買う気がなくなりますか?」
後藤氏
「なりますね」
反町キャスター
「こういう噂が流れるということ自体が抑止力というか」
後藤氏
「そういう面も」
山際議員
「いや。これは、別にボクは政府の回し者でもなんでもありませんけれども、現在、後藤さんが言われたことは本質だと思います。別に半導体に限らず、原子力だってそうです。これは安全保障上の問題というのは、ビジネスとは別にかかってくる話です。乱暴な話はできません。特に東芝ぐらいいろいろな技術を裾野にまで渡って持っている会社において言えば、どんな技術を半導体部門が持っているかということを、政府が掴んでいるかと言ったら掴んでいないと思います。買収の話が出てきた時に当然、外側だけ見ても、これは外為法に必ず引っかかってくる案件だから、あとはどこの部分が引っかかるのかということを見ていくというのは当然のプロセスであって、何も止めに入るということでやっているわけではないと思います。細かく見て、ここは外し、ここはということはあるかもしれないけれども、基本的には外為法に引っかかるような国の企業が出てこられないというのは、外為法に引っかかる国の企業も最初から知っている話だと思います」
反町キャスター
「台湾というのは地域性が微妙ではないですか?台湾は、ボーダーの外なのですか、中なのですか?」
後藤氏
「台湾は原発も東芝が輸出したけれども、あの時、東芝からアメリカに輸出したんです。アメリカからしかできないから。規制のある原子力を、そのまま台湾に売れないからアメリカに送って、アメリカが台湾に送った形をとって、だけど、モノは直接行ってる」
反町キャスター
「書類上の処理?」
後藤氏
「ルートとしては」
反町キャスター
「今回の半導体の買い手というのも、シャープがこうなっているので別に問題はない…」
後藤氏
「それはいいです。台湾に原発を輸出したとか、そういうレベルではなく、この事業全体が、全て何もかも入ってしまうでしょう。そうすると結構、引っかかるものが出てくる。それをどうするのかというのは結構、悩ましいところ」
町田氏
「全否定はしません。そういう部分もあると思いますけれども、だけど、基本的に防衛に関わるすごくデリケートなものは、東芝は100%子会社を2つ持って、そういうところで、メインでやっています。だから、ここでやっているのは、あくまでも市販品、民生品です。民生品でも軍事転用が可能だからとか、そういう理屈を無理に言っているのが事実上で 本当に官房長官がおっしゃるような高い競争力があるのなら、日本企業が買いにいきますよ。半導体メモリ全体で見たら、東芝の世界シェアは9位にしか過ぎません。今回、言っているSSDとか、良いものをとっても、韓国製に負けて2位とか、3位です。だから、そんなに競争力はないですね。むしろ介入したくてしょうがないということをまた政府が言っているよねという話です」
山際議員
「それは明確に違うと思います。それは、中身を政府は知らないと思います。一私企業の事業の内容を全部知っているというのは、統制経済をやっている国営企業ばかりの国でなければあり得ないのではないですか。だから、外形基準として見た時には外形基準として外為法の中に半導体というのはリストに入っているのですから、原子力発電も入っています。ですから、子会社化して、全部外為法にあたるものは寄せているという話も実は間違っていると思います。だって、原子力の部分も、半導体の部分も全体として入っているわけですから。だから、当然、何もしませんとはいきませんよと言うのは、私が政府だったとしても言いますよ。外形として言うならば、おそらくこのようなプロセスが出てきますよということはアナウンスしておかなければいけないし、外側から見た時には確かに競争力あると思うし、半導体の分野というのはこれから伸びることはわかっているんですね、世界の市場が。そこに関して、東芝ががんばってくれるといいのだけれどなという、そういう想いはあると思いますよ。だけど、政府が介入して、民民のビジネスを侵すようなことがあるのかと言ったら、現在の政治状況から言ったらまったく通らないのではないかと思います」

国策めぐる企業と国の関係は?
反町キャスター
「公的資金の話になるのですけれども、政府系の金融機関から応援するという、その可能性をどう見ていますか?」
山際議員
「現在のスキームだとストレートにやるのは難しいのではないでしょうか」
反町キャスター
「建てつけとしてそういうものをつくる余地がない、そういう意味ですか?」
山際議員
「そういう意味だと思います」
町田氏
「通常、たとえば、貿易保険的に、輸出保険的にお金を出してあげる、融資してあげるということはあっても、投資となるは難しいでしょうね」
反町キャスター
「過去に大きな会社で潰れそうな会社に対して、政府が公的資金で応援したケースがありますよね?」
町田氏
「日本航空の場合は投資をしましたね」
反町キャスター
「それと状況は似ているのですか?同じスキームでやれるか、やれないか?」
町田氏
「日本航空の場合は、離島の路線がありましたので、国民の足を奪えないという公共性がありましたね。東芝はそこまでの公共性はないですね」
反町キャスター
「20万人の雇用を持っています、それは?」
町田氏
「雇用の議論で言うと、東京電力のケースで、原子力損害賠償保険機構から投融資が入っていますね。融資とは言いませんけれども、事実上の融資が入っています」
反町キャスター
「日本航空にしても、東京電力しても公的資金が入った、それによって人心一新が行われるのか。その2つの会社は、人心一新が行われて生まれ変わったのか?そこはどう評価されますか?」
町田氏
「対照的だと思っているのですけれども、日本航空は半分ぐらいの人が再雇用をされましたけれど、半分ぐらいの人は辞めざるを得ませんでした。ここは飛躍的にコストカットが進んで、日本の中でもお荷物だった航空会社が世界で1番か2番に財務体質がいい会社に生まれ変わってコスト管理ができる会社になっています。一方、東京電力はかつてより酷い状態になっていますよね。破綻処理だけが全てだとは言いませんけれども、いろいろな形で働いている人達の意識が改革できるようなことができるのかどうか。同じ公的資金が入っても入らなくても決定的に違うはずですね。それだけの問題ではないはずです」
反町キャスター
「一般論ですが、公的資金が入ることのメリット、デメリットをどう感じていますか?」
山際議員
「少なくとも現在政府が持っている支援スキーム、これは日本航空を支援した時のスキームは残っていない。再生機構ではなく、産業革新機構になっています。新しい事業、革新的な事業であるものに対して政府はお金を入れますということになっていますから、その枠にはまらない限りなかなか難しいです。そのうえ、東芝で言えば、日本航空みたいな話があるのかもしれませんけれど、今回の半導体部門に関しては優良部門なわけですね。ですから、高く売ろうと思えば高く売れるものだから、それを同じような話に乗っけるのはちょっと無理があるような気がするんです。先ほど、公益性の話がありました。雇用の話もあります。ですから、全てが全て紋切り調に、潰れるものは潰れてくださいという話にはならないというのは当然だと思うのですが、そこは確かに世の中の流れとして、何でもかんでも大きくて倒せないから、影響が大き過ぎるから倒産させられないみたいな、そういう話ではないし、政府もそうだし、また、我々政治の現場にいる人達もある意味、これはコンセンサスだと思いますよ」

経済ジャーナリスト 町田徹氏の提言 『不透明な介入を自粛せよ!』
町田氏
「番組中でも申し上げましたけれども、昨年12月からこの3月末にかけて東芝がギリギリの再建策を模索している段階で、いったい何をやりたいのかわからないような、政府方針報道。半導体の売却先を審査するとか、アメリカの原子力の電力会社に対する債務保証を背負って立つとか、どこどこに話し合いに行くとか、そういうことがありましたので、そういうことは再建に決してプラスになりませんので、不透明な介入はするな、そういう意味であります」

後藤政志 NPO法人『APAST』理事長の提言 『それぞれ自立した判断を!!』
後藤氏
「それぞれ国、あるいは民間の企業が自立した判断をするべきだと。この意味は、私が気にしていますのはどうもお互いに寄り添ってしまっていること。寄りかかっているのではないかと心配しているんですね。お互いにそれはよくないことですし、民間は民間、国は国としてきちんと自立した判断する。そうしないと、今回のような問題になるだろうと。特に福島事故を受けて、私はそう思います」

山際大志郎 元経済産業副大臣の提言 『絶妙な役割分担』
山際議員
「基本的には、政治のやる役割というのは環境整備だと思います。そのうえで民間がそれぞれ力を発揮してビジネスをやる。基本的にそうですが、それで割り切れない部分が必ず出てくるわけで、そこをどうするかというのは絶妙な役割分担だと思うんですね。これは日頃から政治と民間というのが間合いをきちんと詰めて、コミュニケーションをはかっていくということが大事だと思うんです」